JP2014202645A - 計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】参照光と被検光との光路長差に対応する距離を高精度に計測するのに有利な技術を提供する。
【解決手段】光源101から射出された光から分割される第1被検光が通過する第1光学系、及び、第2被検光が通過する第2光学系と、被検面100で反射された第1被検光及び第2被検光のそれぞれと参照面104で反射された参照光との干渉光を検出する検出部113と、検出部113で検出された干渉光に基づいて、距離を求める処理部115と、を有し、第1光学系における光学的パワーと第2光学系における光学的パワーとが異なり、第1被検光及び第2被検光の被検面側の集光点P01,P02,P11,P12と被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、集光点と被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の第1被検光及び第2被検光のそれぞれを検出部113に導く導光部を更に有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】光源101から射出された光から分割される第1被検光が通過する第1光学系、及び、第2被検光が通過する第2光学系と、被検面100で反射された第1被検光及び第2被検光のそれぞれと参照面104で反射された参照光との干渉光を検出する検出部113と、検出部113で検出された干渉光に基づいて、距離を求める処理部115と、を有し、第1光学系における光学的パワーと第2光学系における光学的パワーとが異なり、第1被検光及び第2被検光の被検面側の集光点P01,P02,P11,P12と被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、集光点と被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の第1被検光及び第2被検光のそれぞれを検出部113に導く導光部を更に有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置に関する。
被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置として、分光干渉計や波長走査干渉計が知られている。分光干渉計は、複数の波長を含む光を射出する光源を用いて、被検光と参照光との干渉光を分光して検出し、干渉光の強度や位相などの情報を含む干渉信号(波長ごとの干渉信号)に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を求めている。また、波長走査干渉計は、波長を走査(変更)することが可能な光源を用いて、被検光と参照光との干渉光の強度や位相を検出し、波長を走査することで得られる波長ごとの干渉信号に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を求めている。
分光干渉計や波長走査干渉計などの計測装置において、被検面に対する横方向分解能(計測する距離方向と垂直な面方向の分解能)や計測精度を向上させるためには、被検面を照射する光の照射スポット径を小さくすればよい。照射スポット径を小さくするには、被検面に光を照射する照射光学系の開口数(NA)を増加すればよいが、開口数を増加すると焦点深度が減少するため、被検光と参照光との光路長差に対応する距離の計測可能レンジが減少してしまう。このように、計測精度(照射スポット径)と計測可能レンジとは相反関係にあり、両立することが困難である。
そこで、高い計測精度と広い計測可能レンジとを両立することが可能な技術として、波長共焦点(Chromatic Confocal)の構成を有する分光干渉計が提案されている(非特許文献1参照)。ここで、波長共焦点の構成とは、軸上色収差を発生させる光学系と、共焦点用のフィルターとを含む構成である。また、波長走査干渉計において、互いに離散した波長帯域における干渉信号を取得し、それらの干渉信号に基づいて被検光と参照光との光路長差に対応する距離を算出することで、計測精度を向上させる技術も提案されている(特許文献1及び非特許文献2参照)。
APPLIED OPTICS/VOL.45, No.32 pp. 8244−8252 (2006)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A/Vol.383, Issue 1, pp.229−237 (1996)
しかしながら、非特許文献1に開示された技術では、波長共焦点の原理によって、被検面の近傍に集光点(像点)を有する限定的な波長帯域における干渉信号しか検出することができない。従って、高精度な距離計測を行うために必要となる広い波長帯域における干渉信号を確保することが困難であるため、計測誤差が増加し、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度で計測することができない。
また、従来から、計測に使用する波長帯域を十分に確保できずに計測精度が低下するという課題に対して、例えば、特許文献1や非特許文献2などのように、互いに離散した波長帯域における干渉信号に基づいて距離を算出する技術が知られている。但し、これらの技術を、非特許文献1に開示された技術にそのまま適用することはできない。これは、波長共焦点の原理によって、検出可能な波長帯域が被検面の近傍に集光点を有する波長帯域に限定されるため、その波長帯域から離散した波長帯域は共焦点用のフィルターで遮断され、離散した波長帯域における干渉信号を得ることができないからである。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度に計測するのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての計測装置は、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、光源から射出された光から分割される第1被検光及び第2被検光のうち、前記第1被検光が通過する第1光学系、及び、前記第2被検光が通過する第2光学系と、前記被検面で反射された前記第1被検光及び前記第2被検光のそれぞれと前記参照面で反射された参照光との干渉光を検出する検出部と、前記検出部で検出された干渉光に基づいて、前記距離を求める処理部と、を有し、前記第1光学系における光学的パワーと前記第2光学系における光学的パワーとが異なり、前記第1被検光の前記被検面側の集光点と前記被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、前記第2被検光の前記被検面側の集光点と前記被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、前記集光点と前記被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の前記第1被検光及び前記第2被検光のそれぞれを前記検出部に導く導光部を更に有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度に計測するのに有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における計測装置10の構成を示す概略図である。計測装置10は、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、例えば、分光干渉計の構成を有する。計測装置10は、複数の波長を含む光を射出する光源101と、光学素子102と、分割素子103と、参照面104と、分割素子105と、光学素子106と、分割素子107と、反射素子108及び109と、光学素子110とを有する。また、計測装置10は、光学素子111と、波長選択部112と、検出部113と、処理部115とを有する。
