JP2014190389A - 蒸気弁 - Google Patents

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Kodai Inoue
広大 井上
Katsunori Sugita
克紀 杉田
Masaru Fujiwara
優 藤原
Hiroki Tanabe
裕樹 田邉
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Abstract

【課題】金属材とマイカでなるシールリングと膨張黒鉛製のグランドパッキンとを備える軸封機構を有する蒸気弁にて、良好なシール性を維持しながら、酸化による膨張黒鉛の重量減少に起因する漏洩増大が抑制され、長寿命化や信頼性向上が図れるように改善する。
【解決手段】蒸気弁において、軸封機構Sは、パッキン押え17と、マイカ製のグランドパッキン18の1個と、金属材とマイカシートとの積層体でなるシールリングrの2個と、膨張黒鉛製のグランドパッキンpの5個と、シールリングrの2個と、マイカ製のグランドパッキン18の1個とがこの順で大気側から流体側に向かって並ぶ状態で、弁軸8と弁箱4とで形成される筒状のシール用空間部12に装填される構成を有するとともに、5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンpにおける大気側の2個のものは、それらの大気側かつ径外側となる角周部20aがマイカ材で成る複合パッキン20に構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、蒸気原動所の変圧起動バイパス系統などに好適に用いられる蒸気弁に関するものである。
この種の蒸気弁は、例えば、特許文献1において開示されるように、事業用ボイラの起動バイパス系統などに用いられるものが知られている。即ち、前記特許文献1の第1図に示されるように、蒸気弁〔高差圧調節弁〕(10)は、入口流路(11)及び出口流路(12)並びに弁室(13)を備えるケーシング(14)を有して構成されている。
蒸気弁は、高温の蒸気での配管途中に設置されるため、弁軸と弁箱との間をシールする軸封機構には高温の蒸気に対する配慮が必要である。その軸封機構として、従来では、特許文献2や特許文献3において開示される手段が知られている。即ち、従来の軸封機構は、金属材とマイカとを積層してなるシールリング(リング状シール)と、膨張黒鉛でなるグランドパッキンとのそれぞれを単数又は複数組み合わせて配列するとともに、パッキン押えで押付ける構造のものであった。
しかしながら、前記従来技術による構成の軸封機構では、時間の経過と共にグランドパッキンにおける膨張黒鉛の酸化による重量減少が生じることが分ってきた。その原因としては、大気側から酸素(空気)が侵入することによるものであると考えられ、前記重量減少により体積減少となり、延いては許容できない漏洩を招くおそれがあるため、何らかの対策が必要になってきた。
特開平02−150585号公報 特開平04−347068号公報 特開2012−041886号公報
本発明の目的は、金属材とマイカとから形成されるシールリングと、膨張黒鉛製のグランドパッキンとの組み合わせでなる軸封機構を備える蒸気弁において、良好なシール性を維持しながらも、酸化によるグランドパッキンの重量減少に起因する漏洩増大が抑制又は防止され、弁としての長寿命化や信頼性の向上が図れるようにする点にある。
請求項1に係る発明は、弁箱4に装備される弁座7と、前記弁座7との間を通る蒸気量を調節可能な弁体9と、前記弁体9を前記弁座7に対して遠近移動させるために前記弁体9に一体化される弁軸8と、前記弁軸8と前記弁箱4との間をシールする軸封機構Sとを有する蒸気弁において、
前記軸封機構Sは、パッキン押え17と、マイカ製のグランドパッキン18の1個と、金属材25とマイカシート24との積層体でなるシールリングrの2個と、膨張黒鉛製のグランドパッキンpの5個と、前記シールリングrの2個と、前記マイカ製のグランドパッキン18の1個とがこの順で大気側から流体側に向かって並ぶ状態で、前記弁軸8と前記弁箱4とで形成される筒状のシール用空間部12に装填される構成を有するとともに、5個の前記膨張黒鉛製のグランドパッキンpにおける大気側の2個のものは、それらの大気側かつ径外側となる角周部20aがマイカ材で成る複合パッキン20に構成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の蒸気弁において、
