JP2014200936A - ベントアップ防止装置、成形体の製造方法及び成形体の成形装置 - Google Patents

ベントアップ防止装置、成形体の製造方法及び成形体の成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
ガス成分を外部に排出するベントが形成された可塑化シリンダを用いる樹脂の成形方法において、溶融樹脂のベントアップによるベントの閉塞を防止する。
【解決手段】
ガス成分を外部に排出するベントが形成され、内部で熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化シリンダの前記ベントに接続されるベントアップ防止装置であって、ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻す押圧部材と、前記押圧部材を駆動する駆動機構を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ベントアップ防止装置、該ベントアップ防止装置を使用する成形体の製造方法及び該成形体の製造方法に用いる成形体の成形装置に関する。
原料樹脂が含有する残留モノマー等の揮発成分(ガス成分)を成形前に除去するために、成形装置の可塑化シリンダにベントを設け、該ベントから揮発成分を成形機の外部へ排出する成形方法が知られている。ベントを有する成形装置を用いると、残留モノマー等の揮発成分に由来する樹脂の劣化を抑制でき、更に、原料樹脂中の水分もベントから排出除去できるため、原料樹脂の予備乾燥も省くことができ、効率的に成形体を製造できる。
しかし、ベントを有する成形装置では、ガス成分の排出と共にベントから溶融樹脂が排出されるベントアップという現象が課題となっていた。ベントアップが生じると、溶融樹脂によってベントが塞がれ、ガス成分の排出ができなくなる。このようなベントアップを検出する方法として、例えば、ベントアップした樹脂を光学的に検出する方法が報告されている。ベントアップが検出された場合、これを抑制するため、可塑化シリンダ内における原料樹脂の送り量を減らす等の制御が行われる。また、特許文献1には、混練押出機(可塑化シリンダ)のベント部分に、接触センサと、該接触センサの下方に上下動可能にぶら下げられたスプールとで構成されたベントアップ検出器が開示されている。特許文献1によれば、該スプールがベントからの溶融樹脂の盛り上がりにより押上げられて前記接触センサと接触すると、接触信号を発信することにより、ベントアップを検出する。
一方、特許文献2には、超臨界二酸化炭素等の加圧二酸化炭素に金属錯体等の機能性材料を溶解させ、ベントを有する成形装置を用いて、溶融樹脂に機能性材料を含有する加圧二酸化炭素を混合する成形方法が開示されている。特許文献2によれば、可塑化シリンダ内部には、熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とする可塑化ゾーンと、加圧二酸化炭素と溶融樹脂が混合される高圧混練ゾーンと、ベントが設けられている減圧ゾーンが、上流側からこの順に設けられ、それぞれのゾーンの境界には、各ゾーンの連通を遮断可能なシール機構が設けられている。シール機構により、高圧混練ゾーンと他のゾーンとの連通を遮断し、高圧混練ゾーンにおいて高圧状態で機能性材料を溶融樹脂に分散させた後、高圧混練ゾーンと減圧ゾーンとを連通させる。これにより、減圧した溶融樹脂から加圧二酸化炭素が分離し、ベントからガス化した加圧二酸化炭素のみを排気する。また、特許文献2には、一部の加圧二酸化炭素を樹脂に残存させ物理発泡剤として機能させる発泡成形も開示されている。
特開平9−277351号公報 国際公開第2012/120637号
加圧二酸化炭素等の加圧流体を用いた成形方法では、加圧流体が可塑剤として働き溶融樹脂の粘度が低下するため、ベントアップが特に問題となる。しかし、加圧流体を用いた成形方法では、ベント近傍は揮発成分(ガス成分)を含む加圧流体と溶融樹脂により充満されている。したがって、ベント近傍に高圧対応のガラス窓等を設けても、ガラス窓はガス成分に汚染されて透明性を維持できず、ガラス窓から光学的にベントアップした樹脂を検知することは困難である。また、加圧流体を用いた成形方法では、可塑化シリンダ内部を加圧状態として成形を行っているため、ベントアップが生じてベントを塞いだ樹脂を取り除くためには、一旦、可塑化シリンダ内を大気開放する必要がある。そのため、ベントアップは、安定した連続成形の支障となっていた。
更に、特許文献2に開示される内部にシール機構が設けられる可塑化シリンダでは、加圧二酸化炭素を導入する際、シール機構により、高圧混練ゾーンと、原料樹脂が供給される可塑化ゾーン及びベントを有する減圧ゾーンとの連通が遮断される。これにより、各ゾーン間における圧力及び溶融樹脂の流通が分断される。したがって、特許文献2に開示される可塑化シリンダにおいて、ベントアップを検出した場合に、可塑化シリンダ内における原料樹脂の送り量を減らす等の制御を行ったとしても、高圧混練ゾーンからベントを有する減圧ゾーンへ移動する溶融樹脂の量を十分に減少させることができず、ベントアップを根絶することは困難である。
本発明の目的は、ベントを有する成形装置において、ベントアップする溶融樹脂によりベントが閉塞されることを防止するベントアップ防止装置を提供すること、及び該ベントアップ防止装置を用いた成形体の製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、ガス成分を外部に排出するベントが形成され、内部で熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化シリンダの前記ベントに接続されるベントアップ防止装置であって、ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻す押圧部材と、前記押圧部材を駆動する駆動機構を有するベントアップ防止装置が提供される。
本態様では、前記押圧部材の周囲の雰囲気が、加圧雰囲気であってもよい。前記押圧部材が、前記溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すとき、前記押圧部材の一部が前記ベントに挿入されていてもよく、前記押圧部材が前記ベントを閉鎖してもよい。また、前記押圧部材がベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ所定の周期で周期的に押し戻してもよい。前記押圧部材が、前記ベントを開閉する開閉部材であってもよく、更に、所定の周期で周期的に前記ベントを開閉してもよい。また、前記駆動機構の周囲の雰囲気が、大気圧であってもよく、前記駆動機構がカムを含んでもよい。
