以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機1の正面図であり、図2はパチンコ遊技機1が備える主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明で用いる図において、「上」、「下」、「左」、「右」はパチンコ遊技機1の方向を示している。また、パチンコ遊技機1の前後方向は、図1の紙面手前側を「前」とし、図1の紙面奥側を「後」とする。
パチンコ遊技機1は、便宜上図中破線で示す縦長の方形枠状に形成された外枠2と、外枠2に開閉可能に取り付けられた前面枠3と、を備えている。前面枠3の前面(表面)には、ガラス扉枠4および下扉枠5がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠5の表面には打球供給皿(上皿)6が設けられ、打球供給皿6の下部には、打球供給皿6に収容しきれない遊技媒体である遊技球を貯留する余剰球受皿7(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル8が設けられている。また、ガラス扉枠4の後側においては、遊技盤9が前面枠3に対して着脱可能に取り付けられている。
本実施形態の遊技盤9は、表面側に遊技領域10が設けられる透光性のアクリル樹脂からなる無色透明の透明板11と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、透明板11を取り付ける取付面が前面(表面)に設けられたスペーサ部材(図示略)と、透明板11に設けられた種々の遊技部品と、を備える構造体である。
遊技盤9では、透明板11の表面が遊技者側に向き、遊技者が透明板11を透かして透明板11の裏面側を一部視認可能となっている。遊技領域10は、略円形状に形成され、詳細は後述するが、透明板11に立設されるガイドレールG等によって形成されている。なお、本実施形態では、透明板11の表面が、遊技盤9の遊技者側を向く盤面を形成し、以下、透明板11の表面を遊技盤9の盤面と呼ぶ場合がある。
遊技盤9(透明板11)の裏面側には、演出表示装置12および演出制御基板80(図2参照)等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する部品が組み付けられている。遊技盤9は、正確には、変動表示制御ユニット等と一体となった遊技盤ユニットの状態で、前面枠3に対して着脱可能に取り付けられている。
なお、本実施形態では透明板11がアクリル樹脂から形成されると説明したが、ポリカーボネート樹脂やメタクリル樹脂等の透明な合成樹脂等から形成してもよい。また、本実施形態では透明板11を無色透明と説明したが、遊技者が透明板11を透かしてその裏面側を透視可能であれば半透明であってもよいし、一部に着色が施されるものであってもよい。
演出表示装置(飾り図柄表示装置)12は、遊技領域10の中央付近に設けられ、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を有している。演出表示装置12には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置12は、後述する第1特別図柄表示器13aまたは第2特別図柄表示器13bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置12は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤9における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する上記第1特別図柄表示器13aが設けられている。この実施形態は、第1特別図柄表示器13aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器13aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
また、第1特別図柄表示器13aの上側に、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する上記第2特別図柄表示器13bが設けられている。第2特別図柄表示器13bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器13bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器13aおよび第2特別図柄表示器13bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器13aと第2特別図柄表示器13bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動入賞口14bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。
また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動入賞口15bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置12は、第1特別図柄表示器13aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器13bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器13aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置12における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器13bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置12における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器13aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器13bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置12において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置12の下側には、上記した第1始動入賞口14bを有する普通入賞球装置14が設けられている。第1始動入賞口14bに入賞した遊技球は、遊技盤9の裏面側に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ、図2参照)および第1入賞確認スイッチ(図示略)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)14bを有する普通入賞球装置14の右上側には、遊技球が入賞可能な上記第2始動入賞口15bを有する普通可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)15bに入賞した遊技球は、遊技盤9の裏面側に導かれ、第2始動口スイッチ15a(図2参照)および第2入賞確認スイッチ(図示略)によって検出される。本実施形態の遊技盤9では、普通入賞球装置14が遊技盤9における左右方向の中央から左側にずれて位置し、普通可変入賞球装置15が遊技盤9における左右方向の中央から右側にずれて位置している。なお、このような普通入賞球装置14および普通可変入賞球装置15の配置位置は、この実施形態と異なるものであってもよいことは言うまでもない。
本実施形態の普通可変入賞球装置15は、一般に電動チューリップと呼ばれる遊技部品に相当するものであり、本実施形態では、やや傾斜した状態で左右方向に延在し、遊技球が流下する流路の底面として形成される板状の底面部材15cをソレノイド16(図2参照)によって前後方向に進退移動させることで、底面部材15cの下側に位置する第2始動入賞口15bを開状態と閉状態とに変化させる。普通可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口15bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。一方で、普通可変入賞球装置15が閉状態となっている場合には、遊技球は第2始動入賞口15bに基本的に入賞しない状態とされる。なお、普通可変入賞球装置15の構成についての詳細は後述する。
