(前提技術)
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時は始動口62の真上から落下する遊技球だけが入球できる程度の狭い開口幅となる。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の判定結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例においてセグメントの組合せで表される特別図柄192は、必ずしも文字や数字の体をなしておらず、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってよい。これらの記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の判定結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の判定結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選値の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の判定結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による判定結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
当否抽選手段112は、当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否判定テーブルと事前当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、本判定としての当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の判定結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
当否抽選手段112は、始動口62への入球タイミングにおいては、事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行し、その判定結果を図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。事前判定処理の結果は一時的に保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信される。そのため、サブ基板104の側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。先読みの処理としては、後述するように当否判定、図柄判定、パターン判定の判定結果のすべての情報をサブ基板104に送信して先読み処理として使用する構成としてもよい。または、サブ基板104が、受信した情報のうち一つまたは二つの判定結果のみを使用する構成としてもよい。その他、確変や時短、入球容易状態などの遊技状態に応じて、受信した情報の使用有無や使用する情報の種類を決定してもよい。また、メイン基板102での処理として、遊技の状態に応じて、事前判定の可否、事前判定結果送信の有無、事前判定または事前判定結果送信を行なう情報の種類を適宜設定してもよい。
図5は、事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。当否抽選手段112は、この事前当否判定テーブルを参照し、当否抽選値が「0〜399」の場合は大当りを示す「1」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「400〜2999」の場合は通常状態であれば外れであるが確変状態であれば大当りであることを示す「2」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「3000〜64999」の場合は外れを示す「3」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「65000〜65535」の場合は小当りを示す「4」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選手段112は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を保留の個数とともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。なお、変形例として、当否抽選値の範囲と判定結果の対応関係として、一つの当否抽選値の範囲に複数の判定結果が対応付けられる関係が定義されてもよい。この場合、実際の当否結果とは異なる判定結果となる可能性があるが、必ずしも実際の当否結果とは一致しない不正確な判定結果を意図的に設定することがある対応関係としてもよい。
図3に戻り、図柄決定手段114は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定するとともに、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定を実行する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルと事前図柄判定テーブルを保持する。図柄決定手段114は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する図柄判定を、特に事前図柄判定と区別するために、適宜「本判定としての図柄判定」とも呼ぶ。
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の判定結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の判定結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の判定結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図6は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図6(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図6(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図6(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、本判定としての図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」〜「10」の番号と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「4」が大当りに対応し、「5」〜「9」が小当りに対応し、「10」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
