JP2014205750A - 防舷材用ゴム組成物および防舷材 - Google Patents

防舷材用ゴム組成物および防舷材 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性に優れる防舷材用ゴム組成物を提供する。【解決手段】本発明の防舷材用ゴム組成物は、天然ゴムを40質量%以上95質量%以下と、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを5質量%以上60質量%以下と、ブタジエンゴムを10質量%以上55質量%以下とを含有するゴム成分100質量部と、ゴム成分100質量部に対してシリカを30質量部以上70質量部未満含有するゴム組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、防舷材用ゴム組成物および防舷材に関する。
防舷材は、船舶が岸壁へ接岸する際や洋上で船舶と船舶とが接舷する際に生じる接岸エネルギーを吸収する機能を有するものである。防舷材用ゴム組成物としては、黒色のカーボンブラック補強系のものが広く普及している。また、黒色のゴムが船体に接触して擦れると黒い接触痕(マーキング)が船体に付着するため、船体への耐汚染性や外観性の観点から、黒色以外の色を有する防舷材(以下、「色物防舷材」という。)が開発されている。
色物防舷材用ゴム組成物には、外観品質を保つため汚染性の老化防止剤が使用できない。そのため、耐摩耗性や耐候性を向上させた色物防舷材用ゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1には、耐候性やゴム弾性、耐衝撃性に優れたゴム組成物が記載されている。特許文献1に記載のゴム組成物は、エチレン−プロピレン系弾性共重合体および天然ゴム成分を含有するものである。
特許文献2には、耐摩耗性や耐候性に優れたゴム組成物が記載されている。特許文献2に記載のゴム組成物は、ブタジエンゴムを特定の量で含むゴムと、特定の量のシリカと、シランカップリング剤とを含有するものである。
特開平7−188463号公報 特開2008−179656号公報
しかしながら、市場では、現状より更に厳しい条件での耐候性、特に低温での耐オゾン性(以下、「耐低温オゾン性」という。)が要求されている。そのため、特許文献1、2に記載されたゴム組成物は耐低温オゾン性をさらに改善する余地がある。
そこで、引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性に優れる防舷材用ゴム組成物が切望されている。
本発明は、前記問題に鑑み、引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性に優れる防舷材用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(4)である。
(1) 天然ゴムを40質量%以上95質量%以下と、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを5質量%以上60質量%以下と、ブタジエンゴムを10質量%以上55質量%以下とを含有するゴム成分100質量部と、
シリカを前記ゴム成分100質量部に対して30質量部以上70質量部未満含有することを特徴とする防舷材用ゴム組成物。
(2) さらに、カーボンブラックを含有し、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下である上記(1)に記載の防舷材用ゴム組成物。
(3) 船舶または岸壁と接する部分が、上記(1)または(2)に記載の防舷材用ゴム組成物を用いて形成されることを特徴とする防舷材。
(4) 色が、白色、黄色、灰色および橙色からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(3)に記載の防舷材。
本発明によれば、防舷材用ゴム組成物は、引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性に優れる。
図1は、本発明の実施形態に係る防舷材の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る防舷材の本体の一部を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る防舷材の一例を模式的に示す断面図である。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
<防舷材用ゴム組成物>
本実施形態に係る防舷材用ゴム組成物(以下、「本実施形態の組成物」という。)は、天然ゴムとエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分と、シリカとを含んでいる。
(ゴム成分)
本実施形態の組成物に含有される、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)およびブタジエンゴム(BR)以外のゴム成分としては、防舷材に使用できるものであれば特に制限されない。例えば、合成ゴム、または天然ゴムと合成ゴムとの混合物等であり、例えば、ジエン系ゴム等を好適に挙げることができる。ジエン系ゴムとしては、具体的には、例えば、イソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等を挙げることができる。また、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。これらのゴム成分は、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらのゴム成分のなかでも、耐オゾン性、耐低温オゾン性、耐寒性および耐摩耗性に優れるという理由から、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムおよびブタジエンゴムを含んでいる。なお、本実施形態において、低温とは約0℃以下のことをいう。さらに約−20℃までを好ましい温度範囲として設定できる。
