JP2014208034A - 基板ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】封印シール及びこれを破断するための保護カバー部材の両方を破壊しなければ開放できないようにした基板ケースを提供する。【解決手段】ケース封印部100は、主基板ケースを閉止状態にするために、ケース本体部材に対してケース蓋部材をケース閉止方向に相対移動させて本体側封印部110と蓋側封印部140とを近接対向させたときに、本体側封印部110に仮止めされていた保護カバー部材130が蓋側封印部140に係合連結し、主基板ケースを閉止状態から開放するために、ケース本体部材に対してケース蓋部材をケース開放方向に相対移動させて本体側封印部110と蓋側封印部140とを離間させるときに、保護カバー部材130が蓋側封印部140との係合状態を維持しながら封印シールに当接してこれを破断するとともに、保護カバー部材130自体も蓋側封印部110に接触して破壊される。【選択図】図17

Description

本発明は、基板ケースに関する。
パチンコ機やスロットマシン等の遊技機では、この遊技機の作動を制御する制御基板が
設けられている。例えば、パチンコ機では、外枠に対して開閉可能に組み付けられた前枠
裏側の収容枠に遊技盤等が装備され、この遊技盤の裏面側に制御基板が取り付けられてい
る。スロットマシンにおいても同様に、フロントマスクの裏面側やキャビネットの内側に
制御基板が取り付けられている。これらの制御基板は、賞球もしくはメダルの払出制御、
電動役物の開閉制御、リールの回転制御、図柄組み合わせの発生確率制御等、パチンコ機
もしくはスロットマシンの作動を制御する基板であり、遊技機の制御ソフトウェアが記録
されたROMが搭載され、この遊技機の作動を制御する中枢制御装置としての役割を有し
ている(例えば、特許文献1を参照)。
このような中枢制御装置としての役割を担う制御基板は偽造ROMへの差し替え等の不
正改造対策として、ともに透明な樹脂材料を用いて形成されたケース本体部材とその前方
に開閉可能に装着されるケース蓋部材とからなる基板ケース内に収容され、ケース本体部
材に対してケース蓋部材を閉止状態で装着したときに、ケース本体部材の側に形成した係
合部とケース蓋部材の側に形成した係合部とが係合連結して基板ケースを閉止状態にロッ
クし、ケース蓋部材(もしくはケース本体部材)とその係合部との間を繋ぐ連結部をニッ
パ等の工具を用いて切り離さない限り基板ケースを開放不能にする不正開放防止機構(所
謂、カシメ構造)が設けられている(例えば、特許文献2を参照)。
また、遊技機の固有情報や、制御基板の識別情報等を記憶させた無線読み取り可能なI
Cタグを有した封印シールをケース本体部材およびケース蓋部材の境界を跨ぐように貼着
してこれを外方からカバー部材で包囲し、基板ケースを内部において封印することも知ら
れている(例えば、特許文献3を参照)。このように封印シールを用いると、制御基板を
基板ケース内に入れてカシメ構造により閉止保持するだけでなく、基板ケースを開放する
ために封印シールを剥がそうとすると当該封印シールが破壊され、目視によりその破断箇
所の確認が出来るとともに、リーダ等によって情報を読み取ることが出来なくなるので、
基板ケースに対する不正なアクセスがあった場合の痕跡を残すことができ、より確実な不
正開放対策が可能となる。
このように封印シールは、不正開放対策及び種々の情報の記憶・読み取り機能という便
利な機能を有するのであるが、これが巧妙化した手口により不正に剥がされて(例えば、
剥離剤を用いて剥がされて)再使用されると基板ケースそのものを交換するような不正改
造を却って発見しにくくなる。そのため、ケース境界部に貼着された封印シールを外方か
ら包囲するカバー部材にシール破断機構としての機能を持たせ、基板ケースを開放する際
に、カバー部材を外した時点でICタグ封印シールが復旧不能な程度に破断される構成が
提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
特開2009−183788号公報 特開2004−65280号公報 特開2009−261640号公報 特開2010−178903号公報
ところで、基板ケースが不正開放された場合に、例えば、前述した基板ケースのカシメ
構造が破壊され、ケース本体部材及びケース蓋部材に破壊された痕跡が残存して再使用で
きない状態となっても、シール破断用のカバー部材が無傷の状態で再使用可能であると、
封印シールさえ真正品と外観上そっくりにコピーした偽造品にすり替えてしまえば、この
カバー部材と、同一機種の他の基板ケースから取り出した無傷の状態のケース本体部材及
びケース蓋部材とを組み合わせることで、新たな基板ケースを作り上げる、いわゆる2個
1(ニコイチ)と称されるような不正な組立行為によって、外観上は開封前と略同様の状
態に復元されてしまう。これにより、不正に改造された制御基板を基板ケースごと取り替
えたとしても、偽造された封印シールに対してリーダ等による情報の読み取り検査等が行
われない限りにおいては、目視では不正行為の有無を判別できず、不正行為の発見が遅延
するという課題があった。そのため、基板ケースを開放するときに、封印シール及びカバ
ー部材を再使用不能な程度に破壊するような構成、すなわち、封印シール及びこれを破断
するためのカバー部材の両者を破壊しなければ基板ケースを開放することができないよう
な構造が望まれる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、封印シール及びこれを破断す
るための保護カバー部材の両方を破壊しなければ開放できないようにした基板ケースを提
供することを目的とする。
このような目的達成のために、本発明に係る基板ケースは、第1ケース部材及び前記第
1ケース部材に対して開閉可能に装着される第2ケース部材を備えて構成され、閉止状態
で形成されるケース内部に制御基板を収容する基板ケースにおいて、前記第1ケース部材
及び前記第2ケース部材のいずれか一方のケース部材に形成された封印シール貼着部に貼
着される封印シールと、前記一方のケース部材にスライド動作により取り外し可能に配設
される保護カバー部材とを備え、前記封印シール貼着部は、台座部と、少なくとも前記台
座部の上面領域を含んで形成され前記封印シールを貼着するためのシール貼着面と、前記
台座部に凹設され前記封印シールを前記上面側に跨らせてなるスリットと、前記スリット
の一方の端縁側に凹設された退避部と、ガイド溝とを有し、前記保護カバー部材は、突出
形成されて前記ガイド溝に受容されるガイド壁と、突出形成されたシール破断部と、前記
スライド方向から見て前記台座部と重なるリブとを有し、前記シール破断部は、前記保護
カバー部材が前記一方のケース部材に取り付けられた際に、前記退避部に受容される破断
突起であることを特徴とする。
また、遊技機は、上記構成の基板ケースと、この基板ケースを着脱自在に保持する遊技
機本体とを備えて構成される。
本発明によれば、封印シール及びこれを破断するための保護カバー部材の両方を破壊し
なければ基板ケースを開放できない構造となるので、不正行為の予防および早期発見に寄
与することが可能である。
本発明に係る基板ケースを備えるパチンコ機の正面図である。 上記パチンコ機の背面図である。 上記パチンコ機に備えられる主制御基板ユニットを示す斜視図である。 上記主制御基板ユニットを示す分解斜視図である。 上記主制御基板ユニットの主基板ケースにおいて、ケース本体部材に対するケース蓋部材の取り付け状態を説明するための模式図である。 上記主基板ケースに設けられる不正開放防止機構を示す斜視図である。 不正開放防止機構におけるロック部材を示す斜視図である。 第1実施形態のケース封印部を取り出して示す分解斜視図である。 上記ケース封印部の本体側封印部及びこれに貼着される封印シールを示す斜視図である。 封印シールを示す正面図である。 ケース封印部の保護カバー部材を示す斜視図である。 ケース封印部の蓋側封印部を示す斜視図である。 保護カバー部材を本体側封印部に取り付ける前の状態を示す斜視図である。 本体側封印部に対して蓋側封印部をスライド移動させている状態を示す斜視図である。 図14における矢印XIV−XIVに沿って示す断面図である。 ケース封印部において封印シールを破断する過程を示し、(A)は閉止状態のケース封印部を示す断面図、(B)は閉止状態から開放状態となる過程のケース封印部を示す断面図である。 ケース封印部においてリブを破断する過程を示し、(A)は閉止状態のケース封印部の断面図、(B)は閉止状態から開放状態となる過程のケース封印部を示す断面図である。 上記ケース封印部の変形例を示す断面図である。 第2実施形態のケース封印部を取り出して示す分解斜視図である。 第2実施形態のケース封印部の本体側封印部及びこれに貼着される封印シールを示す斜視図である。 第2実施形態のケース封印部の保護カバー部材を示す斜視図である。 第2実施形態のケース封印部の蓋側封印部を示す斜視図である。 第2実施形態の保護カバー部材を本体側封印部に取り付ける前の状態を示す斜視図である。 第2実施形態の本体側封印部に対して蓋側封印部をスライド移動させている状態を示す斜視図である。 第2実施形態のケース封印部において封印シール及び破断突起が破断される過程を示し、(A)は閉止状態のケース封印部の断面図、(B)は閉止状態から開放状態となる過程のケース封印部の断面図である。 第2実施形態のケース封印部の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る基板
