JP2014187349A - 複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気化学素子の電極材料や酸化反応用触媒などに好適に用いることができる複合体の製造方法の提供。
【解決手段】多孔質材料と高分子材料との複合体を調製する複合体の製造方法であって、
前記多孔質材料の溶媒分散液と前記高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程を有し、
前記混合工程において、前記多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)、および、前記高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方が20(MPa)0.5以上となり、他方が20(MPa)0.5未満となる、複合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質材料と高分子材料との複合体を調製する複合体の製造方法に関する。
電気化学素子(例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、ナトリウムイオンキャパシタ等)の電極材料や、酸化反応用の触媒などには、多孔質材料と高分子材料との複合体などを用いることが知られている。
電極材料として、本出願人は、特許文献1において「ポリアニリン又はその誘導体を、活性炭、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びファーネスブラックから選ばれた炭素系材料に複合化させてなるポリアニリン/炭素複合体であって、前記ポリアニリン又はその誘導体が、非極性有機溶媒中に分散した導電性ポリアニリン又はその誘導体を、塩基処理して脱ドープしたものであるポリアニリン/炭素複合体を用いた電気二重層キャパシタ用電極材料。」を提供している。
また、本出願人は、特許文献2において「窒素原子を有する導電性高分子と多孔質炭素材料との複合体であって、前記導電性高分子が、前記多孔質炭素材料の表面に結合しており、前記導電性高分子および前記多孔質炭素材料を混合させた後、熱重量分析で測定した前記導電性高分子の分解温度よりも20℃以上低い温度で熱処理を施して脱ドープすることにより得られ、BJH法で測定した0.5〜100.0nmの直径を有する全細孔の全細孔容積が、0.3〜3.0cm3/gであり、BJH法で測定した2.0nm以上20.0nm未満の直径を有する細孔の細孔容積の比率が、前記全細孔容積に対して10%以上である複合体。」を提供している。
更に、本出願人は、特許文献3において「リチウムイオンキャパシタ用電極材料であって、窒素原子を有する導電性高分子と多孔質炭素材料との複合体を活物質として含有し、前記導電性高分子が、前記多孔質炭素材料の表面に結合しており、前記導電性高分子および前記多孔質炭素材料を混合させた後、熱重量分析で測定した前記導電性高分子の分解温度よりも20℃以上低い温度で熱処理を施して脱ドープすることにより得られ、BJH法で測定した0.5〜100.0nmの直径を有する全細孔の全細孔容積が、0.3〜3.0cm3/gであり、BJH法で測定した2.0nm以上20.0nm未満の直径を有する細孔の細孔容積の比率が、前記全細孔容積に対して10%以上であるリチウムイオンキャパシタ用電極材料。」を提供している。
一方、酸化反応用触媒として、特許文献4には、「導電性高分子からなることを特徴とする少なくとも1個の水素原子を有する有機化合物の酸化反応用触媒。」が記載されている([請求項1])。
特許第4294067号公報 特許第5110147号公報 特許第5041058号公報 特開平5−253489号公報
本発明者は、特許文献1〜4等に記載された多孔質材料と高分子材料との複合体などについて検討した結果、例えば、製造条件によっては、電気化学素子(電極材料)の静電容量や酸化反応用触媒の反応性(目的化合物の収量向上)に改善の余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、電気化学素子の電極材料や酸化反応用触媒などに好適に用いることができる複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、多孔質材料の溶媒分散液と高分子材料の溶媒分散液とを混合する際に、それぞれの溶媒の溶解度パラメータを特定の範囲とすることにより、電気化学素子の電極材料や酸化反応用触媒などに好適に用いることができる複合体が調製できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記(1)〜(6)を提供する。
(1)多孔質材料と高分子材料との複合体を調製する複合体の製造方法であって、
上記多孔質材料の溶媒分散液と上記高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程を有し、
上記混合工程において、上記多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)、および、上記高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方が20(MPa)0.5以上となり、他方が20(MPa)0.5未満となる、複合体の製造方法。