図1は、本発明の第1の実施形態における計測装置10の構成を示す概略図である。計測装置10は、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、例えば、分光干渉計の構成を有する。計測装置10は、複数の波長を含む光を射出する光源101と、光学素子102と、分割素子103と、参照面104と、分割素子105と、光学素子106と、分割素子107と、反射素子108及び109と、光学素子110とを有する。また、計測装置10は、光学素子111と、波長選択部112と、検出部113と、処理部115とを有する。
計測装置10は、光源101から射出した光を、所定の軸上色収差を有する光学素子110を介して、被検面100に照射する。また、計測装置10は、被検面100で反射された光と参照面104で反射された光との干渉光を検出部113で検出し、かかる干渉光から得られる干渉信号に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を処理部115で算出する。
計測装置10の構成の詳細について、光源101から射出する光の経路に沿って説明する。光源101からの光は、光学素子102によってコリメートされ、分割素子103に入射する。分割素子103は、光源101からの光を、分割素子105に向かう被検光と、参照面104に向かう参照光とに分割する。また、被検光は、分割素子105によって、光学素子106に向かう第1被検光と、反射素子108に向かう第2被検光とに分割される。
以下では、説明を簡単にするために、分割素子105、光学素子106、分割素子107、光学素子110及び被検面100を順に、或いは、逆に通過する経路を第1経路と称する。同様に、分割素子105、反射素子108、反射素子109、分割素子107、光学素子110及び被検面100を順に、或いは、逆に通過する経路を第2経路と称する。
後述するように、計測装置10においては、第1被検光に対応する第1光学系における光学的パワーと第2被検光に対応する第2光学系における光学的パワーとが異なる。また、第1光学系及び第2光学系は、第1被検光の経路の一部と第2被検光の経路の一部とが共通する共通部分を含む。
第1被検光は、第1経路において、光学的パワーを有する光学素子(例えば、レンズ)106によって屈折力を付加され、光学的パワー有する光学素子(例えば、レンズ)110によって軸上色収差を付加される。これにより、第1被検光は、被検面100に対して、複数の波長のそれぞれで(即ち、波長ごとに)互いに異なる位置に集光点(像点)を形成する。被検面100で反射した第1被検光は、第1経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て、波長選択部112に入射する。
第2被検光は、第2経路を通過し、光学素子110によって軸上色収差を付加され、被検面100に対して、複数の波長のそれぞれで(即ち、波長ごとに)互いに異なる位置に集光点(像点)を形成する。被検面100で反射した第2被検光は、第2経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て、波長選択部112に入射する。
一方、参照光は、参照面104で反射し、分割素子103及び光学素子111を順に経て、波長選択部112に入射する。
ここで、光源101は、例えば、ランプ、LED、SLD、白色レーザーなどで構成されている。また、分割素子103、105及び107は、例えば、ビームスプリッターで構成され、図1では、半反射半透過の面を斜線で示している。光学素子110は、上述したように、軸上色収差を有し、その収差量は、被検光と参照光との光路長差に対応する距離の計測に用いる波長帯域において、計測可能レンジを満足するように設定(調整)されている。換言すれば、光学素子110の軸上色収差量を大きくすることによって、計測可能レンジを広くすることが可能となる。
また、波長選択部112は、例えば、被検面側に形成された被検光の集光点と光学的に共役な関係となる位置に配置されたピンホールを有するピンホール板で構成される。この場合、波長選択部112は、特定の波長帯域の光のみがピンホールを通過することができる、所謂、波長共焦点(Chromatic Confocal)の原理を用いて波長(波長帯域)を選択し、かかる波長に対応する光を検出部113に導く。
波長共焦点の原理は、光学素子110によって軸上色収差を付加された被検光が、被検面側において波長ごとに異なる距離(集光点と被検面との間の距離)で集光点を形成することを利用している。各波長の光の被検面側の集光点に対して光学的に共役な位置はいずれも同じ位置であり、かかる光学的に共役な位置にピンホールを配置する。被検面100で反射した被検光の経路を考えると、実際には、被検面100の近傍に集光点を形成する波長の光のみが、ピンホールの近傍に集光点を形成するため、ピンホールで遮光されることなく通過することができる。一方、その他の波長(被検面100の近傍に集光点を形成する波長以外の波長)の光は、集光点から離れた位置にある被検面で反射されるため、ピンホール面でぼけた像となり、殆どがピンホールで遮光されて通過することができない。このような原理を利用することで、被検面100の近傍に集光点を形成する波長帯域の被検光のみを選択することができる。換言すれば、波長選択部112は、集光点と被検面100との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の第1被検光及び第2被検光のそれぞれを検出部113に導く導光部として機能する。
波長選択部112の構成は、ピンホールが形成されたピンホール板に限定されるものではなく、被検面100の近傍に集光点を形成する波長帯域を選択するための微小開口であってもよい。例えば、微小な入射口(微小開口)を有する光ファイバーで波長選択部112を構成し、かかる入射口を各波長の光の被検面側の集光点に対して光学的に共役な位置に配置してもよい。
