JP2013208843A - 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013208843A
JP2013208843A JP2012081450A JP2012081450A JP2013208843A JP 2013208843 A JP2013208843 A JP 2013208843A JP 2012081450 A JP2012081450 A JP 2012081450A JP 2012081450 A JP2012081450 A JP 2012081450A JP 2013208843 A JP2013208843 A JP 2013208843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
screw
vent
kneading
plasticizing cylinder
molten resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012081450A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Yusa
敦 遊佐
Tomohito Yamamoto
智史 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Maxell Ltd
Priority to JP2012081450A priority Critical patent/JP2013208843A/ja
Publication of JP2013208843A publication Critical patent/JP2013208843A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/25Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C48/36Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it through the nozzle or die
    • B29C48/50Details of extruders
    • B29C48/505Screws
    • B29C48/53Screws having a varying channel depth, e.g. varying the diameter of the longitudinal screw trunk
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/25Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C48/36Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it through the nozzle or die
    • B29C48/50Details of extruders
    • B29C48/505Screws
    • B29C48/52Screws with an outer diameter varying along the longitudinal axis, e.g. for obtaining different thread clearance

Abstract

【課題】ベントアップの発生を抑制しつつ、熱可塑性樹脂から気体等を取除くことのできる混練装置、及びこのような混練装置を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
熱可塑性樹脂を溶融、混練する混練装置は、ベントが形成された可塑化シリンダと、前記可塑化シリンダ内に移動可能に設けられたスクリュと、前記スクリュに取り付けられ、前記スクリュの移動により前記ベントを開閉するベント開閉部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂成形体を製造するための混練装置、及び、その混練装置を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂の成形には、射出成形機、押出成形機が広く使用されている。射出成形機や押出成形機を用いて、熱可塑性樹脂の溶融、混練、射出または押出しを行うことで、所望の形状の熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。また、ベント機能を有する射出成形機や押出成形機も一般的に使用されている。ベント機能を有する射出成形機や押出成形機は、熱可塑性樹脂のペレットに含まれるガスや水分を、溶融、混練した熱可塑性樹脂から取り除くことができる。
近年では、超臨界二酸化炭素などの加圧二酸化炭素を用いた射出成形法や押出成形法が各種検討されている。このような成形法では、非常に高圧の流体を溶融樹脂に導入して、種々の機能を有する成形体を製造することができる。具体的には例えば、溶融樹脂と加圧二酸化炭素とを可塑化シリンダ内で接触混練して非相溶系のポリマー同士を相溶させるポリマーアロイの射出成形法や押出成形法が提案されている(特許文献1)。また、押出機の途中で溶融樹脂に超臨界二酸化炭素を導入して熱可塑性樹脂から難揮発成分を除去する、熱可塑性樹脂の成形法が提案されている(特許文献2)。さらに、超臨界二酸化炭素を用いて成形前の樹脂に金属錯体等の金属微粒子を溶解させ、成形品の表面部(表面近傍)に無電解メッキの触媒核となる金属微粒子を偏析させる無電解メッキ方法も提案されている(特許文献3)。
さらに、超臨界状態の窒素や二酸化炭素の物理発泡剤を用いた発泡射出成形方法も提案されている(特許文献4)。この方法は、例えば以下のような手法である。まず、密閉された可塑化シリンダにおいて、可塑化溶融した樹脂に超臨界状態の窒素や二酸化炭素の物理発泡剤を接触させ相溶させる。次に可塑化シリンダ内を、物理発泡剤が超臨界状態を維持できる程度に高圧に維持しつつ、物理発泡剤の溶解した溶融樹脂を計量し、金型内に射出充填する。射出充填時、溶融樹脂に相溶していた超臨界流体は急速に減圧され、ガス化する。溶融樹脂が固化することで気泡が成形体内部に形成される。
上記したこれらの方法はいずれも、一般的に、ベント機能を有する射出成形機または押出成形機を用いて行われている。ベントとは、例えば、可塑化シリンダから超臨界二酸化炭素などの加圧二酸化炭素を排出すること、またはそのような排出口のことをいう。
特開2003−94477号公報 特開平11−292921号公報 特開2005−280362 特許第2625576号公報
しかしながら、ベント機能を有する射出成形機や押出成形機では、ベントアップという現象が問題となっている。ベントアップは、ベント時に、排気すべき二酸化炭素、窒素などの気体等とともに、溶融した熱可塑性樹脂がベント口(ベント)に漏れ出してしまう現象である。ベントアップが生じると、漏れ出した熱可塑性樹脂がベント口を閉塞する等の不具合が生じる。とくに、加圧二酸化炭素を含む熱可塑性樹脂は粘度が低く、ベントアップの発生が顕著であった。
そこで本発明は、ベントアップの発生を抑制しつつ、熱可塑性樹脂から加圧二酸化炭素、窒素等の気体等を取除くことのできる混練装置を与えることを目的とする。さらに本発明は、このような混練装置を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、熱可塑性樹脂を溶融、混練する混練装置であって、ベントが形成された可塑化シリンダと、前記可塑化シリンダ内に移動可能に設けられたスクリュと、前記スクリュに取り付けられ、前記スクリュの移動により前記ベントを開閉するベント開閉部とを有する混練装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、上記に記載の混練装置を用いる熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、前記可塑化シリンダ内において、熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とすることと、前記溶融樹脂から気体を分離して前記ベントから排出することと、前記気体を分離した溶融樹脂を所望の形状に成形することとを含み、前記スクリュを前記可塑化シリンダ内において移動させて前記ベント開閉部により前記ベントを開閉し、前記気体の排出を行う製造方法が提供される。