前記角周部20aは、前記膨張黒鉛製のグランドパッキンpにおける大気側かつ径外側となる箇所に貼り付けられたマイカシートで形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の蒸気弁において、
前記シールリングrは、前記弁軸8の軸心Qに対する径方向で切った場合の断面形状が、前記軸心Q方向に突出するV字形となる状態に形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンpの両端それぞれに、軸心方向で外側から1個のマイカパッキンと2個のシールリングとを設けて配列される軸封機構により、優れたシール性を備えることができる。
加えて、1個のマイカパッキン及び2個のシールリングrを大気側及び流体側に配列し、かつ、それらの間に配置される5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンにおける大気側から2個を、大気側で径外側となる角周部がマイカで成る複合パッキンとする工夫により、特に大気側からの酸素のシール用空間部への侵入を極力なくして膨張黒鉛製のグランドパッキンにおける酸化による重量減少が激減するようになる。
その結果、軸封機構においては、良好なシール性を維持しながらも、酸化によるグランドパッキンの重量減少に起因する漏洩増大が抑制又は防止され、従って、長寿命化や信頼性の向上が図れる蒸気弁を提供することができる。
請求項2の発明によれば、複合パッキンにおけるマイカ製の角周部を、マイカシートの貼り付けによって形成する手段を採るものであるから、膨張黒鉛製のグランドパッキンにおける角周部の厚さの均一化や生産効率の高効率化が可能となる利点が追加される。
請求項3の発明によれば、シールリングの断面形状をV字状としてあるので、内径はシール用空間部の内径よりも大きめに、かつ、外径はシール用空間部の外径よりも小さめにできて、軸封機構としての組付け時には組付け易いとももに、組付後には平たくなって径方向に拡がり変形し、より確実なシール性を発揮できる利点が追加される。
蒸気弁の概略構造を示す全体図(実施例1) 図1の蒸気弁における軸封機構部位を示す要部の断面図 軸封機構のシール要素群における配列構造を示す要部の断面図 (a)第1シールリングの構造を示す拡大断面、(b)は第2シールリングの構造を示す拡大断面 複合パッキンを示す一部切欠きの斜視図 各種構造のシール要素群と重量減少及び漏れとの関係を示す図表 軸封機構の試験装置を示す模式図 マイカシートの可撓性を示す図表 シールリングの性能を示す図表
以下に、本発明による蒸気弁の実施の形態を、事業用ボイラの起動バイパス系統に用いられる高差圧調節弁として図面を参照しながら説明する。
〔実施形態1〕
高差圧調節弁Vは、図1に示すように、入口及び出口流路1,2、弁室3を備える弁箱(ケーシング)4を有している。弁箱4には、上弁体ガイド5と下弁体ガイド6とが固定配置され、上弁体ガイド5と弁軸(弁棒)8との間をシールする軸封機構Sが装備されている。
下弁体ガイド6は、入口流路1と出口流路2とを連絡する弁座7を備えている。上弁体ガイド5と下弁体ガイド6は、弁軸8に一体の弁体9を摺動可能に支持している。
弁体9は、弁座7に対向するように設けられ、弁座7を起点としての上方移動及び下降復帰が可能であって、弁体9に設けられたシート面10を弁座7に設けられたシート面(符記省略)に対して当接したり離れたりすることが可能に構成されている。
下弁体ガイド6における弁体9を摺動可能に支持する部分には、ケージ11が装着されている。下弁体ガイド6及びケージ11には、それぞれ多数の小孔13,14が形成されている。ケージ11の小孔14は、弁体9によって開閉可能であり、開き状態では入口流路1から環状流路15に流入し、下弁体ガイド6の小孔13を経て弁体9の周りに流入しようとする流体流線を制御する。
また、弁体9におけるシート面10の下部には、シート面10より弁中心軸側への凹面状をなして縮径されながら下方突出する整流面16が形成されている。この整流面16により、小孔14から流出する流体が出口流路2の出側に向けて円滑に案内される。
次に、軸封機構Sについて説明する。軸封機構Sは、図2,図3に示すように、弁軸8と上弁体ガイド5との間をシールするものであり、弁軸8と上弁体ガイド5とで形成されるシール用空間部12に設けられている。
シール用空間部12は、上弁体ガイド5の内周面5a及び段差部5bと弁軸8とで形成される略無蓋筒状の空間部である。なお、19は、上弁体ガイド5の段差部5bと軸封機構Sとの間に介装される筒状のスペーサである。