また、第2特別図柄表示器13bの上側には、第1始動入賞口14bに入った有効入賞球数、すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口14bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。
上記第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器13aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、上記第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器13bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口14bへの入賞による始動記憶数および第2始動入賞口15bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、この実施形態では、第2始動入賞口15bが開状態と閉状態とに変化する構成であるが、第1始動入賞口14bも開状態と閉状態とに変化する構成としてもよい。
遊技盤9では、普通入賞球装置14の右下側で、かつ普通可変入賞球装置15の左下側の位置に、一般にアッタカーと呼ばれる遊技部品である特別可変入賞球装置22が設けられている。特別可変入賞球装置22は、やや傾斜した状態で左右方向に延在し、遊技球が流下する流路の底面として形成される板状の底面部材23をソレノイド21(図2参照)によって前後方向に進退移動させることにより、底面部材23の下側に位置する大入賞口24を、遊技球が入賞可能な開状態と遊技球が入賞不能な閉状態とに変化させる。
特別可変入賞球装置22は、1特別図柄表示器13aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器13bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)において、底面部材23を遊技盤9の前側(表面側)に向けて前進移動させた閉状態から底面部材23を遊技盤9の後側(裏面側)に向けて後退移動させ、入賞領域となる大入賞口24を開状態とする開放制御を複数ラウンド実行する。なお、特別可変入賞球装置22の構成についての詳細は後述するものとする。
大入賞口24内には、大入賞口24内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ25aと第3入賞確認スイッチ(図示略)、図2参照)が設けられている。なお、図示省略するが、本実施形態では、大入賞口24内において、カウントスイッチ25aが上側に配置され、その下側に第3入賞確認スイッチが配置される。従って、この実施形態では、大入賞口24内に入賞した遊技球は、遊技盤9の裏面側に導かれ、まずカウントスイッチ25aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチで検出されることになる。
カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。ここで、特別可変入賞球装置22において開状態となった大入賞口24を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口14bや第2始動入賞口15bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出されるようになっている。したがって、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が開状態となれば、遊技者にとって有利な状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が閉状態となれば、大入賞口24に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な状態となる。
また、第1特別図柄表示器13aの下側には、普通図柄表示器26(可変表示手段)が設けられている。普通図柄表示器26は、例えば2つのランプからなる。遊技球が、後述のゲート32を通過しゲートスイッチ32a(図2参照)で検出されると、または後述のゲート33を通過しゲートスイッチ33a(図2参照)で検出されると、普通図柄表示器26の表示の可変表示が開始される。この実施形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器26の下側のランプが点灯して当りである場合に、普通可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、普通可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口15bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。
また、特別図柄保留記憶表示器18の上側には、ゲート32またはゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器27が設けられている。ゲート32またはゲート33への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器27は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器26の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器27には、ゲート32またはゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置22の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、および遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器26は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
本実施形態では、上記したゲート32が、演出表示装置12の左側に設けられ、上記したゲート33が、演出表示装置12の右側に設けられている。また、演出表示装置12の周囲にはセンター飾り枠体35が設けられている。センター飾り枠体35は、透明板11に設けられた開口の内周縁部に挿入されて設けられるが、この詳細は後述する。
センター飾り枠体35は、図示省略するランプや可動物を備えており、演出表示装置12の可変表示とともにランプや可動物を作動させることで演出を行う。センター飾り枠体35は、右側の外周部が遊技領域10の右側周縁部に近接して形成され、この遊技領域10の右側周縁部との間に遊技球の右側通過領域36を画成している。これにより、このパチンコ遊技機1では、右側通過領域36を通過した遊技球を、普通可変入賞球装置15および特別可変入賞球装置22側に案内することが可能となっている。
また、普通入賞球装置14の左下側には、一般入賞球装置17a,17bが設けられている。本実施形態では、遊技領域10の左側下部に、弧状のガイドレールGに沿って弧状に形成される下部飾り枠体35Dが設けられ、下部飾り枠体35Dに、一般入賞球装置17a,17bが一体に取り付けられている。一般入賞球装置17a,17bに遊技球が入賞した場合には、それぞれ入賞口スイッチ31a,31b(図2参照)によって検出され、所定の賞球が払い出される。
また、遊技領域10の中央下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口28が設けられている。さらに、遊技領域10の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ29が設けられている。さらにまた、遊技領域10の外周(周辺部分)には、天枠LED30a、左枠LED30bおよび右枠LED30cが設けられている。天枠LED30a、左枠LED30bおよび右枠LED30cは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、本実施形態では、透明板11において、正面視で演出表示装置12(センター飾り枠体35)と特別可変入賞球装置22との間で、かつ普通可変入賞球装置15の左側の位置の裏面側に、サブ演出表示装置38が設けられている。サブ演出表示装置38は、その表示部が前側に向き遊技者が透明板11を介して視認可能となっている。図1では、サブ演出表示装置38に「V」といった表示をしているが、サブ演出表示装置38は演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータによって制御されることで各種の情報を表示することが可能となっている。