本発明の混練装置、熱可塑性樹脂成形体の製造方法によれば、ベントアップの発生を抑制しつつ、熱可塑性樹脂から、二酸化炭素、窒素等の気体等を効率良くかつ適切に取り除くことができる。また、このように気体等を適切に取り除くことにより、成形体の性能を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に用いた混練装置の一例を示す概略断面図であり、排気孔がベント口に対向していない状態を示す。 図2は、本発明の実施の形態に用いた混練装置の一例を示す概略断面図であり、排気孔がベント口に対抗している状態を示す。 図3は、本発明の実施の形態に用いたベントアップ防止部材の一例を示す概略斜視図である。 図4(a)は、ベントアップ防止部材の遮蔽帯がベント口に対向している状態を示す可塑化シリンダ等の概略断面図、図4(b)は、ベントアップ防止部材の排気孔がベント口に対向している状態を示す可塑化シリンダ等の概略断面図、図4(c)は、ベントアップ防止部材の外周面がベント口に対向している状態を示す可塑化シリンダ等の概略断面図である。 図5は、本発明の実施の形態に用いたシール機構の一例を示す斜視図である。 図6は、本発明の実施の形態に用いたシール機構の一例を示す概略断面図であり、シール機構が開口した状態を示す。 図7は、本発明の実施の形態に用いたシール機構の一例を示す概略断面図であり、シール機構が閉口した状態を示す。 図8は、本発明の実施の形態に用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法を示すフローチャートである。 図9(a)、図9(b)、図9(c)は、ベントアップ防止部材の他の例を示す概略斜視図である。 図10は、本発明の実施例に用いた成形機の一例を示す概略断面図である。 図11は、本発明の他の実施例に用いた成形機の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る混練装置及び該混練装置を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法について説明する。
図1及び図2に示すように、熱可塑性樹脂の混練装置200は、主に可塑化シリンダ210と、可塑化シリンダ210内に回転及び進退自在に配設されたスクリュ20と、ベントアップ防止部材70とを備えている。また、可塑化シリンダ210は内径D1の円筒状部材であり、先端に溶融樹脂を噴射するノズル231が形成され、他端面の近傍に熱可塑性樹脂を供給するための樹脂供給口201が設けられている。樹脂供給口201の近傍には、スクリュ20を回転させる回転モータなどの回転駆動手段(不図示)と、スクリュ20を前後進させるためのボールネジ(不図示)及びそれを駆動させるモータなどの移動手段(不図示)とが接続されている。可塑化シリンダ210内において、可塑化溶融された溶融樹脂は、樹脂供給口201からノズル231に向かって、すなわち図1における右手から左手に向かって流動する。したがって、可塑化シリンダ210の内部においては、図1における右手を「上流」又は「後方」、左手を「下流」又は「前方」とする。なお、図1に示すように、本実施形態の混練装置200は、従来公知の混練装置の構成と同様に、可塑化シリンダ210の後方側から見た場合に、スクリュ20を反時計回りに回転(正回転)させると溶融樹脂を前方(ノズル側)に送り、時計回りに回転(逆回転)させると溶融樹脂を後退させるように構成されている。
可塑化シリンダ210の上部側面には、樹脂供給口201の下流側に、加圧二酸化炭素を含む加圧流体を導入するための導入口202及びガス化した二酸化炭素を排気するためのベント口(ベント)203が形成されている。これらの樹脂供給口201及び導入口202には、それぞれ、樹脂供給用ホッパ211、及び導入バルブ212が配設されており、ベント口203には、圧力保持機構219を介して背圧弁222が接続されている。また、可塑化シリンダ210の外周壁には、可塑化シリンダ210の幅方向に渡ってバンドヒータ(不図示)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱されて、熱可塑性樹脂が可塑化される。さらに、可塑化シリンダ210の下部側面の導入口202と対向する位置及びベント口203に対向する位置にはそれぞれ、図示しない圧力計及び温度センサが設けられている。
この実施形態におけるスクリュ20は、回転軸と、回転軸の半径方向に延在するとともに回転軸の軸方向にらせん状に形成されたフライトを含む。また、スクリュ20は、上流側から順に第1スクリュ部20a、第2スクリュ部20b、第3スクリュ部20cに分割されている。第1スクリュ部20aと第2スクリュ部20bは、第1スクリュ部20aの縮径部30において図示しない螺子によって互いに螺子止めされており、第2スクリュ部20bと第3スクリュ部20cは、第2スクリュ部20bの縮径部50において図示しない螺子によって互いに螺子止めされている。第3スクリュ部20cは、上流側から順に、縮径部50と連結する端部54と、小径スクリュ部20c1と、小径スクリュ部20c1より外径が大きく且つその外径が下流に向かって除々に大きくなる大径スクリュ部20c2と、その先端の円錐部20c3とを有する。図1、2に示されるように小径スクリュ部20c1は、軸方向に所定の長さで延在し、その外径D2(回転軸の外径D2)は軸方向に渡り一定である。
縮径部30には、縮径部30の範囲で軸方向(前後方向)に移動可能となるように遊嵌状態で上流側シールリング40が外嵌している。これら縮径部30と上流側シールリング40とで、上流側シール機構S1が構成されている。また、縮径部50には、縮径部50の範囲で軸方向(前後方向)に移動可能となるように遊嵌状態で下流側シールリング60が外嵌している。これら縮径部50と下流側シールリング60とで、下流側シール機構S2が構成されている。上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2の詳細については後述する。上流側シール機構S1は、スクリュ20を正回転したときにはシールリング40が下流側に移動し、上流側シール機構S1の上流側と下流側を連通させる。反対に、スクリュ20を逆回転したときにはシールリング40が上流側に移動し、上流側シール機構S1の上流側と下流側を遮断する。下流側シール機構S2も同様に、スクリュ20が正回転するときには連通状態となり、スクリュ20が逆回転するときには遮断状態となる。
ベントアップ防止部材(ベント開閉部)70は、図3に示すように、軸Xを中心軸とする円筒状の部材であり、その本体部70aは、可塑化シリンダ210の内径D1よりわずかに小さい外径d1と、小径スクリュ部20c1の外径D2より大きい内径d2を有する。また、ベントアップ防止部材70の本体部70aは、外周面70bと内周面70dを貫通するように二つの排気孔70c1、70c2を有している。排気孔70c1、70c2は、軸Xの周りに180°離れた位置に形成されており、それぞれ、軸Xに沿って延在する長穴(楕円)形状である。また、本実施形態のベントアップ防止部材70の本体部70aは軸方向に分割可能であり、図3に示すとおり、X軸を含む一平面により、排気孔70c1、70c2からそれぞれ軸Xの周りに90°離れた位置において、2つの半部70a1、70a2に分割される。半部70a1及び70a2の内周面には、それぞれ上流側と下流側の端部近傍にピン80が立設されている(図1参照)。一方、小径スクリュ部20c1の上流側と下流側には、これらのピン80が嵌合する孔90が形成されている。ベントアップ防止部材70を小径スクリュ部20c1に取り付ける際に、分割された半部70a1、70a2で小径スクリュ部20c1を覆い、ピン80を孔90に嵌合させる。
ベントアップ防止部材70は、図1及び図2に示すように、小径スクリュ部20c1において、スクリュ20の回転軸が軸Xと同軸になるようにスクリュ20を内部に収容する。図4(a)に、可塑化シリンダ210内でスクリュ20に取り付けられたベントアップ防止部材70の概略断面図を示す。図4(a)に示されるように、可塑化シリンダ210の内周壁210aとベントアップ防止部材70の外周面70bとの間の隙間G1は、内周壁210aに対してベントアップ防止部材70の回転を可能とするのに十分な距離であればよい。同様に、図4(a)に示されるように、ベントアップ防止部材70の内周面70dと小径スクリュ部20c1におけるスクリュ20の外周面20a(回転軸の外周面20a)との間の隙間G2は、可塑化した溶融樹脂の大部分を円筒部70aの内周面70dとスクリュ20の間を通過させるように所定の距離を設けている。本実施形態では、G2はG1よりも大きい。
