JP2014197156A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示装置の表示精度を向上させる。
【解決手段】搬送されている支持体の反応膜に露光装置による紫外線の連続照射し、これに保護フィルム70を付与してFPF12と保護膜13とを備える複層フィルム14を得る。この複層フィルム14をシート状に切断して、液晶パネル11と貼り合わせる。複層フィルム14を、支持体の搬送方向に対応するA方向に、目的とする張力で引っ張る。目的とする張力は、露光装置により紫外線が照射されている間の支持体の搬送方向における張力に基づいて求める。この引張工程により引っ張られた状態で、複層フィルム14を液晶パネル11と貼り合わせる。
【選択図】図6

Description

本発明は、パターン化位相差フィルムと表示パネルとを備える積層体の製造方法に関するものである。
パターン化位相差フィルム(Film Patternd Retarder、以下、FPRという)は、左右で円偏光の向きが異なる偏光メガネを併用する立体画像表示装置の光学フィルタとして用いられ、ライン幅が250〜700μmの第1,第2位相差領域を交互に横長に配列したストライプパターンをもつ。第1位相差領域と第2位相差領域には、互いに光学軸が直交するように配向した液晶層が形成され、これらのライン幅は立体画像表示装置の表示画面の水平ラインを構成する画素ピッチに高い精度で一致させている。そして、水平画素ラインごとに偏光方向が変調された表示光を、それぞれ対応する第1,第2位相差領域及び偏光メガネを通して観察することにより立体画像が観察される。
FPRには、透明なポリマーフィルムが少なくとも一方の表面上に設けられることがある。透明なポリマーフィルムとしては、例えば、FPRの表面を保護する保護フィルムや、各種の光学フィルムがある。光学フィルムとしては、特定の偏波した光だけを透過する偏光フィルム、液晶表示装置における視野角を拡大させる視野角拡大フィルムがある。このように、FPRは、透明な他のポリマーフィルムが重なった複層フィルムとして保管されたり、輸送されたり、製品として出荷されたりする場合がある。
FPRの製造方法としては、例えば特許文献1には、高分子化合物と光異性化物質とを含む混合物によって前処理シートを形成し、前処理シートを一軸延伸した後に、前処理シートに照射強度分布をもつ光を照射することにより遅相軸または進相軸方向がそれぞれ異なる第1領域と第2領域とを形成する方法が開示されている。
また、特許文献2の方法は、FPRを製造するにあたり、スリットと遮光部とをFPRの支持体の幅方向に関して入れ替えて配列した2種類のマスクプレートを用い、これらのマスクプレートをフィルムの搬送方向に並べている。さらに、この特許文献2の方法ではフィルムを搬送しながら各々のマスクプレートを通して互いに偏光方向が異なる紫外線を支持体に対して順次に照射する。
FPRと透明なポリマーフィルムとからなる複層フィルムを製造する場合には、得られた長尺のFPRと長尺に製造されたポリマーフィルムとを、それぞれ搬送しながら貼り合わせる。そして、貼り合わせて得られた長尺の複層フィルムは、目的とするサイズに切り取られて例えば液晶パネル等の表示パネルと貼り合わせられる。
特開平10−153707号公報 国際公開第2010/090429号A2
FPRには、第1位相差領域と第2位相差領域とのストライプパターンに関して極めて高い精度が求められる。このストライプパターンの精度が、表示装置の表示精度を左右するからである。そのため、特許文献1の方法でFPRを製造するにあたっては、光の照射工程で、照射強度が異なる領域を形成するためには高度な照射技術が必要になる。また、特許文献2の方法でFPRを製造する場合にも、2種類のマスクプレートと支持体との位置関係や、2種類のマスクプレートの位置関係等は試行錯誤で設定される。
しかし、特許文献1や特許文献2の方法で、高精度のストライプパターンをもつFPRを製造しても、これを表示パネルに貼り付けた表示装置の表示精度は必ずしも高いものにはならない。透明ポリマーフィルムが貼り合わせられたFPRの複層フィルムを表示パネルに貼り付けた場合も同様である。
そこで、本発明は、表示装置における表示精度を向上させる積層体の製造方法を提案することを目的とする。
本発明の積層体の製造方法は、特定の光の照射の有無によって液晶に対して異なる配向特性が与えられる反応膜が表面に形成された連続搬送中の支持体に、搬送方向と直交する幅方向に照射領域と非照射領域とが交互にライン状に並んだ照射パターンで特定の光を照射した後に、反応膜の上に液晶層を形成することによって、互いに位相差特性の異なる第1,第2位相差領域が幅方向に交互に形成された長尺のパターン化位相差フィルムと、連続搬送されながら製造された長尺の透明なポリマーフィルムとが重なる複層フィルムを、目的とするサイズに切断することにより複層シートにする切断工程と、支持体の搬送方向に対応する方向に複層シートを引っ張る引張工程と、引張工程により引っ張られた状態で、パターン化位相差シートを表示パネルと貼り合わせる貼合工程とを有することを特徴として構成されている。
引張工程は、特定の光が照射されている間の支持体の搬送方向における張力に基づいた張力で、複層シートを引っ張ることが好ましい。支持体が幅方向における張力を付与されて形成される場合に、本発明は特に有効である。また、ポリマーフィルムは、幅方向における張力を付与されて形成される場合に本発明は特に有効である。
パターン化位相差フィルムとポリマーフィルムとを搬送しながら貼り合わせて複層フィルムにする複層化工程を有することが好ましい。
表示パネルは、水平及び垂直方向のそれぞれに配列された複数の画素を有し、引張工程により引っ張られた状態で複層シートの特定の第1位相差領域と第2位相差領域との境界が、水平または垂直方向に並ぶ複数の画素の縁に重なる状態に、複層シートと表示パネルとを位置合わせする位置合わせ工程を貼合工程の前に有することが好ましい。
光源部から射出された特定の光を、支持体の搬送方向に延びたスリットを支持体の幅方向に一定ピッチで形成したマスクを通して、照射パターンで特定の光を反応膜に照射する照射工程と、照射工程を経た反応膜の上に液晶層を形成する液晶層形成工程とを備えることが好ましい。
本発明によると、表示装置における表示精度を向上させることができる。