さらに、図1では、図示を省略しているが、左枠LED30bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED30aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板80に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。
遊技領域10おける遊技球の通過ルート、および該通過ルートと打球操作ハンドル8の操作方法について説明すると、このパチンコ遊技機1では、打球操作ハンドル8の操作によって発射された遊技球が、センター飾り枠体35の左右のいずれか一方のルートを通るようになっている。一般に、遊技球がセンター飾り枠体35の左側を通って遊技領域10の下側に流下するように遊技球を発射することを、「左打ち」といい、これに対して、遊技球がセンター飾り枠体35の右側を通って遊技領域10の下側に流下するように遊技球を発射することを、「右打ち」という。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域10において左右方向中央よりも右側に特別可変入賞球装置22が設けられているため、右打ちした遊技球が、大入賞口24に入賞する可能性が高くなっている。一方で、左打ちした遊技球は、大入賞口24に入賞する可能性が低くなっている。したがって、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞球装置22が大入賞口24を開閉させる際は、遊技者は「右打ち」をすることで、遊技球が大入賞口24に入賞し易くなる。
また、詳細は後述する確変状態および時短状態では、遊技者は、右打ちをして、第2始動入賞口15bを狙うことで、遊技球が第2始動入賞口15bに入賞し易くなる。
遊技者が、左打ちまたは右打ちをするかは、遊技状態に応じて選択されるものであり、遊技者は、打球操作ハンドル8を調整することで、左打ちまたは右打ちを打ち分けるようにする。打球操作ハンドル8は、遊技者に回転操作されることで、遊技球を発射し、操作角度に応じて遊技球の発射速度(発射強度)の調整を行う構造となっている。また、打球操作ハンドル8は、遊技球が発射可能な操作角度で操作が維持された場合には、遊技球を一定の発射間隔で連続して発射するように構成されている。そして、打球操作ハンドル8は、操作角度を所定角度範囲内に規制されており、略最大角度まで操作された場合に、右打ち状態となるように調整されている。
なお、特定の遊技状態となった際に、演出表示装置12およびサブ演出表示装置38において、遊技者が右打ちをするように促す表示をするのが好ましい。
遊技者の操作により、図示省略する打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域10の左部に形成されたガイドレールGで構成される案内部を通って遊技領域10に入り、その後、遊技領域10を下りてくる。
遊技球が第1始動入賞口14bに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器13aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置12において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口14bへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
また、遊技球が第2始動入賞口15bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器13bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置12において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口15bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器13aにおける第1特別図柄の可変表示および第2特別図柄表示器13bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置22の大入賞口24が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われる。開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する。遊技者は、この大当り遊技状態では、右打ちをすることで、遊技球を大入賞口24に入賞させる可能性を高めることができる。
ここで、演出表示装置12に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器13aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器13bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置12の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」および「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部または一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
停止時の第1特別図柄表示器13aまたは第2特別図柄表示器13bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、通常状態(低確状態と呼ぶ場合もある)であるときに比べて高くなる確率変動状態(確変状態:高確率状態ともいう。)という遊技者にとって有利な状態になる。
一方で、第1特別図柄表示器13aまたは第2特別図柄表示器13bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた上記確変大当り図柄でない場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、低確状態とされる。
高確率状態では、普通図柄表示器26の変動時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御も行われる。さらに、この実施形態では、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞球装置15の底面部材15cの開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。また、高確率状態では、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。時短状態は、特別図柄の変動(可変表示)が所定回数(例えば、100回、または大当りとなるまで)行なわれるまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞球装置15の底面部材15cの開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
一方で、第1特別図柄表示器13aまたは第2特別図柄表示器13bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた確変大当り図柄でない場合においても、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。この時短状態は、特別図柄の変動(可変表示)が所定回数(例えば、100回)行なわれるまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞球装置15の底面部材15cの開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