波長選択部112は、本実施形態では、第1被検光の被検面側の集光点に対して、第1経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て波長選択部112に入射する経路において、光学的に共役となる位置にピンホールを配置して構成されている。また、かかる配置(ピンホールの位置)は、第2被検光の被検面側の集光点に対して、第2経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て波長選択部112に入射する経路において、光学的に共役となる位置とも一致している。
上述した構成によって、被検面100で反射した第1被検光が第2経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て波長選択部112に入射しても、その経路における光学的に共役な位置は波長選択部112の位置と異なる。これは、第2経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経る経路では、被検面100で反射された第1被検光が、光学的パワーを有する光学素子106を通過しないため、その分だけ焦点距離が異なるからである。従って、そのような経路を通過した第1被検光は、その殆どが波長選択部112で遮光され、検出部113には到達しない。同様に、被検面100で反射された第2被検光が第1経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経て波長選択部112に入射しても、その経路における光学的に共役な位置は波長選択部112の位置と異なる。これは、第1経路を通過し、分割素子103及び光学素子111を順に経る経路では、被検面100で反射した第2被検光が光学素子106を通過するため、その分だけ焦点距離が異なるからである。従って、そのような経路を通過した第2被検光は、その殆どが波長選択部112で遮光され、検出部113には到達しない。
検出部113には、波長選択部112を介して、被検面100での反射前と反射後において第1経路を通過する第1被検光と、被検面100での反射前と反射後において第2経路を通過する第2被検光と、参照面104で反射した参照光とが入射する。検出部113は、それらの干渉光を分光して検出する。検出部113は、例えば、CCDやSMOSなどの光アレイセンサを有する分光器やAWG(アレイ導波路回折格子)で構成される。
ここで、光源101から、波長λLから波長λHまでの波長帯域の光が射出されるものとする。この場合、第1被検光に関しては、軸上色収差を有する光学素子110の影響によって、波長λLの光は位置P01に集光点を形成し、波長λHの光は位置P02に集光点を形成する。また、波長λLと波長λHとの間の波長の光は位置P01と位置P02との間の位置に集光点を形成する。一方、第2被検光に関しては、第1被検光と比較して光学素子106が有する屈折力の影響によって焦点距離が異なるため、波長λLの光は位置P11に集光点を形成し、波長λHの光は位置P12に集光点を形成する。また、第1被検光及び第2被検光の被検面側の集光点の位置は、分割素子107によって、同一の軸上に形成される。
このように、計測装置10では、同一の波長の光で比較した場合、第1被検光の集光点の位置は、第2被検光の集光点の位置とは異なる位置となる。換言すれば、被検面100の近傍に集光点を形成する第1被検光の波長帯域と、被検面100の近傍に集光点を形成する第2被検光の波長帯域とは、それぞれ異なる波長帯域となる。従って、検出部113で検出された干渉光から得られる干渉信号は、各波長の違いによって、第1被検光の寄与分と第2被検光の寄与分とに分離することが可能である。
例えば、図2(a)は、第1被検光と参照光との干渉光に対応する干渉信号を含む信号を示す図であり、図2(b)は、第2被検光と参照光との干渉光に対する干渉信号を含む信号を示す図である。図2(a)及び図2(b)では、横軸に波数kを採用し、縦軸に検出部113で検出された光(干渉光)の強度を採用している。ここで、波数kは、波長λと円周率πとを用いて、以下の式(1)で表される。以下では、式(1)を用いて、波長を波数に置き換えて説明する。
波長共焦点の原理によって、被検面100の近傍に集光点を形成する波数帯域の被検光のみが波長選択部112を通過し、参照光との干渉光(干渉信号)として検出することができる。従って、図2(a)では、干渉による周期的な信号を得ることができる波数帯域は、波数kL(kL=2π/λL)から波数kH(kH=2π/λH)のうち、被検面100の近傍に集光点を形成する波数k1から波数k2までの波数帯域である。波数k1から波数k2までの波数帯域以外の波数帯域の第1被検光は、波長選択部112で遮光されるため、参照光との干渉光(干渉信号)として検出することができない。
同様に、図2(b)では、干渉による周期的な信号を得ることができる波数帯域は、被検面100の近傍に集光点を形成する波数k3から波数k4までの端数帯域である。波数k3から波数k4までの端数帯域以外の波数帯域の第2被検光は、波長選択部112で遮光されるため、参照光との干渉光(干渉信号)として検出することができない。
上述したように、第1被検光と第2被検光とは、光学素子106の作用によって焦点距離が異なるため、同一の波長の光における集光点の位置は一致しない。詳細には、被検面100の近傍に集光点を形成する第1被検光の波数k1から波数k2と、被検面100の近傍に集光点を形成する第2被検光の波数k3から波数k4とは、互いに異なる波数である。例えば、k3、k4>k1、k2、或いは、k3、k4<k1、k2となるように、即ち、両者の波長帯域が一致しないように、光学素子106が構成されている。ここでは、k3、k4>k1、k2であるものとして説明する。
波数kに対する周期的な干渉信号から、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を算出する方法の一例を説明する。まず、干渉信号Iは、以下の式(2)で表される。
式(2)において、Aは参照光の振幅強度、Bは被検光の振幅強度、φ’は干渉信号の位相、Mは干渉次数、φは±πの範囲に含まれる干渉信号の位相の端数成分(以下、「端数位相」と称する)、Lは被検光と参照光との光路長差に対応する距離である。ここでは、空間の屈折率を1とし、分散はないものとしている。
非特許文献1に開示されているように、干渉信号Iを高速フーリエ変換(FFT)することによって、干渉信号の振幅のスペクトルのピーク周波数から距離Lを求めることができる。このようにしてピーク周波数を求める場合、干渉信号を得ることができる波数範囲が広ければ、ピーク周波数を高精度に求めることができる。但し、図2(a)に示すように、干渉信号を得ることができる波数範囲が狭い範囲に限定されると、誤差が生じやすく、ピーク周波数を高精度に求めることができない。従って、被検光と参照光との光路長差に対応する距離Lを高精度に求めることができない。
そこで、第1の実施形態では、以下に説明する処理によって、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度に求めることを可能にしている。まず、図2(a)に示す干渉信号I1(以下、「第1干渉信号I1」と称する)を高速フーリエ変換(FFT)することによって、振幅スペクトルにおけるピーク周波数を決定し、かかるピーク周波数から距離L1を決定する。式(2)を参照するに、距離L1の2倍(2L1)は、図3に示すように、波数kに対する第1干渉信号I1の位相φ’の傾きに相当する。
