JP2014209080A - 磁気センサ及び測定器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水晶発振器の出力周波数の変動に基づいて外部の磁界強度を精度よく検出/測定することができる磁気センサ及び測定器を提供する。
【解決手段】 水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器で構成され、トランジスタQ1のベースを接地する直列接続のコンデンサC1,C2の間の点と、トランジスタQ1のエミッタとを接続する線上に、外部の磁界強度に応じてインダクタンスが変化するコイルL1を備え、トランジスタQ1のエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力する磁気センサであり、当該磁気センサと磁界強度測定部とを備えた測定器である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水晶発振器を利用した磁気センサ及び測定器に係り、特に外部の磁界強度を精度よく検出/測定することができる磁気センサ及び測定器に関する。
[先行技術の説明]
従来、磁気センサとしては、電圧を利用して磁界強度を検出するものがあった。
また、水晶発振器は、外部から磁界が印加されることにより、発振器筐体や内部部品が磁化され、発振回路のインダクタンスが磁界強度に応じて変化し、それに伴って出力周波数が変化する。
[関連技術]
尚、磁気センサに関する技術としては、特開平04−242183号公報「磁気センサ」(株式会社村田製作所、特許文献1)、特開2000−65908号公報「磁気センサ及び磁気検出システム」(日本ビクター株式会社、特許文献2)がある。
特許文献1には、強磁性体材料を振動体の一部とする圧電振動子を備え、当該圧電振動子の共振周波数、反共振周波数、共振抵抗、反共振抵抗等の特性を測定することによって、磁界の強さを測定する磁気センサが記載されている。
また、特許文献2には、外部磁場に対して極反転しない磁石と、磁石に加わる磁場強度を力学的な力として検出する圧電素子とを備え、出力周波数の変化に基づいて磁場検出感度の温度依存性を低減し、検出出力の直線性を向上させる磁気センサ及び磁気検出システムが記載されている。
特開平04−242183号公報 特開2000−65908号公報
しかしながら、従来の電圧で磁界強度を検出する磁気センサは、ノイズの影響を受けやすく、検出精度が高くないという問題点があった。
尚、特許文献1及び特許文献2には、水晶発振器内のインダクタンスの変化量に応じた出力周波数の変動に基づいて外部の磁界強度を検出することは記載されていない。
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、水晶発振器の出力周波数の変動に基づいて外部の磁界強度を精度よく検出/測定することができる磁気センサ及び測定器を提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、第1及び第2のコンデンサの間の点と、トランジスタのエミッタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第1のコイルが接続されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴としている。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、水晶振動子と負荷容量回路との間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第2のコイルが接続されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴としている。
また、本発明は、上記磁気センサにおいて、恒温槽付水晶発振器であることを特徴としている。
また、本発明は、上記磁気センサと、磁気センサから出力される周波数信号を入力して外部の磁界強度を示す値を出力する磁界強度測定部とを備えた測定器であって、磁界強度測定部は、磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、基準周波数からの偏差を求め、変換テーブルを参照して、偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有することを特徴としている。
また、本発明は、上記測定器において、磁気センサが、金属ケースによってシールドされない状態で磁界強度測定部に接続されていることを特徴としている。
また、本発明は、上記測定器において、偏差が、測定された周波数の値と基準周波数の値との差分、又は前記差分の前記基準周波数に対する割合であることを特徴としている。
また、本発明は、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、水晶振動子と負荷容量回路との間又は水晶振動子とトランジスタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する並列接続の複数のコイルと、複数のコイルのいずれかを水晶振動子に接続するスイッチとが設けられ、複数のコイルは、水平面内で互いに軸が異なる方向を向くよう配置されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴としている。
また、本発明は、上記磁気センサにおいて、水晶振動子、トランジスタ、負荷容量回路を搭載する基板が、突出部を備えた凸型基板であり、複数のコイルが、突出部に配置されていることを特徴としている。
また、本発明は、上記磁気センサにおいて、コイルは3個であり、軸が、それぞれ正面、右斜め方向、左斜め方向を向いていることを特徴としている。