軸封機構Sは、弁軸8の軸心Q方向におけるねじ部8a側(図2の紙面上側)からシート面10側に向けて、パッキン押え17、マイカ製のグランドパッキンであるマイカパッキン18の1個と、金属材とマイカシートとの積層体でなるシールリングrの2個と、膨張黒鉛製のグランドパッキンpの5個と、前記シールリングrの2個と、前記マイカパッキン18の1個とをこの順に並べてシール用空間部12に装填することで構成されている。そして、5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンpにおける大気側の2個(図2の紙面上側から2個)のものは、それらの大気側かつ径外側となる角周部20aがマイカ材で成る複合パッキン20に形成されるとともに、残り3個のものは、膨張黒鉛で成る単一パッキン(マイカ製角周部20aの無い膨張黒鉛製のグランドパッキン)21に形成されている。
単一パッキン21は、図2,3に示すように、膨張黒鉛テープを巻回して金型成形した成形パッキンであり、径方向で切った断面の形状は矩形を呈している。この単一パッキン21は次のような工程を経て作製される。
まず、密度1.0g/cm 、厚さ0.38mmの膨張黒鉛テープを、幅25mmで長さ3440mmとなるように切断する。膨張黒鉛の厚さに限定はないが、0.25mm〜0.50mmが好適である。
次に、前記の長さ3440mmの膨張黒鉛テープを巻回して金型に投入し、所定の成形面圧で成形し、内径31.9mm、外径57.1mmの帯環状で断面が正方形となる見掛け密度1.4g/cmの成形体、即ち、単一パッキン21が形成される。
図2,3に示されるマイカパッキン18の作り方(製造方法)は次のとおりである。まず、マイカシート、より好ましくは金マイカ(phlogopite)を80%以上含有するマイカシートを切断して、所定の幅及び長さを有するマイカテープを作る。
次に、前記マイカテープを巻回して金型に投入して成型し、内径31.9mmで外径57.1mmの環状帯で断面が正方形となる成形体を作る。
それから、所定の成形面圧で成形し、密度1.6g/cmの成形体、即ち、マイカパッキン18を得ることができる。
複合パッキン20は、図2,3及び図5に示すように、膨張黒鉛でなるパッキン体20Aと、その軸心Qに対する径外側の一つの角部分がマイカ材で形成されている構造のものであり、言わば単一パッキン21にマイカ製の角周部20aが形成されたようなパッキンである。複合パッキン20は、次のような工程により作製される。
まず、密度1.0g/cm 、厚さ0.38mmの膨張黒鉛テープを、幅25mmで長さ3440mmとなるように切断する。
次に、前記の長さ3440mmの膨張黒鉛テープを巻回して金型に投入し、所定の成形面圧で成形し、内径32mm、外径56mmの帯環状で断面が正方形となる見掛け密度1.2g/cmの成形体、即ち、膨張黒鉛予備成型体を得る。
一方、マイカシートを幅8mmで長さ182mmのテープ状に切断し、その切断されたテープ状のマイカシート、即ち、マイカテープに長手方向に屈曲を許容する切欠き部を形成する。
切欠き部が設けられた前記マイカテープを、膨張黒鉛予備成型体の外円周の一つの角を覆うように、アクリルゴム系接着剤により接着する。なお、接着剤の種類は問わないし、粘着剤であってもよい。
次に、マイカテープが貼付けられた膨張黒鉛予備成型体を金型に投入し、所定の成型面圧で成型することにより、内径31.9mmで外径57.1mmの環状帯で断面が矩形(正方形)となる成形体であって、密度1.45g/cmのマイカが貼り付けられた膨張黒鉛成型体のグランドパッキン、即ち、複合パッキン20が得られる。
シールリングrは、図3,4に示すように、その径方向で切断した場合の断面形状が、軸心Q方向に突出するV字形となる状態に形成されるとともに、第1シールリング22と第2シールリング23との2種類がある。
第1シールリング22は、図4(a)に示すように、V字形の折れ曲がりにおける谷側に位置する環状のマイカシート24と、山側に位置する環状のステンレス箔などの金属材25とが接着剤を用いて積層一体化されて成る構造のシールリングrである。
第2シールリング23は、図4(b)に示すように、V字形の折れ曲がりにおける谷側に位置する環状のステンレス箔などの金属材25と、山側に位置するマイカシート24とが接着剤を用いて積層一体化されて成る構造のシールリングrである。