本発明の第2の態様に従えば、成形体の製造方法であって、ガス成分を外部に排出するベントが形成された可塑化シリンダ内で、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、前記溶融樹脂からガス成分を分離し、前記ベントから可塑化シリンダの外部に排出することと、ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すことと、前記ガス成分を分離した溶融樹脂を所望の形状に成形することを含む成形体の製造方法が提供される。
本態様において、前記ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ所定の周期で周期的に押し戻してもよい。また、ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すと共に、ベントを閉鎖してもよい。また、所定の周期で周期的に前記ベントの開放及び閉鎖を繰り返してもよい。
本態様において、更に、前記溶融樹脂に加圧流体を混合してもよく、前記加圧流体が、加圧窒素又は加圧二酸化炭素であってもよく、また、前記溶融樹脂を発泡させ、発泡成形体を製造してもよい。
本発明の第3の態様に従えば、成形体を製造する成形装置であって、ガス成分を外部に排出するベントが形成され、スクリュを回転自在に内設し、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化シリンダと、前記ベントに接続される第1の態様のベントアップ防止装置を備える成形装置が提供される。
更に、本態様の成形装置は、前記可塑化シリンダに加圧流体を供給する加圧流体供給装置を備えてもよい。また、前記可塑化シリンダが、前記溶融樹脂と前記加圧流体とを混合する高圧混練ゾーンと、前記加圧流体が混合された前記溶融樹脂からガス化した加圧流体を排気する前記ベントが形成された減圧ゾーンとを有し、更に、前記高圧混練ゾーンと前記減圧ゾーンとの間に設けられ、前記高圧混練ゾーンと前記減圧ゾーンとの連通を遮断するシール機構を備えてもよい。
本発明のベントアップ防止装置は、ガス成分を外部に排出するベントが形成された可塑化シリンダに取り付けられ、ベントアップする溶融樹脂を可塑化シリンダ内に機械的に押し戻すことにより、ベントアップする溶融樹脂によりベントが閉塞されることを防止、又は抑制できる。
第1の実施形態に用いる成形装置を示す概略断面図である。 第1の実施形態のベントアップ防止装置の概略断面図である。 図2に示すベントアップ防止装置の概略断面図であって、図3(a)は開口が封止されている状態を示す図であり、図3(b)は開口が開放されている状態を示す図である。 第2の実施形態の成形体の製造方法を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
本実施形態のベントアップ防止装置は、熱可塑性樹脂の成形装置の可塑化シリンダに接続して用いられる。可塑化シリンダとしては、射出成形機、押出成形機、発泡射出成形機等に用いられる汎用の可塑化シリンダを用いることができるが、ガス成分を外部に排出するベントが形成されており、本実施形態のベントアップ防止装置はそのベントに接続される。本実施形態のベントアップ防止装置は、可塑化シリンダと別個体であってもよいし、可塑化シリンダと一体に形成されてもよい。
本実施形態のベントアップ防止装置は、前記ベントより漏れ出る溶融樹脂(ベントアップする溶融樹脂)を前記可塑化シリンダ内へ押し戻す押圧部材と、前記押圧部材を駆動する駆動機構を有する。「ベントアップ」とは、成形装置の可塑化シリンダにおいて、熱可塑性樹脂の含有するガス成分を排出する排出口(ベント)からガス成分と共に溶融した熱可塑性樹脂(溶融樹脂)が漏れ出る現象である。本願明細書において、ベントアップは、溶融樹脂が完全に可塑化シリンダの外部に漏れ出ることのみならず、例えば、可塑化シリンダの内部から漏れ出て、溶融樹脂がベント内に侵入する現象も含む。図3(b)には、可塑化シリンダ210の内部から漏れ出て、ベント203内に侵入するベントアップする溶融樹脂70aが示される。ベントアップは、溶融樹脂の粘度が低い場合、得に問題となる。例えば、一般に非強化樹脂と称される無機フィラーを含有しない樹脂は、強化樹脂(無機フィラーを含有する樹脂)と比較して、可塑化溶融時の粘度が低くベントアップを生じ易い。また、溶融樹脂に加圧二酸化炭素等の加圧流体を含有させる発泡成形等の場合も、加圧流体が可塑剤として働くため溶融樹脂の粘度が低下する。したがって、本実施形態のベントアップ防止装置は、非強化樹脂や加圧流体を用いる成形方法において特に有効に機能する。
本実施形態の押圧部材は、ベントより漏れ出る溶融樹脂を可塑化シリンダ内へ機械的に押し戻す機構であれば任意の機構を用いることができ、例えば、ピストンのように上下方向に移動する機構を用いてもよい。また、押圧部材を駆動させる駆動機構は任意であり、エアシリンダ、カム、圧電アクチュエータ等の汎用の駆動機構を用いることができる。本実施形態は、ベントアップする溶融樹脂を機械的に可塑化シリンダ内へ押し戻すため、確実にベントアップを抑制又は防止することができる。
また本実施形態の押圧部材の溶融樹脂との接触面は、溶融樹脂との密着性を低下させる表面処理が施されていることが好ましい。押圧部材と溶融樹脂が密着すると、押圧部材側に溶融樹脂が移動し、押し戻し機能が低下するためである。押圧部材への表面処理としては、フッ素系やシリコーン系の耐熱撥水性の高分子皮膜のコーティング、フッ素高分子の粒子を含有する複合メッキ、又は窒化チタン、窒化クロム、炭窒化チタン等の物理蒸着膜による耐摩耗皮膜や高潤滑皮膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やその複合皮膜等を用いることができる。
以下に、図1〜図3に示す本実施形態のベントアップ防止装置300について説明する。以下の説明において、図2及び図3に示す矢印Yで示す方向を「上方向」、矢印Y′で示す方向を「下方向」と記載する。