ケースが適用される遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図および背面図を図1お
よび図2に示しており、先ずこの図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説
明する。
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保
持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠を
なす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き
開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施
錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユ
ニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉お
よび着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態
に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル
8が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤10を着脱
可能に収容する方形枠状の収容枠(図示しない)が設けられており、この収容枠に所定の
ゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持される
ガラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
図1では詳細な図示を省略しているが、遊技盤10は、ルータ加工等を施した矩形状の
積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板を基板とし、上
下のレール飾りに囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには、多
数本の遊技釘、風車、中央飾り、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される画像表
示装置、各種入賞具などの遊技構成部品が設けられ、遊技領域PAの下端部には入賞具に
落入することなく落下した遊技球を裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤10を前後
に貫通して形成されている。
前枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形
枠状に形成された裏セット盤20が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤20は、
遊技盤10の背後に位置する上部領域に、遊技盤10の裏面側に突出する画像表示装置や
主制御基板32(主制御基板ユニット40)、演出制御基板(演出制御基板ユニット)3
3等を挿通させるために前後連通して開口する大型の窓口開口20aを有する枠状に形成
されており、この窓口開口20aの上方に、遊技球を貯留する球貯留タンク21、及び球
貯留タンク21と繋がって緩く傾斜するタンクレール22が設けられ、背面視における窓
口開口20aの右側に、タンクレール22により前後各一列の整列状態で導かれた遊技球
を遊技盤10における入賞状態に基づいて賞球として払い出す球払出装置23、この球払
出装置23から払い出された遊技球を球皿ユニット6の球皿に導く球払出通路24などの
賞球機構が設けられている。
また、裏セット盤20の背面側には、パチンコ機各部に電力を供給する電源基板(電源
基板ユニット)31、遊技球発射装置の制御とともに遊技球の払い出しに関する制御を行
う払出制御基板(払出制御基板ユニット)34などが取り付けられている。また、裏セッ
ト盤20の窓口開口20a内に位置して遊技盤10の背面側には、パチンコ機PMにおけ
る制御の中枢を担う主制御基板32(主制御基板ユニット40)、遊技展開に応じた画像
表示、効果照明、効果音等の演出の制御を行う演出制御基板(演出制御基板ユニット)3
3などが取り付けられ、これらの制御基板とパチンコ機PM各部の電気・電子部品がコネ
クタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成されている。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に
固定設置され、前枠2、ガラス扉5、球皿ユニット6等が閉鎖施錠された状態で遊技に供
され、球皿ユニット6の球皿に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することに
より遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、球皿ユニット6の球皿に貯
留された遊技球が、球皿ユニット6の背面側に配設される球送りカセットによって1球ず
つ遊技補助盤のガイドホルダに送り出され、発射機構のハンマーにより遊技領域PAに打
ち出されてパチンコゲームが展開される。
このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、前述の主制御基板32を備えて構
成される主制御基板ユニット40にケース封印構造が適用されており、以下においては、
この主制御基板ユニット40について詳細に説明する。それでは先ず、図3〜図7を追加
参照して、主制御基板ユニット40の全体構成について説明する。ここで、図3は主制御
基板ユニット40の斜視図、図4は主制御基板ユニット40の分解斜視図、図5は主基板
ケースにおいてケース本体部材に対するケース蓋部材の取り付け状態を説明するための模
式図、図6は主基板ケースに設けられる不正開放防止機構の斜視図、図7は不正開放防止
機構におけるロック部材の斜視図である。
主制御基板ユニット40は、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板32
と、主制御基板32を内部に収容する主基板ケース45とを主体に構成されている。さら
に、主基板ケース45は、遊技盤10の背面側に着脱されるケース本体部材50と、この
ケース本体部材50に着脱自在に取り付けられるケース蓋部材60とを備えて構成されて
おり、ケース本体部材50にケース蓋部材60を装着して閉止した閉止状態で位置整合す
るケース端部に、詳細は後述する不正開放防止機構70及びケース封印部100がそれぞ
れ設けられている。なお、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下及び左右前後
の方向は、パチンコ機PMへの取付状態での方向として、図4の状態を基準にして定義し
ており、図4に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明し、他の図中に
も適宜図示している。
主制御基板32は、図4に示すように、矩形形状のプリント配線板32aを基板とし、
このプリント配線板32aに種々の半導体デバイスや抵抗、コンデンサ、接続コネクタ等
の電子部品が実装されており、プリント配線板71aの周囲に穿設された貫通孔32bに
小ネジを挿入してケース蓋部材60のネジ孔(図示せず)にネジ止めすることにより、主
制御基板32がケース蓋部材60の内面側に固定されるようになっている。
ケース本体部材50は、後面側に開口を有する矩形箱状の形状を有しており、ABS樹
脂やポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により
一体的に形成される。このケース本体部材50の内面側底部51には、図4に示すように
、補強リブ51aが縦横に格子状に形成されており、ケース本体部材50の強度を向上さ
せている。また、ケース本体部材50の上下の側壁部(図4において、底部51の上下の
縁部から前方に向けて立設する側壁部)53,53の外方それぞれには、底部51から前
方に突出する係止突起54が複数形成されている。
ケース蓋部材60は、ケース本体部材50の開口を覆う矩形箱状の形状を有しており、
ABS樹脂やポリカーボネート等(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形
手段により一体的に形成される。ケース蓋部材60には、主制御基板32における接続コ
ネクタの実装位置に対応して、表裏貫通するコネクタ挿抜口62が複数形成されており、
図3等に示すように、主制御基板32がケース蓋部材60に取り付けられた状態で、主制
御基板32の接続コネクタがコネクタ挿抜口62を介してケース外部に露出する、すなわ