本発明により製造される表示装置の断面図である。 パターン化位相差フィルムを示す説明図である。 パターン位相差フィルムの製造設備を示す概略図である。 反応膜が形成された支持体に対する照射パターンを示す説明図である。 切断によるFPRの変形と引っ張りによる変化を示す説明図である。 貼合装置の概略を示す斜視図である。 貼合装置におけるFPRと液晶パネルとの撮影を説明する説明図である。 FPRと液晶パネルの位置合わせを示す説明図である。 FPRと液晶パネルの位置合わせを示す説明図である。 FPRと液晶パネルの位置合わせを示す説明図である。 延伸装置の概略図である。 複層フィルムの断面図である。 複層化部の概略図である。
本発明により製造される積層体としては例えば表示装置(ディスプレイ)があり、表示装置としては、例えば液晶表示装置、プラズマ表示装置等がある。表示装置の一例としての液晶表示装置10は、図1に示すように、表示パネルとしての液晶パネル11に、FPR(Film Patterned Retarder:パターン化位相差フィルム)12と保護膜13とを備えるシート状にされた複層フィルム14を貼り合わせて構成される。保護膜13は、FPR12の表面を保護するためのものである。なお、液晶パネル11に代えて、他の公知の液晶パネルとしてもよい。また、保護膜13に代えて、各種の光学機能膜にしてもよい。光学機能膜としては、例えば、特定の偏波した光だけを透過する偏光膜や、表示装置における視野角を拡大させる視野角拡大膜にしてもよい。
液晶パネル11は、透過する光の偏光状態を変化させる液晶セル15と、2枚の偏光板16,17とから構成される。液晶セル15は、光源側の表面にガラス基板20、視認側の表面にガラス基板21を備える。ガラス基板20の内面には、透明なX電極22が複数形成され、それらを覆った状態に配向膜23が積層されている。また、ガラス基板21の内面には、カラーフィルタ層26、保護膜27が形成されている。この保護膜27の表面には、透明なY電極28が形成され、Y電極を覆った状態に配向膜31が積層されている。液晶は一対の配向膜23,31の間に封入され、液晶層32を形成している。
この液晶パネル11は、水平方向,垂直方向に複数並べてマトリクス状に配列した画素ごとに、光源からの光の透過を制御するものである。液晶パネル11は、周知の単純マトリクス方式で駆動される。すなわち、互いに直交した状態でX電極22とY電極28とがそれぞれ複数設けられており、任意のX電極22とY電極28との間に電圧を印加することによって、それらX電極22とY電極28とが交差する位置の画素の液晶の配向状態を変化させる。
カラーフィルタ層26には、複数のフィルタ33が垂直方向(図1における縦方向)及び水平方向(紙面に垂直な方向)に繰り返し配列されている。本実施形態では、3色のフィルタ33が図1の紙面に垂直な方向に繰り返し配列されている。各フィルタ33は、赤色光を透過するRフィルタ、緑色光を透過するGフィルタ、青色光を透過するBフィルタのいずれか1色のフィルタである。フィルタ33は、画素ごとに設けられている。したがって、各画素は、Rフィルタを設けた赤色画素、Gフィルタを設けた緑色画素、Bフィルタを設けた青色画素のいずれかである。
偏光板16はガラス基板20の外面、偏光板17はガラス基板21の外面に配されている。偏光板16,17は、いずれも直線偏光タイプのものであり、互いにクロスニコル配置としてある。これにより、光源からの光を偏光板16を通して液晶セル15に入射させ、その液晶セル15の配向状態に応じて偏光状態を変化させることによって、偏光板17を透過する光の光量を画素ごとに制御する。
FPR12は、詳細を後述する第1及び第2位相差領域R1,R2を有している。第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とは、本実施形態では、それぞれ3画素分の幅(図1における縦方向の長さ)で水平方向にライン状に延びており、垂直方向に交互に並んでいる。なお、第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とは、それぞれ、3画素分の幅に代えて、例えば2画素分,4画素分といった他の画素分の幅で水平方向に延びていてもよい。FPR12は、第1及び第2位相差領域R1,R2の各境界が、液晶パネル11の画素の境界と一致した状態で偏光板17に貼り合わせられる。
本実施形態では、保護膜13は、FPR12の視認側の表面に設けられている。保護膜13は、伸縮性をもち、本実施形態においては透明であり、例えばセルローストリアセテート(TAC)等のセルロースアシレートや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー並びにポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等のポリマーでそれぞれ構成されるフィルムから形成される。
図2において、FPR12の第1,第2位相差領域21,22は、図中に矢印A1,A2で示すように、光学軸、例えば(面内)遅相軸が互いに直交している。これにより、回転(旋回)方向が互いに異なる円偏光を得ている。第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とがそれぞれ延びる方向は、FPR12の製造時における支持体40の搬送される方向に一致する。第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とが交互配列された方向は、FPR12の製造時における支持体40の搬送方向に直交する支持体の幅方向に一致する。支持体40としては、例えばセルローストリアセテート(TAC)等のセルロースアシレートや、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー並びにポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等のポリマーからそれぞれ構成されるフィルムがある。
FPR12は、支持体40の一方の面に配向膜41、液晶層42、粘着層45を積層した構造である。粘着層45は、FPR12と液晶パネル11とを接着するために設けられる。なお、粘着層45は、液晶層42上に代えて、支持体40の配向膜41が形成された面とは反対側の面上に配されてもよい。第1,第2位相差領域R1,R2は、液晶層42の液晶の配向方向を変えることにより、遅相軸を互いに直交させている。符号38は、無配向領域となっている第1位相差領域R1と第2位相差領域R2との境界である。なお、保護膜13は、支持体40の配向膜41が付与されている面とは反対側の面上に配される。
シート状の複層フィルム14は、例えば図3に示す複層シート製造設備50により製造される。複層シート製造設備50は、搬送機構部51,反応膜形成部52,露光装置53,張力調整部54,ラビング処理部55,及び液晶層形成部56,複層化部57,切断部58などで構成され、供給されてくる長尺の支持体40に各種処理を行ってシート状の複層フィルム14を製造する。この複層シート製造設備50で製造されたシート状の複層フィルム14は、後述の貼合装置59へ案内されて、液晶パネル11(図1参照)と貼り合わされる。