図6(a)に示す通り、特別図柄の種類「0」〜「4」が大当りに対応付けられている。そのうち、種類「0」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。種類「1」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。種類「2」〜「4」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に種類「2」が対応付けられ、「190〜229」に種類「3」が対応付けられ、「230〜255」に種類「4」が対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類ごとの選択確率が定まる。
図6(b)に示す通り、種類「10」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
図6(c)に示す通り、特別図柄の種類「5」〜「9」が小当りに対応付けられている。種類「5」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、種類「6」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。種類「7」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、種類「8」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、種類「9」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
なお、事前図柄判定においても図6のテーブルが事前図柄判定テーブルとして参照される。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、事前図柄判定の結果として特別図柄の種類を示す「0」〜「10」の値を第1の抽選または第2の抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、特別図柄表示装置61および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定してメイン表示制御手段118へ送る。変動パターン決定手段115は、図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。また、変動パターン決定手段115は、パターン抽選値がいずれの変動パターン範囲に該当するかの事前パターン判定を実行する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルと事前パターン判定テーブルを保持する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する変動パターン判定を、特に事前パターン判定と区別するために、適宜「本判定としての変動パターン判定」とも呼ぶ。
図7は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、本判定としての変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図7(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図7(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図7(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図7(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図9において説明する。
図7(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図7(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図8は、事前パターン判定で参照される事前パターン判定テーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否結果が外れの場合に図8(a)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜10」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「11〜20」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「21〜255」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。
変動パターン決定手段115は、当否結果が15R大当りの場合に図8(b)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜120」の場合はその旨を示す「4」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「121〜240」の場合はその旨を示す「5」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「241〜250」の場合はその旨を示す「6」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「251〜255」の場合はその旨を示す「7」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。