(2)上記有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)が20(MPa)0.5以上となり、上記有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)が20(MPa)0.5未満となる、上記(1)に記載の複合体の製造方法。
(3)上記有機溶媒(A)が、アルコール系溶媒である、上記(1)または(2)に記載の複合体の製造方法。
(4)上記有機溶媒(B)が、芳香族系溶媒またはケトン系溶媒である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(5)上記多孔質材料が、多孔質炭素材料である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(6)上記高分子材料が、導電性高分子材料である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
以下に説明するように、本発明によれば、電気化学素子の電極材料や酸化反応用触媒などに好適に用いることができる複合体の製造方法を提供することができる。
本発明の複合体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも略す。)は、多孔質材料と高分子材料との複合体を調製する複合体の製造方法であって、上記多孔質材料の溶媒分散液と上記高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程を有し、上記混合工程において、上記多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)および上記高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方が20(MPa)0.5以上となり、他方が20(MPa)0.5未満となる、複合体の製造方法である。
ここで、「複合体」とは、一般的に、複合して(二つ以上のものが合わさって)一体をなしているものをいうが、本発明においては、高分子材料の少なくとも一部が、多孔質材料の細孔内部に吸着されている状態をいう。
また、「ハンセン溶解度パラメータ」(以下、「HSP」とも略す。)とは、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標である。なお、この指標では、一般的に溶媒に対する溶解性を多次元のベクトル〔分散項(δd)、分極項(δp)、水素結合項(δh)〕で表されるが、本発明におけるハンセン溶解度パラメータの値(δ)は、δ2=(δd)2+(δp)2+(δh)2から算出した値である。
本発明においては、多孔質材料の溶媒分散液と高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程において、多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)および高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方を20(MPa)0.5以上とし、他方を20(MPa)0.5未満とすることにより、電気化学素子の電極材料や酸化反応用触媒などに好適に用いることができる複合体が調製できる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。
すなわち、後述する実施例、標準例および比較例の対比結果を検討すると、本発明の製造方法で調製される複合体は、後述する多孔質材料の比表面積、メチレンブルー吸着性能、ゼータ電位の等電点の範囲と同程度であるにもかかわらず、ラマンスペクトルの結果(ピーク数)から、多孔質材料のみから構成されるものではないことが分かる。
このことより、本発明の製造方法で調製される複合体は、表面性状は多孔質材料と同程度であるにも関わらず、多孔質材料の細孔内に選択的に高分子材料が存在していることになるため、電極材料として用いた際の静電容量が向上し、酸化反応用触媒として用いた際の反応性(目的化合物の収量向上)が向上すると考えられる。
以下に、上記混合工程ならびに上記混合工程で用いる多孔質材料、高分子材料および有機溶媒等について、詳述する。
<混合工程>
上記混合工程は、上記多孔質材料の溶媒分散液と上記高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程である。
(多孔質材料)
上記多孔質材料は、比表面積が750〜3000m2/gの材料であるのが好ましく、例えば、多孔質炭素材料、ゼオライト、金属酸化物等であるのが好ましい。なかでも、比表面積が大きく、後述する高分子材料の吸着能が高い理由から、多孔質炭素材料であるのがより好ましい。
上記多孔質炭素材料としては、具体的には、例えば、活性炭、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ホウ素含有多孔質炭素材料、窒素含有多孔質炭素材料等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、入手が容易である理由から、活性炭、黒鉛、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