天然ゴムは、シス−1,4−ポリイソプレンが頭尾結合する構造を有するポリマーであり、一般に用いられる天然ゴムを使用することができる。天然ゴムとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、TSR−20、RSS#3等が挙げられる。
ゴム成分中の天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中に40質量%以上95質量%以下であり、好ましくは40質量%以上85質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上75質量%以下である。
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムは、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーを共重合して得られる合成ゴムであれば特に限定されない。このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとしては、具体的には、例えば、ジエンモノマーとして、エチリデンノルボーネン、ジシクロペンタジエン等を用いて得られる合成ゴムが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、住友化学社製のエスプレン505A等が挙げられる。
ゴム成分中のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中に5質量%以上60質量%以下であり、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムの含有量がゴム成分100質量部中に5質量%以上60質量%以下であると本実施形態の組成物は耐オゾン性が良好となるので好ましい。
ブタジエンゴムは、特に制限されない。例えば、従来公知のものを用いることができる。ブタジエンゴムとしては、質量平均分子量(Mw)が40万以上であるのが好ましく、45万以上であるのがより好ましい。質量平均分子量がこの範囲であると、加硫後のゴム組成物における引張強さおよび切断時伸びがさらに向上する。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography(GPC))により測定した質量平均分子量(ポリスチレン換算)であり、測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いるのが好ましい。ブタジエンゴムとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、日本ゼオン株式会社製のNipol BR1220L、Nipol BR1250H等が挙げられる。
ゴム成分中のブタジエンゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中に10質量%以上55質量%以下であり、好ましくは15質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上40質量%以下である。ブタジエンゴムの含有量がゴム成分100質量部中に10質量%以上55質量%以下であると本実施形態の組成物は耐寒性が良好となるので好ましい。
天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムおよびブタジエンゴムの含有量が各々上記範囲内であれば、本実施形態の組成物は引張強度、耐摩耗性および耐オゾン性を維持しながら耐低温オゾン性を向上させることができる。また、本実施形態の組成物の加硫後の物性である耐摩耗性、引張強さおよび切断時伸びが良好になる。
(シリカ)
本実施形態の組成物に含有されるシリカは、ゴム組成物に使用できるものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、天然シリカ、合成シリカ、乾式シリカ、湿式シリカ等が挙げられる。なかでも、分散性と耐摩耗性とのバランスに優れるという観点から、平均凝集粒径が5μm〜50μmのものが好ましい。シリカは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して30質量部以上70質量部未満であり、好ましくは30質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上50質量部以下である。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して30質量部以上であると、本実施形態の組成物を用いて形成される防舷材は耐摩耗性に優れる。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して70質量部未満であると、本実施形態の組成物を用いて形成される防舷材は防舷材の柔軟性が保たれ耐候性、耐オゾン性、耐低温オゾン性に優れ、クラックが生じ難くなる。
また、シリカの含有量は、耐候性、耐摩耗性により優れ、耐オゾン性、耐低温オゾン性に優れ、クラックが生じ難く、さらに混合、圧延、成型性等加工性に優れるという観点から、ゴム成分100質量部に対して30質量部以上70質量部未満であるのが好ましい。
(カーボンブラック)