ベントアップ防止装置300は、成形装置1000の可塑化シリンダ210上部に設けられたベント203に、挿入部30aを挿入することにより接続される本体30と、本体30の内部を密閉空間とすることが可能な蓋39と、本体30の内部に設けられるニードル弁31及びニードル弁31の上方向の端部31bに接触しながら回転する回転ドラム32と、本体30の外部に設けられるプーリ33、モータ34及びプーリ33とモータ34を繋ぐエンドレスベルト35から主に構成される。本実施形態において、ニードル弁31は、ベントアップする溶融樹脂70a(図3(b)参照)を可塑化シリンダ内に押し戻す押圧部材であり、回転ドラム32、プーリ33、モータ34及びエンドレスベルト35等は、ニードル弁31を駆動するための駆動機構である。本実施形態では、押圧部材(ニードル弁31)と、それを駆動する駆動機構から、ベントアップする溶融樹脂を可塑化シリンダ内に押し戻す押圧機構が構成される。
本体30は、圧力20MPaまでの耐圧性を有する耐圧容器であり、その内部には、可塑化シリンダの内部210aに向って下方向に延びる縦孔30bが形成されており、縦孔30bの先端(底)は、開口30cにより可塑化シリンダの内部210aと連通している。ニードル弁31は、縦孔30b内に上下方向に移動可能に保持され、ニードル弁の先端31a(下方向の端部)は開口30cを開閉可能に封止(閉鎖)している。また、本体30の縦孔30bを形成する側面には、開口30cから上方向に延びる溝(スリット)30dが形成されている。図2に示すように、縦孔30bの一部は、可塑化シリンダ210のベントに挿入される挿入部30a内に形成されており、そのため、ニードル弁31の一部はベント203内に配置されている。更に、本体30には冷却水流路43が形成され、その内部に常時冷却水を流通し、本体30がモータ34等により異常加熱しないように温度調整される。
回転ドラム32は、外周曲面32bに切欠き32aが形成されたカムであり、回転軸36を介して、本体30の外部に設けられたプーリ33と接続している。プーリ33はエンドレスベルト35によりモータ34と接続しており、モータ34を駆動することにより、プーリ33が回転し、これに同期して回転ドラム32が回転する。回転軸36と本体30の境界には高圧シール37と軸ブレを抑制するボールベアリング38が設置されており、回転軸36が高速回転しても本体32内部の圧力を保持できる。
更に、本体30には外部に通じる排出配管40が接続され、排出配管40には圧力計41及び背圧弁42が設けられる。本体30の内部は密閉系であり、ベント203から排出されるガス成分は、まず、開口30c及び溝(スリット)30dを通って本体30内へ移動し、次に、本体30に接続される排出配管40を介して、本体30の外部に排出される。したがって、ベントアップ防止装置300は、本体30内部の圧力を背圧弁42の設定圧力に制御することができ、更に、可塑化シリンダ210内のベント203近傍の圧力も背圧弁42の設定圧力に制御できる。これにより、ベントアップ防止装置300は、溶融樹脂のベントアップを防止すると共に、溶融樹脂から排出されるガス成分量を調整できる。特に、溶融樹脂に物理発泡剤として加圧流体を含有させる発泡成形にベントアップ防止装置300を用いる場合、成形前に余剰な物理発泡剤がベント203から排出されるが、ベントアップ防止装置300は、本体30内部の圧力を調整することにより、溶融樹脂内の物理発泡剤の圧力及び濃度を安定化させることができる。発泡成形にベントアップ防止装置300を用いる場合、ベントアップ防止装置300の内の雰囲気、即ち、ニードル弁31(押圧部材)の周囲の雰囲気は、物理発泡剤を接触混練するときに到達する最高圧力以下で、且つ大気圧以上に制御することが好ましく、1〜10MPaの圧力に制御することが特に好ましい。大気圧以上の加圧状態とすることで、溶融樹脂の急減圧による急激な体積膨張も抑制でき、ベントアップの抑制にも貢献できる。
また、本実施形態では、ニードル弁31(押圧部材)の表面、及びニードル弁31の勘合面、即ち、ニードル弁31を移動可能に保持する縦孔30bを形成する側面には、フッ素ポリマーを含有する複合めっきが20μm形成されている。これにより、押圧部材及びその勘合面は、溶融樹脂との密着性が低下して溶融樹脂が付着し難くなり、溶融樹脂の押し戻し機能の低下を抑制できる。
次に、図3(a)及び(b)に示す、本実施形態のベントアップ防止装置300の駆動方法について説明する。可塑化シリンダ210内で、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすると、溶融樹脂からガス成分が分離され、ガス成分はベント203内に設けられる開口30cから可塑化シリンダ210の外部へ排出されようとする。このため、開口30cを封止しているニードル弁の先端31aには、ガス成分により上方向に圧力がかかる。一方、ベントアップ防止装置300では、モータ34を駆動することにより、切欠き32aを有する回転ドラム32を一定速度で常時回転させる。これにより、ニードル弁31の端部31bに、回転ドラム32の外周曲面32bと、切欠き32aとが、交互に接触又は対向することになる。
図3(a)に示すように、回転ドラム32の外周曲面32bがニードル弁の端部31bに接触しているとき、ニードル弁31は上方向に移動することができないため、先端31aは開口30cを封止する。次に、回転ドラム32が回転して、切欠き32aがニードル弁31の先端31bに対向すると、図2(b)に示すように、ガス成分による上方向の圧力によりニードル弁31が上方向へ押し上げられ、先端31bは切欠き32aに接触する。これにより、開口30cが開放され、縦孔30bの先端(底)とニードル弁の先端31bとの間に隙間Sが形成される。本実施形態では、回転ドラム32の回転により、ニードル弁31が縦孔30b内で上下方向に移動を繰り返し、これに伴い開口30cの封止と開放が交互に繰り返される。即ち、回転ドラム32を含む駆動機構は、カム機構のように動作する。ニードル弁31は、ベント203内で上下方向にピストン運動するピストンであり、図3(a)に示す状態と図3(b)に示す状態が交互に繰り返される。
図3(a)に示す開口30cが封止(閉鎖)されている状態において、開口30cからガス成分の排出、及び溶融樹脂のベントアップは生じない。一方、図3(b)に示す開口30cが開放されている状態においては、溶融樹脂から分離したガス成分は、開口30cから隙間Sに排出され、溝(スリット)30dを通って、本体30内部に移動し、更に、排出配管40を介して本体30cの外部へ排出される。また、開口30cを開放することによって、図3(b)に示すように、溶融樹脂70が縦孔30b内に侵入した場合、ニードル弁31は、下方向へ移動するときに、ベントアップする樹脂70aを可塑化シリンダ210内へ押し戻すことができる。開口30cを開放する度に、溶融樹脂がベントアップする場合、ニードル弁31(押圧部材)は、所定の周期で周期的にベントアップする溶融樹脂70aを可塑化シリンダ210内へ押し戻す。