また、本発明は、上記のいずれか記載の磁気センサと、磁気センサから出力される周波数信号を入力して、角度に応じた外部の磁界強度を示す方向別磁界強度の値を出力する磁界強度測定部とを備えた測定器であって、磁界強度測定部が、磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、前記基準周波数からの偏差を求め、変換テーブルを参照して、偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有し、制御部が、磁気センサにおけるスイッチの接続先のコイルを定期的に切り替える切替指示を出力し、接続されたコイルを用いた周波数信号によって磁界強度を測定し、複数の角度について、各コイルに基づく磁界強度の値を各々の角度に応じた重み付けで合成して、前記複数の角度における方向別磁界強度の値を算出して出力することを特徴としている。
また、本発明は、上記測定器において、記憶部が、角度に対応して、各コイルを用いた磁界強度に対する重み付けの係数を記憶する重み付けテーブルを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、第1及び第2のコンデンサの間の点と、トランジスタのエミッタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第1のコイルが接続されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力する磁気センサとしているので、磁界強度を精度よく反映した周波数信号を出力でき、外部の磁界強度を高精度に検出することができる効果がある。
また、本発明によれば、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、水晶振動子と負荷容量回路との間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第2のコイルが接続されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力する磁気センサとしているので、磁界強度を精度よく反映した周波数信号を出力でき、外部の磁界強度を高精度に検出することができる効果がある。
また、本発明によれば、恒温槽付水晶発振器である上記磁気センサとしているので、広い温度範囲において高精度に外部の磁界強度を検出することができる効果がある。
本発明によれば、上記磁気センサと、磁気センサから出力される周波数信号を入力して外部の磁界強度を示す値を出力する磁界強度測定部とを備え、磁界強度測定部は、磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、基準周波数からの偏差を求め、変換テーブルを参照して、偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有する測定器としているので、上記磁気センサからの外部の磁界強度を高精度に反映した出力信号に基づいて、外部の磁界強度を精度よく測定してその値を出力することができる効果がある。
また、本発明によれば、磁気センサが、金属ケースによってシールドされない状態で磁界強度測定部に接続されている上記測定器としているので、外部の磁界の影響を受け易くして、検出感度を向上させることができる効果がある。
また、本発明によれば、外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、水晶振動子と負荷容量回路との間又は水晶振動子とトランジスタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する並列接続の複数のコイルと、複数のコイルのいずれかを水晶振動子に接続するスイッチとが設けられ、複数のコイルは、水平面内で互いに軸が異なる方向を向くよう配置されており、トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力する磁気センサとしているので、方向別の磁界強度を精度よく反映した周波数信号を出力でき、方向別の磁界強度を高精度に検出することができる効果がある。
また、本発明によれば、水晶振動子、トランジスタ、負荷容量回路を搭載する基板が、突出部を備えた凸型基板であり、複数のコイルが、突出部に配置されている上記磁気センサとしているので、コイルを他の電子部品からできるだけ離して搭載して、他の電子部品による影響を低減し、磁界強度の検出精度を向上させることができる効果がある。
また、本発明によれば、上記のいずれか記載の磁気センサと、磁気センサから出力される周波数信号を入力して、角度に応じた外部の磁界強度を示す方向別磁界強度の値を出力する磁界強度測定部とを備え、磁界強度測定部が、磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、前記基準周波数からの偏差を求め、変換テーブルを参照して、偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有し、制御部が、磁気センサにおけるスイッチの接続先のコイルを定期的に切り替える切替指示を出力し、接続されたコイルを用いた周波数信号によって磁界強度を測定し、複数の角度について、各コイルに基づく磁界強度の値を各々の角度に応じた重み付けで合成して、前記複数の角度における方向別磁界強度の値を算出して出力する測定器としているので、オペレータは、複数の方向の方向別磁界強度を比較して、どの方向からの磁界が強いかを判断することができ、磁気の発生源を容易に特定することができる効果がある。
また、本発明によれば、記憶部が、角度に対応して、各コイルを用いた磁界強度に対する重み付けの係数を記憶する重み付けテーブルを備えた上記測定器としているので、方向別磁界強度を算出する処理を容易にすることができる効果がある。
本発明の実施の形態に係る磁気センサを備えた測定器の構成図である。 磁界強度測定部の構成ブロック図である。 別の磁気センサを用いた測定器の構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの概略構成図である。 第2の実施の形態に係る測定器の構成を示す回路図である。 重み付けテーブルの一例を示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る磁気センサは、水晶振動子と、水晶振動子の出力を増幅する発振用トランジスタと、水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、トランジスタのベースが、直列に接続された2つのコンデンサを介して接地され、当該2つのコンデンサの間の点が、コイルとコンデンサの直列接続回路を介して、トランジスタのエミッタに接続され、トランジスタのエミッタから出力周波数を得る水晶発振器であり、外部の磁界強度に応じてコイルのインダクタンスが変動し、それに伴って出力周波数が変化するため、磁界強度を精度よく反映した周波数信号を出力して、外部の磁界強度を高精度に検出することができるものである。
