JP2014196455A - 含フッ素ポリマー、ハードコート層形成用組成物およびハードコート層を有する物品 - Google Patents

含フッ素ポリマー、ハードコート層形成用組成物およびハードコート層を有する物品 Download PDF

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清貴 高尾
Kiyotaka Takao
清貴 高尾
信行 音澤
Nobuyuki Otosawa
信行 音澤
大輔 上牟田
Daisuke Kamimuta
大輔 上牟田
岡野 邦子
Kuniko Okano
邦子 岡野
星野 泰輝
Yasuteru Hoshino
泰輝 星野
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Abstract

【課題】ハードコート層等に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる含フッ素ポリマー、該ポリマーを含むハードコート層形成用組成物および該組成物から形成された防汚性のハードコート層を有する物品を提供する。
【解決手段】炭素数4のオキシペルフルオロアルキレン単位(α)および該単位(α)以外のオキシペルフルオロアルキレン単位(β)を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)の1つ以上を有するモノマー単位(U1)と、エチレン性不飽和基の1つ以上を有するモノマー単位(U2)とを有する含フッ素ポリマー、該ポリマーを含むハードコート層形成用組成物、ハードコート層を有する物品。
【選択図】なし

Description

本発明は、対象物(ハードコート層等)に優れた防汚性を付与できる含フッ素ポリマー、該ポリマーを含む光硬化性のハードコート層形成用組成物および該組成物から形成した防汚性のハードコート層を有する物品に関する。
耐摩耗性が必要とされる種々の物品(光学物品、ディスプレイ、光記録媒体等)は、通常、傷つき等を防止するためのハードコート層を表面に有する。
また、該物品には、汚れ(指紋、皮脂、汗、化粧品、食品、油性インク等)が表面に付着しにくく、汚れが表面に付着しても容易に除去できる特性、すなわち防汚性を有することが望まれる。たとえば、メガネレンズの表面に汚れが付着すると、良好な視界を妨げ、見栄えを悪くする。光記録媒体の表面に汚れが付着すると、信号の記録および再生に障害が発生することがある。ディスプレイの表面に汚れが付着すると、視認性が低下し、タッチパネル付きディスプレイにおいては操作性に悪影響を及ぼす。
ハードコート層に防汚性を付与できる含フッ素エーテル化合物または含フッ素ポリマーとしては、下記のものが提案されている。
(1)炭素数1〜3のオキシペルフルオロアルキレン単位を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および水酸基を有する化合物ならびに(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する化合物を、トリイソシアネートに反応させて得られた、(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素エーテル化合物(特許文献1)。
(2)炭素数1〜3のオキシペルフルオロアルキレン単位を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有するもモノマー単位と、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位とを有する含フッ素ポリマー(特許文献2)。
特許第3963169号公報 特許第4547642号公報
しかし、本発明者らの知見によれば、(1)の含フッ素エーテル化合物および(2)の含フッ素ポリマーは、防汚性のうち、指紋汚れ除去性は良好なものの、油性インクをはじく特性(以下、油性インクはじき性と記す。)が不充分である。
本発明は、対象物(ハードコート層等)に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる含フッ素ポリマー、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れたハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物、ならびに耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れたハードコート層を有する物品の提供を目的とする。
本発明は、下記[1]〜[13]の構成を有する含フッ素ポリマー、ハードコート層形成用組成物およびハードコート層を有する物品を提供する。
[1]下記モノマー単位(U1)と下記モノマー単位(U2)とを有することを特徴とする含フッ素ポリマー。
モノマー単位(U1):炭素数4のオキシペルフルオロアルキレン単位(α)および該単位(α)以外のオキシペルフルオロアルキレン単位(β)を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)の1つ以上を、前記含フッ素ポリマーにおいて側鎖を構成する部分に有するモノマー単位。
モノマー単位(U2):エチレン性不飽和基の1つ以上を、前記含フッ素ポリマーにおいて側鎖または側基を構成する部分に有するモノマー単位。
[2]前記含フッ素ポリマー(100質量%)中のフッ素原子の割合が、0.1〜60質量%である、[1]の含フッ素ポリマー。
[3]前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)において、前記単位(α)と前記単位(β)とが交互に配置されている、[1]または[2]の含フッ素ポリマー。
[4]前記モノマー単位(U1)における前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)の末端に、酸素原子を介して炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が結合している、[1]〜[3]のいずれかの含フッ素ポリマー。
[5]前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)において、前記単位(α)と前記単位(β)とが交互に配置され、かつ前記ペルフルオロアルキル基に近い側が、前記単位(β)である、[4]の含フッ素ポリマー。
[6]前記単位(α)が、(CFCFCFCFO)である、[1]〜[5]のいずれかの含フッ素ポリマー。
[7]前記モノマー単位(U2)における前記エチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基である、[1]〜[6]のいずれかの含フッ素ポリマー。
[8]数平均分子量が、2,000〜50,000である、[1]〜[7]のいずれかの含フッ素ポリマー。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかの含フッ素ポリマーと、光重合性化合物(ただし、前記含フッ素ポリマーを除く。)と、光重合開始剤とを含むことを特徴とするハードコート層形成用組成物。
[10]前記含フッ素ポリマーの含有量が、固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%である、[9]のハードコート層形成用組成物。
[11]媒体をさらに含む、[9]または[10]のハードコート層形成用組成物。
[12]基材と、[9]〜[11]のいずれかのハードコート層形成用組成物から形成したハードコート層とを有することを特徴とする物品。
[13]前記基材の材料が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、またはこれらの複合材料である、[12]の物品。
本発明の含フッ素ポリマーは、対象物(ハードコート層等)に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる。
本発明のハードコート層形成用組成物は、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れたハードコート層を形成できる。
本発明の物品は、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れたハードコート層を有する。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
分子鎖とは、線状または分岐状に連なった複数の単位から構成される部分である。
主鎖とは、該主鎖以外のすべての分子鎖が側鎖と見なされるような線状分子鎖である。
側鎖とは、主鎖から分岐した分子鎖である。
側基とは、主鎖から出ている、分子鎖ではない側枝である。
単位とは、分子鎖の基本構造の一部を構成する原子団である。
ポリマーにおけるモノマー単位とは、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位、または、該単位の一部がポリマーを処理することによって別の構造に変換された単位である。モノマー単位は、オキシペルフルオロアルキレン単位と区別される。
モノマーとは、エチレン性不飽和基((メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等)を有する化合物である。
(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称である。
エーテル性酸素原子とは、炭素原子−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子である。
有機基とは、炭素原子を有する基である。
[含フッ素ポリマー]
本発明の含フッ素ポリマー(以下、本ポリマーとも記す。)は、モノマー単位(U1)とモノマー単位(U2)とを有し、必要に応じてモノマー単位(U3)を有する。
モノマー単位(U1):炭素数4のオキシペルフルオロアルキレン単位(α)(以下、単位(α)とも記す。)および該単位(α)以外のオキシペルフルオロアルキレン単位(β)(以下、単位(β)とも記す。)を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)(以下、鎖(αβ)とも記す。)の1つ以上を、含フッ素ポリマーにおいて側鎖を構成する部分に有するモノマー単位。
モノマー単位(U2):エチレン性不飽和基の1つ以上を、含フッ素ポリマーにおいて側鎖または側基を構成する部分に有するモノマー単位。
モノマー単位(U3):モノマー単位(U1)およびモノマー単位(U2)以外のモノマー単位。
(モノマー単位(U1))
モノマー単位(U1)としては、たとえば、鎖(αβ)の1つ以上を有するモノマー(M1)に由来する単位、または、反応性官能基GA1を有し、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を有しないモノマー単位(UZ1)の反応性官能基GA1に、該反応性官能基GA1と反応し得る反応性官能基GB1および鎖(αβ)を有する化合物(C1)の反応性官能基GB1を反応させて、該鎖(αβ)を導入した単位が挙げられる。モノマー(M1)、モノマー単位(UZ1)、化合物(C1)については、本ポリマーの製造方法にて説明する。
本ポリマーには、鎖(αβ)、末端基等が異なる2種類以上のモノマー単位(U1)が存在してもよい。
単位(α)におけるペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。単位(α)としては、ハードコート層が油性インクはじき性に優れる点から、直鎖状、すなわち(CFCFCFCFO)が好ましい。
単位(β)は、炭素数4以外のオキシペルフルオロアルキレン単位である。鎖(αβ)には、1種の単位(β)のみが存在してもよく、2種以上の単位(β)が存在してもよい。2種以上の単位(β)は、炭素数が同じであっても異なっていてもよい。
鎖(αβ)が、単位(α)を有することによってハードコート層が油性インクはじき性に優れる。ただし、単位(α)のみからなるポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の結晶性が高く、指紋汚れ除去性が不充分となる。そこで、単位(β)を含ませることによって、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の結晶性が低下し、ハードコート層が油性インクはじき性および指紋汚れ除去性に優れるものとなる。
鎖(αβ)の末端に、酸素原子を介して炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が結合していることが好ましい。このような構成であると、ハードコート層が防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に著しく優れる。ペルフルオロアルキル基としては、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基がより好ましく、CF−またはCFCF−が特に好ましい。
鎖(αβ)においては、単位(α)と単位(β)とが交互に配置されることが好ましい。単位(α)と単位(β)とが交互に配置されると、ハードコート層は防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に加えて、耐摩耗性にも優れる。
鎖(αβ)においては、単位(α)と単位(β)とが交互に配置され、かつペルフルオロアルキル基に近い側が、単位(β)であることが好ましい。このような構成であると、ハードコート層が防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に著しく優れる。この理由は、たとえば単位(β)が炭素数1〜3(すなわち単位(α)の炭素数よりも少ない炭素数)である場合には、柔軟性の高い単位(β)が自由端であるペルフルオロアルキル基に近い側に存在でき、ペルフルオロアルキル基の運動性が高くなるためと考えられる。