次に、距離L1を用いて第1干渉信号I1を離散フーリエ変換(DFT)することによって、任意の波数kにおける第1干渉信号I1の端数位相φを決定する。具体的には、第1干渉信号I1の端数位相φは、以下の式(3)で決定される。
式(3)を参照するに、例えば、波数k1における端数位相φ1(φ1’=2πM1+φ1)や端数k2における端数位相φ2(φ2’=2πM2+φ2)など、波数k1から波数k2の間の任意の波数における端数位相(第1端数位相)を決定することができる。
次に、図2(b)に干渉信号I2(以下、「第2干渉信号I2」と称する)に対しても第1干渉信号I1と同様な処理を行い、第2干渉信号I2に基づいて距離L2を決定する。ここで、距離L2は距離L1と本質的に異なるため、補正処理が必要となる。被検光と参照光との光路長差に対応する距離とは、厳密には、参照光及び被検光が通過する経路における被検光と参照光との非共通な光路の距離の差である。
図1において、参照面104と分割素子103との間の距離をT1、分割素子103から第1経路に沿って分割素子107までの間の距離をT2とする。また、分割素子107から被検面100までの間の距離をT3、分割素子103から第2経路に沿って分割素子107までの距離をT4とする。
第1被検光について、参照光との非共通光路の距離は、2×(T2+T3)である。また、参照光について、第1被検光との非共通光路の距離は、2×T1である。従って、第1被検光と参照光との光路長差に対応する距離は、2×(T2+T3−T1)である。
一方、第2被検光について、参照光との非共通光路の距離は、2×(T4+T3)である。また、参照光について、第2被検光との非共通光路の距離は、2×T1である。従って、第2被検光と参照光との光路長差に対応する距離は、2×(T4+T3−T1)である。
このように、第2被検光と参照光との光路長差に対応する距離は、第1被検光と参照光との光路長差に対応する距離より、2×(T4−T2)だけ異なる距離となる。ここで、T2及びT4は、計測装置10の内部構成の距離であるため、設計値や事前の計測などで取得可能であり、既知の量である。従って、これらを用いて、干渉信号から算出された距離L2をL2’に補正することが可能であり、補正式は、2×L2’=2×L2−2×(T4−T2)となる。かかる補正式に、2×L2=2×(T4+T3−T1)を代入すると明らかなように、計測誤差がなければ、L2’は、本質的には、2×L1=2×(T2+T3−T1)と等しくなる。
また、第1経路又は第2経路において、折り曲げミラーなどを配置して光路を調整し、T4−T2=0となるように予め構成することによって、補正処理を省略することも可能である。
このようにして補正された距離L2’に基づいて、波数k3から波数k4の間の任意の波数における端数位相(第2端数位相)を決定する。ここでは、第2端数位相として、波数k3における端数位相φ3を決定するものとする。
図4を参照して、補正された位相の傾きL12を決定する方法を説明する。図4において、直線LN1は、決定した波数k1における第1干渉信号I1の位相φ1’(φ1’=2πM1+φ1)及び位相の傾き2L1によって決定される直線である。また、干渉次数M1は、任意の値に設定してよい。直線LN2は、φ3’=2π(M12+M1)+φ3で表される位相φ3’と位相φ1’とによって決定される直線である。M12は、波数k1における第1干渉信号I1と波数k3における第2干渉信号I2との間の干渉次数差であり、以下の式(4)で表される。式(4)における「round( )」は、引数を整数に丸める関数を示す。
式(4)で決定したM12を用いて、直線LN2の傾きから距離L12を決定する。具体的には、距離L12は、以下の式(5)で決定される。
このようにして決定した距離L12は、波数k1から波数k3の範囲で干渉信号が存在し、かかる干渉信号に基づいて算出した距離と同程度の精度を有する。従って、波数k1から波数k2までの干渉信号から算出した距離L1よりも波数の範囲が広がっているため、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度に求めることができる。
また、本実施形態では、直線LN1を、波数k1における位相の傾き2L1によって決定される直線としたが、これに限定されるものではない。例えば、第2干渉信号I2について算出した位相の傾き2L3でもよいし、位相の傾きL1及びL3の平均値(2L1+2L3)/2でもよい。
また、第1干渉信号I1及び第2干渉信号I2に対する処理は、上述した処理に限定されるものではない。互いに離散した複数の波長帯域での干渉信号を用いて、1つの波長帯域での干渉信号から距離を算出した場合よりも高精度に距離を算出する、という目的において変更が可能であり、例えば、特許文献1や非特許文献2に開示された技術を適用してもよい。
また、図1に示す計測装置10では、1つの参照面104を有するが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、計測装置10は、複数の参照面104a及び104bを有してもよい。図5は、本発明の第1の実施形態における計測装置10の別の構成を示す概略図である。
図5を参照するに、光源101からの光は、光学素子102によってコリメートされ、分割素子120に入射する。分割素子120は、光源101からの光を、分割素子103aに向かう光と、分割素子103bに向かう光とに分割する。以下では、説明を簡単にするために、分割素子103a、光学素子106、分割素子107、光学素子110及び被検面100を順に、或いは、逆に通過する経路を第3経路と称する。同様に、分割素子103b、分割素子107、光学素子110及び被検面100を順に、或いは、逆に通過する経路を第4経路と称する。
分割素子120から分割素子103aに向かう光は、分割素子103aによって、参照面104aに向かう第1参照光と、光学素子106に向かう第1被検光とに分割される。第1被検光は、第3経路において、光学的パワーを有する光学素子106によって屈折力を付加され、光学的パワーを有する光学素子110によって軸上色収差を付加される。これにより、第1被検光は、被検面100に対して、複数の波長のそれぞれで(即ち、波長ごとに)互いに異なる位置に集光点(像点)を形成する。被検面100で反射した第1被検光は、第3経路を通過し、光学素子111aを経て、波長選択部112aに入射する。一方、第1参照光は、参照面104aで反射し、分割素子103a及び光学素子111aを順に経て、波長選択部112aに入射する。
また、分割素子120から分割素子103bに向かう光は、分割素子103bによって、参照面104bに向かう第2参照光と、分割素子107に向かう第2被検光とに分割される。第2被検光は、第4経路において、光学素子110によって軸上色収差を付加され、被検面100に対して、複数の波長のそれぞれで(即ち、波長ごとに)互いに異なる位置に集光点(像点)を形成する。被検面100で反射した第2被検光は、第4経路を通過し、光学素子111bを経て、波長選択部112bに入射する。一方、第2参照光は、参照面104bで反射し、分割素子103b及び光学素子111bを順に経て、波長選択部112bに入射する。