なお、反応膜形成部52と露光装置53との間、液晶層形成部56と複層化部57との間には、巻取部が備えられてもよい。また、この複層シート製造設備50は切断部58を備えるが、切断部58が複層シート製造設備50外に設けられていてもよい。この場合には、複層シート製造設備50は、FPR12と保護膜13とが重なる長尺の複層フィルム14を製造するためのものであり、複層化部57の下流に長尺の複層フィルム14を巻き取る巻取部(図示無し)を備える。
支持体40は透明で可撓性を有し、例えばロール状に巻かれた支持体ロール(図示省略)から引き出されて複層シート製造設備50に供給される。支持体40は、搬送機構部51によって一定の速度で連続搬送される。なお、支持体40の製造方法については別の図面を用いて後述する。
反応膜形成部52は、後工程で照射される光に反応する光酸発生剤を含む反応膜を、支持体40の一方の表面に形成するためのものである。反応膜形成部52では、支持体40の表面に光酸発生剤を含む塗布液を塗布し、さらに乾燥処理を行って一定厚みの反応膜を支持体40上に形成する。支持体40がセルロースアセテート等のセルロースアシレートから形成されたものである場合には、反応膜形成部52では、塗布液を塗布する前に、塗布する対象の支持体面を鹸化することがある。光酸発生剤は、本実施形態では紫外線の照射により分解して酸を発生するものであり、例えばピリジニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などを用いることができる。ただし、光酸発生剤は、紫外線以外の特定波長の光に反応するものであってもよい。また、反応膜の形成に関しても、塗布以外の、例えば吹付けなどの手法を用いてもよい。配向膜が形成された支持体40は反応膜形成部52から露光装置53に送られる。
露光装置53は、光源部61、マスク62、バックアップローラ63などで構成される。光源部61は、反応膜に含まれる光酸発生剤を分解して酸を発生させる紫外線を出力する。光酸発生剤が紫外線以外の光に反応するものである場合には、反応する光を出力する光源部を用いる。光源部61からの紫外線は、マスク62を通して、バックアップローラ63の周面63aに巻き掛けられて裏面側が支持された連続搬送中の支持体40の反応膜に照射される。これにより、例えば第1位相差領域R1となる部分が直線状の照射域、それ以外の部分が直線状の非照射領域となるストライプ状のパターン照射が行われる。パターン照射の詳細については、別の図面を用いて後述する。なお、バックアップローラ63は回動自在で支持体40の搬送に従動して回転したり、支持体40の搬送に同期してモータ等で回転させてもよい。
張力調整部54は、例えばダンサーローラ66やバネ67などで構成されている。バネ67によりダンサーローラ66は図3における横方向での位置を制御される。これにより、張力調整部54は、搬送中の支持体40の搬送方向における張力、特に露光装置53によって紫外線が照射されている間の支持体40の搬送方向における張力を予め設定した値に保持する。ただし、張力調整部54に代えて、連続搬送される支持体40の搬送方向における張力を調整できる公知の種々の張力調整部を用いてよい。
ラビング処理部55は、ラビングローラ(図示無し)やその駆動機構(図示無し)などを備え、露光装置53で紫外線が照射された反応膜にラビング処理を施して、反応膜を、配向性を付与した配向膜41(図2参照)にする。ラビング処理部55は、ラビングローラにより支持体40の搬送方向に対して45°のラビング方向で支持体40上の反応膜にラビング処理を行う。ラビング処理を経た支持体40は液晶層形成部56に送られる。なお、本実施形態ではラビング処理部55を露光装置53の下流に設けているが、この態様に代えて、反応膜形成部52と露光装置53との間に設けてもよい。この場合には反応膜はラビング処理部55によりラビング処理を施され、露光装置53の紫外線の照射により配向膜41(図2)になる。
液晶層形成部56は、配向膜41上に第1,第2位相差領域R1,R2に応じた位相差特性を発現する液晶層42(図2参照)を形成する。この液晶層形成部56では、配向膜41の表面に垂直配向剤、ディスコティック液晶などを含む塗布液を塗布し、さらに加熱熟成、冷却などの処理を行い、さらに紫外線の照射により塗膜を硬化させて液晶層42にする。
複層化部57は、粘着層45と保護膜13とを形成するためのものである。複層化部57は、液晶層42上に粘着層45を形成し、液晶層形成部56から送られてくる支持体40の配向膜41及び液晶層42が層設された面とは反対側の面に保護膜13を付与する。
粘着層45を形成する長尺の粘着フィルム68と、保護膜13となる長尺の保護フィルム70とは、それぞれロール状にされている。複層化部57は、粘着フィルムロールから粘着フィルム68を引き出して送り出す送出機(図示無し)と、保護フィルムロールから保護フィルム70を引き出して送り出す送出機(図示無し)と、ローラ対69等を備える。ローラ対69は、各送出機から供給される粘着フィルム68と保護フィルム70とに、液晶層形成部56から送られてくる支持体40を挟み込んで、これらをニップする。これにより、粘着フィルム68と液晶層42、保護フィルム70と支持体40をそれぞれ連続的に貼り合わせて、長尺の複層フィルム14とする。切断部58は、長尺の複層フィルム14を目的とするサイズに切断し、例えば矩形のシート状にする。
FPR12における液晶層42の液晶の配向状態は、配向膜41の材料、液晶、及び所望によって添加される配向制御剤等の相互作用に支配される。支持体40上の反応膜72に含まれている光酸発生剤は、紫外線の未照射領域では未分解のままであり、照射領域では分解して酸性化合物を発生する。酸性化合物が発生すると、上記の相互作用はもはや支配的ではなくなり、配向膜41のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向に配向、すなわち平行配向する。
例えば、配向制御剤としては垂直配向剤があり、液晶としてはディスコティック液晶がある。垂直配向剤は、配向膜41の表面に対してディスコティック液晶を垂直に起立させる作用と、ディスコティック液晶をラビング方向に対して直交する方向に配向させる作用とを有している。図4に示すように、露光装置53のマスク62には、支持体40の搬送方向に長手方向を一致させた複数のスリット62aが搬送方向と直交する幅方向に一定ピッチで並んだマスクパターンを有している。このマスク62を通して、光源部61からの光を反応膜72に照射する。これにより、連続搬送中の支持体40表面に、幅方向に照射・非照射が交互に並んだ照射パターンで特定の光が照射され、搬送方向にストライプ状に伸びた照射領域REと非照射領域RNとが幅方向に交互に並んだ状態に形成される。
