JP2014202725A - 生物組織の密着・保持部材およびそれを備えた容器 - Google Patents

生物組織の密着・保持部材およびそれを備えた容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 生物組織の変形を出来るだけ抑え、また傷つけずに収納部内にしっかりと密着・保持させる密着・保持部材およびこれを備えることにより生物組織を傷つけずにしっかりと固定、包埋、薄切できる容器を提供する。
【解決手段】 生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる生物組織を固定、包埋、または薄切する容器の収納部に生物組織を密着・保持し、生物組織の移動を阻止する密着・保持部材であって、水、ホルマリン、エタノールなどの液状媒体に膨潤する液状媒体膨潤性高分子により形成されてなる密着・保持部材、および生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生物組織の密着・保持部材およびそれを備えた容器に関する。
生物体より採取された組織からその組織の状態を調べる場合、組織検査室で検査し、組織の病理学的診断を行い、又、形態研究のために生物組織をカセットに収納し、固定、包埋、さらに薄切という一連の作業が一般に行われる。このような従来の一般的な操作作業は、煩雑で時間を要し、さらには作業中に対象となる組織の挫滅の可能性や、標本の取り違えなどもあり改善が望まれていた。作業の簡略化と上記のミスをなくす方法として、採取された生物組織を容器に収納後、固定から薄切まで容器を変えることなく標本作製過程を行うことができる生物組織固定・包埋・薄切用カセットが提案されている(特許文献1)。
この生物組織固定・包埋・薄切用カセットは、所定以上の硬さ及び強度の薄切可能な素材板に採取された生物組織を載置する基板と、基板と一体の素材板を折曲させ、又は別体の板材を着脱自在として開閉する蓋板とを備え、基板に生物組織を収納する収納部が設けられ、蓋板を閉じてその間に生物組織を密着・保持し生物組織の移動を阻止する密着・保持部材が基板の収納部内に蓋板を介して又は着脱自在に設けられ、両板材には多数の小孔を設けられている。この生物組織固定・包埋・薄切用カセットにおいて、生物組織を収納部の底板に密着・保持させるための密着・保持部材としてスポンジ素材を用いることが提案されている。
また、小さい組織や、壊れやすい生物組織を採取した場合は、採取された組織が標本作成中にカセットより逸脱したり、傷つくのを防ぎ生物組織の形を整えるために、スポンジ素材からなる「バイオプシシート」(商品名、サクラファインテックジャパン社製)を用いて生物組織を包み込み、「バイオプシーシート」ごと容器に入れて、組織の逸脱や、傷つくのを防いでいる。固定、包埋が終わった段階で「バイオプシーシート」より、ピンセットで組織を取り出し別の容器の収納部に納めて包埋した後薄切している。
特許第4792586号
しかしながら、密着・保持部材として上記のスポンジ素材を用いて、生物組織を固定、包埋させる際、強く包み込んだ場合はスポンジ素材が生物組織を変形させたり、傷つけるという問題がある。また組織を容器に入れる際に「バイオプシシート」(商品名、サクラファインテックジャパン社製)を用いて生物組織を包み込むという作業が必要であり、また包埋する際に「バイオプシート」より組織を取り出さなければならず、手間がかかりまたこの時に組織の取り違えが起こるという問題がある。
上記の生物組織の標本を作成するにおいて、生物組織を固定・包埋または薄切する場合に、簡単な作業により、生物組織の形を保ち、また傷つけずに収納部内に密着・保持し、生物組織を変形させたり、傷つけない良好な標本ができ、また組織の取り違えのミスを防ぐ生物組織の密着・保持部材が望まれていた。
本発明は、生物組織の変形を出来るだけ抑え、また傷つけずに収納部内にしっかりと密着・保持させる密着・保持部材、さらにこの密着・保持部材を備えることにより生物組織を傷つけずにしっかりと固定、包埋、薄切でき、さらに組織の取り違えのミスを防ぐことができる容器を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、密着・保持部材として、水、ホルマリン、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸またはこれらの2種以上の混合物から選ばれるいずれかの液状媒体に膨潤する液状媒体膨潤性高分子を用いることにより達成できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる生物組織を固定、包埋、または薄切する容器の収納部に生物組織を密着・保持し、生物組織の移動を阻止する密着・保持部材であって、水、ホルマリン、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸またはこれらの2種以上の混合物から選ばれるいずれかの液状媒体に膨潤する液状媒体膨潤性高分子により形成されてなる密着・保持部材である。