本実施形態の組成物は、さらにカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを含有することにより、本実施形態の組成物を用いて形成される防舷材は灰色の色物防舷材とすることができる。すなわち、カーボンブラックは着色剤としての作用を有する。
カーボンブラックは特に制限されない。例えば、従来公知のゴム組成物に配合することができる任意のカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられる。カーボンブラックは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上4.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以上4質量部以下である。カーボンブラックの含有量が5質量部以下である場合、本実施形態の組成物を用いて形成される防舷材は船舶や岸壁を汚染しにくいため汚染性に優れると共に耐摩耗性および破断性能が良好になる。また、カーボンブラックの含有量が上記範囲内であれば灰色の防舷材を得ることができる。
本実施形態の組成物は、さらに加硫剤および加硫促進剤を含有することができる。加硫剤は、特に制限されない。加硫剤としては、例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(DPTT)等の有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド等の有機過酸化物;キノンジオキシム等が挙げられる。加硫剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
加硫剤の含有量は、加硫を十分に進行させることができるという観点から、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜3質量部であることが好ましい。
加硫促進剤は、特に制限されない。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS、ノクセラーCZ;大内新興化学工業社製)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジ
スルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(TRA)等が挙げられる。
なかでも、本実施形態の組成物から得られるゴム材料の物性、硬度、破断性能、耐セット性に優れ、耐摩耗性により優れるという観点から、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。加硫促進剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
加硫促進剤の含有量は、加硫速度を速めて生産性を向上するという観点から、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部〜5質量部であるのが好ましく、0.3質量部〜3質量部であるのがより好ましい。
本実施形態の組成物は、さらにシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、ゴム組成物に使用できるものであれば特に制限されない。例えば、硫黄結合を有するアルコキシシラン化合物;3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシランのようなメルカプト基を有するシラン化合物;3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシランのようなニトロ基を有するシラン化合物;3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシランのような塩素原子を有するシラン化合物等が挙げられる。
なかでも、ジエン系ゴムとの反応性に優れるという観点から、硫黄結合を有するアルコキシシラン化合物であるのが好ましい。
硫黄結合を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリメトキシシリ)エチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリ)プロピル)ジスルフィドのような硫黄結合の両側にアルコキシシリル基を有する化合物;3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられる。
なかでも、硬度、破断性能、ゴム加硫物性に優れ、耐摩耗性により優れるという観点から、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。シランカップリング剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤の含有量は、スコーチ安定性、硬度、破断性能、ゴム物性に優れ、耐摩耗性により優れるという観点から、シリカの含有量の8質量%〜12質量%であるのが好ましい。
本実施形態の組成物は、上述したように、必須成分として、ゴム成分100質量部中に天然ゴムと、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムと、ブタジエンゴムとを各々所定量含み、さらにゴム成分100質量部に対してシリカを所定量含むことによって、引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性を向上させることができる。
