JP2014185958A - 呈色測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】試験紙の種類によらず、高精度な呈色状態の定量測定を実施可能な呈色測定装置を提供する。
【解決手段】呈色測定装置1は、波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光する撮像部15と、試験紙の種別、及び当該試験紙の呈色状態を示す色を関連付けた参照色データを記憶する記憶部23と、波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長を順次切り替えた際に撮像部15により受光される光から、試験紙の分光スペクトルを測定する分光測定部244と、分光測定部244で測定された分光スペクトル、及び参照色データに基づいて、試料の定量測定を実施する定量分析部246と、を具備した。
【選択図】図3

Description

本発明は、呈色測定装置に関する。
従来、試薬を保持した試験紙に液体試料を接触させて試薬の呈色状態を定量する呈色測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の呈色測定装置は、箱状の装置本体に試薬挿入口が設けられ、試薬挿入口に測定用試薬が3行3列で塗布された試験紙を挿入し、試験紙に対して光源から光を照射して、試験紙を透過した光をカラーCCDで撮像する。そして、カラーCCDにより撮像されたカラー画像を画像処理することで呈色物の色を分析し、呈色状態を定量測定する。
特開2001−349834号公報
ところで、上記特許文献1に記載の装置では、カラーCCDによりカラー画像を撮像し、撮像されたカラー画像の画像処理により呈色状態の定量測定を実施している。しかしながら、カラーCCDを用いたカラー撮像画像は、R(赤波長域),G(緑波長域),B(青波長域)の限られた波長域の光に基づいて色を判定するものであり、各波長に対する正確な光量を検出できない。したがって、高精度な分析には不向きであるという課題がある。
また、上記特許文献1では、試験紙を透過した光を受光する必要があり、使用できる試験紙の種類が限られるという課題もある。
本発明は、試験紙の種類によらず、高精度な呈色状態の定量測定を実施可能な呈色測定装置を提供することを目的とする。
本発明の呈色測定装置は、試料の接触により呈色反応を示す試薬が保持された試験紙の呈色状態を測定する呈色測定装置であって、自然光又は光源からの光を受けた前記試験紙からの光が入射され、当該入射された光から所定波長の光を選択し、かつ前記所定波長を変更可能な分光部と、前記分光部により選択された波長の光を受光する受光部と、前記試験紙の呈色状態を示す参照色データを記憶する記憶部と、前記受光部により受光された複数波長の光から、前記試験紙の色を測定する測色部と、前記測色部で測定された色、及び前記参照色データに基づいて、前記試料の定量測定を実施する分析部と、を具備したことを特徴とする。
本発明では、分光部により、試験紙からの光から複数波長の光を分光し、これらの分光された光をそれぞれ受光部で受光することで、各波長に対する光量を取得する。これにより、測色部で、呈色反応した試験紙の呈色状態に対する正確な色(分光スペクトル)を高精度に測定することができる。したがって、分析部は、分析された色と、参照色データとに基づいて、試験紙の呈色状態を高精度に判定することができ、呈色状態に応じた試料の定量測定を高精度に実施することが可能となる。
また、本発明では、試験紙からの光を受光すればよく、試験紙を透過した光、反射した光は問われない。したがって、試験紙に対する参照色データが記憶部に記憶されていれば、試験紙の種類が限定されることなく、呈色状態の定量測定を実施できる。
本発明の呈色測定装置において、前記試験紙に対して光を照射する光源部を備えることが好ましい。
本発明では、試験紙に対して光を照射する光源部を備えている。これにより、光源部から射出され、試験紙で反射又は透過した光を検出することで、受光部における受光量を増加させることができ、より高精度に分光スペクトルを分析することができる。
本発明の呈色測定装置において、前記試験紙を載置する載置台と、前記載置台を覆い、前記載置台との間に前記試験紙を配置する内部空間を形成するカバー部と、を備え、前記カバー部は、前記載置台に対向する面に前記光源部、前記分光部、及び前記受光部を有することが好ましい。
本発明では、カバー部に設けられた光源部から載置台の試験紙に対して光を照射し、その反射光を、分光部を介して受光部で受光する。このような構成では、載置部に試験紙を載置し、カバー部で載置台に対向配置することで、カバー部に設けられた光源部、分光部、及び受光部により、試験紙に対する呈色状態の定量測定を実施できる。つまり、ユーザーが、光源部からの光が試験紙に照射されるように、また、反射光が受光部に受光されるように、ピント合わせや撮像位置の調整を行う必要がなく、呈色状態の測定における操作性を向上させることができる。