酸が発生している照射領域REは、ディスコティック液晶を垂直に起立させる作用は備えているが、ラビング方向に対して直交させる向きに配向させる作用は失われている。このため、照射領域RE上に配される液晶層42では、ディスコティック液晶は起立してラビング方向に配向する姿勢となる。
また、非照射領域RNでは依然として垂直配向剤による作用が保存されている。このため、非照射領域RN上の液晶層42では、ディスコティック液晶が垂直に起立し、かつラビング方向に直交する配向姿勢となる。この結果、この照射パターンを経て得られるFPR12(図3参照)は、起立してラビング方向に配向した姿勢のディスクティック液晶による一定幅のラインと、起立してラビング方向と直交した姿勢のディスクティック液晶による一定幅のラインとが交互に並び、遅相軸が互いに直交した第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とのストライプ状パターンをもつ。
長尺の複層フィルム14は、切断部58により、図5に示すようにシート状に切断される。なお、図5の(A)における破線は切断位置を示す切断線である。この例では、長尺の複層フィルム14から、矩形のシートを幅方向で2枚取りしているが、幅方向におけるシートの切り出し枚数は、長尺の複層フィルム14の幅と目的とするシートのサイズとに応じて異なる。
この例のように、幅方向の中央に関して対称に2枚のシートを切り出した場合には、各シートは、幅方向中央の切断線C1に対応するシートの第1縁E1の長さと、幅方向外側の切断線C2に対応する第2縁E2の長さとが互いに異なるものとなる。具体的には、図5の(B)に示すように、第1縁E1よりも第2縁E2はわずかに長いものとなる。例えば、幅方向の長さが1500mmの長尺の複層フィルム14から、図5の(B)のように幅方向に一致する短辺をもつ400mm×700mmの長方形を成す切断線で、シートを2枚取りする場合では、各シートの第1縁E1の長さは概ね700.0mm、第2縁E2の長さは概ね700.3mmとなる。このため、長尺の複層フィルム14のFPR12において搬送方向にそれぞれ直線状に延びていた第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とは、シート状の複層フィルム14においては図5の(B)に示すように第2縁E2側にごくわずかに凸の曲線をなすようになる。なお、図5の(A)においては、図示の煩雑化を避けるため、第1位相差領域R1と第2位相差領域R2の図示は略す。また、図5の(B)においては、シートの変形の度合いを大きく誇張して描いてある。
そこで、図5の(B)に示すように、シート状の複層フィルム14を、長尺時の搬送方向に対応する方向へ引っ張る。複層フィルム14の搬送方向は、FPR12の製造過程における支持体40の搬送方向に一致するので、この引っ張りの方向は、FPR12の搬送方向に対応する方向に一致する。この引っ張りにより、ごくわずかにではあるがシートにおいて変形している第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とを、図5の(C)に示すようにそれぞれ直線状にする。シート状の複層フィルム14は、第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とを直線状に保持された状態、すなわち、張力を付与された状態で、貼合装置59(図1参照)により液晶パネル11(図1参照)と張り合わされる。
貼合装置59は、液晶パネル11の一定方向に並ぶ複数の画素の縁(エッジ)に複層フィルム14中のFPR12の第1位相差領域R1と第2位相差領域R2との境界38を重ねた状態で、複層フィルム14と液晶パネル11とを貼り合わせるためのものである。貼合装置59は、図6及び図7に示すように、引張部81、貼合部82等を備え、所定の張力に保持した状態のシート状の複層フィルム14と、液晶パネル11とを貼り合わせる。
引張部81は、第1,第2クリップ83,84、張力測定器87、引っ張り機構88、カメラ91、移動機構92、昇降機構93、コントローラ96などを備える。第1クリップ83と第2クリップ84とは、供給されたシート状の複層フィルム14を把持するためのものであり、複層フィルム14を挟持する挟持部材83a,84aと、これら挟持部材83a,84aによる挟持及びその解除を制御するクリップ本体83b,84bとを備える。第1,第2クリップ83,84は、互いの距離を変える方向(A方向と称する)と、A方向に直交する図6における上下方向(B方向)と、A,B両方向に直交するC方向とに変位するとともに、A方向とC方向とにより定められるAC平面内において、互いの姿勢及び相対位置を保った状態で変位する。
第1クリップ83は、前述の搬送方向に対応する方向におけるシート状の複層フィルム14の一端部を挟持し、第2クリップ84は他端部を挟持する。そこで、複層フィルム14を挟持する際には、第1クリップ83と第2クリップ84とは、A方向を前述の搬送方向に一致させる。一致とは、必ずしも厳格な一致でなくてもよく、0.0001°以内の多少のずれであればずれがあってもよい。第1,第2クリップ83,84は、複層フィルム14を保持するためのものであるので、他の保持手段、例えば、複層フィルム14のフィルム面に吸着して複層フィルム14を保持する吸着プレート(図示無し)、複層フィルム14を厚み方向で貫通して保持するピン(図示無し)等に代えてもよい。
第1クリップ83のクリップ本体83bは張力測定器87に接続し、張力測定器87はコントローラ96に接続する。張力測定器87は第1,第2クリップ83,84により複層フィルム14に付与されている張力を検出して、その検出信号をコントローラ96へ出力する。張力測定器87としては、例えばロードセルやばね測り等がある。
第2クリップ84のクリップ本体84bは、引っ張り機構88に接続する。引っ張り機構88は、第2クリップ84のクリップ本体84bを変位させる例えばボールねじとモータ等で構成されており、複層フィルム14を挟持した状態でA方向にクリップ本体84bを変位させる。コントローラ96は引っ張り機構88にも接続しており、張力測定器87からの検出信号が入力されると、引っ張り機構88を介してクリップ本体84bの位置を制御する。これにより、挟持部材83a,84aに挟持されている複層フィルム14にはA方向において目的とする張力TDが付与される。引っ張り機構88としては、エアシリンダ等で構成されるものでもよい。