また、本発明の実施の形態に係る磁界強度測定器は、上記磁気センサと磁界強度測定部とを備え、磁界強度測定部は、基準周波数からの偏差とそれに対応する磁界強度の値とを複数記憶したテーブルを備え、磁気センサからの周波数信号が入力されると、A/D変換して周波数の値を測定し、予め記憶している基準周波数と比較して、偏差(基準周波数からのずれ)を検出し、テーブルを参照して、当該偏差に対応する磁界強度の値を出力するものであり、外部の磁界強度を高精度に検出することができるものである。
また、本発明の実施の形態に係る第2の磁気センサは、異なる方向を向いて配置された並列接続の複数のコイルと、それぞれのコイルを切り替えて水晶振動子に接続するスイッチとを備え、複数のコイルを順次切り替えて特定の方向の磁界強度を反映した周波数信号を出力し、方向毎の磁界強度を高精度に検出することができるものである。
また、本発明の実施の形態に係る第2の磁界強度測定器は、第2の磁気センサと磁界強度測定部とを備え、磁界強度測定部のスイッチ制御部が、第2の磁気センサのスイッチに対して切り替え指示を出力すると共に、磁界強度測定部の磁界強度演算回路に、接続されているコイルの情報を出力し、磁界強度演算回路が、外部から指定された角度に応じて、それぞれのコイルを用いた測定結果を重み付けして合成し、当該角度における方向別磁界強度を測定して出力するものであり、方向別磁界強度が最大となる方向から磁気の発生源を容易に特定することができるものである。
[第1の実施の形態に係る磁気センサの構成:図1]
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを備えた測定器の構成図である。
第1の実施の形態に係る磁気センサ(第1の磁気センサ)は、水晶発振器内部のインダクタンスが磁界強度に応じて変化し、それによって出力周波数が変動することを利用して、磁界強度に応じた周波数信号を出力するものである。
図1に示すように、第1の磁気センサ1は、水晶発振器であり、基本的な構成部分として、水晶振動子X1と、水晶振動子X1の発振周波数を増幅するトランジスタQ1と、水晶振動子X1の発振周波数を調整する負荷容量回路11とを備えている。
水晶振動子X1の一端は負荷容量回路11に接続され、他端は、トランジスタQ1のベースに接続されている。
トランジスタQ1のコレクタは、電源電圧に接続されている。
更に、電源電圧が、抵抗R1を介してトランジスタQ1のベースに印加され、ベースは抵抗R2を介して接地されている。
また、電源電圧と抵抗R1との間の点にコンデンサC4の一端が接続され、他端が接地されている。
トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R3を介して接地され、トランジスタQ1のベースは、直列接続のコンデンサC1とコンデンサC2を介して接地されている。
更に、コンデンサC1とコンデンサC2との間の点が、直列接続のコイルL1とコンデンサC3を介してトランジスタQ1のエミッタに接続されている。
そして、磁気センサ出力となる周波数信号が、トランジスタQ1のエミッタに接続する出力端子から出力される構成となっている。
ここで、第1の磁気センサ1の特徴として、外部の磁界強度の変動を精度よく検出するため、磁界強度に応じたインダクタンスの変動量が大きいコイルL1を設けており、出力周波数の変動を増大させて反映している。
更に、通常の水晶振動子は金属カバー等によりシールドされるが、第1の磁気センサは、外部磁気を感度よく検知するためにシールドされていない。
また、第1の磁気センサ1の出力は高周波信号であり、周波数の変動を検出しやすいため、電圧の変動を利用した従来の磁気センサに比べて精度よく外部の磁界強度の変動を検出することができるものとなっている。
[第1の磁気センサの動作]
次に、第1の磁気センサ1の動作について説明する。
第1の磁気センサ1は、外部の磁界(平常時の地磁気を除く)の影響を受けない状態で、所定の周波数信号を出力するよう予め設定、調整されている。この周波数を基準周波数とする。
そして、外部の磁界の影響を受ける環境下において、外部の磁界強度に応じて第1の磁気センサ1内部のインダクタンスが変化し、それに伴って磁気センサからの出力信号の周波数が基準周波数から変動する。
このようにして、第1の磁気センサ1は、外部の磁界強度を高精度に反映した周波数信号を出力するものである。
そして、磁気センサ出力信号の周波数について、基準周波数からの変動量を検出することにより、外部の磁界強度を測定できるものである。
また、本磁気センサを恒温槽付水晶発振器(OCXO;Oven Controlled Crystal Oscillator)として構成すれば、広い温度範囲において高精度に外部の磁界強度を検出することができるものである。
但し、磁気センサを構成する水晶発振器自体のエージングにより、長期的に見ると基準周波数の値は変化する。そのため、第1の磁気センサで測定を行う場合には、基準周波数の調整が必要になる。これについては後述する。
[第1の実施の形態に係る測定器の構成:図1]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る測定器(第1の測定器)について図1を用いて説明する。
第1の測定器は、上述した第1の磁気センサ1を利用して外部の磁界強度を測定するものであり、図1に示すように、第1の磁気センサ1と、磁界強度測定部2とを備えている。
磁界強度測定部2は、第1の磁気センサ1からの周波数信号を入力し、その周波数を検出して基準周波数と比較し、基準周波数からのずれの大きさ(「偏差」とする)に基づいて外部の磁界強度の値を出力する。
