JP2014194370A - 臨界安全管理装置および汚染水処理システム - Google Patents

臨界安全管理装置および汚染水処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】好適に未臨界度を監視して臨界安全管理を行う臨界安全管理装置および汚染水処理システムを提供する。
【解決手段】熱中性子検出器41と、ガンマ線検出器42と、Cs−134のガンマ線強度とCs−137のガンマ線強度の比R1 を演算するガンマ線強度比演算部461と、核燃料物質の燃焼度E1 を演算する燃焼度演算部462と、相対係数τ1 を演算する相対係数演算部463と、基準比例係数計算値を演算する基準比例係数計算値演算部464と、基準比例係数τ0 を決定する基準比例係数決定部465と、実効増倍係数k1 を演算する実効増倍係数演算部466と、中性子源強度Sx を演算する中性子源強度演算部467と、を備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、臨界状態の発生を防止する臨界安全管理装置および該臨界安全管理装置を備える汚染水処理システムに関し、特に、汚染水の処理を行う際に未臨界度を監視して臨界安全管理を行う臨界安全管理装置および汚染水処理システムに関する。
臨界安全管理とは、「技術的にみて想定されるいかなる場合でも,形状寸法管理,濃度管理,質量管理,同位体組成管理,中性子吸収材管理等並びにこれらの組合わせにより臨界を防止する対策を講ずること」を意味する(日本原子力研究所核燃料施設安全性研究委員会臨界安全性専門部会臨界安全性実験データ検討ワーキンググループ、「臨界安全ハンドブック第2版」、JAERI−1340、p.11)。
臨界安全管理の方法としては、未臨界度(臨界までの余裕度)を監視する方法がある。未臨界度の監視方法としては、中性子源増倍法、中性子源引抜法、パルス中性子法、指数実験法、炉雑音法、逆動特性方程式法が知られている。これらの方法は、監視対象の周辺に熱中性子検出器を設置し、熱中性子検出器の出力を処理することで未臨界度を求めるようになっている。
また、特許文献1(特開昭62−293194号公報)には、核分裂性核種と自発中性子を放出する核種とが混在する中性子増倍系の周囲に中性子検出器とガンマ線検出器とを配置し、前記中性子検出器で測定される中性子計数率と前記ガンマ線検出器で測定されるガンマ線計数率との比から前記中性子増倍系の中性子の増倍状態を算出することを特徴とする未臨界度の監視方法が開示されている(特許請求の範囲参照)。ちなみに、特許文献1に開示された未臨界度の監視方法は、核燃料物質の燃焼度の変化幅があまり大きくない場合(例えば、25〜30MWD/Tの範囲)について、未臨界度を監視するものである(特許文献1第608頁右下第18−20行目参照)。
特開昭62−293194号公報
例えば、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震を端緒として発生した福島第一原子力発電所事故のように、核燃料物質が破損し、溶融するような事故が生じた場合、事故後の収束処置として、破損した核燃料物質の回収を行う必要がある。このような事故後の回収に当たっては、核燃料物質が水中に散らばった状況が発生することが想定される。
このような状況において、水中吸引により水と共に核燃料物質を吸い上げ、フィルタ(核燃料物質トラップ部)に核燃料物質をトラップさせることにより、核燃料物質を回収する方法が有効である。しかし、不用意に核燃料物質の回収を実施すると、核燃料物質をトラップさせたフィルタ(核燃料物質トラップ部)で臨界状態が発生し、臨界事故を引き起こすことが懸念される。
このため、核燃料物質を回収する汚染水処理システムのフィルタ(核燃料物質トラップ部)は、設計段階で安全裕度を確保し、想定される臨界安全上最も厳しい条件においても臨界とならないように、形状寸法管理した設計となる。結果的に、フィルタ(核燃料物質トラップ部)は、大型のものは設計上成立しなくなり、小型のもの(例えば、円柱であれば、半径15cm程度以内)に分けて回収することになると想定される。
加えて、汚染水処理システムによる核燃料物質の回収時には、設計どおり臨界安全が確保できていることを確認し管理するために、臨界安全管理装置によりフィルタ(核燃料物質トラップ部)における未臨界度を連続的に監視して、臨界安全管理を行う必要がある。特に、事故後の収束処置として高汚染水から核燃料物質を回収する場合のように、核燃料物質の濃度、濃縮度等の性状が不確定かつ不安定なケースでは、臨界事故のリスクが大きいことから、核燃料物質の回収時における慎重な臨界安全管理と、異常時における安全処置が重要となる。
しかしながら、従来の未臨界度の監視方法のうち、中性子源引抜法、パルス中性子法、指数実験法、炉雑音法では、連続的に監視することができない。
また、従来の未臨界度の監視方法のうち、中性子源増倍法、逆動特性方程式法は、中性子源強度が一定であるものとして、未臨界度を求めている。また、特許文献1に開示された未臨界度の監視方法は、核燃料物質の燃焼度の変化幅があまり大きくない場合を想定して、未臨界度を監視するものである。このように、これらの未臨界度の監視方法は、核燃料物質の性状が不確定かつ不安定なケースでは、好適に未臨界度を監視することができない。
そこで、本発明は、好適に未臨界度を監視して臨界安全管理を行う臨界安全管理装置および汚染水処理システムを提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明は、熱中性子検出器と、ガンマ線検出器と、前記ガンマ線検出器で検出したCs−134のガンマ線強度とCs−137のガンマ線強度の比を演算するガンマ線強度比演算部と、前記ガンマ線強度の比および中性子源強度に基づいて、核燃料物質の燃焼度を演算する燃焼度演算部と、前記燃焼度に基づいて、相対係数を演算する相対係数演算部と、前記熱中性子検出器の出力、前記ガンマ線検出器の出力、および、前記相対係数に基づいて、基準比例係数計算値を演算する基準比例係数計算値演算部と、前記基準比例係数計算値基づいて、基準比例係数を決定する基準比例係数決定部と、前記熱中性子検出器の出力、前記ガンマ線検出器の出力、前記相対係数、および、決定された前記基準比例係数に基づいて、実効増倍係数を演算する実効増倍係数演算部と、前記熱中性子検出器の出力および前記実効増倍係数に基づいて、前記中性子源強度を演算する中性子源強度演算部と、を備えることを特徴とする臨界安全管理装置である。