ち、他の制御基板などとコネクタケーブルを介して電気接続可能な状態になる。
ケース蓋部材60の上下方向縁部から後方に向けて立設する上下の側壁部63,63の
それぞれには、この側壁部63が延びる長手方向(左右方向)に沿って前面側に開口しケ
ース本体部材50の係止突起54を受容可能な凹溝状の蓋部材取付溝64(図5を参照)
が形成されている。この蓋部材取付溝64内にはケース本体部材50の係止突起54と係
合可能な係止壁部65(図5を参照)が形成されており、この係止壁部65は、上述の係
止突起54と同じ数だけ形成され、その配置間隔も係止突起54と対応している。
このような主基板ケース45において、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60
を取り付けるには、先ず図5(A)に示すように、ケース本体部材50及びケース蓋部材
60を左右方向にずらした状態で対向させ、続いて図5(B)に示すように、ケース蓋部
材60の蓋部材取付溝64にケース本体部材50の係止突起54を挿入した後、図5(C
)に示すように、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を右方向(以下において
「ケース閉止方向」とも称する)にスライド移動させて、係止突起54と係止壁部65と
を係合させる。これにより、ケース蓋部材60は、ケース本体部材50に対して後方への
移動(ケース本体部材50からケース蓋部材60を取り外すための移動)が規制される。
このようにして、ケース蓋部材60がケース本体部材50の開口を覆う閉止状態で装着
されている状態では、係止突起54と係止壁部65とが係合しているだけであり、ケース
本体部材50からケース蓋部材60を取り外すことは容易である。そのため、閉止状態に
あるケース蓋部材60をケース本体部材50に対して左方向(以下において「ケース開放
方向」とも称する)にスライド移動できなくして、主基板ケース45が不正に開放される
ような不正行為を防止するために、主基板ケース45には不正開放防止機構70が設けら
れている。
この不正開放防止機構70は従来から知られている構成であり、種々の構成が適宜用い
られているが、本実施形態では、図4等に示されているように、ケース本体部材50の右
側部に設けられた本体側係合部57と、ケース蓋部材60の右側部に設けられた蓋側係合
部67と、本体側係合部57と蓋側係合部67とを連結させるためのロック部材80とを
備えて構成される不正開放防止機構を例示する。
本体側係合部57は、ケース本体部材50に一体的に設けられて矩形箱状に形成されて
おり、その中心にはロック部材80が嵌入される円孔状の本体側受容孔58が穿設されて
いる。この本体側受容孔58は、ロック部材80よりも幾分大きな孔径の導入孔58aと
、この導入孔58aと繋がって導入孔58aよりも大きな孔径の係合孔58bとからなる
段付き孔として形成され、これら導入孔58aと係合孔58bとの段差部に平坦な規制壁
58cが形成される。
蓋側係合部67は、ケース蓋部材60に一体的に設けられて矩形ブロック状に形成され
ており、その中心には本体側係合部57の導入孔58aとほぼ同一の孔径に形成されてロ
ック部材80が嵌入される円孔状の蓋側受容孔68が表裏貫通して穿設されている。
ロック部材80は、図7に示すように、前後に延びる円筒状の軸部82及びこの軸部8
2よりも大径の円盤状に形成された操作部83を有するロック本体81と、軸部82に貫
通形成されたピン収容孔84内においてロック本体81の中心軸(円筒軸)と直交方向に
進退自在に支持されたロックピン85とを備えて構成される。ロックピン85は、このピ
ンの軸方向に所定範囲で摺動自在にピン収容孔84内に支持され、常にはピン収容孔84
内に設けられたコイルバネ(図示せず)のバネ力によってピン先端部が軸部82の外方へ
突出するように付勢配設されている。なお、このロック部材80は、1組の本体側係合部
57及び蓋側係合部67に対して1つ使用されることになるが、本実施形態で例示するよ
うに、主基板ケース45に2組の本体側係合部57,57及び蓋側係合部67,67が設
けられる構成では合計2つのロックピン80,80が必要であり、未使用のロック部材8
0を収納しておくための予備ロック部材収容部90(図3を参照)が主基板ケース45の
右端部に設けられている。
このように構成される不正開放防止機構70を利用して主基板ケース45を閉止状態で
ロック保持するには、前述したようにケース本体部材50に対してケース蓋部材60をス
ライド移動させて装着し、本体側係合部57と蓋側係合部67とを前後に対向して重ね合
わせたところで、主基板ケース45の後方側からロック部材80を(ロックピン85の先
端部が軸部82の内方へ押し込まれた状態で)蓋側受容孔68及び本体側受容孔57に跨
るように挿入する。ロック部材80が挿入された状態では、ロックピン85の先端部が本
体側受容孔58(係合孔58b)内においてコイルバネのバネ力によって軸部82の外方
へ突出し、このロックピン85の先端部が本体側受容孔58の規制壁58cと係合する。
そのため、ロック部材80は、ロックピン85と規制壁58cとの係合により後方(抜去
方向)への移動が規制されるとともに、操作部83と蓋側係合部67との当接により前方
への移動が規制された位置(「ロック位置」と称する)に保持される。
こうして、ロック部材80が本体側受容孔58及び蓋側受容孔68に挿入されてロック
位置に保持された状態では、ケース蓋部材60がケース本体部材50に対して左右にスラ
イド移動できなくなり、ケース本体部材50にケース蓋部材60が図3等に示すように閉
止した状態で取り外し不能(開放不能)に連結される。なお、この状態から主基板ケース
45を開放するには、ケース蓋部材60と蓋側係合部67との間を繋ぐ連結部61を切断
し、本体側係合部57と係合連結された状態の蓋側係合部67をケース蓋部材60から切
り離せばよい。
このような構成の不正開放防止機構70とともに、主基板ケース45の不正開放をより
厳重に防止するために、主基板ケース45にはケース封印構造(ケース封印部)が設けら
れており、先ずはケース封印部の第1の実施形態について、図8〜図12を参照して、以
下に詳しく説明する。ここで、図8は第1実施形態のケース封印部100を取り出して示
す分解斜視図、図9はケース封印部100の本体側封印部及びこれに貼着される封印シー
ルを示す斜視図、図10は封印シールを示す正面図、図11はケース封印部100の保護
カバー部材を示す斜視図、図12はケース封印部100の蓋側封印部を示す斜視図である
。なお、前述したように、ここでも便宜的にパチンコ機PMへの取り付け状態での方向に
対応して、図8に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下方向と定義して説明するが
、本発明に係るケース封印構造がこの方向により規定されるものではない。
ケース封印部100は、ケース本体部材50に一体的に繋がって形成された本体側封印
部110と、本体側封印部110に貼着されるICタグ封印シール(以下、単に「封印シ
ール」と称する」)120を覆うように本体側封印部110に取り付けられる保護カバー
部材130と、ケース蓋部材60に一体的に繋がって形成された蓋側封印部140とを主
体に構成される。本体側封印部110及び蓋側封印部140は、ケース本体部材50にケ
ース蓋部材60が図3等に示すように閉止された状態で前後に対向配置されるようになっ
ており、この対向状態において本体側封印部110と蓋側封印部140との間に、封印シ
ール120及びシール破断機構としての保護カバー部材130が収容されている。なお、
本体側封印部110及び蓋側封印部140は、それぞれケース本体部材50及びケース蓋
部材60に一体的に繋がって構成されているが、図8〜図12においては、本体側封印部
110及び蓋側封印部140を切り離した状態でこれらのみを取り出して図示する(後述
する図13〜図18においても同様とする)。
本体側封印部110は、封印シール120が貼着される中央の台座部111と、この台
座部111の上下にそれぞれ一体的に設けられる上下壁部112,112とを備え、全体
として矩形ブロック状に形成されている。台座部111におけるL字状に屈曲した外表面
(左側の側面及び後面)は、封印シール120を貼着するための平坦なシール貼着面11
3をなし、このシール貼着面113を上下に分断するように台座部111には互いに平行
(左右方向)に延びる等間隔3箇所のスリット114,114,114が凹設されている
。各スリット114は台座部111の左側の側面で開放されており、台座部111におけ
るシール貼着面113の右側方には、スリット114,114,114の各々と一体的に
それぞれ繋がる等間隔3箇所の退避溝115,115,115が凹設されている。これら
スリット114及び退避溝115は共に後方及び左側方に開口しており、後述する保護カ
バー部材130に設けられた破断突起133の移動を許容するための通過路となる。台座
部111におけるシール貼着面113の上下側方に、後方に向けて開口する矩形断面の一
対のリブ破壊孔116,116が穿設されており、封印シール120がシール貼着面11
3に貼着された状態で、この上下に位置するリブ破壊孔116の各々は外方に露出するよ