鎖(αβ)においては、単位(α)と単位(β)とが交互に配置されても、ブロックで配置されても、ランダムで配置されてもよい。
ブロックの場合も ペルフルオロアルキル基に近い側が炭素数の少ない単位であり、本ポリマーの主鎖に近い側が炭素数の多い単位であると、ハードコート層が防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)により優れる。たとえば、ペルフルオロアルキル基に近い側が炭素数が1〜3のオキシペルフルオロアルキレン単位のブロックであり、本ポリマーの主鎖に近い側が炭素数が4のオキシペルフルオロアルキレン単位を必須とする炭素数が4〜15のオキシペルフルオロアルキレン単位のブロックであることが好ましい。
(モノマー単位(U11))
モノマー単位(U1)としては、下式(U11)で表されるモノマー単位(以下、モノマー単位(U11)とも記す。)が好ましい。
Figure 2014196455
ただし、式(U11)中の記号は以下の通りである。
11:水素原子またはメチル基。
:下式(G1)で表される基。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3(CXm1−Y−Q−Y− ・・・(G1)
ただし、式(G1)中の記号は以下の通りである。
A:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基。
f1:炭素数4のペルフルオロアルキレン基。
f2:炭素数4以外のペルフルオロアルキレン基。
x1およびx2:それぞれ独立に1以上の整数である。
f3:炭素数1〜20のペルフルオロアルキレン基。
X:水素原子またはフッ素原子。
m1:0または1。
:単結合、−C(=O)NH−(ただし、QはNに結合する。)、−OC(=O)NH−(ただし、QはNに結合する。)、−O−、−C(=O)O−(ただし、QはOに結合する。)、−OC(=O)O−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)O−(ただし、QはOに結合する)。
Q:単結合または2価の有機基。
:−O−、−NH−または−NHC(=O)O−(C2k)−O−(ただし、kは1〜10の整数であり、2〜3が好ましく、2が特に好ましい。また、QはNに結合する)。
ただし、式(G1)において、m1が0のとき、Yが−O−、−OC(=O)NH−または−OC(=O)−であることはない。また、Yが−C(=O)NH−、−OC(=O)NH−、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)O−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)O−であるとき、Qは2価の有機基である。また、YとYとが−O−のとき、Qは単結合ではない。
<R11基>
式(U11)において、R11は、油性インクハジキ性に優れる点から、メチル基が好ましい。
<単位(α)>
式(G1)において、単位(α)は(Rf1O)で表された部分である。
式(G1)中のx1は、1以上の整数である。ハードコート層に優れた油性インクはじき性を付与する点から、3以上の整数が好ましく、5以上の整数が特に好ましい。本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点から、20以下の整数が好ましく、10以下の整数が特に好ましい。
式(G1)中のRf1は、炭素数4のペルフルオロアルキレン基である。Rf1は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。ハードコート層に優れた油性インクはじき性を付与する点からは、直鎖状、すなわちCFCFCFCFが好ましい。単位(α)は(CFCFCFCFO)が好ましい。
<単位(β)>
式(G1)において、単位(β)は(Rf2O)で表された部分である。
式(G1)中のx2は、1以上の整数である。ハードコート層に優れた指紋汚れ除去性を付与する点から、3以上の整数が好ましく、5以上の整数が特に好ましい。本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点から、20以下の整数が好ましく、10以下の整数が特に好ましい。
式(G1)中のRf2は、炭素数4以外のペルフルオロアルキレン基である。Rf2は、炭素数2以上の場合、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。ハードコート層に優れた油性インクはじき性を付与する点からは、直鎖状が好ましい。
f2は、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点からは、炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基および炭素数5〜15のペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基および炭素数5〜6のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。ハードコート層に優れた指紋汚れ除去性を付与する点からは、炭素数1〜2のペルフルオロアルキレン基が好ましい。熱的または化学的安定性の点からは、炭素数1以外のペルフルオロアルキレン基の少なくとも1種が好ましい。Rf2としては、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上の場合、炭素数は同じであってもよく、異なっていてもよい。
<ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)>
式(G1)において、鎖(αβ)は[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]で表された部分である。
鎖(αβ)において、単位(α)すなわち(Rf1O)、単位(β)すなわち(Rf2O)の結合順序は限定されない。すなわち、単位(α)と単位(β)がランダムに配置されてもよく、単位(α)と単位(β)とが交互に配置されてもよく、複数の単位からなるブロックの2以上が連結してもよい。ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する点から、単位(α)と単位(β)とが交互に配置されることが好ましく、加えてAに近い側が単位(β)であり、本ポリマーの主鎖に近い側が単位(α)であることが特に好ましい。
鎖(αβ)としては、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する点からは、下記の単位を含む鎖(αβ)が特に好ましい。
(CFCFO−CFCFCFCFO)
(CFCFO)x2(CFCFCFCFO)x1
ただし、nは単位(α)と単位(β)とからなる繰返し単位の単位数であり、1以上の整数である。
<A基>
末端基Aは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する点からは、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
Aの具体例としては、下記が挙げられる。
CF−、CFCF−、CF(CF−、CF(CF−、CF(CF−、CF(CF−、CFCF(CF)−等。
Aとしては、ハードコート層に著しく優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する点からは、CF−またはCFCF−が好ましい。
<他の基>
式(G1)において、−Rf3(CXm1−Y−Q−Y−としては、式(G1)におけるY、Q、Y、m1の組み合わせが下記1〜6のものが好ましい。
1.Y:単結合、Q:単結合、Y:−O−、m1=1
2.Y:−C(=O)NH−、Q:2価の有機基、Y:−O−または−NH−、m1=0
3.Y:−OC(=O)NH−、Q:2価の有機基、Y:−O−または−NH−、m1=1
4.Y:−O−、Q:2価の有機基、Y:−O−、m1=1
5.Y:−OC(=O)NH−、Q:2価の有機基、Y:−NHC(=O)O−(CH−O−、m1=1
6.Y:−C(=O)O−、Q:2価の有機基、Y:−O−、m1=0
f3は炭素数1〜20のペルフルオロアルキレン基である。ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する点からは、炭素数1〜5のペルフルオロアルキレン基が好ましく、たとえば下記が挙げられる。
−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)−。
Qは単結合または2価の有機基である。2価の有機基(以下、Qとも記す。)としては、アルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキレン基の水素原子の一部が水酸基に置換された基等が挙げられる。Qとしては、工業的な製造が容易な点から、炭素数2〜6のアルキレン基、該アルキレン基の水素原子の一部が水酸基に置換された基が好ましい。
<G基の好ましい態様>
としては、後述するモノマー(M1)の製造が容易な点から、下式で表される基が好ましい。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−O− ・・・(G1−1)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−O− ・・・(G1−2)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−NH− ・・・(G1−3)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−OC(=O)NH−Q−O− ・・・(G1−4)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−O−Q−O− ・・・(G1−5)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−OC(=O)NH−Q−NHC(=O)O−(CH−O− ・・・(G1−6)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)O−Q−O− ・・・(G1−7)
ただし、Qは2価の有機基である。CXの2つのXは同じであってもよく、異なっていてもよい。
としては、上述した好ましいAと、上述した好ましい鎖(αβ)とを組み合わせたものが好ましく、後述するモノマー(M1)を工業的に製造しやすく、取扱いやすく、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる点から、下式で表されるものが特に好ましい。
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O− ・・・(G1−1a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−O− ・・・(G1−2a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−NH− ・・・(G1−3a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OC(=O)NH−Q−O− ・・・(G1−4a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O−Q−O− ・・・(G1−5a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OC(=O)NH−Q−NHC(=O)O−(CH−O− ・・・(G1−6a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)O−Q−O− ・・・(G1−7a)
ただし、AはCF−またはCFCF−である。
(モノマー単位(U2))
モノマー単位(U2)としては、たとえば、反応性官能基GA2を有し、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を有しないモノマー単位(UZ2)の反応性官能基GA2に、該反応性官能基GA2と反応し得る反応性官能基GB2およびエチレン性不飽和基を有する化合物(C2)の反応性官能基GB2を反応させて、該エチレン性不飽和基を導入した単位が挙げられる。モノマー単位(UZ2)、化合物(C2)については、本ポリマーの製造方法にて説明する。
本ポリマーには、エチレン性不飽和基等が異なる2種類以上のモノマー単位(U2)が存在してもよい。
モノマー単位(U2)におけるエチレン性不飽和基としては、後述する光重合性化合物との反応性の点から、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
(モノマー単位(U21))
モノマー単位(U2)としては、下式(U21)で表されるモノマー単位(以下、モノマー単位(U21)とも記す。)が好ましい。
Figure 2014196455
ただし、式(U21)中の記号は以下の通りである。
21:水素原子またはメチル基。
:下式(G2)で表される基。
CH=C(R22)C(=O)−O−R23−Y−Q21−Y− ・・・(G2)
ただし、式(G2)中の記号は以下の通りである。
23:炭素数1〜10のアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜10のアルキレン基。
:単結合、−C(=O)NH−(ただし、Q21はNに結合する。)、−OC(=O)NH−(ただし、Q21はNに結合する。)、−O−、−C(=O)O−(ただし、Q21はOに結合する。)、−OC(=O)O−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)O−(ただし、Q21はOに結合する)。