また、試験紙を載置する載置台と、カバー部とが別体として構成されており、このカバー部に試験紙の呈色定量測定を実施する各構成が組み込まれている。これにより、試験紙とカバー部とを接触させることなく呈色定量測定が可能となり、カバー部のクリーニング等を不要又はクリーニング頻度を低減することができる。
本発明の呈色測定装置において、前記内部空間の外部の光が内部へ入射するのを遮蔽する遮蔽部を備えることが好ましい。
本発明では遮蔽部により内部空間への外光の入射がないので、外光によるノイズの影響を低減した高精度な定量測定を実施することができる。
本発明の呈色測定装置において、前記分光部に入射する光を導く光入射部を備え、前記光入射部は、テレセントリック光学系を有することが好ましい。
本発明では、テレセントリック光学系により分光部に入射する光が平行光となるため、受光部により面分光した光を受光部により受光させることができ、分光部により選択された波長の分光画像を取得することができる。
これにより、分光画像に基づいて、試験紙における呈色反応が起こった位置を検出することも可能となる。また、試験紙を複数の領域に分割し各領域においてそれぞれ異なる種類の試薬を保持させることも可能となり、この場合、分光画像に基づいて、どの試薬に対してどのような呈色反応が起こったかを分光画像に基づいて容易に検出することが可能となる。
本発明の呈色測定装置において、前記光入射部は拡大光学系を有することが好ましい。
本発明では、拡大光学系の後段に受光部が配置されることで、分光部のサイズを小さくでき、装置の小型化を図ることができる。
本発明の呈色測定装置において、前記分光部は、波長可変型のファブリーペローエタロンであることが好ましい。
本発明では、分光部として波長可変型ファブリーペローエタロンを用いる。ファブリーペローエタロンは、一対の反射膜を対向配置させるだけの簡単な構成で構成することができ、反射膜間のギャップ寸法を変更することで容易に分光波長を変化させることができる。したがって、このような波長可変型ファブリーペローエタロンを用いることで、例えばAOTF(音響光学チューナブルフィルター)やLCTF(液晶チューナブルフィルター)等のような大型の分光部を用いる場合に比べて、呈色測定装置の小型化を図ることができる。
また、上述した発明のように、拡大光学系及びテレセントリック光学系を含む光入射部を備える構成では、ファブリーペローエタロンの反射膜の径寸法をより小さくすることができる。この場合、反射膜の面精度が向上するため、面分光の精度を向上させることができ、より高精度な分光画像を取得できる。
本発明の呈色測定装置において、前記参照色データを取得し、取得した前記参照色データを前記記憶部に記憶させるデータ取得部を備えることが好ましい。
本発明では、データ取得部は、参照色データを取得し、取得したデータを記憶部に記憶する。ここで、データ取得部のテータ取得方法としては、例えばネットワークを介したデータ受信、記憶媒体(例えばCDやDVD、USBカードやSDカード等)を介したデータの取得等を例示でき、その他、ユーザーが手動で入力されたデータ等であってもよい。
本発明では、上述のように、試験紙の呈色状態に対する正確な分光スペクトルを取得することができるため、様々な呈色反応に対して精度よく定量測定を実施することができる。したがって、上記のように、データ取得部により、参照色データを取得し、記憶部に記憶可能な構成とすることで、分析可能な対象(試験紙)の種類を増加させることができ、利用の拡大を図ることができる。
本発明に係る一実施形態の呈色測定装置の概略構成を示す斜視図。 本実施形態の呈色測定装置の断面の概略構成を示す図。 本実施形態の呈色測定装置のブロック図。 本実施形態の光入射部における入射光の光路例を示す図。 本実施形態の分光部である波長可変干渉フィルターの平面図。 図5のVI-VI線における断面図。 水の吸収スペクトルを示す図。 本実施形態の呈色測定装置における呈色反応検査方法を示すフローチャート。 他の実施形態における呈色測定装置の概略構成を示す図。
以下、本発明に係る一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の呈色測定装置の概略構成を示す斜視図であり、図2は、当該呈色測定装置の断面構成の概略を示す図である。また、図3は、本実施形態の呈色測定装置の概略を示したブロック図である。
本実施形態の呈色測定装置1は、液体試料の接触により呈色反応を示す試薬を保持した試験紙の呈色状態を検出し、液体試料の定量測定を実施する装置である。この呈色測定装置1は、例えば尿や血液、体液等に含まれる成分の定量分析の他、一般溶液に含まれる成分の定量分析にも利用することができる。