うになっている。また、台座部111を挟む上下壁部112,112には、スリット11
4と平行(左右方向)に延びるとともに後方及び左側方に開口するガイド溝117,11
7が形成されている。
図9に示すように、台座部111のシール貼着面113に亘って封印シール120がL
字状に折り曲げられるようにして貼着可能であり、その結果、台座部111のスリット1
14はその左側方及び後方に開放された開口が封印シール120によって外方から覆われ
て隠蔽される。なお、本実施形態では、封印シール120を台座部111に(スリット開
口の全体を隠蔽するように)L字状に折曲して貼着する形態を例示しているが、台座部1
11のいずれかの外表面(後面または左側面)のみに平面的に貼着する形態でもよく、ス
リット114の開口の少なくとも一部分を隠蔽するように台座部111の外表面に貼着さ
れるものであれば特に限定されない。
封印シール120は、図10に示すように、矩形シート状のシート部材121に、IC
タグ122及びこれに繋がるアンテナ線123が透明な樹脂フィルム124によって覆わ
れた状態で貼り付けられて構成されており、紙製のシート部材121の表面には識別情報
としてのシリアル番号(図示せず)がプリントされている。ICタグ122はシート部材
121の略中央に配置され、アンテナ線123はシート部材121の一方の対角線に沿っ
て配置されている。ICタグ122は、パチンコ機PMに関する情報、主制御基板32の
識別情報等、種々の情報を記憶した非常に小さな電子素子であり、これに繋がって配設さ
れたアンテナ線123を介して主基板ケース45の外部からでもこれらの情報を読み取り
可能となっている。
また、シート部材121の外縁にはギザギザ状の切り込み121aが規則的に形成され
、このシール部材121を剥がすときに切り込み121aの凹部に応力集中が生じて破断
され易いようになっている。一方、樹脂フィルム124の外周には、直線状の切り込み1
24aが規則的に形成され、封印シール120が剥がされたり外力が印加されたときに、
この切り込み124aに沿って樹脂フィルム124と共にアンテナ線123が破断され易
く、これにより情報送信が不能になるようにしている。
保護カバー部材130は、例えば有色透明な合成樹脂材料を用いて射出成形等の成形手
段により一体的に形成されている。この保護カバー部材130は、図11に示すように、
矩形板状のカバー本体131と、このカバー本体131の上下の縁部から前方に突出して
形成された一対のガイド壁132,132と、カバー本体131の右端から前方に突出し
て形成された3箇所の破断突起133,133,133と、カバー本体131の前面(裏
面)の上下端近傍に前方に突出して形成された一対のリブ134,134と、カバー体1
31の右端に形成された一対のフック部135,135とを備えて構成されており、封印
シール120が貼着された状態の本体側封印部110に載置されるようになっている。
カバー本体131は、保護カバー部材130が本体側封印部110に載置されたときに
、封印シール120(シール貼着面113)及びリブ破壊孔116を隠蔽可能な大きさの
面域を有している。また、保護カバー部材130が本体側封印部110に載置されたとき
に、この保護カバー部材130のガイド壁132、破断突起133及びリブ134が、そ
れぞれ対応する本体側封印部110のガイド溝117、退避溝115及びリブ破壊孔11
6に位置整合して受容されるようになっている。なお、保護カバー部材130の破断突起
133が本体側封印部110の退避溝115内に受容された状態では、この破断突起13
3は本体側封印部110のシール貼着面113に貼着された封印シール120と接触して
いない。
破断突起133は、台座部111におけるスリット114の溝幅よりも幾分小さく形成
されており、左側方に対向した先端縁部には尖鋭な刃先部133aが形成されている。こ
の破断突起133の刃先部133aは鋭角状に形成され、詳細は後述するように、ケース
本体部材50からケース蓋部材60を取り外すときに、封印シール120を破断(破壊)
する刃物的な役割を果たすようになっている。
リブ134は、本体側封印部110のリブ破壊孔116よりも幾分小さな矩形断面を有
する前後方向に延びた角柱状に形成され、一対のリブ破壊孔116の間隔に対応してカバ
ー本体131の前面(裏面)から一対突設されており、その前部先端はリブ破壊孔116
に挿入し易いように若干テーパ状になっている。このリブ134は保護カバー部材130
における他の部位よりも薄肉脆弱に形成されて破壊され易くなっている。なお、リブ13
4の外形形状は角柱状に限定されず、例えば、角錐状や円筒状、円錐状、薄板状、鉤爪状
などであっても構わず、その配設個数も必ずしも一対である必要はなく、1つでも3つ以
上の複数であってもよく、保護カバー部材130の材質(機械的強度)等に応じてこれら
は適宜設定可能である。
フック部135は、その上縁部及び下縁部が左右方向に沿って一部切り欠かれることで
前後に揺動可能(弾性変形可能)であり、右側先端には後方に向けて突出する係止爪13
5aが形成されている。
蓋側封印部140は、図12に示すように、後壁141Bと、この後壁141Bを囲ん
で前方に延びる上下及び左側方の側壁141U,141D,141Lとを有し、全体とし
て前方及び右側方が開放した矩形箱形状を呈しており、この蓋側封印部140の内寸が本
体側封印部110の外寸よりも一回り大きく形成されることで、蓋側封印部140内に本
体側封印部110がちょうど収まるようになっている。
蓋側封印部140における後壁141Bの内面側(裏面側)には、保護カバー部材13
0におけるフック部135の係止爪135aと係合可能な凹溝状の係止凹部142が形成
されている。そのため、ケース本体部材50にケース蓋部材60を装着して、本体側封印
部110及び保護カバー部材130に対して蓋側封印部140を前後に重合させたとき、
保護カバー部材130のフック部135の係止爪135aが蓋側封印部140の係止凹部
142に係合するため、このケース閉止状態から、ケース蓋部材60をケース本体部材5
0に対して左方向(ケース開放方向)にスライド移動させると、本体側封印部110に載
置されていた(仮止めされていた)保護カバー部材130がこの本体側封印部110から
離間して互いに係合関係にある蓋側封印部140(ケース蓋部材60)と共に一体的に移
動するようになる。
次に、このように構成されるケース封印部100に関し、ケース本体部材50にケース
蓋部材60を取り付けるときの作動を、図13〜図17を追加参照して説明する。ここで
、図13は保護カバー部材130を本体側封印部110に取り付ける前の状態を示す斜視
図、図14は本体側封印部110に対して蓋側封印部140をスライド移動させている状
態を示す斜視図、図15は図14における矢印XIV−XIVに沿って示す断面図、図16はケ
ース封印部100において封印シール120を破断する過程を示し、(A)は閉止状態の
ケース封印部100を示す断面図、(B)は閉止状態から開放状態となる過程のケース封
印部100を示す断面図、図17はケース封印部100においてリブ134を破断する過
程を示し、(A)は閉止状態のケース封印部100の断面図、(B)は閉止状態から開放
状態となる過程のケース封印部100を示す断面図である。
まず、ケース本体部材50にケース蓋部材60を取り付けるときには、図9に示すよう
に、前もって、ケース本体部材50の本体側封印部110において、台座部111のシー
ル貼着面113に亘って封印シール120をL字状に折り曲げるようにして貼着(接着接
合)しておく。台座部111のL字状に屈曲するシール貼着面113は、封印シール12
0の外表面に合わせた大きさに形成されており、このシール貼着面113に合わせて封印
シール120を貼着することで、この封印シール120によってスリット114の開口全
体が覆われて、封印シール120のアンテナ線123が3箇所のスリット114の真上を
横断するように配置される。また、このとき、台座部111の外表面であってシール貼着
面113の領域外に凹設された一対のリブ破壊孔116は封印シール120によって隠蔽
されず後方に向けて露出している。
このように封印シール120が貼着された本体側封印部110に対して、図13に示す
ように、保護カバー部材130が封印シール120の後面側を覆うようにして取り付けら
れる(仮止めされる)。保護カバー部材130が本体側封印部110に載置されると、保
護カバー部材130のガイド壁132が前後壁部112のガイド溝117に受容されると
ともに、破断突起133が台座部111の退避溝115に受容され、リブ134が台座部
111のリブ破壊孔116に受容されるようになり、この状態で、本体側封印部110及
び保護カバー部材130を左端側から見た側面視においては、破断突起133の刃先部1
33aと封印シール120とが交差して重なっている(なお、このとき両者は接触してい
ない)。
こうして保護カバー部材130が載置された本体側封印部110に対して蓋側封印部1
20が前後に重合するように取り付けられるわけであるが、ケース本体部材50へのケー
ス蓋部材60の取り付けは、既述したように、ケース蓋部材60をケース本体部材50に