21:単結合または2価の有機基(ただし、鎖(αβ)を有するものを除く)。
:−O−、−NH−または−NHC(=O)O−(C2k)−O−(ただし、kは1〜10の整数であり、2〜3が好ましく、2が特に好ましい。また、Q21はNに結合する)。
ただし、式(G2)において、Yが−C(=O)NH−、−OC(=O)NH−、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)O−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)O−であるとき、Q21は2価の有機基である。また、YとYとが−O−のとき、Q21は単結合ではない。
<R21基>
式(U21)において、R21は、油性インクハジキ性に優れる点から、メチル基が好ましい。
<R22基>
式(G2)において、R22としては、後述する光重合性化合物との反応性の点から、水素原子が好ましい。
<他の基>
式(G2)において、−R23−Y−Q21−Y−としては、式(G2)におけるY、Q21、Yの組み合わせが下記1〜4のものが好ましい。
1.Y:−NHC(=O)O−、Q21:2価の有機基、Y:−O−
2.Y:−OC(=O)NH−、Q21:2価の有機基、Y:−O−
3.Y:単結合、Q21:単結合、Y:−O−
4.Y:−O−、Q21:2価の有機基、Y:−O−
23は炭素数1〜10のアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜10のアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。R23としては、工業的な製造が容易な点から、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。
21は単結合または2価の有機基である。2価の有機基(以下、Q22とも記す。)としては、アルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキレン基の水素原子の一部が水酸基に置換された基等が挙げられる。Q22としては、工業的な製造が容易な点から、炭素数2〜6のアルキレン基、該アルキレン基の水素原子の一部が水酸基に置換された基が好ましい。
<G基の好ましい態様>
としては、本ポリマーの製造が容易であり、後述する光重合性化合物との反応性がよい点から、下式で表される基が好ましい。
CH=CHC(=O)−O−R23−NHC(=O)O−Q22−O− ・・・(G2−1)
CH=CHC(=O)−O−R23−OC(=O)NH−Q22−O− ・・・(G2−2)
CH=CHC(=O)−O−R23−O− ・・・(G2−3)
CH=CHC(=O)−O−R23−O−Q22−O− ・・・(G2−4)
ただし、Q22は2価の有機基(ただし、鎖(αβ)を有するものを除く)である。
(モノマー単位(U3))
モノマー単位(U3)としては、たとえば、鎖(αβ)を有しないモノマー(M3)に由来する単位、または、反応性官能基GA3を有し、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を有しないモノマー単位(UZ3)の反応性官能基GA3に、該反応性官能基GA3と反応し得る反応性官能基GB3および任意の基(ただし、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を除く。)を有する化合物(C3)の反応性官能基GB3を反応させて該任意の基を導入した単位が挙げられる。モノマー(M3)、モノマー単位(UZ3)、化合物(C3)については、本ポリマーの製造方法にて説明する。
モノマー単位(U3)には、未反応の反応性官能基GA1を有する前記モノマー単位(UZ1)、未反応の反応性官能基GA2を有する前記モノマー単位(UZ2)、未反応の反応性官能基GA3を有する前記モノマー単位(UZ3)も含まれる。
本ポリマーには、2種類以上のモノマー単位(U3)が存在してもよい。
(モノマー単位(U31))
モノマー単位(U31)としては、下式(U31)で表されるモノマー単位(以下、モノマー単位(U31)とも記す。)が好ましい。
Figure 2014196455
ただし、式(U31)中の記号は以下の通りである。
31:水素原子またはメチル基。
:炭素数1〜30のアルキル基を有する基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基を有する基、オキシアルキレン基もしくはポリ(オキシアルキレン)鎖を有する基、ジメチルシロキサン基もしくはポリジメチルシロキサン鎖を有する基。
<R31基>
式(U31)において、R31は、油性インクハジキ性に優れる点から、メチル基が好ましい。
<G基>
炭素数1〜30のアルキル基としては、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が特に好ましい。
オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられる。ポリ(オキシアルキレン)鎖としては、ポリ(オキシエチレン)鎖、ポリ(オキシプロピレン)鎖等が挙げられる。ポリ(オキシアルキレン)鎖におけるオキシアルキレン単位の数は、平均値で2〜10が好ましく、2〜5が特に好ましい。
ポリジメチルシロキサン鎖におけるジメチルシロキサン単位の数は、平均値で2〜100が好ましく、3〜50が特に好ましい。
としては、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点から、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、ハードコート層に優れた潤滑性を付与する点から、ジメチルシロキサン基もしくはポリジメチルシロキサン鎖を有する基が好ましい。
(モノマー単位の組成)
本ポリマーにおけるモノマー単位(U1)の割合は、本ポリマーを構成するすべてのモノマー単位のうち、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%が特に好ましい。モノマー単位(U1)の割合が上記範囲内であれば、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できるとともに、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
本ポリマーにおけるモノマー単位(U2)の割合は、本ポリマーを構成するすべてのモノマー単位のうち、5〜99.9モル%が好ましく、5〜90モル%が特に好ましい。モノマー単位(U2)の割合が上記範囲内であれば、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
本ポリマーにおけるモノマー単位(U3)の割合は、本ポリマーを構成するすべてのモノマー単位のうち、0〜94.9モル%が好ましく、0〜80モル%が特に好ましい。モノマー単位(U3)の割合が上記範囲内であれば、本発明の効果を損なうことがない。
本ポリマー中の各モノマー単位の同定および定量は、H−NMR(300.4MHz)および19F−NMR(282.7MHz)によって行う。NMRによる各モノマー単位の同定および定量が困難な場合は、各モノマーの仕込み量から算出してもよい。
(本ポリマー)
本ポリマーは、側鎖にポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有するため、フッ素原子の割合が多い。さらに、上述したように、ハードコート層に油性インクはじき性を付与する単位(α)と、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の結晶性を低下させる単位(β)とを有する鎖(αβ)を有している。そのため、本ポリマーは、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる。
本ポリマー(100質量%)中のフッ素原子の割合は、0.1〜60質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。フッ素原子の割合が上記範囲内であれば、モノマー単位(U1)およびモノマー単位(U2)が適当な割合で存在することとなり、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できるとともに、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
フッ素原子の割合は、実施例に記載の方法によって測定される。
本ポリマーの数平均分子量(Mn)は、2,000〜50,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましく、4,000〜20,000がさらに好ましく、4,000〜10,000が特に好ましい。数平均分子量が該範囲内であれば、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
[本ポリマーの製造方法]
本ポリマーは、たとえば、下記の工程(i)〜(iv)を経て製造される。
(i)モノマー(M1)またはモノマー(Z1)と、モノマー(Z2)と、必要に応じてモノマー(M3)またはモノマー(Z3)とを重合して、前記モノマー単位(U1)または前記モノマー単位(UZ1)と、前記モノマー単位(UZ2)と、必要に応じて前記モノマー単位(U3)または前記モノマー単位(UZ3)とを有する前駆体ポリマーを得る工程。
(ii)前駆体ポリマーのモノマー単位(UZ2)の反応性官能基GA2に、化合物(C2)の反応性官能基GB2を反応させて、該エチレン性不飽和基を導入し、モノマー単位(UZ2)をモノマー単位(U2)に変換する工程。
(iii)前駆体ポリマーがモノマー単位(UZ1)を有する場合、工程(ii)および工程(iv)のいずれか一方または両方と同時にまたは両方と別に、前駆体ポリマーのモノマー単位(UZ1)の反応性官能基GA1に、化合物(C1)の反応性官能基GB1を反応させて、該鎖(αβ)を導入し、モノマー単位(UZ1)をモノマー単位(U1)に変換する工程。
(iv)前駆体ポリマーがモノマー単位(UZ3)を有する場合、必要に応じて、工程(ii)および工程(iii)のいずれか一方または両方と同時にまたは両方と別に、前駆体ポリマーのモノマー単位(UZ3)の反応性官能基GA3に、該反応性官能基GA3と反応し得る反応性官能基GB3および任意の基(ただし、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を除く。)を有する化合物(C3)の反応性官能基GB3を反応させて、該任意の基を導入し、モノマー単位(UZ3)をモノマー単位(U3)に変換する工程。
モノマー(M1):鎖(αβ)の1つ以上を有するモノマー。
モノマー(Z1):反応性官能基GA1を有し、鎖(αβ)を有しないモノマー。
化合物(C1) :反応性官能基GA1と反応し得る反応性官能基GB1および鎖(αβ)を有する化合物。
モノマー(Z2):反応性官能基GA2を有し、鎖(αβ)を有しないモノマー。
化合物(C2) :反応性官能基GA2と反応し得る反応性官能基GB2およびエチレン性不飽和基を有する化合物。
モノマー(M3):鎖(αβ)を有しないモノマー。
モノマー(Z3):反応性官能基GA3を有し、鎖(αβ)を有しないモノマー。
化合物(C3) :反応性官能基GA3と反応し得る反応性官能基GB3および任意の基(ただし、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を除く。)を有する化合物。
(モノマー(M1))
モノマー(M1)は、重合反応によってモノマー単位(U1)となる化合物である。
モノマー(M1)における鎖(αβ)は、モノマー単位(U1)における鎖(αβ)と同じであり、説明を省略する。
モノマー(M1)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜25,000が好ましい。数平均分子量が該範囲内であれば、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。モノマー(M1)の数平均分子量は、2,100〜10,000がより好ましく、2,400〜6,000が特に好ましい。
モノマー(M1)としては、下式(M11)で表される化合物(以下、モノマー(M11)とも記す。)が好ましい。
−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11)
式(M11)中の記号は、式(U11)中の記号と同じであり、説明を省略する。
モノマー(M11)としては、製造が容易な点から、下式で表される化合物が好ましい。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−1)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−2)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−NH−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−3)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−OC(=O)NH−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−4)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−O−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−5)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−OC(=O)NH−Q−NHC(=O)O−(CH−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−6)