この呈色測定装置1は、図1に示すように、載置台11と、載置台11に対して回動自在に取り付けられた本体部12(本発明のカバー部に相当)と、を備えている。
本体部12は、図2に示すように、載置台11に対向する面に凹部121を備え、当該凹部121の底面121Aには、光源部13、光入射部14が配置される。ここで、本体部12は、載置台11に対して回動軸12Aを中心に回動可能に取り付けられ、本体部12を載置台11側に回動させることで、載置台11上の載置面111及び凹部121により、試験紙Aを収納する内部空間SP1が形成される。また、載置台11及び本体部12は、遮光性を有する素材により構成されており、本体部12を載置台11側に回動させて、内部空間SP1を形成した状態で、内部空間SP1には外光が入射しない。すなわち、載置台11及び凹部121の内部空間SP1に臨む面は、本発明の遮蔽部を構成する。
本体部12の内部には、図2に示すように、本発明の分光部を構成する波長可変干渉フィルター5、及び本発明の受光部を構成する撮像部15が配置されている。また、本体部12には、波長可変干渉フィルター5や光源部13、撮像部15等を制御する制御回路20、及び電池30が設けられている。なお、本実施形態では、電池30から制御回路20を介して各構成に電力が供給される構成例を示すが、これに限定されず、例えば家庭用電源等の電力源から電力が供給される構成としてもよい。
また、図1及び図2に示すように、本体部12の載置台11とは反対側の面(上面)には、モニター16及び印刷部17が設けられている。モニター16は、制御回路20の制御により、例えば分析を実施するための各種設定画面や案内画面、分析結果データ等を示す画面を表示させる。印刷部17は、制御回路20の制御により、例えば分析結果データ等を印刷物(例えば紙面)等に印刷して出力する。
さらに、図3に示すように、本体部12には、操作部18及び通信部19が設けられている。
操作部18は、ユーザーの操作に応じた操作信号を制御回路20に出力する。操作部18としては、例えば、本体部12の表面に設けられたボタン等の操作部材を備える構成としてもよく、モニター16をタッチパネルとして機能させる構成としてもよく、別途キーボードやマウス等の操作部材を接続可能な構成としてもよい。
通信部19は、例えば本体部12に接続された外部記憶媒体(例えばCD、DVD、USBメモリー、SDカード等の各種記憶媒体)と通信可能なドライブを備え、外部記憶媒体から後述する参照色データ等の各種データを取得する。また、接続された外部記憶媒体に例えば分析結果データ等の各種データを記憶可能な構成としてもよい。また、通信部19は、例えばインターネット回線等のネットワーク回線に接続可能な外部接続手段(例えばLAN等)を備えている。そして、通信部19は、制御回路20の制御の下、ネットワーク回線から参照色データ等の各種データを取得し、分析結果データ等を所定の送信先(例えば医療機関に設けられたサーバー装置等)に送信する。
載置台11は、試験紙Aを載置するための載置面111を有する。また、載置台11は、本体部12を載置台11側に回動させた際に、内部空間SP1が閉塞されているか否かを検知する検知センサー112を備えている。このような検知センサーとしては、例えば、載置台11上に立設され、軸方向に進退可能なピン部材と、ピン部材の押下量を検出する検出手段とを備える構成が例示できる。この場合、本体部12が回動されてピン部材に当接し、ピン部材が押下されると検出手段によりその押下量を検出する。そして、検出された押下量が所定値以上となることで内部空間が閉塞されたことを検知する。また、検知センサー112としては上記のような構成に限定されず、例えば光センサー等によって内部空間SP1の閉塞を検知してもよい。
(光源部の構成)
光源部13は、制御回路20に設けられる光源制御部21の制御により点灯、消灯される。光源部13は、発光波長が測定用波長及び浸漬判定用波長を内包する光源131と、光源131から出射された光を載置台11上に向かって照射させるレンズ132を備える。なお、レンズ132としては、単一構成に限られず、複数のレンズ132を備える構成としてもよい。ここで、測定用波長とは、試験紙Aの呈色状態の定量測定を実施するための光の波長であり、本実施形態では、可視光である。また、浸漬判定用波長とは、試験紙Aに対する液体試料の浸漬状態を判定するための光の波長であり、本実施形態では、赤外光(近赤外光)である。
光源131としては、例えば、浸漬判定用波長を出射させる赤外光源、及び測定用波長(例えば可視光)を出射させる可視光源をそれぞれ備える構成としてもよく、赤外光から可視光に亘る光(測定用波長及び浸漬判定用波長を内包する光)を射出可能な光源により構成されていてもよい。また、光源131として、紫外波長域の光を照射するUV光源等を備える構成としてもよい。UV光源を備えることで、例えば紫外線照射時に変色(蛍光等を含む)を示す試薬等をも分析対象とすることが可能となる。