対して左方に若干ずらした位置で後方からケース本体部材50に重なり合わせ、且つ右方
向(ケース閉止方向)にスライド移動させて行われる。このとき、ケース封印部100に
おいては、図14及び図15に示すように、蓋側封印部140が左方にずれた状態で本体
側封印部110と前後に重なり合い、ケース蓋部材60と共に一体となって右方向に移動
する。蓋側封印部140の移動に際して、蓋側封印部140の後壁141Bと保護カバー
部材130のフック部135の係止爪135aとが上下方向に重なり合うところで、保護
カバー部材130において後方へ突出する係止爪135aが、これと対向する蓋側封印部
140の後壁141Bの内面に当接し、前方へ押圧されて弾性変形した状態(撓んだ状態
)を維持する。
そして、ケース本体部材50にケース蓋部材60が閉止して取り付けられたとき、ケー
ス本体部材50の係止突起54がケース蓋部材60の係止壁65と係合し、ケース蓋部材
60の後方への移動が制限されるとともに、本体側係合部57と蓋側係合部67とが前後
に重なり合い、この状態で、ロック部材80を後方側から蓋側受容孔68及び本体側受容
孔58に跨るように挿入することで、このロック部材80を介して本体側係合部57と蓋
側係合部67とが係合連結し、ケース蓋部材60がケース本体部材50に(連結部61を
切り離さない限りは)開放不能に連結保持される。一方、このようにケース本体部材50
にケース蓋部材60が閉止して取り付けられたとき、ケース封印部100においては、図
17(A)に示すように、本体側封印部110と蓋側封印部140とがその間に封印シー
ル120及び保護カバー部材130を介在させて前後に重なり合い、更には、保護カバー
部材130においてフック部135の係止爪135aが復元弾性によって元の姿勢に復帰
して蓋側封印部140の係止凹部142と係合し、これにより保護カバー部材130と蓋
側封印部140とが連結する。なお、本体側封印部110と蓋側封印部140とが前後に
重合すると、これら本体側封印部110と蓋側封印部140とにより囲まれて閉止状態の
封印空間101が内部に画成される。
こうして主基板ケース45が強固な閉止状態に保持されると、主基板ケース45内に収
容された主制御基板32、封印シール120及び保護カバー部材130への外部からのア
クセスは不可能である。
以上の説明から分かるように、ケース本体部材50にケース蓋部材60を閉止させると
、これにより対向配置された本体側封印部110及び蓋側封印部140の内部(封印空間
101)において台座部111に貼着された封印シール120が外部に対して非露出状態
で保持される。ここで、封印シール120は、前述のように、ICタグ122及びアンテ
ナ線123を実装しており、主基板ケース45(本体側封印部110及び蓋側封印部14
0)の内部に保持された状態のままで、ICタグ122に記憶された各種情報(例えば、
パチンコ機PMに関する情報、主制御基板32の識別情報等)をアンテナ線123を介し
て無線により、主基板ケース45を開放することなく外部から読み取り可能である。
次に、ケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止保持された状態からケース蓋部
材60を開放させる場合について説明する。ケース蓋部材50からケース蓋部材60を取
り外すには、先ず、不正開放防止機構70におけるケース蓋部材60と蓋側係合部67と
の間を繋ぐ連結部61をニッパ等の工具を用いて切断し、本体側係合部57と係合連結さ
れた蓋側係合部67をケース蓋部材60から切り離す。これにより、ケース本体部材50
とケース蓋部材60との連結は断たれ、且つケース蓋部材60をケース蓋部材50に対し
て左方向(ケース開放方向)にスライド移動させる(係止壁部65を係止突起54から抜
脱する位置に移動させる)ことで、ケース蓋部材60をケース本体部材50から取り外す
ことができる。なお、このとき、ケース本体部材50の側には本体側係合部57と蓋側係
合部67(ケース蓋部材60から分離された蓋側係合部67)とがロック部材80により
係合状態で残留し、ケース蓋部材60の側には連結部61を破断した破断痕が残るため、
ケース本体部材50及びケース蓋部材60の両方にケースを開放した痕跡が残存すること
になる。
このように主基板ケース45を開放させるために、ケース本体部材50に対してケース
蓋部材60を左方向にスライド移動させたときに、ケース封印部100においては、保護
カバー部材130の破断突起133によって封印シール120が破断されるとともに、保
護カバー部材130のリブ134が破壊(破断)されるようになっており、これについて
以下に説明する。
ケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止保持された状態では、図17(A)に
示すように、保護カバー部材130の破断突起133は本体側封印部110の退避溝11
5内に位置して封印シール120とは接触しておらず、破断突起133の刃先部133a
が封印シール120を介在させてスリット114と近接対向している。また、図18(A
)に示すように、保護カバー部材130のリブ134は本体側封印部110のリブ破壊孔
116に嵌挿されている。この状態からケース蓋部材60が左方向にスライド移動される
と、前述したように蓋側封印部110には保護カバー部材130が係合連結されているた
め、蓋側封印部140と共に保護カバー部材130も一体となって左方向に移動される。
このようにケース本体部材60のスライド移動に伴って、蓋側封印部140及び保護カ
バー部材130が一体的に移動することになるが、前述したように、保護カバー部材13
0から突設されるリブ134は本体側封印部110のリブ破壊孔116に嵌挿された状態
であるため、本体側封印部110に対して保護カバー部材130を相対移動させると、リ
ブ134がリブ破壊孔116の内周壁に突き当たり押圧荷重を受けるようになる。そして
、図18(B)に示すように、このリブ134に作用する荷重が自身の機械的強度(破断
強度)を超えたところで、例えば、応力集中が生じている根本付近を起点としてリブ13
4が押圧破断されることになる。従って、このように保護カバー部材130のリブ134
を破壊すれば、主基板ケース45を開放したときの痕跡(破断痕)を残存させることがで
きるとともに、この保護カバー部材130を無傷の状態で再使用できなくすることが可能
である。なお、保護カバー部材130から分離されたリブ134は、蓋側封印部140及
び保護カバー部材130の移動に拘わらず、本体側封印部110のリブ破壊孔116内に
受容された状態で残留することになる。
一方、このとき、破断突起133の通過路となるスリット114は、破断突起133の
移動方向に対応して同方向に延出しており、このスリット114を横断するようにして封
印シール120が貼着されているため、こうして蓋側封印部140と共に保護カバー部材
130を移動させると、図17(B)に示すように、破断突起133の刃先部133aが
封印シール120に接触して当該スライド方向(ケース開放方向)に沿って封印シール1
20を破断しながらスリット114内を通過する。このように封印シール120を切り裂
けば、ICタグ122そのものを破壊できなくてもアンテナ線123を破断することにな
り、ICタグ122に格納された情報が実質的に読み取り不能になるため、これにより不
正アクセスの痕跡を残存させることができるとともに、封印シール120を再生不能な程
度に破壊する(不正に再使用できなくする)ことが可能である。
そして、ケース蓋部材60と共に蓋側封印部140及び保護カバー部材130をそのま
ま左方向にスライド移動させていけば、破断突起133がスリット114を通過しつつ封
印シール120を完全に破断してスリット114の左方の開放端から脱出することになり
、ケース蓋部材60の係止壁部65がケース本体部材50の係止突起54から抜脱される
所定位置に到達したところで、ケース蓋部材60を後方に移動させれば、ケース蓋部材6
0がケース本体部材50から取り外される。
以上、第1の実施形態に係るケース封印部100では、保護カバー部材130のリブ1
24を本体側封印部110のリブ破壊孔116に受容させた状態で、ケース本体部材50
に対してケース蓋部材60をケース閉止方向に移動させて本体側封印部110と蓋側封印
部140とを近接対向させたケース閉止状態において、本体側封印部110に載置されて
いた保護カバー部材130が蓋側封印部140に係合連結するようになっており、このケ
ース閉止状態から主基板ケース45を開放するために、ケース本体部材50に対してケー
ス蓋部材60をケース開放方向に移動させて本体側封印部110と蓋側封印部140とを
離間させるときに、保護カバー部材130が蓋側封印部140との係合状態を維持しなが
ら共に移動して本体側封印部110の台座部111に貼着された封印シール120に当接
して破断突起133によりこれを破断するとともに、保護カバー部材130のリブ134
が本体側封印部110のリブ破壊孔116の内周壁に接触して押圧破断されるように構成
される。従って、封印シール120及び保護カバー部材130を破壊することなく、この
主基板ケース45を開放することができない構造となるため、主基板ケース45に対する