変動パターン決定手段115は、当否結果が2R大当りまたは小当りの場合に図8(c)のテーブルを参照し、パターン抽選値が「0〜122」の場合はその旨を示す「8」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。パターン抽選値が「123〜255」の場合はその旨を示す「9」の値を判定結果としてのパターン範囲に設定する。変動パターン決定手段115は、以上のようにパターン範囲を設定するたびにその値を保留の個数とともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく図柄変動の開始を保留し、その当否抽選値を対応する図柄の変動表示開始まで記憶する。本実施例では4個を上限に当否抽選値を保留球として記憶する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116は、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を保留球としてさらに記憶してもよい。ただし、当否抽選値とは別の領域に事前判定の結果を記憶してもよい。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として記憶する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の判定結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、本判定として判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の判定結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選値の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
小当り遊技制御手段121は、当否抽選の判定結果が小当りであったときに小当り遊技を実行する。小当り遊技制御手段121は、小当り遊技として単位遊技を1回だけ実行し、例えば、その単位遊技において大入賞口66を0.5秒、0.5秒の2回にわたって開放する。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否の判定結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による当否の判定結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否の判定結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否の判定結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否の判定結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否の判定結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
図9は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選値の保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選値の保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図11は、図10におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S20のY)、始動口62に対応する賞球数をセットし(S22)、保留制御手段116による保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S24のY)、当否抽選値を取得する(S26)。その当否抽選値に基づいて当否判定する事前判定処理を実行し(S28)、当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S30)。S20において始動口62への入球がない場合はS22からS30までの処理をスキップする(S20のN)。S24において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS26からS30までの処理をスキップする(S24のN)。
一般入賞口72に入球があった場合は(S32のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S34)、一般入賞口72への入球がないときはS34をスキップする(S32のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S36のY)、大入賞口66に対応する賞球数をセットし(S38)、大入賞口66への入球がないときはS38をスキップする(S36のN)。
図12は、図11におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、事前当否判定テーブルを参照して事前当否判定を実行し(S40)、その判定結果として当否範囲を示す値を設定し(S42)、事前図柄判定テーブルを参照して事前図柄判定を実行し(S44)、その判定結果として図柄範囲を示す値を設定し(S46)、事前パターン判定テーブルを参照して事前パターン判定を実行し(S48)、その判定結果としてパターン範囲を示す値を設定する(S50)。以上のように設定された事前判定結果の値が、保留の個数とともに一時的に保存され、サブ基板104の図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信される(S52)。
図13は、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、サブ基板104における先読み処理が実行され(S250)、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行(S252)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行(S254)が、繰り返し処理されることとなる。