そして、本実施形態では、第2始動入賞口15bを有する普通可変入賞球装置15の右上側のゲート33に、右打ちした遊技球が比較的通過し易くなっているため、確変状態における時短状態または通常状態における時短状態において、右打ちをすることで、第2始動入賞口15bへの入賞の可能性が高くなる。このため、遊技者は、上記双方の時短状態においては、右打ちをすることで、遊技球を第2始動入賞口15bに効率的に入賞させることができる。なお、以下では、確変図柄で大当り後の確変状態における時短状態を、単に確変状態と呼ぶものとする。
次に、図2を参照し、パチンコ遊技機1の主基板(遊技制御基板)40における回路構成について説明する。主基板40には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ156(遊技制御手段)が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
また、乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。なお、払出制御基板37は球払出装置97を制御する。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板(図示略)からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路(図示略)が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板40)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、ゲートスイッチ33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ、カウントスイッチ25a、第3入賞確認スイッチ、および入賞口スイッチ31a,31bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板40に搭載されている。また、普通可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置22を開閉するソレノイド21と、を基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板40に搭載されている。また、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示略)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板40に搭載されている。
この実施形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置12との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板40からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置12の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置12に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
また、中継基板77には、主基板40から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板40から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板40の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板40の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。また、本実施形態では、演出制御基板80の演出制御用CPU(図示略)によってサブ演出表示装置38の表示制御が行われる。演出制御基板80によるサブ演出表示装置38に対する表示制御は、基本的に演出表示装置12に対する処理方法と同様であるため、説明は省略する。なお、サブ演出表示装置38に対する制御を行う演出制御用CPUは、演出表示装置12に対して制御を行うCPUと別のものであってもよい。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板41に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板41において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED30a、左枠LED30b、右枠LED30cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板41に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ29に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
図3には普通可変入賞球装置15の閉状態における斜視図、図4には同装置の開状態における斜視図が示されている。また、図5には特別可変入賞球装置22の閉状態における斜視図、図6には同装置の開状態における斜視図が示されている。
ここで、普通可変入賞球装置15および特別可変入賞球装置22の詳細について説明すると、まず、図3および図4を参照し、普通可変入賞球装置15は、透明板11の表面に略平行(詳しくは、透明板11の表面よりも前側で当該表面に略平行)に配置されるベース板101と、ベース板101に形成された左右方向に延びるスリット穴102から進退移動可能な上記した底面部材15cと、ベース板101において底面部材15cの下側に設けられ、底面部材15cの下側に位置する第2始動入賞口15bまで遊技球を案内する上方に開放した案内溝部103を有する台部104と、を備えている。台部104は、ベース板101から前側に張り出す状態でベース板101に取り付けられている。
底面部材15cを動作させるソレノイド16を含む電装系部品は、ベース板101の裏面に取り付けられた収納ケース105(図8参照)に収納され、詳細は後述するが、普通可変入賞球装置15は、透明板11に形成された開口に収納ケース105を挿入した状態でベース板101が、上記開口を前側から覆うように透明板11に取り付けられている。
台部104の上部において案内溝部103を挟んで左右に位置する部位には、図3に示すように、前進した状態の底面部材15cの左右端部に連なって、底面部材15cとともに左下がりに傾斜する遊技球流路を形成する上流側流路形成面106Uおよび下流側流路形成面106Dが形成されている。第2始動入賞口15bは、案内溝部103の底面の左端部の裏面側においてベース板101に形成され、案内溝部103では、その底面が左下がりに傾斜しており、案内溝部103に進入した遊技球を左に向けて流下させて第2始動入賞口15bに案内するように構成されている。
図3に示す状態は、普通可変入賞球装置15の閉状態であり、普通可変入賞球装置15では閉状態とする際、底面部材15cの左右端部が上流側流路形成面106Uおよび下流側流路形成面106Dに連なる状態として、案内溝部103を閉鎖状態とし、遊技球が図中Xで示す矢印に沿うようにして第2始動口15bに入賞せずに下流側に流下する状態とする。
一方で、普通可変入賞球装置15は、図4に示す開状態では、底面部材15cをベース板101の裏面側に後退させ、案内溝部103を開放状態として、遊技球が図中矢印Yに沿うようにして第2始動口15bに入賞し易い状態とする。
また、本実施形態の普通可変入賞球装置15では台部104の前部に、前側から案内溝部103、底面部材15c、台部104の上流側流路形成面106Uおよび下流側流路形成面106Dを覆う便宜上二点鎖線で示される被覆板部107が設けられている。被覆板部107は、底面部材15cまたは案内溝部103を流下する遊技球の前側への脱落を防止する目的とともに装飾効果を発揮する表示部としての機能を有している。
