JP2014193814A - 多孔性金属錯体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水素吸蔵材料として有用であり、保存安定性に優れた多孔性金属錯体を提供すること。
【解決手段】 金属クラスターと下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体。
【化1】

[式中、mは1〜3の整数を示す。]
【選択図】 図2

Description

本発明は新規な多孔性金属錯体に関する。
近年、新しい多孔質材料として多孔性金属錯体が注目されている(例えば、下記非特許文献1)。多孔性金属錯体は金属錯体分子が集積することによって細孔構造が形成された構造体であり、集積型金属錯体とも呼ばれている(例えば、下記非特許文献2)。多孔性金属錯体によれば、ゼオライト、活性炭等の多孔質材料と比較して、より均一なミクロ孔を設計、制御できると考えられている。
「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」、基礎錯体工学研究会、講談社、2002年発行 「集積型金属錯体−クリスタルエンジニアリングからフロンティアオービタルエンジニアリングへ」、北川進、講談社、2001年発行
多孔性金属錯体は、水素吸蔵材料として使用することが検討されている。しかしながら、高い比表面積を有する多孔性金属錯体は、化学的安定性が低いことが課題となっている。例えば、MOF−5と呼ばれる多孔性金属錯体は、水との反応性が非常に高く、空気中に1日静置しただけで、空気中の湿気により錯体が完全に分解されることが報告されている。また、保存方法も、溶媒中で保存するか、又は、活性化した上で不活性ガス雰囲気中で保存するかのいずれかの方法に限られてしまうため、多孔性金属錯体の化学安定性の向上が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、水素吸蔵材料として有用であり、保存安定性を向上することができる新規な多孔性金属錯体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、金属クラスターと下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を提供する。