図3に示されるように、ベントアップ防止部材70の外周面70bには、円周上のいずれの位置においても排気孔70c1、70c2が形成されていない遮蔽帯70eが存在している。遮蔽帯70eの軸方向の幅は、スクリュ20の回転軸方向におけるベント口203の幅以上である。遮蔽帯70eを設けることにより、スクリュ20を前後方向に制御して遮蔽帯70eをベント口203に対向させることで、スクリュ20の回転位置にかかわらず、必ずベント口203をベントアップ防止部材70の外周面70bによって遮蔽することができる。ベントアップ防止部材70は、遮蔽帯70eが可塑化シリンダ210の上流側(後方側)に位置するように(ベントアップ防止部材70が、樹脂供給口201に関して、排気孔70c1、70c2よりも近方となるように)、スクリュ20に取り付けられる。
図1は遮蔽帯70eがベント口203に対向する様子を示しており、図4(a)は、スクリュ20の回転位置によらずベントアップ防止部材70の外周面70bがベント口203を遮蔽する様子を示している。前述のように、遮蔽帯70eは、ベントアップ防止部材70の外周面70b上において、排気孔70c1、70c2よりも上流側に設けられている。これにより、後述する通り、下流側シール機構S2が連通状態となり溶融樹脂からガス化した二酸化炭素が分離したときに遮蔽帯70eがベント口203を遮蔽し(図1)、ベントアップを防止できる。
次に混練装置200の動作について説明する。以下では適宜、可塑化シリンダ210内において、上流側シール機構S1よりも上流側を可塑化ゾーン21、上流側シール機構S1より下流側であって、下流側シール機構S2よりも上流側を高圧混練ゾーン22、下流側シール機構S2よりも下流側のベント口203の近傍であって、溶融樹脂から気体が分離する領域を減圧ゾーン23と呼ぶ。図1に示すように、スクリュ20が正回転することにより、樹脂供給口201から可塑化シリンダ210内の可塑化ゾーン21に、熱可塑性樹脂が供給される。供給された熱可塑性樹脂は、バンドヒータによって可塑化されて溶融樹脂となる。この時、スクリュ20が正回転しているため、上流側シールリング40は下流側に移動した状態となっており、上流側シール機構S1は連通状態となっている。したがって、可塑化ゾーン21において溶融樹脂となった熱可塑性樹脂は、上流側シール機構S1を通過し、高圧混練ゾーン22に送られる。なお、上流側シール機構S1、下流側シール機構S2の動作の詳細は後述する。
溶融樹脂が高圧混練ゾーン22に送られると、回転駆動手段により、スクリュ20を所定回転数以上で逆回転(時計回り)させる。この時、スクリュ20が逆回転しているため、上流側シールリング40は上流側に移動した状態となり、上流側シール機構S1は遮断状態となる。また、下流側シールリング60も上流側に移動した状態となり、下流側シール機構S2も遮断状態となる。よって、高圧混練ゾーン22は、可塑化ゾーン21及び減圧ゾーン23と遮断された状態となる。この状態において、導入口202より加圧流体が導入される。その後、スクリュ20の逆回転を維持することで、溶融樹脂と加圧流体が高圧下で接触混練される。
溶融樹脂を加圧流体と接触混練させた後、再度回転駆動手段によりスクリュ20を正回転させる。この時、スクリュ20の正回転に伴って、上流側シールリング40及び下流側シールリング60が下流側に移動し、上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2は連通状態となる。これにより、高圧下で加圧流体と接触混練された溶融樹脂が減圧ゾーン23に送られる。この時、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23が連通し、溶融樹脂の樹脂内圧が低下する。このため、溶融樹脂からガス化した二酸化炭素が分離する。
ここで、図1に示すように、下流側シール機構S2が連通状態となり溶融樹脂からガス化した二酸化炭素が分離するときのスクリュ20の位置(第1位置)は、可塑化シリンダ210内において、排気孔70c1、70c2によって、ガス化した二酸化炭素の排気が行われる時のスクリュ20の位置(第2位置、図2参照)よりも前方寄りに位置している(第1位置は樹脂供給口201に関して、第2位置よりも遠方である)。よって、スクリュ20が可塑化シリンダ20内において前方寄りの位置(第1位置)にあるときに、遮蔽帯70eがベント口203を遮蔽していることが望ましい。
本実施形態においては、遮蔽帯70eは、上記のとおりベントアップ防止部材70の外周面70b上において、排気孔70c1、70c2よりも上流側に設けられている(樹脂供給口201に関して、排気孔70c1、70c2よりも近方に設けられている)ため、スクリュ20が前方寄りの位置にあり、下流側シール機構S2が連通状態となったときは、ベント口203は遮蔽帯70eにより遮蔽されている。この時、図4(a)に示すように、ベント口203は、スクリュ20の回転位置にかかわらず、ベントアップ防止部材70の外周面70b(遮蔽帯70e)により遮蔽された状態となる。そのため、分離した二酸化炭素は、可塑化シリンダ210の内部に留まったままとなる。
その後、さらにスクリュ20を正回転させると、溶融樹脂は前方に押し出される。このとき、上記のとおり、ベントアップ防止部材70の内周面70dと小径スクリュ部20c1におけるスクリュ20の外周面20aとの間の隙間G2が、可塑化シリンダ210の内周壁210aとベントアップ防止部材70の外周面70bとの間の隙間G1よりも大きいため、溶融樹脂の大部分は、ベント口203に至ることなく、ベントアップ防止部材70の本体部70aとスクリュ20の間を通過して前方に押し出される。前方に押し出された溶融樹脂はスクリュ20の先端部に押し出され、溶融樹脂の圧力がスクリュ20に対する反力となり、該反力でスクリュ20が後退する。その結果、ベントアップ防止部材70の遮蔽帯70eは、ベント口203よりも後方側(上流側)に移動(並進)し、ベントアップ防止部材70の排気孔70c1、70c2が形成された部分がベント口203に対向する位置に至る。スクリュ20の回転位置によっては、排気孔70c1が、ベント口203と完全に対向する。この時の様子を図2に示す。また、図2のB−B線で切断した可塑化シリンダ210、スクリュ20、ベントアップ防止部材70の概略断面図を図4(b)に示す。図4(b)に示すように、ベントアップ防止部材70は、排気孔70c1をベント口203に対向し、可塑化シリンダ210の内部とベント口203が連通している(ベント口203を開放している)。この時、ガス化した二酸化炭素を排気することができる。また、この状態から、さらにスクリュ20を90°回転させた状態を図4(c)に示す。図4(c)の状態においては、ベントアップ防止部材70は、外周面70bをベント口203に対向して、可塑化シリンダ210の内部に通じるベント口203が遮断されている。このように、ベントアップ防止部材70の外周面70bのうち、排気孔70c1、70c2が形成された部分をベント口203に対向させた状態で、スクリュ20を回転させることで、排気孔70c1を断続的にベント口203に対向させて、可塑化シリンダ210の内部とベント口203との連通、遮断を交互に繰り返すことができる(図4(b)、図4(c))。したがって、ガス化した二酸化炭素の排気を断続的に行うことができる。
図4(b)において、符号Rは溶融樹脂である。ここで、可塑化シリンダ210とベント口203との連通状態を所定の時間より長く維持すると、ガス化した二酸化炭素のみならず、溶融樹脂までもが、ベント口203に漏れ出してしまう。したがって、排気孔70c1または70c2をベント口203に所定時間だけ対向させてガス化した二酸化炭素を排気した後は、スクリュ20を正回転(または逆回転)し、図4(c)に示すように、ベントアップ防止機構70の外周部70bにより、再度ベント口203を遮蔽する。その後、再びスクリュ20を先ほどとは反対の方向に回転し、排気孔70c1または70c2を再びベント口203に対向させる(図4(b))。これにより、ベント口203は開放され、再度、ガス化した二酸化炭素を排気することができる。または、スクリュ20を先ほどと同じ方向にさらに回転してさらなる排気を行ってもよい。
なお、排気時のスクリュ20の動作は、排気する量、排気の速度等にしたがって任意に制御することができる。スクリュ20の正回転、逆回転を切り替える速度、及び切り替える回数は任意である。また、スクリュ20の正回転、逆回転を繰り返さずに排気を行ってもよく、例えばスクリュ20の正回転のみ、逆回転のみによって排気を行ってもよい。
ここで、図5〜図7を参照して、上流側シール機構S1と下流側シール機構S2の構成を説明する。本実施の形態では、上流側シール機構S1と下流側シール機構S2とは基本的に同一の構成を有するものが用いられているため、以下では、下流側シール機構S2について主として説明する。