図14は、図13におけるS250の先読み処理を詳細に示すフローチャートである。いわゆる先読みによって得られる情報に基づいてどのような演出をサブ基板104において実行するか、また事前判定結果がどのような結果の場合にその結果に応じた演出を実行するかといった基準は、ぱちんこ遊技機10における遊技性の設計に応じて種々考えられる。本実施例においては、「スーパー1」の変動パターンが選択されたことを事前判定処理の結果に基づいてあらかじめサブ基板104側でも認識し、予告演出により大当りの期待度が高いことを演出的に示唆することとする。
サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から事前判定結果を受信した場合(S260のY)、演出表示制御手段134は事前判定結果とともに受信した当否範囲、パターン範囲および保留数の情報に基づいて、その時点での保留数が予告演出の実行に必要な回数以上の図柄変動が確保される保留数となっており(S264のY)、事前判定により設定された当否範囲の値が「1」でパターン範囲の値が「4」の場合、すなわち確変状態であるか否かにかかわらず大当り確定となり、「スーパー1」を伴う場合(S266のY)、事前演出設定をオンにする(S272)。一方、その当否範囲の値がこれと異なる値であっても(S266のN)、事前判定により設定された当否範囲の値が「3」でパターン範囲の値が「1」の場合、すなわち外れ確定にはなるが「スーパー1」を伴う場合にも(S268のY)、事前演出設定をオンにする(S272)。
S268において当否範囲の値とパターン範囲の値が該当しない場合は(S268のN)、S272をスキップする。保留数が所定数に満たない場合は(S264のN)、S266からS272までの処理をスキップする。事前判定処理の結果を受信していない場合は本図のフロー全体をスキップする(S260のN)。なお、本図の例では、事前判定により設定された当否範囲とパターン範囲に基づいて事前演出設定をオンすべきか否かを決定する。変形例としては事前判定結果として送られる当否範囲およびパターン範囲のいずれかの情報を用いて事前演出設定をオンすべきか否かを決定してもよいし、事前演出設定をオンするか否かを別途抽選で決定してもよい。本実施例では、通常時か確変時かを問わず当否判定の結果が大当りとなる値の場合、すなわち大当り確定の場合に事前演出設定をオンにする例を示したが、確変時にのみ大当りとなる場合、あるいは小当りとなる場合に事前演出設定をオンにするようにしてもよい。あるいは、15R大当りまたは2R大当りのときに、事前演出設定をオンにするようにしてもよい。
図15は、図13におけるS252の特別図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、保留制御手段116により当否抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、当否抽選手段112が保留制御手段116から当否抽選値を読み出してあらためて特別図柄192の当否を判定し(S72)、図柄決定手段114が特別図柄192を決定し(S74)、変動パターン決定手段115が特別図柄192の変動パターンを決定し(S76)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。保留制御手段116により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。
すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止し(S82)、本図のフローを終了する。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82の処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
図16は、図13におけるS254の装飾図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S280のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S282)、新たな変動演出パターンを決定する(S284)。ここで、事前演出設定がオンになっていた場合(S286のY)、予告演出の内容を設定して事前演出設定をオフに戻す(S292)。S286において事前演出設定がオンになっていなかった場合はS292をスキップする(S286のN)。その後、装飾図柄の変動表示を開始するとともに予告演出が決定されているときは予告演出を開始する(S296)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS282からS296をスキップする(S280のN)。
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S298のY)、その図柄変動や予告演出の表示処理を実行し(S300)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S302のY)、S282で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで変動表示を停止する(S304)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS304をスキップし(S302のN)、変動表示が開始済みでないときはS300からS304をスキップする(S298のN)。
図17は、図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否の判定結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
図18は、図17におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
図19は、図17におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への9球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、9球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への9球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