ここで、活性炭は、特に限定されず、公知の炭素電極等で用いられる活性炭粒子を使用することができ、その具体例としては、ヤシ殻、木粉、石油ピッチ、フェノール樹脂等を水蒸気、各種薬品、アルカリ等を用いて賦活した活性炭粒子およびファイバー状のものが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、黒鉛は、特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池の負極活物質等で用いられるものを使用することができ、その具体例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズピッチカーボンファイバー等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カーボンブラックは、特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタの電極材料で用いられる微粒子炭素を使用することができ、その具体例としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
また、カーボンナノチューブは、特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタの電極材料で用いられる繊維状炭素を使用することができ、グラフェンシートが1層の単層カーボンナノチューブであってもよく、グラフェンシートが2層以上の多層カーボンナノチューブであってもよい。
(高分子材料)
上記高分子材料は、平均分子量が1000〜2000000の材料であるのが好ましく、3000〜1500000であるのがより好ましく、5000〜1000000であるのが更に好ましい。
ここで、平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量が既知のポリスチレンで換算した値、または、光散乱法(静的光散乱法)を用いて測定した値をいう。
このような高分子材料としては、例えば、電気化学的な酸化還元および触媒活性を示す理由から、導電性高分子材料が好適に挙げられる。
上記導電性高分子材料は、ドーパントを導入することで導電性(例えば、電導度が10-9Scm-1以上)を発現する高分子であれば特に限定されず、ドーパントによりドープされた高分子であってもよく、それを脱ドープした高分子であってもよく、例えば、窒素原子を有する導電性高分子(以下、「含窒素導電性高分子」という。)、硫黄原子を有する導電性高分子(以下、「含硫黄導電性高分子」という。)、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
これらのうち、電気化学的に安定であり、かつ、入手し易いという理由から、後述する含窒素導電性高分子および含硫黄導電性高分子であるのが好ましい。
上記含窒素導電性高分子としては、具体的には、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリピリジン、ポリキノリン、ポリチアゾール、ポリキノキサリン、これらの誘導体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記含硫黄導電性高分子としては、具体的には、例えば、ポリチオフェン、ポリシクロペンタジチオフェン、これらの誘導体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、含窒素導電性高分子であるのが好ましく、ポリアニリン、ポリピリジンおよびこれらの誘導体であるのが、原料が安価であり、合成が容易であるという理由からより好ましい。
このような導電性高分子の調製方法は特に限定されず、対応するモノマー(例えば、アニリン、ピリジン等)を非極性溶媒や非プロトン性溶媒中で化学重合(例えば、酸化重合、脱ハロゲン化重合等)させることにより、導電性高分子の分散液として製造することができる。
ここで、上述したドーパントや、化学重合のための添加剤(例えば、酸化剤、分子量調整剤、相間移動触媒等)については、いずれも特許文献1に記載されたものを適宜用いることができる。
また、このような導電性高分子としては、市販品を用いることもできる。
市販品としては、具体的には、例えば、日産化学産業製のポリアニリン有機溶媒分散液(商品名:オルメコン)、日産化学産業製のポリアニリン水分散液、化研産業製のポリアニリン分散液(トルエン分散液、水分散液)、アルドリッチ社製のポリアニリンキシレン分散液、信越ポリマー製のポリチオフェン分散液(商品名:セプルジーダ)、アルドリッチ社製のポリチオフェン分散液(製品番号:483095、739324、739332など)、日本カーリット製のポリピロール分散液などが挙げられる。
(有機溶媒)
上記混合工程における有機溶媒は、上述した通り、上記多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)および上記高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方が20(MPa)0.5以上となり、他方が20(MPa)0.5未満となるものを選択して用いるものである。
ここで、本発明においては、上記混合工程において上記有機溶媒(A)および上記有機溶媒(B)が混合されることにより、高分子材料の安定的な分散が困難となり、その結果、高分子材料の多孔質材料の細孔内への選択的な吸着が進行しやすくなる理由から、上記有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)が20(MPa)0.5以上となり、上記有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)が20(MPa)0.5未満となるのが好ましい。