図5に示すとおり、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23との間に配置される縮径部50は、上流側の第2スクリュ部20bから連接し、前方に向かって傾斜するテーパ面を有する円錐台部(シール部)51と、円錐台部51から連接し、軸方向に水平に延びる水平面を有する円筒部52とで構成されている。また、下流側の第3スクリュ部20cの端部54には、下流側シールリング60を回り止めするための係止部として突起部54aが周方向に所定間隔で複数箇所形成されている。
図5に示すとおり、下流側シールリング60は、スクリュ20の縮径部50を外嵌するように貫通孔61を有している。また、図6及び図7に示すように、該貫通孔61は、上流側に、前方に向かって縮径するテーパ面(接触面)を有するテーパ部62と、テーパ部62から前方に向かって水平に延在する環状部63とが連接されて構成されている。このテーパ部62のテーパ面は円錐台部51のテーパ面の少なくとも一部と密着状態で当接するように形成されている。さらに、下流側シールリング60がスクリュ20の縮径部50の範囲で軸方向に移動可能なように、貫通孔61の環状部63の内径は上記縮径部50の円筒部52の直径よりも大きく形成されている。また、図5に示すとおり、下流側シールリング60の下流側リング面66には、被係止部として、下流側から見たときに、時計方向に深くなるように傾斜する切欠き67が周方向に複数箇所形成されている。これにより、下流側シールリング60は、スクリュ20の回転状態に応じて、スクリュ20に対し切欠き67の深さの範囲で軸方向に移動し、突起部54aが切欠き67と係合すると、スクリュ20に対して下流側シールリング60はそれ以上の軸方向の移動が規制される。
従って、図6に示すように、スクリュ20に対して下流側シールリング60が下流側に移動すると、円錐台部51のテーパ面とテーパ部62のテーパ面とが離間して、溶融樹脂及び高圧二酸化炭素の湯道となる隙間gが下流側シールリング60の内周面とスクリュ20の縮径部50の外周面との間で開口する。一方、図7に示すように、スクリュ20に対して下流側シールリング60が上流側に移動すると、円錐台部51のテーパ面とテーパ部62のテーパ面とが当接して、下流側シールリング60の内周面とスクリュ20の縮径部50の外周面との間の隙間gが閉口する。そして、下流側シールリング60が上流側に移動して、突起部54aと切欠き67とが係合すると、下流側シールリング60の移動が規制されるから、下流側シールリング60がスクリュ20と共回りする。これにより、接触混練の間、円錐台部51のテーパ面とテーパ部62のテーパ面との当接状態が維持され、確実に高圧混練ゾーン22をシールすることができる。
下流側シールリング60の外周面には、下流側シールリング60の外周面から突出するように金属製の外側シール部材70が嵌合している。これにより、下流側シールリング60と可塑化シリンダ210との間のシール性が確保される。
なお、上述のとおり、上流側シール機構S1の構成は、上記下流側シール機構S2の構成と同様であり、図6及び図7に示すように、可塑化ゾーン21と高圧混練ゾーン22との間に、円錐台部(シール部)31を有する縮径部30が配設されており、第2スクリュ部20bの上流側の端面34には突起部34aが設けられている。また、縮径部30には、上流側シールリング40が縮径部30の範囲で軸方向(前後方向)に移動可能なように遊嵌状態で外嵌している。さらに、上流側シールリング40の貫通孔には、テーパ面(接触面)を有するテーパ部42と、円筒部32の直径よりも大径の環状部43とが形成されている。そして、上流側シールリング40の下流側リング面46には、第2スクリュ部20bの端面34に設けられた突起部34aと係合する切欠き47が周方向に複数箇所形成されている。これにより、下流側シール機構S2と同様に、スクリュ20に対して上流側シールリング40が下流側に移動すると、円錐台部31のテーパ面とテーパ部42のテーパ面とが離間して、上流側シールリング40の内周面と縮径部30の外周面との間の隙間gが開口する。一方、スクリュ20に対して上流側シールリング40が上流側に移動すると、円錐台部31のテーパ面とテーパ部42のテーパ面とが当接して、上流側シールリング40の内周面と縮径部30の外周面との間の隙間gが閉口する。そして、突起部34aが切欠き47と係合すると、上流側シールリング40がスクリュ20と共回りする。
次に、上記シール機構S1、S2の動作について混練装置200で行われる工程に従って説明する。図6に示すように、スクリュ20を正回転(反時計回り)させると、上流側及び下流側シールリング40、60はそれぞれ縮径部30、50の範囲を下流側に移動する。これにより、円錐台部31のテーパ面とテーパ部42のテーパ面とが離間して、上流側シールリング40の内周面とスクリュ20の縮径部30の外周面との間の隙間gが開口し、可塑化ゾーン21及び高圧混練ゾーン22が連通する。そして、突起部34aと切欠き47とが係合すると、上流側シールリング40がスクリュ20と共回りする。これにより、可塑化ゾーン21と高圧混練ゾーン22との連通状態が維持されるため、可塑化ゾーン21から高圧混練ゾーン22に円滑に溶融樹脂を送ることができる。
一定量の溶融樹脂が高圧混練ゾーン22に送られると、図7に示すように、回転駆動手段によりスクリュ20を所定回転数以上で逆回転(時計回り)させる。すると、スクリュ20の逆回転に伴って上流側及び下流側シールリング40、60が上流側に移動するため、円錐台部31、51のテーパ面とテーパ部42、62のテーパ面とが当接し、上流側及び下流側シールリング40、60の内周面と縮径部30、50の外周面との間に形成されていた隙間gが閉口する。そして、スクリュ20の突起部34a、54aと、上流側及び下流側シールリング40、60の切欠き47、67とが係合すると、上流側及び下流側シールリング40、60がスクリュ20と共回りする。これにより、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23との遮断状態が維持されるから、高圧の加圧流体を高圧混練ゾーン22へ導入しても、溶融樹脂及び加圧流体の高圧混練ゾーン22から隣接するゾーン21、23への流動が防止され、高圧下で、溶融樹脂と加圧流体とを接触混練することができる。
高圧混練ゾーン22と隣接するゾーン21、23とを上流側及び下流側シール機構S1、S2でシールして、溶融樹脂を加圧流体と接触混練させると、次いで、溶融樹脂の樹脂内圧を低下させるために、再度、回転駆動手段によりスクリュ20を正回転させる。すると、突起部34a、54aと、切欠き47、67とが係脱し、スクリュ20の正回転に伴って上流側及び下流側シールリング40、60が下流側に移動するため、円錐台部31、51のテーパ面とテーパ部42、62のテーパ面とが離間し、上流側及び下流側シールリング40、60の内周面と縮径部30、50の外周面との間の隙間gが開口する。これにより、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23とが連通し、溶融樹脂の樹脂内圧が低下するため、溶融樹脂からガス化した二酸化炭素が分離する。
次に、本実施の形態の混練装置200を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法について、図8にしたがって具体的に説明する。
本実施の形態の熱可塑性樹脂成形体の製造方法においては、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給し、スクリュ20を回転させることにより、可塑化ゾーン21で熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とする可塑化工程がまず行われる(S10)。
熱可塑性樹脂としては、目的とする樹脂成形体の種類に応じて種々の樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの熱可塑性樹脂、及びこれらの複合材料を用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、タルク、カーボン繊維などの各種無機フィラーを混練したものを用いることもできる。
次に、高圧混練ゾーン22で、溶融樹脂と、加圧二酸化炭素を含む加圧流体とを接触混練する混練工程が行われる(S20)。本実施の形態の混練装置200では、高圧混練ゾーン22と隣接する可塑化ゾーン21、減圧ゾーン23とが上流側及び下流側シール機構S1、S2により遮断された状態で、溶融樹脂と加圧流体とを接触混練することができるため、高圧混練ゾーン22からの加圧流体の漏洩が抑えられ、高圧状態を維持したまま加圧流体を溶融樹脂に導入することができる。なお、接触混練時の高圧混練ゾーン22の圧力及び温度は、使用する熱可塑樹脂や加圧流体の種類に応じ、加圧流体が溶融樹脂に良好に分散される範囲で適宜選択することができる。