開口30cが開放されている開放時間及び開閉サイクル等は、ニードル弁31の上下移動(ピストン運動)の周期によって任意の値に設定でき、本実施形態では、切り欠きの大きさ等の回転ドラム32の形状及び回転数によって制御できる。例えば、回転ドラム34の回転数を高くすると、開口30cの開放時間及び開閉サイクルは短くなる。溶融樹脂の排出速度よりもガス成分の排出速度の方が速いため、回転ドラム34の回転数を高くすることで、ベントアップの発生を未然に抑制しながら、ガス成分の排出を促進することができる。本実施形態では、ニードル弁31を駆動するための駆動機構、プーリ33、モータ34及びエンドレスベルト35を大気圧雰囲気である本体30の外部に設けている。そのため、本体30内部を加圧状態とした場合であっても、本体内部の圧力とは無関係に、回転ドラム32を高速で回転させることができる。
本実施形態のニードル弁31(押圧部材)は、可塑化シリンダに設けられたベントの開閉を行う開閉部材であり、所定の周期で周期的に前記ベントを開閉する。ベント内に設けられた開口30cの開閉サイクル(周期)を短くすることにより、ベントアップの発生を未然に抑制することができる。しかし、本実施形態のニードル弁31は、単なるベントの開閉機構ではなく、上下方向に移動することにより、ベントアップする溶融樹脂を機械的に可塑化シリンダ内へ押し戻すため、確実にベントアップを抑制又は防止することができる。
また、本実施形態では、ニードル弁31の一部は、ベント203内に挿入されており、ベント203内で上下方向に移動している。溶融樹脂を可塑化シリンダ内へ押し戻すとき、ニードル弁31の一部がベント203に挿入されていることで、ベント内に侵入した直後のベントアップ初期段階の溶融樹脂を可塑化シリンダ内に押し戻すことができる。これにより、ベントアップした溶融樹脂がベント内で固化し、ベントを塞ぐことを未然に防止できる。
本実施形態において、ベントアップ防止装置300を駆動させるタイミングは任意であり、可塑化シリンダ210の使用中、連続して駆動して常にベントアップを防止又は抑制してもよい。また、本発明者らの検討によれば、成形方法によっては、ベントアップの発生し易いタイミングが成形サイクルの中である程度決まっている。したがって、ベントアップ防止装置300が使用される成形装置1000の成形サイクルと同期させ、成形サイクルにおけるベントアップが発生し易いタイミングにのみベントアップ防止装置300を駆動させてもよい。例えば、加圧流体を溶融樹脂に混合する成形方法では、加圧流体を含有する溶融樹脂を減圧した直後にベントアップが発生し易いので、このタイミングでベントアップ防止装置300を駆動させる。ベントアップ防止装置300の駆動と、成形装置1000の成形サイクルとを同期させる方法としては、例えば、成形装置1000の可塑化シリンダに内設されるスクリュ20の位置を検出し、スクリュ20の位置に基づいてベントアップ防止装置300の駆動の開始及び停止を制御する。
このような成形装置1000の成形サイクルと同期したベントアップ防止装置300の駆動は、図示しない制御装置によって制御してもよい。ベントアップ防止装置300自体が制御装置を備えていてもよいし、また、ベントアップ防止装置300が取り付けられる成形装置を制御する制御装置がベントアップ防止装置300を制御してもよい。また、図1には図示しないが、可塑化シリンダ210の上流側の後端部には、スクリュ20を回転させる回転モータなどの回転駆動手段と、スクリュ20を前後進させるためのボールネジ及びそれを駆動させるモータなどの移動手段とが接続されている。ベントアップ防止装置300の回転モータ34は、これらスクリュの回転駆動手段又は移動手段のモータと同期させてもよい。
本実施形態のベントアップ防止装置300は、ベントアップを検出する検出器を必要としない。本実施形態では、ベントアップ発生の有無とは無関係に、連続してベントアップ防止装置300を駆動して、常にベントアップを防止又は抑制してもよい。また、ベントアップを検出せずとも、成形装置1000の成形サイクルと同期させることで、成形サイクルにおけるベントアップが発生し易いタイミングにのみベントアップ防止装置300を駆動させることができ、効率的にベントアップを抑制又は防止できる。本実施形態のベントアップ装置300は、ベントアップ検出器を有さないため、構造をシンプルにでき、コスト削減を図ることができる。
以上、図1〜図3に示す本実施形態のベントアップ防止装置300について説明したが、本実施形態は本発明の好適な形態の例であり、本発明は、これに限定されない。例えば、本実施形態では、ベント203から排出されるガス成分が通過する溝30dを本体30の縦穴30bを形成する側面に形成したが、ガス成分が通過する溝をニードル弁31の側面に形成してもよいし、また、形成しなくてもよい。ガス成分が通過する溝を形成しない場合、ガス成分排出スピードは低下するが、縦孔30bとニードル弁31との間の隙間(クリアランス)からガス成分を排出することが可能である。また、本実施形態では、ニードル弁(押圧部材)31の周囲の雰囲気を加圧状態に制御するが、背圧弁42を開放するか、又は蓋39を開放することにより、周囲の雰囲気を大気圧としてもよい。更に、本実施形態のベントアップ防止装置300は、1つのベント203を有する可塑化シリンダ210に取り付けられ、本体30内には、ニードル弁31及び回転ドラム32が、それぞれ1つ配置されているが、複数のベントを有する可塑化シリンダに取り付けられるベントアップ防止装置であって、それぞれのベントに対応する複数の回転ドラム及びニードル弁を有する構造であってもよい。この場合、1本の回転軸36に複数の回転ドラムを取り付けることで、1つのモータ34によって複数のニードル弁を同時に上下方向に反復駆動させることができる。更に、複数の回転ドラムの形状をそれぞれ変えることにより、複数のベントの開閉のタイミングをずらすこともできる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、上述したベントアップ防止装置300を用いた成形体の製造方法について、図4を参照しながら説明する。まず、図1に示す、ガス成分を外部に排出するベント203にベントアップ防止装置300が接続した可塑化シリンダ210内で、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする(ステップS1)。可塑化シリンダとしては、スクリュを回転自在に内設し、バンドヒータ等の加熱手段を備える汎用の可塑化シリンダを用いることができる。