また、本発明は、臨界安全管理装置と、核燃料物質をトラップする第1フィルタを有する核燃料物質トラップ部と、中性子吸収材ペレットが収納された中性子吸収材容器と、を備え、前記臨界安全管理装置は、前記実効増倍係数演算部が演算した前記実効増倍係数が、所定の閾値を超えると、前記中性子吸収材ペレットを前記核燃料物質トラップ部に投入させることを特徴とする汚染水処理システムである。
本発明によれば、好適に未臨界度を監視して臨界安全管理を行う臨界安全管理装置および汚染水処理システムを提供することができる。特に、回収する核燃料物質の性状が不確定かつ不安定なケースにおいても、未臨界度を連続的に監視して、好適に臨界安全管理を行うことができる。
本実施形態に係る臨界安全管理装置を備える汚染水処理システムの構成図である。 汚染水処理システムの運転時間に対する熱中性子検出器の出力およびガンマ線検出器の出力の一例を示すグラフである。 相対係数と燃焼度との関係の一例を示すグラフである。 ガンマ線検出器の出力に対する熱中性子検出器の出力の一例を示すグラフである。 ガンマ線検出器の出力に対する燃焼度および基準比例係数(計算値)の一例を示すグラフである。 ガンマ線検出器の出力に対する実効増倍係数の一例を示すグラフである。 本実施形態に係る臨界安全管理装置の未臨界度演算部の機能ブロック図である。 本実施形態に係る臨界安全管理装置の臨界安全管理処理を示すフローチャートである。 本実施形態に係る臨界安全管理装置を備える汚染水処理システムの自動停止後の状態を示す構成図である。 本実施形態に係る臨界安全管理装置を備える汚染水処理システムの反応度低減処理後の状態を示す構成図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
≪汚染水処理システム100≫
本実施形態に係る臨界安全管理装置50を備える汚染水処理システム100について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る臨界安全管理装置50を備える汚染水処理システム100の構成図である。
図1に示すように、汚染水処理システム100は、流入する汚染水W1に含まれる核燃料物質等を含む固形成分NFをトラップする核燃料物質トラップ部10と、中性子吸収材ペレット21が収納された中性子吸収材容器20と、核燃料物質トラップ部10の上流側に設けられた上流側開閉弁31と、核燃料物質トラップ部10の下流側に設けられた下流側開閉弁32と、中性子吸収材容器20の下流側に設けられた中性子吸収材投入用開閉弁33と、核燃料物質トラップ部10を臨界安全管理する臨界安全管理装置50と、を備えている。なお、汚染水処理システム100の汚染水処理により回収される固形成分NFには、核燃料物質(自発核分裂物質)、核分裂生成物(自発核分裂物質も含む)等を含んでいる。
核燃料物質トラップ部10は、配管31cと連通する第1空間10aと、配管33cと連通する第2空間10bと、配管32aと連通する第3空間10cと、第1空間10aと第2空間10bの間に設けられた第1フィルタ11と、第2空間10bと第3空間10cの間に設けられた第2フィルタ12と、を備えている。
第1空間10aは、配管31cと連通しており、固形成分(核燃料物質等)NFを含む汚染水W1が流入するようになっている。第1フィルタ11は、第1空間10aと第2空間10bの間に設けられ、固形成分(核燃料物質等)NFを含む汚染水W1から、固形成分(核燃料物質等)NFをトラップし、固形成分(核燃料物質等)NFが除去された処理水W2を第2空間10bに透過させるようになっている。
第2空間10bは、第1フィルタ11を透過した処理水W2が流入するようになっている。また、第2空間10bは、配管33cと連通しており、第2空間10bに中性子吸収材ペレット21を投入することができるようになっている。第2フィルタ12は、第2空間10bと第3空間10cの間に設けられ、処理水W2を第3空間10cに透過させることができるようになっている。また、第2フィルタ12は、中性子吸収材ペレット21をトラップすることができるようになっている。
第3空間10cは、配管32aと連通しており、第2フィルタ12を透過して固形成分(核燃料物質等)NFが除去された処理水W2が流入し、配管32aから核燃料物質トラップ部10の外へ流出させることができるようになっている。
ここで、図1に示すように、第2空間10bは円錐台形状となっており、その円錐面に第1フィルタ11が配置されている。このように第1フィルタ11を配置することにより、第1フィルタ11の流路面積を大きくして、目詰まりしにくい構造とすることができる。また、図1に示すように、円錐台上面にも第1フィルタ11を配置することにより、流路面積をさらに大きくしてもよい。
また、第1フィルタ11は、固形成分(核燃料物質等)NFを第2空間10bの外側にトラップさせるようになっている。このように第1フィルタ11を配置することにより、内側にトラップさせる場合と比較して、トラップされた固形成分(核燃料物質等)NFが局所に集中することを防止することができる。
加えて、中性子吸収材ペレット21を投入する際には、トラップされた固形成分(核燃料物質等)NFの内側である第2空間10bに中性子吸収材ペレット21を投入することができるようになっており、好適に中性子を吸収することができるようになっている。また、円錐台形状の第2空間10bは下側が広がる形状となっているため、固形成分(核燃料物質等)NFが溜まりやすい下側ほど、中性子吸収材ペレット21を多く投入することができるようになっており、好適に中性子を吸収することができるようになっている。
なお、核燃料物質トラップ部10は、接続部13,14,15を介して、汚染水処理システム100の系統と接続されており、接続部13,14,15の接続を解除することにより、核燃料物質トラップ部10を汚染水処理システム100の系統から切り離して、交換することができるようになっている。なお、接続部13,14,15は、系統と接続されると流路が形成され、系統との接続が解除されると流路を閉塞することができるようになっている。これにより、固形成分(核燃料物質等)NFを回収した核燃料物質トラップ部10は、固形成分(核燃料物質等)NFを水没させたまま核燃料物質トラップ部10を交換することができるようになっている。
中性子吸収材容器20には、中性子吸収材を固体状にした中性子吸収材ペレット21が収納されている。なお、中性子吸収材ペレット21の投入時において、中性子吸収材ペレット21を核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに円滑に投入するために、中性子吸収材容器20には、水も収納されている。なお、中性子吸収材ペレット21は水より比重が重いものが用いられている。また、中性子吸収材容器20は、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bよりも高い位置に配置されている。これにより、中性子吸収材ペレット21の投入時において、中性子吸収材ペレット21が重力により自然落下することにより、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに投入されるようになっている。