図1、図7も参照し、本実施形態の被覆板部107は「リボン」の形状に形成され、その表面にリボンを表出させる装飾が施されている。本実施形態では、普通可変入賞球装置15の下側に、キャラクタCの顔が表示されるが、被覆板部107は、キャラクタCの頭部に位置し、キャラクタCがリボンを装着している様子を表出させている。なお、被覆板部107に設けられる装飾は、被覆板部107の表面に張り付けられる合成樹脂製のフィルムに印刷されるものであってもよいし、有色の樹脂剤を被覆板部107に混入して表出されるものであってもよい。
一方、図5および図6を参照し、特別可変入賞球装置22も、普通可変入賞球装置15と同様の構造を有しており、透明板11の表面に略面一(詳しくは、透明板11の表面よりも前側で当該表面に略平行)に配置されるベース板111と、ベース板111に形成された左右方向に延びるスリット穴112から進退移動可能な上記した底面部材23と、ベース板111において底面部材23の下側に設けられ、底面部材23の下側に位置する大入賞口24まで遊技球を案内する上方に開放した案内溝部113を有する台部114と、を備えている。台部114は、ベース板111から前側に張り出す状態でベース板111に取り付けられている。
底面部材23を動作させるソレノイド21を含む電装系部品は、ベース板111の裏面に取り付けられた収納ケース115(図8参照)に収納され、詳細は後述するが、特別可変入賞球装置22は、透明板11に形成された開口に収納ケース115を挿入した状態でベース板111が、上記開口を前側から覆うように透明板11に取り付けられている。
台部114の上部において案内溝部113を挟んで左右に位置する部位には、図5に示すように、前進した状態の底面部材23の左右端部に連なって、底面部材23とともに左下がりに傾斜する遊技球流路を形成する上流側流路形成面116Uおよび下流側流路形成面116Dが形成されている。大入賞口24は、案内溝部113の底面の左端部の裏面側においてベース板111に形成され、案内溝部113では、その底面が左下がりに傾斜しており、案内溝部113に進入した遊技球を左に向けて流下させて大入賞口24に案内するように構成されている。なお、特別可変入賞球装置22の開閉動作は、普通可変入賞球装置15と同様のため、説明を省略する。
また、特別可変入賞球装置22においても台部114の前部に、前側から案内溝部113、底面部材23、台部114の上流側流路形成面116Uおよび下流側流路形成面116Dを覆う図中二点鎖線で示される被覆板部117が設けられている。被覆板部117は、底面部材23または案内溝部113を流下する遊技球の前側への脱落を防止する目的とともに装飾効果を発揮する表示部としての機能を有している。
図1、図7も参照し、本実施形態の被覆板部117は「右手」の形状に形成され、その表面に右手を表出させる装飾が施されている。被覆板部117は、キャラクタCの頭部に隣接した位置に位置しており、キャラクタCがその前方に向けて右手を突き出した様子を表出させている。なお、被覆板部117に設けられる装飾は、被覆板部117の表面に張り付けられる合成樹脂製のフィルムに印刷されるものであってもよいし、有色の樹脂剤を被覆板部107に混入して表出されるものであってもよい。
ここで、図7を参照し、本実施形態では、キャラクタCの頭部(顔全体)を表示する部位が、普通可変入賞球装置15と特別可変入賞球装置22とを一体化させるとともに、普通可変入賞球装置15と特別可変入賞球装置22とを透明板11に取り付けるための板体であるフランジ部120として構成されている。
なお、本実施形態では、フランジ部120と、普通可変入賞球装置15のベース板101と、特別可変入賞球装置22のベース板111とが合成樹脂で形成される一部材からなるものとするが、フランジ部120は、別体のベース板101およびベース板111を接着により固定したり、ねじ等の締結部材で固定したりしてもよい。
詳述すると、本実施形態では、フランジ部120が普通可変入賞球装置15と特別可変入賞球装置22の周縁(外壁部)から張り出して、これらを透明板11に取り付けるためのフランジ部としての機能とともに、キャラクタCの顔を表出させる表示部として機能を有している。すなわち、フランジ部120は、正面視、より広義には遊技者側から見た場合に、遊技者が視認可能な位置に配置され、かつその表面に装飾が施された表示部が設けられている。
フランジ部120の表面でキャラクタCの顔を表出させる装飾は、フランジ部120の表面に張り付けられる合成樹脂製のフィルムに印刷されるものであってもよいし、有色の樹脂剤をフランジ部120に混入して表出されるものであってもよい。
また、本実施形態では、キャラクタCの目の部分eが透明または半透明とされ、フランジ部120の裏面に設けられた収納ケース121(図8参照)に収納された発光部122(図8、図15参照)によって、キャラクタCの目が発光する演出が可能となっている。これについての詳細は後述する。また、収納ケース121も、収納ケース105,115と同様に、透明板11の開口に挿入されて取り付けられるが、以下でその詳細を説明する。
図8は遊技盤9の背面図、図9は遊技盤9から各種遊技機部品を取り外した状態の遊技盤9の正面図、図10は図9の背面図である。なお、各図には、上記したスペーサ部材等を便宜上、図示していない。フランジ部120、普通可変入賞球装置15および特別可変入賞球装置22の透明板11に対する取り付けを詳述すると、透明板11には、フランジ部120の収納ケース121、普通可変入賞球装置15の収納ケース105および特別可変入賞球装置22の収納ケース115を挿通させる一体ユニット用開口130が貫通して形成されている。
そして、フランジ部120、普通可変入賞球装置15および特別可変入賞球装置22は、それぞれの収納ケース121,105,115を一体ユニット用開口130に前側から挿入させるとともに、フランジ部120、ベース板101およびベース板111を、透明板11における一体ユニット用開口130の外周部分の表面よりも前側で当該表面に略平行に配置し、正面視で当該表面に重畳させる。そして、図示省略するが、フランジ部120に形成された貫通孔に通したネジ等の締結部材を透明板11の表面に螺合することで、透明板11に固定されている。
図8を参照し、本実施形態では、一体ユニット用開口130の内周縁部には、収納ケース121,105,115の周縁(外壁部)の大部分(全部でもよいし、大部分でなく少なくとも比較的小さい範囲の一部でもよい)が当接するように挿入され、嵌合される状態となっている。
ここで、本実施形態においては、このようにフランジ部120、普通可変入賞球装置15および特別可変入賞球装置22が透明板11に取り付けられた状態では、図7を参照し、フランジ部120の下側でフランジ部120に隣接する位置に、キャラクタCの胴体を表出させる装飾が施された装飾領域150と、キャラクタCの左手および装着したマントを表出させる装飾が施された装飾領域151と、が設けられており、これら装飾領域150,151が、フランジ部120、被覆板部107および被覆板部117と協働して、キャラクタCの全体像の表示をなしている。
これら装飾領域150,151について詳述すると、図7〜図10を参照し、胴体を表出させる装飾領域150は、本実施形態では、透明板11の表面に張り付けられた合成樹脂製のフィルムで構成されている。また、左手およびマントを表出させる装飾領域151は、透明板11の裏面に張り付けられた合成樹脂製のフィルムで構成されている。図11および図12には、便宜上、装飾領域150を削除した状態の遊技盤9の正面図および背面図が示されている。装飾領域151は、遊技者側から見た場合に、透明板11を透かして視認可能となっている。
以上のような構成であると、透明板11の裏面側から表面側に向けて装飾領域151、装飾領域150、フランジ部120、普通可変入賞球装置15の被覆板部107または特別可変入賞球装置22の被覆板部117が、この順で並び、これらが協働して、キャラクタCといった一の表示内容が立体感のある態様で遊技盤9の盤面に表示される。図13には、図7のA−Aに沿う断面図が示されている。同図には、装飾領域151、装飾領域150、フランジ部120、特別可変入賞球装置22の被覆板部117が、透明板11の板厚方向に積層状態で並んだ状態が示されている。
なお、本実施形態では、透明板11の裏面が第1表示位置に対応し、装飾領域151が第1表示部に対応し、透明板11の表面が第2表示位置に対応し、装飾領域150が第2表示部に対応する。また、フランジ部120の表面に設けられた装飾部分が第3表示部に対応し、普通可変入賞球装置15の被覆板部107の表面に設けられた装飾部分または特別可変入賞球装置22の被覆板部117の表面に設けられた装飾部分が第4表示部に対応する。