図20は、図10におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否の判定結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
図21は、図20におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
図22は、図20におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
(第1実施例)
本実施例においては、メイン基板102からサブ基板104への命令データを連続して送信することにより、命令データ1回分で送信し得るデータサイズを超える量の命令を送信することを可能にする。本実施例のぱちんこ遊技機10は、原則として上述の前提技術をすべて含むが、一部に相違する点も含む。以下、前提技術との相違点を中心に説明する。
命令データは、いわゆるMODEデータと呼ばれる命令種別データと、いわゆるEVENTデータと呼ばれる命令内容データの組合せで構成される。通常の命令では、命令種別データおよび命令内容データで構成される一組の命令データをメイン基板102からサブ基板104へ送信することで一命令を送ることができる。命令種別データは、命令の種別を示す1バイトのビット列であり、あらかじめ命令の種別ごとに開発段階で一意の種別コードを割り当ててある。命令内容データは、命令の内容を示す1バイトのビット列である。ただし、命令種別データおよび命令内容データの最上位ビットは命令種別データと命令内容データのいずれであるかを示す識別ビットである。最上位ビットが1のときは命令種別データであることを示し、最上位ビットが0のときは命令内容データであることを示す。したがって、命令種別データおよび命令内容データに含められるデータ量は実質的に7ビットずつであり、値としては0〜127の値しか通常含めることができない。
メイン基板102に含まれる当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115などの各手段は、7ビットより長いデータ長のビット列で表現される種類数、すなわち128以上の種類数を持つ特殊命令を送信するために複数組の命令データを所定順序で連続的に送信する。すなわち、7ビットを超える命令のビット列を7ビット以内の複数のブロックに分割し、それぞれを命令内容データとして送信する。その上で、連続的に送信した命令データに含まれる命令内容データをサブ基板104の演出決定手段132が所定手順で結合することにより7ビットより長いデータ長のビット列を再構成して「特殊命令」として認識する。
本実施例にいう「所定順序で連続的に」は、例えば同種の命令データを、それらの間に他の命令データを挟まずに連続して送信するとともに、上位ビット側のブロックから下位ビット側のブロックへ順に送信することをいう。ただし変形例としては、下位ビット側のブロックから上位ビット側のブロックへ順に送信する方式でもよいし、所定の規則に基づく順序で送信してもよい。また、他の命令データを挟んだ所定間隔または所定順序で送信してもよく、いずれにしても送信側のメイン基板102と受信側のサブ基板104の双方で同じ規則にしたがって送信および結合ができれば足りる。そのような規則にしたがって、送信のたびに送信順序を変える場合、例えばいわゆるゴト師による不正行為を防止することもできる。
図23は、確変回数を示す命令種別データおよび命令内容データの表を示す図である。本図に示す命令内容データは、図柄変動回数が所定回数に達することを終了条件とする確変(いわゆるSTとも呼ばれる回数区切りの確変)の場合に、その終了条件としての図柄変動回数をその命令内容とする。具体的には、確変回数として1回〜150回のいずれかの値をメイン基板102で決定し、その値をサブ基板104へ送信するために本図の命令データを用いる。150通りの命令は、それぞれ図柄変動回数として「確変回数1」を示す値「0」から「確変回数150」を示す「149」までのいずれかを命令内容とするが、その値は7ビットでは表現できないため、従来の1組分の命令データでは表現できない。そこで、本図の例では7ビットのデータを2組分用いて14ビットのデータとして送信する。ただし、別の命令では3組以上の命令データを用いて21ビット以上のデータとしてもよい。
第1命令表300において、第1欄302には命令内容を示す。第2欄304には命令種別データとして送信する情報を16進数で示す。第3欄306には命令内容データとして送信する情報を16進数で示し、第4欄308にはその情報を2進数で示す。確変回数の特殊命令は2組分の命令データで表現し、これらを連続送信するため、第1欄302に示す一つの命令内容に対し、第2欄304、第3欄306、第4欄308では2つずつの情報を示す。すなわち各欄の上段が1組目の命令データ、下段が2組目の命令データであり、命令種別データに含める情報を第2欄304に示し、命令内容データに含める情報を第3欄306、第4欄308に示す。
例えば、「確変回数150」の命令に対応するデータは、1組目と2組目の双方とも命令種別データは、確変回数命令の種別を16進数で表す「A7」である。ビット列としては「10100111」であり、最上位ビットが「1」であることから、このデータが命令種別データであることが識別される。一方、1組目の命令内容データは16進数で表す「01」、ビット列としては「00000001」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータが命令内容データであることが識別される。2組目の命令内容データは16進数で表す「15」、ビット列としては「00010101」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータも命令内容データであることが識別される。
図24は、2組の命令データに含まれる命令内容データ同士の結合を模式的に示す。本図では前図の「確変回数150」の命令データにおける結合を例示する。2組とも命令種別データは「A7」のビット列である「10100111」であり、これらが連続送信されることでサブ基板104の演出決定手段132はこれらの命令内容を結合すべきであることを認識する。なお、サブ基板104の演出決定手段132は、命令種別データが特定の種別に応じて結合すべきか否かを判定してもよい。