マイカシート24はシート状のマイカから打ち抜かれて形成された環帯状体であり、その厚さは、0.2mm〜1.0mmの範囲に設定される。金属材25の一例としてのステンレス箔25の厚さは、0.03mm〜0.1mmの範囲に設定される。マイカシート24もステンレス箔25も断面がV字形状に形成され、接着剤は熱硬化性の接着剤が望ましいが、熱可塑性の接着剤や粘着剤でも良い。
軸封機構Sを組付けるには、図3に示すように、シール用空間部12にシール要素群gを、例えば、1個のマイカパッキン18、2個の第2シールリング23(r)、2個の複合パッキン20、3個の単一パッキン21、2個の第1シールリング22(r)、及び1個のマイカパッキン18をこの逆順で落とし込み配置し、次いでパッキン押え17の押圧筒部17Aを入れ込む。
それから、パッキン押え17フランジ部17aの貫通孔(符記省略)にボルト26を通
してから、上弁体ガイド5に形成されている雌ねじ5cに螺着させて締込んでシール要素群gを軸心Q方向に圧縮することにより、軸封機構Sをシール用空間部12に装填しての組付が行われる。この場合のシール要素群gは、前述のように、2個のマイカパッキン18と、2個のシールリングrと、5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンpとから成る。
なお、組付前の自由状態においては、図3に示すように、各シールリングr及び各グランドパッキン18,pそれぞれの内径は弁軸8の径よりも僅かに大きく、かつ、それぞれの外径は内周面5aの径よりも僅かに小さい寸法に形成されている。従って、各シールリングr及び各グランドパッキン18,pは、シール用空間部12への装填が軽く行える好都合なものとなっている。
パッキン押え17による所定の圧力が作用した組付状態では、図2の吹き出し図のように、断面V字形の各シールリングrが軸心Q方向に圧縮されて径方向に拡がり変形した平らなリングとなり、弁軸8の外周面8b及び上弁体ガイド5の内周面5aに圧接されるとともに、各グランドパッキン18,pも軸心Q方向の圧縮によって径方向に拡がり変形し、弁軸8の外周面8b及び上弁体ガイド5の内周面5aに圧接される。これにより、弁軸8と上弁体ガイド5との間が良好にシールされる。なお、パッキン押え17は、ボルト26が挿通されるフランジ状部分(符記省略)と、上弁体ガイド5に内嵌されるボス状部分(符記省略)とが別体となる構造でも一体となる構造でも良い。
〔マイカシートの厚さ、可撓性について〕
シールリングrに用いられるマイカシート24を、図8に示すように、種々の厚みのシート状マイカから打ち抜いて内径31.6mm、外径57.4mmのリングを作製する。このリングを所定の成形金型に投入して面圧5N/mmでプレス成形した試験用マイカリングを作製し、外観の目視チェックにより亀裂の有無を確認した。
それら試験用マイカリングは前述のマイカシート24を模擬している。この試験用マイカリングの目視チェックが、図4に示す1回目の亀裂の有無である。つまり、「1回目」とは、V字状断面の挟角が所定角度に設定された自由状態のことである。
その後、2枚の平板の間に試験用マイカリングを挟み、面圧5N/mmで再びプレス成形して締付時(組付時)を模擬した締付後マイカリングとし、外観の目視チェックにより亀裂の有無を確認した。この締付後マイカリングの目視チェックが、図4に示す2回目の亀裂の有無である。つまり、「2回目」とは、締付によりV字状断面が変形して挟角が前述の所定角度から平ら又は平らに近い緩い角度に変化した使用状態のことである。
結果は、図8に示すように、厚みが1.0mmを超える場合(1.3、1.7:単位mm)は、1回目又は2回目の少なくともいずれかにおいて外観での亀裂が視認された。厚みが1.0mm以下の場合(0.05、0.2、0.5、0.7、1.0:単位mm)は、1回目及び2回目のいずれにおいても外観での亀裂は視認されなかった。従って、マイカシート24の可撓性は、その厚みが1.0mm以下のものにおいて優れている。
マイカシートの厚みが1.0mm超えの場合、可撓性に乏しいため、変形によりマイカシート24に亀裂が入り易い。この亀裂は、シールリングrと、シールリングrの流体側に配置されるシールリングr又はグランドパッキンp,18との接触面での漏洩経路となるおそれがある。或いは、前記亀裂は、シールリングrとパッキン押え17との接触面での漏洩経路となるおそれがあり、従って、所期のシール性能を発揮できない。また、マイカシートの厚みが0.2mm未満の場合は、グランド部(弁軸8の外周面8bや上弁体ガイド5の内周面5a)との馴染み性に劣るため、所期するシール性能を発揮できない。
〔ステンレス箔の厚さ〕