加圧二酸化炭素としては、液体状態、ガス状態、または超臨界状態の加圧二酸化炭素を用いることができる。これらの加圧二酸化炭素は、人体に無害であり、また溶融樹脂への拡散性に優れ、しかも溶融樹脂から容易に除去可能な、可塑剤、溶媒あるいは相溶化剤として機能する。加圧二酸化炭素の圧力、及び温度は、その目的に応じて適宜選択することができる。例えば、加圧二酸化炭素を可塑剤や相溶化剤として用いる場合、加圧二酸化炭素が低密度となる3〜5MPaの圧力のものを使用することができる。また、機能性材料を利用する場合には、加圧流体中の機能性材料の濃度を高めるために高密度を有する加圧二酸化炭素が好ましく使用される。例えば、機能性材料を用いる場合、圧力を4MPa以上、好ましくは5〜25MPaとし、温度を0℃以上、好ましくは5〜100℃として、0.6g/cm以上の密度を有する加圧二酸化炭素が好ましく用いられる。
加圧流体は、機能性材料を含有してもよい。機能性材料としては、加圧二酸化炭素に分散でき、得られる成形体に所期の機能を付与できるものであれば特に制限されることなく使用することができる。このような機能性材料としては、具体的には、例えば、各種樹脂のアロイ化を促進させるための相溶化剤、界面活性剤、有機金属錯体、金属アルコキシド、染料、ナノカーボンなどが挙げられる。また、加圧二酸化炭素はそれ自身、低圧でも溶融樹脂に対する可塑剤として機能するが、可塑化効果を促進させるためにアルコールなどの各種溶媒や可塑剤を使用してもよい。機能性材料を用いる場合、加圧流体中の機能性材料の濃度は、使用する機能性材料の種類、目的とする成形体の機能を考慮して適宜選択することができ、特に制限されないが、溶融樹脂への浸透性や加圧流体中の機能性材料の凝集を考慮すれば、好ましくは飽和濃度以下である。
加圧流体は、さらに溶媒を含有してもよい。例えば、水を、加圧二酸化炭素及び水溶性の界面活性剤とともに使用することにより、乳濁液(エマルジョン)として得られる加圧流体を用いることができる。加圧二酸化炭素に溶解する材料は限られているので、このような溶媒を用いることにより、水溶性の材料を、二酸化炭素が持つ樹脂に対する拡散性や相溶性を利用して溶融樹脂に導入することができる。また、水のみを溶融樹脂と接触混練すると、成形体に水分が残留して加水分解などの悪影響が懸念されるが、加圧二酸化炭素とのエマルジョンとして水を溶融樹脂に導入した場合、速やかに二酸化炭素とともに水を溶融樹脂から分離でき、上記のような悪影響を防止できる。さらに、機能性材料を用いる場合、加圧流体は機能性材料を溶解する溶媒を含有してもよい。例えば、有機金属錯体を使用する場合、加圧流体中の有機金属錯体の濃度を高めるため、パーフルオロペンチルアミンなどのフッ素系有機溶媒を用いてもよい。
加圧二酸化炭素を含む加圧流体を調製する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、シリンジポンプなどの加圧手段により液体二酸化炭素を加圧することにより加圧流体を調製できる。また、加圧二酸化炭素及び機能性材料を含む加圧流体を調製する場合、加圧二酸化炭素と機能性材料とを混合撹拌することによって加圧流体を調製できる。さらに、機能性材料を溶媒に溶解させた溶液を用いる場合、加圧二酸化炭素と、加圧手段により所定圧力まで加圧した溶液とを混合することによって加圧流体を調製できる。
加圧流体を高圧混練ゾーン22に導入する方法は任意の方法を使用することができる。例えば、加圧流体は、高圧混練ゾーン22に間欠的に導入されてもよいし、連続的に導入されてもよい。また、加圧流体が機能性材料を含む場合には、加圧流体の導入は、安定な送液が行えるシリンジポンプを利用し、導入量を制御することが好ましい。シリンジポンプを用いて加圧流体を導入する場合、高密度でも安定な液体状態の加圧二酸化炭素が好ましく使用される。
次に、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23とを連通させ、加圧流体と接触混練させた溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、溶融樹脂からガス化した二酸化炭素を分離する分離工程が行われる(S30)。本実施の形態では、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23とをスクリュ20の回転状態に応じて連通させるシール機構S2が用いられているため、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23とを連通させることで、高圧混練ゾーン22の圧力に依存せず速やかに溶融樹脂に導入した加圧流体中の高圧二酸化炭素をガス化できる。また、本実施の形態では、加圧流体の溶融樹脂の混練後に高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23を連通させる時には、前述の通り、ベントアップ防止部材70の外周面70b(遮蔽帯70e)が、可塑化シリンダ210の内部とベント口203とを遮断している。したがって、分離されたガス化した二酸化炭素が勢いを持ってベント口203に至り、ベントアップが生じるのを防ぐことができる。
ガス化した二酸化炭素の可塑化シリンダ210外への排気は、スクリュ20の前後方向位置、及び回転状態を制御して、可塑化シリンダ210の内部とベント口203との連通、遮断を繰り返すことにより(ベントを開閉することにより)行う。これによりベントアップの発生を防止しながら、必要な排気を効率よく適切に行うことができる。減圧ゾーン23の圧力は、高圧混練ゾーン22の圧力よりも低ければ、樹脂内圧が低減されるため、特に制限されない。なお、ガス化した二酸化炭素を効率的に排気するために、真空ポンプを用いてもよい。
ガス化した二酸化炭素が溶融樹脂から分離されると、溶融樹脂はスクリュ20の先端部に送られる。そして、可塑化シリンダ210の先端部から射出される溶融樹脂を所望の形状に成形する成形工程が行われる(S40)。本実施の形態で使用される成形工程としては、目的とする成形体の種類に応じて、従来公知の射出成形法や押出成形法を使用できる。射出成形法を利用する場合、可塑化計量が終了した後、可塑化シリンダ210の後端部に接続された移動手段によりスクリュ20を前進させ、所定の内部形状を有する金型内に溶融樹脂を射出充填することにより熱可塑性樹脂成形体を製造することができる。また、押出成形法を利用する場合、可塑化シリンダ210から所定の内部形状を有する押出ダイに溶融樹脂を押し出すことにより、例えば、ペレット状、チューブ状、シート状などの形状を有する成形体を製造することができる。
なお、上記においては、第3スクリュ部20cに形成される小径スクリュ部20c1の外径D2は軸方向に渡り一定であるとしたが、外径D2は一定でなくてもよい。この場合は、外径D2が最も大きくなる位置において、隙間G2が隙間G1よりも大きくなればよい。
なお、上記においては、ベントアップ防止部材70のスクリュ20への取り付けはピン80によるものとしたがこれには限られず、例えば、スクリュ20とベントアップ防止部材70の一部を嵌合させる等、ベントアップ防止部材70をスクリュ20と連動して駆動できれば、どのような取り付け方法であってもよい。
なお、上記においては、ベントアップ防止部材70は、円周上の何れの位置においても排気孔が形成されていない領域(遮蔽帯70e)を有しているものとしたが、遮蔽帯70eを有さないベントアップ防止部材70を用いることもできる。たとえば、前端部70gおよび後端部70fを連結する排気孔を有し、軸X方向に垂直な面による断面形状が軸X方向の何れの位置においても略C字形状となるベントアップ防止部材70を用いることができる。
なお、上記においては、ベントアップ防止部材70は、長孔状の排気孔70c1、70c2を有するとしたが、排気孔は例えば図9(a)に示すように、略円形状であってもよい。また、図9(b)に示すように、排気孔70c1、70c2の下流側が、ベントアップ防止部材70の前端部70gと連結していてもよい。さらに、ベントアップ防止部材70の外周上の排気孔の数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、図9(c)に示すように、前後方向に並ぶ2つの排気孔70c1、70c2、及び排気孔70c1、70c2をX軸に関して180°回転させた位置にそれぞれ設けられた排気孔70c3、70c4の4つの排気孔を有することができる。また、排気孔を円筒部70aの円周方向に3つ以上設けてもよい。その他、ベントアップ防止部材70をスクリュ20とともに回転させることで、ベント口203の開閉を制御できる構造であれば、排気孔の形状、大きさ、外周面70b上での位置、数量は上記の実施形態に限られず任意である。なお、いずれの場合においても、遮蔽帯70eを設ける場合は、外周面70b上において、もっとも後方に位置する排気孔よりもさらに後方に形成されていることが望ましい。