本実施形態に係る組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した必須の成分の他に、必要に応じて使用することができるカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、シランカップリング剤の他に、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、着色剤(顔料)、加硫促進助剤、加硫遅延剤、充填材、軟化剤、可塑剤、活性剤、粘着付与剤、滑剤、老化防止剤、加工助剤等の通常用いられる配合剤等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。添加剤等は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本実施形態の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
着色剤としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。着色剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜20質量部であることが好ましい。着色剤の含有量がこの範囲である場合、物性(例えば、モジュラス、硬度等)を損なうことなく着色することができる。
加硫促進助剤としては、具体的には、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)、マグネシア等の金属酸化物;リサージ、鉛丹、水酸化カルシウム、脂肪酸、ステアリン酸等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。加硫促進助剤の含有量は、ゴム100質量部に対して0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。加硫促進助剤の含有量が上記範囲内である場合、加硫が十分に進行し、高物性(例えば、モジュラス、硬度に優れた)材料が得られる。
加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンズイミダゾール、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。加硫遅延剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部〜3質量部であることが好ましい。加硫遅延剤の含有量が上記範囲内である場合、加硫を阻害することなく、スコーチを安定させることができる。
充填剤としては、具体的には、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、マイカ、カーボンブラック等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して20質量部〜100質量部であることが好ましい。充填剤の含有量が上記範囲内である場合、十分な物性(例えば、破断伸び、硬度等)が得られる。
軟化剤としては、具体的には、例えば、リノール酸、オレイン酸、アビエチン酸を主とするトール油、パインタール、菜種油、綿実油、落花生油、ひまし油、パーム油、フアクチス等の植物系軟化剤;パラフィン系油、ナフテン系油、芳香族系油等の鉱物油系軟化剤等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜150質量部であることが好ましい。軟化剤の含有量が上記範囲内である場合、混合、圧延等の加工性が優れる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、トリメリット酸エステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜150質量部であることが好ましい。可塑剤の含有量が上記範囲内である場合、混合、圧延等の加工性が優れる。
活性剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。活性剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部〜5質量部であることが好ましい。活性剤の含有量が上記範囲内である場合、加硫を十分に進行させることができる。
粘着付与剤としては、具体的には、例えば、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂、ポリブテン、ロジン誘導体等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。粘着付与剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜50質量部であることが好ましい。粘着付与剤の含有量が上記範囲内である場合、加工性を損なうことなく、十分な粘着性が得られる。
滑剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸の金属石鹸、高融点ワックス、低分子量ポリエチレン、オクタデシルアミン等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。滑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜50質量部であることが好ましい。滑剤の含有量が上記範囲内である場合、十分な流動性が得られる。
老化防止剤は、船舶や岸壁を汚染しにくく汚染性に優れるという観点から、非汚染性老化防止剤であるのが好ましい。非汚染性老化防止剤は、船舶や岸壁を汚染させない、または汚染させにくく、オゾン等によるゴムの劣化を抑制できるものであれば、特に限定されない。例えば、フェノール系老化防止剤が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノール、ブチル・ヒドロキシアニソール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール、シクロヘキシル化フェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル・ジフェニルメタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等を挙げることができる。