(光入射部の構成)
図4は、光入射部から撮像部までの光路の一例を示す図である。
光入射部14は、載置台11上に載置された試験紙Aからの反射光を撮像部15に導く。この光入射部14は、拡大光学系141及びテレセントリック光学系142を備える。
拡大光学系141は、複数のレンズにより構成され、載置台11からの光の像を撮像部15で結像させる。この際、拡大光学系141の各レンズは、載置台11上の所定の撮像範囲からの入射光を、波長可変干渉フィルター5の後述する固定反射膜54(図5参照)及び可動反射膜55(図5参照)に入射させるように構成されている。
テレセントリック光学系142は、複数のレンズにより構成され、入射光の光軸を主光線に対して平行な方向に揃え、後述する波長可変干渉フィルター5の固定反射膜54や可動反射膜55に対して光を垂直に入射させる。
(波長可変干渉フィルターの構成)
図5は、波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。図6は、図5のVI−VI線を断面した際の波長可変干渉フィルターの断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、波長可変型のファブリーペローエタロンである。この波長可変干渉フィルター5は、例えば矩形板状の光学部材であり、厚み寸法が例えば500μm程度に形成される固定基板51と、厚み寸法が例えば200μm程度に形成される可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。
固定基板51には、固定反射膜54が設けられ、可動基板52には、可動反射膜55が設けられている。これらの固定反射膜54および可動反射膜55は、ギャップG1を介して対向配置されている。そして、波長可変干渉フィルター5には、このギャップG1の寸法を調整(変更)するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た図5に示すような平面視(以降、フィルター平面視と称する)において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致するものとする。
(固定基板の構成)
固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511および反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561および可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51の頂点C1には、切欠部514が形成されており、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側に、後述する可動電極パッド564Pが露出する。
電極配置溝511は、フィルター平面視で、固定基板51の平面中心点Oを中心とした環状に形成されている。反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。この電極配置溝511の溝底面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。また、反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、固定基板51の外周縁の頂点C1,頂点C2に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
電極配置溝511の電極設置面511Aには、静電アクチュエーター56を構成する固定電極561が設けられている。より具体的には、固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521の可動電極562に対向する領域に設けられている。また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C2方向に延出する固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、制御回路20の後述する電圧制御部22に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
反射膜設置部512は、上述したように、電極配置溝511と同軸上で、電極配置溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜設置部512の可動基板52に対向する反射膜設置面512Aを備えている。
この反射膜設置部512には、図6に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiOやSiO等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