第1クリップ83,第2クリップ84によりA方向での張力付与は、第1位相差領域R1,第2位相差領域R2,境界38をそれぞれ曲線状から一定の幅の直線状にするためのものである。目的とする張力TDは、露光装置53により紫外線の照射されている間の、反応膜72(図4参照)が付与された支持体40の搬送方向における張力Tsに基づいて、設定する。例えば、目的とする張力TDは、張力Tsが大きい場合ほど大きく設定する。なお、本明細書における張力とは、幅1mあたりの張力(単位はN/m)である。
目的とする張力TDは、張力Ttの20%以上180%以下の範囲内であると、後述のように液晶表示装置における表示精度を向上させる観点でより効果があり、張力Ttの90%以上110%以下の範囲内であるとさらに効果がある。張力Ttは、張力Ts(N/m)と、FPR12の厚みhf(単位はm)と、FPR12のヤング率εf(単位はGPa)と、保護フィルム70の厚みT1(単位はm)と、保護フィルム70のヤング率ε1(単位はGPa)とに基づき設定する。具体的には、張力Ttは、下記の式(1)で求める。
Tt=Ts×{(hf・εf)+(h1・ε1)}/(hf・εf)
・・・(1)
各クリップ本体83b,84bは、それぞれ移動機構92に接続しており、移動機構92は各クリップ本体83b,84bを、B方向と、C方向とに変位させる。これにより、挟持部材83a,84aにより挟持されている複層フィルム14は、B方向とC方向とに変位する。また、移動機構92は、第1クリップ83と第2クリップ84との姿勢及び位置関係を保持した状態でクリップ本体83b,84bのAC平面内における位置を変える。このように、クリップ本体83b,84bがAC平面において一体に変位することにより、複層フィルム14はAC平面内で回転する。
貼合部82は、載置台97、押圧部材98、軸99などから構成されている。貼合部82はその上面82aに載置台97が設けられている。この載置台97の載置面97aには、液晶パネル11が載置される。液晶パネル11は、液晶表示装置10(図1参照)での光源側を載置面97aに対向させて置かれる。つまり、この例では、偏光板16(図1参照)を下方に向けて載置面97aに対向させ、偏光板17(図1参照)を上方に向ける。載置面97aは図7に示すように透明な例えばガラス102で構成され、載置台97の内部に配されたランプ103により、載置された液晶パネル11を一方のパネル面から照明する。
押圧部材98は、液晶パネル11上に供給されて重ねられた複層フィルム14を押圧して液晶パネル11と貼り付けるためのものである。押圧部材98は、貼合部82の上面82a上に設けられた回動する軸99に一側端が固定された板状の部材である。押圧部材98は、複層フィルム14を押圧する押圧位置とこの押圧位置から退避した退避位置との間で軸99と一体に動き、退避位置では図6に示すように起立した姿勢とされる。
カメラ91は、複層フィルム14におけるFPR12の第1位相差領域R1と第2位相差領域R2との境界38(図2参照)と、液晶パネル11に対する複層フィルム14の相対位置とを検出するためのものである。カメラ91は、載置台97の載置面97aとレンズ91aが対向した状態で設けられる。検出の際には、供給された複層フィルム14とレンズ91aとの間に、偏光板104が設けられる。偏光板104は、液晶表示装置10において視認側に配される偏光板17と互いにクロスニコル配置の状態で配され、カメラ91はこの偏光板104を介して撮影する。偏光板104は、モータなどで構成された昇降機構93によりB方向で変位する。
無配向領域となっている各位相差領域R1とR2との境界38を透過したランプ103からの光は、液晶パネル11から射出された直線偏光を維持しており、その振動方向が偏光板104の透過軸と直交する。このため、境界38からの光は、偏光板104を透過しないので、カメラ91で黒い線として撮影される。
上記構成の作用について説明する。長尺の支持体40は、複層シート製造装置50に供給されると、搬送機構部51により、反応膜形成部52、露光装置53、張力調整部54、ラビング処理部55、液晶層形成部56、複層化部57、切断部58に順次案内される。反応膜形成部52により、支持体40の一方の表面には光酸発生剤を含む塗布液が連続的に塗布される。反応膜形成部52では、その後、塗布により形成された塗膜が乾燥され、これにより一定厚みの反応膜72が支持体40上に形成される。
反応膜72が形成された支持体40は、露光装置53へ案内され、バックアップローラに巻き掛けられた状態で、紫外線の照射域と非照射領域とが幅方向に交互になるストライプ状のパターン照射が連続的に行われる。このパターン照射中の支持体40は、搬送方向における張力を予め設定した値に保持されている。
支持体40はラビング処理部55に案内されて反応膜72にはラビング処理が施され、このラビング処理により反応膜72は配向膜41にされる。その後、支持体40は液晶層形成部56へ案内されて、配向膜41上に液晶層42が形成される。液晶層42が形成された支持体40は、複層化部57により、液晶層42上に粘着層45を形成され、配向膜41及び液晶層42が層設された面とは反対側の面に保護膜13が設けられ、これにより長尺の複層フィルム14が得られる。この複層フィルム14は、切断部58で目的とするサイズのシート状に切断される。
シート状の複層フィルム14は、複層シート製造設備50から貼合装置59へ案内されて、以下の通り液晶パネル11と貼り合わせられる。まず、第1クリップ83と第2クリップ84とは、露光装置53において紫外線が照射される間における支持体40の搬送方向に一致させたA方向で挟持部材83a,84aが互いに対向する状態で配される。複層フィルム14は、粘着層45を図6における下方、すなわち液晶パネル11側に向けた状態で、挟持部材83a,84aによりA方向での一端部と他端部とを挟持される。なお、複層フィルム14が挟持された後に、A方向と複層フィルム14の製造時における搬送方向とを一致させてもよい。
張力測定器87は、第1,第2クリップ83,84に挟持された複層フィルム14のA方向における張力を測定し、その検出結果をコントローラ96へ出力する。コントローラ96は、引っ張り機構88を介して第2クリップ84をA方向に変位させ、張力測定器87による検出結果が前述の目的とする張力になるまで第2クリップ84の位置を変化させる。これにより、複層フィルム14には前述の目的とする張力がA方向に付与され、この結果、FPR12における第1位相差領域R1と第2位相差領域R2とはそれぞれ一定幅の直線状になるとともに、境界38も直線状になる。なお、第2クリップ84の変位の間は、カメラ91による撮影は行わなくてもよい。