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂は任意であり、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、ガラス繊維、タルク、カーボン繊維等、各種無機フィラー等を混練させることもできる。一般に非強化樹脂と称される無機フィラーを含有しない樹脂は、強化樹脂(無機フィラーを含有する樹脂)と比較して、可塑化溶融時の粘度が低くベントアップを生じ易い。したがって、ベントアップを抑制する本実施形態の成形方法は、非強化樹脂を用いた成形方法として有効である。
また、本実施形態では、予備乾燥を行っていない熱可塑性樹脂を用いることもできる。吸水した未乾燥の樹脂をそのまま成形すると、成形体の外観が著しく悪くなるため、従来の成形体の製造方法では、原料となる熱可塑性樹脂の水分を取り除くために予備乾燥が行われる。例えば、ポリカーボネートの場合、約120℃で8時間程度の予備乾燥が必要である。本実施形態では、溶融樹脂中の水分もガス成分としてベントから排出除去できるため、原料となる熱可塑性樹脂の予備乾燥が不要となり、低コストで且つ効率的に樹脂成形体を製造できる。
本実施形態では、可塑化シリンダに加圧窒素又は加圧二酸化炭素等の加圧流体を導入して、溶融樹脂と加圧二酸化炭素を混合する。本実施形態では、加圧流体を物理発泡剤として用い発泡成形を行う。加圧流体の可塑化シリンダへの導入圧力及び温度は、加圧流体の種類によっても適切な条件は異なり、任意であるが、密度が高く安定であることから液体状態もしくは超臨界状態が好ましい。加圧窒素又は加圧二酸化炭素を加圧流体として用いる場合には、圧力は3〜25MPa、温度は10℃〜100℃であることが好ましい。圧力が3MPa以上であれば安定して可塑化シリンダ210へ導入でき、25MPa以下であれば装置への負荷が小さくなる。また、温度が10℃〜100℃の範囲であれば、系内での加圧流体の制御が容易となる。尚、本実施形態において加圧流体として用いる加圧窒素及び加圧二酸化炭素は、可塑化シリンダ210内で瞬時に高温になり圧力も変動する。よって、上述の加圧流体の状態、温度及び圧力は、加圧シリンダ210に導入する前の安定な状態の加圧流体の状態、圧力及び温度の値である。
加圧流体を調製する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用できる。例えば、シリンジポンプなどの加圧手段により液体状態の加圧流体を加圧して調製できる。また、本実施形態では、溶融樹脂の成形前に、溶融樹脂中の加圧流体をベントから排出し、溶融樹脂中の加圧流体濃度を調整できる。したがって、可塑化シリンダへの導入の段階で加圧流体の導入量を厳密に制御しなくてもよい。
加圧流体を可塑化シリンダへ供給する方法は任意の方法を使用できる。例えば、加圧流体を可塑化シリンダに間欠的に導入してもよいし、連続的に導入してもよい。また、加圧流体の導入は、安定な送液が行えるシリンジポンプを利用し、導入量を制御してもよい。
本実施形態では、可塑化シリンダ210の使用中、ベントアップ防止装置300を連続して駆動する。ニードル弁31は縦孔30b内で上下方向に移動を繰り返し、これに伴い開口30cの開放と封止(閉鎖)が交互に繰り返される。図3(b)に示すように、開口30cが開放されると、溶融樹脂から分離したガス成分は開口30cから可塑化シリンダ210の外部へ排出され、隙間S及び溝(スリット)30dを通って本体30内部に移動し、更に、排出配管40を介して本体30cの外部へ排出される(ステップS2)。ガス成分とは、熱可塑性樹脂が含有する未反応モノマー、溶剤、水分等の低分子の揮発性成分である。これらは、熱可塑性樹脂が加熱され可塑化溶融状態となることで、ガス成分(気体)となり溶融樹脂から分離し、ベントから可塑化シリンダの外部へ排出される。ガス成分を溶融樹脂の成形前に取り除くことにより、製造される成形体の耐性等を向上させることができる。また、溶融樹脂中の水分もベントから排出除去できるため、原料となる熱可塑性樹脂の予備乾燥が不要となり、低コスト且つ効率的に成形体を製造できる。
本実施形態では、溶融樹脂に加圧流体を混合するため、余剰な加圧流体もガス成分として溶融樹脂から分離され、ベント203から可塑化シリンダ210外に排出される。また、ベントアップ防止装置300の背圧弁42により、ニードル弁31(押圧部材)の周囲の雰囲気を加圧状態に制御することが好ましい。これにより、溶融樹脂内の加圧二酸化炭素の圧力と濃度を安定化させることができる。ニードル弁31(押圧部材)の周囲の雰囲気は、加圧流体(物理発泡剤)を接触混練するときに到達する最高圧力以下で、且つ大気圧以上の加圧状態に制御することが好ましく、1〜10MPaの圧力に制御することが特に好ましい。
溶融樹脂に加圧流体が混錬されると樹脂粘度が低下した状態になり、更に、排気のため減圧されることで樹脂が体積膨張してベントアップが生じ易い。本実施形態では、ニードル弁31が上下方向に移動を繰り返すことで、図3(b)に示すように溶融樹脂70が縦孔30b内に侵入しても、ニードル弁31が下方向へ移動するときに、ベントアップする樹脂70aを塑化シリンダ210内へ押し戻す(ステップS3)。これにより、ベントアップした溶融樹脂がベントを閉塞することを防止又は抑制でき、溶融樹脂の連続成形を円滑に行うことができる。
ガス成分が溶融樹脂から分離された後、溶融樹脂を可塑化シリンダ210の先端部から射出又は押出し、所望の形状に成形する(ステップS4)。本実施形態では、所定の内部形状を有する金型内に溶融樹脂を射出充填し、物理発泡剤を含む溶融樹脂を急減圧して発泡セルが形成された成形体(発泡成形体)を製造する。
以上、図4に示す本実施形態の成形体の製造方法について説明したが、本実施形態は本発明の好適な形態の例であり、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明は溶融樹脂に加圧流体を混合して発泡成形体を行ったが、非発泡成形体を製造してもよいし、溶融樹脂には加圧流体を混合しなくてもよい。また、本実施例では、ベントアップ防止装置300の背圧弁42により、ニードル弁31(押圧部材)の周囲の雰囲気を加圧状態に制御するが、背圧弁42又は蓋39を開放して雰囲気を大気圧としてもよい。また、本実施形態では、可塑化シリンダ210の使用中、ベントアップ防止装置300を連続して駆動するが、成形装置1000の成形サイクルと同期させ、成形サイクルにおけるベントアップが発生し易いタイミングにのみベントアップ防止装置300を駆動させてもよい。