また、固定基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面のうち、エッチングにより、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び電極引出溝511Bが形成されない面は、第一接合部513を構成する。この第一接合部513には、第一接合膜531が設けられ、この第一接合膜531が、可動基板52に設けられた第二接合膜532に接合されることで、上述したように、固定基板51及び可動基板52が接合される。
(可動基板の構成)
可動基板52は、図5に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
また、可動基板52には、図5に示すように、頂点C2に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に、固定電極パッド563Pが露出する。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
可動電極562は、ギャップG2を介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。この可動電極562は、固定電極561とともに静電アクチュエーター56を構成する。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁から可動基板52の頂点C1に向かって延出する可動引出電極564を備えている。この可動引出電極564の延出先端部(可動基板52の頂点C1に位置する部分)は、電圧制御部22に接続される可動電極パッド564Pを構成する。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54とギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、ギャップG2がギャップG1の寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップG1の寸法が、ギャップG2の寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521が保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、保持部522が静電引力により固定基板51側に引っ張られた場合でも、可動部521の形状変化が起こらない。したがって、可動部521に設けられた可動反射膜55の撓みも生じず、固定反射膜54及び可動反射膜55を常に平行状態に維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
基板外周部525は、上述したように、フィルター平面視において保持部522の外側に設けられている。この基板外周部525の固定基板51に対向する面は、第一接合部513に対向する第二接合部523を備えている。そして、この第二接合部523には、第二接合膜532が設けられ、上述したように、第二接合膜532が第一接合膜531に接合されることで、固定基板51及び可動基板52が接合されている。
(撮像部の構成)
撮像部15は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ等を用いることができる。撮像部15は、各画素に対応した光電素子を有し、各光電素子で受光された光量を各画素の光量とした分光画像(画像信号)を制御回路20に出力する。
(制御回路の構成)
制御回路20は、呈色測定装置1の全体の動作を制御する。
この制御回路20は、図3に示すように、光源制御部21と、電圧制御部22と、記憶部23と、演算処理部24とを含んで構成されている。
光源制御部21は、光源部13の各光源131を制御し、光源131の点灯、消灯を行う。
電圧制御部22は、演算処理部24からの制御の下、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に駆動電圧を印加し、波長可変干渉フィルター5を透過させる光の波長を切り替える。
記憶部23は、メモリー等の記憶回路により構成され、呈色測定装置1の全体動作を制御するためのOS(Operating System)や、各種機能を実現するためのプログラム、各種データが記憶される。また、記憶部23には、撮像された分光画像、呈色状態の分析結果データ等を一時記憶する一時記憶領域を備える。
記憶部23には、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧に対する、当該波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長の関係を示すV−λデータが記憶される。