またここで、図15を参照し、同図には、フランジ部120の裏面に設けられた収納ケース121に収納された発光部122がフランジ部120を照らす様子が示されている。なお、フランジ部120と一体とされる普通可変入賞球装置15や特別可変入賞球装置22に対して、同様に発光手段によって照らし、演出効果を向上させてもよい。発光手段としては、普通可変入賞球装置15や特別可変入賞球装置22を照らす場合には、発光部122を共通としてもよいし、別の発光部を設けても構わない。
また、図7および図9等を参照し、本実施形態では、装飾領域150,151が形成された部位以外においても、透明板11の表面に、複数の装飾領域152が形成されている。本実施形態において装飾領域152は、星形状に形成され、普通入賞球装置14の周りや、下部飾り枠体35Dの上側に複数形成されている。また、装飾領域152には、サブ演出表示装置38の周辺を囲むように複数形成されたもの等もある。
なお、このような装飾領域は、本実施形態で説明したもの以外の任意の形状で、任意の位置に形成してよい。また、透明板11の裏面においても、装飾領域151以外の装飾領域を、任意の形状で、任意の位置に形成してもよい。
また、本実施形態においては、サブ演出表示装置38が、図8に示すようにセンター飾り枠体35にブラケット38Aを介して取り付けられ、詳細は図示しないが、その表示部が透明板11の裏面から所定距離だけ離間する状態とされる。したがって、サブ演出表示装置38の表示部は、透明板11の板厚方向で、透明板11の裏面の装飾領域151の裏面と同一面若しくはこれよりも奥側に位置することになり、本実施形態では、透明板11の裏面側から表面側に向けて、サブ演出表示装置38、装飾領域151、装飾領域150、フランジ部120、普通可変入賞球装置15の被覆板部107または特別可変入賞球装置22の被覆板部117が、この順で並ぶことになる。なお、ブラケット38Aは、センター飾り枠体35が前側から透明板11の開口に挿入されて取り付けられた後に、固定されるようになっている。
そして、サブ演出表示装置38ではキャラクタCに関連する表示を行うことが可能となっており、ここで、キャラクタCと関連のある表示(例えば、キャラクタCと関連のあるキャラクタがキャラクタCの後についてくる表示等)をすることで、その他の遊技部品と協働して一の表示内容を表示できる。これにより、本実施形態では、遊技盤9の盤面に対してより立体感のある効果的な演出ができるようになっている。
その他の遊技部品の取り付けについて説明すると、まず、センター飾り枠体35は、図7〜図10を参照し、透明板11の中央に貫通して形成されたセンター飾り用開口131に前側から挿入され、センター飾り用開口131に取り付けられている。センター飾り枠体35は、センター飾り用開口131の内周縁部に挿入されるとともに嵌合される枠本体35Aと、枠本体35Aにおける透明板11の表面よりも前側に位置する部位から、センター飾り用開口131の外周部分の表面側に向けて張り出すフランジ部35Bと、を有している。
センター飾り枠体35は、フランジ部35Bを透明板11の表面に重畳し、フランジ部35Bに形成された貫通孔に通したネジ等の締結部材を透明板11の表面に螺合することで、透明板11に固定されている。また、図8を参照し、本実施形態では、センター飾り枠体35の枠本体35Aの大部分(全部でもよいし、大部分でなく少なくとも比較的小さい範囲の一部でもよい)が、センター飾り用開口131の内周縁部に当接する状態となっている。
次に下部飾り枠体35Dは、透明板11において、遊技領域10のうちの左下側に位置する領域に対応する(換言すれば、領域を形成する)領域に貫通して形成された下部飾り用開口132に挿入され、下部飾り用開口132に取り付けられている。
下部飾り枠体35Dは、下部飾り用開口132の内周縁部に挿入されるとともに嵌合される嵌合部35Eと、嵌合部35Eにおける透明板11の表面よりも前側に位置する部位に設けられ、下部飾り用開口132を前側から全体的に覆うとともに、下部飾り用開口132の外周部分の表面側に向けて張り出すカバー部35Fと、を有している。
センター飾り枠体35は、カバー部35Fにおける、下部飾り用開口132の外周部分の表面側に向けて張り出した部位を透明板11の表面に重畳し、当該部位に形成された貫通孔に通したネジ等の締結部材を透明板11の表面に螺合することで、透明板11に固定されている。なお、カバー部35Fには装飾が施されている。
本実施形態では、下部飾り枠体35Dの嵌合部35Eの大部分(全部でもよいし、大部分でなく少なくとも比較的小さい範囲の一部でもよい)が、下部飾り用開口132の内周縁部に当接する状態となっている。また、嵌合部35Eには、一般入賞球装置17a,17bに入賞した遊技球を透明板11の裏面側に案内する案内部等が形成されている。
また、普通入賞球装置14は、下部飾り用開口132の右上側において透明板11に貫通して形成された普通入賞球装置用開口133に取り付けられている。普通入賞球装置14は、普通入賞球装置用開口133の内周縁部に挿入されるとともに嵌合される嵌合部141と、透明板11の表面よりも前側に位置して第1始動入賞口14bを形成する始動口形成部142と、を備えている。嵌合部141には、第1始動入賞口14bに入賞した遊技球を透明板11の裏面側に案内する案内部等が形成されている。本実施形態では、普通入賞球装置14の嵌合部141の大部分(全部でもよいし、大部分でなく少なくとも比較的小さい範囲の一部でもよい)が、普通入賞球装置用開口133の内周縁部に当接する状態となっている。
また、ゲート32は、センター飾り用開口131の左側において透明板11に貫通して形成された第1ゲート用開口134に取り付けられ、ゲート33は、センター飾り用開口131の右側において透明板11に貫通して形成された第2ゲート用開口135に取り付けられている。ゲート32は、第1ゲート用開口134の内周縁部に挿入されるとともに嵌合される嵌合部143と、透明板11の表面よりも前側に位置して遊技球の進入口を形成する進入口形成部144と、を備えている。ゲート33は、第2ゲート用開口135の内周縁部に挿入されるとともに嵌合される嵌合部145と、透明板11の表面よりも前側に位置して遊技球の進入口を形成する進入口形成部146と、を備えている。
一方で、図7を参照し、遊技領域10を形成するガイドレールGは、透明板11における下部飾り枠体35Dの下側の位置から上側に湾曲して延び、透明板11の上部を通過した後、さらに下側に湾曲して延びる外レールG1と、外レールG1の内側(透明板11中央側)で外レールG1に沿って、アウト口28の左端から上側に湾曲して演出表示装置12の上部左側の位置まで延びる内レールG2と、を備えている。
外レールG1および内レールG2は、板厚の薄い金属製の帯状の板材から形成され、透明板11の表面に対して略垂直に前側に向けて延びるように透明板11に立設されている。外レールG1および内レールG2はそれぞれ、長手方向で所定間隔おきに固定された金属製の取付けピン(図示略)を透明板11に形成された取付孔(図示略)に圧入することで、透明板11に取り付けられている。
そして、ガイドレールGは、外レールG1と内レールG2とで遊技球の案内部を形成するとともに、透明板11の表面における外周部分に取り付けられたレール飾り枠(43,44,45)と協働して、遊技領域10を形成している。
レール飾り枠は、本実施形態において、それぞれ樹脂材料から形成された第1レール飾り枠43と、第2レール飾り枠44と、第3レール飾り枠45と、で構成されている。
第1レール飾り枠43は、外レールG1の外側において外レールG1に沿って延びる弧状に形成され、透明板11の下部から上部に至る略半円の円弧状に形成されている。
第2レール飾り枠44は、外レールG1の外側において第1レール飾り枠43の上側の端部に連なって湾曲して下方に延びる略1/4円弧状に形成されている。
また、第3レール飾り枠45は、第2レール飾り枠44の下側の端部に連なって下側に延びた後、左方に向けて屈曲してアウト口28の下側を通り過ぎて内レールG2の端部に連なるように形成されている。
そして、外レールG1の上側の端部は、第2レール飾り枠44の内周部の上下方向の略中央の位置まで至っており、外レールG1の上側の端部よりも下側では、第2レール飾り枠44および第3レール飾り枠45が略円弧状に連なる。