さらに本発明は、上記液状媒体膨潤性高分子が、水膨潤性高分子であることを特徴とする。
さらに本発明は、上記液状媒体膨潤性高分子が、水膨潤性ポリウレタン系高分子であることを特徴とする。
さらに本発明は、密着・保持部材を生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器に用いることを特徴とする。
また、本発明は、生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる容器であって、上記の密着・保持部材が前記収納部の中にあって生物組織の上に設置されてなる、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器である。
さらに本発明は、上記容器が基板、蓋板および収納部に多数の小孔が設けられてなることを特徴とする。
また本発明は、上記の収納部に生物組織および密着・保持部材を納めた後、蓋板を閉じ、前記容器を液状媒体に浸漬させて液状媒体膨潤性高分子を膨潤させ生物組織を収納部の底板に密着・保持させることを特徴とする密着・保持部材の使用方法である。
本発明によれば、生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる生物組織を固定、包埋、または薄切する容器の収納部に生物組織を密着・保持し、生物組織の移動を阻止する密着・保持部材であって、水、ホルマリン、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸またはこれらの2種以上の混合物から選ばれるいずれかの液状媒体(以下単に液状媒体という場合がある)に膨潤する液状媒体膨潤性高分子(以下単に膨潤性高分子という場合がある)により形成された密着・保持部材が、該液状媒体で膨潤すると、膨潤した柔らかい高分子が生物組織の表面に軽く接して押し、また高分子と生物組織の間に存在する液状媒体が緩衝材の役目を果たすので、生物組織を傷つけずに収納部の底板に密着・保持させることができる。
また膨潤性高分子は構造により硬度を変更できるので、生物組織の硬度に対応できる膨潤時の硬度を有する膨潤性高分子を使用することにより、良好な密着・保持機能を発揮できる。
また、大きな生物組織であって表面の凹凸の大きい複雑な形状のものであっても、膨潤性高分子が膨潤して生物組織を収納部の底板に強くない力で圧排することにより、生物組織を傷つけずに収納部の底に接することにより、底面を出来るだけ平坦な形状の生物組織にすることができる。従来、「バイオプシシート」(商品名、サクラファインテックジャパン社製)を用いて生物組織を包み込んで組織を保護していたが、本発明の密着・保持部材を用いることにより、生物組織を傷つけずに平坦にすることができる。また、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットに本発明の密着・保持部材を用いれば、ピンセットで生物組織を別の容器に移さずに生物組織を包埋または薄切することができ、効率的であると共に、生物組織の取り違えなどを防ぐことが出来る。
本発明によれば、前記液状媒体膨潤性高分子が、水膨潤性高分子であるので、水により膨潤して、生物組織を収納部に密着・保持することができ、汎用性が大きい。また水に膨潤する高分子は種類が多いので、多くの水膨潤性高分子の中から選択して使用することができ、経済的、機能的に有利である。
本発明によれば、前記膨潤性高分子が、水膨潤性ウレタン系高分子であるので、組織標本作成の操作過程で用いるイソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸、パラフィンなどの薬品に対しても溶解することはなく、収納部の底板に密着・保持した生物組織を汚染することがなく、得られた標本における組織の観察を阻害しない。
本発明によれば、上記密着・保持部材を生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器に用いるので、密着・保持部材が液状媒体で膨潤して生物組織を傷つけずに収納部の底板にしっかりと密着・保持させることができ、生物組織を固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