また、記憶部23には、試験紙の種別、当該試薬により検出可能な試料、試験紙の呈色状態に対する試験紙(試薬)の色(スペクトルデータ)等を関連付けた参照色データを記憶する。試験紙としては、例えば複数の試薬が異なる位置に配置された試験紙であってもよく、この場合、試験紙における試薬の配置位置等が記憶される。また、呈色状態に対する試験紙(試薬)の色とは、試験紙に対して液体試料が浸漬され、液体試料と試薬とが呈色反応した際の色であり、試料の含有量に対する色が記録されている。
さらに、記憶部23には、水の吸収スペクトルを示すデータが記憶される。図7は、水の吸収スペクトルを示す図である。図7に示すように、水は、1500nm近傍、2000nm近傍、及び2500nm近傍において、比較的広い波長範囲(例えば100nm〜300nm)に亘るブロードな光吸収特性を有する。したがって、近赤外から赤外波長域に亘る所定波長間隔の分光画像を取得することで、水分を含む領域、すなわち、試験紙における液体試料が浸漬された領域を判定することが可能となる。
演算処理部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算回路や記憶回路により構成されている。この演算処理部24は、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み込み、実行することで、図3に示すように、データ取得部241、解析対象選択部242、フィルター制御部243、分光測定部244、浸漬判定部245、及び定量分析部246として機能する。
データ取得部241は、通信部19を介してネットワークや外部記憶媒体から参照色データを取得し、記憶部23に記憶する。具体的には、データ取得部241は、USB(Universal Serial Bus)メモリーやSDカード、CDやDVD等の外部記憶媒体との接続が検出された場合に、当該外部記憶媒体に、記憶部23に記憶されていない新規の参照色データが記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合は当該参照色データを読み込んで記憶部23に記憶する。また、例えば一定周期でインターネット等のネットワーク回線に接続し、ネットワーク上に記憶部23に記憶されていない新規の参照色データが公開されているか否かを判定し、公開されている場合に当該参照色データをダウンロードして記憶部23に記憶してもよい。さらに、データ取得部241は、ユーザーによる操作部18の操作により参照色データが入力された場合に、その参照色データを取得して記憶部23に記憶してもよい。
解析対象選択部242は、ユーザーの操作部18の操作に基づいて、呈色反応の定量測定を実施する試験紙の種別を選択する。
フィルター制御部243は、記憶部23に記憶されたV−λデータを参照し、所定の目標波長に対応した駆動電圧を印加する旨の制御信号を電圧制御部22に出力する。
分光測定部244は、本発明の測色部として機能し、静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧を順次変化させた際に、撮像部15により順次撮像される各波長に対応した分光画像を取得する。そして、これらの分光画像の各画素の光量に基づき、各画素における分光スペクトルを算出する。
なお、分光スペクトルの算出方法としては、例えば、複数の測定対象波長に対する光量のそれぞれを行列要素とした計測スペクトル行列を生成し、この計測スペクトル行列に対して、所定の変換行列を作用させることで、測定対象となる光の分光スペクトルを推定する。この場合、分光スペクトルが既知である複数のサンプル光を、予め撮像部15により測定し、測定により得られた光量に基づいて生成される計測スペクトル行列に変換行列を作用させた行列と、既知の分光スペクトルとの偏差が最小となるように、変換行列を設定する。
浸漬判定部245は、上記のように算出された分光画像における各画素の分光スペクトルから、水の吸光スペクトルに対応して光量が減少している画素があるか否かを判定する。水の吸光スペクトルに対応した画素がある場合は、当該画素を試験紙における液体試料が浸漬している箇所(浸漬領域)として検出する。
定量分析部246は、本発明の分析部として機能し、浸漬領域内の各画素の分光スペクトルと、記憶部23に記憶された参照色データとに基づいて、試験紙の呈色状態の定量測定を実施する。
[呈色測定装置における呈色反応検査方法]
次に、上述したような呈色測定装置1を用いた呈色反応検査方法について、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態の呈色測定装置1による呈色反応検査方法を示すフローチャートである。
本実施形態の呈色測定装置1では、まず、演算処理部24の解析対象選択部242は、モニター16に測定対象の試験紙を選択させる旨の案内画面を表示させる。これには、記憶部23に記憶された参照色データに記録されている各試験紙の種別を読み込み、モニター16に表示させる。