不正アクセスの痕跡を明瞭に残存させることができるとともに、封印シール120及び主
基板ケース45(保護カバー部材130)が不正に再使用されることを防止でき、不正行
為の予防及び早期発見に寄与することが可能である。
ところで、主基板ケース45の再使用に関しては、従来から、同一機種の二つの基板ケ
ースを準備し、これらの中から破壊された痕跡のない再使用可能な状態のケース構成部品
のみを取り出して適宜に組み合わせることで、1つの新たな基板ケースを作り上げる、い
わゆる2個1(ニコイチ)と称される不正な組立行為が横行しており、そのため不正改造
された制御基板が痕跡を残さずに基板ケースごと取り替えられるという事例が後を絶たな
い。これに対して、本実施形態のケース封印部100を備えた主基板ケース45では、前
述したように、主基板ケース45が開放されたときに、ケース本体部材50及びケース蓋
部材60には連結部61が切り離されたことによる痕跡が残存するとともに、保護カバー
部材130にはリブ134の破断痕が残存し、封印シール120には破断突起133によ
り切り裂かれた痕跡が残存するため、この主基板ケース45の構成部品たるケース本体部
材50、ケース蓋部材60、及び保護カバー部材130、並びに封印シール120のいず
れについても破壊された痕跡を残存させずに無傷の状態で再使用することは不可能であり
、2個1(ニコイチ)と称される基板ケースの不正な組立行為を確実に抑止することが可
能である。
なお、上述の第1実施形態では、保護カバー部材130が本体側封印部110に載置さ
れた際に、保護カバー部材130のリブ134が本体側封印部110のリブ破壊孔116
に受容され、主基板ケース45が開放されたときに押圧破断されてその破断痕が残存され
る構成であったが、この構成に限定されるものではなく、例えば、図18に示すように、
本体側封印部110と保護カバー部材130との両方にリブ及びリブ破壊孔の組を設けて
、保護カバー部材130が本体側封印部110に載置された際に、保護カバー部材130
のリブ134が本体側封印部110のリブ破壊孔116に受容されるとともに、本体側封
印部110に突設されたリブ119が保護カバー部材130に穿設されたリブ破壊孔13
9に受容されるように構成することで、主基板ケース45が開放されたときに、本体側封
印部110及び保護カバー部材130の各々のリブ116,134が押圧破断されるよう
にしてもよい。このような構成によれば、本体側封印部110(ケース本体部材50)及
び保護カバー部材130の両方に破壊された痕跡が残るため、不正アクセスの痕跡をより
多く且つ明瞭に残存させることができるとともに、不正な再使用をより確実に防止するこ
とが可能になる。
また、本体側封印部110にリブ破壊孔116を設けることなく、本体側封印部110
に保護カバー部材130を載置したときに、保護カバー部材130のリブ134が本体側
封印部110の右側の側壁面に近接して対向する構成としてもよく、この場合には主基板
ケース45を開放するときに、保護カバー部材130のリブ134が本体側封印部110
の右側面に当接して押圧破断されることになる。このような構成によれば、本体側封印部
110の台座部111に破壊孔116を形成する必要がなく、より簡明な構成とすること
ができるとともに、台座部111には封印シール120を貼着するための必要最小限のス
ペースを設けるだけで足りるため、これに応じて本体側封印部110、保護カバー部材1
30及び蓋側封印部140(すなわち、シール封印部100)を小型化することが可能で
ある。
次に、ケース封印部の第2の実施形態について、図19〜図22を参照して以下に詳し
く説明する。ここで、図19は第2実施形態のケース封印部200を取り出して示す分解
斜視図、図20はケース封印部200の本体側封印部210及びこれに貼着される封印シ
ールを示す斜視図、図21はケース封印部200の保護カバー部材を示す斜視図、図22
はケース封印部200の蓋側封印部を示す斜視図である。なお、本実施形態のケース封印
部200は、前述した第1実施形態のケース封印部100における本体側封印部、保護カ
バー部材及び蓋側封印部の構成のみが異なり、他の構成は同様であるため同一部位に同一
番号を付して重複説明を省略する。また、本実施形態でも、便宜的に図19に示す矢印の
方向をそれぞれ前後、左右、上下方向と定義して説明するが、本発明のケース封印構造が
この方向により規定されるものではない。
ケース封印部200は、ケース本体部材50に一体的に繋がって形成された本体側封印
部210と、本体側封印部210に貼着される封印シール(ICタグ封印シール)120
を覆うように本体側封印部210に取り付けられる保護カバー部材230と、ケース蓋部
材60に一体的に繋がって形成された蓋側封印部240とを主体に構成される。本体側封
印部210及び蓋側封印部240は、ケース本体部材50にケース蓋部材60が図3等に
示すように閉止された状態で前後に対向配置されるようになっており、この対向状態にお
いて本体側封印部210と蓋側封印部240との間に、封印シール120及びシール破断
機構としての保護カバー部材230が収容されている。なお、本体側封印部210及び蓋
側封印部240は、それぞれケース本体部材50及びケース蓋部材60に一体的に繋がっ
て構成されているが、図19〜図22においては、本体側封印部210及び蓋側封印部2
40を切り離した状態でこれらのみを取り出して図示する(後述する図23〜図26にお
いても同様とする)。
本体側封印部210は、封印シール120が貼着される中央の台座部211と、この台
座部211の上下にそれぞれ一体的に設けられる上下壁部212,212とを備え、全体
として矩形ブロック状に形成されている。台座部211におけるL字状に屈曲した外表面
(左側の側面及び後面)は、封印シール120を貼着するための平坦なシール貼着面21
3をなし、このシール貼着面213を上下に分断するように台座部211には左右方向に
延びるスリット214が凹設されている。スリット214は台座部211の内側で終端し
ており(すなわち、台座部211の左側の側面で開放されていない)、台座部111にお
けるシール貼着面113の右側方には、このスリット114と一体的に繋がる退避溝21
5が凹設されている。これらスリット214及び退避溝215は後述する保護カバー部材
230に設けられた破断突起233の移動を許容するための通過路となる。また、台座部
211を挟む上下壁部212,212には、スリット214と平行(左右方向)に延びる
とともに後方及び左側方に開口するガイド溝217,217が形成されている。
図20に示すように、台座部211のシール貼着面213に亘って封印シール120が
L字状に折り曲げられるようにして貼着可能であり、その結果、台座部211のスリット
214はその後方に開放された開口が封印シール120によって外方から覆われて隠蔽さ
れる。なお、本実施形態でも、封印シール120を台座部211にL字状に折曲して貼着
する形態を例示しているが、スリット214の開口の少なくとも一部分を隠蔽するように
台座部211の外表面に貼着されるものであれば特に限定されない。
保護カバー部材230は、有色透明な合成樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段によ
り一体的に形成されている。この保護カバー部材230は、図21に示すように、矩形板
状のカバー本体231と、このカバー本体231の上下の縁部から前方に突出して形成さ
れた一対のガイド壁232,232と、カバー本体231の右端から前方に突出して形成
された破断突起233と、カバー体231の右端に形成された一対のフック部235,2
35とを備えて構成されており、封印シール120が貼着された状態の本体側封印部21
0に載置されるようになっている。
カバー本体231は、保護カバー部材230が本体側封印部210に載置されたときに
、封印シール120(シール貼着面213)を隠蔽可能な大きさの面域を有している。ま
た、保護カバー部材230が本体側封印部210に載置されたときに、この保護カバー部
材230のガイド壁232及び破断突起233が、それぞれ対応する本体側封印部210
のガイド溝217及び退避溝215に位置整合して受容されるようになっている。なお、
保護カバー部材230の破断突起233が本体側封印部210の退避溝215内に受容さ
れた状態では、この破断突起233は本体側封印部210のシール貼着面213に貼着さ
れた封印シール120と接触していない。
破断突起233は、カバー本体231から前方に突出形成された角柱状の脆弱部233
aと、この脆弱部233aに連設された刃体233bとを有しており、台座部211にお
けるスリット211を通過可能なようにスリット214の溝幅よりも幾分小さく形成され
ている。脆弱部233aは、保護カバー部材230における他の部位よりも薄肉脆弱に形
成されて破壊され易くなっている。刃体233bには、左側方に対向した一対の先端縁部
に尖鋭な刃先部233c,233cがそれぞれ形成されている(図21では一方の刃先部
233aのみが現れている)。この破断突起233の刃先部233cは鋭角状に形成され
、詳細は後述するように、ケース本体部材50からケース蓋部材60を取り外すときに、
封印シール120を破断(破壊)する刃物的な役割を果たすようになっている。なお、脆