本発明によれば、生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる容器であって、上記の密着・保持部材が前記収納部の上または中であって生物組織の上に設置されてなる、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器であるので、この容器を用いれば密着・保持部材が液状媒体で膨潤して生物組織を傷つけずに収納部の底板にしっかりと密着・保持させることができ、生物組織を固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
本発明によれば、上記容器の基板、蓋板および収納部に多数の小孔が設けられているので、容器を液状媒体に浸漬したとき液状媒体が多数の小孔から侵入し密着・保持部材を容易に膨潤させることができる。その結果、生物組織を傷つけずに収納部の底板によりしっかりと密着・保持させることができ、生物組織を固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
本発明によれば、基板、蓋板および収納部に多数の小孔が設けられてなる、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器の収納部に生物組織および密着・保持部材を納めた後、蓋板を閉じ、生物組織固定・包埋・薄切用カセットを液状媒体に浸漬させるので、密着・保持部材が膨潤して生物組織を傷つけることなく収納部の底板にしっかりと密着・保持し、生物組織を容器内で固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
本発明における実施形態の密着・保持部材の例を示す斜視図である。 本発明における一つの実施形態の生物組織固定・包埋・薄切用カセットの(a)分解斜視図、(b)は(a)図の矢視X−Y面で切断したときの断面図、(c)は(b)図において生物組織を収納部に入れその上から密着・保持部材を設けたときの断面図、(d)は(c)図において、膨潤性高分子を膨潤させたときの断面図、(e)は(c)図における一つの収納部を拡大した断面図、(f)は(d)図における一つの収納部を拡大した断面図である。 本発明における別の実施形態の生物組織固定・包埋・薄切用カセットの(a)断面図、(b)液状媒体に浸漬させた後の断面図である。 より大きな生物組織をより大きな収納部に入れた別の形態のカセットの断面図であり、(a)図は液状媒体に浸漬する前の状態を示し、(b)図は液状媒体に浸漬した後の状態を示す図である。 本発明における生物組織固定・包埋・薄切用カセットを用いた場合の薄切標本のヘマトキシリン・エオジン染色結果の顕微鏡写真図である。
以下、本発明の実施の形態につき、説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
本発明で用いられる密着・保持部材は、水、ホルマリン、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸またはこれらの2種以上の混合物から選ばれるいずれかの液状媒体に膨潤する液状媒体膨潤性高分子から構成される。これらの液状媒体は、生物組織標本作成過程で使用される液状媒体である。ここでポリエチレングリコールは、室温で液状であればよく、たとえば数平均分子量が200〜600のものが挙げられる。現在上記の液状媒体が用いられているが、今後上記の液状媒体以外の液状媒体が本発明における容器を用いて標本を作製する過程の一部で使用されたとしても、その液状媒体は本発明の液状媒体に含まれるものである。これらの液状媒体の内、水は汎用性があり且つ高分子を最も膨潤しやすいので好ましい。
本発明の密着・保持部材の液状媒体膨潤倍率(以下単に膨潤倍率という場合がある)は容積で1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。1.5倍以上であると、カセットの収納部の深さが5mm程度の小型生物組織を扱うための小型収納カセットを使用する場合は、収納部に納められた膨潤性高分子が膨潤すると収納部の中間に存在している生物組織を傷つけることなく収納部の底板にしっかりと密着・保持させることができる。その結果、生物組織を容器内で固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
(膨潤倍率の測定法)
膨潤性高分子を10mm×10mmで厚さ10mmの立方体(体積:1,000mm)に切り取り、常温で液状媒体に浸漬し、1時間後に取り出し各辺を測定し、容積(Amm)を計算し、下式(1)で膨潤倍率を計算する。3個測定し、3個の平均値を膨潤性高分子の膨潤倍率とする。
膨潤倍率=A/1,000 (1)