これにより、パチンコ遊技機1では、ガイドレールGおよびレール飾り枠により、略円形状の遊技領域10が形成されている。なお、パチンコ遊技機1では、第3レール飾り枠44に、上記した第1特別図柄表示器13aや第2特別図柄表示器13b等が設けられている。また、第1レール飾り枠43、第2レール飾り枠44、および第3レール飾り枠45は、透明板11の裏面側に設けられるスペーサ部材から透明板11を貫通して表面側に突出するボス部にネジ等の締結部材を締結することで固定される。
ところで、図9、図10等を参照し、本実施形態では、装飾の目的で形成される上記した装飾領域150,151,152の他に、透明板11の裏面に導電領域160が複数設けられるとともに、透明板11の表面に導電領域161が設けられている。
導電領域160,161は、導電性物質を主な着色剤として含有する導電性塗料を印刷してなる導電性フィルムが、透明板11の裏面に張り付けられて形成されている。本実施形態では、導電領域160,161に導電性物質としてカーボンインクが含まれており、黒色を呈するものとなるが、含有する物質によってはその他の色を呈するものでもよい。また、導電領域160,161を構成するものとしては、上記のようなフィルムに限らず、金属膜等、具体的には例えばメッキ処理膜等であってもよい。
透明板11の裏面に設けられた導電領域160は、透明板11(遊技盤9)の正面視では、透明板11を透かして視認可能な状態となり、透明板11の表面に設けられた導電領域161は、透明板11(遊技盤9)の背面視では、透明板11を透かして視認可能な状態になる。図中では、説明便宜上、導電領域160,161にドットを付して示している。
これら導電領域160,161は、透明板11に設けられた各種遊技部品を電気的に接続するために設けられており、より詳しくは、各種遊技部品を、導電領域160,161を介して最終的に後述するアース線に接続するために設けられている。
図9および図10を参照し、具体的に本実施形態では、透明板11の裏面の複数の導電領域160には、第1ゲート用開口134とセンター飾り用開口131の左辺部における上下方向略中央の部位とに跨るように左右方向に延びる導電領域160Aと、第2ゲート用開口135とセンター飾り用開口131の右辺部における上下方向略中央の部位とに跨るように左右方向に延びる導電領域160Bと、センター飾り用開口131の下辺部における左側の部位と下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側に向く辺部における上側の部位とに跨るように延びる導電領域160Cと、センター飾り用開口131の下辺部における左側の部位と下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側に向く辺部における上下方向略中央の部位とに跨るように延びる導電領域160Dと、下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側に向く辺部における下側の部位と普通入賞球装置用開口133とに跨るように延びる導電領域160Eと、普通入賞球装置用開口133と一体ユニット用開口130の左辺部とに跨るように延びる導電領域160Fと、一体ユニット用開口130の上辺部とセンター飾り用開口131の下辺部とに跨るように延びる導電領域160Gと、が含まれている。なお、ここで説明した辺部とは、開口の輪郭を形成する部位を意味する。
一方で、導電領域161は、下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側の反対側に向く辺部における上側の部位と、センター飾り用開口131の左辺部における上側の部位とに跨る外側に突の略弧状を呈している。
また、透明板11の裏面の複数の導電領域160にはさらに、下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側に向く辺部の反対側の辺部における下側の部位と、透明板11の左下の角部に貫通して形成された貫通穴162に跨るように延びる導電領域160Hが含まれている。
なお、貫通穴162には、図示しないが、導電領域160Hと電気的に接続する導電部を有するとともに、端子を前側に向けて突出させる端子台が挿入される。この端子台は、ガラス扉枠4が閉じられた際にガラス扉枠4からパチンコ遊技機1の適所に延びる上記したアース線に接続されるようになっている。
図14は、図8のB−B線に沿う断面図であり、同図には、下部飾り用開口132のセンター飾り用開口131側に向く辺部における下側の部位と普通入賞球装置用開口133とに跨るように延びる導電領域160Eの一部と、普通入賞球装置用開口133と一体ユニット用開口130の左辺部とに跨るように延びる導電領域160Fとが示されている。
図14において、収納ケース121を含むフランジ部120および普通入賞球装置14の周縁(外壁部)に示されたハッチング付きの領域は、収納ケース121を含むフランジ部120および普通入賞球装置14の外壁部に設けられたメッキ部Pを示している。なお、同図では、説明便宜上、特別可変入賞球装置22、フランジ部120、その収納ケース121および普通入賞球装置14を断面で示していない。
収納ケース121およびフランジ部120のメッキ部Pは、これら両部材に連なって形成されている。
メッキ部Pは、フランジ部120および普通入賞球装置14の装飾のために設けられており、図から明らかなように、フランジ部120に連なった収納ケース121のメッキ部Pおよび普通入賞球装置14のメッキ部Pはそれぞれ導電領域160Fに接した状態となっている。これにより、収納ケース121を含むフランジ部120と普通入賞球装置14とが電気的に接続されている。
また、本実施形態では、フランジ部120に特別可変入賞球装置22のベース板111および普通可変入賞球装置15のベース板101が一体であるため、ベース板111,101にはメッキ部Pが形成され、ベース板111,101のメッキ部Pはフランジ部120のメッキ部Pと連なっている。
そして、特別可変入賞球装置22のみ示されるが、特別可変入賞球装置22の台部104の外壁部にもメッキ部Pが形成され、台部104のメッキ部Pは、そのベース板111に連なっており、特別可変入賞球装置22も普通入賞球装置14と導電領域160Fを介して電気的に接続した状態となっている。そして、普通可変入賞球装置15の台部104についても同様であり、普通入賞球装置14と導電領域160Fを介して電気的に接続した状態となっている。
なお、このようなメッキ部Pは、必ずしも収納ケース121を含むフランジ部120および普通入賞球装置14の外壁部全体に設けられる必要はなく、装飾と他の遊技部品との電気的接続が可能であれば、一部であってもよい。
そして、普通入賞球装置14のメッキ部Pは、導電領域160Eに接しており、図示はしないが、導電領域160Eは、下部飾り枠体35Dの外壁部に設けられたメッキ部に接し、これにより、普通入賞球装置14と下部飾り枠体35Dも電気的に接続されている。
そして、下部飾り枠体35Dは、その一部が挿入される下部飾り用開口132から貫通穴162に延びる導電領域160Hにもその外壁部のメッキ部を接した状態とすることで、貫通穴162に挿通される上記した端子台の端子に電気的に接続されるようになっている。
これにより、本実施形態では、フランジ部120、普通入賞球装置14、または下部飾り枠体35Dのメッキ部に仮に静電気が生じた場合には、メッキ部からアース線に電流が流れるようになっている。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、その他の遊技盤9における遊技部品に関しても、その外壁部に設けられたメッキ部が対応する導電領域に接する状態とされることで、最終的に導電領域160Hを介してアース線に電気的に接続されるようになっている。
すなわち、ゲート32、ゲート33、センター飾り枠体35の外壁部にも導電領域との通電のためのメッキ部が形成されている。そして、具体的には、例えば、ゲート33であれば、導電領域160B→センター飾り枠体35→導電領域160Cまたは導電領域160D→下部飾り枠体35Dの順で導電領域160Hに電気的に接続する。なお、このルートは一例であって他のルートで電流が流れる場合もあり得ることは、明らかである。