上記有機溶媒(A)としては、具体的には、例えば、メタノール(HSP:29.2)、エタノール(HSP:26.4)、1−プロパノール(HSP:24.5)、2−プロパノール(HSP:23.5)、1−ブタノール(HSP:23.5)、1−ペンタノール(HSP:21.7)、1−ヘキサノール(HSP:21.9)等のアルコール系溶媒であるのが好ましい。
また、上記有機溶媒(B)としては、具体的には、例えば、ベンゼン(HSP:18.7)、トルエン(HSP:18.2)、o−キシレン(HSP:18.4)、m−キシレン(HSP:18.0)、p−キシレン(HSP:17.9)等の芳香族系溶媒;アセトン(HSP:20.0)、2−ブタノン(HSP:19.1)等のケトン系溶媒;であるのが好ましく、なかでも、芳香族系溶媒であるのがより好ましい。
なお、括弧内の数値は、いずれも「ハンセン溶解度パラメータ(HSP)」を表し、その単位はいずれも「(MPa)0.5」である。
また、上記有機溶媒(A)の好適例としてアルコール系溶媒を例示し、上記有機溶媒(B)の好適例として芳香族系溶媒等を例示したが、本発明においては、上述したハンセン溶解度パラメータの関係を満たす限り、上記有機溶媒(A)として芳香族系溶媒等を用い、上記有機溶媒(B)としてアルコール系溶媒を用いるものであってもよい。
(溶媒分散液)
上記有機溶媒を用いた溶媒分散液における溶質(多孔質材料または高分子材料)の濃度(含有量)は特に限定されない。
上記多孔質材料の含有量は、上記高分子材料の上記多孔質材料の細孔内への吸着という観点から、上記有機溶媒(A)100質量部に対して1〜50質量部であるのが好ましい。
同様の観点から、上記高分子材料の含有量は、上記有機溶媒(B)100質量部に対して0.1〜20質量部であるのが好ましい。
(混合条件)
上記多孔質材料の溶媒分散液と上記高分子材料の溶媒分散液とを混合条件は特に限定されず、例えば、これらの溶媒分散液を任意の撹拌機を用いて混合することにより、複合体を調製することができる。
ここで、上記高分子材料として導電性高分子材料を用いた場合には、各溶媒分散液を混合させた後、必要に応じて脱ドープによりドーパントを取り除くことで、導電性高分子材料と多孔質材料とを複合化させることができる。なお、脱ドープする方法としては、例えば、ドープされている導電性高分子材料を脱ドーピングし、ドーパントを中和できる塩基処理を施す方法や、ドーパントに対して導電性高分子材料が壊れない温度で熱処理を施す方法等が挙げられ、具体的には、特許文献2および3に記載された方法を採用することができる。
また、高分子材料の多孔質材料の細孔内への吸着が促進される理由から、いずれか一方または両方の溶媒分散液あるいは各溶媒分散液を混合させた後に、高圧ホモジナイザーで処理することが好ましい。
本発明においては、上記混合工程において、上記多孔質材料の溶媒分散液中または上記高分子材料の溶媒分散液中に、上述した有機溶媒(A)または有機溶媒(B)以外の溶媒として、更に水を含有していてもよい。
なお、水を含有する場合であっても、水は有機溶媒でないため、上述した有機溶媒(A)および有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータの関係、すなわち、いずれか一方の有機溶媒が20(MPa)0.5以上となり、他方の有機溶媒が20(MPa)0.5未満となる関係は、維持される。
<任意工程>
本発明の製造方法は、上記混合工程の後、上記混合工程で調製した複合体を回収するために、濾過、洗浄、乾燥等の任意の工程を有していてもよい。
これらの任意の工程は特に限定されないが、洗浄工程については、複合化した高分子材料が溶解しない有機溶媒(例えば、上述したアルコール系溶媒)を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法で調製される複合体は、上述した通り、電気化学素子(例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、ナトリウムイオンキャパシタなど)の電極材料や、酸化反応用触媒などの材料に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ポリアニリントルエン分散液1の調製>
トルエン(HSP:18.2)3000gにアニリン135g、ドデシルベンスルホン酸330gおよび分子量調整剤(末端封止剤)として2,4,6−トリメチルアニリン0.15g(アニリンに対して0.001当量)を溶解させた後、6N塩酸250mLを溶解した蒸留水800gを加えた。
この混合溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド30gを添加し、5℃以下に冷却した後、過硫酸アンモニウム315gを溶解させた蒸留水1200gを加えた。
5℃以下の状態で6時間酸化重合を行なった後、メタノール水混合溶媒(水/メタノール=2/3(質量比))を加え撹拌を行なった。
撹拌終了後、トルエン層および水層に分離した反応溶液のうち、水層のみを除去することによりポリアニリントルエン分散液1を得た。