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)O−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−7)
ただし、Qは2価の有機基である。CXの2つのXは同じであってもよく、異なっていてもよい。
モノマー(M11)としては、上述した好ましいAと、上述した好ましい鎖(αβ)とを組み合わせたものが好ましく、工業的に製造しやすく、取扱いやすく、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる点から、下式で表される化合物が特に好ましい。
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−1a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−2a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−NH−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−3a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OC(=O)NH−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−4a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−5a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OC(=O)NH−Q−NHC(=O)O−(CH−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−6a)
−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)O−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(M11−7a)
ただし、AはCF−またはCFCF−である。
(モノマー(M11)の製造方法)
モノマー(M11−1)は、たとえば、塩基(トリエチルアミン等)の存在下、下式(5)で表される化合物(5)とCl−C(=O)C(R11)=CHとを反応させる方法によって、製造できる。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3CX−OH ・・・(5)
モノマー(M11−2)は、たとえば、塩基(トリエチルアミン等)の存在下、下式(4)で表される化合物(4)とCl−C(=O)C(R11)=CHとを反応させる方法によって、製造できる。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−OH ・・・(4)
モノマー(M11−3)は、たとえば、塩基(トリエチルアミン等)の存在下、下式(3)で表される化合物(3)とCl−C(=O)C(R11)=CHとを反応させる方法によって、製造できる。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)NH−Q−NH ・・・(3)
モノマー(M11−4)は、たとえば、ウレタン化触媒の存在下、化合物(5)とOCN−Q−O−C(=O)C(R11)=CHとを反応させる方法によって、製造できる。
モノマー(M11−5)は、たとえば、化合物(5)とEp−R−O−C(=O)C(R11)=CHとを反応させる方法によって、製造できる。Epはエポキシ基であり、Rはアルキレン基である。反応後、Ep−R−は、−CHCH(OH)−R−および−CH(CHOH)−R−、すなわちQとなる。
モノマー(M11−6)は、たとえば、ウレタン化触媒の存在下、化合物(5)およびHO−(CH−O−C(=O)C(R11)=CHとジイソシアネートとを反応させる方法によって、製造できる。
モノマー(M11−7)は、たとえば、酸(硫酸等)または塩基(トリエチルアミン等)の存在下、下式(6)で表される化合物(6)およびHO−Q−O−C(=O)C(R11)=CHを反応させる方法によって、製造できる。
A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−Rf3−C(=O)OR ・・・(6)
化合物(6)、化合物(5)、化合物(4)または化合物(3)は、A−O−[(Rf1O)x1(Rf2O)x2]−の構造に応じて公知の方法で製造できる。化合物(6)、化合物(5)、化合物(4)または化合物(3)の製造方法は、たとえば、下記の通りである。
(化合物(6)の製造方法)
化合物(6)の製造方法について、下式(6a)で表される化合物(6a)を例にとり、説明する。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFC(=O)OR ・・・(6a)
下式(12a)で表される化合物(12a)を、還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等)を用いて水素還元することによって、下式(11a)で表される化合物(11a)を得る。
CF=CFO−CFCFCFC(=O)OCH ・・・(12a)
CF=CFO−CFCFCFCHOH ・・・(11a)
化合物(11a)とアルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等。以下、A−OHと記す。)とを塩基あるいは4級アンモニウム塩(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等)の存在下で反応させて、下式(10a)で表される化合物(10a)を得る。
−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)n+1−H ・・・(10a)
化合物(11a)に対するA−OHの使用量を制御することによって、目的とする数平均分子量を有する化合物(10a)を合成できる。または、A−OHが化合物(11a)自身であってもよく、反応時間の制御や生成物の分離精製によって、目的とする数平均分子量を有する化合物(10a)を合成できる。
化合物(11a)の合成およびその重付加反応による化合物(10a)の合成は、米国特許第5134211号明細書に記載の公知の方法にしたがって実施できる。
化合物(10a)とClC(=O)Rとのエステル化反応によって、下式(9a)で表される化合物(9a)を得る。なお、Rは炭素数1〜11のアルキル基またはエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜11のアルキル基である。
−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)n+1−C(=O)R ・・・(9a)
さらに、フッ素ガスを用いて化合物(9a)の水素原子をフッ素原子に置換することによって、下式(7a)で表される化合物(7a)を得る。なお、Rf4は炭素数1〜11のペルフルオロアルキル基またはエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜11のペルフルオロアルキル基である。AはAに含まれる水素原子がフッ素原子に置換された基である。該フッ素化工程は、たとえば、国際公開第2000/56694号に記載の方法等にしたがって実施できる。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCFO−C(=O)Rf4 ・・・(7a)
化合物(7a)とアルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等。以下、ROHと記す。Rは、アルキル基である。)とを反応させることによって、化合物(6a)を得る。
(化合物(5)の製造方法)
化合物(5)の製造方法について、下式(5a)で表される化合物(5a)を例にとり、説明する。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OH ・・・(5a)
化合物(6a)を、還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等)を用いて水素還元することによって、化合物(5a)を得る。
(化合物(4)の製造方法)
化合物(4)の製造方法について、下式(4a)で表される化合物(4a)を例にとり、説明する。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−OH ・・・(4a)
化合物(6a)とHN−Q−OHとを反応させることによって、化合物(4a)を得る。
(化合物(3)の製造方法)
化合物(3)の製造方法について、下式(3a)で表される化合物(3a)を例にとり、説明する。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)NH−Q−NH ・・・(3a)
下式(8a)で表される化合物(8a)とHN−Q−NHとを反応させることによって、化合物(3a)を得る。
A−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCF−C(=O)Cl ・・・(8a)
(モノマー(Z1))
モノマー(Z1)は、重合反応によってモノマー単位(UZ1)となる化合物である。
反応性官能基GA1としては、ハロゲン原子、イソシアナート基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
モノマー(Z1)としては、下式で表されるモノマー(Z1−1)、モノマー(Z1−2)、モノマー(Z1−3)、モノマー(Z1−4)、モノマー(Z1−5)が好ましい。
Cl−C(=O)C(R11)=CH ・・・(Z1−1)
OCN−Q−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(Z1−2)
Ep−R−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(Z1−3)
HO−(CH−O−C(=O)C(R11)=CH ・・・(Z1−4)
HO−C(=O)C(R11)=CH ・・・(Z1−5)
ただし、R11は水素原子またはメチル基であり、Qは2価の有機基であり、Epはエポキシ基であり、Rはアルキレン基である。
(化合物(C1))
化合物(C1)は、モノマー単位(UZ1)に鎖(αβ)を導入するための化合物である。
反応性官能基GB1としては、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
化合物(C1)としては、下記の化合物が好ましい。
モノマー単位(UZ1)がモノマー(Z1−1)に由来する単位の場合:前記化合物(5)、前記化合物(4)、前記化合物(3)。
モノマー単位(UZ1)がモノマー(Z1−2)に由来する単位の場合:前記化合物(5)。
モノマー単位(UZ1)がモノマー(Z1−3)に由来する単位の場合:前記化合物(5)。
モノマー単位(UZ1)がモノマー(Z1−4)に由来する単位の場合:前記化合物(6)、前記化合物(5)(ただし、化合物(5)の場合は同時にジイソシアネートを反応させる)。
モノマー単位(UZ1)がモノマー(Z1−5)に由来する単位の場合:前記化合物(5)、前記化合物(4)、前記化合物(3)。
(モノマー(Z2))
モノマー(Z2)は、重合反応によってモノマー単位(UZ2)となる化合物である。
反応性官能基GA2としては、ハロゲン原子、水酸基、イソシアナート基、カルボキシ基、エポキシ基等が挙げられる。
モノマー(Z2)としては、下式で表されるモノマー(Z2−1)、モノマー(Z2−2)、モノマー(Z2−3)、モノマー(Z2−4)、モノマー(Z2−5)が好ましい。
Cl−C(=O)C(R21)=CH・・・(Z2−1)
OCN−Q22−O−C(=O)C(R21)=CH ・・・(Z2−2)
Ep−R−O−C(=O)C(R21)=CH ・・・(Z2−3)
HO−Q22−O−C(=O)C(R21)=CH ・・・(Z2−4)
HO−C(=O)C(R21)=CH ・・・(Z2−5)
ただし、R21は水素原子またはメチル基であり、Q22は2価の有機基(ただし、鎖(αβ)を有するものを除く)であり、Epはエポキシ基であり、Rはアルキレン基である。
モノマー(Z2)としては、下式で表されるモノマー(Z2−4a)、モノマー(Z2−2a)が特に好ましい。
HO−(CH−O−C(=O)C(CH)=CH ・・・(Z2−4a)
OCN−(CH−O−C(=O)C(CH)=CH ・・・(Z2−2a)
(化合物(C2))
化合物(C2)は、モノマー単位(UZ2)にエチレン性不飽和基を導入するための化合物である。
反応性官能基GB2としては、イソシアナート基、水酸基等が挙げられる。
化合物(C2)としては、下記の化合物が好ましい。
モノマー単位(UZ2)がモノマー(Z2−4)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C2−1)。
CH=CHC(=O)−O−R23−NCO ・・・(C2−1)
モノマー単位(UZ2)がモノマー(Z2−1)、モノマー(Z2−2)、モノマー(Z2−3)、モノマー(Z2−5)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C2−2)。
CH=CHC(=O)−O−R23−OH ・・・(C2−2)
化合物(C2)としては、下記の化合物が特に好ましい。
モノマー単位(UZ2)がモノマー(Z2−4a)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C2−1a)。