本発明で使用される膨潤性高分子は、たとえば重量分子量が500以上の化合物を架橋すれば液状媒体中でゲル化して膨潤しやすい。分子量が大きくなればなる程、また架橋度が大きい程ゲル化しやすいが、架橋度が大きすぎると膨潤性は逆に低下する。膨潤倍率は、各膨潤性高分子において、その原料成分、特にその液状媒体に親和性のあるモノマーの種類や量を調節した上、架橋度などを調節することにより制御できる。
本発明で使用される膨潤性高分子としては、具体的にはたとえば、架橋ポリアクリル酸系高分子、膨潤性ポリエステル系高分子、膨潤性ポリウレタン系高分子、または膨潤性ナイロン系高分子などの膨潤性高分子が挙げられる。また、NBR,SBR、EPDM、EVA樹脂および塩化ビニル樹脂などの非膨潤性高分子に架橋ポリアクリル酸系やデンプン系の高吸水性樹脂を混練した複合高分子などが挙げられる。さらには、膨潤性ポリエステル系高分子、膨潤性ポリウレタン系高分子、または膨潤性ナイロン系高分子などの膨潤性高分子に、架橋ポリアクリル酸系やデンプン系の高吸水性樹脂を複合化させて膨潤性が向上した複合高分子などが挙げられる。これらの内で好ましいのは水膨潤性高分子であり、特に水、クロロホルムなどの極性媒体中で膨潤倍率が大きい。特に好ましいのは、水膨潤性ポリウレタン系高分子、または水膨潤性ポリウレタン系高分子に、架橋ポリアクリル酸系やデンプン系の高吸水性樹脂を複合化させた複合高分子である。
水膨潤性ポリウレタン系高分子は、膨潤しても弾力性に富み、耐薬品性が良好であるので前記の液状媒体に対して安定であり、本発明における密着・保持部材として好適である。水膨潤性ポリウレタン系高分子の中でも、水膨潤性ポリウレタンを発泡させた水膨潤性発泡ポリウレタンが特に柔軟であり、膨潤して生物組織に接触した場合でも生物組織を特に傷つけることがなくしっかりと密着・保持できるので好ましい。
また、膨潤時の硬度は任意であるが、生物組織の硬度は生物組織の種類により異なるため、生物組織の硬度に応じて膨潤時の硬度を調整した膨潤性高分子を用いることができる。膨潤時の硬度は主として膨潤性高分子のハードセグメント、ソフトセグメントの比率や架橋度を変えることにより調整できる。たとえば、水膨潤性発泡ポリウレタンの硬さ、弾力性などは使用するイソシアネートのハードセグメント、ポリオールなどのソフトセグメントの組成を変えることにより調整ができる。ポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく使用できる。さらに膨潤性は膨潤性発泡ポリウレタンに高吸水性樹脂を組み込んで複合化しても向上できる。
膨潤性高分子は、脱水・有機溶剤置換後にパラフィンが浸透できるものが好ましい。パラフィンが浸透できればパラフィン包埋工程において収納部の底板に密着・保持された生物組織をそのまま包埋することができる。膨潤性高分子が多孔質であるとその孔にパラフィンが侵入することができ生物組織の包埋ができるので好ましく、連通式の多孔質であればパラフィンは容易に孔に侵入して生物組織の包埋ができるのでより好ましい。すなわち、水膨潤性発泡ウレタンは多孔質であるので好ましく、水膨潤性連通式発泡ウレタンであればより好ましい。また無膜化処理が施された水膨潤性発泡ウレタンであるとパラフィンがさらに侵入しやすく特に好ましい。
密着・保持部材の大きさは、容器の収納部の中に入る程度の小さいチップ状のものから、収納部の上に置ける大きさのものまで、カセットの収納部の大きさに応じて使用できる
図1(a)〜(e)に本発明における膨潤する前の密着・保持部材の具体例を斜視図で示した。図1(a)は収納部に入る小さい円柱状のチップ状の密着・保持部材6を示す。チップ状の密着・保持部材の形状としては、図1(a)の円柱状の密着・保持部材6や、直方体状などの柱状の形状のもの、円錐状などの錐状の形状のものが好ましく挙げられるが、さらには不定形の形状のものであってもよい。これらの中で円柱状の形状のものが安定して密着・保持できるのでより好ましい。このものは収納部の中に1個ずつ入れて使用する。チップ状のものは生物組織の上におけば確実に収納部の底に密着・保持できるので、収納部の深さが深いときに有利に使用できる。
また、図1(b)に示すような複数の収納部に跨る細長いテープ状の密着・保持部材7や、図1(c)に示すような基板全体を覆うような板状の密着・保持部材8が挙げられる。これらのものは収納部の上に置くだけでよく、膨潤して収納部の中に入り生物組織を収納部の底に密着・保持する。これらの密着・保持部材は膨潤倍率が大きいときや、収納部の深さが比較的浅いときに有利に使用出来る。
また、柱状、円錐状、不定形状の密着・保持部材を細長いテープ状基体、基板全体に広がる板状基体、さらには蓋板の内側に予め粘着剤などで張り付けておけば一度に複数の密着・保持部材を複数の収納部に入れることができる。この例を図1(d)に示した。図1(d)では、一つのテープ状基体9に、図1(e)では板状基体10に、それぞれ4個の(a)図で示した円柱状のチップ状の密着・保持部材6が貼り付けられている。