中性子吸収材ペレット21としては、例えば、炭化ホウ素(BC)を適当な大きさにペレット化したものを用いることができる。固形成分(核燃料物質等)NFから放出された高速中性子は核燃料物質トラップ部10内の水(汚染水W1,処理水W2)により減速されて熱中性子となり、この熱中性子が炭化ホウ素(BC)に吸収される。なお、中性子吸収材ペレット21の大きさは、中性子吸収材容器20から配管33a、中性子吸収材投入用開閉弁33、配管33b、接続部15、配管33cを介して、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに投入可能な程度に小さく、かつ、核燃料物質トラップ部10の第2フィルタ12でトラップされる大きさとする。
上流側開閉弁31は、開弁することにより、配管31a、上流側開閉弁31、配管31b、接続部13、配管31cを介して、核燃料物質トラップ部10の第1空間10aに固形成分(核燃料物質等)NFを含む汚染水W1が流入する流路を形成するようになっている。また、上流側開閉弁31は、閉弁することにより、この流路を遮断するようになっている。
下流側開閉弁32は、開弁することにより、核燃料物質トラップ部10の第3空間10cから、配管32a、接続部14、配管32b、下流側開閉弁32、配管32cを介して、汚染水処理システム100の外へ処理水W2が流出する流路を形成するようになっている。また、下流側開閉弁32は、閉弁することにより、この流路を遮断するようになっている。
中性子吸収材投入用開閉弁33は、開弁することにより、中性子吸収材容器20から、配管33a、中性子吸収材投入用開閉弁33、配管33b、接続部15、配管33cを介して、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに水と共に中性子吸収材ペレット21が流入する流路を形成するようになっている。また、中性子吸収材投入用開閉弁33は、閉弁することにより、この流路を遮断するようになっている。
なお、上流側開閉弁31、下流側開閉弁32および中性子吸収材投入用開閉弁33は、臨界安全管理装置50により、その開閉が制御されるようになっている。
≪臨界安全管理装置50≫
次に、本実施形態に係る臨界安全管理装置50について説明する。本実施形態に係る臨界安全管理装置50には、連続的に未臨界度を監視することができるとともに、核燃料物質の性状が不確定かつ不安定な場合においても、好適に未臨界度を監視して、適切に、汚染水処理システム100の臨界安全管理をすることが要求される。
このため、図1に示すように、臨界安全管理装置50は、検出器駆動機構40と、熱中性子検出器41と、ガンマ線検出器42と、中性子線計測回路43と、ガンマ線検出回路44と、計算機45と、を備えている。また、計算機45は、未臨界度演算部46と、崩壊熱管理部47と、自動停止判定部48と、反応度低減判定部49と、を有している。
検出器駆動機構40は、熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42の位置を移動させ、核燃料物質トラップ部10との距離を変更することができるようになっている。例えば、核燃料物質トラップ部10の交換時において、検出器駆動機構40は、熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42を核燃料物質トラップ部10から離れた位置に移動させ、交換作業時に取り外した核燃料物質トラップ部10と衝突して熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42が損傷することを防止できるようになっている。
また、熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42の計測時において、検出器の有効なダイナミックレンジの範囲を超えそうな場合、検出器駆動機構40により熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42の位置を核燃料物質トラップ部10から遠い側に移動させることにより、感度レベルを低下させ、広いレンジでの検出を行うことができるようになっている。なお、図1において、熱中性子検出器41およびガンマ線検出器42は一体に移動するように図示されているが、独立に動かすことができる様になっていてもよい。
熱中性子検出器41は、核燃料物質トラップ部10からの熱中性子を検出する。熱中性子検出器41の検出信号は、中性子線計測回路43で計数処理され、その信号がデジタル信号(熱中性子検出器41の出力C1 )として、計算機45の未臨界度演算部46に出力するようになっている。
ガンマ線検出器42は、核燃料物質トラップ部10からのガンマ線を検出する。ガンマ線検出器42の検出信号は、ガンマ線計測回路44で計数処理され、その信号がデジタル信号として、計算機45の未臨界度演算部46および崩壊熱管理部47に出力するようになっている。ここで、ガンマ線計測回路44は、全ガンマ線強度(ガンマ線検出器42の出力G1 )を出力することができるようになっている。また、ガンマ線計測回路44は、ガンマ線検出器42の検出信号をチャンネル(波高値)毎にカウントして、Cs−134のガンマ線強度GCs-134 およびCs−137のガンマ線強度GCs-137 を出力することができるようになっている。
未臨界度演算部46は、熱中性子検出器41で検出し中性子線計測回路43で処理された検出信号(熱中性子検出器41の出力C1 )およびガンマ線検出器42で検出しガンマ線計測回路44で処理された検出信号(ガンマ線検出器42の出力G1 、Cs−134のガンマ線強度GCs-134 およびCs−137のガンマ線強度GCs-137 )に基づいて、未臨界度を演算することができるようになっている。なお、未臨界度の演算方法については、後述する。
崩壊熱管理部47は、ガンマ線検出器42で検出しガンマ線計測回路44で処理された検出信号(ガンマ線検出器42の出力G1 )に基づいて、熱管理(崩壊熱管理)をすることができるようになっている。なお、熱管理(崩壊熱管理)の方法については、後述する。