[式中、mは1〜3の整数を示す。]
上記多孔性金属錯体は、配位子に親水性のフェノール性ヒドロキシル基を導入することにより、フェノール性ヒドロキシル基の周りで水を補足させ、多孔性金属錯体の分解点である「金属−配位子結合」周りに水が近づくのを防ぐ。また、官能基を導入することで多孔性金属錯体の細孔の入口を小さくさせ、多孔性金属錯体の分解点である「金属−配位子結合」周りに水が近づくのを防ぐ。これらの結果、分解を抑制することができる。このため、多孔性金属錯体の保存安定性が向上し、例えば、活性化せずに不活性ガス雰囲気下で多孔性金属錯体を保存した場合であっても、その分解程度を抑制することができる。また、上記多孔性金属錯体は、上記金属錯体の複数が集積して細孔構造を形成しているため、水素吸蔵量が高く、水素吸蔵材料として有用である。
また、上記多孔性金属錯体において、上記金属クラスターは、下記一般式(2);
(2)
[式中、Mは金属イオンを示し、Xは周期表第14族〜17族の非金属元素からなるアニオンを示し、pは1〜10の整数を示し、qは1以上の整数を示す。]
で表される金属クラスターを含むことが好ましい。これにより、多孔性金属錯体の形成が容易になり、かつ、多孔性が向上することで水素吸蔵量がより向上する。
更に、上記多孔性金属錯体において、上記金属クラスターはZnOを含むことが好ましい。これにより、大きな細孔サイズを有する構造の構築が可能であり、水素吸蔵量がより向上する。
本発明によれば、水素吸蔵材料として有用であり、保存安定性を向上することができる新規な多孔性金属錯体を提供することができる。
実施例1〜2及び比較例1の多孔性金属錯体のXRDパターンを示す図である。 多孔性金属錯体[ZnO(C2715の構造を示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 実施例2の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 比較例1の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例2の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。 比較例1の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本実施形態の多孔性金属錯体は、金属クラスターと上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有するものである。
[金属クラスター]
本実施形態において、多孔性金属錯体を構成する金属クラスターは、1つ又は2つ以上の金属イオンを含んでいる。また、金属クラスターは、金属イオン以外に更に、1つ又は2つ以上のアニオンを含むことができる。
金属クラスターを構成する金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V5+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、及びBiからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンであることが好ましく、金属クラスターを形成しやすいことから、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、V5+、V4+、V3+、V2+、Mn2+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os2+、Co2+、Rh2+、Ir2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Cu2+、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Si2+、Ge2+、Sn2+、及びPb2+からなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンであることがより好ましく、Co2+、Cu2+、及びZn2+からなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンであることが特に好ましい。
金属クラスターを構成するアニオンとしては、周期表第14族〜17族の非金属元素からなるアニオンが挙げられ、O、N、及びSの一種又は二種以上の元素からなるアニオンであることが好ましい。アニオンは、O2−、サルフェート、ナイトレート、ナイトライト、サルファイト、ビサルファイト、フォスフェート、ハイドロゲンフォスフェート、ジハイドロゲンフォスフェート、ジフォスフェート、トリフォスフェート、フォスファイト、クロライド、クロレート、ブロマイド、ブロメート、イオダイド、イオデート、カーボネート、ビカーボネート、サルファイド、ハイドロゲンサルフェート、セレナイド、セレネート、ハイドロゲンセレネート、テルライド、テルレート、ハイドロゲンテルレート、ナイトライド、フォスファイド、アルセナイド、アルセネート、ハイドロゲンアルセネート、ジハイドロゲンアルセネート、アンチモナイド、アンチモネート、ハイドロゲンアンチモネート、ジハイドロゲンアンチモネート、フルオライド、ボライド、ボレート、ハイドロゲンボレート、パークロレート、クロライト、ハイポクロライト、パーブロメート、ブロマイト、ハイポブロマイト、ペリオデート、イオダイト、及びハイポイオダイトからなる群より選択される少なくとも一種のアニオンであることが好ましく、金属クラスターを形成しやすいことから、O2−、カーボネートからなる群より選択される少なくとも一種のアニオンであることがより好ましい。
金属クラスターは下記一般式(2);
(2)
で表される金属クラスターを含むことが好ましい。上記一般式(2)中、Mは金属イオンを示し、好ましい金属イオンは上述した通りである。Xは周期表第14族〜17族の非金属元素からなるアニオンを示し、好ましいアニオンは上述した通りである。pは1〜10の整数を示す。qは1以上の整数を示し、1〜10の整数であることがより好ましい。qは、金属クラスターが所定の電荷を有するように調整される。
上記一般式(2)で表される金属クラスターとしては、例えば、ZnO、AlO、Zn(CO、Cu(CO、CrO6、FeO6、Co(CO4,Zn(CO等が挙げられる。これらの中でも、多孔性が高く、水素吸蔵量を向上させる観点から、ZnOが特に好ましい。
[芳香族カルボン酸]
本実施形態において、芳香族カルボン酸は上記一般式(1)で表されるものであり、下記一般式(3)で表される多座配位子となって上記金属クラスターと配位結合し、金属錯体を形成する。この多座配位子は、隣接する複数の金属クラスターを接続して多孔性金属錯体を形成する。
一般式(1)及び(3)中、mは1〜3の整数を示す。mが大きいほど、親水性のフェノール性ヒドロキシル基の数が増えて水の補足能力が高くなるため、水が多孔性金属錯体の分解点である「金属−配位子結合」周りに近づきにくくなり、多孔性金属錯体の分解を抑制する効果が向上する傾向がある。一方で、mが小さいほど、多孔性金属錯体の細孔容積、細孔内の表面積が大きくなり、水素吸蔵量が増大する傾向がある。