なお、本実施形態の組成物は、船舶や岸壁を汚染しにくく汚染性に優れるという観点から、汚染性を有する老化防止剤を含有しないのが好ましい。汚染性を有する老化防止剤は、防舷材が船舶や岸壁に接触する際に船舶や岸壁に転写してこれらを汚染させるものである。汚染性を有する老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが挙げられる。
本実施形態の組成物を調製する方法は、特に制限されない。例えば、上述したゴム成分100質量部中に、天然ゴムを40質量%以上95質量%以下と、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを5質量%以上60質量%以下と、ブタジエンゴムを10質量%以上55質量%以下とを含み、ゴム成分100質量部に対してシリカを30質量部以上70質量部未満を配合し、さらに必要に応じて上記のカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、シランカップリング剤と、添加剤等を適宜選択して所定量添加し、ロールミルあるいはバンバリミキサー等を用いて、所定の温度で所定の時間混練し、ゴム組成物を得る方法が挙げられる。
本実施形態の組成物は、防舷材用のゴム組成物として使用することができる。また、本実施形態の組成物を使用することによって、黒色以外の色物防舷材を提供することができる。防舷材の色としては、例えば、白色、灰色、黄色、橙色が挙げられる。本実施形態の組成物から得られるゴムは、組成物を混合して均一とした際の色がゴムの色に反映されるため、組成物の色とほぼ同じ色のものとすることができる。
本実施形態の組成物において、天然ゴムとエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分と、シリカのみを含有する組成物の色は白色である。上記ゴム成分とシリカに、例えば、着色剤、カーボンブラック等を添加することによって、組成物を着色させることができる。着色剤としては上記と同様のものが挙げられる。
天然ゴムとエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分と、シリカにカーボンブラックをゴム成分100質量部に対して5質量部以下で加えることによって、灰色のゴム組成物を得ることができる。なお、ゴム組成物を灰色とするためにカーボンブラック以外のものを加えることができる。
また、黄色の組成物を得るためには、天然ゴムとエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分と、シリカに、例えば、イエロー系着色剤を加えることができる。イエロー系着色剤としては、例えば、ジスアゾイエロー系顔料、ジンククロメート、黄土(オーカー)、黄色酸化鉄(マルス黄色)が挙げられる。同様に橙色の組成物を得るためには橙色系着色剤を加えることができる。
本実施形態の組成物は、上述したような優れた特性を有することから、防舷材の製造に好適に用いられるが、この他にも、耐低温オゾン性が要求されるゴム製品等の製造に好適に用いることができる。
<防舷材>
次に、本実施形態の組成物を防舷材に用いた場合について説明する。本実施形態に係る防舷材(以下、「本実施形態の防舷材」という。)は、船舶または岸壁と接する部分が、本実施形態の防舷材用ゴム組成物を用いて形成されるものである。
防舷材は、船舶または岸壁と接する部分が本実施形態の組成物を用いて形成されるゴムであれば特に制限されない。防舷材としては、船舶または岸壁と接する部分、例えば、設置される防舷材と船体とが接触する部分、または設置される防舷材と岸壁とが接触する部分の何れか一方または両方に、本実施形態の組成物からなるゴムと、その他の部分に本実施形態の組成物からなるゴム以外のゴムとによって形成される防舷材、または防舷材全体が本実施形態の組成物を用いて形成される防舷材が挙げられる。また、防舷材としては、例えば、空気式防舷材、ソリッド式防舷材等が挙げられる。なお、船舶または岸壁と接する部分とは、防舷材の外面の少なくとも一部分であり、例えば、防舷材を船舶に設置する場合には、防舷材と船体とが接触する部分、船舶が岸壁へ接岸する際に防舷材と岸壁とが接触する部分、および洋上で船舶と他の船舶とが接舷する際に防舷材と他の船舶の船体とが接触する部分等が挙げられる。また、防舷材を岸壁に設置する場合には、船舶が岸壁へ接岸する際に防舷材と船体とが接触する部分等が挙げられる。
(空気式防舷材)
図1は、本実施形態に係る防舷材の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、空気式防舷材10は、空気式防舷材10の本体12と、金具14、16とを有している。金具14、16は、例えば、エアバルブ、安全弁、吊具取付部(いずれも図示せず。)を有することができる。空気式防舷材10の内部(図示せず。)には例えば、空気等のガス、液体が充填され、空気式防舷材10は弾力性を有する。
図2は、空気式防舷材10の本体12の一部であるA部分を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本体12は、最外層20と、ゴム内層22と、補強層24とを有する。空気式防舷材10の場合、最外層20または最外層20の外面の少なくとも一部分に本実施形態の組成物からなるゴム層が使用される。