ステンレス箔(金属材25)の厚さが0.1mm超えの場合、締付時にシールリングrにおける断面のV字形が平らに変形し難いことが知見された。平らにならずV字形のままであると、流体側に配置される構造物(シールリングrやグランドパッキン18,p等)に山折りの角部が突き刺さるように当接するため、応力伝達が不均一になり易い傾向がある。また、ステム外径(弁軸8の外周面8bの径)及びボックス内径(上弁体ガイド5の内周面5aの径)に密着し得ない。
ステンレス箔(金属材25)の厚さが0.03mm未満の場合は、シールリングrの成形後におけるV字状断面を保持できないようになる。
〔シールリング単独でのシール性〕
マイカシート24及びステンレス箔25それぞれの厚みを種々に変更設定(図9参照)して組合せた各種のシールリングrを作製し、ステム径31.8mmボックス内径57.2mm、グランド深さ10.2mmのグローブ弁に2枚重ねで装備してテストした。テスト条件は、流体として窒素ガスを用い、圧力0.1MPa、温度25℃、グランド締付圧10N/mmである。
テスト結果は、図9に示すように、0.05mm<マイカシート24の厚み<1.3mmで、かつ、0.01mm<ステンレス箔25の厚み<0.3mmにおいて、良好となることが判明した。
次に、軸封機構Sに用るシール要素群gを、シールリングrとグランドパッキン18,pの組み合わせの配列や個数を変えたものとして複数種類用意し、そして試験装置Aにてテストした。次に、その試験方法や試験結果について説明する。
軸封機構Sの試験装置Aは、図7に示すように、パッキン試験部30と、ハンドポンプPと、圧力計36などを備えて構成されている。
パッキン試験部30は、軸心Xを持つ円形状で行き止まり状の軸封穴32が形成されたパッキンボックス31と、その軸封穴32に嵌入されるテスト軸33と、パッキンボックス31とテスト軸33とで形成される筒状のテスト用空間部34に嵌合する押圧部35aを備えたテスト用パッキン押え35、締付用のボルト・ナット40などから構成されている。テスト軸33の末端にはフランジ部33Aが形成され、その外径を軸封穴32の内周面32aの径より僅かに小さく設定することで周状流路38が形成されている。
フランジ部33Aには、軸心Xにて軸端に開口する状態で周状流路38に連通する内部流路37が形成されており、その内部流路37に軸心Xに沿って連通する貫通孔31aがパッキンボックス31に形成されている。そして、ハンドポンプPの吐出側流路39が貫通孔31aに連通するようにパッキンボックス31に接続されており、吐出側流路39には圧力計36が接続されている。パッキンボックス31は、図1に示す蒸気弁Vなどの弁のグランド部を模した圧力容器として形成されている。
試験は、「耐水圧試験」と「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」とを行い、それらの試験方法は次のとおりである。まず、テスト用空間部34(例:ステム径31.8mm、ボックス内径57.2mm、グランド深さ102mm)に装填されているシール要素群g、(シールリングr、グランドパッキン18,pの組み合わせ)を、ボルト・ナット40を締付けてテスト用パッキン押え35で軸心X方向に圧縮(例:締付圧60N/mm)し、所定のシール機能が発揮される状態に組付ける。図7は、実施例1の構造によるシール要素群gを描いてある。
〔耐水圧試験〕
耐水圧試験は、上述のような締付状態のパッキン試験部30において、ハンドポンプPを操作して周状流路38に、1MPaから36MPaの圧力水を徐々に増しながら供給し、テスト用パッキン押え35の径内外から、即ち、グランド部から水が漏れ始めるときの水の圧力(漏洩開始圧力)を測定した。シール要素群gを種々に変更設定(比較例1〜比較例6、及び実施例1)しての試験結果を図6に示す。
〔電気炉内での加熱後の耐水圧試験〕
まず、前記締付状態のパッキン試験部30を、締付圧60N/mmとした状態で電気炉(図示省略)に投入して、温度700℃で400時間加熱する、という電気炉内での加熱工程を行う。
次いで、パッキン試験部30を電気炉から出して除冷してから、締付圧60N/mmで増し締めを行う。増し締め後に、ハンドポンプPを操作して周状流路38に1MPaから36MPaの圧力水を徐々に増しながら供給し、グランド部から水が漏れ始めるときの水の圧力(漏洩開始圧力)を測定した。シール要素群gを種々に変更設定(比較例1〜比較例6、及び実施例1)しての試験結果を図6に示す。