[磁界強度測定部:図2]
磁界強度測定部2の構成例について図2を用いて簡単に説明する。図2は、磁界強度測定部の構成ブロック図である。
磁界強度測定部2は、基本的に、A/D変換器21と、周波数測定部22と、記憶部23と、制御部24とを備えている。
A/D変換器21は、第1の磁気センサ1からの周波数信号をA/D(Analog/Digital)変換する。
周波数測定部22は、A/D変換された周波数信号の周波数の値を測定する。
記憶部23は、外部の磁界の影響を受けない場合の第1の磁気センサ1からの出力周波数(基準周波数)の値を記憶している。
また、記憶部23は、第1の磁気センサ1からの出力周波数の基準周波数からの偏差と、それに対応する外部の磁界強度との組み合わせの組を、複数記憶する変換テーブルを備えている。
制御部24は、周波数測定部で測定された周波数の値を、記憶部に記憶されている基準周波数の値と比較して偏差を求め、変換テーブルを参照して当該偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出し、出力する。
偏差は、例えば、磁気センサ出力の周波数(f)と基準周波数(f0)との差分(Δf=f-f0)の、基準周波数に対する割合(Δf/f0)とする(単位はppm等)。また、水晶振動子の特性等によっては、偏差を磁気センサ出力と基準周波数との差分(Δf)としてもよい。
制御部24及び記憶部23は、マイコン等で構成される。
[第1の測定器の動作]
第1の測定器の動作について説明する。
第1の測定器では、予め、第1の磁気センサ1の基準周波数の値及び変換テーブルが磁界強度測定部2の記憶部に記憶されている。
変換テーブルは、第1の磁気センサ1の出力周波数の基準周波数からの偏差に対応して、外部の磁界強度の値を記憶しているものであり、偏差と磁界強度の値の組を複数記憶している。尚、偏差と磁界強度との関係は、予め実験等によって求められる。
そして、第1の磁気センサ1の出力信号が磁界強度測定部2に入力されると、A/D変換器21でA/D変換され、周波数測定部22で周波数の値が測定され、制御部24で、当該周波数の値と記憶部23に記憶されている基準周波数の値とに基づいて、偏差が算出される。
そして、制御部24が、変換テーブルを参照して、当該偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する。
このようにして、第1の測定器では、第1の磁気センサ1から出力される、外部の磁界強度を精度よく反映した周波数信号に基づいて、外部の磁界強度を高精度に測定するものである。
[基準周波数の調整]
次に、第1の磁気センサ1の基準周波数の調整について説明する。
上述したように、第1の磁気センサ1では、水晶発振器のエージングにより、外部磁界の影響を受けない状態での出力周波数(基準周波数)が変化する。
そこで、第1の磁気センサ1を用いて磁気の測定を行う毎に、外部磁界の影響を受けない状態での磁気センサ1の出力周波数を、磁界強度測定部2の記憶部23に記憶されている基準周波数の値となるよう調整する。
第1の磁気センサ1からの出力周波数の調整は、負荷容量回路11を調整することで行われる。
具体的には、例えば、磁界強度測定部2の記憶部23に、基準周波数からの偏差に対応して負荷容量回路の調整量をテーブルとして記憶しておき、外部の磁界の影響を受けない状態において、制御部24が、第1の磁気センサ1からの出力信号の周波数と記憶部23に記憶された基準周波数とを比較して、偏差を求め、当該偏差に対応する調整量を出力する。
そして、ユーザは、出力された調整量に基づいて、第1の磁気センサ1の負荷容量回路11を調整する。これにより、第1の磁気センサ1からの出力周波数は、外部磁界の影響を受けない状態で、記憶部23に記憶された基準周波数と一致し、磁界の測定が可能となる。
また、別の方法として、記憶部23に記憶された基準周波数の値を測定時に書き替えるようにしてもよい。
この場合、例えば、磁界強度測定部2は、「基準周波数設定モード」と「測定モード」とを備え、スイッチ等で切り替え可能としておき、ユーザは、磁界の測定を行う前に、基準周波数設定モードに切り替える。
すると、磁界強度測定部2は、外部の磁界の影響を受けない状態で、第1の磁気センサ1からの出力周波数を測定し、制御部24は、この値を基準周波数として記憶部23に記憶する。これにより、外部磁界の影響を受けない状態での磁気センサ1からの出力を基準周波数とする。
そして、ユーザによって磁界測定モードに切り替えられると、磁界強度の測定を行う。
[第1の磁気センサの別の構成:図3]
次に、第1の実施の形態に係る磁気センサの別の構成例(別の磁気センサ)について図3を用いて説明する。図3は、別の磁気センサを用いた測定器の構成図である。
図3に示すように、別の磁気センサ1′は、基本的な構成は図1に示した第1の磁気センサ1と同様であり、水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器である。図1と同様の構成部分については同一の符号を付しており、説明は省略する。
そして、別の磁気センサ1′では、コイルの位置が図1の第1の磁気センサ1とは異なっている。
すなわち、別の磁気センサ1′では、図1の第1の磁気センサ1におけるコイルL1の代わりに、図3に示すように、水晶振動子X1と負荷容量回路11との間に、コイルL2が設けられている。
また、別の磁気センサ1′では、図1に示したコンデンサC3は設けられていない。
別の磁気センサ1′も、コイルL2によって外部磁界の影響で内部のインダクタンスが変動しやすくなり、外部磁界を高精度に反映した周波数信号を出力することができるものである。
また、図3に示すように、別の磁気センサ1′と磁界強度測定部2を組み合わせて測定器を構成することもでき、図1の測定器と同様に、外部の磁界強度を高精度に測定することができるものである。
[第1の実施の形態の効果]