CH=CHC(=O)−O−(CH−NCO ・・・(C2−1a)
モノマー単位(UZ2)がモノマー(Z2−2a)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C2−2a)。
CH=CHC(=O)−O−(CH−OH ・・・(C2−2a)
(モノマー(M3))
モノマー(M3)は、重合反応によってモノマー単位(U3)となる化合物である。
モノマー(M3)としては、下式(M31)で表される化合物(以下、モノマー(M31)とも記す。)が好ましい。
−C(=O)C(R31)=CH ・・・(M31)
式(M31)中の記号は、式(U31)中の記号と同じであり、説明を省略する。
としては、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる点から、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、ハードコート層に優れた潤滑性を付与する点から、ジメチルシロキサン基もしくはポリジメチルシロキサン鎖を有する基が好ましい。
(モノマー(Z3))
モノマー(Z3)は、重合反応によってモノマー単位(UZ3)となる化合物である。
反応性官能基GA3としては、ハロゲン原子、イソシアナート基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
モノマー(Z3)としては、下式で表されるモノマー(Z3−1)、モノマー(Z3−2)、モノマー(Z3−3)、モノマー(Z3−4)、モノマー(Z3−5)が好ましい。
Cl−C(=O)C(R31)=CH・・・(Z3−1)
OCN−Q32−O−C(=O)C(R31)=CH ・・・(Z3−2)
Ep−R−O−C(=O)C(R31)=CH ・・・(Z3−3)
HO−Q32−O−C(=O)C(R31)=CH ・・・(Z3−4)
HO−C(=O)C(R31)=CH ・・・(Z3−5)
ただし、R31は水素原子またはメチル基であり、Q32は2価の有機基(ただし、鎖(αβ)を有するものを除く)であり、Epはエポキシ基であり、Rはアルキレン基である。
(化合物(C3))
化合物(C3)は、モノマー単位(UZ3)に任意の基(ただし、鎖(αβ)およびエチレン性不飽和基を除く。)を導入するための化合物である。
反応性官能基GB3としては、イソシアネート基、水酸基等が挙げられる。
化合物(C3)としては、下記の化合物が好ましい。
モノマー単位(UZ3)がモノマー(Z3−4)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C3−1)。
32−NCO ・・・(C3−1)
ただし、R32:炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、オキシアルキレン基もしくはポリ(オキシアルキレン)鎖を有する基、ジメチルシロキサン基もしくはポリジメチルシロキサン鎖を有する基である。
モノマー単位(UZ3)がモノマー(Z3−1)、モノマー(Z3−2)、モノマー(Z3−3)、モノマー(Z3−5)に由来する単位の場合:下式で表される化合物(C3−2)。
32−OH ・・・(C3−2)
式(C3−2)中の記号は、式(C3−1)中の記号と同じであり、説明を省略する。
(工程(i))
重合法としては、公知の重合法が挙げられ、重合開始剤および必要に応じて連鎖移動剤の存在下に、溶媒中にてモノマー(M1)またはモノマー(Z1)と、モノマー(Z2)と、必要に応じてモノマー(M3)またはモノマー(Z3)とを重合させる、いわゆる溶液重合法が好ましい。重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒および各モノマーは、最初に一括で仕込んでもよく、重合中に連続的または断続的に仕込んでもよい。
<モノマーの仕込み量>
モノマー(M1)またはモノマー(Z1)の仕込み量は、すべてのモノマーの仕込み量の合計うち、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%が特に好ましい。モノマー(M1)またはモノマー(Z1)の仕込み量が上記範囲内であれば、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できるとともに、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
モノマー(Z2)の仕込み量は、すべてのモノマーの仕込み量の合計うち、5〜99.9モル%が好ましく、5〜90モル%が特に好ましい。モノマー(Z2)の仕込み量が上記範囲内であれば、本ポリマーがハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。
モノマー(M3)またはモノマー(Z3)の仕込み量は、すべてのモノマーの仕込み量の合計うち、0〜94.9モル%が好ましく、0〜80モル%が特に好ましい。モノマー(M3)またはモノマー(Z3)の仕込み量が上記範囲内であれば、本発明の効果を損なうことがない。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、公知の有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物、無機過酸化物は、還元剤と組み合わせて、レドックス系触媒として用いてもよい。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチル−α−クミルペルオキシド等が挙げられる。
無機過酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過炭酸塩等が挙げられる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、ハロゲン化アルキル類等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプタン類としては、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2−メルカプトエタノール等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル類としては、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げられる。
<溶媒>
溶媒は、フッ素系有機溶媒であってもよく、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を併用してもよい。
フッ素系有機溶媒としては、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
フルオロアルカンとしては、炭素数4〜8の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばC13H(AC−2000:製品名、旭硝子社製)、C13(AC−6000:製品名、旭硝子社製)、CCHFCHFCF(バートレル:製品名、デュポン社製)等が挙げられる。
クロロフルオロアルカンとしては、炭素数3〜8の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばCHCl(アサヒクリンAK−225:製品名、旭硝子社製)等が挙げられる。
フルオロ芳香族化合物としては、たとえばヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4〜12の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばCFCHOCFCFH(AE−3000:製品名、旭硝子社製)、COCH(ノベック−7100:製品名、3M社製)、COC(ノベック−7200:製品名、3M社製)、C13OCH(ノベック−7300:製品名、3M社製)等が挙げられる。
フルオロアルキルアミンとしては、たとえばペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
フルオロアルコールとしては、たとえば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
フッ素系有機溶媒としては、各モノマーおよび前駆体ポリマーが溶解しやすい点で、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルコール、フルオロアルキルエーテルが好ましく、クロロフルオロアルカン、フルオロアルコールおよびフルオロアルキルエーテルが特に好ましい。
非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、グリコールエーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒が挙げられる。
炭化水素系有機溶媒としては、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン等が好ましい。
アルコール系有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が好ましい。
ケトン系有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が好ましい。
エーテル系有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が好ましい。
グリコールエーテル系有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。
エステル系有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が好ましい。
非フッ素系有機溶媒としては、各モノマーおよび前駆体ポリマーが溶解しやすい点で、グリコールエーテル系有機溶媒およびケトン系有機溶媒が特に好ましい。
(工程(ii))
必要に応じて各種触媒の存在下、溶媒中にて、前駆体ポリマーの反応性官能基GA2と化合物(C2)の反応性官能基GB2とを反応させる。
溶媒としては、工程(i)で用いた溶媒と同様のものが挙げられる。
触媒としては、反応性官能基GA2と反応性官能基GB2との組み合わせに応じて公知のものを用いればよい。
化合物(C2)の仕込み量は、反応性官能基GA2に対して、1〜2倍モルが好ましく、1〜1.2倍モルが特に好ましい。
(工程(iii))
必要に応じて各種触媒の存在下、溶媒中にて、前駆体ポリマーの反応性官能基GA1と化合物(C1)の反応性官能基GB1とを反応させる。
溶媒としては、工程(i)で用いた溶媒と同様のものが挙げられる。
触媒としては、反応性官能基GA1と反応性官能基GB1との組み合わせに応じて公知のものを用いればよい。
化合物(C1)の仕込み量は、反応性官能基GA1に対して、1〜2倍モルが好ましく、1〜1.2倍モルが特に好ましい。
(工程(iv))
必要に応じて各種触媒の存在下、溶媒中にて、前駆体ポリマーの反応性官能基GA3と化合物(C3)の反応性官能基GB3とを反応させる。
溶媒としては、工程(i)で用いた溶媒と同様のものが挙げられる。
触媒としては、反応性官能基GA3と反応性官能基GB3との組み合わせに応じて公知のものを用いればよい。
化合物(C3)の仕込み量は、反応性官能基GA3に対して、1〜2倍モルが好ましく、1〜1.2倍モルが特に好ましい。
(好ましい態様)
本ポリマーは、少なくともモノマー(M1)とモノマー(Z2)とを重合して得られた前駆体ポリマーの反応性官能基GA2に、化合物(C2)の反応性官能基GB2を反応させて得られた含フッ素ポリマーであることが特に好ましい。
[ハードコート層形成用組成物]
本発明のハードコート層形成用組成物(以下、本組成物とも記す。)は、本ポリマーと、光重合性化合物(ただし、本ポリマーを除く。)と、光重合開始剤とを含む。本発明のハードコート層形成用組成物は、必要に応じて媒体、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
(光重合性化合物)
光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射することで重合反応を開始するモノマーである。
光重合性化合物としては、多官能性モノマー(a1)(以下、モノマー(a1)とも記す。)、単官能性モノマー(a2)(以下、モノマー(a2)とも記す。)が挙げられる。ただし、本ポリマーは除く。
光重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。光重合性化合物としては、ハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、モノマー(a1)を必須成分として含むものが好ましい。
モノマー(a1)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2つ以上有する化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基は1分子中に3つ以上有することが好ましく、3〜30個有することが特に好ましい。
モノマー(a1)としては、ハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有し、(メタ)アクリロイル基1つあたりの分子量が120以下であるモノマー(a11)が好ましい。
モノマー(a11)としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールと、アクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物が挙げられる。具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a1)としては、ウレタン結合が水素結合の作用で擬似架橋点として働き、(メタ)アクリロイル基1つあたりの分子量が小さくなくてもハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、ウレタン結合を分子内に有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有するモノマー(a12)も好ましい。