図6の図表に、各シール要素群gを用いた場合における試験装置Aによる試験結果、即ち、耐水圧試験及び電気炉内での加熱後の耐水圧試験のそれぞれの試験結果を、グランド部からの漏洩が現れ始めたときの水圧を単位:MPaとして示してある。ここで、比較例1〜6によるシール要素群gの構成を説明する。
比較例1のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、単一パッキン21(p)の1個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
比較例2のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、単一パッキン21(p)の2個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
比較例3のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、単一パッキン21(p)の3個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
比較例4のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、単一パッキン21(p)の4個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
比較例5のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、単一パッキン21(p)の5個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
比較例6のシール要素群gは、図6に示すように、大気側から流体側に向けて第1シールリング22(r)の2個、複合パッキン20(p)の52個、単一パッキン21(p)の3個、第2シールリング23(r)の2個をこの順で並べた構造のものである。
いずれの比較例においても、膨張黒鉛製のグランドパッキンpのグランド部の隙間(パッキン押え17と上弁体ガイド5との隙間、パッキン押え17と弁軸8との隙間、シール要素群gと上弁体ガイド5との隙間、シール要素群gと弁軸8との隙間)のはみ出し防止のため、大気側及び流体側の双方にシールリングrを配置した。
実施例1のシール要素群gは、図6,図3に示すように、大気側から流体側に向けてマイカパッキン18の1個、第1シールリング22(r)の2個、複合パッキン20(p)の52個、単一パッキン21(p)の3個、第2シールリング23(r)の2個、マイカパッキン18の1個をこの順で並べた構造のものである。
比較例1〜5の試験結果より、膨張黒鉛製のグランドパッキンpの個数が多くなるほどに、「耐水圧試験」における漏洩開始圧力も大きくなり、その個数を4個から5個に増やした際の漏漏洩開始圧力の増え方が著しく大となった。
即ち、図6より、前記増え方は、膨張黒鉛製のグランドパッキンpの個数が1個→2個では2−1=1、2個→3個では3−2=1、3個→4個では12−3=9、4個→5個では36−12=24となっていることから理解できる。従って、膨張黒鉛製のグランドパッキンpは5個以上設けることが望ましい。
比較例1〜4のものでは、「耐水圧試験」での漏洩開始圧力が低過ぎて使い物にならないため、条件が厳しくなる「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」は、比較例5,6及び実施例1によるシール要素群gにおいて行うこととした。
その結果、「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」での比較例5における漏洩開始圧力は1MPa以下であった。そして、その試験後においては、大気側から一つ目と二つ目の膨張黒鉛製のグランドパッキンp(単一パッキン21)が大きく酸化消失されていることが確認された。特に、それら単一パッキン21の大気側、かつ、外周側における酸化消失の著しいことが知見された。
比較例6によるシール要素群gは、比較例5における前記試験結果から鑑みて構成されている。即ち、大気側からの空気の侵入による酸化消失を防ぐため、大気側かつ外周側の角周部20aが貼り付けられたマイカシートで形成される複合パッキン20を大気側から一つ目及び二つ目の膨張黒鉛製のグランドパッキンpとして設定されたものであり、残りの3個は単一パッキン21である。