また、機能性材料を加圧流体に溶解し、加圧流体と共に可塑化シリンダへ導入し、溶融樹脂と混合してもよい。これにより、機能性材料を含有する成形体を製造できる。機能性材料としては、加圧流体に溶解又は分散でき、得られる成形体に所定の機能を付与できるものであれば特に制限されない。このような機能性材料としては、例えば、有機金属錯体、金属アルコキシド等の無機粒子或いはその前駆体、炭素繊維、ガラス繊維等の無機フィラー或いはその修飾化合物、各種樹脂のアロイ化を促進させるための相溶化剤、界面活性剤、染料、ナノカーボン、帯電防止剤、難燃材料などが挙げられる。加圧流体中の機能性材料の濃度は、使用する機能性材料の種類、目的とする成形体の機能を考慮して適宜選択することができ、特に制限されないが、溶融樹脂への浸透性や混合高圧流体中の機能性材料の凝集を考慮すれば、好ましくは飽和溶解度以下である。特に高温になる成形装置の可塑化シリンダ内では急激に加圧流体の密度が低下するので、機能性材料の濃度は、飽和溶解度の1〜50%程度が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、熱可塑性樹脂として、無機フィラーを含有しない非強化6ナイロン(東レ製、CM1007)を用い、物理発泡剤として加圧窒素を用いて発泡成形体を製造した。尚、本実施例で用いた非強化6ナイロンは、約100℃で約4時間の予備乾燥を行った。
[成形装置]
図1に示す本実施例に用いた成形装置1000について説明する。成形装置1000は、可塑化シリンダ210及びベントアップ防止装置300を有する混練装置200と、物理発泡剤を可塑化シリンダ210に供給する物理発泡剤供給装置100と、金型252が設けられた型締めユニット250と、物理発泡剤供給装置100、混練装置200、及び型締めユニット250を動作制御する制御装置(不図示)を備える。また、混練装置200には、ノズル先端29にエアシリンダ27の駆動により開閉するシャットオフバルブ26が設けられ、可塑化シリンダ210の内部を高圧に保持できる。ノズル先端29には、金型が密着し、金型が形成するキャビティ内に、ノズル先端29から溶融樹脂が射出充填される。
図1に示す混練装置200は、可塑化シリンダ210と、可塑化シリンダ210内に回転及び進退自在に配設されたスクリュ20と、可塑化シリンダ210内に配置される上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2と、可塑化シリンダ210に接続する上述したベントアップ防止装置300を備える。本実施形態では、可塑化シリンダ210内において、可塑化溶融された溶融樹脂は、図1における右手から左手に向かって流動する。したがって、本実施形態の可塑化シリンダ210の内部においては、図1における右手を「上流」又は「後方」、左手を「下流」又は「前方」と定義する。
更に、図示しないが、可塑化シリンダ210の上流側の後端部には、スクリュ20を回転させる回転モータなどの回転駆動手段と、スクリュ20を前後進させるためのボールネジ及びそれを駆動させるモータなどの移動手段とが接続されている。なお、本実施形態の混練装置200は、従来公知の混練装置の構成と同様に、可塑化シリンダ210の後方側から見た場合に、スクリュ20を反時計回りに回転させると溶融樹脂を前方(ノズル部側)に送る正回転をし、時計回りに回転させると逆回転するように構成されている。
可塑化シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201、物理発泡剤を可塑化シリンダ210内に導入するための導入口202、及び可塑化シリンダ210内からガス化した物理発泡剤を排気するためのベント203が形成されている。これらの樹脂供給口201、及び導入口202にはそれぞれ、樹脂供給用ホッパ211、及び物理発泡剤の導入バルブ212が配設されており、ベント203には、ベントアップ防止装置300が接続されている。また導入バルブ212は、混練装置200の外に設けられる、物理発泡剤供給装置100と接続される。可塑化シリンダ210の外壁面には、バンドヒータ(図示せず)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱されて、熱可塑性樹脂が可塑化される。さらに、可塑化シリンダ210の下部側面の導入口202と対向する位置及びベント203に対向する位置にはそれぞれ、圧力及び温度をモニターする図示しないセンサが設けられている。
このような構造の混練装置200では、樹脂供給口201から可塑化シリンダ210内に熱可塑性樹脂が供給され、熱可塑性樹脂がバンドヒータによって可塑化されて溶融樹脂となり、スクリュ20が正回転することにより下流に送られる。そして、導入口202近傍まで送られた溶融樹脂は、導入された物理発泡剤と高圧下、接触混練される。次いで、物理発泡剤と接触混練された溶融樹脂の樹脂内圧を、物理発泡剤を接触混練するときに到達する最高圧力以下に、溶融樹脂の雰囲気の圧力を調整して低下させることにより、ガス化した一部の物理発泡剤が溶融樹脂から分離し、ベント203からこのガス化した物理発泡剤が排気される。そして、さらに前方に送られた溶融樹脂はスクリュ20の先端部に押し出され、溶融樹脂の圧力がスクリュ20に対する反力となり、該反力でスクリュ20が後退することにより計量が行われる。これにより、可塑化シリンダ210内では、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とする可塑化ゾーン21、溶融樹脂と導入口202から導入される物理発泡剤とを高圧下、接触混練する高圧混練ゾーン22、及び物理発泡剤と接触混練した溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、溶融樹脂から一部分離された物理発泡剤をベント203から排気する減圧ゾーン23が形成される。なお、溶融樹脂と物理発泡剤との接触混練を効率的に行うため、可塑化シリンダ210に導入口202及びベント203をそれぞれ複数設け、可塑化シリンダ210内に高圧混練ゾーン22及び減圧ゾーン23をそれぞれ複数形成してもよい。この場合、複数のベント203に、複数のベントアップ防止装置300をそれぞれ接続してもよい。