モノマー(a12)としては、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、下記の化合物等が挙げられる。
・ペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物。
・水酸基を有するペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物。
モノマー(a2)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1つ有する化合物が挙げられる。具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
アルキル基の炭素数1〜13のアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−スルホン酸ナトリウムエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート等。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤が使用できる。たとえば、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシルオキシムエステル類等)、含硫黄系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類等)、アシルホスフィンオキシド類(たとえば、アシルジアリールホスフィンオキシド等)、その他の光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、アミン類等の光増感剤と併用してもよい。
光重合開始剤の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、(1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム)、α−アシルオキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等。
(媒体)
本組成物は、必要に応じて媒体をさらに含んでいてもよい。媒体を含むことによって、本組成物の形態、粘度、表面張力等を調整でき、塗布方法に適した液物性に制御できる。
媒体としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、本組成物の塗布方法に適した沸点を有する有機溶媒が好ましい。
有機溶媒は、フッ素系有機溶媒であってもよく、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を含んでもよい。
フッ素系有機溶媒としては、上述したフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
フッ素系有機溶媒としては、本ポリマーが溶解しやすい点で、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルコール、フルオロアルキルエーテルが好ましく、フルオロアルコールおよびフルオロアルキルエーテルが特に好ましい。
非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、上述した炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、グリコールエーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒が挙げられる。
非フッ素系有機溶媒としては、本ポリマーが溶解しやすい点で、グリコールエーテル系有機溶媒およびケトン系有機溶媒が特に好ましい。
媒体としては、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルコール、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、ならびに、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒が好ましい。特に、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物およびフルオロアルキルエーテルおよびフルオロアルコールから選ばれるフッ素系有機溶媒が好ましい。
媒体としては、フッ素系有機溶媒であるフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルコール、非フッ素系有機溶媒である水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を、合計で媒体全体の90質量%以上含むことが、本ポリマーの溶解性を高める点で好ましい。
(他の添加剤)
本組成物は、必要に応じて他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
他の添加剤としては、コロイダルシリカ、紫外線吸収剤、光安定剤、熱硬化安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、染料、分散剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤、レベリング剤等)、金属酸化物粒子、各種樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等)等が挙げられる。
また、本ポリマーを使用する際、本ポリマーの製造上不可避の化合物(以下、不純物とも記す。)を同伴してもよい。具体的には、本ポリマーの製造工程で生成した副生成物および本ポリマーの製造工程で混入した成分である。不純物の含有量は、本ポリマー(100質量%)に対して5質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましい。不純物の含有量が前記範囲であれば、ハードコート層に著しく優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与できる。
本ポリマー中の副生成物の同定および定量は、H−NMR(300.4MHz)および19F−NMR(282.7MHz)によって行う。
(組成)
本ポリマーの含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。本ポリマーの含有量が上記範囲内であれば、本組成物の貯蔵安定性、ハードコート層の外観、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れる。
光重合性化合物の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち20〜98.99質量%が好ましく、50〜98.99質量%がより好ましく、60〜98.99質量%がさらに好ましく、80〜98.99が特に好ましい。光重合性化合物の含有量が上記範囲内であれば、本組成物の貯蔵安定性、ハードコート層の外観、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)が良好となる。
光重合開始剤の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち1〜15質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であれば、光重合性化合物との相溶性が良好である。また、本組成物の硬化性が良好であり、形成する硬化膜は硬度に優れる。
媒体を含ませる場合、媒体の含有量は、本組成物(100質量%)のうち50〜95質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%が特に好ましい。
他の添加剤を含ませる場合、他の添加剤の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
本組成物の固形分濃度は、塗布方法に適した液物性となるように調整すればよい。本組成物の固形分濃度は、たとえば、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%が特に好ましい。
[物品]
本発明の物品は、基材と、本組成物から形成したハードコート層とを有する。基材とハードコート層との密着性を向上させる点から、基材とハードコート層との間にプライマ層をさらに有していてもよい。
ハードコート層の厚さは、耐摩耗性および防汚性の点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
(基材)
基材は、耐摩耗性および防汚性が必要とされる種々の物品(光学レンズ、ディスプレイ、光記録媒体等)の本体部分、または該物品の表面を構成する部材である。
基材の表面の材料としては、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、これらの複合材料等が挙げられる。光学レンズ、ディスプレイ、光記録媒体における基材の表面の材料としては、ガラスまたは透明樹脂基材が好ましい。
ガラスとしては、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学強化したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。透明樹脂基材の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
本組成物を用いることで、耐摩耗性および防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れるハードコート層が得られる。該ハードコート層を有する物品は、タッチパネルを構成する部材として好適である。タッチパネルとは、指等による接触によってその接触位置情報を入力する装置と表示装置とを組み合わせた入力/表示装置(タッチパネル装置)の、入力装置である。タッチパネルは、基材と、入力検出方式に応じて、透明導電膜、電極、配線、IC等とから構成されている。物品のハードコート層を有する面をタッチパネルの入力面とすることによって、優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を有するタッチパネルが得られる。タッチパネル用基材の材質は、透光性を有する。具体的には、JIS R 3106に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上である。
(プライマ層)
プライマ層としては、公知のものが挙げられる。プライマ層は、たとえばプライマ層形成用組成物を基材の表面に塗布し、乾燥させることによって形成される。
(物品の製造方法)
物品は、たとえば、下記の工程(I)および工程(II)を経て製造される。
(I)必要に応じて、プライマ層形成用組成物を基材の表面に塗布し、乾燥させてプライマ層を形成する工程。
(II)本組成物を基材またはプライマ層の表面に塗布して塗膜を得て、必要に応じて媒体を除去し、光硬化させてハードコート層を形成する工程。
工程(I):
塗布方法としては、公知の手法を適宜用いることができる。該塗布方法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法等が挙げられる。
乾燥温度は、50〜140℃が好ましい。
乾燥時間は、5分間〜3時間が好ましい。
工程(II):
塗布方法としては、工程(I)で例示した公知の塗布方法が挙げられる。
本組成物が媒体を含む場合、光硬化させる前に、塗膜から媒体を除去して乾燥膜としてもよい。媒体の除去方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。該除去方法としては、加熱、減圧、減圧下で加熱する方法が挙げられる。なお、得られた乾燥膜は、媒体を10質量%未満含むことが好ましく、1質量%未満含むことが特に好ましい。
加熱する場合の温度は、50〜120℃が好ましい。
溶媒の除去時間は、0.5分間〜3時間が好ましい。
光硬化は、本組成物が媒体を含まない場合には塗膜に対して、本組成物が媒体を含む場合には乾燥膜に対して行うことが好ましい。
光硬化は、活性エネルギー線を照射することによって行われる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波線等が挙げられ、波長180〜500nmの紫外線が経済的に好ましい。
活性エネルギー線源としては、紫外線照射装置(キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等)、電子線照射装置、X線照射装置、高周波発生装置等が使用できる。
活性エネルギー線の照射時間は、本ポリマーの種類、光重合性化合物の種類、光重合開始剤の種類、塗膜の厚さ、活性エネルギー線源等の条件により適宜変え得る。通常は、0.1〜60秒間照射することにより目的が達成される。
硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線の照射後に加熱してもよい。加熱温度は、50〜120℃が好ましい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。なお、例1は製造例、例2は実施例、例3は比較例である。
[測定・評価]
(数平均分子量(Mn))