「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」を行った結果、漏洩開始圧力は11MPaであった(図6参照)。試験後の膨張黒鉛製のグランドパッキンpを目視確認したところ、大気側から一つ目と二つ目のもの、即ち2個の複合パッキン20のそれぞれに依然として酸化消失が見られたが、その程度は比較例5の場合に比べて明確に改善されている。また、極僅かではあるが、単一パッキン21における大気側かつ外周側の箇所に酸化消失が見られた。
実施例1によるシール要素群gは、比較例6のものの大気側と流体側とのそれぞれにマイカパッキン18を配した構成のものである。「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」を行った結果、漏洩開始圧力は36MPaであった(図6参照)。
そして、試験後の膨張黒鉛製のグランドパッキンpを目視確認したところ、大気側2個の複合パッキン20及び残り3個の単一パッキン21のいずれにおいても酸化消失は認められなかった。加えて、各マイカパッキン18及び各シールリングrのいずれにおいても酸化消失は認められなかった。
図6において、比較例6及び実施例1によるシール要素群gの「耐水圧試験」の結果は、その構成上、実施に耐えると考えられる比較例5の数値(36MPa)を上回ることが確実であるから、試験自体を省略している。
また、「耐水圧試験」が不合格である比較例1〜4のシール要素群gは、それより条件の厳しくなる「電気炉内での加熱後の耐水圧試験」の試験結果は当然不合格であることが明確であるから、試験自体を省略している。
以上説明したように、本発明によれば、複数のシールリングrと複数のグランドパッキン18,pとでなるシール要素群gによる優れたシール性を備えるとともに、シール要素群の軸心Q方向の両端部に1個のマイカパッキン及び2個のシールリングrを配列し、かつ、5個の膨張黒鉛製のグランドパッキンpにおける大気側から2個を、大気側で径外側となる角周部20aがマイカで成る複合パッキン20とする工夫により、特に大気側からの酸素のシール用空間部12への侵入を極力なくして膨張黒鉛製のグランドパッキン18,pにおける酸化による重量減少が激減する。
その結果、軸封機構Sに長期に亘って漏れが増大せず、全体としての長寿化が図れるという優れた蒸気弁Vを提供することができる。
この場合、複合パッキン20におけるマイカ製角周部20aを、マイカシートの貼り付けによって形成する手段を採れば、角周部20aの厚さの均一化や生産効率の高効率化が可能となる利点が追加される。
また、シールリングrの断面形状をV字形状とする場合には、内径はシール用空間部12の内径よりも大きめに、かつ、外径はシール用空間部12の外径よりも小さめにできて、軸封機構Sとしての組付け時には組付け易いとももに、組付後には平たくなって径方向に拡がり変形し、より確実なシール力を発揮できるようになる利点がある。
4 弁箱
7 弁座
8 弁軸
9 弁体
12 シール用空間部
17 パッキン押え
18 マイカ製のグランドパッキン
20 複合パッキン
20a 角周部
24 マイカシート
25 金属材
Q 弁軸の軸心
S 軸封機構
p 膨張黒鉛製のグランドパッキン
r シールリング

Claims (3)

  1. 弁箱に装備される弁座と、前記弁座との間を通る蒸気量を調節可能な弁体と、前記弁体を前記弁座に対して遠近移動させるために前記弁体に一体化される弁軸と、前記弁軸と前記弁箱との間をシールする軸封機構とを有する蒸気弁であって、
    前記軸封機構は、パッキン押えと、マイカ製のグランドパッキンの1個と、金属材とマイカシートとの積層体でなるシールリングの2個と、膨張黒鉛製のグランドパッキンの5個と、前記シールリングの2個と、前記マイカ製のグランドパッキンの1個とがこの順で大気側から流体側に向かって並ぶ状態で、前記弁軸と前記弁箱とで形成される筒状のシール用空間部に装填される構成を有するとともに、5個の前記膨張黒鉛製のグランドパッキンにおける大気側の2個のものは、それらの大気側かつ径外側となる角周部がマイカ材で成る複合パッキンに構成されている蒸気弁。
  2. 前記角周部は、前記膨張黒鉛製のグランドパッキンにおける大気側かつ径外側となる箇所に貼り付けられたマイカシートで形成されている請求項1に記載の蒸気弁。
  3. 前記シールリングは、前記弁軸の軸心に対する径方向で切った場合の断面形状が、前記軸心方向に突出するV字形となる状態に形成されている請求項1又は2に記載の蒸気弁。
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