自動停止判定部48は、未臨界度演算部46が演算した未臨界度に基づいて、汚染水処理システム100による汚染水処理を自動停止するか否かを判定することができるようになっている。また、自動停止判定部48は、崩壊熱管理部47の結果に基づいて、汚染水処理システム100による汚染水処理を自動停止するか否かを判定することができるようになっている。なお、自動停止判定部48は、汚染水処理システム100による汚染水処理を自動停止すると判定した場合、上流側開閉弁31および下流側開閉弁32を閉弁して、核燃料物質トラップ部10への汚染水W1の流入を停止させる(後述する図9参照)。
反応度低減判定部49は、未臨界度演算部46が演算した未臨界度に基づいて、反応度低減処理が必要か否かを判定することができるようになっている。なお、反応度低減判定部49は、反応度低減処理が必要であると判定した場合、上流側開閉弁31を閉弁し、下流側開閉弁32および中性子吸収材投入用開閉弁33を開弁して、中性子吸収材容器20の中性子吸収材ペレット21を核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに投入する(後述する図10参照)。
<未臨界度の演算方法>
本実施形態に係る臨界安全管理装置50の未臨界度演算部46が実行する未臨界度の演算方法について説明する。なお、未臨界度は、実効増倍係数kを用いて、(1−k)として表すことができるため、実効増倍係数kを演算(評価、監視)することと、未臨界度(1−k)を演算(評価、監視)することとは同義である。以下の説明においては、実効増倍係数kを演算(評価、監視)するものとして説明する。
本演算方法は、「中性子源増倍法」をベースとしている。ちなみに、中性子源増倍法では、中性子線強度Sが一定であるものとして校正を行うことにより未臨界度(実効増倍係数)を評価する。
まず、従来の中性子源増倍法によれば、熱中性子検出器41の出力をC、熱中性子検出器41の検出感度をε、中性子源強度をS、実効増倍係数をkとすると、式(1)で表す関係がある。
次に、校正点における熱中性子検出器41の出力をCcal 、実効増倍係数をkcal とし、計測時点における熱中性子検出器41の出力をC1 、実効増倍係数をk1 とすると、式(1)より、次の式(2)および式(3)で表す関係が得られる。
そして、式(2)および式(3)より、計測時点における実効増倍係数k1 は、式(4)で表すことができる。
このように、従来の中性子源増倍法によれば、既知の未臨界度(既知の実効増倍係数kcal )における熱中性子検出器41の出力Ccal を予め測定することにより、計測時点における熱中性子検出器41の出力C1 から、計測時点における未臨界度(計測時点における実効増倍係数k1 )を求めることができる。なお、既知の未臨界度(既知の実効増倍係数kcal )としては、反応開始前の初期状態(即ち、実効増倍係数kcal =0)を用いることが多い。
しかし、式(2)および式(3)における中性子源強度Sが変化する場合、従来の中性子源増倍法(即ち、式(4))により、未臨界度(実効増倍係数k1 )を評価することはできない。
そこで、計測時点における中性子源強度をS1 として、式(1)より式(5)を得る。また、式(5)を変形して、式(6)を得る。なお、εS1 は、熱中性子検出器41の出力C1 の内訳で、中性子源による検出成分である。
ここで、核燃料物質トラップ部10内の中性子源としては、汚染水W1に含まれて核燃料物質トラップ部10内に持ち込まれる自発核分裂物質(核燃料物質等)の核分裂に伴い発生する中性子と、(γ,n)反応による光中性子とが考えられるが、(γ,n)反応による光中性子の影響は小さい。このため、汚染水処理システム100の運転に伴って、汚染水W1に含まれて自発核分裂物質(核燃料物質等)が核燃料物質トラップ部10に持ち込まれることにより、核燃料物質トラップ部10内の中性子源強度S1 は変化する。
自発核分裂物質としては、U−238,Pu−238,Pu−240,Pu−242,Cm−242,Cm−244,Cm−246等がある。ここで、原子炉停止後の期間が長い場合、Cm−242(半減期:162日)や、Cm−244(半減期:18.1年)の影響が支配的となる。特に、原子炉停止後4年以降の時期に、核燃料物質の回収が実施されるとすると、収量が多く半減期の長いCm−244の影響が支配的になる。このため、以下の説明においては、原子炉停止後4年以降の時期に汚染水処理システム100による汚染水W1の処理を行い、Cm−244の影響のみを考えるものとして説明する。
図2に汚染水処理システム100の運転時間に対する熱中性子検出器41の出力C1 およびガンマ線検出器42の出力G1 の一例を図2に示す。図2は、汚染水処理システム100の運転時間に対する熱中性子検出器41の出力C1 およびガンマ線検出器42の出力G1 の一例を示すグラフである。
前述した式(6)に示すように、C1 およびεS1 が得られれば、実効増倍係数k1 が求められ、未臨界度(1−k1 )を求めることができる。C1 は、図2に一例を示すように、熱中性子検出器41および中性子線計測回路43により得られるため、εS1 が得られれば、実効増倍係数k1 が求められ、未臨界度(1−k1 )を求めることができる。
ここで、核燃料物質トラップ部10の第1フィルタ11にトラップされる固形成分(核燃料物質等)NFの組成が一様なものであると仮定すると、トラップされた固形成分量とCm−244の放射能およびεS1 とは、比例する。また、トラップされた固形成分量と固形成分(核燃料物質等)NFに含まれる全放射能、全放射能から放たれるガンマ線およびガンマ線検出器42の出力G1 は比例する。即ち、εS1 とガンマ線検出器42の出力G1 との間で比例関係が成り立つ。この比例係数をτとすると(εS1 =τ・G1 )、式(6)から式(7)で表す関係が得られる。なお、特許文献1(特開昭62−293194号公報)は、基本的にこの式(7)を公開したものである。
このように、式(7)は、トラップされる固形成分(核燃料物質等)NFの組成が一様なものであると仮定した場合の関係式である。しかし、本実施形態では、トラップされる固形成分(核燃料物質等)NFの核燃料物質としての燃焼度E1 により、トラップされる固形成分(核燃料物質等)NFの組成が変化するため、比例係数τは燃焼度E1 を考慮する必要がある。
ちなみに、原子炉の炉心としての平均燃焼度は、机上評価により求めることができる。しかし、本実施形態のような汚染水処理について、実際の計測時点における核燃料物質トラップ部10の第1フィルタ11にトラップされている核燃料物質の平均的な燃焼度E1 は、時々刻々と大きく変化すると考えられる。このため、特許文献1(特開昭62−293194号公報)のように予め机上評価して燃焼度を一定の値で想定することができない。