密着・保持部材の作成法としては、たとえば密着・保持部材を形成する所定の膨潤度や硬度を有する膨潤性高分子を製造した後、その塊を所定の厚さにスライスし、所定の大きさにカットすることにより、図1(b)、(c)に示されるような密着・保持部材が得られる。また、所定の厚さにスライスしたものを上記の柱状、円錐状の型をもつトムスン装置などの打ち抜き装置で打ち抜くことによって図1(a)で示されるような柱状、錐状の密着・保持部材が得られる。また、不定形状のものははさみなどにより任意に切り取って得られる。
図1(d)で示されるような複数の柱状、錐状の密着・保持部材6を有するテープ状基体9は、複数の柱状または円錐状の密着・保持部材6を収納部の間隔に合わせて配置し、保持部材の底を粘着剤によりテープ上に接着させることにより得られる。また、テープ状基体9でなくても図1(e)で示されるような基板全体に広がる板状基体10や蓋板の内側に上記粘着剤により密着・保持部材6を前記収納部の間隔に合わせて配置し、粘着剤により接着してもよい。この場合、粘着剤が前記液状媒体から選ばれるいずれかの溶媒に溶解すれば、標本作成過程で粘着剤が溶解してなくなるので、外の液状媒体、特にパラフィンが収納部の中に侵入するのを阻害することがなくなり、良好な標本が作成できるので好ましい。
テープ状基体9や板状基体10の材質は用いる液状媒体に安定であれば特に限定はない。長さは容器に収納できればよく、また幅は柱状、円錐状の密着・保持部材6の底よりも広くても狭くてもよいが、狭い方が密着・保持部材と収納部の側壁との間に隙間ができ液状媒体が収納部に侵入できるので好ましい。また、テープ状基体9が液状媒体を通過させる有孔の通液性テープであれば外の液状媒体、特にパラフィンが収納部の中に侵入するのを阻害することがなく、良好な標本が作成できるので好ましい。特にテープ状基体9が図1(b)で示される本発明の密着・保持部材であると、テープ状基体も膨潤すると密着・保持部材の見かけ上の膨潤性も大きくなり、小さい円柱状のチップであっても生物組織を収納部の底によりしっかりと密着・保持することができる。このような密着・保持部材は、粘着剤で貼り付けなくても膨潤性高分子の塊から作成した一体化されたものでもよい。
本発明における容器は、生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなり、生物組織を固定、包埋、または薄切する容器であれば限定はないが、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットであるのが好ましい。生物組織固定・包埋・薄切用カセットの基本構造は、特許第4792856号に開示されたものと同じものが使用できる。
生物組織固定用カセットは、生物組織を固定する容器であり、組織を固定できればよい。生物組織固定・包埋用カセットは、生物組織を固定後包埋する容器であり、組織を固定および包埋できればよい。生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセットは、特許第4792856号に開示された生物組織固定・包埋・薄切用カセットに類似しているものが好ましく使用できるが、これに限定されない。
また、上記容器は好ましくは容器の基板、蓋板および収納部に多数の小孔が設けられているものである。容器を液状媒体に浸漬したとき液状媒体が多数の小孔から侵入し密着・保持部材を膨潤させることができる。その結果生物組織を傷つけずに収納部の底板にしっかりと密着・保持させることができ、生物組織を固定もしくは固定・包埋もしくは固定・包埋・薄切することができる。
図2は、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、および生物組織固定・包埋・薄切用カセットの代表として一つの実施形態の生物組織の固定・包埋・薄切用カセットを示す。図2(a)は基板1と蓋板2とを分解した斜視図、図2(b)は図2(a)を組立てて矢視X−Y面を切断したときの断面図、図2(c)は上記図2(b)において、収納部5の中に生物組織11を入れた後その上に密着・保持部材6を納め上から蓋板2を閉めた状態の断面図である。図2(d)は図2(c)において、密着・保持部材6を膨潤させたときの断面図、図2(e)は図2(c)における一つの収納部を拡大した断面図、図2(f)は図2(d)における一つの収納部を拡大した断面図である。