波長選択部112aは、被検面100で反射した第1被検光が第3経路及び光学素子111aを順に経て波長選択部112aに入射する経路において、被検面側に形成された集光点と共役な関係となる位置に配置されたピンホールを有するピンホール板で構成される。波長選択部112bは、被検面100で反射した第2被検光が第4経路及び光学素子111bを順に経て波長選択部112bに入射する経路において、被検面側に形成された集光点と共役な関係となる位置に配置されたピンホールを有するピンホール板で構成される。
従って、被検面100で反射した第1被検光が第4経路を通過し、光学素子111bを経て波長選択部112bに入射しても、その経路における共役な位置は波長選択部112bの位置と異なる。これは、第4経路を通過し、光学素子111bを経る経路では、被検面100で反射した第1被検光が光学素子106を通過しないため、その分だけ焦点距離が異なるからである。従って、そのような経路を通過した第1被検光は、その殆どが波長選択部112bで遮光され、検出部113bには到達しない。
同様に、被検面100で反射した第2被検光が第3経路を通過し、光学素子111aを経て波長選択部112aに入射しても、その経路における共役な位置は波長選択部112aの位置と異なる。これは、第3経路を通過し、光学素子111aを経る経路では、被検面100で反射した第2被検光が光学素子106を通過するため、その分だけ焦点距離が異なるからである。従って、そのような経路を通過した第2被検光は、その殆どが波長選択部112aで遮光され、検出部113aには到達しない。
検出部113aには、波長選択部112aを介して、第1被検光と第1参照光との干渉光のみが入射する。また、検出部113bには、波長選択部112bを介して、第2被検光と第2参照光との干渉光のみが入射する。
図5に示す計測装置10における被検光と参照光との光路長差に対応する距離について説明する。図5において、参照面104aと分割素子103aとの間の距離をT5、第3経路における分割素子103aから分割素子107までの間の距離をT6とする。また、分割素子107から被検面100までの間の距離をT7、参照面104bと分割素子103bとの間の距離をT8、第4経路における分割素子103bから分割素子107までの間の距離をT9とする。
第1被検光について、第1参照光との非共通光路の距離は、2×(T6+T7)である。また、第1参照光について、第1被検光との非共通光路の距離は、2×T5である。従って、第1被検光と第1参照光との光路長差に対応する距離は、2×(T6+T7−T5)である。
一方、第2被検光について、第2参照光との非共通光路の距離は、2×(T9+T7)である。また、第2参照光について、第2被検光との非共通光路の距離は、2×T8である。従って、第2被検光と第2参照光との光路長差に対応する距離は、2×(T9+T7−T8)である。
このように、第2被検光と第2参照光との光路長差に対応する距離は、第1被検光と第1参照光との光路長差に対応する距離より、2×(T9−T8−T6+T5)だけ異なる距離となる。ここで、T5、T6、T8及びT9は、計測装置10の内部構成の距離であるため、設計値や事前の計測などで取得可能であり、既知の量である。従って、第2被検光及び第2参照光における被検光と参照光との光路長差に対応する距離は、2×L2’=2×L2−2×(T9−T8−T6+T5)で表される補正式で補正することが可能である。かかる補正式に、2×L2=2×(T9+T7−T8)を代入すると明らかなように、計測誤差がなければ、L2’は、本質的には、2×L1=2×(T6+T7−T5)と等しくなる。
また、T9−T8−T6+T5=0となるように予め構成することによって、補正処理を省略することも可能である。ここで、図5に示す計測装置10では、参照面104aと参照面104bとが互いに独立して構成されているため、図1に示す計測装置10と比べて配置の自由度が高く、T9−T8−T6+T5=0となる構成への変更や調整が比較的容易である。
本実施形態では、被検光を2つの光に分割する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被検光を3つ以上の光に分割し、3つ以上の被検光のそれぞれについて、焦点距離が異なる軸上色収差を有する構成であってもよい。被検光を複数の光に分割すれば、その波数分だけ干渉信号が得られるため、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を更に高精度に計測することが可能となる。
また、本実施形態では、光学素子106によって第1被検光の焦点距離と第2被検光の焦点距離とを異ならせ、光学素子110によって第1被検光及び第2被検光のそれぞれに軸上色収差を付加しているが、これに限定されるものではない。それぞれの被検光に軸上色収差を付加して波長ごとに異なる位置に集光点を形成し、且つ、それぞれの被検光が同一波長において互いに異なる位置に集光点を形成するという目的において変更可能である。例えば、図1に示す計測装置10では、光学素子110の代わりに、第1経路及び第2経路の両方に、軸上色収差を有する光学系(光学素子)を配置してもよい。また、光学素子106及び光をコリメートする光学素子102の代わりに、光をコリメートしない光学素子を光学素子102の位置に配置し、第1経路と第2経路との距離差によって、同一波長での被検面側の集光点の位置を異ならせてもよい。一方、図5に示す計測装置10では、光学素子110の代わりに、第3経路及び第4経路の両方に、軸上色収差を有する光学系(光学素子)を配置してもよい。また、光学素子106及び光をコリメートする光学素子102の代わりに、光をコリメートしない光学素子を光学素子102の位置に配置し、第3経路と第4経路との距離差によって、同一波長での被検面側の集光点の位置を異ならせてもよい。
また、本実施形態では、全ての分割素子をビームスプリッターで構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、分割素子は、光の偏光状態に応じて反射又は透過の特性が異なる分割素子、具体的には、偏光ビームスプリッター(PBS)などで構成してもよい。また、分割素子は、光の波長に応じて反射又は透過の特性が異なる分割素子、具体的には、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムなどで構成してもよい。