したがって、Cs−134のガンマ線強度GCs-134 とCs−137のガンマ線強度GCs-137 との比(以下「Cs−134/Cs−137の比」と称する。)R1 および中性子源強度Sにより燃焼度を求める方法(例えば、特開示平6−160585号公報の式(3)、式(4)参照。なお、特開示平6−160585号公報の中性子強度Nは、本実施形態の説明における中性子源強度Sに相当する。)を用いて、計測時点でのトラップされている核燃料の(平均)燃焼度E1 を求める。
ここで、前記したように中性子源強度Sは変化する。燃焼度E1 の算出に用いる中性子源強度をSx として、式(5)を変形して、式(8)を得る。後述する処理により実効増倍係数k1 が求まる度に式(8)に実効増倍係数k1 を代入してフィードバックさせ、中性子源強度Sx を算出し直すことにより燃焼度E1 の算出に用いる中性子源強度をSx を求める。なお、汚染水処理開始初期において、実効増倍係数k1 =0とみなせるため、実効増倍係数k1 の初期値として、実効増倍係数k1 =0を与える。また、熱中性子検出器41の検出感度εは、熱中性子検出器41の特性に基づいて、予め与えられている。
そして、Cs−134/Cs−137の比R1 および求めた中性子源強度Sx により(平均)燃焼度E1 を求める。
次に、ある基準とする燃焼度E0 時の比例係数(基準比例係数)をτ0 とし、計測時点の燃焼度E1 における相対係数をτ1 とすると、実効増倍係数k1 は式(9)で表すことができる。
ここで、基準燃焼度E0 を25GWd/tとした場合の相対係数τ1 と燃焼度E1 との関係(特性)を示した例を図3に示す。図3は、基準燃焼度E0 を25GWd/tとした場合の相対係数τ1 と燃焼度E1 との関係の一例を示すグラフである。なお、図3に示すような相対係数τ1 と燃焼度E1 との関係(特性)は、予め解析により得られており、未臨界度演算部46に記憶されている。即ち、各燃焼度E1 について、燃焼度E1 を固定した状態における比例係数τを解析により求めることにより、図3に示すような、相対係数τ1 と燃焼度E1 との関係(特性)を示すグラフを得て、予め臨界度演算部46に記憶されている。このように、本実施形態の臨界安全管理装置50は、相対係数τ1 を燃焼度E1 との関係(特性)として求め、予め未臨界度演算部46に記憶しておく点で、従来技術とは異なっている。
このように、ガンマ線検出器42およびガンマ線計測回路44により、計測時点におけるCs−134のガンマ線強度GCs-134 およびCs−137のガンマ線強度GCs-137を求め、Cs−134/Cs−137の比R1 および中性子源強度Sx により(平均)燃焼度E1 を求め、燃焼度E1 および予め記憶されている特性(図3のグラフ)から相対係数τ1 を求めることができる。また、C1 は熱中性子検出器41および中性子線計測回路43により得られ、G1 はガンマ線検出器42およびガンマ線計測回路44により得られる。したがって、基準比例係数τ0 が得られれば、式(9)より、計測時点における実効増倍係数k1 が求められ、未臨界度(1−k1 )を求めることができる。なお、中性子源強度Sx は、実効増倍係数k1 をフィードバックさせることにより、式(8)より求めることができる。
基準比例係数τ0 は、予め計算等により求めることは困難である。なぜならば、実際のトラップされる固形成分(核燃料物質等)NF内における全ての核分裂生成物、アクチノイド元素の組成、核燃料物質トラップ部10の第1フィルタ11等の幾何条件や熱放射線検出器41の検出効率等を全て考慮し、精度よく評価することは困難なためである。また、計算精度を向上させる方法として検証試験等も考えられるが、実際の条件を模擬することは困難である。
本実施形態では、基準比例係数τ0 を、汚染水処理開始初期(核燃料物質回収運転初期)の実測に基づいて設定する。まず、式(9)を変形して、式(10)が得られる。また、汚染水処理開始初期において、実効増倍係数k1 =0とみなせるため、式(11)が得られる。
ここでのC1 は、汚染水処理開始初期における熱中性子検出器41の出力から得られ、G1 は、汚染水処理開始初期におけるガンマ線検出器42の出力から得られる。τ1 は、汚染水処理開始初期におけるCs−134/Cs−137の比R1 および式(8)から求めることができる中性子源強度Sxにより燃焼度E1 を求め、燃焼度E1 および予め記憶されている特性(図3のグラフ)から得られる。このように、本実施形態では、基準比例係数τ0 を、汚染水処理開始初期(核燃料物質回収運転初期)の実測に基づいて設定することができ、複雑な解析を要しない。
以上のように、本実施形態に係る臨界安全管理装置50の未臨界度演算部46は、実効増倍係数k1 (換言すれば、未臨界度1−k1 )を、計測時点における熱中性子検出器41および中性子線計測回路43の出力(C1 )およびガンマ線検出器42およびガンマ線計測回路44の出力(G1 、R1 )によりリアルタイムに演算することができる。即ち、臨界安全管理装置50は、回収する核燃料物質の性状が不確定かつ不安定なケースにおいても、未臨界度を連続的に監視して、好適に臨界安全管理を行うことができる。
ここで、図2に示す熱中性子検出器41の出力C1 およびガンマ線検出器42の出力G1 の時間変化の一例について、横軸を反応度の追加要因である核燃料物質量と比例関係にあるガンマ線検出器42の出力G1 として、縦軸を熱中性子検出器41の出力C1 とすると、図4のようになる。図4は、ガンマ線検出器42の出力G1 に対する熱中性子検出器41の出力C1 の一例を示すグラフである。即ち、図4は、核燃料物質量に対する熱中性子検出器41の出力C1 を示すものである。
また、横軸をガンマ線検出器42の出力G1 として、縦軸を燃焼度E1 および式(11)により計算された基準比例係数τ0 (計算値)とすると、図5のようになる。図5は、ガンマ線検出器42の出力G1 に対する燃焼度E1 および基準比例係数τ0 (計算値)の一例を示すグラフである。
図5に示すように、汚染水処理開始初期(例えば、図5の例ではG1 が約1〜約18の範囲)において、基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(グラフがフラット)となる。この領域における基準比例係数τ0 (計算値)を式(9)に用いる基準比例係数τ0 と決定する。なお、図5の例では、式(9)に用いる基準比例係数τ0 は約200との結果である。
このように、未臨界度演算部46は、汚染水処理開始後、式(11)により基準比例係数τ0 (計算値)を計算して、基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(グラフがフラット)となる領域における基準比例係数τ0 (計算値)を式(9)に用いる基準比例係数τ0 として設定する。