空気式防舷材10は、最外層20と、ゴム内層22と、最外層20とゴム内層22との間に配置されている補強層24とを有する防舷材である。空気式防舷材10において、船舶または岸壁と接する最外層20または最外層20の外面の少なくとも一部分には、本実施形態の組成物からなるゴムが使用される。最外層20は、補強層24との接着性に優れると共にゴム内層22との接着性に優れる。
最外層20に使用されるゴム組成物は、本実施形態の組成物であれば特に制限されない。最外層20用のゴムは、本実施形態の組成物を加硫することによって得ることができる。加硫は、例えば、従来公知の方法に従って行うことができる。
空気式防舷材10に使用されるゴム内層22は特に制限されない。気密性を有するものが好ましい。ゴム内層22としては、例えば、従来公知の、防舷材の内層ゴムとして使用されるゴム組成物からなるゴム、タイヤ用ゴム組成物からなるゴム等が挙げられる。
ゴム内層22用のゴムは、上記のゴム組成物を加硫することによって得ることができる。加硫は、例えば、従来公知の方法に従って行うことができる。ゴム内層22用のゴムは、気密性に優れるという観点から、引張強さが10MPa以上であり、破断伸びが400%以上であるのが好ましい。ゴム内層22に使用されるゴムを空気式防舷材10の最内層として配置することができる。
空気式防舷材10に使用される補強層24は、補強用コードをゴムでコーティングしたものである。補強用コードはゴム製品に使用されるものであれば特に制限されない。例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。なかでも、補強性に優れるという観点から、ポリエステル繊維が好ましい。補強用コードをコーティングする際に使用するゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。また、補強層24は、2層以上として使用することができ、耐圧性と経済性に応じて適宜選択することができる。
(ソリッド式防舷材)
図3は、本実施形態に係る防舷材の一例を模式的に示す断面図である。図3に示すように、ソリッド式防舷材30は、ソリッド式防舷材30の本体32と、金具34、36とを有する。ソリッド式防舷材30は、金具34、36によって船舶または岸壁に固定される。
図3に示すソリッド式防舷材30の場合、船舶または岸壁と接する本体32または本体32の外面の少なくとも一部分に本実施形態の組成物からなるゴムが使用される。または、例えば、ソリッド式防舷材30の本体32を通常のゴム組成物で作製し、その上に本実施形態の組成物からなるゴム層(図示せず)を積層させてソリッド式防舷材30(図示せず)とすることができる。
防舷材は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
空気式防舷材10の場合、例えば、未加硫の防舷材用ゴム組成物と、さらに、必要に応じて補強層24を構成する補強用コードをゴムでコーティングしたもの等を用いて、その1/2体の未加硫状態における成形までを行なった後、成形金型内で加熱加圧加硫を行なう方法が好適に例示される。加硫条件は、防舷材用ゴム組成物の配合組成に応じて適宜選択することができる。例えば、温度130℃〜150℃、圧力0.5MPa〜2MPaの条件下で、30分間〜120分間程度で行うことができる。次いで、得られた1/2体の加硫物2個を用いて、通常の方法により空気式防舷材10を成形する。または、金型内に最外層20とゴム内層22と、最外層20とゴム内層22との間に補強層24とを配置して、一体的に加硫成形することによって空気式防舷材10を得ることができる。加硫条件は、防舷材用ゴム組成物の配合組成に応じて適宜選択することができる。
ソリッド式防舷材30の場合、例えば、防舷材用ゴム組成物を未加硫状態で成形までを行なった後、成形金型内で加熱加圧加硫を行なう方法が好適に例示される。加硫条件は、防舷材用ゴム組成物の配合組成に応じて適宜選択することができる。例えば、温度130℃〜150℃、圧力0.5MPa〜2MPaの条件下で、30分間〜120分間程度で行うことができる。
防舷材は、その色が、例えば、白色、黄色、灰色および橙色からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
防舷材10、30は、上述した構成を有するので、引張強度および耐摩耗性を維持しながら耐低温オゾン性を向上させることができるため、耐久性に優れ、長期の信頼性を有することができる。また、本実施形態の防舷材10、30は、耐低温オゾン性を有するので外気温度が低温になる寒冷地においても使用することができる。
以上、本発明の防舷材用ゴム組成物および防舷材について詳細に説明したが、本発明は上記の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種の変更および改良を行ってもよい。
以下、本実施形態に係る組成物を実施例により具体的に説明する。ただし、本実施形態に係る組成物はこれらに限定されるものではない。
<ゴム組成物の調製>
表1に示す各成分のうち硫黄および加硫促進剤以外の各成分を、同表に示す配合量(質量部)で配合し、1.5リットルの密閉型ミキサーを用いて5分間、60℃の条件下で混練し、これに表1に示す硫黄および加硫促進剤を同表に示す量で添加してオープンロールで混合して表1に示される各々の実施例、比較例の各ゴム組成物を調製した。
<加硫ゴムの調製>
上記で得られた各ゴム組成物を15×15×0.2cmの金型内で150℃で30分間加硫して、シート状の加硫ゴム(厚さ2mm)を得た。
上記で得られた各々の実施例、比較例の各加硫ゴムについて、以下に示す方法で、引張強度(TB)、アクロン摩耗、耐オゾン性、耐低温オゾン性の評価を行った。その結果を表1に示す。
<引張強度(TB)>