1組目の命令内容データは「00000001」であり、2組目の命令内容データは「00010101」である。演出決定手段132は、それぞれ最上位ビットを除いた下位7ビット同士を結合する。結合規則としては、先に送信されたビット列ほど上位とし、後に送信されたビット列ほど下位とする。これにより、結合された14ビットのビット列「00000010010101」は、10進数でいう「149」であり、「確変回数150」の命令内容を示すことがサブ基板104で認識される。なお、変形例では結合規則として先に送信されたビット列ほど下位とし、後に送信されたビット列ほど上位としてもよい。
図25は、命令データの受信および結合の過程を示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132は、メイン基板102から命令データを受信した場合に(S200のY)、その命令データが連続的な命令であれば(S202のY)、受信した命令内容データの命令部分と一つ前の命令内容データの命令部分とを結合し(S204)、S202へ戻る。S202において、連続的な命令か否かは、一つ前の命令データと同種別であるか否かによって判定するが、変形例においては命令種別が特定の種別であるかによって判定してもよい。S202へ戻った後、再び命令を受信し(S202のY)、その命令が連続的な命令であれば(S202のY)、再び結合し(S204)、連続的な命令でなければ(S202のN)、その命令または結合済みの命令を制御キューに格納する(S206)。S200において命令の受信がなければ受信があるまで受信を監視する(S200のN)。
図26は、遊技時間を示す命令種別データおよび命令内容データの表を示す図である。本図に示す命令内容データは、電源投入時からの経過時間や大当りからの経過時間などの時間情報を「遊技時間」としてメイン基板102からサブ基板104へ送信する内容である。例えば遊技時間に応じてサブ基板104が所定の演出を実行することを前提にメイン基板102が遊技時間をサブ基板104へ送信する。ここでは遊技時間の最小値を1秒とし、最大値を64800秒とする。64800通りの命令は、それぞれ遊技時間として「遊技時間1」を示す「0」から「遊技時間64800」を示す「64799」までのいずれかを命令内容とするが、その値は7ビットでは表現できないため、従来の1組分の命令データでは表現できない。そこで、本図の例では最上位ビット(7番ビット)は命令内容データであることを示すビットとし、5〜6番ビットの2ビットを連続命令の結合順序を示すビットとし、残る0〜4番ビットの5ビットのデータを4組分用いて20ビットのデータとして送信することとする。なお、変形例としては5ビット単位のデータを4組分以外の複数個用いて結合する形でもよい。また、結合順序を示すビットを2ビットではなく、1ビットまたは3ビット以上で構成してもよい。例えば結合順序を示すビットが1ビットであれば命令部分は6ビット以内となり、結合順序を示すビットが3ビットであれば命令部分は4ビット以内となる。
第2命令表310において、第1欄312には命令内容を示す。第2欄314には命令種別データとして送信する情報を16進数で示す。第3欄316には命令内容データとして送信する情報を16進数で示し、第4欄318にはその情報を2進数で示す。遊技時間の特殊命令は4組分の命令データで表現してこれらを連続送信するため、第1欄312に示す一つの命令内容に対し、第2欄314、第3欄316、第4欄318では4つずつの情報を示す。すなわち各欄の上段から下段まで1組目、2組目、3組目、4組目の順に、命令種別データに含める情報を第2欄304に示し、命令内容データに含める情報を第3欄306、第4欄308に示す。
例えば、「遊技時間64800」の命令に対応するデータは、1〜4組目のいずれも命令種別データは、遊技時間命令の種別を16進数で表す「A8」である。ビット列としては「10101000」であり、最上位ビットが「1」であることから、このデータが命令種別データであることが識別される。一方、1組目の命令内容データは16進数で表す「01」、ビット列としては「00000001」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータが命令内容データであることが識別される。また、5〜6番ビットが「00」であることから、このデータの結合順位が上位1番目であることが識別される。2組目の命令内容データは16進数で表す「3F」、ビット列としては「00111111」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータも命令内容データであることが識別される。また、5〜6番ビットが「01」であることから、このデータの結合順位が上位から2番目であることが識別される。3組目の命令内容データは16進数で表す「48」、ビット列としては「01001000」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータも命令内容データであることが識別される。また、5〜6番ビットが「10」であることから、このデータの結合順位が上位から3番目であることが識別される。4組目の命令内容データは16進数で表す「7F」、ビット列としては「01111111」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータも命令内容データであることが識別される。また、5〜6番ビットが「11」であることから、このデータの結合順位が上位から4番目、すなわち最下位であることが識別される。
図27は、4組の命令データに含まれる命令内容データ同士の結合を模式的に示す。本図では前図の「遊技時間64800」の命令データにおける結合を例示する。4組とも命令種別データは「A8」のビット列である「10101000」であり、これらが連続送信されることでサブ基板104の演出決定手段132はこれらの命令内容を結合すべきであることを認識する。なお、サブ基板104の演出決定手段132は、命令種別データが特定の種別に応じて結合すべきか否かを判定してもよい。