図1に示す計測装置10において、分割素子としてダイクロイックミラーを適用する場合を考える。この場合、分割素子105及び107は、波長λC(λL<λC<λH)よりも短い波長の光を反射し、波長λC’(λL<λC<λC’<λH)よりも長い波長の光を透過する特性を有するダイクロイックミラーで構成される。従って、第1被検光については、光学素子106の屈折力によって、波長λC’の光が位置P01に集光点を形成し、波長λHの光が位置P02に集光点を形成する。一方、第2被検光については、波長λLの光が位置P11に集光点を形成し、波長λCの光が位置P12に集光点を形成する。ここで、ダイクロイックミラーの作用により、第1被検光と第2被検光とは同一の波長を有していないため、光学素子106の屈折力を調整して位置P01と位置P11とが同一の位置となるようにしてもよい。同様に、光学素子106の屈折力を調整して位置P02と位置P12とが同一の位置となるようにしてもよい。
このような構成によって、被検面100で反射した第1被検光及び第2被検光は、反射前と同等の経路を通過して分割素子103に到達するため、波長選択部112に入射する計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。また、分割素子をビームスプリッターで構成した場合には、計測可能レンジは位置P11から位置P02であるが、分割素子をダイクロイックミラーで構成した場合には、計測可能レンジを位置P01から位置P12に広げることが可能となる。
同様に、図5に示す計測装置10において、分割素子としてダイクロイックミラーを適用する場合を考える。この場合、分割素子120及び107は、波長λC(λL<λC<λH)よりも短い波長の光を反射し、波長λC’(λL<λC<λC’<λH)よりも長い波長の光を透過する特性を有するダイクロイックミラーで構成される。このような構成によって、計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
また、分割素子としてPBSを用いても、計測誤差の要因となる不要光を低減することが可能である。例えば、図1に示す計測装置10において、分割素子としてPBSを適用する場合を考える。この場合、分割素子105及び107がPBSで構成される。PBSの作用によって、第1経路における分割素子105から分割素子107まではP偏光の光しか通過することができず、第2経路における分割素子105から分割素子107まではS偏光の光しか通過することができない。従って、第1経路を通過する第1被検光は、被検面100で反射した後、第2経路を通過することができない。同様に、第2経路を通過する第2被検光は、検面100で反射した後、第1経路を通過することができない。これにより、波長選択部112に入射する計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
同様に、図5に示す計測装置10において、分割素子としてPBSを適用する場合を考える。この場合、分割素子120及び107がPBSで構成される。このような構成によって、計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
分割素子にダイクロイックミラーを適用した場合には、波長によって被検光の光路を分離して、被検光のそれぞれが被検面100での反射前と反射後において異なる経路を通過することを抑制し、計測誤差となる不要光を低減している。一方、分割素子にPBSを適用した場合には、偏光によって被検光の光路を分離して、被検光のそれぞれが被検面100での反射前と反射後において異なる経路を通過することを抑制し、計測誤差となる不要光を低減している。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態における計測装置10Aの構成を示す概略図である。計測装置10Aは、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、例えば、波長走査干渉計の構成を有する。計測装置10Aは、複数の波長を含む波長帯域において射出する光の波長を変更可能な光源201と、光学素子102と、分割素子103と、参照面104と、分割素子105と、光学素子106と、分割素子107と、反射素子108及び109とを有する。また、計測装置10Aは、光学素子110と、光学素子111と、波長選択部112と、検出部202と、処理部203とを有する。
図6は、本発明の第2の実施形態における計測装置10Aの構成を示す概略図である。計測装置10Aは、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、例えば、波長走査干渉計の構成を有する。計測装置10Aは、複数の波長を含む波長帯域において射出する光の波長を変更可能な光源201と、光学素子102と、分割素子103と、参照面104と、分割素子105と、光学素子106と、分割素子107と、反射素子108及び109とを有する。また、計測装置10Aは、光学素子110と、光学素子111と、波長選択部112と、検出部202と、処理部203とを有する。
計測装置10Aは、波長をλHからλLまで連続的又は離散的に変更することが可能な光源201から射出した光を、光学素子110を介して、被検面100に照射する。また、計測装置10Aは、被検面100で反射した光と参照面104で反射した光との干渉光を検出部202で検出し、かかる干渉光から得られる干渉信号に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を処理部203で算出する。
光源201は、例えは、波長可変レーザーで構成され、供給電圧や供給電流などを変化させることによって波長を変更(走査)することが可能である。検出部202は、例えば、フォトダイオードなどの光センサで構成される。処理部203は、光源201から射出した光の波長、及び、光源201から射出される光の波長走査に応じて変化する干渉信号(各波長における干渉信号)に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を算出する。
計測装置10Aにおいて、光源201から射出した光が通過する経路、及び、分割素子で分割された光が通過する経路については、第1の実施形態において図1に示した計測装置10と同様である。図1に示す計測装置10は、光源101から複数の波長を含む光を射出し、検出部113で分光することによって、各波長における干渉信号を取得する分光干渉計の構成を有する。一方、図6に示す計測装置10Aは、光源201から射出される略単一波長の光の波長を走査することによって、各波長における干渉信号を取得する波長走査干渉計の構成を有する。従って、光源201から射出される光の波長の走査に応じて取得される干渉信号を、横軸に波数、縦軸に干渉信号の強度を採用して整列することによって、図2(a)に示す第1干渉信号I1及び図2(b)に示す第2干渉信号I2と同等の干渉信号が得られる。このようにして得られた第1干渉信号I1及び第2干渉信号I2に基づいて被検光と参照光との光路長差に対応する距離を算出する処理には、第1の実施形態で説明した処理を適用することができる。従って、計測装置10Aは、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を高精度に計測することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態の計測装置10Aの別の構成を示す概略図である。ここで、図6に示す計測装置10Aは、図1に示す計測装置10に対応しているのに対して、図7に示す計測装置10Aは、図5に示す計測装置10に対応している。図7に示す計測装置10Aにおいて、光源201は、波長をλHからλLまで連続的又は離散的に変更することが可能である。また、検出部202a及び202bによって干渉光が検出され、かかる干渉光から得られる干渉信号に基づいて、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を処理部115で算出する。