ポリアニリントルエン分散液1を一部採取し、トルエンを真空留去したところ分散液中に固形分13質量%(ポリアニリン含有量:4.3質量%、ポリアニリン数平均分子量:100000)が含まれていた。
また、この分散液を孔径1.0μmのフィルターでろ過したところ目詰まりすることはなく、分散液中のポリアニリン粒子の粒子径を超音波粒度分布測定器(APS−100、Matec Applied Sciences社製)で解析した結果、粒度分布は単分散(ピーク値:0.19μm、半値幅:0.10μm)であることが分かった。
さらに、この分散液は室温1年間経過した後も凝集、沈殿することはなく安定であった。元素分析からドデシルベンゼンスルホン酸のアニリンモノマーユニット当りのモル比は0.45であった。得られたポリアニリンの収率は95%であった。
<ポリチオフェントルエン分散液の調製>
ポリ(3−ドデシルチオフェンー2,5−ジイル)(アルドリッチ社製、平均分子量60000)をトルエンに分散させて使用した(固形分1.2質量%)。
<ポリピロール2−ブタノン分散液の調製>
ポリピロール2−ブタノン分散液(日本カーリット製、溶媒2−ブタノン(HSP:19.1)を使用した(固形分10質量%)。
<ポリピリジン水分散液の調製>
脱水ジメチルホルムアミド50gに、2,5−ジブロモピリジン5g、分子量調整剤として2−ブロモピリジン0.5g(ピリジンモノマーに対して0.15当量)、重縮合剤としてビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル9gを溶解させた後、窒素下60℃で16時間重合反応を行った。
反応終了後、以下の操作によりポリピリジンの精製を行った。
まず、反応溶液を0.5mol/Lの塩酸水溶液200mLに注ぎ、室温下で2時間撹拌した後に、沈殿物をろ別し、回収した。
次いで、回収した沈殿物を、再度、0.5mol/Lの塩酸水溶液200mL中で、室温下で8時間撹拌した後に、沈殿物をろ別し、回収した。
次いで、回収した沈殿物を、0.1mol/Lのアンモニア水溶液200mL中で、室温下3時間撹拌することにより、ポリピリジンの単離精製を行った。
得られたポリピリジン粉末を、真空下で乾燥した。収量は、1.72g(収率92%)であった。
予めポリピリジン粉末0.8gを88%ギ酸9.2gに溶解させて調製したポリピリジンギ酸溶液と18%ポリスチレンスルホン酸水溶液15gとを混合撹拌した後、175gの蒸留水(HSP:47.8)を加えてポリピリジン水分散液(ポリピリジン含有量:0.4質量%、ポリピリジン数平均分子量:10000)を調製した。
分散液中のポリピリジン粒子の粒子径を超音波粒度分布測定器(APS−100、Matec Applied Sciences社製)で解析した結果、粒度分布は単分散(ピーク値:0.25μm、半値幅:0.12μm)であることが分かった。
<ポリアニリントルエン分散液2および分散液3の調製>
トルエン(HSP:18.2)3000gにアニリン135g、ドデシルベンスルホン酸330gおよび分子量調整剤(末端封止剤)として2,4,6−トリメチルアニリン0.15g(アニリンに対して0.001当量)を溶解させた後、6N塩酸250mLを溶解した蒸留水800gを加えた。
この混合溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド30gを添加し、5℃以下に冷却した後、過硫酸アンモニウム315gを溶解させた蒸留水1200gを加えた。
5℃以下の状態で6時間酸化重合を行ない、蒸留水が残存するポリアニリントルエン分散液2を得た。
ポリアニリントルエン分散液2を一部(50ml)採取し、メタノール水混合溶媒(水/メタノール=2/3(質量比))を加え撹拌を行なった。
撹拌終了後、トルエン層および水層に分離した反応溶液のうち、水層のみを除去することによりポリアニリントルエン分散液3を得た。また、一部採取したポリアニリントルエン分散液3を用いて、以下に示す分散液中のポリアニリンの同定を行った。
一方、蒸留水が残存するポリアニリントルエン分散液2を用いて、活性炭との複合体の調製を行った。
(ポリアニリンの同定)
ポリアニリントルエン分散液3を一部採取し、トルエンを真空留去したところ分散液中に固形分11質量%(ポリアニリン含有量:3.8質量%、ポリアニリン数平均分子量:115000)が含まれていた。
また、この分散液を孔径1.0μmのフィルターでろ過したところ目詰まりすることはなく、分散液中のポリアニリン粒子の粒子径を超音波粒度分布測定器(APS−100、Matec Applied Sciences社製)で解析した結果、粒度分布は単分散(ピーク値:0.19μm、半値幅:0.10μm)であることが分かった。
元素分析からドデシルベンゼンスルホン酸のアニリンモノマーユニット当りのモル比は0.45であった。
一方、ポリアニリントルエン分散液3のポリアニリン含有量から、ポリアニリントルエン分散液2のポリアニリン含有量を算出した結果、ポリアニリン含有量は2.1質量%であり、ポリアニリンの収率は95%であった。
<実施例1〜3(調製方法A)>
最初に、メタノール(HSP:29.2)1000g中に、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)300gを分散させた活性炭メタノール分散液を調製した。
次いで、活性炭メタノール分散液に、先に調製したポリアニリントルエン分散液1(ポリアニリン含有量:4.3質量%、トルエンのHSP:18.2)をポリアニリンの配合量が下記第1表に示す値(括弧内の数値)となるように添加し、これらを混合した混合分散液を調製した。