図2(a)の下段の図は生物組織11を載置する基板1を示し、上段の図はその蓋板2を示す。基板1は、底面に4個の底のある円筒状の溝があり、これが収納部5である。この収納部5に、生物組織11が収納される。この収納部5の形状は任意であり、図2(a)では円筒状の収納部を記載しているが、別の形状、たとえば直方体状の収納部であってもよい。収納部5は採取する生物組織11の大きさにより決めるのが好ましい。この図においては、収納部である収納部5は4個であるが、収納部の個数も任意である。また、図2(a)のカセットには四辺に周縁板3が設けられているが、これにより蓋板2は密着・保持部材6を支持しやすくなっている。周縁板3の替わりに他の支持部材を設けてもよい。
図2(a)の上段において示される蓋板2は、基板1とは別の板で構成されており、着脱自在に設けられており、収納部5に生物組織11が採取され、その上に密着・保持部材6が置かれた後、この蓋板2が閉められる。この図では蓋板2は別体であるが、一枚の長尺状の薄いプラスチックのシートを折曲げて基板1と蓋板2を同時に形成した一体型のものでもよい。また、蓋板2を閉めた後、密着・保持部材の膨潤により蓋板2が開かないように、蓋板2を基板1に固定してもよい。基板1、蓋板2、収納部材5には多数の小孔4が設けられているが、固定、脱水、包埋剤浸透、包埋操作中に液状媒体がカセット内に浸入出来るようにするためである。採取した生物組織11が処理中にこの小孔4から外に漏れることがなければよいが、一つのカセットには直径0.5mm〜1.0mm程度の孔を全体で10孔〜40孔/100mmの基準で設けるのが好ましい。
なお、カセット本体や収納部の他の形状については特許第4792856号に記載された形状なども挙げられ、特に限定されない。
基板、蓋板などの素材は、耐水性で、ホルマリン、アルコール、アセトンなどの固定剤に対する耐固定剤性、キシレン、クロロホルムなどのその他の有機溶媒に対する耐有機溶媒性があり、パラフィンで変質せず、−30℃〜65℃の温度変化で著しい変形、材質変化等の大きな影響を受けず、ミクロトーム(薄切装置)により生物組織収納部の溝の部分は数ミクロン単位の厚さに生物組織を含むカセットを薄切できる素材を用いるのが好ましい。
これらの基板、蓋板、周縁板、並びに溝板の素材としては、上記を満たすものであれば限定はないが、たとえばポリプロピレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリスチレン、ビニロン、ナイロン、ABS樹脂、特殊加工を施した紙類あるいはその他の生物素材などを用いることができる。好ましいのは加工性、コストの面からポリプロピレンである。
これらの板や部材としては、厚さ・硬さが異なるものを用いてもよいが、基板や蓋板の方が硬く、収納部を形成する溝板の方が柔らかいのが好ましい。カセットや各部材の大きさは任意であり、採取する生物組織の大きさや形状などによって変えることができるが、カセットの大きさは縦15〜50mm、横10〜40mmが好ましい。また、収納部である溝の幅や深さは採取する生物組織の大きさによって異なるが、幅は2〜5mm、深さは1〜5mmが好ましい。各板の厚さは基板、蓋板が0.4mm〜1mm、溝板が0.1mm〜0.2mmが好ましい。基板における収納部と蓋板との間隔は任意でよいが、たとえば1〜7mmである。
上記の図には記載していないが、基板と蓋板の先端側周辺の適宜位置に互いに密着して嵌合する小さな凹部と凸部による嵌合部をいずれか一方の板と他方の板に複数箇所それぞれ形成し、基板に蓋板を被せて生物組織をその間に収容するときは、それぞれの凹部と凸部を嵌合させて両板を結合状態にすることができる。必要に応じて上記凹凸の嵌合部は、両板の一方を他方から引き離して解放する。凹凸の嵌合部による形式以外にも、たとえば両板の適宜外周辺をクリップやホッチキスなどの挟持手段や接着剤などで互いに接合する形式のように基板に蓋板を着脱できれば上記以外の他の種々の形式のものを採用することもできる。基板と蓋板との間の距離が狭いほど、間にある水膨潤性高分子の層を圧縮することになるが、圧縮の度合いは任意である。
図2(b)は図2(a)を組立て矢視X−Y面を切断したときの断面図であり、収納部5が4個あることがわかる。
本発明の密着・保持部材の容器への配置の仕方は、密着・保持部材が膨潤して生物組織を収納部の底にしっかりと密着・保持できれば限定はなく、膨潤性高分子の膨潤度などに応じて変えることができる。たとえば、図1(a)の場合は収納部に1個ずつ入れる必要があるが、図1(d)、図1(e)の場合には一度に複数の密着・保持部材6を複数の収納部に納めることができるので効率的である。図1(b)、図1(c)の場合は、容器の基板より小さく、収納部をカバーできればよく、厚さは基板と収納部との間隔により決めてもよく、収納部の上に置くだけでよい。基板と収納部との間に納めたときに動かなければよく、蓋をして溶媒で膨潤することにより、組織を収納部の底板に柔らかく圧排することにより動かないようになるのが好ましい。したがって、層の厚さは2〜3mmが好ましい。