図7に示す計測装置10Aにおいて、光源201から射出した光が通過する経路、及び、第1参照光、第1被検光、第2参照光及び第2被検光が通過する経路については、第1の実施形態において図5に示した計測装置10と同様である。図7に示す計測装置10Aでは、参照面104aと参照面104bとが互いに独立して構成されているため、図6に示す計測装置10Aと比べて配置の自由度が高く、T9−T8−T6+T5=0となる構成への変更や調整が比較的容易である。
また、本実施形態では、計測装置10Aにおける干渉信号の処理が第1の実施形態と同じであることを前提に説明したが、これに限定されるものではない。互いに離散した複数の波長帯域での干渉信号を用いて、1つの波長帯域での干渉信号から距離を算出した場合よりも高精度に距離を算出する、という目的において変更が可能であり、例えば、特許文献1や非特許文献2に開示された技術を適用してもよい。
本実施形態では、被検光を2つの光に分割する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被検光を3つ以上の光に分割し、3つ以上の被検光のそれぞれについて、焦点距離が異なる軸上色収差を有する構成であってもよい。被検光を複数の光に分割すれば、その波数分だけ干渉信号が得られるため、被検光と参照光との光路長差に対応する距離を更に高精度に計測することが可能となる。
また、本実施形態では、光学素子106によって第1被検光の焦点距離と第2被検光の焦点距離とを異ならせ、光学素子110によって第1被検光及び第2被検光のそれぞれに軸上色収差を付加しているが、これに限定されるものではない。それぞれの被検光に軸上色収差を付加して波長ごとに異なる位置に集光点を形成し、且つ、それぞれの被検光が同一波長において互いに異なる位置に集光点を形成するという目的において変更可能である。例えば、図6に示す計測装置10Aでは、光学素子110の代わりに、第1経路及び第2経路の両方に、軸上色収差を有する光学系(光学素子)を配置してもよい。また、光学素子106及び光をコリメートする光学素子102の代わりに、光をコリメートしない光学素子を光学素子102の位置に配置し、第1経路と第2経路との距離差によって、同一波長での被検面側の集光点の位置を異ならせてもよい。一方、図7に示す計測装置10Aでは、光学素子110の代わりに、第3経路及び第4経路の両方に、軸上色収差を有する光学系(光学素子)を配置してもよい。また、光学素子106及び光をコリメートする光学素子102の代わりに、光をコリメートしない光学素子を光学素子102の位置に配置し、第3経路と第4経路との距離差によって、同一波長での被検面側の集光点の位置を異ならせてもよい。
また、本実施形態では、全ての分割素子をビームスプリッターで構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、分割素子は、光の偏光状態に応じて反射又は透過の特性が異なる分割素子、具体的には、偏光ビームスプリッター(PBS)などで構成してもよい。また、分割素子は、光の波長に応じて反射又は透過の特性が異なる分割素子、具体的には、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムなどで構成してもよい。
図6に示す計測装置10Aにおいて、分割素子としてダイクロイックミラーを適用する場合を考える。この場合、分割素子105及び107は、波長λC(λL<λC<λH)よりも短い波長の光を反射し、波長λC’(λL<λC<λC’<λH)よりも長い波長の光を透過する特性を有するダイクロイックミラーで構成される。従って、第1被検光については、光学素子106の屈折力によって、波長λC’の光が位置P01に集光点を形成し、波長λHの光が位置P02に集光点を形成する。一方、第2被検光については、波長λLの光が位置P11に集光点を形成し、波長λCの光が位置P12に集光点を形成する。ここで、ダイクロイックミラーの作用により、第1被検光と第2被検光とは同一の波長を有していないため、光学素子106の屈折力を調整して位置P01と位置P11とが同一の位置となるようにしてもよい。同様に、光学素子106の屈折力を調整して位置P02と位置P12とが同一の位置となるようにしてもよい。
このような構成によって、被検面100で反射した第1被検光及び第2被検光は、反射前と同等の経路を通過して分割素子103に到達するため、波長選択部112に入射する計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。また、分割素子をビームスプリッターで構成した場合には、計測可能レンジは位置P11から位置P02であるが、分割素子をダイクロイックミラーで構成した場合には、計測可能レンジを位置P01から位置P12に広げることが可能となる。
同様に、図7に示す計測装置10Aにおいて、分割素子としてダイクロイックミラーを適用する場合を考える。この場合、分割素子120及び107は、波長λC(λL<λC<λH)よりも短い波長の光を反射し、波長λC’(λL<λC<λC’<λH)よりも長い波長の光を透過する特性を有するダイクロイックミラーで構成される。このような構成によって、計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
また、分割素子としてPBSを用いても、計測誤差の要因となる不要光を低減することが可能である。例えば、図6に示す計測装置10Aにおいて、分割素子としてPBSを適用する場合を考える。この場合、分割素子105及び107がPBSで構成される。PBSの作用によって、第1経路における分割素子105から分割素子107まではP偏光の光しか通過することができず、第2経路における分割素子105から分割素子107まではS偏光の光しか通過することができない。従って、第1経路を通過する第1被検光は、被検面100で反射した後、第2経路を通過することができない。同様に、第2経路を通過する第2被検光は、検面100で反射した後、第1経路を通過することができない。これにより、波長選択部112に入射する計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
同様に、図7に示す計測装置10Aにおいて、分割素子としてPBSを適用する場合を考える。この場合、分割素子120及び107がPBSで構成される。このような構成によって、計測誤差の要因となる不要光を低減することができる。