弱部233aの外形形状は角柱状に限定されず、例えば、角錐状や円筒状、円錐状、薄板
状、クランク状などであっても構わない。
フック部235は、その上縁部及び下縁部が左右方向に沿って一部切り欠かれることで
前後に揺動可能(弾性変形可能)であり、右側先端には後方に向けて突出する係止爪23
5aが形成されている。
蓋側封印部240は、図22に示すように、後壁241Bと、この後壁241Bを囲ん
で前方に延びる上下及び左側方の側壁241U,241D,241Lとを有し、全体とし
て前方及び右側方が開放した矩形箱形状を呈しており、この蓋側封印部240の内寸が本
体側封印部210の外寸よりも一回り大きく形成されることで、蓋側封印部240内に本
体側封印部210がちょうど収まるようになっている。
蓋側封印部240における後壁241Bの内面側(裏面側)には、保護カバー部材23
0におけるフック部235の係止爪235aと係合可能な凹溝状の係止凹部242が形成
されている。そのため、ケース本体部材50にケース蓋部材60を装着して、本体側封印
部210及び保護カバー部材230に対して蓋側封印部240を前後に重合させたとき、
保護カバー部材230のフック部235の係止爪235aが蓋側封印部240の係止凹部
242に係合するため、このケース閉止状態から、ケース蓋部材60をケース本体部材5
0に対して左方向(ケース開放方向)にスライド移動させると、本体側封印部210に載
置されていた(仮止めされていた)保護カバー部材230がこの本体側封印部210から
離間して互いに係合関係にある蓋側封印部240(ケース蓋部材60)と共に一体的に移
動するようになる。
続いて、このように構成されるケース封印部200に関し、ケース本体部材50にケー
ス蓋部材60を取り付けるときの作動を、図23〜図25を追加参照して説明する。なお
、前述の第1実施形態のところで不正開放防止機構70等の作動は既述しているため、以
下ではケース封印部200の作動を主として説明する。ここで、図23は保護カバー部材
230を本体側封印部210に取り付ける前の状態を示す斜視図、図24は本体側封印部
210に対して蓋側封印部240をスライド移動させている状態を示す斜視図、図25は
ケース封印部200において封印シール120及び破断突起233が破断される過程を示
し、(A)は閉止状態のケース封印部200の断面図、(B)は閉止状態から開放状態と
なる過程のケース封印部200の断面図である。
なお、このときには、図20に示すように、前もって、ケース本体部材50の本体側封
印部210において、台座部211のシール貼着面213に亘って封印シール120をL
字状に折り曲げるようにして貼着(接着接合)しておく。台座部211のL字状に屈曲す
るシール貼着面213は、封印シール210の外表面に合わせた大きさに形成されており
、このシール貼着面213に合わせて封印シール120を貼着することで、この封印シー
ル120によってスリット214の開口全体が覆われて、封印シール120のアンテナ線
123がスリット214の真上を横断するように配置される。
このように封印シール120が貼着された本体側封印部210に対して、図23に示す
ように、保護カバー部材230が封印シール120の後面側を覆うようにして取り付けら
れる(仮止めされる)。保護カバー部材230が本体側封印部210に載置されると、保
護カバー部材230のガイド壁232が前後壁部212のガイド溝217に受容されると
ともに、破断突起233が台座部211の退避溝215に受容されるようになり、この状
態で、本体側封印部210及び保護カバー部材230を左端側から見た側面視においては
、破断突起233の刃先部233cと封印シール120とが交差して重なっている(なお
、このとき両者は接触していない)。
そして、ケース蓋部材60をケース本体部材50へ取り付けるときに、ケース封印部2
00においては以下のように作動する。先ず、ケース蓋部材60をケース本体部材50に
対して左方に若干ずらした位置で後方からケース本体部材50を覆うように閉止するとき
に、図24に示すように、蓋側封印部240が本体側封印部210に対して左方に若干ず
れた状態で本体側封印部210と前後に重なり合う。この状態からケース蓋部材60をケ
ース本体部材50に対して右方向(ケース閉止方向)にスライド移動させるのであるが、
蓋側封印部240がケース蓋部材60を一体となって右方向に移動されると、蓋側封印部
240の後壁241Bと保護カバー部材230のフック部235の係止爪235aとが上
下方向に重なり合うところで、保護カバー部材230において後方へ突出する係止爪23
5aが、これと対向する蓋側封印部240の後壁241Bの内面に当接し、前方へ押圧さ
れて弾性変形した状態(撓んだ状態)を維持する。ここから、ケース蓋部材60をさらに
右方向に移動させてケース本体部材50とちょうど前後に重なる位置に到達させたところ
で、蓋側封印部240と本体側封印部210とがその間に封印シール120及び保護カバ
ー部材230を介在させてちょうど前後に重なり合い、更には、保護カバー部材230に
おいてフック部235の係止爪235aが復元弾性によって元の姿勢に復帰して蓋側封印
部240の係止凹部242と係合し、これにより保護カバー部材230と蓋側封印部24
0とが連結する。なお、本体側封印部210と蓋側封印部240とが前後に重合すると、
これら本体側封印部210と蓋側封印部240とにより囲まれて閉止状態の封印空間20
1が内部に画成される。
こうして主基板ケース45が強固な閉止状態に保持されると、主基板ケース45内に収
容された主制御基板32、封印シール120及び保護カバー部材230への外部からのア
クセスは不可能である。
以上の説明からも分かるように、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を閉止
させると、これにより対向配置された本体側封印部210及び蓋側封印部240の内部(
封印空間201)において台座部211に貼着された封印シール120が外部に対して非
露出状態で保持される。ここで、封印シール120は、前述のように、ICタグ122及
びアンテナ線123を実装しており、主基板ケース45(本体側封印部210及び蓋側封
印部240)の内部に保持された状態のままで、ICタグ122に記憶された各種情報を
アンテナ線123を介して無線により、主基板ケース45を開放することなく外部から読
み取り可能である。
次に、このようにケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止保持された状態から
ケース蓋部材60を開放させる場合について説明する。主基板ケース45を開放させるた
めに、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を左方向(ケース開放方向)にスラ
イド移動させたときに、ケース封印部200においては、保護カバー部材230の破断突
起233によって封印シール120が破断されるとともに、この破断突起233自体が破
壊(破断)されるようになっており、これについて以下に説明する。
ケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止保持された状態では、図25(A)に
示すように、保護カバー部材230の破断突起233は本体側封印部210の退避溝21
5内に位置して封印シール120とは接触しておらず、破断突起233の刃先線233c
が封印シール120を介在させてスリット214と近接対向している。
この状態からケース蓋部材60が左方向にスライド移動されると、前述したように蓋側
封印部240には保護カバー部材230が係合連結されているため、蓋側封印部240と
共に保護カバー部材230も一体となって左方向に移動される。このとき、破断突起23
3の通過路となるスリット214は、破断突起233の移動方向に対応して同方向に延出
しており、このスリット214を横断するようにして封印シール120が貼着されている
ため、こうして蓋側封印部240と共に保護カバー部材230を移動させると、図25(
B)に示すように、破断突起233の刃先部233cが封印シール120に接触して当該
スライド方向(ケース開放方向)に沿って封印シール120を破断しながらスリット21
4を通過することになる。このように封印シール120を切り裂けば、ICタグ122そ
のものを破壊できなくてもアンテナ線123を破断することになり、ICタグ122に格
納された情報が実質的に読み取り不能になるため、これにより不正アクセスの痕跡を残存
させることができるとともに、封印シール120を再生不能な程度に破壊する(不正に再
使用できなくする)ことが可能である。
一方、このような蓋側封印部240及び保護カバー部材230のスライド移動に伴って
、保護カバー部材230の破断突起233が封印シール120を破断しながらスリット2
14を通過するわけであるが、こうして破断突起233をスリット214に沿って通過さ
せていくと、図25(B)に示すように、破断突起233の刃体233bがスリット21
4の終端壁に突き当たり押圧荷重を受けるようになる。そして、この破断突起233に作
用する荷重が自身の機械的強度(破断強度)を超えたところで、応力集中が生じている薄