載置台97には、液晶パネル11が予め供給されており、複層フィルム14は、第1,第2クリップ83,84により所定の張力をA方向に付与された状態で、移動機構92により液晶パネル11上に移動し、図7に示すように液晶パネル11からわずかに離間した状態とされる。この複層フィルム14の上方には、複層フィルム14とわずかに離間した状態で、偏光板104が配される。
ランプ103により光を照射されている複層フィルム14をカメラ91により撮影しながら、目的とする張力を付与された状態の複層フィルム14と液晶パネル11とは位置合わせされる。位置合わせ前の複層フィルム14におけるFPR12は、例えば、液晶パネル11のカラーフィルタ層26において水平方向と垂直方向とに並ぶ複数の画素106のいずれの並び方向とも境界38がずれている。したがってカメラ91では、図8に示すように、黒い線として撮影される境界38が、水平に並ぶ複数の画素106の縁と交差するとともに、垂直方向に並ぶ複数の画素106の縁とも交差する。
このように境界38が一方向に並ぶ複数の画素106の縁と交差する場合には、移動機構92は第1,第2クリップ83,84の姿勢及び位置関係を保持した状態でこれらを一体にAC平面において変位させて、複層フィルム14をAC平面内で回転させる。これにより、図9に示すように、境界38と交差していた一方向に並ぶ複数の画素の縁とを平行な状態に調整する。
次に、移動機構92は、第1,第2クリップ83,84の姿勢及び位置関係を保持した状態でこれらを一体にA方向とC方向との少なくともいずれか一方へ変位させて、複層フィルム14をAC平面内で移動させる。これにより、図10に示すように、一方向に並ぶ複数の画素の縁に境界38を重ねる。本実施形態では、複層フィルム14を回転させた後にAC平面内で移動させているが、この態様に代えて、AC平面内で移動させた後にAC平面内で回転させてもよい。以上の工程により、複層フィルム14は、液晶パネル11と位置合わせされる。
なお、本実施形態では、目的とする張力を付与した状態で複層フィルム14を液晶パネル11と位置合わせしているが、この態様に限られない。例えば、FPR12の境界38の一部と液晶パネル11の一方向に並ぶ特定の画素の縁とを重ねる第1の位置合わせを行ってから、複層フィルム14に目的とする張力を付与し、この後、境界38が一方向に並ぶ複数の画素の縁と重ねる第2の位置合わせを行ってもよい。
液晶パネル11と位置合わせされた複層フィルム14は、目的とする張力を付与されたまま移動機構92により液晶パネル11上に接触する状態にまで降下され、押圧部材98が複層フィルム14を液晶パネル11に対向するフィルム面とは反対側のフィルム面から押圧する。これにより、複層フィルム14は、境界38が液晶パネル11の水平または垂直に並ぶ複数の画素106(図8〜図10参照)の縁と重なる状態で、液晶パネル11に貼り合わせられる。この結果、表示精度が従来品よりも向上した液晶表示装置10が得られる。
本実施形態では、複層フィルム14と液晶パネル11との位置合わせに際し、載置台97上に静置した液晶パネル11に対して複層フィルム14を動かすことにより位置合わせしているが、この態様に限られない。例えば、載置台97にA方向、C方向とにおける変位機構と、AC平面内における回転機構とを設けることにより、複層フィルム14の移動及び回転に加えて、または代えて、液晶パネル11の移動と回転とを行うことにより位置合わせしてもよい。
上記の方法は、幅方向に張力を付与される工程を経た支持体40を複層シート製造設備50に供する場合に、特に顕著な効果がある。製造過程で幅方向に張力を付与されて得られる支持体40は、幅方向の測端部が幅方向中央部に比べて残留応力が大きく、切断部58でシート状に切断することより、測端部に対応する箇所と中央部に対応する箇所との間で収縮の度合いが異なる。したがって、露光装置53で一定幅のライン状に形成した照射領域REと非照射領域RN、及び境界38は、シート状への切断により、前述のように曲線状になってしまう。そこで、露光装置53で紫外線に照射されている間の搬送方向における張力T40に基づいて目的とする張力TDを前述のように設定し、設定した張力を複層フィルム14に付与した状態で複層フィルム14を貼り付けることにより、第1位相差領域R1と第2位相差領域R2、及びこれらの境界38が直線状になり、得られる液晶表示装置10は良好な表示性能を発現する。
また、上記の方法は、幅方向に張力を付与される工程を経た保護フィルム70を複層シート製造設備50に供する場合に、特に顕著な効果がある。製造過程で幅方向に張力を付与されて得られる保護フィルム70は、支持体40の場合と同様に、幅方向の測端部が幅方向中央部に比べて残留応力が大きく、切断部58でシート状に切断することより、測端部に対応する箇所と中央部に対応する箇所との間で収縮の度合いが異なる。したがって、露光装置53で一定幅のライン状に形成した照射領域REと非照射領域RN、及び境界38は、シート状への切断により、前述のように曲線状になってしまう。そこで、張力T40に加えて保護フィルム70の厚みh70やヤング率ε70に基づき、目的とする張力TDを前述のように設定することがより好ましい。このように設定した張力を複層フィルム14に付与した状態で複層フィルム14を貼り付けることにより、第1位相差領域R1と第2位相差領域R2、及びこれらの境界38がより確実に直線状になり、得られる液晶表示装置10は良好な表示性能をより確実に発現する。
図11の延伸装置120は、支持体40と保護フィルム70とをそれぞれ製造する過程で幅方向に張力を付与するためのものである。この延伸装置120は、例えば上流側に設けられた製膜部に接続することもあるし、送出機に接続することもある。製膜部としては、原料ポリマーを溶融して膜状に押し出す溶融製膜部や、原料ポリマーを溶媒に溶解して流延支持体に流延して流延膜を形成し、この流延膜が自己支持性を発現してから剥がす溶液製膜部等がある。送出機としては、これらの製膜部で製造されてロール状に巻かれたフィルムロールがセットされ、このフィルムロールからフィルムを巻き出して延伸装置120へ送り出すもの等がある。
延伸装置120は、例えば、搬送方向に延びた1対のレール(図示無し)上に配された1対のチェーン(図示無し)に、複数のクリップ121が搬送方向に複数並んで取り付けられている。1対のレールは、互いに離間して設けられ、クリップ121は、支持体40を形成するための連続供給されてくる長尺のフィルムの側端部を挟持する。各チェーンはレール上を移動し、これにより個々のクリップ121が移動することにより、フィルムは搬送される。レール間の距離を搬送方向において変化させることにより、フィルムの幅を拡げたり(拡幅)、狭めたり(縮幅)、一定に保持したりする。