1組目の命令内容データの命令は「00000001」であり、2組目の命令内容データは「00111111」であり、3組目の命令内容データの命令は「01001000」であり、4組目の命令内容データは「01111111」である。それぞれ最上位ビットである7番ビットはすべて「0」であり、それぞれの5,6番ビット、すなわち1組目の「00」、2組目の「01」、3組目の「10」、4組目の「11」が結合順序を示す。演出決定手段132は、それぞれ5〜7番ビットを除いた下位5ビット同士を結合する。その上で、結合規則としては、上位から「00」「01」「10」「11」の順に結合する。これにより、結合された20ビットのビット列「00001111110100011111」は、10進数でいう「64799」であり、「遊技時間64800」の命令内容を示すことがサブ基板104で認識される。結合の手順は、図25に示す通りである。
以上のように複数の命令データを用いることにより、7ビットを超える値を効率よく送信することができる。また、1つの命令に対して複数の命令データを用いるものの、命令種別データとしては1種類だけ種別を割り当てるだけでよく、現状で128通りしか持つことができない種別の割り当て浪費を避けることができる。より大きな値を送信する場合にはその分、連続送信回数を増やすだけでよいため、理論上は上限なくデータ量を増やすことができる方式である。
なお、複数組の命令データの送信中に、遊技機内のノイズ等の影響による通信エラーで一部の命令データが欠落したような場合、そのときに連続送信するすべての命令データを受信側で破棄する。一部でも命令データが欠落すれば完全な結合はできず、データの整合がとれないためである。ただし、欠落したデータの前後で異なる種別の命令データを受信していた場合、欠落前の命令データはすべて受信できているかどうか、すなわち欠落したデータが欠落前の命令データと連続するデータであったかどうかは判別できない。そのような事態を避けるための変形例として、命令データの所定番目のビットを「終端ビット」とし、そのビットを用いてその命令データが連続命令の最後の命令であることを明示してもよい。その場合、欠落前の命令データにおける終端ビットが終端であることを示していれば、欠落前の命令データが終端であったことを認識できるので、それまで受信した命令データを破棄せずに済む。逆に欠落前のデータにおける終端ビットが終端でないことを示していれば、欠落した命令データが終端であったことを認識できるので、欠落前の命令データも含めてデータを破棄することとなる。
また上記実施例では、命令のビット列を複数のブロックに分けて生成した複数の命令データを、上位ビット側のブロックから下位ビット側のブロックへ順に送信する例を説明した。変形例としては、下位ビット側のブロックから上位ビット側のブロックへ順に送信するとともに、命令データの所定番目のビットを「終端ビット」とし、そのビットを用いてその命令データが連続命令の最後の命令であることを明示してもよい。その場合、命令内容の値が下位ビット側のブロックのみで表現できるほど相対的に小さいとき、表現に必要な数の命令データさえ送信すれば、さらに上位ビット側のブロックを送信しなくとも命令を再構成することは可能である。例えば図26の第2命令表310における「遊技時間1」「遊技時間2」「遊技時間3」のように最下位の命令データのみで命令を表現できる場合、下位ビット側の命令データの終端ビットをオンしてその命令データのみを送信すれば足りる。これにより、データの送信量を抑えてより効率的な通信が可能となる。
(第2実施例)
本実施例では2組の命令データを用いて7ビットを超える命令を表現するが、一つの命令に用いる2組の命令データのそれぞれに別々の命令種別を割り当てて表現する点で第1実施例と異なる。以下、前提技術および第1実施例との相違を中心に説明する。
メイン基板102に含まれる当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115などの各手段は、7ビットより長いデータ長のビット列で表現される種類数、すなわち128以上の種類数を持つ特殊命令を送信するために第1の組および第2の組を含む少なくとも二組の命令データを用いる。また、種類数の値を複数に分割した値範囲のうち値範囲とその値範囲内の番号とを指定する形で特殊命令の種類を示す。まず、1組目の命令種別データは値範囲を指定する種別であることを示し、その組の命令内容データにより値範囲を指定する。2組目の命令種別データは値範囲内の番号を指定する種別であることを示し、その組の命令内容データにより値範囲内の番号を指定する。
図28は、第2実施例における確変回数を示す命令種別データおよび命令内容データの表を示す図である。本図に示す命令の種類は第1実施例における図23の命令の種類と同じである。すなわち、確変回数として1回〜150回のいずれかの値をメイン基板102で決定し、その値をサブ基板104へ送信するために本図の命令データを用いる。150通りの種類数をもつ本図の特殊命令は、それぞれ図柄変動回数として「確変回数1」を示す値「0」から「確変回数150」を示す「149」までのいずれかを命令内容とするが、その値は7ビットでは表現できない。そこで、150通りの種類数の範囲を7ビットずつの範囲、すなわち128ずつの範囲のブロックに分け、値範囲を指定する値とその値範囲内の番号を指定する値の組合せで命令を表現する。なお、本図の例では150通りの種類数であるため、2つのブロックに分けているが、さらに大きな値であれば3ブロック以上、128ブロック以内のブロックに分けることもできる。
第3命令表320において、第1欄322には命令内容を示す。第2欄324には命令種別データとして送信する情報を16進数で示す。第3欄326には命令内容データとして送信する情報を16進数で示し、第4欄328にはその情報を2進数で示す。確変回数の特殊命令は2組分の命令データで表現してこれらを連続送信するため、第1欄322に示す一つの命令内容に対し、第2欄324、第3欄326、第4欄328では2つずつの情報を示す。すなわち各欄の上段が1組目の命令データ、下段が2組目の命令データであり、命令種別データに含める情報を第2欄324に示し、命令内容データに含める情報を第3欄326、第4欄328に示す。
例えば、「確変回数150」の命令に対応するデータは、1組目の命令種別データは16進数で表す「A7」であり、この種別は確変回数命令における値範囲を示す種別である。ビット列としては「10100111」であり、最上位ビットが「1」であることから、このデータが命令種別データであることが識別される。2組目の命令種別データは16進数で表す「A8」であり、この種別は確変回数命令における値範囲内の番号を示す種別である。ビット列としては「10101000」であり、最上位ビットが「1」であることから、このデータも命令種別データであることが識別される。一方、1組目の命令内容データは16進数で表す「01」、ビット列としては「00000001」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータが命令内容データであることが識別される。2組目の命令内容データは16進数で表す「15」、ビット列としては「00010101」であり、最上位ビットが「0」であることから、このデータも命令内容データであることが識別される。