また、本実施形態では、センター飾り枠体35と下部飾り枠体35Dとが、導電領域160Cおよび導電領域160Dで接続されるように、遊技部品と他の遊技部品が複数の導電領域で接続されるものがある。この場合には、1つの通電ルートしかなく、このルートに過大な電流が流れて発熱等してしまうのを防止できる。
以上のようにして透明板11に複数設置された各種遊技部品が導電領域160,161によって最終的にアース線に電気的に接続されることで、本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技部品に仮に静電気が生じた(蓄積された)場合でも、メッキ部からアース線に電流を流すことができる。これにより、電子機器等の誤動作を防止できる。
なお、本実施形態では、導電領域160,161が開口間に跨って形成されるが、導電領域160,161を開口の内周縁部まで延ばして形成してもよく、この場合は、導電領域と遊技部品との当接状態の良好化が図れる。
また、本実施形態では、ガイドレールGもアース線に電気的に接続されている。詳しくは、ガイドレールGは、金属製の取付けピンを透明板11に形成された取付孔(図示略)に圧入することで、透明板11に取り付けられると説明したが、ガイドレールGは、上記の取付けピンが、導電領域161上に形成された取付孔に圧入されることで、導電領域161に電気的に接続するようになっている。
そして、ガイドレールGは、導電領域161を介してセンター飾り枠体35または下部飾り枠体35Dに電気的に接続することで、導電領域160Hを介してアース線に電気的に接続する。
ここで、遊技領域10の周辺領域(周縁部分)は比較的着目されず、目立ちにくい部分であるので、本実施形態では、導電領域161を、遊技領域10の周辺領域に対応する透明板11の表面に形成している。すなわち、本実施形態では、透明板11の表面の導電領域161による遊技盤9の視認性への影響を可及的に抑えて、遊技部品同士を電気的に接続している。
しかも、本実施形態では、ガイドレールGと導電領域161とはともに弧状を呈し、互いに沿うようにして正面視の大部分の範囲で重なっているので、導電領域161を一層目立たない状態として、導電領域161が遊技盤9に対する視認性を大きく妨げるのを一層抑制している。
また、本実施形態では、サブ演出表示装置38が透明板11の裏面側に配置され、導電領域160Gがサブ演出表示装置38の前側に位置するが、導電領域160Gは、サブ演出表示装置38の円形状の表示部のデザインに応じた領域として形成されている。
詳しくは、導電領域160Gは、サブ演出表示装置38の円形状の表示部が視認可能となるように当該表示部を避けて湾曲して形成されている。この構成は、遊技部品同士を最短距離で導電領域によって接続するのではなく、導電領域を、装飾部品のデザインに応じて例えば迂回させる形状等として、遊技部品同士を接続することで、導電領域を目立たなくなくして、導電領域の遊技盤の視認性への影響を好適に抑制できるものである。
さらに、本実施形態では、導電領域160Gが、キャラクタCの「吹き出し」のように形成されており、サブ演出表示装置38にキャラクタCに文字情報を表示した場合には、キャラクタCが、コメントを発したようにも見える。したがって、導電領域160Gは、電気的接続の機能とともに装飾機能も兼ねた形状といえる。
また、図14を参照し、本実施形態では、透明板11の表面に形成された装飾領域152のうち、普通入賞球装置14と特別可変入賞球装置22との間に位置するものが、導電領域160Fの表面側に形成されている。すなわち、導電領域160Fは、上記した装飾領域152の裏面側に形成されている。他にも、装飾領域152には、導電領域160C、160D,160Eの表面側に、形成されたものがある。さらに、導電領域160Gの表面側においては、正面視で導電領域160Gの周囲に近接して装飾領域152が形成されている。
こうした構成では、導電領域を装飾領域によって目立たなくすることができる。
以上に記載した本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技盤9が、開口である例えば一体ユニット用開口130が設けられ透光性を有する透明板11と、透明板11の前記開口に設置される遊技部品である例えば特別可変入賞球装置22およびフランジ部120と、を有している。そして、透明板11は、透明板11の板厚方向に異なる複数の表示位置のうち第1表示位置に設けられる第1表示部に対応する装飾領域151と、第1表示位置に対し遊技者側に近づく第2表示位置に設けられる第2表示部に対応する装飾領域150と、を有している。そして、遊技部品である特別可変入賞球装置22およびフランジ部120では、特別可変入賞球装置22が遊技部品本体に対応し、フランジ部120が、遊技部品本体の周縁に形成され、透明板11の開口に当該遊技部品を設置するときに透明板11の表面に重畳するフランジ部に対応する。
そして、フランジ部120には、第3表示部に対応するキャラクタCの頭部を表出する装飾が設けられ、特別可変入賞球装置22では、その被覆板部117に第4表示部に対応するキャラクタCの右手を表出する装飾が設けられる。そして、パチンコ遊技機1では、前記第1表示部、前記第2表示部、前記第3表示部、および前記第4表示部の表示内容により一の表示内容であるキャラクタCを表示する。
このようなパチンコ遊技機1では、透明板11の表面が形成する遊技盤9の遊技者側に向く盤面に対して立体感のある表示が好適になされ、遊技興趣を向上させることができる。また、このパチンコ遊技機1は、取り付けのためのフランジ部120を遊技者側に視認可能な位置まで張り出させて、装飾部品を兼ねる構成であるため、部品点数を抑えながら、好適な装飾に関する表示をできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、装飾部品としてのサブ演出表示装置38が透明板11の裏面側に配置されるものとしたが、装飾部品として透明板11の裏面に張り付けられるフィルムや、透明板11の裏面側に配置される可動式の役物又はキャラクタの形状のフィギュア等であってもよい。そして、この場合においては、導電領域160Gを、装飾部品を避けるように形成すればよい。
より具体的に説明すると、例えば人物のフィギュアを透明板の11の裏面側に配置して、遊技者が透明板11を透かしてフィギュアを視認できるようにし、その上で、フィギュアの輪郭に沿ってフィギュアを囲うように導電領域を形成したりして(つまり、装飾部品のデザインに応じた形状に形成)、導電領域の形成にかかわらず、フィギュアを視認できるようにしてもよい。
このようにすれば、例えば導電領域がフィギュアを囲う枠のように表示される等して、導電領域であることがわかり難くなるので、導電領域を目立たなくすることができる。
そして、この場合に、透明板11の裏面側のフィギュアを、透明板11の表面側に表示される実施形態で説明したキャラクタCのような装飾表示と関連のあるものとすれば、より立体感のある表示が可能となったりして、表示効果が一層向上される。
また、上記実施形態では、装飾領域150,151は、透明板11の表面または裏面に張り付けられるフィルムと説明したが、合成樹脂等で形成される部品等としてもよい。
また、上記実施形態では、遊技部品の導電部に対応するものとしてメッキ部を説明したが、導電部はメッキ部に限られるものではなく、例えば、遊技部品に設けられた端子でもよく、この場合は、端子と導電領域が接すように構成すればよい。
また、上記実施形態では、フランジ部120に特別可変入賞球装置22および普通入賞球装置14を一体化させたが、フランジ部120に一体化させる遊技部品は、このように複数でなくてもよい。
また、フランジ部120に一体化させる遊技部品は、上記実施形態で説明したような入賞球装置でなくてもよく、例えば、遊技球を誘導するレール部材や装飾の機能のみを有する装飾部品であっても構わない。
また、本実施形態では、遊技部品(例えば、フランジ部120の裏面の収納ケース121)における透明板11の開口に接する部位に形成されたメッキ部を、透明板11の裏面の導電領域に接する状態としたが、透明板11の開口に挿入された遊技部品の背面に取り付けられて、メッキ部に接するとともに、透明板11の開口の裏面の周縁部(外周部分)に当接して導電領域に接する背面側部材を設けることで、遊技部品と導電領域を電気的に接続させるようにしてもよい。この場合の遊技部品の取り付け方法としては、遊技部品を透明板11の開口に挿入した後に、上記した背面側部材を遊技部品に取り付けるようにする。