図11の延伸装置は、幅を一定に保持しながらフィルムを昇温する予熱部と、予熱部の下流に設けられる幅を拡げる拡幅部と、拡幅部の下流に設けられる緩和部とを有する。拡幅部は、フィルムの温度を例えばガラス転移点近傍等の高温にして、フィルムの幅を拡げる。予熱部は、拡幅部に向かうフィルムを昇温させることにより拡幅部におけるフィルムの変形や破断等を防ぐ。緩和部は、拡幅部において生じたフィルムの応力緩和を行う。こうして支持体40は得られるが、緩和部での応力緩和を経ても、得られる支持体40には残留応力が残ることが多く、上記のようなシート化に伴う複層フィルム14の変形が発生する。なお、この例では一定幅の保持と拡幅と拡幅後の一定幅の保持という延伸パターンで支持体40を製造しているが、延伸パターンはこれに限られない。
保護フィルム70も延伸装置120を用いて保護フィルム70を形成するための長尺のフィルムから製造される。この場合にも、支持体40を製造する場合と同様に、緩和部での応力緩和を経ても、得られる保護フィルム70には残留応力が残ることが多く、上記のようなシート化に伴う複層フィルム14の変形が発生する。
本発明により製造される積層体の他の一例としては、複層フィルム14に代えて図12に示す複層フィルム140を備える液晶表示装置(図示無し)がある。なお、図12においては、図1,図2と同じ部材には同じ符号を付し、説明を略す。複層フィルム140は、FPR142と、保護膜13,144と、粘着層45とを備える。FPR142は、支持体40と、配向膜41と、液晶層42とを有し、FPR12と同様に、第1,第2位相差領域R1,R2をもつ。保護膜13は液晶層42上に配され、保護膜144は支持体40上に配される。粘着層45は、保護膜144上に形成されており、この粘着層45により複層フィルム140は液晶パネル11と貼り合わせられる。保護膜144は、保護膜13と同様にFPR142の表面を保護するためのものであり、より具体的には液晶パネル11と貼り合わせる前のFPR142の表面を保護する。なお、複層フィルム140は、保護膜13,144に代えて前述の光学機能膜を備えてもよい。
複層フィルム140は、複層シート製造設備50の複層化部57を図13の複層化部157に代えた複層シート製造設備(図示無し)により製造される。図13においては、図3と同じ部材には同じ符号を付し、説明を略す。複層化部157は、複層化部57と同様に、液晶層形成部56と切断部58との間に設けられ、保護フィルム70と保護膜になる保護フィルム158とをFPR142に付与するとともに、粘着層45を形成する。
保護フィルム158は、保護フィルム70と同様にロール状にされている。複層化部157は、保護フィルムロールから保護フィルム70を引き出して送り出す送出機(図示無し)と、保護フィルムロールから保護フィルム158を引き出して送り出す送出機(図示無し)と、この粘着フィルムロールから粘着フィルム68を引き出して送り出す送出機(図示無し)と、ローラ対69等を備える。ローラ対69は、各送出機から供給される保護フィルム70と、保護フィルム158との間に、液晶層形成部56から送られてくるFPR142を挟み込んで、粘着フィルム68とともにこれらをニップする。これにより、保護フィルム70とFPR142と保護フィルム158と粘着フィルム68とを連続的に貼り合わせて、長尺の複層フィルム140にする。切断部58は、長尺の複層フィルム140を目的とするサイズに切断し、例えば矩形のシート状にする。
シート状の複層フィルム140は、複層フィルム14と同様に、貼合装置59へ送られ、これにより液晶パネル11と貼り合わせられる。複層フィルム140を液晶パネル11と貼り合わせる際の張力TDは、複層フィルム14の場合の張力TDと同様に、露光装置53により紫外線の照射されている間の反応膜72(図4参照)が付与された支持体40の搬送方向における張力T40に基づいて設定する。
目的とする張力TDは、張力Ttの20%以上180%以下の範囲内であると、液晶表示装置における表示精度の観点でより効果があり、張力Ttの90%以上110%以下の範囲内であるとさらに効果がある。張力Ttは、張力Ts(N/m)と、FPR142の厚みhf(単位はm)と、FPR142のヤング率εf(単位はGPa)と、保護フィルム70の厚みT1(単位はm)と、保護フィルム70のヤング率ε1(単位はGPa)と、保護フィルム158の厚みT2(単位はm)と、保護フィルム158のヤング率ε2(単位はGPa)とに基づき設定する。具体的には、張力Ttは、下記の式(2)で求める。
Tt=Ts×{(hf・εf)+(h1・ε1)+(h2・ε2)}/(hf・εf)
・・・(2)
この実施形態はFPR142に粘着層45を除く2つの層、すなわち保護膜13と保護膜144とを付与する場合であるが、FPRに付与する層数は2層に限られない。層数が2以上である場合の目的とする張力TDは、以下のように求めるとよい。なお、ここでの層数には粘着層の数を含まない。また、各層は、FPR142のいずれの面側に配されてもよい。まず、FPR142に付与される層の数をn(n=1,2,3,・・・,i、iは2以上の自然数)とする。このとき、各層を形成する各フィルムの厚みをhn(n=1,2,3,・・・,i、iは2以上の自然数)とし、ヤング率をεn(n=1,2,3,・・・,i、iは2以上の自然数)とする。そして、目的とする張力TDは以下の式(I)で求める。このように求めたTDを各複層フィルムに付与した状態で、各複層フィルムを液晶パネル11へ貼り合わせる。
Figure 2014197156
上記の例は、いずれも複層フィルム14,140を液晶パネル11へ貼り合わせるものであるが、本発明はこれらの態様に限定されない。例えば、複層フィルム14と複層フィルム140とのいずれか一方と偏光板17とを予め貼り合わせて複層部材(図示無し)をつくっておくことがあり、この複層部材を、偏光板17が無い液晶パネルのガラス基板21へ貼り合わせる態様がある。このような複層部材を、ガラス基板21に貼り付ける場合には、偏光板17を構成する層の数を含めて式(I)における層の数nとするとよい。例えば、偏光板17が偏光膜とこの偏光膜を挟む1対の保護膜とから構成されている場合には、偏光板17の層数を3とし、この層数を前述の層の数nにカウントする。