なお、基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(グラフがフラット)か否かの判定は、例えば、変化量が所定の範囲内であれば略一定(グラフがフラット)と判定するようにしてもよく、基準比例係数τ0 (計算値)のグラフをモニタ(図示せず)に表示して、オペレータが選択するようになっていてもよく、これらに限られるものではない。また、基準比例係数τ0 の決定は、基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(グラフがフラット)の領域における基準比例係数τ0 (計算値)の平均値としてもよく、中央値としてもよく、これらに限られるものではない。
式(9)に用いる基準比例係数τ0 は所定の値となるものであるが、図5に示すように式(11)により得られる基準比例係数τ0 (計算値)は汚染水処理開始直後で立ち上がり、その後に略一定となり、さらに経過すると再び立ち上がる。これは、汚染水処理開始直後ではガンマ線検出器42の出力G1 (即ち、比例関係にある核燃料物質量)が少ないため、統計精度や検出器精度の影響を受けるためである。また、ガンマ線検出器42の出力G1 が大きくなると、本来の基準比例係数τ0 に対して実効増倍係数k1 による増倍効果が加わった状態であり、即ち、実効増倍係数k1 ≠0となる状態であり、基準比例係数τ0 の導出には必要外のデータとなる。このため、式(11)により計算された基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(グラフがフラット)となる領域における基準比例係数τ0 (計算値)を式(9)に用いる基準比例係数τ0 と決定する。
また、基準比例係数τ0 (計算値)が略一定(例えば、図5の例ではG1 が約1〜約18の範囲)となるのは、図2の例では運転時間が約150s〜約450sの範囲となり、比較的長い期間となる。このため、汚染水処理開始から所定時間経過後(例えば、300s後)における基準比例係数τ0 (計算値)を式(9)に用いる基準比例係数τ0 として設定してもよい。
このように求めた基準比例係数τ0 を用いて、式(9)により算出された実効増倍係数k1 を図6に示す。図6は、ガンマ線検出器42の出力G1 に対する実効増倍係数k1 の一例を示すグラフである。なお、図6には、後述する自動停止判定部48が用いる自動停止閾値(k1 =0.85)を太実線で図示している。
<未臨界度演算部46>
以上の未臨界度の演算方法を実現する本実施形態に係る臨界安全管理装置50の未臨界度演算部46について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る臨界安全管理50装置の未臨界度演算部46の機能ブロック図である。
未臨界度演算部46は、Cs−134/Cs−137の比R1 を演算するガンマ線強度比演算部461と、燃焼度E1 を演算する燃焼度演算部462と、相対係数τ1 を演算する相対係数演算部463と、基準比例係数τ0 (計算値)を演算する基準比例係数計算値演算部464と、基準比例係数τ0 を決定する基準比例係数決定部465と、実効増倍係数k1 を演算する実効増倍係数演算部466と、中性子源強度Sx を演算する中性子源強度演算部467と、を備えている。
ガンマ線強度比演算部461は、ガンマ線計測回路44(図1参照)から出力されたCs−134のガンマ線強度GCs-134 およびCs−137のガンマ線強度GCs-137 が入力され、Cs−134のガンマ線強度GCs-134 とCs−137のガンマ線強度GCs-137 との比R1 を演算し、燃焼度演算部462に出力する。
燃焼度演算部462は、ガンマ線強度比演算部461から出力されたCs−134/Cs−137の比R1 および後述する中性子源強度演算部467から出力された中性子源強度Sx に基づいて燃焼度E1 を演算し、相対係数演算部463に出力する。なお、燃焼度E1 の演算は、例えば、特開平6−160585号公報に記載された方法等を用いればよい。
相対係数演算部463は、相対係数τ1 と燃焼度E1 との関係(特性)を示す特性マップ463a(例えば、図3のグラフ参照)が予め記憶されており、燃焼度演算部462から出力された燃焼度E1 および特性マップ463aから相対係数τ1 を求め、基準比例係数計算値演算部464および実効増倍係数演算部466に出力する。
基準比例係数計算値演算部464は、中性子線計測回路43(図1参照)から出力された熱中性子検出器41の出力C1 と、ガンマ線計測回路44(図1参照)から出力されたガンマ線検出器42の出力G1 と、相対係数演算部463から出力された相対係数τ1 とに基づいて、前記した式(11)を用いて、基準比例係数τ0 の計算値である「基準比例係数τ0 (計算値)」を演算し、基準比例係数決定部465に出力する。
基準比例係数決定部465は、ガンマ線計測回路44(図1参照)から出力されたガンマ線検出器42の出力G1 および基準比例係数計算値演算部464から出力された基準比例係数τ0 (計算値)に基づいて、基準比例係数τ0 を決定して実効増倍係数演算部466に出力する。なお、基準比例係数τ0 は、汚染水処理開始初期(核燃料物質回収運転初期)の基準比例係数τ0 (計算値)から決定する。より具体的には、ガンマ線検出器42の出力G1 に対する基準比例係数τ0 (計算値)が略一定の状態(図5の基準比例係数τ0 (計算値)のグラフがフラット)における基準比例係数τ0 (計算値)を基準比例係数τ0 と決定する。
実効増倍係数演算部466は、中性子線計測回路43(図1参照)から出力された熱中性子検出器41の出力C1 と、ガンマ線計測回路44(図1参照)から出力されたガンマ線検出器42の出力G1 と、相対係数演算部463から出力された相対係数τ1 と、基準比例係数決定部465から出力された基準比例係数τ0 とに基づいて、前記した式(9)を用いて、実効増倍係数k1 を演算し出力する。なお、未臨界度(1−k1 )を演算し出力してもよい。
中性子源強度演算部467は、熱中性子検出器41(図1参照)の検出感度εが記憶部467に予め記憶されている。中性子源強度演算部467は、記憶部467aに記憶された検出感度εと、中性子線計測回路43(図1参照)から出力された熱中性子検出器41の出力C1 と、実効増倍係数演算部466から出力された実効増倍係数k1 と、に基づいて、前記した式(8)を用いて、中性子源強度Sx を演算し、燃焼度演算部462に出力する。なお、中性子源強度演算部467は、基準比例係数決定部465により基準比例係数τ0 が決定され、実効増倍係数演算部466により実効増倍係数k1 の演算が可能となるまでの間は、初期値として実効増倍係数k1 =0を与え、中性子源強度Sx を演算する。