例えば「確変回数150」の命令データにおける値の認識手順を例示する。1組目の命令種別データは「A7」のビット列である「10100111」であり、2組目の命令種別データは「A8」のビット列である「10101000」であり、これらが連続送信されることでサブ基板104の演出決定手段132はこれらの命令内容を結合すべきであることを認識する。なお、サブ基板104の演出決定手段132は、命令種別データが特定の種別に応じて結合すべきか否かを判定してもよい。
1組目の命令内容データは「00000001」であり、1番目の値範囲を指定する。本図の例で前提とされる値範囲は、0番目の値範囲が「0〜127」であり、1番目の値範囲が「128〜255」であり、2番目の値範囲が「256〜383」であり、4番目の値範囲が「384〜511」である。このように値範囲は128ずつのブロックで分けられている。2組目の命令内容データは「00010101」である。したがって、1番目の値範囲「128〜255」のうちの「00010101」、すなわち21番目の値であることが演出決定手段132によって特定される。指定する値範囲内の番号に、指定する値範囲の最小値を定数として加算すれば命令内容の値が求まる。ここでは、「21」に、値範囲の最小値である「128」を定数として加算した「149」が求める値であり、「確変回数150」に対応する値であることが演出決定手段132により認識される。
図29は、変動回数を示す命令種別データおよび命令内容データの表を示す図である。本図に示す命令の種類は、電源投入時や特別遊技終了後からの通算図柄変動回数を「変動回数」としてメイン基板102からサブ基板104へ送信する内容である。例えば変動回数に応じてサブ基板104が所定の演出を実行することを前提にメイン基板102が変動回数をサブ基板104へ送信する。ここでは変動回数の最小値を0回とし、最大値を8000回とする。8001通りの命令は、それぞれ「変動回数0」を示す「0」から「変動回数8000」を示す「8000」までのいずれかを命令内容とするが、その値は7ビットでは表現できないため、従来の1組分の命令データでは表現できない。そこで、8001通りの種類数の範囲を7ビットずつの範囲、すなわち128ずつの範囲のブロックに分け、値範囲を指定する値とその値範囲内の番号を指定する値の組合せで命令を表現する。
第1命令表330における第1欄332、第2欄334、第3欄336に示される情報は、第3命令表320における第1欄322、第2欄324、第3欄326と同様である。例えば、「変動回数8000」の命令に対応するデータは、1組目の命令種別データは16進数で表す「A7」であり、変動回数命令における値範囲を示す種別である。命令内容データは16進数で表す「3E」、ビット列としては「00111110」であり、62番目の値範囲を指定する。2組目の命令種別データは16進数で表す「A8」であり、変動回数命令における値範囲内の番号を示す種別である。命令内容データは16進数で表す「40」、ビット列としては「01000000」であり、値範囲内の21番目であることを示す。したがって、62番目の値範囲における21番目の値、すなわち「8000」が特定され、「変動回数8000」の命令が認識される。
なお、本実施例における命令種別データでは、7ビットずつの値範囲をブロック分けすることで128の値範囲に分けることができる。変形例としては、例えば6ビット以下の値範囲、すなわち64の値範囲や32の値範囲などの値範囲で分けることとしてもよい。これにより命令種別データ内に1ビット以上の空きビットを設けることができ、その空きビットに別の情報を割り当てることもできる。また、本実施例における命令内容データでは7ビット以内の情報をもたせている。変形例としては6ビット以下の情報とすることで命令内容データ内に1ビット以上の空きビットを設けることができ、その空きビットに別の情報を割り当てることもできる。
他の変形例として、値範囲を7ビットの値で指定するのではなく、0番ビットから6番ビットのうちいずれか一つだけをオンするとともに、何番目のビットをオンするかによって値範囲を指定してもよい。例えば、0番ビットがオンであれば値範囲「0〜127」の指定となり、1番ビットは値範囲「128〜255」の指定となる。同様に、2番ビットは値範囲「256〜383」、3番ビットは値範囲「384〜511」、4番ビットは値範囲「512〜639」、5番ビットは値範囲「640〜767」、6番ビットは値範囲「768〜895」の指定となる。また、ビット番号と値範囲の関係が逆順であってもよい。このようにビット列を7つのブロックで分けられる値、すなわち命令内容が0〜895の値である場合に、この変形例における方式で値範囲を指定することができる。
以上のように2組の命令データを用いることにより、7ビットを超える値を効率よく送信することができる。また、1つの命令に対して異なる2つの種別を割り当てる必要があるものの、情報量としては128x128=16384通りの種類の命令を送信することができ、情報量を大幅に増加できる。
なお、通信エラーで一部の命令データが欠落した場合であって、そのエラー直前に受信した命令データが値範囲の種別を示す命令データであった場合、欠落したのは連続送信された値範囲内の番号の種別を示す命令内容データであったと判定し、両方の命令データを破棄する。いずれが欠けても元の命令を再構成できないためである。同様に、通信エラーで一部の命令データが欠落した場合であって、そのエラー直後に受信した命令データが値範囲内の番号の種別を示す命令データであった場合、欠落したのは連続送信された値範囲の種別を示す命令内容データであったと判定し、両方の命令データを破棄する。このように、エラー前後の命令データが連続送信に係る命令データか否かを命令種別データによって判別することができるので、前後の命令データを破棄すべきか否かも容易に判別できる。
尚、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。