図1に示すように、上記可塑化ゾーン21、高圧混練ゾーン22、及び減圧ゾーン23の間にはそれぞれ、これらのゾーン21、22、23の連通状態を一時的に遮断する上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2が配設されている。これにより、例えば、物理発泡剤を高圧混練ゾーン22に導入する際には、機械的に高圧混練ゾーン22の上流側及び下流側がシールされ、確実に高圧混練ゾーン22と隣接するゾーン21、23とを遮断できる。この結果、高圧混練ゾーン22の圧力は高圧に維持されるので、物理発泡剤を溶融樹脂に効果的に浸透可能となる。上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2は、ゾーン21、22、23の連通を遮断するものであれば、種々のものを利用できるが、スクリュ20の回転状態に応じてこれらのゾーンの連通を遮断するものが好ましく、本実施形態では、上述の特許文献2(国際公開第2012/120637号)に開示される上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2を用いた。上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2は、スクリュ20の逆回転により、ゾーン21、22、23の連通を遮断することができ、スクリュ20の正回転、回転の停止、又は逆回転の回転数の低下のいずれかにより、ゾーン21、22、23を連通することができる。
物理発泡剤供給装置100は、並列に接続された、3つの圧力14MPaの窒素ボンベ10を含み、減圧弁11及び圧力計12、更に圧力計13、背圧弁14、圧力計15を介して、可塑化シリンダ210の物理発泡剤の導入バルブ212に接続される。
[成形体の製造]
以上説明した図1に示す成形装置1000を用いて発泡成形体を製造した。まず、物理発泡剤供給装置の窒素ボンベ10の排出バルブを開放し、可塑化シリンダ210内に物理発泡剤を導入する導入バルブ212までの系内を加圧した。このとき、まず、減圧弁11にて圧力計12の表示が9MPaになるように窒素の圧力を調整し、更に、圧力計13の表示が8.5MPaになるように背圧弁14により窒素圧力を調整した。
一方、混練装置200において、樹脂供給用ホッパ211から熱可塑性樹脂を供給し、可塑化ゾーン21の外壁面に設けられたバンドヒータ(不図示)により可塑化ゾーン21を加熱し、スクリュ20を正回転させた。これにより、該熱可塑性樹脂を加熱、混練し、溶融樹脂とした。本実施例では、溶融樹脂の温度が200〜220℃となるように可塑化シリンダ210の可塑化ゾーン21を加熱した。
スクリュ20を回転数100rpmで正回転することにより、溶融樹脂を可塑化ゾーン21から高圧混練ゾーン22に流動させた。次に、溶融樹脂可塑化計量の途中において、スクリュ20の回転を一旦停止した後、スクリュ20を1秒間、逆回転させることで(回転数:50rpm)、上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2によって、高圧混練ゾーン22と、減圧ゾーン23及び可塑化ゾーン21との連通を遮断した。更に、回転数10rpmの低速で5秒間逆回転を続け、その間に導入バルブ212を2秒開放し、可塑化シリンダ210内へ加圧窒素を導入した。加圧窒素導入時の高圧混練ゾーン22における図示しない圧力センサによる可塑化シリンダ21内部のモニター圧力は最高6MPaとなった。本実施例では、溶融樹脂を成形する前に、溶融樹脂から過剰な窒素を分離、排出するため、可塑化シリンダ210への導入量は厳密に制御する必要がない。そのため、可塑化シリンダ210への加圧窒素導入量の精密な制御は行なわず、過剰な量を可塑化シリンダ210へ導入した。
高圧混練ゾーン22に導入された物理発泡剤を、高圧混練ゾーン22で溶融樹脂中に高圧状態で分散させた後、スクリュ20を正回転に戻し、溶融樹脂を減圧ゾーン23へ流動させた。
減圧ゾーン23のベント203に取り付けられたベントアップ防止装置300は、混練装置200の駆動中、常時連続で駆動させた。本実施例では、回転ドラム32の回転数が100rpmとなるようにモータ34を駆動させ、背圧弁38は4MPaに設定した。これにより、ベントアップ防止装置300内部のニードル弁31(押圧部材)の周囲の雰囲気を4MPaの加圧状態とした。可塑化シリンダ210内の減圧ゾーン23における図示しない圧力センサによるモニター圧力も常時4MPaであった。
減圧ゾーン23へ流動した溶融樹脂及び物理発泡剤は、減圧ゾーンの設定圧力、4MPaまで圧力が低下した。これにより、余剰な物理発泡剤(窒素)はガス化して溶融樹脂から分離した。そして、図3(b)に示すように、回転ドラム32の切欠き32aがニードル弁31の先端31bに対向したとき、ガス成分はニードル弁31を上方向へ押し上げ、開口30cを開放し、開放された開口30cから、可塑化シリンダ210の外部へ排出された。更に、ガス成分は、溝30dを通過してベントアップ防止装置300の本体30の内部へ移動し、排出配管40より成形装置1000の外部へ排出された。
本実施例では、回転ドラム32を100rpmという高速で回転したため、開口30cの開放時間及び開閉サイクルを短くでき、ベントアップを未然に防止することができた。それでも、ガス成分の排出と共に溶融樹脂のベントアップが生じた場合には、ニードル弁31により、ベントアップする溶融樹脂70aを可塑化シリンダ210内へ押し戻すことができた。
更に、スクリュ20を正回転にすることにより、余剰な物理発泡剤(ガス成分)が分離された溶融樹脂を可塑化シリンダ210の先端部に送り、溶融樹脂の可塑化計量を完了した。その後、シャットオフバルブ26を開放して、温度100℃に調整された金型252内に溶融樹脂を射出速度100mm/sで射出充填し、発泡成形体を得た。ソリッド(非発泡成形体)成形時の計量ストロークが80mmであるのに対し、本実施例では70mmの計量ストロークで射出充填し、保圧はかけなかった。本実施例で得られた発泡成形体には、セル径30μm〜50μmの微細なセルが形成されており、同材料から製造される非発泡成形体と比較して、比重が15%低減した。
本実施例は、非強化樹脂及び加圧流体を用いたベントアップが生じ易い条件であるにもかかわらず、ベントアップ防止装置を用いることにより、ベントアップした溶融樹脂によりベントが閉塞されることなく、発泡成形体を製造することができた。また、本実施例では、物理発泡剤の導入量や圧力を制御していないにも関わらず、超臨界流体を用いた発泡成形法と同等の微細な発泡セルを有する発泡体が得られた。
[実施例2]
本実施例では、実施例1と同様の無機フィラーを含有しない非強化ナイロンを用い、図1に示す成形装置1000を使用したが、非強化ナイロンの予備乾燥は行わず、また物理発泡剤を用いずに非発泡成形体を製造した。