<崩壊熱管理部47>
次に、図1に戻り、本実施形態に係る臨界安全管理装置50の崩壊熱管理部47について説明する。
本実施形態に係る臨界安全管理装置50は、未臨界度を監視するとともに、熱的な監視を行うことにより、汚染水処理システム100の臨界安全管理をするようになっている。
ここで、従来の熱的な監視方法としては、核燃料物質トラップ部10に温度センサを設置し、核燃料物質トラップ部10に内包される熱出力が核燃料物質トラップ部10の設計熱容量を超えないように温度閾値を設定して、温度監視する方法がある。
しかし、本実施形態のような汚染水処理において、核燃料物質トラップ部10に内包される熱出力は汚染水処理の進行に伴って不安定に増加する。また、汚染水処理中において、核燃料物質トラップ部10は通水されており、温度センサによる温度監視では、設計熱容量を超えないように監視することは困難である。また、温度監視では、温度変化の時間的な追従性がよくないことから、リアルタイムの監視には適さない。また、従来の温度監視では、汚染水処理中の温度監視はできても、核燃料物質回収後の汚染水処理システム100の系統から切り離された核燃料物質トラップ部10の温度を担保することはできない。
このため、本実施形態に係る臨界安全管理装置50の崩壊熱管理部47は、ガンマ線強度(ガンマ線検出器42の出力G1 )に基づいて、核燃料物質トラップ部10に内包される熱出力を監視する。即ち、核燃料物質トラップ部10に熱出力として設計熱容量相当の崩壊熱が内包されているとすると、その崩壊熱相当の放射能が内包されており、その放射能を最大許容ガンマ線強度Gmax として、評価することができる。これにより、汚染水処理中において、崩壊熱管理部47は、ガンマ線検出器42の出力G1 と最大許容ガンマ線強度Gmax とを比較して監視することで熱的な監理を行うことができる。また、最大許容ガンマ線強度Gmax は、通水の状態に左右されないため、汚染水処理終了時に熱的な監理が担保されていれば、汚染水処理システム100の系統から切り離された核燃料物質トラップ部10の熱的な監理も担保することができる。
<計算機45の制御フロー>
臨界安全管理装置50の計算機45の処理フローについて図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る臨界安全管理装置50の臨界安全管理処理を示すフローチャートである。
ステップS101において、計算機45の未臨界度演算部46(図7に示すガンマ線強度比演算部461、燃焼度演算部462、相対係数演算部463、基準比例係数計算値演算部464および基準比例係数決定部465、中性子源強度演算部467)は、基準比例係数τ0 を設定する。
ステップS102において、計算機45の未臨界度演算部46(図7に示すガンマ線強度比演算部461、燃焼度演算部462、相対係数演算部463、実効増倍係数演算部466および中性子源強度演算部467)は、ステップS101で設定した基準比例係数τ0 を用いて、現在の実効増倍係数k1 を演算する。
ステップS103において、反応度低減判定部49は、ステップS102で演算した現在の実効増倍係数k1 が最大許容増倍係数(例えば、0.9)より大きいか否かを判定する。現在の実効増倍係数k1 が最大許容増倍係数より大きい場合(S103・Yes)、計算機45の処理はステップS104に進む。現在の実効増倍係数k1 が最大許容増倍係数より大きくない場合(S103・No)、計算機45の処理はステップS105に進む。
ステップS104において、反応度低減判定部49は、反応度低減処理を実行する。具体的には、上流側開閉弁31を閉弁し、下流側開閉弁32および中性子吸収材投入用開閉弁33を開弁して、中性子吸収材容器20の中性子吸収材ペレット21を核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに投入する。反応度低減処理後の汚染水処理システム100を図10に示す。
ステップS105において、自動停止判定部48は、ステップS102で演算した現在の実効増倍係数k1 が自動停止閾値(例えば、0.85)より大きいか否かを判定する。現在の実効増倍係数k1 が自動停止閾値より大きい場合(S105・Yes)、計算機45の処理はステップS106に進む。現在の実効増倍係数k1 が自動停止閾値より大きくない場合(S105・No)、計算機45の処理はステップS107に進む。
ステップS104において、自動停止判定部48は、自動停止処理を実行する。具体的には、上流側開閉弁31および下流側開閉弁32を閉弁して、核燃料物質トラップ部10への汚染水W1の流入を停止させる。自動停止処理後の汚染水処理システム100を図9に示す。
ステップS107において、崩壊熱管理部47は、ガンマ線強度(ガンマ線検出器42の出力G1 )が最大許容ガンマ線強度Gmax より大きいか否かを判定する。ガンマ線強度G1 が最大許容ガンマ線強度Gmax より大きい場合(S107・Yes)、計算機45の処理はステップS106に進む。ガンマ線強度G1 が最大許容ガンマ線強度Gmax より大きくない場合(S107・No)、計算機45の処理はステップS102に戻る。
<作用・効果>
本実施形態に係る臨界安全管理装置50によれば、核燃料物質トラップ部10で回収する核燃料物質の性状が不確定かつ不安定なケースにおいても、未臨界度を連続的に監視して、好適に臨界安全管理を行うことができる。また、通水される核燃料物質トラップ部10について好適に熱的な監視を行うことができ、好適に臨界安全管理を行うことができる。
また、本実施形態に係る汚染水処理システム100は、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに中性子吸収材ペレット21を投入することにより、好適に反応度低減処理を実行することができる。
従来の反応度低減処理としては、ホウ酸水等の中性子吸収材水溶液を系統に注入する方法が知られている。ここで、汚染水処理システム100の核燃料物質トラップ部10にホウ酸水等の中性子吸収材水溶液を注入するためには、下流側開閉弁32を開弁しておく必要がある。しかし、下流側開閉弁32を開弁すると、核燃料物質トラップ部10にホウ酸水等の中性子吸収材水溶液を留めておくことができないため、好適に反応度低減処理を行うことができなかった。また、核燃料物質トラップ部10は、核燃料物質回収後に系統から切り離されるものであり、制御棒のような駆動機構を有する複雑な構成を適用することはできない。