図2(c)は、収納部5の中に生物組織11を入れ、その上に密着・保持部材として図1(a)で示されるもの6を収納部の中に1個1個納めた状態を示している。この状態においては、まだ液状媒体に接触しておらず、密着・保持部材6は単に生物組織11の上にあるだけである。
図2(d)は、図2(c)において密着・保持部材である膨潤性高分子が液状媒体に浸漬して膨潤し、収納部5の底板に生物組織11をしっかりと密着・保持している状態を示す。
図2(e)は、図2(c)における一つの収納部を拡大した断面図、図2(f)は図2(d)における一つの収納部を拡大した断面図である。図2(e)では、密着・保持部材6が生物組織11の上にあるだけである。図2(f)では、密着・保持部材6が膨潤して生物組織11を収納部5の底にしっかりと保持している状態が示されている。密着・保持部材6の中の気泡12も膨潤により大きくなっていることもわかる。
密着・保持部材の膨潤度が小さい場合は、図2(c)に示すように、収納部に中にまで密着・保持部材を1個ずつ入れておくことにより本発明の目的が達成できるが、膨潤度が比較的大きい場合は、下記の図3に示す様に収納部全体の上に置くだけで、収納部の底板に生物し式を密着・保持させることができる。
図3(a)は、本発明における別の一実施形態の生物組織固定・包埋・薄切用容器の断面図、図3(b)は、図3(a)を前記液状媒体に浸漬したときの断面図である。収納部5は小孔4を有している。図3(a)は、4個の収納部5の中に生物組織11を納めた後、図1(e)で示される密着・保持部材6が付いた板状基板10を基板1の上に置き上から蓋板2を閉めた状態の断面図である。図1(e)の密着・保持部材は板状基体10に図1(a)で示されるチップ状の密着・保持部材6が接着してものであるので、一度に4個の密着・保持部材を4個の収納部5に収めることができる。この状態においては、まだ液状媒体に接触しておらず、密着・保持部材である膨潤性高分子は収納部5の中にはほとんど入っていない。基板の大きさに合わせた膨潤性高分子の層を基板の上に置いた様子を示している。
図3(b)は、図3(a)に示した容器を液状媒体に浸漬し、膨潤性高分子6が膨潤してその一部が収納部5に入り生物組織11を収納部5の底板にしっかりと密着・保持させている。板状基体10も膨潤性高分子で構成されているので、この部分も膨潤している。
図4はより大きな生物組織11をより大きな収納部に入れた別の形態のカセットの断面図を示した。図4(a)は広い収納部5に大きい生物組織11を入れ、密着・保持部材8を置き、蓋板2をした状態である。生物組織11には曲った複雑な形状のものがあり、そのような場合は生物組織11が収納部5の底に接しているのは部分的である。図4(b)は、上記カセットを液状媒体に浸漬させ、膨潤させた後の状態である。曲った複雑な形状の生物組織11は、より平坦になり収納部5の底に接する面積がより多くなっている。すなわち、密着・保持部材8が膨潤して生物組織を収納部の底板に柔らかく圧排する力によって、生物組織を傷つけずに、出来るだけ平坦な形状の生物組織にすることができ、この様な方法で包埋されたカセットを薄切する時には良好な薄切切片を得ることが出来る。従来、「バイオプシシート」(商品名、サクラファインテックジャパン社製)を用いて生物組織を包み込んで平坦にしていたが、本発明の密着・保持部材を用いることにより、生物組織を傷つけずに容易に平坦にすることができる。また、生物組織固定・包埋用容器、または生物組織固定・包埋・薄切用容器に本発明の密着・保持部材を用いれば、ピンセットで生物組織を別の容器に移さずに生物組織を包埋または薄切まですることができ、効率的であり、組織の取り違いを防ぐことが出来る。
上記の生物組織固定・包埋・薄切用容器を用いた場合は、薄切まで一貫して行うことができる。このような一貫した生物組織の固定・包埋・薄切操作方法では、容器の基板の収納部上に生物組織を載せ、膨潤性高分子を設置した後、蓋板を閉じて生物組織を収容し、この容器をパラフィンなどの固定剤に浸漬して生物組織を固定する。
たとえば、膨潤性高分子が水膨潤性高分子である場合を例にとると、以下のように操作される。固定操作過程において用いる液状媒体であるホルマリンは、含水固定液の一つであり、この固定液に浸漬中に水膨潤性高分子は膨潤して収納部の底板に生物組織を密着・保持することができる。浸漬時間は10秒〜1時間あればよい。また、その後の水洗過程においても水膨潤性高分子は水に接触するので膨潤することができる。その後必要な固定操作が終了した後、容器を自動包埋装置にセットする。自動包埋装置内で脱水後にパラフィンの包埋剤で固化すると薄切用ブロックが得られる。以上の様に薄切用ブロックは自動包埋装置を用いて作成されたが、ブロック作成までの工程は手動で行ってもよい。この薄切用ブロックは、ミクロトームにより薄切され切片となる。切片をスライドガラス上に置いた後、染色操作過程に移す。一般染色では容器の素材の薄片は脱パラフィン操作の過程でスライドガラスより自然に剥がれ落ちて染色されず、生物組織とスポンジ素材が染色される。この様にして染色された標本はスポンジ素材を用いないで固定・包埋・薄切されて染色された標本に比べて染色性において何ら変わることはない。