多孔性金属錯体は、更に他の多座配位子を含んでいてもよい。他の多座配位子としては、下記式(4)で表される多座配位子が好ましい。下記式(4)で表される多座配位子は、上記一般式(3)中のmが0である多座配位子である。また、下記式(4)で表される多座配位子は、芳香環の水素原子の少なくとも一部が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アリル基、アラルキル基等で置換されていてもよい。また、多孔性金属錯体は、他の多座配位子として、テレフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、4,4’−ビフェニルカルボン酸、3−ヒドロキシ−4.4’−ビフェニルカルボン酸、3,5’−ジヒドロキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,5’−4,4’−ビフェニルジカルボン酸等を含んでいてもよい。
多孔性金属錯体において、フェノール性ヒドロキシル基の導入率は、10〜50モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることが特に好ましい。導入率が10モル%未満であると、多孔性金属錯体の保存安定性が低下する傾向があり、50モル%を超えると、水素吸蔵量が低下する傾向がある。多孔性金属錯体におけるフェノール性ヒドロキシル基の導入率は、合成時の多座配位子の使用比率により求められる。
[多孔性金属錯体の製造方法]
次に、本実施形態に係る多孔性金属錯体の製造方法について詳述するが、製造方法は以下の態様に限定されるものではない。
本実施形態の多孔性金属錯体の製造方法は、例えば、金属クラスターを形成する金属イオンを含む金属イオン源と溶媒とを含有する第一溶液、上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸と溶媒とを含有する第二溶液、及び、必要に応じて、他の多座配位子となる化合物と溶媒とを含有する第三溶液をそれぞれ調製する工程と、第一溶液と、第二溶液及び第三溶液を混合して反応液を調製し、この反応液を加熱することで、金属クラスターと上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を得る工程と、を備える。第一〜第三溶液は別々に調製する必要はなく、例えば、金属クラスターを形成する金属イオンを含む金属イオン源、上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸、他の多座配位子となる化合物、溶媒とを1度に混合して1つの溶液を調製してもよい。
金属クラスターを形成する金属イオンを含む金属イオン源としては、市販されている金属イオン塩の大抵を適用することができる。このような金属イオン塩としては、例えば硝酸亜鉛(II)6水和物、硝酸マンガン(II)6水和物、硝酸クロム(III)9水和物、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸アルミニウム(III)9水和物等が好適である。反応液中のこれら金属イオンの濃度は、好ましくは25〜200mol/Lである。
上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸としては、2−ヒドロキシ−1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン)を用いることができる。反応液中の上記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸の濃度は、好ましくは10〜100mol/Lである。
他の多座配位子となる化合物としては、例えば、他の多座配位子が上記式(4)で表される配位子である場合、市販のHBTB(1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン)を用いることができる。反応液中の上記他の多座配位子となる化合物の濃度は、好ましくは25〜100mol/Lである。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジエチルホルムアミドのいずれかを単独で用いるか、あるいはN,N−ジメチルホルムアミド/水混合溶媒又はN,N−ジエチルホルムアミド/水混合溶媒を用いることが好ましい。
反応液の加熱温度は、80℃以上であることが好ましく、100〜140℃であることがより好ましい。反応温度が100℃以上であると、目的の多孔性金属錯体が生成しやすい傾向にある。また、反応温度が140℃を以下であると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の溶媒が分解しにくい。
加熱時間は加熱温度等の条件によっても異なるが、長時間であるほど好ましく、例えば12時間以上であることが好ましい。
反応液の加熱は空気雰囲気中で行うことができるが、反応容器としてはオートクレーブ等の密閉型反応容器を用いることが好ましい。なお、フラスコ等を用いて開放系で反応液の加熱を行っても多孔性金属錯体は生成するが、密閉型反応容器を用いる場合に比べて収率が低くなる傾向にある。
生成した多孔性金属錯体は、反応液からろ取し、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、これらの混合液等の溶媒で洗浄することができる。多孔性金属錯体の細孔内に残存している未反応の配位子を取り除くため、配位子が不溶な脱水溶媒を用いて洗浄すると効果的である。脱水溶媒としては、例えば、脱水塩化メチレンを用いることができる。
多孔性金属錯体にガスを吸蔵させるためには、細孔内に存在する溶媒分子などを除くため、前処理をすることが好ましい。通常は錯体が分解しない程度の温度(例えば40〜200℃)で乾燥を行えばよいが、その温度はより低温(例えば40〜100℃)であることが好ましい。この前処理は、超臨界COによる洗浄によっても行うことができ、より効果的である。また、本実施形態の多孔性金属錯体は、水素ガスに対して優れたガス吸蔵能を示すため、水素吸蔵材料として有用である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(多孔性金属錯体の合成)
キシダ化学(株)製の硝酸亜鉛6水和物(4.08g、13.7mmol)、HBTB(1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン、1.97g、4.50mmol)、及び、一般式(1)においてmが1である化合物(H(OH)BTB、363.2mg、0.80mmol)をそれぞれ3つのスクリュー管に入れた。次いで、東京化成(株)製のN,N−ジエチルホルムアミドをそれぞれ52mL、30mL、16mL加え、超音波洗浄器に数分浸け、均一な溶液とした。