本発明の第1の実施の形態に係る第1の磁気センサによれば、水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器で構成され、トランジスタQ1のベースを接地する直列接続のコンデンサC1,C2の間の点と、トランジスタQ1のエミッタとを接続する線上に、外部の磁界強度に応じてインダクタンスが変化するコイルL1を備えた磁気センサとしているので、外部の磁界強度に応じたインダクタンスの変動に伴って出力信号の周波数が変化して、磁界強度を精度よく検出することができ、更に、出力が高周波信号であるため、基準周波数からのずれを検出しやすく、電圧で検出するのに比べて外部の磁界強度を高精度に検出できる効果がある。
また、本発明の第1の実施の形態に係る別の磁気センサによれば、水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器で構成され、水晶振動子X1と負荷容量回路11との間に、外部の磁界強度に応じてインダクタンスが変化するコイルL2を備えた磁気センサとしているので、外部の磁界強度に応じたインダクタンスの変動に伴って出力信号の周波数が変化して、磁界強度を精度よく検出することができ、更に、出力が周波数信号であるため、電圧で検出するのに比べて高精度に検出できる効果がある。
更に、第1の磁気センサ及び別の磁気センサは、金属カバーによってシールドされていないため、外部の磁界の影響を受け易くして検出感度を向上させることができる効果がある。
また、本発明の第1の実施の形態に係る測定器によれば、第1の磁気センサ1と磁界強度測定部2とを備え、磁界強度測定部2が、記憶部23に第1の磁気センサ1が外部の磁界の影響を受けない状態で出力する基準周波数の値と、基準周波数からの偏差に対応する磁界強度の値とを対応付けた変換テーブルとを記憶しておき、第1の磁気センサ1から周波数信号が入力されると、A/D変換器21でA/D変換して、周波数測定部22で周波数の値を測定し、制御部24が、当該周波数の値と記憶された基準周波数の値とに基づいて偏差を算出し、変換テーブルを参照して、当該偏差に対応する磁界強度の値を読み出して出力する測定器としているので、第1の磁気センサ1からの出力信号に基づいて、外部の磁界強度を精度よく測定してその値を出力することができる効果がある。
更に、磁気センサを恒温槽付水晶発振器で構成することにより、広い温度範囲において高精度に外部の磁界強度を検出することができ、更にまた、磁界強度測定部と組み合わせることで、広い温度範囲で高精度に外部の磁界強度を測定できる効果がある。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサ(第2の磁気センサ)及び測定器(第2の測定器)について説明する。
上述した第1の磁気センサにおいては、主としてインダクタ(コイル)によって磁気を検出しているが、基板内のコイルの配置について特別な考慮は為されておらず、発振回路や他の部品の影響を受けることも考えられる。
そこで、第2の磁気センサでは、他の部品からできるだけ離れた位置にコイルを配置し、センサとしての感度を向上させるようにしている。
更に、第2の磁気センサは、複数のコイルを異なる方向に向けて配置して、方向別の磁界強度を検出できるようにするものである。
これにより、第2の磁気センサを用いた第2の測定器では、オペレータが指定した複数方向の磁界強度の測定を可能として、どの方向からの磁界が強いのかを把握できるようにし、磁気発生源の特定を容易に行うことができるようにするものである。
[第2の実施の形態に係る磁気センサの概略構成:図4]
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの概略構成について図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの概略構成図である。
図4に示すように、第2の磁気センサは、基板の一部が凸型に突出した形状のハイブリッドIC(Hybrid Integrated Circuit)基板である凸型基板31と、磁気を検出する複数のコイル32a,32b,32cと、樹脂製カバー33とを備えている。
第2の磁気センサの特徴として、コイル32a,32b,32cは、凸型基板31の突出した部分(突出部)に搭載されており、更に、コイル32a,32b,32cは、コイルの軸が水平面内でそれぞれ異なる方向を向くように搭載されている。
図4の例では、突出部の突出方向を正面として、コイル32aは右斜め45度、コイル32bは正面、コイル32cは左斜め45度を向くよう配置されている。
また、図示は省略するが、凸型基板31の突出部を除く領域には、負荷容量回路や発振回路を構成する電子部品が搭載されている。
このように、第2の磁気センサでは、磁気を検出するための主検知部品であるコイル32を、他の部品からできるだけ遠ざけて離れたところに搭載しているので、他の部品の影響を受けにくくして、高精度に磁気の検出を行うことができるようにしている。
更に、金属製のカバーではなく、樹脂製カバー33を備えることにより、磁気のシールド効果を小さく抑えて、磁気の検出を妨げないようにしている。
第2の磁気センサの特徴部分について説明する。
第2の磁気センサのコイル32a,32b,32cは、いずれも、コイルの軸が向いている方向を中心として磁界を検出する(磁界の影響を受ける)指向性を備えたものであり、外部からの切り替え指示に従って、発振器に接続されるコイル32を順次切り替えて周波数信号を出力する。
これにより、第2の磁気センサは、3種類の方向からの磁界の影響を受けた周波数信号を順次出力することができるものである。
尚、コイルの数は3個に限らず、用途や仕様に応じて適宜設定される。
[第2の実施の形態に係る磁気センサ及び測定器の構成:図5]
次に、第2の磁気センサ及び第2の測定器の構成について図5を用いて説明する。図5は、第2の実施の形態に係る測定器の構成を示す回路図である。
第2の測定器は、第2の磁気センサ30と、増幅/出力回路34と、周波数カウンタ35と、磁界強度演算回路36と、スイッチ制御回路37とを備えている。
これらの内、増幅/出力回路34、周波数カウンタ35、磁界強度演算回路36、スイッチ制御回路37を含む構成部分を、図1に示した第1の測定器と同様に、磁界強度測定部と称するものとする。磁界強度測定部には、オペレータが指示を入力する入力部や、測定結果を表示する表示部が設けられているが図示は省略する。