分割素子にダイクロイックミラーを適用した場合には、波長によって被検光の光路を分離して、被検光のそれぞれが被検面100での反射前と反射後において異なる経路を通過することを抑制し、計測誤差となる不要光を低減している。一方、分割素子にPBSを適用した場合には、偏光によって被検光の光路を分離して、被検光のそれぞれが被検面100での反射前と反射後において異なる経路を通過することを抑制し、計測誤差となる不要光を低減している。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
Claims (12)
- 被検光と参照光との光路長差に対応する距離を計測する計測装置であって、
光源から射出された光から分割される第1被検光及び第2被検光のうち、前記第1被検光が通過する第1光学系、及び、前記第2被検光が通過する第2光学系と、
被検面で反射された前記第1被検光及び前記第2被検光のそれぞれと参照面で反射された参照光との干渉光を検出する検出部と、
前記検出部で検出された干渉光に基づいて、前記距離を求める処理部と、
を有し、
前記第1光学系における光学的パワーと前記第2光学系における光学的パワーとが異なり、
前記第1被検光の前記被検面側の集光点と前記被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、
前記第2被検光の前記被検面側の集光点と前記被検面との間の距離は、複数の波長のそれぞれに応じて互いに異なり、
前記集光点と前記被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の前記第1被検光及び前記第2被検光のそれぞれを前記検出部に導く導光部を更に有することを特徴とする計測装置。 - 前記第1光学系及び前記第2光学系は、前記第1被検光の経路の一部と前記第2被検光の経路の一部とが共通する共通部分を含み、
前記導光部は、前記共通部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。 - 前記第1光学系の前記共通部分を除く部分、及び、前記第2光学系の前記共通部分を除く部分には、前記第1被検光及び前記第2被検光に対して互いに異なる焦点距離を有する光学素子が配置され、
前記共通部分には、前記第1被検光及び前記第2被検光に対して同一の軸上色収差を有する光学素子が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の計測装置。 - 前記第1光学系の前記共通部分を除く部分、及び、前記第2光学系の前記共通部分を除く部分には、前記第1被検光及び前記第2被検光に対して互いに異なる軸上色収差を有する光学素子が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
- 前記導光部は、前記集光点と前記被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の前記第1被検光及び前記第2被検光を通過させるためのピンホールが形成されたピンホール板を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記導光部は、前記集光点と前記被検面との間の距離が所定距離となる集光点に対応する波長の前記第1被検光及び前記第2被検光が入射する入射口を有する光ファイバーを含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記光源は、前記複数の波長を含む光を射出する光源であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記光源は、前記複数の波長を含む波長帯域において射出する光の波長を変更可能な光源であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記光源からの光を、前記第1被検光と、前記第2被検光と、前記参照光とに分割するビームスプリッターを更に有することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記処理部は、
前記検出部で検出された前記第1被検光と前記参照光との干渉光から得られる第1干渉信号に基づいて、前記第1干渉信号の位相の傾きである第1位相の傾きと、前記第1干渉信号に含まれる任意の波数における前記第1干渉信号の位相である第1位相の端数成分とを求め、
前記検出部で検出された前記第2被検光と前記参照光との干渉光から得られる第2干渉信号に基づいて、前記第2干渉信号に含まれる任意の波数における前記第2干渉信号の位相である第2位相の端数成分を求め、
前記第1位相の傾きと、前記第1位相の端数成分と、前記第2の位相の端数成分とに基づいて、前記第1位相と前記第2位相との間の干渉次数差である第1干渉次数差を求め、
前記第1干渉次数差と、前記第1位相の端数成分と、前記第2位相の端数成分とに基づいて、前記距離を求めることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の計測装置。 - 前記処理部は、
前記検出部で検出された前記第1被検光と前記参照光との干渉光から得られる第1干渉信号に基づいて、前記第1干渉信号の位相の傾きである第1位相の傾きと、前記第1干渉信号に含まれる任意の波数における前記第1干渉信号の位相である第1位相の端数成分を求め、
前記検出部で検出された前記第2被検光と前記参照光との干渉光から得られる第2干渉信号に基づいて、前記第2干渉信号の位相の傾きである第2位相の傾きと、前記第2干渉信号に含まれる任意の波数における前記第2干渉信号の位相である第2位相の端数成分とを求め、
前記第1位相の傾きと、前記第1位相の端数成分と、前記第2位相の傾きと、前記第2位相の端数成分とに基づいて、前記第1位相と前記第2位相との間の干渉次数差である第1干渉次数差を求め、
前記第1干渉次数差と、前記第1位相の端数成分と、前記第2位相の端数成分とに基づいて、前記距離を求めることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の計測装置。 - 前記処理部は、前記検出部で検出された前記第1被検光と前記参照光との干渉光から得られる第1干渉信号、及び、前記検出部で検出された前記第2被検光と前記参照光との干渉光から得られる第2干渉信号に基づいて、前記第1干渉信号及び前記第2干渉信号の位相の傾きである1つの位相の傾きと、前記第1干渉信号及び前記第2干渉信号に含まれる任意の波数における前記第1干渉信号及び前記第2干渉信号の位相である2つの位相の端数成分とを求め、
前記1つの位相の傾きと、前記2つの位相の端数成分とに基づいて、前記第1干渉信号及び前記第2干渉信号のそれぞれの間の干渉次数差を求め、
前記干渉次数差と、前記2つの位相の端数成分とに基づいて、前記距離を求めることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の計測装置。
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