この混合分散液にトリエチルアミン30mLを添加した後、5時間撹拌混合行なった。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリアニリン/活性炭複合体を調製した。
<実施例4(調製方法B)>
最初に、メタノール(HSP:29.2)1000g中に、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)300gを分散させた活性炭メタノール分散液を調製した。
次いで、活性炭メタノール分散液に、先に調製したポリチオフェントルエン分散液(ポリチオフェン含有量:1.2質量%、トルエンのHSP:18.2)をポリチオフェンの配合量が下記第1表に示す値(括弧内の数値)となるように添加し、これらを混合した混合分散液を調製した。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリチオフェン/活性炭複合体を調製した。
<実施例5(調製方法C)>
最初に、メタノール(HSP:29.2)1000g中に、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)300gを分散させた活性炭メタノール分散液を調製した。
次いで、活性炭メタノール分散液に、先に調製したポリピロール2−ブタノン分散液(ポリピロール含有量:10質量%、2−ブタノンのHSP:19.1)をポリピロールの配合量が下記第1表に示す値(括弧内の数値)となるように添加し、これらを混合した混合分散液を調製した。
この混合分散液にトリエチルアミン30mLを添加した後、5時間撹拌混合行なった。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリピロール/活性炭複合体を調製した。
<実施例6(調製方法D)>
最初に、トルエン(HSP:18.2)1000g中に、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)300gを分散させた活性炭トルエン分散液を調製した。
次いで、100℃に加熱した活性炭トルエン分散液に、先に調製したポリピリジン水分散液(ポリピリジン含有量:0.4質量%、水のHSP:47.8)をポリピリジンの配合量が下記第1表に示す値(括弧内の数値)となるように添加し、これらを混合した混合分散液を調製した。
この混合分散液にトリエチルアミン30mLを添加した後、5時間撹拌混合行なった。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリピリジン/活性炭複合体を調製した。なお、後述するように、実施例6で調製した炭素材料については、評価用電極を負極に配置して電気二重層キャパシタを作製した。
<実施例7(調製方法E)>
最初に、メタノール(HSP:29.2)1000g中に、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)300gを分散させた活性炭メタノール分散液を調製した。
次いで、活性炭メタノール分散液に、先に調製した、蒸留水が残存するポリアニリントルエン分散液2(ポリアニリン含有量:2.1質量%、トルエンのHSP:18.2)をポリアニリンの配合量が下記第1表に示す値(括弧内の数値)となるように添加し、これらを混合した混合分散液を調製した。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールおよび1mol/Lアンモニア水溶液で洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリアニリン/活性炭複合体を調製した。
<比較例1〜7(調製方法F)>
下記第1表に示す量のポリアニリントルエン分散液1に、下記第1表に示す量の活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)を添加することにより混合分散液を得た。
この混合分散液に2モル/リットルのトリエチルアミンメタノール溶液120mLを添加した後、5時間撹拌混合行なった。
撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。この時の濾液および洗浄液は、無色透明であった。
洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することによりポリアニリン/活性炭複合体からなる炭素材料を調製した。
<標準例>
標準例として、活性炭(NY1151、比表面積:1325m2/g、1次平均粒子径:5μm、比抵抗:1.5×10-1Ω・cm、クラレケミカル社製)を炭素材料として用いた。
<表面性状等>
調製した各炭素材料について、比表面積、ゼータ電位の等電点、ラマンスペクトルおよびメチレンブルー吸着性能について、以下に示す方法により測定した。これらの結果を下記第1表に示す。
(比表面積)
JIS K1477:2007で規定された試験方法に従い、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置(BELSORP−max、日本ベル社製)を用いて、窒素吸着によるBET法を用いて測定した。
(ゼータ電位の等電点)