更に、第2の測定器では、磁界強度演算回路36がメモリ(記憶部)を備え、図2と同様の基準周波数及び変換テーブルを記憶している。
[第2の磁気センサ30の回路構成:図5]
第2の磁気センサ30の回路構成について具体的に説明する。
第2の磁気センサ30は、図3に示した別の磁気センサ1′を基にして、一部変更した構成となっている。
図5に示すように、第2の磁気センサ30は、図3に示した別の磁気センサ1′と同様に、水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器である。図3と同様の構成部分については同一の符号を付しており、説明は省略する。
そして、第2の磁気センサ30は、図3に示した別の磁気センサ1′におけるコイルL2の代わりに、並列接続のコイルL3,L4,L5を備えている。
尚、図5では、並列接続のコイルL3,L4,L5は、水晶振動子X1とトランジスタQ1のベースとの間に設けられているが、図3のコイルL2と同様に、水晶振動子X1と負荷容量回路11との間に設けてもよい。
更に、トランジスタQ1と水晶振動子X1との間に接続されるコイルを、コイルL3,L4,L5のいずれかに切り替えて接続するスイッチSW1が設けられている。
スイッチSW1は、後述するスイッチ制御回路37からのスイッチ切替指示によって切り替えられる。
コイルL3,L4,L5は、いずれも外部の磁界強度に応じたインダクタンスの変動量が大きいものであり、磁界の変動に応じて磁気センサ30の出力周波数を変動させて、磁界強度の変動を精度よく検出するものである。コイルL3,L4,L5は同等の特性を備えたものとする。
そして、図4を用いて説明したように、凸型基板31の突出部に配置されたコイルL3,L4,L5は、それぞれ軸が異なる方向を向いており、例えば、コイルL3(32a)は右45度、コイルL4(32b)は正面(90度)、コイルL5(32c)は左45度を向くように配置されており、軸が向いている方向からの磁界を感度よく検出するものとなっている。また、これらのコイルは、凸型基板31の凸部に他の電子部品から離れて設置されており、検出精度を向上させるものである。
そして、第2の磁気センサ30は、コイルL3,L4,L5を切り替えながら、トランジスタQ1のエミッタに設けられた出力端子から、3方向の周囲の磁界強度に応じた周波数信号f3,f4,f5を出力する。
また、図5では、図3に示した別の磁気センサ1′を基にした構成を示したが、図1に示した第1の磁気センサ1を基にして、コイルL1の代わりに並列接続のコイルL3,L4,L5及び接続するコイルを切り替えるスイッチSW1を設けて、第2の磁気センサを構成してもよい。
[磁界強度測定部:図5]
次に、第2の測定器における磁界強度測定部の各部(第2の磁気センサ30以外の部分)について説明する。
増幅/出力回路34は、第2の磁気センサ30から出力された周波数信号を増幅し、A/D変換する。
周波数カウンタ35は、増幅/出力回路34でA/D変換された周波数信号の周波数を測定する。
磁界強度演算回路36は、図2に示した第1の測定器の制御部24と同様に、周波数偏差に応じた磁界強度を求める処理を行う。
上述したように、磁界強度演算回路36は、図2と同様の基準周波数及び変換テーブルを記憶しており、周波数カウンタ36で測定された周波数の値と、基準周波数の値とを比較して偏差を求め、変換テーブルからその偏差に対応する磁界強度を読み取って磁界強度データとする。
第2の測定器の特徴として、コイルL3を用いた周波数信号f3に基づく磁界強度データを磁界強度成分(L3)とし、コイルL4を用いた周波数信号f4に基づく磁界強度データを磁界強度成分(L4)とし、コイルL5を用いた周波数信号f5に基づく磁界強度データを磁界強度成分(L5)とする。
磁界強度演算回路36は、オペレータから指定された複数の任意の方向における磁界強度(方向別磁界強度)を算出して出力するものであり、複数のコイルを用いた磁界強度成分を適切な重み付けて合成することにより、各方向別磁界強度を算出する。
そのため、磁界強度演算回路36は、種々の方向と、各コイルによる磁界強度成分の重み付け係数とを対応付けて記憶する重み付けテーブルを備えている。
そして、磁界強度演算回路36は、磁界強度成分(L3)、磁界強度成分(L4)、磁界強度成分(L5)に対して、指定された方向に対応する重み付けを行って合成し、指定された方向における方向別磁界強度を算出する。重み付けテーブル及び方向別磁界強度の算出方法については後述する。
スイッチ制御回路37は、方向別磁界強度の測定が開始されると、定期的に第2の磁気センサ30のスイッチSW1にスイッチ切替指示を出力し、並列接続のコイルL3,L4,L5を順次切り替えてトランジスタQ1に接続させる。
更に、スイッチ制御回路37は、磁界強度演算回路36に対してどのコイルが選択されているかを示すスイッチ切替情報を出力する。
[重み付けテーブル:図6]
ここで、磁界強度演算回路36の記憶部に記憶されている重み付けテーブルについて図6を用いて説明する。図6は、重み付けテーブルの一例を示す説明図である。
図6に示すように、重み付けテーブルは、複数の方向に対応して、各コイルL3,L4,L5を用いて測定された磁界強度成分に乗算する重み付け係数(「係数」とする)の組を記憶しているものである。図6の例では、正面を90度として、30度(右側)から150度(左側)までの5種類の角度(30度、60度、90度、120度、150度)について係数を記憶している。
重み付けテーブルでは、コイルの配置に応じて、各係数の値が設定されているものである。
係数の設定について簡単に説明する。
例えば、方向別磁界強度を求める角度が30度であれば、右45度方向を向いているコイルL3の感度が大きく、L4,L5での感度は順次小さくなっていくため、L3,L4,L5の係数a31,a41,a51は、a31>a41>a51となるよう設定される。
また、90度の場合には、コイルL4の感度が最も大きく、コイルL3とL5の寄与は同等であるため、係数は、a42>a32=a52となるよう設定されている。
そして、磁界強度演算回路36では、コイルL3,L4,L5による磁界強度成分を、指定された角度に対応する重み付けに従って重み付けして合成し、当該角度での方向別磁界強度を得るものである。