なお、上記実施形態では、小径スクリュ部20c1がフライトを有していたが、小径スクリュ部20c1はフライトを有さなくてもよい。この場合、小径スクリュ部20c1に代えて、ベントアップ防止部材70の内周面70dがフライトを有する構造とすることができる。また、小径スクリュ部20c1とベントアップ防止部材70の内周面70dが共にフライトを有していてもよく、小径スクリュ部20c1とベントアップ防止部材70の内周面70dが共にフライトを有さなくてもよい。
また、円筒状の本体部70aを有するベントアップ防止部材70を用いずに、他のベント開閉部によりベント口203を開閉することもできる。例えば、ベントアップ防止部材70に代えて、ベント口203に開閉可能なシャッタ部を設けるとともに、該シャッタ部に係合、係脱して該シャッタ部の開閉を制御する制御棒をスクリュ20に取り付けた構造を用いることができる。また例えば、少なくともベント口203を遮蔽するのに足りる寸法を有する遮蔽板を、支持棒等により、又は直接スクリュ20に取り付けた構造を用いることもできる。このとき、ベント開閉部はスクリュ20の回転移動又は前後移動により、ベント口203を開閉する。
なお、上流側シール機構S1、下流側シール機構S2は、可塑化シリンダ210内を上流下流方向において連通遮断するものであれば種々のものを利用できる。例えば逆流防止弁などの簡単なシール機構を使用することができる。
また、上流側シール機構S1、下流側シール機構S2の少なくとも一方を有さないスクリュ20を含む混練装置においても、上述のベントアップ防止部材70を用いることができる。
以上、射出成形機について用いられるベントアップ防止部材70、混練装置200および、射出成形機を用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法について説明したが、上記のベントアップ防止部材70を、押出成形機に用いることも可能である。押出成形機においては、スクリュ20は前後方向に自在に進退しないため、可塑化シリンダ210の内部とベント口203の連通、遮断は、スクリュ20の回転のみによって制御される。
以下、実施例に基づきさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、図1、図2の形態を有する、ベントアップ防止部材70を備えた混練装置200を用いて、機能性材料を分散させた熱可塑性樹脂成形体を射出成形により製造した。熱可塑性樹脂としてはミネラル40%強化のナイロン(東洋紡製グラマイトT−777)を、機能性材料としてはパラジウム錯体(ヘキサフルオロアセチルアセトナト(II)Pd)を、溶媒としては加圧二酸化炭素を用いた。加圧二酸化炭素は、溶融樹脂に対する相溶化剤、溶媒として機能させた後は、一部を溶融樹脂に残し、物理発泡剤として機能させた。
図10は、本実施例で使用した成形機を示す概略断面図である。図10に示すように、この成形機1000は、加圧二酸化炭素とパラジウム錯体をフッ素系有機溶媒に溶解させた溶液Cとを混合して加圧流体を調製し、該調製された加圧流体を可塑化シリンダ210に供給する加圧流体供給装置100と、既述した混練装置200と、金型を有する射出成形装置250とを備えている。これら加圧流体供給装置100、混練装置200、及び射出成形装置250は図示しない制御装置で動作制御される。
加圧流体供給装置100は、液体二酸化炭素ボンベ101と、液体二酸化炭素を所定の圧力に加圧して加圧二酸化炭素を供給するための二酸化炭素用シリンジポンプ102と、パラジウム錯体を溶媒に溶解した溶液Cを調製するための溶液槽111と、溶液Cを所定の圧力に加圧し、送液するための溶液用シリンジポンプ112とを備えている。液体二酸化炭素ボンベ101と二酸化炭素用シリンジポンプ102とを接続する配管及び二酸化炭素用シリンジポンプ102と可塑化シリンダ210とを接続する配管にはそれぞれ、吸引用エアオペレートバルブ104及び供給用エアオペレートバルブ105が配設されている。また、溶液槽111と溶液用シリンジポンプ112とを接続する配管及び溶液用シリンジポンプ112と可塑化シリンダ210とを接続する配管にはそれぞれ、吸引用エアオペレートバルブ114及び供給用エアオペレートバルブ115が配設されている。
加圧流体を調製する場合、まず、吸引用エアオペレートバルブ104を開放して、液体二酸化炭素ボンベ101から液体二酸化炭素を吸引する。次に、二酸化炭素用シリンジポンプ102の圧力制御により所定圧力まで液体二酸化炭素を加圧する。本実施例では、圧力が11MPa、温度が10℃の加圧二酸化炭素を供給した。
一方、溶液用シリンジポンプ112側の吸引用エアオペレートバルブ114を開放して、溶液槽111から溶媒にパラジウム錯体を溶解させた溶液Cをフィルタ113を介して常温で吸引し、溶液用シリンジポンプ112の圧力制御により所定圧力まで溶液Cを加圧する。本実施例では、溶液Cを11MPaに加圧した。
次に、供給用エアオペレートバルブ105、115を開放した後、二酸化炭素用シリンジポンプ102及び溶液用シリンジポンプ112を圧力制御から流量制御に切替え、加圧二酸化炭素と加圧した溶液Cとを所定の流量比となるように流動させる。これにより、配管内で加圧二酸化炭素と溶液Cとが混合される。本実施例では、高圧二酸化炭素と溶液Cとの供給容積比を5:1に設定した。
一方、混練装置200において、樹脂供給用ホッパ211から供給された熱可塑性樹脂は、可塑化シリンダ210の外壁面に設けられたバンドヒータ(図示せず)で可塑化シリンダ210を加熱し、スクリュ20を正回転することにより混練され、溶融される。本実施例では、樹脂温度が225〜245℃となるように可塑化シリンダ210を加熱した。
溶融樹脂が高圧混練ゾーン22に送られると、高圧混練ゾーン22と、減圧ゾーン23及び可塑化ゾーン21とを遮断するため、可塑化計量完了位置よりも20mm手前(金型側位置)でスクリュ20の回転を一旦停止した後、スクリュ20を逆回転させた(回転数:50rpm)。これにより、上流側及び下流側シールリング40、60を上流側に移動させて、上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2を遮断状態とし、高圧混練ゾーン22と、減圧ゾーン23及び可塑化ゾーン21とを遮断した。
図10に示すように、可塑化シリンダ210の導入口202には、加圧流体を導入するための導入バルブ212が設けられている。この導入バルブ212は、可塑化シリンダ210の導入口202と連結された基端部に流体供給口218を有するとともに、内部に導入ピストン217を有している。従って、導入ピストン217で流体供給口218を開放することによって、加圧流体供給装置100から可塑化シリンダ210に加圧流体が導入される。本実施例においては、加圧二酸化炭素と溶液Cの混合流体を、導入バルブ212より溶融樹脂の重量の2wt%導入し、加圧混練した。加圧流体の導入後の接触混練時の樹脂内圧は8MPaであった。
その後、スクリュ20を正方向に回転させ、加圧混練した溶融樹脂を、高圧混練ゾーン22から減圧ゾーン23に送った。このとき、ベント口203は、ベントアップ防止部材70の遮蔽帯70eにより遮蔽されており、ガス化した二酸化炭素は排気されなかった。そして、さらにスクリュ20を正方向に回転させ、可塑化計量を行いながら後退させ、ベントアップ防止部材70の外周面70bのうち、排気孔70c1、70c2が形成された部分がベント口203に対向する位置に移動したところで、一旦停止した。その後、スクリュ20の正回転、逆回転を1秒刻みで5回ずつ繰り返して断続的に排気孔70c1、70c2をベント口203に対向させてガスを排出し、合計10秒で、高圧混練ゾーン22の内圧を8MPaから4MPaまで低下させた。この時、ベント口203に直結する圧力保持機構219に連結した背圧弁222を用いて、減圧ゾーン23の樹脂圧力、ガス圧力を4MPaに調整した。この時、ベントアップ及び、ベント口203への樹脂の詰まりは発生しなかった。なお、本実施例では、ベントアップ防止部材70の外周面70bと、可塑化シリンダ210の内周面210aとの間の隙間は0.6mm、ベントアップ防止部材70の内周面70dとスクリュ20との間の隙間は2.5mmとした。