肉の脆弱部233aを起点として破断突起233が押圧破断されることになる。従って、
このように保護カバー部材230の破断突起233自体を破断すれば、主基板ケース45
を開放したときの痕跡を残存させることができるとともに、この保護カバー部材230を
無傷の状態で再使用できなくすることが可能である。
そして、そのままケース蓋部材60を左方向にスライド移動させていき、ケース蓋部材
60の係止壁部65がケース本体部材50の係止突起54から抜脱される所定位置に到達
したところで、ケース蓋部材60を後方に移動させれば、ケース蓋部材60がケース本体
部材50から取り外される。
以上、第2の実施形態に係るケース封印部200では、ケース本体部材50に対してケ
ース蓋部材60をケース閉止方向に移動させて本体側封印部210と蓋側封印部240と
を近接対向させたケース閉止状態において、本体側封印部210に載置されていた保護カ
バー部材230が蓋側封印部240と係合連結するようになっており、このケース閉止状
態から主基板ケース45を開放させるために、ケース本体部材50に対してケース蓋部材
60をケース開放方向に移動させて本体側封印部210と蓋側封印部240とを離間させ
るときに、保護カバー部材230が蓋側封印部240との係合状態を維持しながら共に移
動して、この保護カバー部材230の破断突起233が本体側封印部210のスリット2
14を通過しながら台座部211に貼着された封印シール120に当接してこれを破断す
るとともに、この破断突起233自体がスリット214の終端壁に接触して押圧破断され
るように構成される。従って、封印シール120及び保護カバー部材230を破壊するこ
となく、この主基板ケース45を開放することができない構造となるため、主基板ケース
45に対する不正アクセスの痕跡を明瞭に残存させることができるとともに、封印シール
120及び主基板ケース45(保護カバー部材230)が不正に再使用されることを防止
でき、不正行為の予防及び早期発見に寄与することが可能である。
また、この第2の実施形態に係るケース封印部200においても、主基板ケース45が
開放されたときに、ケース本体部材50及びケース蓋部材60には連結部61が切り離さ
れたことによる痕跡が残存するとともに、保護カバー部材230には破断突起233自体
の破断痕が残存し、封印シール120には破断突起233により切り裂かれた痕跡が残存
するため、この主基板ケース45の構成部品たるケース本体部材50、ケース蓋部材60
、及び保護カバー部材230、並びに封印シール120のいずれについても破壊された痕
跡を残存させずに無傷の状態で再使用することは不可能であり、2個1(ニコイチ)と称
される基板ケースの不正な組立行為を確実に抑止することが可能である。
また、第2の実施形態に係るケース封印部200では、主基板ケース45の開放の際に
シール破断用の破断突起233自体を破壊する構成であるので、第1の実施形態と比して
、リブ及びリブ破壊孔を設ける必要が無くより簡明な構成になるとともに、シール破断機
構としての保護カバー部材230を実質的に再使用できなくすることが可能になる点で特
徴的である。
ここで、上述した第2の実施形態では、蓋側封印部240及び保護カバー部材230の
左方向への移動に伴って、保護カバー部材230の破断突起233が、台座部211の後
面側に開口して左右方向に延びるスリット214を通過することにより、スリット214
上に貼着された封印シール120を破断するとともに、この破断突起223自体がスリッ
ト214の終端壁に当接して押圧破断される構成を例示して説明したが、この構成に限定
されるものではない。例えば、図26に示すように、本体側封印部210に台座部211
の右壁面側に開口して破断突起233と対向するシール破壊孔211aを設け、このシー
ル破壊孔211aを隠蔽するように封印シール120を貼着することで、蓋側封印部24
0及び保護カバー部材230が一体となって左方向(ケース開放方向)へ移動したときに
、破断突起233が封印シール120を突き破りながら(破断しながら)シール破壊孔2
11aに受容され、脆弱部233aが台座部211の右壁面に突き当たったところで、こ
の脆弱部233aを起点として破断突起233が押圧破断されるように構成してもよい。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限
定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、主基板ケース45を開放するとき
に、保護カバー部材130,230において、リブ134、破断突起233の脆弱部23
3a、がそれぞれ破断される構成であったが、これに限定されず、保護カバー部材130
,230の少なくとも一部が目視可能な程度に破壊されていれば(破壊の痕跡が残存する
ものであれば)、カバー本体131,231に割れや亀裂が入ったり、カバー本体131
,231が塑性変形したり、部材自体が割れずに(例えば、ABS樹脂の成分であるブタ
ジエン等の作用により)白化(変色)したりする態様のものであってもよい。
また、上述の実施形態において、封印シール120を破断するためのシール破断機構と
して保護カバー部材130,230を例示して説明したが、これに限定されるものではな
く、主基板ケース45を開放する際に、蓋側封印部140,240と係合連結して封印シ
ール120を破断する機能を有していれば、本体側封印部110,210に載置されたと
きに封印シール120を覆うものでなくてもよい(保護カバーとしての機能を持たなくて
もよい)。
また、上述の実施形態において、リブ134、脆弱部233aを他の部位に比して必ず
しも薄肉脆弱に形成する必要はなく、完全に破断されなくとも割れや亀裂、塑性変形、変
色等して、破壊された痕跡が残存するものであれば、他の部位よりも厚肉に形成されたも
のでも構わない。さらに、リブ134、脆弱部233aをより確実に破断(折損)できる
ように、例えば、リブ134、脆弱部233aの根本付近やその中間部に切り欠きを形成
してもよい。
また、上述の実施形態において、封印シール120として、ICタグ122及びアンテ
ナ線123を備えたICタグ封印シールを例示したが、これに代えて、ICタグ122及
びアンテナ線123を備えない封印シールを用いてもよい。
なお、以上においては、本発明に係るケース封印構造をパチンコ機の主基板ケース(主
制御基板ユニット)に適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、演出制
御基板ユニットに構成される基板ケースや、払出制御基板ユニットに構成される基板ケー
スなどに適用してもよく、更には、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシンの制
御基板ケースや、その他の種々の基板ケースにも適用することができる。
PM パチンコ機(遊技機)
1 外枠
2 前枠
10 遊技盤
32 主制御基板(制御基板)
40 主制御基板ユニット
45 主基板ケース(基板ケース)
50 ケース本体部材(第1ケース部材、一方のケース部材)
60 ケース蓋部材(第2ケース部材)
100 ケース封印部(第1実施形態)
101 封印空間
110 本体側封印部
111 台座部
113 シール貼着面
114 スリット
115 退避溝(退避部)
116 リブ破壊孔
117 ガイド溝
119 リブ
120 封印シール
130 保護カバー部材
132 ガイド壁
133 破断突起(シール破断部)
134 リブ
139 リブ破壊孔
140 蓋側封印部
200 ケース封印部(第2実施形態)
201 封印空間
210 本体側封印部
211 台座部
214 スリット
230 保護カバー部材
233 破断突起(シール破断部)
240 蓋側封印部

Claims (1)

  1. 第1ケース部材及び前記第1ケース部材に対して開閉可能に装着される第2ケース部材
    を備えて構成され、閉止状態で形成されるケース内部に制御基板を収容する基板ケースに
    おいて、
    前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のいずれか一方のケース部材に形成された
    封印シール貼着部に貼着される封印シールと、
    前記一方のケース部材にスライド動作により取り外し可能に配設される保護カバー部材
    とを備え、
    前記封印シール貼着部は、台座部と、少なくとも前記台座部の上面領域を含んで形成さ
    れ前記封印シールを貼着するためのシール貼着面と、前記台座部に凹設され前記封印シー
    ルを前記上面側に跨らせてなるスリットと、前記スリットの一方の端縁側に凹設された退
    避部と、ガイド溝とを有し、
    前記保護カバー部材は、突出形成されて前記ガイド溝に受容されるガイド壁と、突出形
    成されたシール破断部と、前記スライド方向から見て前記台座部と重なるリブとを有し、
    前記シール破断部は、前記保護カバー部材が前記一方のケース部材に取り付けられた際
    に、前記退避部に受容される破断突起であることを特徴とする基板ケース。
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