次に、3つの溶液をそれぞれ12.5mL、7.50mL、2.50mLずつ日電理化硝子製ガラス容器に入れて混合し、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、100℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、淡黄色の結晶が生成していた。アルゴン雰囲気下にて黄色の上澄みを捨て、脱水塩化メチレン50mLを加えると、白い粉状の生成物が析出した。淡黄色の結晶を捨てないように、白色粉と溶媒を捨て、脱水塩化メチレン50mLを加えて5日間静置した。これにより、多孔性金属錯体の淡黄色の結晶を得た。
[実施例2]
実施例1で調製した溶液を用い、硝酸亜鉛6水和物の溶液の使用量を12.50mL、HBTB(1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン)の溶液の使用量を6.67mL、一般式(1)においてmが1である化合物(H(OH)BTB)の溶液の使用量を5.0mLとした以外は実施例1と同様にして、多孔性金属錯体の淡黄色の結晶を得た。
[比較例1]
キシダ化学(株)製の硝酸亜鉛6水和物(7.19g、24.2mmol)、HBTB(1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン、1.75g、3.75mmol)をそれぞれ2つのスクリュー管に入れた。次いで、東京化成(株)製のN,N−ジエチルホルムアミドをそれぞれ80mL、40mL加え、超音波洗浄器に数分浸け、均一な溶液とした。
次に、2つの溶液をそれぞれ12.5mLずつ日電理化硝子製ガラス容器に入れて混合し、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、100℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、淡黄色の結晶が生成していた。アルゴン雰囲気下にて黄色の上澄みを捨て、脱水塩化メチレン50mLを加えると、白い粉状の生成物が析出した。淡黄色の結晶を捨てないように、白色粉と溶媒を捨て、脱水塩化メチレン50mLを加えて5日間静置した。これにより、多孔性金属錯体の無色の結晶を得た。
<多孔性金属錯体の構造>
アルゴン雰囲気下にて、実施例1〜2及び比較例1で得られた多孔性金属錯体についてX線回折(XRD)を行った。測定は(株)リガク製の水平型X線回折装置SmartLab(商品名)を用いた。得られたXRDチャートを図1に示す。いずれの実施例及び比較例のXRDパターンも、多孔性金属錯体[ZnO(C2715のcifファイルから計算したXRDパターンのシミュレーション結果とよく一致していた。したがって、実施例1〜2及び比較例1で得られた多孔性金属錯体は、[ZnO(C2715と同じ構造であることが示唆される。多孔性金属錯体[ZnO(C2715の構造を図2に示す。実施例1〜2及び比較例1で得られた多孔性金属錯体も、図2に示した多孔性金属錯体[ZnO(C2715と同じカゴ状細孔を形成していると考えられる。
<フェノール性ヒドロキシル基の導入率の測定>
原料の仕込み量から求めた理論量として、フェノール性ヒドロキシル基の導入率を算出した。導入率は以下の数式により求めることができる。
<多孔性金属錯体の活性化方法1>
実施例1〜2及び比較例1で得られた多孔性金属錯体をデシケーター中に置き、40℃に加熱しながら5時間減圧した。次に、デシケーター中に窒素をパージし、デシケーター内が常圧に戻ったことを確認してから多孔性金属錯体を取り出し、後述するガス吸着特性の評価を実施した。
<多孔性金属錯体の活性化方法2>
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、実施例1の多孔性金属錯体をろ紙にのせ、溶媒を吸収させて乾燥させた。2時間後、試料をスクリュー管に入れて1日保存した。翌日、試料をグローブボックスから取り出し、デシケーターに試料を設置し、40℃に加熱しながら5時間減圧した。次に、デシケーター中に窒素をパージし、デシケーター内が常圧に戻ったことを確認してから試料を取り出し、ガス吸着測定を実施した。この活性化方法2は多孔性金属錯体の劣化が生じやすい方法であり、活性化方法1で活性化した多孔性金属錯体の特性に対し、活性化方法2で活性化した多孔性金属錯体の特性の劣化が少ないほど、保存安定性に優れていることとなる。
<ガス吸着特性の測定>
上記2種類の方法で活性化した実施例1〜2及び比較例1の多孔性金属錯体について、温度77K、0.1MPaにおける窒素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図3(実施例1)、図4(実施例2)、及び図5(比較例1)に示す。また、上記2種類の方法で活性化した実施例1〜2及び比較例1の多孔性金属錯体について、BET法により計算した比表面積、及び、窒素ガスの相対圧力(P/P)が0.5のときの窒素吸着量を下記表1に示す。
<水素吸蔵量の測定>
上記活性化処理1を行った実施例1〜2及び比較例1の多孔性金属錯体について、温度77K、4.5MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定にはヒューズ・テクノネット(株)製の超高圧PCT測定装置を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図6(実施例1)、図7(実施例2)、及び図8(比較例1)に示す。また、実施例1〜2及び比較例1の多孔性金属錯体の77K、4.3MPaにおける水素吸蔵量を下記表1に示す。
表1に示した通り、活性化方法1で活性化した多孔性金属錯体のBET比表面積に対する、活性化方法2で活性化した多孔性金属錯体のBET比表面積の低下は、実施例1及び2の方が比較例1よりも少なかった。多孔性金属錯体の研究者の間では、77Kの水素吸蔵量はBET比表面積に比例することは定説として扱われている。したがって、水素吸蔵材の劣化の度合い、すなわち、水素吸蔵量の減少率は、BET比表面積の減少率と相関関係がある。よって、活性化方法2で活性化した場合の多孔性金属錯体の水素吸蔵量は、実施例1(予想:3.1質量%(=7.13×(1−0.56))、実施例2(予想:2.4質量%(=6.78×(1−0.65))、比較例1(予想:1.5質量%(=7.36×(1−0.79))の順で高くなると考えられる。

Claims (3)

  1. 金属クラスターと下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体。

    [式中、mは1〜3の整数を示す。]
  2. 前記金属クラスターが、下記一般式(2);
    (2)
    [式中、Mは金属イオンを示し、Xは周期表第14族〜17族の非金属元素からなるアニオンを示し、pは1〜10の整数を示し、qは1以上の整数を示す。]
    で表される金属クラスターを含む、請求項1記載の多孔性金属錯体。
  3. 前記金属クラスターがZnOを含む、請求項1又は2記載の多孔性金属錯体。
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