[方向別磁界強度の算出]
次に、第2の測定器を用いた方向別磁界強度の算出の動作について説明する。
第2の測定器は、オペレータから入力された種々の角度について、当該角度からの方向別磁界強度を算出して、指定された全ての角度の方向別磁界強度を一覧表示出力する。
方向別磁界強度の測定が開始され、オペレータから複数の角度が指定されると、磁界強度演算回路37は、指定された複数の角度を保持しておく。
スイッチ制御回路36は、第2の磁気センサ30のスイッチSW1に対して、定期的にスイッチ切替指示を出力して、コイルL3,L4,L5を順次切り替える。また、スイッチ制御回路37は、スイッチ切替指示に連動して、磁界強度演算回路36にスイッチ切替情報として、どのコイルが選択されているかを報知する。
第2の磁気センサ30は、スイッチによって接続されたコイルL3,L4,L5のいずれかを備えた発振器として動作し、磁界強度に応じた周波数信号f3,f4,f5を出力する。
そして、磁界強度演算回路36は、スイッチ切替情報に基づいて、コイルL3,L4,L5を用いた磁界強度成分をそれぞれ測定して、記憶しておく。
磁界強度の測定方法は、第1の測定器と同様であり、第2の磁気センサ30から出力された周波数信号の周波数の値と、基準周波数の値とを比較して偏差を算出し、変換テーブルに基づいて磁界強度を求め、磁界強度成分とする。
そして、磁界強度演算回路36は、保持している角度の内、最初の角度に対応する重み付け係数を重み付けテーブルから読み出し、コイルL3,L4,L5を用いて測定された3種類の磁界強度成分(磁界強度成分(L3)、磁界強度成分(L4)、磁界強度成分(L5))にそれぞれ乗算する。
そして、重み付けされた3つの値を加算し、最初の角度における方向別磁界強度として記憶する。
次に、磁界強度演算回路36は、保持している次の角度に対応する重み付け係数を読み出して、磁界強度成分(L3)、磁界強度成分(L4)、磁界強度成分(L5)に重み付けを行い、重み付けされた3つの成分を加算して、次の角度における方向別磁界強度を求め、記憶する。
以下同様にして、次回強度演算回路36は、オペレータから指定された複数の角度の全てについて方向別磁界強度を算出して記憶すると、記憶されている複数の角度に対応する方向別磁界強度を読み出して、方向(角度)と共に表示出力する。
このようにして、複数の角度について方向別磁界強度を測定することにより、オペレータは、どの方向からの磁界が強いのか認識することができ、磁気発生源の特定を容易にすることができるものである。
磁界強度演算回路36及びスイッチ制御回路37を、記憶部及び処理部を備えたマイコン等で構成してもよく、請求項では、磁界強度演算回路36及びスイッチ制御回路37の機能を備えた構成を制御部として記載している。
更に、ここでは、方向別磁界強度を算出する角度をオペレータが入力するようにしているが、予め一般的な角度を磁界強度演算回路36に記憶しておき、それらの角度について方向別磁界強度を求めるようにしてもよい。
[第2の実施の形態の効果]
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサによれば、水晶振動子X1、トランジスタQ1、負荷容量回路11を備えた水晶発振器で構成され、水晶振動子X1とトランジスタQ1との間又は水晶振動子X1と負荷容量回路11との間に、外部の磁界強度に応じてインダクタンスが変化するコイルL3,L4,L5を水平面内でそれぞれ軸が異なる方向を向くよう配置し、並列接続のコイルL3,L4,L5の内いずれかのコイルを水晶振動子X1に接続するスイッチSW1を備えた磁気センサとしているので、スイッチSW1を切り替えてコイルL3,L4,L5を用いて3方向の外部の磁界強度に応じた周波数信号を出力することができ、方向に応じた磁界強度成分を精度よく検出することができる効果がある。
また、第2の磁気センサによれば、コイルL3,L4,L5を、凸型基板31の凸部に搭載しているので、他の電子部品からの影響をできるだけ小さくすることができ、検出精度を向上させることができる効果がある。
また、本発明の第2の実施の形態に係る測定器によれば、第2の磁気センサ30と磁界強度測定部とを備え、磁界強度測定部のスイッチ制御回路37が、第2の磁気センサ30のスイッチSW1をコイルL3,L4,L5に順次切り替えるスイッチ切替指示を出力すると共に、磁界強度測定部の磁界強度演算回路36に接続されているコイルを示すスイッチ切替情報を出力し、磁界強度演算回路36は、外部から複数の角度が指定されると、一旦それらの角度を記憶しておき、各コイルL3,L4,L5を用いた磁界強度の測定結果(磁界強度成分)に対して、それぞれの角度に対応する重み付けで磁界強度成分を合成して、各角度における方向別磁界強度を算出して出力する測定器としているので、第2の磁気センサ30からの出力信号に基づいて、複数の方向について方向別磁界強度を精度よく測定して出力することができ、オペレータは、磁界強度が最大となる方向に基づいて磁力の発生源を容易に特定することができる効果がある。
また、第2の測定器によれば、磁界強度演算回路36が、複数の角度に応じた各コイルによる磁界強度成分に対する重み付けの係数を、重み付けテーブルとして予め記憶しているので、角度(方向)毎の方向別磁界強度を算出する処理を簡易に行うことができる効果がある。
本発明は、外部の磁界強度を精度よく検出/測定することができる磁気センサ及び測定器に適している。
1,1′,30...磁気センサ、 2...磁界強度測定部、 11...負荷容量回路、 21...A/D変換器、 22...周波数測定部、 23...記憶部、 24...制御部、 31...凸型基板、 33...樹脂製カバー、 34...増幅/出力回路、 35...周波数カウンタ、 36...磁界強度演算回路、 37...スイッチ制御回路、 X1...水晶振動子、 Q1...トランジスタ、 R1〜R3...抵抗、 C1〜C4...コンデンサ、 32、L1,L2,L3,L4,L5...コイル、 SW1...スイッチ

Claims (11)

  1. 外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、