これに対し、本実施形態に係る汚染水処理システム100は、核燃料物質トラップ部10の第2空間10bに中性子吸収材ペレット21を投入するため、中性子吸収材ペレット21は第2フィルタ12でトラップされ、核燃料物質トラップ部10に留めておくことができ、好適に反応度低減処理を実行することができる。
≪変形例≫
なお、本実施形態に係る臨界安全管理装置50を備える汚染水処理システム100は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
崩壊熱管理部47は、ガンマ線強度(ガンマ線検出器42の出力G1 )に基づいて、核燃料物質トラップ部10に内包される熱出力を監視するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、ガンマ線強度が高い場合には、カロリメータにより崩壊熱を測定することにより、ガンマ線強度の場合と同様な管理をする構成であってもよい。
100 汚染水処理システム
10 核燃料物質トラップ部
11 第1フィルタ
12 第2フィルタ
10a 第1空間
10b 第2空間
10c 第3空間
20 中性子吸収材容器
21 中性子吸収材ペレット
31 上流側開閉弁
32 下流側開閉弁
33 中性子吸収材投入用開閉弁
40 検出器駆動機構
41 熱中性子検出器
42 ガンマ線検出器
43 中性子線計測回路
44 ガンマ線計測回路
45 計算機
46 未臨界度演算部
461 ガンマ線強度比演算部
462 燃焼度演算部
463 相対係数演算部
463a 特性マップ
464 基準比例係数計算値演算部
465 基準比例係数決定部
466 実効増倍係数演算部
467 中性子源強度演算部
47 崩壊熱管理部
48 自動停止判定部
49 反応度低減判定部
50 臨界安全管理装置
W1 汚染水
W2 処理水
NF 固形成分(核燃料物質)
1 熱中性子検出器の出力
1 ガンマ線検出器の出力
Cs-134 Cs−134のガンマ線強度
Cs-137 Cs−137のガンマ線強度
1 Cs−134/Cs−137の比
1 燃焼度
τ0 基準比例係数
τ1 相対係数
1 実効増倍係数
x 中性子源強度

Claims (9)

  1. 熱中性子検出器と、
    ガンマ線検出器と、
    前記ガンマ線検出器で検出したCs−134のガンマ線強度とCs−137のガンマ線強度の比を演算するガンマ線強度比演算部と、
    前記ガンマ線強度の比および中性子源強度に基づいて、核燃料物質の燃焼度を演算する燃焼度演算部と、
    前記燃焼度に基づいて、相対係数を演算する相対係数演算部と、
    前記熱中性子検出器の出力、前記ガンマ線検出器の出力、および、前記相対係数に基づいて、基準比例係数計算値を演算する基準比例係数計算値演算部と、
    前記基準比例係数計算値基づいて、基準比例係数を決定する基準比例係数決定部と、
    前記熱中性子検出器の出力、前記ガンマ線検出器の出力、前記相対係数、および、決定された前記基準比例係数に基づいて、実効増倍係数を演算する実効増倍係数演算部と、
    前記熱中性子検出器の出力および前記実効増倍係数に基づいて、前記中性子源強度を演算する中性子源強度演算部と、を備える
    ことを特徴とする臨界安全管理装置。
  2. 前記相対係数演算部は、
    前記燃焼度と前記相対係数との関係を示す特性マップを有し、
    該特性マップにより、前記相対係数を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界安全管理装置。
  3. 前記基準比例係数計算値演算部は、
    前記熱中性子検出器の出力をC1 、前記ガンマ線検出器の出力をG1 、および、前記相対係数をτ1 とすると、
    により、前記基準比例係数計算値を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界安全管理装置。
  4. 前記基準比例係数決定部は、
    前記ガンマ線検出器の出力に対して前記基準比例係数計算値が、略一定となる状態の該基準比例係数計算値を前記基準比例係数として決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界安全管理装置。
  5. 前記実効増倍係数演算部は、
    前記熱中性子検出器の出力をC1 、前記ガンマ線検出器の出力をG1 、前記相対係数をτ1 、および、決定された前記基準比例係数をτ0 とすると、
    により前記実効増倍係数を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界安全管理装置。
  6. 前記ガンマ線検出器の出力に基づいて、熱的管理を行う崩壊熱管理部を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界安全管理装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の臨界安全管理装置と、
    核燃料物質をトラップする第1フィルタを有する核燃料物質トラップ部と、
    中性子吸収材ペレットが収納された中性子吸収材容器と、を備え、
    前記臨界安全管理装置は、
    前記実効増倍係数演算部が演算した前記実効増倍係数が、所定の閾値を超えると、前記中性子吸収材ペレットを前記核燃料物質トラップ部に投入させる
    ことを特徴とする汚染水処理システム。
  8. 前記核燃料物質トラップ部は、
    核燃料物質を含む汚染水が流入する第1空間と、
    核燃料物質をトラップする前記第1フィルタと、
    前記第1フィルタにより核燃料物質が除去された処理水が流入する第2空間と、を有し、
    前記中性子吸収材ペレットは、前記第2空間に投入される
    ことを特徴とする請求項7に記載の汚染水処理システム。
  9. 前記核燃料物質トラップ部は、
    前記第2空間の下流側に前記中性子吸収材ペレットをトラップする第2フィルタを更に有する
    ことを特徴とする請求項8に記載の汚染水処理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015227817A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 株式会社東芝 燃料デブリの燃焼度計測装置及びその燃焼度計測方法
JP2017058236A (ja) * 2015-09-16 2017-03-23 株式会社ナイス 未臨界度を監視する方法

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