分子量測定用の標準試料として市販されている重合度の異なる数種の単分散ポリメチルメタクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を、市販のGPC測定装置(東ソー社製、装置名:HLC−8220GPC)にて、溶離液にアサヒクリンAK−225(製品名、旭硝子社製、CHCl):ヘキサフルオロイソプロパノール=99:1(体積比)の混合溶媒を用いて測定し、ポリメチルメタクリレートの分子量と保持時間(リテンションタイム)との関係をもとに検量線を作成した。
含フッ素ポリマーを前記混合溶媒で1.0質量%に希釈し、0.5μmのフィルタに通過させた後、含フッ素ポリマーについてのGPCを、前記GPC測定装置を用いて測定した。
前記検量線を用いて、含フッ素ポリマーのGPCスペクトルをコンピュータ解析することによって含フッ素ポリマーの数平均分子量(Mn)を求めた。
(フッ素原子の割合)
含フッ素ポリマーの約2mgを白金ボートに秤取り、燃焼管にセットした。燃焼管内の温度を20分かけて600℃まで上げ、600℃で40分間、1,140℃で5分間加熱することによって、白金ボート上の含フッ素ポリマーを燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを水の中に捕集した。得られた捕集液中のフッ化物イオン濃度を、イオンメータ(市販のフッ化物イオン標準液で校正済み)を用いて定量し、含フッ素ポリマー(100質量%)中のフッ素原子の割合(質量%)を算出した。フッ素原子の割合は、2測定値の平均値(n=2)で示す。
(水接触角)
JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、ハードコート層の5ヶ所に水滴を載せ、各水滴について静滴法によって水接触角を測定した。液滴は約2μL/滴であり、測定は20℃で行った。水接触角は、5測定値の平均値(n=5)で示す。なお、防汚性の点から、水接触角は95度以上が好ましい。
(ノルマルヘキサデカン接触角)
JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、ハードコート層の3ヶ所にノルマルヘキサデカン滴を載せ、各ノルマルヘキサデカン滴について静滴法によってノルマルヘキサデカン接触角を測定した。液滴は約2μL/滴であり、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)で示す。なお、防汚性の点から、ノルマルヘキサデカン接触角は60度以上が好ましい。
(ハードコート層外観)
下記の基準にしたがい、目視によってハードコート層の外観を評価した。
○(良好):異物が確認できず、膜厚が均一である。
△(可) :異物は確認できないが、膜厚にムラがある。
×(不良):異物が確認され、膜厚にムラがある。
(油性インクはじき性)
ハードコート層の表面にフェルトペン(ゼブラ社製、製品名:マッキー極細黒色)で線を描き、油性インクの付着状態を目視で観察することによって評価した。評価基準は下記の通りである。
◎(優良):油性インクを玉状にはじく。
○(良好):油性インクを玉状にはじかず、線状にはじき、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%未満である。
△(可) :油性インクを玉状にはじかず、線状にはじき、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%以上100%未満である。
×(不良):油性インクを玉状にも線状にもはじかず、表面にきれいに線が描ける。
(指紋汚れ除去性)
人工指紋液(オレイン酸とスクアレンとからなる液)を、シリコンゴム栓の平坦面に付着させた後、余分な油分を不織布(旭化成社製、製品名:ベンコットM−3)にて拭き取り、指紋のスタンプを準備した。該指紋スタンプを、ハードコート層を有する物品上に乗せ、1kgの荷重にて10秒間押しつけた。指紋が付着した箇所のヘーズをヘーズメータ(東洋精機社製)にて測定した。次に、指紋が付着した箇所について、ティッシュペーパを取り付けた、往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、荷重500gにて拭き取りを行った。拭き取り一往復毎にヘーズの値を測定し、10往復拭き取るまでの間に、ヘーズが目視で確認できない場合を○(良好)、ヘーズが目視で確認できる場合を×(不良)とした。
(耐摩耗性)
ハードコート層を有する物品について、JIS L 0849に準拠して往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、セルロース製不織布(クラレ社製、製品名:クラフレックス)を荷重500gで5,000回往復させた後、水接触角およびノルマルヘキサデカン接触角を測定した。
摩擦回数を増大させたときの水接触角およびノルマルヘキサデカン接触角の低下が小さいほど摩擦による性能の低下が小さく、耐摩耗性に優れる。
(鉛筆硬度)
JIS K 5600に準じて測定した。
[化合物]
(光重合性化合物)
(a−1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(モノマー(a11)に該当)。
(a−2):トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(モノマー(a12)に該当)。
(光重合開始剤)
(b−1):2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
(有機溶媒)
(c−1):2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール。
(c−2):プロピレングリコールモノメチルエーテル。
(c−3):酢酸ブチル。
[例1:モノマー(M11−1a−1)の製造]
(例1−1)
300mLの3つ口丸底フラスコに、水素化ホウ素ナトリウム粉末の14.1gを取り入れ、アサヒクリンAK−225の350gを加えた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、内温が10℃を超えないように化合物(12a)の100g、メタノールの15.8g、アサヒクリンAK−225の22gを混合した溶液を滴下漏斗からゆっくり滴下した。全量滴下した後、さらにメタノールの10gとアサヒクリンAK−225の10gを混合した溶液を滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、再び氷浴で冷却し、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。反応終了後、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、固形分をフィルタによりろ過し、エバポレータで濃縮した。回収した濃縮液を減圧蒸留し、化合物(11a)の80.6g(収率88%)を得た。
CF=CFO−CFCFCFC(=O)OCH ・・・(12a)
CF=CFO−CFCFCFCHOH ・・・(11a)
化合物(11a)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.2(1H)、4.1(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−85.6(2F)、−114.0(1F)、−122.2(1F)、−123.3(2F)、−127.4(2F)、−135.2(1F)。
(例1−2)
還流冷却器を接続した50mLのナスフラスコに、例1−1で得た化合物(11a)の5.01g、メタノールの5.06gを取り入れ、水酸化カリウムのペレットの0.54gを加えた。窒素雰囲気下、25℃で終夜撹拌した後、塩酸水溶液を加えて、過剰の水酸化カリウムを処理し、水とアサヒクリンAK−225とを加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することで、メタノール付加体の5.14gを得た。再び、還流冷却器を接続した50mLナスフラスコに、メタノール付加体の1.0g、水酸化カリウムのペレットの0.13gを加え、100℃に加熱しながら、化合物(11a)の10.86gを滴下した。100℃を保ったまま、さらに9時間撹拌した後、塩酸水溶液を加えて、過剰の水酸化カリウムを処理し、水とアサヒクリンAK−225とを加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーの11gを得た。再び、アサヒクリンAK−225で2倍に希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:アサヒクリンAK−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(n+1)の平均値を19F−NMRの積分値から求めた。下式(10a−1)中、(n+1)の平均値が7〜10のフラクションを合わせた化合物(10a−1i)の4.76gを得た。
CH−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)n+1−H ・・・(10a−1)
化合物(10a−1i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.7(3H)、4.0(2H)、4.4(18.4H)、6.0〜6.2(9.2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−84.7〜−87.0(18.4F)、−89.4〜−91.6(18.4F)、−121.5(16.4F)、−123.4(2F)、−128.0(18.4F)、−145.3(9.2F)。
単位数(n+1)の平均値:9.2。
(例1−3)
還流冷却器を接続した200mLのナスフラスコに、例1−2で得た化合物(10a−1i)の100gを加え、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら塩化アセチルの28.6gを20分かけて滴下した。50℃で4.5時間撹拌した後、H−NMRで原料の消失を確認した。反応溶液をエバポレータで濃縮した。濃縮後の溶液をアサヒクリンAK−225で希釈し、シリカゲルの20gで処理した後、ろ過で固形物を除去した。エバポレータで再度濃縮することで、下式(9a−1)中、単位数(n+1)の平均値が9.2である、化合物(9a−1i)の98.1g(収率97%)を得た。
CH−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)n+1−C(=O)CH ・・・(9a−1)
化合物(9a−1i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113(CClFCClF)、基準:TMS) δ(ppm):2.0(3H)、3.6(3H)、4.4〜4.9(18.4H)、6.0〜6.2(9.2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl) δ(ppm):−85.5〜−86.7(18.4F)、−91.5〜−93.9(18.4F)、−121.7〜−122.8(18.4F)、−128.4〜−129.6(18.4F)、−145.9(9.2F)。
単位数(n+1)の平均値:9.2。
(例1−4)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、25℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および0℃に保持した冷却器を直列に設置した。また、0℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す、液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−419(CFClCFClCFOCFCFCl)の750gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20体積%に希釈したフッ素ガス(以下、20%フッ素ガスとも記す。)を、25℃、流速5.3L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例1−3で得た化合物(9a−1i)の70gをR−419の136gに溶解した溶液を、7.4時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−419中に0.0056g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の4mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。20分撹拌した後、再びベンゼン溶液の4mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに4回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.1gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下式(7a−1)中、単位数(n)の平均値が8.2である、化合物(7a−1i)の82.3g(収率97%)を得た。
CF−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCFO−C(=O)CF ・・・(7a−1)
化合物(7a−1i)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl) δ(ppm):−57.3(3F)、−77.5(3F)、−85.0(34.8F)、−88.5(2F)、−90.5(34.8F)、−92.5(2F)、−127.5(36.8)。
単位数(n)の平均値:8.2。
(例1−5)
500mLのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)共重合体(PFA)製丸底ナスフラスコに、例1−4で得た化合物(7a−1i)の82.3gおよびアサヒクリンAK−225の250mLを入れた。窒素雰囲気下、メタノールの3.9gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、下式(6a−1)中、単位数(n)の平均値が8.2である、化合物(6a−1i)の77.7g(収率100%)を得た。
CF−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFC(=O)OCH ・・・(6a−1)
化合物(6a−1i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):3.8(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl) δ(ppm):−57.3(3F)、−84.9(34.8F)、−90.5(34.8F)、−92.5(2F)、−120.2(2F)、−127.3(32.8F)、128.2(2F)。
単位数(n)の平均値:8.2。
(例1−6)
500mLのガラス製丸底ナスフラスコに、塩化リチウムの0.52g、例1−5で得た化合物(6a−1i)の77.7g、および脱水エタノールの51.6mgを入れた。得られた混合溶液を10℃で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウムの2.11gを脱水エタノールの63.3gに溶解した溶液を30分間かけて滴下した。18時間撹拌した後、10%塩酸を溶液が酸性になるまで添加した。アサヒクリンAK−225の100mLで希釈した後、水の100mLで2回洗浄した。有機相を回収し、エバポレータで濃縮し、真空乾燥を行うことで、下式(5a−1)中、単位数(n)の平均値が8.2である、化合物(5a−1i)の74.9g(収率97.3%)を得た。
CF−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−OH ・・・(5a−1)
化合物(5a−1i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):4.0(2H)、2.8(1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl) δ(ppm):−57.1(3F)、−84.9(34.8F)、−90.0(34.8F)、−92.1(2F)、−124.4(2F)、−127.2(32.8F)、−128.6(2F)。
単位数(n)の平均値:8.2。
(例1−7)
200mLのガラス製丸底ナスフラスコに、例1−6で得た化合物(5a−1i)の37g、アサヒクリンAK−225の100mL、トリエチルアミンの1.68g、およびQ−1301(製品名、和光純薬工業社製)の約1mgを加えた。得られた溶液を室温で撹拌しながら、メタクリル酸クロリドの1.49gを滴下した。室温で4時間撹拌した後、H−NMRで反応の進行を追跡したところ、化合物(5a−1i)の残存が確認されたため、トリエチルアミンの0.5g、メタクリル酸クロリドの0.5gをそれぞれ添加した。さらに室温で16時間撹拌した後、H−NMRで反応の進行を追跡したところ、化合物(5a−1i)がすべて消費されていた。水の50mLを溶液に加え、有機相を分離した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の50mLを用いて2回、飽和食塩水の50mLを用いて1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、固形分をフィルタによりろ過し、エバポレータで濃縮することで、モノマー(M11−1a−1)の36.4g(収率94.9%)を得た。数平均分子量(Mn)は2,837であった。
CF−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O−C(=O)C(CH)=CH ・・・(M11−1a−1)
モノマー(M11−1a−1)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):6.2(1H)、5.6(1H)、4.5(2H)、2.0(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl) δ(ppm):−57.3(3F)、−84.9(34.8F)、−90.0(34.8F)、−92.2(2F)、−121.4(2F)、−127.4(32.8F)、−128.5(2F)。
単位数(n)の平均値:8.2。
[例2:本ポリマー(1)の製造、ハードコート層形成用組成物の製造およびハードコート層の評価]
(例2−1:本ポリマー(1)の製造)
100mLのガラス製丸底ナスフラスコに、例1−7で得たモノマー(M11−1a−1)の1.00g、モノマー(Z2−1a)である2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成社製)の0.18g、モノマー(M3)であるn−ブチルメタクリレート(東京化成社製)の0.46g、n−ドデカンチオール(東京化成社製)の0.15g、V−65(製品名、和光純薬工業社製)の10mg、およびアサヒクリンAK−225の5mLを加えた。得られた溶液をオイルバス中で50℃に加熱しながら24時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をヘキサンの100mLに滴下し、沈殿を生じさせた後、上澄みを除去し、真空乾燥を行い、2.57gの黄白色の前駆体ポリマー(1)を得た。
100mLのガラス製丸底ナスフラスコに、前駆体ポリマー(1)の2.57g、化合物(C2−1a)であるカレンズAOI(製品名、昭和電工社製)の0.39g、ジブチルスズジラウレート(和光純薬社製、一級試薬)の1.6mg、ジブチルヒドロキシトルエン(和光純薬社製)の19.5mg、およびアサヒクリンAK−225の5mLを加えた。得られた溶液をオイルバスで40℃に加熱しながら24時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をヘキサンの100mLに滴下し、沈殿を生じさせた後、上澄みを除去し、真空乾燥を行うことで、下式(1)で表される本ポリマー(1)の1.57gを得た。本ポリマー(1)の数平均分子量(Mn)は、6,678であった。本ポリマー(1)中のフッ素原子の割合は、39.5%であった。さらに、重合禁止剤であるフェノチアジン(和光純薬社製)の0.2mgを加えて、本ポリマー(1)の混合物を得た。
Figure 2014196455
11:CF−O−[(CFCFO−CFCFCFCFO)−CFCFO]−CFCFCFCH−O−
21:CH=CHC(=O)−O−(CH−NHC(=O)O−(CH−O−
31:CHCHCHCH−O−
32:HO−(CH−O−
各モノマーの仕込み量から算出したsは6モル%であり、t+vは28モル%であり、uは66モル%である。
(例2−2:ハードコート層形成用組成物の製造およびハードコート層の評価)
30mLのバイアル管に、例2−1で得た本ポリマー(1)の混合物の2mg、光重合性化合物(a−1)の94mg、光重合性化合物(a−2)の94mg、光重合開始剤(b−1)の12mg、有機溶媒(c−1)の150mg、有機溶媒(c−2)の120mgおよび有機溶媒(c−3)の180mgを入れ、常温および遮光にした状態で、1時間撹拌して、ハードコート層形成用組成物(1)を得た。
次いで、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)基材の表面にハードコート層形成用組成物(1)をバーコートにより塗布し、塗膜を形成し、50℃のホットプレートで1分間乾燥させ、基材の表面に乾燥膜を形成した。次いで、高圧水銀ランプを用いて紫外線(光量:300mJ/cm、波長365nmの紫外線積算エネルギー量)を照射し、基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。ハードコート層形成用組成物(1)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。
[例3:ポリマー(16)の製造]
(例3−1)
(CFO)と(CFCFO)との組み合わせからなるポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の両末端にアクリロイルオキシ基を有する含フッ素化合物と、ヒドロキシエチルメタクリレートとを共重合させた後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて得られる含フッ素ポリマー(ポリマー(16))を、特許文献2の実施例1に記載の方法にしたがって合成した(数平均分子量(Mn):2,400)。
(例3−2)
本ポリマー(1)の混合物の2mgの代わりに例3−1で得たポリマー(16)の2mgを用いた以外は、例2−2と同様にしてハードコート層形成用組成物(2)を得た。
次いで、例2−2と同様にしてPET基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。ハードコート層形成用組成物(2)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。
Figure 2014196455
本ポリマーを用いて形成した例2のハードコート層は、防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)、外観、耐摩耗性が良好であった。
従来の含フッ素エーテル化合物を用いて形成した例3のハードコート層は、ノルマルヘキサデカン接触角、油性インクはじき性が不充分であった。ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖が(CFCFCFCFO)を有さないためであると推察される。
本発明の含フッ素ポリマーは、対象物(ハードコート層等)への優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)の付与に好適に用いることができる。また、樹脂材料に混合して成形品に防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)を付与する用途、金型等の離型剤、ベアリング等の油漏れ防止、電子部品等を加工する際のプロセス溶液の付着防止、加工品の防湿等に用いることができる。

Claims (13)

  1. 下記モノマー単位(U1)と下記モノマー単位(U2)とを有することを特徴とする含フッ素ポリマー。
    モノマー単位(U1):炭素数4のオキシペルフルオロアルキレン単位(α)および該単位(α)以外のオキシペルフルオロアルキレン単位(β)を有するポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)の1つ以上を、前記含フッ素ポリマーにおいて側鎖を構成する部分に有するモノマー単位。
    モノマー単位(U2):エチレン性不飽和基の1つ以上を、前記含フッ素ポリマーにおいて側鎖または側基を構成する部分に有するモノマー単位。
  2. 前記含フッ素ポリマー(100質量%)中のフッ素原子の割合が、0.1〜60質量%である、請求項1に記載の含フッ素ポリマー。
  3. 前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)において、前記単位(α)と前記単位(β)とが交互に配置されている、請求項1または2に記載の含フッ素ポリマー。
  4. 前記モノマー単位(U1)における前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)の末端に、酸素原子を介して炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が結合している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー。
  5. 前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖(αβ)において、前記単位(α)と前記単位(β)とが交互に配置され、かつ前記ペルフルオロアルキル基に近い側が、前記単位(β)である、請求項4に記載の含フッ素ポリマー。
  6. 前記単位(α)が、(CFCFCFCFO)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー。
  7. 前記モノマー単位(U2)における前記エチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー。
  8. 数平均分子量が、2,000〜50,000である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマーと、
    光重合性化合物(ただし、前記含フッ素ポリマーを除く。)と、
    光重合開始剤と
    を含むことを特徴とするハードコート層形成用組成物。
  10. 前記含フッ素ポリマーの含有量が、固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%である、請求項9に記載のハードコート層形成用組成物。
  11. 媒体をさらに含む、請求項9または10に記載のハードコート層形成用組成物。
  12. 基材と、
    請求項9〜11のいずれか一項に記載のハードコート層形成用組成物から形成したハードコート層と
    を有することを特徴とする物品。
  13. 前記基材の材料が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、またはこれらの複合材料である、請求項12に記載の物品。
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