このように一貫した固定・包埋・薄切操作方法を順次用いれば、組織を採取した後、染色作業をするまで一貫して生物組織を一切ピンセットなどで扱うことなく生物組織を操作できる。生物組織の染色用薄切切片標本の作成を簡便かつ間違いなく作成できると共に、作業中に起こる組織の取り違えミスを防止することができ、臨床検査を含む組織形態学的検査領域で有効な検査容器として利用することができる。大きな生物組織に適用する場合も同様である。
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明するがこれに限定されるものではない。
[実施例]
図2に記載した4個の収納部をもつ二つのカセット(1個1個の溝の大きさは、直径4mm、深さ5mmである)にそれぞれ生物組織を採取し直径4mm、で高さ4mmの径の大きさが傾斜した円筒状の水膨潤性発泡ウレタン製の密着保持部材(液状媒体の膨潤倍率は水(2.4倍)、酢酸(4.2倍)、ホルマリン(2.8倍)、アセトン(2.0倍)、エタノール(2.0倍)、キシロール(1.6倍)、クロロホルム(5.3倍)。括弧内は容積の倍率)で収納部に収め、蓋を閉めた。常法に基づき標本を作成した。上記の例で示した5個のカセットを用いて使用試験を行ったところ、いずれのカセットにおいても生物組織は傷ついておらず、5個のカセットとも良好な標本が仕上がった。この結果を図5に示した。図5は、本発明における生物組織固定・包埋・薄切用カセットを用いた場合の薄切標本のヘマトキシリン・エオジン染色結果の顕微鏡写真図である。図5によれば、膨潤性スポンジを用いたカセットの薄切・染色結果では薄切に特別な問題はない。染色についてもスポンジを用いないカセットの標本となんら変わらない染色結果が得られた。
本発明のカセットは、作業効率化、生物組織を傷つけずにしっかりと固定、包埋、薄切でき、さらに組織の取り違えのミスを防ぐことができる。

1 基板
2 蓋板
3 周縁板
4 小孔
5 収納部の溝
6 チップ状の密着・保持部材
7 テープ状の密着・保持部材
8 板状の密着・保持部材
9 テープ状基板
10 板状基板
11 生物組織
12 密着・保持部材中の気泡

Claims (7)

  1. 生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる生物組織を固定、包埋、または薄切する容器の収納部に生物組織を密着・保持し、生物組織の移動を阻止する密着・保持部材であって、水、ホルマリン、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、キシロール、クロロホルム、アセトン、ジメチルスルフォキシド、蟻酸またはこれらの2種以上の混合物から選ばれるいずれかの液状媒体に膨潤する液状媒体膨潤性高分子により形成されてなる密着・保持部材。
  2. 前記液状媒体膨潤性高分子が、水膨潤性高分子であることを特徴とする請求項1記載の密着・保持部材。
  3. 前記液状媒体膨潤性高分子が、水膨潤性ポリウレタン系高分子であることを特徴とする請求項1または2に記載の密着・保持部材。
  4. 請求項1記載の容器が、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかであることを特徴とする密着・保持部材。
  5. 生物組織を収納する収納部が設けられた基板および蓋板からなる容器であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の密着・保持部材が前記収納部の上または中にあって生物組織の上に設置されてなる、生物組織固定用カセット、生物組織固定・包埋用カセット、または生物組織固定・包埋・薄切用カセットのいずれかである容器。
  6. 前記基板、蓋板および収納部に多数の小孔が設けられてなることを特徴とする請求項5記載の容器。
  7. 前記収納部に生物組織および請求項1〜3のいずれか1項に記載の密着・保持部材を納めた後、蓋板を閉じ、前記容器を液状媒体に浸漬させて液状媒体膨潤性高分子を膨潤させ生物組織を収納部の底板に密着・保持させることを特徴とする密着・保持部材の使用方法。
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