上記で得られた各加硫ゴムからダンベル3号形の試験片を打ち抜き、JIS K6251:2010に準じて500mm/分の引張速度にて引張強度を測定した。引張強度が18MPa以上である場合に良好と評価した。結果を表1に示す。
<アクロン摩耗>
アクロン摩耗試験は、JIS K6264−2:2005に準じ、A法により円盤状試験片を用い、室温(23℃)で、27.0Nの付加力を与え、傾角15°、本試験運転の回転数1,000回、試験片回転速度75rpmで行い、1,000回転当りの摩耗体積(ml)を求めた。摩耗体積が0.15ml以下である場合に良好と評価した。結果を表1に示す。
<耐オゾン性>
上記で得られた各加硫ゴムから短冊状の試験片を打ち抜き、JIS K6259:2004に準じて、試験片を伸長ひずみ20%、オゾン濃度100pphm、温度40℃の条件下に168時間置き、168時間後に試験片の外観を目視で確認した。耐オゾン性の評価基準は、試験片に亀裂が発生しなかった場合を○と評価し、3mm以上の亀裂が多数発生した場合を×と評価した。結果を表1に示す。
<耐低温オゾン性>
上記で得られた各加硫ゴムから短冊状の試験片を打ち抜き、JIS K6259:2004に準じて、試験片を伸長ひずみ20%、オゾン濃度50pphm、温度0℃の条件下に168時間置き、168時間後に試験片の表面を目視で確認した。耐低温オゾン性の評価基準は、試験片に亀裂が発生しなかった場合を○と評価し、3mm以上の亀裂が多数発生した場合を×と評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014205750
上記表1に示される各成分は、以下のとおりである。
・天然ゴム:商品名「TSR−20」、THAITECH RUBBER Co.Ltd社製
・エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム:商品名「エスプレン505A」、住友化学社製
・ブタジエンゴム:商品名「Nipol BR 1220L」、日本ゼオン社製
・着色剤:HAFカーボンブラック、商品名「シースト300」、東海カーボン社製
・シリカ:商品名「ニップシールVN3」、東ソー・シリカ社製
・ZnO:商品名「亜鉛華3号」、正同化学工業社製
・ステアリン酸:商品名「ビーズステアリン酸」、日本油脂社製
・老化防止剤:商品名「SANTOFLEX6PPD」、フレキシス社製
・パラフィンワックス:商品名「サンノック」、大内新興化学工業社製
・酸化チタン:商品名「タイペークR−820」、石原産業社製
・シランカップリング剤:商品名「Si69」、Degussa社製
・パラフィン系オイル:商品名「マシン油22」、昭和シェル石油社製
・硫黄:粉末硫黄、軽井沢精錬所社製
・加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、商品名「サンセラーCM−PO」、三新化学工業社製
・加硫遅延剤:商品名「PILGARD」、NOCIL LIMITED社製
表1に示す結果から、実施例1〜4は、何れも引張強度、アクロン摩耗、耐オゾン性、耐低温オゾン性に優れることが確認された。
これに対して、比較例1は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを含まないため耐低温オゾン性に劣ることが確認された。比較例2は、天然ゴムの含有量が少ないため引張強度に劣ることが確認された。比較例3は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムの含有量が少ないため耐低温オゾン性に劣ることが確認された。比較例4は、シリカの含有量が少ないため引張強度、耐低温オゾン性に劣ることが確認された。比較例5は、シリカの含有量が多いため耐低温オゾン性に劣ることが確認された。比較例6は、ブタジエンゴムの含有量が少ないためアクロン摩耗に劣ることが確認された。
よって、ゴム成分100質量部中に天然ゴムとエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとブタジエンゴムとを各々所定量含み、さらにシリカを所定量含むゴム組成物は、引張強度、耐摩耗性、耐オゾン性を維持しながら耐低温オゾン性を向上させることができる(実施例1〜4参照)。
従って、本発明のゴム組成物は、従来から用いられるゴム組成物と比べて引張強度、耐摩耗性、耐オゾン性を維持しながら耐低温オゾン性を向上させることができることから、防舷材の製造等に好適に用いることができることが判明した。
10 空気式防舷材
12 本体
14、16 金具
20 最外層
22 ゴム内層
24 補強層
30 ソリッド式防舷材
32 本体
34、36 金具

Claims (4)

  1. 天然ゴムを40質量%以上95質量%以下と、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを5質量%以上60質量%以下と、ブタジエンゴムを10質量%以上55質量%以下とを含有するゴム成分100質量部と、
    シリカを前記ゴム成分100質量部に対して30質量部以上70質量部未満含有することを特徴とする防舷材用ゴム組成物。
  2. さらに、カーボンブラックを含有し、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下である請求項1に記載の防舷材用ゴム組成物。
  3. 船舶または岸壁と接する部分が、請求項1または2に記載の防舷材用ゴム組成物を用いて形成されることを特徴とする防舷材。
  4. 色が、白色、黄色、灰色および橙色からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の防舷材。
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