次いで、スクリュ20を正回転し、溶融樹脂をスクリュ20の先端部に送り、可塑化計量を完了させてキャビティ253内に溶融樹脂を射出充填した。射出充填を行った後、保圧をかけ、金型を1mmコアバックさせ、内部を発泡させた。成形品の内部は平均セル径30μm程度であり、比重は0.7g/cmとソリッド(無発泡の成形体)と比較して40%低減された。
上記により得られた成形品に無電解めっき、電解めっき処理を行った。3N、40℃の塩酸に2分間晒した後、1,3−ブタンジオールの水溶液に5分間浸漬した。その後、無電解NiPめっき液に85℃にて5分間浸漬し、成形品の全面を無電解NiPめっき膜で被覆した。さらに80℃にて12時間アニールした後、電解めっき膜を成形した。具体的には、順に、電解Cuめっき膜、電解Niめっき膜をそれぞれ20μm、電解Crめっきを0.5μm成膜した。これにより光沢を有する装飾めっき部品を得た。本実施例で得られた装飾めっき部品は比重が0.75と軽量であった。次に、本実施例で得られた装飾めっき部品について、高温条件下(120℃)と低温条件下(−40℃)の間を10サイクル往復させるヒートショック試験を行った。このヒートショック試験によって膜膨れは生じなかった。よって、本実施例で得られた装飾めっき部品は、高い信頼性を有することがわかった。
本実施例によれば、ベントアップ防止部材70を用いることで、超臨界二酸化炭素を溶解した低粘度の溶融樹脂より、余剰な二酸化炭素のみを選択的に排出し、ベントアップを防止できることがわかった。
なお、上述のように、本実施例の加圧流体供給装置100は、加圧二酸化炭素と溶液Cとを加圧流体供給装置100と導入バルブ212とを連結する配管内で混合し、混合加圧流体を調製したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体二酸化炭素ボンベ101内において、液相部分に機能性材料を溶解させて混合加圧流体を調製してもよい。この場合、混合加圧流体の圧力および密度を一定に維持するため、液体二酸化炭素ボンベ101の温度を調節することが好ましい。混合加圧流体中の機能性材料の濃度は、溶融樹脂への浸透性や混合加圧流体中の機能性材料の凝集を考慮すれば、好ましくは飽和溶解度以下である。液体二酸化炭素ボンベ101内の液相部分に機能性材料を飽和溶解度以下で溶解させることにより、機能性材料の溶解度が安定した液体二酸化炭素を可塑化シリンダ210へ容易に供給することができる。
[実施例2]
本実施例では、図11に示す成形機1500を用いて、成形体(発泡成形体)を発泡射出成形により製造した。成形機1500は、シリンジポンプを有さない物理発泡剤供給装置150を用い可塑化シリンダ210へ物理発泡剤を供給する以外は、図10に示す成形機1000と同様の構成である。熱可塑性樹脂としては、ガラス繊維を30%含有する6ナイロンを、物理発泡剤としては加圧窒素を用いた。なお、本実施例においては、物理発泡剤の導入量を計測して可塑化シリンダ210へ供給することは行わなかった。また、本実施例では、減圧ゾーン23の圧力を6MPaとした。スクリュ背圧は6.5MPaに設定した。
物理発泡剤供給装置150は、内圧14MPaの窒素ボンベ151内の窒素を容積30mlの小型容器154を経由させて、導入口202から可塑化スクリュ210内へ供給する装置である。窒素ボンベ151と小型容器154の間には、減圧弁152及び逆流防止弁153が設けられ、小型容器154と導入口202の間には、圧力計155が設けられる。
物理発泡剤供給装置150において、窒素ボンベ151の窒素ガスを逆流防止弁153を経て小型容器154に貯蔵した。このとき、窒素ガスは、圧力計155の表示が10MPaになるように減圧弁152で減圧した。
一方、混練装置200において、樹脂供給用ホッパ211から熱可塑性樹脂を供給し、可塑化ゾーン21の外壁面に設けられたバンドヒータ(図示せず)により可塑化ゾーン21を加熱し、スクリュ20を正回転させた。これにより、該熱可塑性樹脂を過熱、混練し、溶融樹脂とした。本実施例では、溶融樹脂の温度が210〜240℃となるように可塑化シリンダ210の可塑化ゾーン21を加熱した。
スクリュ20を正回転することにより、溶融樹脂を可塑化ゾーン21から高圧混練ゾーン22に流動させた。そして、高圧混練ゾーン22と、減圧ゾーン23及び可塑化ゾーン21とを遮断するため、可塑化計量完了位置よりも20mm手前(金型側位置)でスクリュ20の回転を一旦停止した後、スクリュ20を逆回転させた(回転数:50rpm)。これにより、上流側及び下流側シールリング40、60を上流側に移動させて、上流側シール機構S1及び下流側シール機構S2を遮断状態とし、高圧混練ゾーン22と、減圧ゾーン23及び可塑化ゾーン21との連通を遮断した。
図11に示すように、可塑化シリンダ210の導入口202には、物理発泡剤を導入するための導入バルブ212が設けられている。この導入バルブ212は、可塑化シリンダ210の導入口202と連結された基端部に流体供給口218を有するとともに、内部に導入ピストン217を有している。従って、導入ピストン217で流体供給口218を開放することによって、物理発泡剤供給装置150から可塑化シリンダ210に物理発泡剤が任意のタイミングで導入される。本実施例では、物理発泡剤の導入量は計量せず、小型容器154の内部の物理発泡剤の圧力を示す圧力計155の値と、高圧混練ゾーン22における圧力センサ25の値が等しくなったタイミングにあわせ、導入バルブ212を閉鎖し供給を止めた。
本実施例では、減圧ゾーン23の圧力の制御は、減圧ゾーン圧力調整機構220によって行う。減圧ゾーン圧力調整機構220は、上述の下流側シール機構S2により、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23との間の連通を遮断したとき、減圧ゾーンの圧力を大気圧以上で且つ溶融樹脂に物理発泡剤を接触混練するときに到達する高圧混錬ゾーン22の最高圧力以下に制御する。減圧ゾーン圧力調整機構220は、例えば、バッファ容器5と、バッファ容器5の接続口5aから、圧力計4および背圧弁3を介して排気口11へ接続される排気機構1と、窒素等の不活性ガスボンベ7から、ブースターポンプ8、減圧弁10及び圧力計4を介してバッファ容器5の接続口5bへと接続される加圧機構2を有する。減圧ゾーン圧力調整機構220は、排気機構1及び/又は加圧機構2により、可塑化シリンダ210の減圧ゾーン23内部の圧力を所定の値に制御する。本実施例では、減圧ゾーン23の圧力を減圧ゾーン圧力調整機構220により、6MPaに制御した。
その後、スクリュ20を正方向に回転させ、加圧混練した溶融樹脂を、高圧混練ゾーン22から減圧ゾーン23に送った。このとき、ベント口203は、ベントアップ防止部材70により遮蔽されており、ガス化した窒素は排気されなかった。そして、さらにスクリュ20を正方向に回転させ、可塑化計量を行いながら後退させ、ベントアップ防止部材70の外周面70bのうち、排気孔70c1、70c2が形成された部分がベント口203に対向する位置に移動したところで、一旦停止した。その後、スクリュ20の正回転、逆回転を1秒刻みで5回ずつ繰り返してガスを排出し、合計10秒で、高圧混練ゾーン22の内圧を8MPaから6MPaまで低下させた。この時、ベントアップ及び、ベント口203への樹脂の詰まりは発生しなかった。次いで、スクリュ20を正回転し、溶融樹脂をスクリュ20の先端部に送り、可塑化計量を完了させてキャビティ253内に溶融樹脂を射出充填し、保圧をかけずに金型を0.5mm開き(コアバック)、これにより溶融樹脂の内部を急減圧し、発泡セルを形成して発泡成形体を完成させた。
本実施例において得られた成形体は、ソリッド(無発泡の成形体)と比較して比重が10%軽量化した。また、発泡成形体における、射出成形時に金型のゲート近傍に位置していた部分の平均セル径は10〜20μm程度と微細であり、発泡セルの密度も高かった。
本実施例によれば、ベントアップ防止部材70を用いることで、加圧窒素を溶解した低粘度の溶融樹脂より、余剰な窒素のみを選択的に排出し、ベントアップを防止できることがわかった。
[比較例1]
本比較例においては、スクリュ20にベントアップ防止部材70を取り付けないほかは、すべて実施例1と同様に射出成形を行った。本比較例においては、加圧混練の後に、高圧混練ゾーン22と減圧ゾーン23を連通させた際に、減ベント口203から粘度の低下した溶融樹脂が漏れ出した。またさらに、漏れ出した溶融樹脂が固化し、圧力調整機構219を封止したため、連続成形ができなかった。
本発明によれば、熱可塑性樹脂成形体を製造する場合に、溶融樹脂のベントアップを抑制することができる。したがって本発明によれば、ベント機構を用いて気体等を効率よくかつ適切に取除くことができ、成形体を工業的に安定して製造することができる。
1000 成形機
1500 成形機

100 加圧流体供給装置
150 物理発泡剤供給装置
200 混練装置