JIS R1638:1999で規定された等電点測定方法に従い、ゼータ電位測定システム(ELSZ−1000ZS、大塚電子製)を用いて、電気泳動レーザー・ドップラー法によって測定されるゼータ電位がゼロになるpH値を測定した。
(ラマンスペクトル)
ラマンスペクトルは、顕微レーザーラマン分光分析装置 Holo Lab 5000R(Kaiser Optical System Inc.製)を用いて、532nmの励起波長で測定した。
(メチレンブルー吸着性能)
JIS K1474:2007で規定された活性炭試験方法に従い、分光光度計(UH5300、日立社製)を用いて、メチレンブルー溶液の吸着量を算出した。
<静電容量>
調製した各炭素材料、導電助剤(アセチレンブラック)、および、結着剤(ポリフルオロエチレン樹脂)を、質量比で85:10:5の比で混合分散させた後、加圧ロールでシート状へと成型した。得られたシートからディスク状(直径1.6cm)に切り出し、各評価用電極(25mg)を作製した。
作製した各評価用電極を正極に用いた電気二重層キャパシタについて、東洋システム株式会社製3極式簡易型評価セルを用いて静電容量を測定した。電解液は、テトラエチルアンモニウム四フッ化ホウ素のプロピレンカーボネート溶液を濃度1.0モル/リットルで用いた。なお、参照電極は、銀線(vs.Ag/Ag+)を用いた。
負極は、活性炭、導電助剤(アセチレンブラック)、および、結着剤(ポリフルオロエチレン樹脂)を、質量比で85:10:5の比で混合分散させた後、加圧ロールでシート状へと成型し、得られたシートからディスク状(直径1.6cm)に切り出した電極(30mg)を用いた。なお、正極と負極との間には、セパレーター(ガラス繊維紙、日本板ガラス社製)を介在させた。
一方、上述したとおり、実施例6については、上記と同じ方法で作製した評価用電極を負極として用い、正極として、活性炭、導電助剤(アセチレンブラック)、および、結着剤(ポリフルオロエチレン樹脂)を、質量比で85:10:5の比で混合分散させた後、加圧ロールでシート状へ成型し、そのシートからディスク状(直径1.6cm)に切り出した電極(30mg)を用いた以外は、上記と同じ方法で電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。
上記第1表に示す結果から、多孔質材料の溶媒分散液を用意せず、多孔質材料を高分子材料の溶媒分散液に添加して複合体を調製した場合は、3電極法により評価した静電容量が標準例と同程度となることが分かった(比較例1〜7)。
これに対し、多孔質材料の溶媒分散液と高分子材料の溶媒分散液とを混合する際に、それぞれの溶媒の溶解度パラメータを特定の範囲となるように複合体を調製した場合は、3電極法により評価した静電容量が標準例や比較例と比較しても15〜30%程度向上していることが分かった(実施例1〜7)。
また、実施例3と実施例7との対比から、ポリアニリントルエン分散液中に水(蒸留水)が残存した状態であると、意外にも、比表面積の低減を抑制し、静電容量が増加することが分かった。

Claims (6)

  1. 多孔質材料と高分子材料との複合体を調製する複合体の製造方法であって、
    前記多孔質材料の溶媒分散液と前記高分子材料の溶媒分散液とを混合して複合体を調製する混合工程を有し、
    前記混合工程において、前記多孔質材料の溶媒分散液における有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)、および、前記高分子材料の溶媒分散液における有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)のいずれか一方が20(MPa)0.5以上となり、他方が20(MPa)0.5未満となる、複合体の製造方法。
  2. 前記有機溶媒(A)のハンセン溶解度パラメータ(A)が20(MPa)0.5以上となり、前記有機溶媒(B)のハンセン溶解度パラメータ(B)が20(MPa)0.5未満となる、請求項1に記載の複合体の製造方法。
  3. 前記有機溶媒(A)が、アルコール系溶媒である、請求項1または2に記載の複合体の製造方法。
  4. 前記有機溶媒(B)が、芳香族系溶媒またはケトン系溶媒である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  5. 前記多孔質材料が、多孔質炭素材料である、請求項1〜4のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  6. 前記高分子材料が、導電性高分子材料である、請求項1〜5のいずれかに記載の複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US12015155B2 (en) 2019-02-01 2024-06-18 Samsung Sdi Co., Ltd. Compositions for forming a porous insulating layer, electrode for non-aqueous electrolyte rechargeable battery, rechargeable battery including the electrode and method of manufacturing the electrode

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