本実施例では、物理発泡剤の可塑化シリンダへ210への供給は行わず、また、可塑化スクリュ20を逆回転することなく、一定回転数で正回転することにより熱可塑性樹脂の可塑化計量を行い、ソリッド(非発泡成形体)成形時の製造条件である80mmの計量ストロークで金型に射出充填し、非発泡成形体を製造した。また、ベントアップ防止装置300においては、蓋39を開放し、ニードル弁31の周囲の雰囲気を大気圧とした。これ以外は、実施例1と同様の方法により、ベントアップ防止装置300を用いて溶融樹脂のベントアップを抑制又は防止した。
本実施例では、ベントアップした溶融樹脂によりベントが閉塞されることなく成形体を製造することができた。また、本実施例で得られた成形品は、外観特性に優れ、原料樹脂の予備乾燥を行っていないのにもかかわらず、水分残渣の影響は認められなかった。
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明によれば、ベントアップ防止装置を用いることで、成形体製造中の溶融樹脂のベントアップにより、ベントが閉塞されることを抑制、又は防止できる。これにより、成形体を工業的に安定して連続製造できる。
30 本体
30a 挿入部
31 ニードル弁
32 回転ドラム
33 プーリ
34 モータ
35 エンドレスベルト
36 回転軸
37 高圧シール
38 ボールベアリング
39 蓋
100 物理発泡剤供給装置
200 混練装置
203 ベント
210 可塑化シリンダ
300 ベントアップ防止装置
250 型締めユニット
252 金型
1000 成形装置

Claims (19)

  1. ガス成分を外部に排出するベントが形成され、内部で熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化シリンダの前記ベントに接続されるベントアップ防止装置であって、
    ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻す押圧部材と、
    前記押圧部材を駆動する駆動機構を有するベントアップ防止装置。
  2. 前記押圧部材の周囲の雰囲気が、加圧雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載のベントアップ防止装置。
  3. 前記押圧部材が、前記溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すとき、前記押圧部材の一部が前記ベントに挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベントアップ防止装置。
  4. 前記押圧部材が、前記溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すとき、前記押圧部材が前記ベントを閉鎖することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のベントアップ防止装置。
  5. 前記駆動機構がカムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のベントアップ防止装置。
  6. 前記押圧部材が、ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ所定の周期で周期的に押し戻す請求項1〜5のいずれか一項に記載のベントアップ防止装置。
  7. 前記押圧部材が、前記ベントを開閉する開閉部材である請求項1〜6のいずれか一項に記載のベントアップ防止装置。
  8. 前記押圧部材が所定の周期で周期的に前記ベントを開閉する請求項7に記載のベントアップ防止装置。
  9. 前記駆動機構の周囲の雰囲気が、大気圧であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のベントアップ防止装置。
  10. 成形体の製造方法であって、
    ガス成分を外部に排出するベントが形成された可塑化シリンダ内で、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、
    前記溶融樹脂からガス成分を分離し、前記ベントから可塑化シリンダの外部に排出することと、
    ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すことと、
    前記ガス成分を分離した溶融樹脂を所望の形状に成形することを含む成形体の製造方法。
  11. 前記ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ所定の周期で周期的に押し戻す請求項10に記載の成形体の製造方法。
  12. 前記ベントアップする溶融樹脂を前記可塑化シリンダ内へ押し戻すと共に、前記ベントを閉鎖することを特徴とする請求項10又は11に記載の成形体の製造方法。
  13. 所定の周期で周期的に前記ベントの開放及び閉鎖を繰り返すことを特徴とする請求項12に記載の成形体の製造方法。
  14. 更に、前記溶融樹脂に加圧流体を混合することを含む請求項10〜13のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。
  15. 前記加圧流体が、加圧窒素又は加圧二酸化炭素である請求項14に記載の成形体の製造方法。
  16. 前記溶融樹脂を発泡させ、発泡成形体を製造することを特徴とする請求項14又は15に記載の成形体の製造方法。
  17. 成形体を製造する成形装置であって、
    ガス成分を外部に排出するベントが形成され、スクリュを回転自在に内設し、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化シリンダと
    前記ベントに接続される請求項1〜9のいずれか一項に記載のベントアップ防止装置を備える成形装置。
  18. 更に、前記可塑化シリンダに加圧流体を供給する加圧流体供給装置を備える請求項17に記載の成形装置。
  19. 前記可塑化シリンダが、前記溶融樹脂と前記加圧流体とを混合する高圧混練ゾーンと、前記加圧流体が混合された前記溶融樹脂からガス化した加圧流体を排気する前記ベントが形成された減圧ゾーンとを有し、
    更に、前記高圧混練ゾーンと前記減圧ゾーンとの間に設けられ、前記高圧混練ゾーンと前記減圧ゾーンとの連通を遮断するシール機構を備える請求項18に記載の成形装置。
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