203 ベント口
210 可塑化シリンダ

20 スクリュ
70 ベントアップ防止部材

S1 上流側シール機構
S2 下流側シール機構

Claims (17)

  1. 熱可塑性樹脂を溶融、混練する混練装置であって、
    ベントが形成された可塑化シリンダと、
    前記可塑化シリンダ内に移動可能に設けられたスクリュと、
    前記スクリュに取り付けられ、前記スクリュの移動により前記ベントを開閉するベント開閉部とを有する混練装置。
  2. 前記ベント開閉部が、前記スクリュの回転移動により前記ベントを開閉する請求項1に記載の混練装置。
  3. 前記ベント開閉部は、前記ベントと連通可能な排気孔を有する円筒部材を含む請求項1又は2に記載の混練装置。
  4. 前記円筒部材は、前記円筒部材の円周上のいずれの位置においても前記排気孔が形成されていない遮蔽帯を有し、前記スクリュの軸方向における前記遮蔽帯の幅は、前記軸方向における前記ベントの幅以上である請求項3に記載の混練装置。
  5. 前記可塑化シリンダは、さらに前記熱可塑性樹脂が導入される樹脂供給口を有し、前記遮蔽帯は、前記樹脂供給口に関して、前記排気孔よりも近方に設けられている請求項4に記載の混練装置。
  6. 前記可塑化シリンダは、さらに前記熱可塑性樹脂が導入される樹脂供給口を有し、前記スクリュは第1位置と第2位置の間を移動可能であり、前記ベント開閉部は、前記スクリュが第1位置にあるときに前記遮蔽帯が前記ベントに対向し、前記スクリュが第2位置にあるときに前記排気孔が前記ベントに対向するように前記スクリュに取り付けられており、前記第1位置は、前記樹脂供給口に関して、前記第2位置よりも遠方である請求項4または5に記載の混練装置。
  7. 前記ベントの開閉は、前記スクリュの回転により、前記排気孔を断続的に前記ベントに対向させて行われる請求項3〜6に記載の混練装置。
  8. 前記円筒部は、軸方向に分割された2つの半部を有する請求項3〜7のいずれか一項に記載の混練装置。
  9. 前記排気孔は、前記円筒部の中心軸にそって延在する長孔である請求項3〜8のいずれか一項に記載の混練装置。
  10. 前記排気孔は、前記円筒部に複数形成されている請求項3〜9のいずれか一項に記載の混練装置。
  11. 前記スクリュは大径スクリュ部と小径スクリュ部を有し、前記円筒部は前記小径スクリュ部において前記スクリュに取り付けられ、前記小径スクリュ部の回転軸の外周面と前記円筒部の内周面との間の隙間が、前記可塑化シリンダの内周壁と前記円筒部の外周面との間の隙間よりも大きい、請求項3〜10のいずれか一項に記載の混練装置。
  12. 前記スクリュに前記ベント開閉部を取り付ける係合部が前記円筒部材の内周面に設けられている請求項3〜11のいずれか一項に記載の混練装置。
  13. 前記可塑化シリンダは減圧ゾーン及び高圧混練ゾーンを有し、前記可塑化シリンダ内に、前記減圧ゾーンと前記高圧混練ゾーンを分断可能なシール機構がさらに設けられており、前記シール機構は一方向に回転するときに、前記減圧ゾーンと前記高圧混練ゾーンを分断する請求項1〜12のいずれか一項に記載の混練装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の混練装置を用いる熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
    前記可塑化シリンダ内において、熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とすることと、
    前記溶融樹脂から気体を分離して前記ベントから排出することと、
    前記気体を分離した溶融樹脂を所望の形状に成形することとを含み、
    前記スクリュを前記可塑化シリンダ内において移動させて前記ベント開閉部により前記ベントを開閉し、前記気体の排出を行う製造方法。
  15. さらに、前記溶融樹脂と、加圧二酸化炭素または加圧窒素を含む加圧流体とを接触混練することを含み、
    前記気体として、二酸化炭素又は窒素を排出する請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記加圧流体は、機能性材料を含む請求項15に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  17. 前記溶融樹脂の所望の形状に成形することは、前記溶融樹脂を発泡させて成形し、発泡成形体を得ることである、請求項15又は16に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
JP2012081450A 2012-03-30 2012-03-30 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法 Pending JP2013208843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012081450A JP2013208843A (ja) 2012-03-30 2012-03-30 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012081450A JP2013208843A (ja) 2012-03-30 2012-03-30 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013208843A true JP2013208843A (ja) 2013-10-10

Family

ID=49527188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012081450A Pending JP2013208843A (ja) 2012-03-30 2012-03-30 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013208843A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019065997A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 ポリプラスチックス株式会社 発泡成形品の製造方法
CN113500736A (zh) * 2021-07-29 2021-10-15 青岛微孔塑料科技有限公司 一种聚丙烯挤出低倍率微孔发泡片材生产装置及方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019065997A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 ポリプラスチックス株式会社 発泡成形品の製造方法
JP2019064036A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 ポリプラスチックス株式会社 発泡成形品の製造方法
CN113500736A (zh) * 2021-07-29 2021-10-15 青岛微孔塑料科技有限公司 一种聚丙烯挤出低倍率微孔发泡片材生产装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6109360B2 (ja) 圧力調整機構
JP6045386B2 (ja) 発泡成形体の製造方法
JP5675956B2 (ja) 混練装置、及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP6522701B2 (ja) 発泡成形体の製造装置
JP2016087887A (ja) 発泡成形体の製造方法及び製造装置
JP6055710B2 (ja) ベントアップ検出機構、ベントアップ防止装置、成形体の製造方法及び成形体の成形装置
JP6777553B2 (ja) 発泡成形体の製造方法及び製造装置
JP2013208843A (ja) 混練装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP6296842B2 (ja) 発泡成形体の製造方法及び成形機
JP7021406B2 (ja) 発泡成形体の製造方法
JP6099716B2 (ja) 混練装置
JP5823015B2 (ja) 混練装置、及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法
KR20190112808A (ko) 발포 성형체의 제조방법 및 제조장치
JP2014200936A (ja) ベントアップ防止装置、成形体の製造方法及び成形体の成形装置