    水晶振動子と、前記水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、前記水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、
    前記トランジスタのベースが、前記水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、
    前記第1及び第2のコンデンサの間の点と、前記トランジスタのエミッタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第1のコイルが接続されており、
    前記トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴とする磁気センサ。
  2. 外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、
    水晶振動子と、前記水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、前記水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、
    前記トランジスタのベースが、前記水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、
    前記水晶振動子と前記負荷容量回路との間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する第2のコイルが接続されており、
    前記トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴とする磁気センサ。
  3. 恒温槽付水晶発振器であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気センサ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の磁気センサと、前記磁気センサから出力される周波数信号を入力して外部の磁界強度を示す値を出力する磁界強度測定部とを備え、
    前記磁界強度測定部が、前記磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、前記基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、
    入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、
    前記測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、前記基準周波数からの偏差を求め、前記変換テーブルを参照して、前記偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有することを特徴とすることを特徴とする測定器。
  5. 磁気センサが、金属ケースによってシールドされない状態で磁界強度測定部に接続されていることを特徴とする請求項4記載の測定器。
  6. 偏差が、測定された周波数の値と基準周波数の値との差分、又は前記差分の前記基準周波数に対する割合であることを特徴とする請求項4又は5記載の測定器。
  7. 外部の磁界強度を検出する磁気センサであって、
    水晶振動子と、前記水晶振動子の出力を増幅するトランジスタと、前記水晶振動子の発振周波数を調整する負荷容量回路とを備え、
    前記トランジスタのベースが、前記水晶振動子に接続されると共に、直列接続の第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを介して接地され、
    前記水晶振動子と前記負荷容量回路との間又は前記水晶振動子と前記トランジスタとの間に、外部の磁界強度に応じてインダクタが変化する並列接続の複数のコイルと、前記複数のコイルのいずれかを前記水晶振動子に接続するスイッチとが設けられ、
    前記複数のコイルは、水平面内で互いに軸が異なる方向を向くよう配置されており、
    前記トランジスタのエミッタに接続された出力端子から、外部の磁界強度に応じて変動する周波数信号を出力することを特徴とする磁気センサ。
  8. 水晶振動子、トランジスタ、負荷容量回路を搭載する基板が、突出部を備えた凸型基板であり、
    複数のコイルが、前記突出部に配置されていることを特徴とする請求項7記載の磁気センサ。
  9. コイルは3個であり、軸が、それぞれ正面、右斜め方向、左斜め方向を向いていることを特徴とする請求項7又は8記載の磁気センサ。
  10. 請求項7乃至9のいずれか記載の磁気センサと、前記磁気センサから出力される周波数信号を入力して、角度に応じた外部の磁界強度を示す方向別磁界強度の値を出力する磁界強度測定部とを備え、
    前記磁界強度測定部が、前記磁気センサが外部の磁界の影響を受けない状態で出力する周波数信号の周波数を基準周波数の値として記憶すると共に、前記基準周波数からの偏差とそれに対応する外部の磁界強度の組を複数記憶する変換テーブルを備えた記憶部と、
    入力された信号の周波数を測定する周波数測定部と、
    前記測定された周波数の値と前記基準周波数の値とを比較して、前記基準周波数からの偏差を求め、前記変換テーブルを参照して、前記偏差に対応する外部の磁界強度の値を読み出して出力する制御部とを有し、
    前記制御部が、前記磁気センサにおけるスイッチの接続先のコイルを定期的に切り替える切替指示を出力し、接続されたコイルを用いた周波数信号によって磁界強度を測定し、複数の角度について、各コイルに基づく磁界強度の値を各々の角度に応じた重み付けで合成して、前記複数の角度における方向別磁界強度の値を算出して出力することを特徴とする測定器。
  11. 記憶部が、角度に対応して、各コイルを用いた磁界強度に対する重み付けの係数を記憶する重み付けテーブルを備えたことを特徴とする請求項10記載の測定器。
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