複層シート製造設備50及び貼合装置59を用いて、液晶表示装置10を製造する実施例1を実施した。また、複層シート製造設備50の複層化部57を図13に示す複層化部157に代えて、複層フィルム140を備える液晶表示装置(図示無し)を製造する実施例2〜5を実施した。用いた支持体40の厚みは100μmであり、ヤング率は4.0GPaである。支持体40及び保護フィルム70,158は、いずれも延伸装置120により幅方向の拡幅工程を経て得られたものである。各実施例における、保護フィルム70の厚みT1とヤング率G1、保護フィルム158の厚みT2とヤング率G2とは、表1に示す。なお、実施例1においては保護フィルム158を使用していないので、表1の「T2」には「無し」と記載し、「G2」欄には「−」と記載する。実施例1においては、式(1)により張力Ttを求め、このTtに基づき張力TDを設定し、この張力TDを複層フィルム14に付与するために張力調整部54により張力を調整した。また、実施例2〜5においては、式(2)により張力Ttを求め、このTtに基づき張力TDを設定し、この張力TDを複層フィルム140に対してA方向に付与するために張力調整部54により張力を調整した。なお、支持体40,保護フィルム70,158のヤング率の測定方法はASTM D882に準ずる。
得られた各液晶表示装置10について、FPR12の第1位相差領域R1と第2位相差領域R2との境界38と、液晶パネル11の水平方向に並ぶ複数の画素106の縁とのずれの大きさの程度をランプ103と偏光板104とカメラ91とを用いて評価した。各評価にあたっては、まず、評価候補としての複数の部位を任意に9箇所抽出し、抽出された箇所毎に境界38と画素106の縁とのずれの大きさの程度を評価する予備評価を実施した。予備評価の結果、境界38と画素106の縁とのずれの大きさの程度が最も大きい箇所におけるずれの程度を、その液晶表示装置10における評価結果とした。この評価結果は表1の「ずれ」欄に記載する。評価基準は以下の通りであり、小及び中は合格レベル、大は不合格レベルである。
小:10μm未満
中:10μm以上100μm未満
大:100μm以上
また、得られた各液晶表示装置10等について、画像の表示精度を以下の基準で評価した。評価結果は、表1の「表示精度」欄に記載する。AとBとは合格レベル、Cは不合格レベルである。なお、下記の基準において「光漏れがある」とは、例えば第1,第2位相差領域R1,R2のいずれか一方を介して、隣接する他方に対応するラインからの光が観察されたことを意味する。
A:光漏れがなく、立体画像として観察することができた
B:光漏れはあるが、立体画像として観察することはできた
C:光漏れがあり、立体画像として観察することができなかった
[比較例]
本発明に対する比較例として、複層シート製造設備50及び貼合装置59を用いて液晶表示装置を製造する比較例1を実施した。また、複層シート製造設備50の複層化部57を図13に示す複層化部157に代えて、複層フィルムをつくり、この複層フィルムを備える液晶表示装置(図示無し)を製造する比較例2〜4を実施した。比較例1〜4においては、複層フィルムに対するA方向での張力TDを0N/mにした状態で、この複層フィルムを液晶パネル11と貼り合わせた。
各比較例で得られた液晶表示装置について、実施例と同じ評価を行った。すなわち、FPRの第1位相差領域R1と第2位相差領域R2との境界と、液晶パネルの水平方向に並ぶ複数の画素の縁とのずれの大きさの程度と、画像の表示精度とをそれぞれ評価した。
Figure 2014197156
10 液晶表示装置
11 液晶パネル
12,142 FPR
14,140 複層フィルム
38 境界
51 搬送機構部
53 露光装置
58 切断部
59 貼合装置
81 引張部
82 貼合部
87 張力測定器
88 引っ張り機構
106 画素
120 延伸装置
RE 照射領域
RN 非照射領域
R1,R2 第1,第2位相差領域

Claims (7)

  1. 特定の光の照射の有無によって液晶に対して異なる配向特性が与えられる反応膜が表面に形成された連続搬送中の支持体に、搬送方向と直交する幅方向に照射領域と非照射領域とが交互にライン状に並んだ照射パターンで前記特定の光を照射した後に、前記反応膜の上に液晶層を形成することによって、互いに位相差特性の異なる第1,第2位相差領域が幅方向に交互に形成された長尺のパターン化位相差フィルムと、連続搬送されながら製造された長尺の透明なポリマーフィルムとが重なる複層フィルムを、目的とするサイズに切断することにより複層シートにする切断工程と、
    前記支持体の搬送方向に対応する方向に前記複層シートを引っ張る引張工程と、
    前記引張工程により引っ張られた状態で、前記パターン化位相差シートを前記表示パネルと貼り合わせる貼合工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記引張工程は、前記特定の光が照射されている間の前記支持体の搬送方向における張力に基づいた張力で、前記複層シートを引っ張ることを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 前記支持体は、幅方向における張力を付与されて形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の積層体の製造方法。
  4. 前記ポリマーフィルムは、幅方向における張力を付与されて形成されたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  5. 前記パターン化位相差フィルムと前記ポリマーフィルムとを搬送しながら貼り合わせて前記複層フィルムにする複層化工程を有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  6. 前記表示パネルは、水平及び垂直方向のそれぞれに配列された複数の画素を有し、
    前記引張工程により引っ張られた状態で前記複層シートの特定の第1位相差領域と第2位相差領域との境界が、水平または垂直方向に並ぶ複数の画素の縁に重なる状態に、前記複層シートと前記表示パネルとを位置合わせする位置合わせ工程を前記貼合工程の前に有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  7. 光源部から射出された前記特定の光を、前記支持体の搬送方向に延びたスリットを前記支持体の幅方向に一定ピッチで形成したマスクを通して、前記照射パターンで前記特定の光を前記反応膜に照射する照射工程と、
    前記照射工程を経た反応膜の上に液晶層を形成する液晶層形成工程とを備えることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の積層体の製造方法。
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