そして、ユーザーの操作部18の操作により、測定対象の試験紙が選択されると、解析対象選択部242は、選択された測定対象の試験紙Aの参照色データを読み出す(ステップS1)。この後、試験紙Aの呈色状態の定量測定処理を開始する。この定量測定処理では、まず、演算処理部24は、検査開始可能な状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
呈色測定装置1により試験紙Aの呈色状態の定量測定を実施するには、まず、ユーザーは、液体試料が浸漬された試験紙Aを載置台11の載置面111に載置し、本体部12を載置台11側に回動させる。本体部12が載置面111に当接すると、検知センサー112から制御回路20に検知信号が入力され、この検知信号の入力により演算処理部24は、定量測定処理を開始する。検知信号が入力された状態では、本体部12の凹部121と載置台11の載置面111により、内部空間SP1が遮光され、外光が入射されない。
ステップS2において、制御回路20に検知信号が入力されない場合(「No」と判定された場合)は、待機状態となり、ステップS1に戻り、試験紙Aの種別の選択が可能な状態で待機する。
一方、ステップS2において、制御回路20に検知信号が入力されると、光源制御部21は光源131を点灯させる(ステップS3)。この際、例えば光源部13の光源131として赤外光源及び可視光源を備える構成では、測定用波長を発光波長域として含む可視光源を点灯させる。また、光源部13が赤外光域から可視光域に亘る波長の光を射出可能な光源131を備える構成では、当該光源131を点灯させればよい。
そして、フィルター制御部243は、記憶部23に記憶されたV−λデータを参照して、目標波長(測定用波長)に対応した駆動電圧を読み出し、当該駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加する旨の制御信号を電圧制御部22に出力する(ステップS4)。これにより、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55間のギャップ寸法が変更され、波長可変干渉フィルター5から測定用波長の光が透過可能な状態となる。
そして、波長可変干渉フィルター5を透過した光が撮像部15に受光され、測定用波長に対応した分光画像が撮像される(ステップS5)。撮像された分光画像は、制御回路20に出力され、記憶部23に記憶される。
この後、フィルター制御部243は、他に未取得の分光画像があるか否かを判定する(ステップS6)。このステップS6における未取得の分光画像とは、試験紙Aの呈色状態を定量測定するための測定用波長に対応する分光画像であり、例えば可視光域における所定波長間隔(例えば10nm間隔)となる波長の分光画像である。
ステップS6において、まだ取得されていない分光画像がある場合(「No」と判定された場合)、ステップS4に戻り、未取得の波長の分光画像を取得する。
一方、ステップS6において、全ての分光画像が取得されたと判定された場合(「Yes」と判定された場合)、分光測定部244は、取得した複数の波長に対応した分光画像の各画素の光量から、各画素における分光スペクトル(可視光域)を算出する(ステップS7)。算出された分光スペクトルは、記憶部23に記憶される。
この後、演算処理部24は、算出された各画素に対する分光スペクトルに基づいて、試験紙Aにおける試薬が設けられた領域(試薬領域)を特定する(ステップS8)。
具体的には、例えば、演算処理部24は、取得された画像の各画素に対する分光スペクトルに基づき、試験紙Aの輪郭部を検出する。そして、ステップS1により選択され、解析対象選択部242により読み出された参照色データの試験紙の種別に関するデータから、検出した試験紙Aの輪郭に対する試薬領域を検出する。また、取得した画像の各画素の分光スペクトルから、試薬領域を直接検出してもよく、例えば、載置台(黒色)と、試験紙(白色)と、試薬領域(呈色反応色)とを検出する。
この後、光源制御部21は、光源部13を制御して試験紙Aに光を照射する(ステップS9)。この際、赤外光源及び可視光源を備える光源部13が用いられる場合では、赤外光源を点灯させ、可視光源を消灯させる。また、光源部13が赤外光域から可視光域に亘る波長を内包する光源131により構成される場合では、ステップS3で点灯された光源131を引き続き点灯させればよい。
そして、フィルター制御部243は、記憶部23に記憶されたV−λデータを参照して、目標波長(浸漬判定用波長)に対応した駆動電圧を読み出し、当該駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加する旨の制御信号を電圧制御部22に出力する(ステップS10)。
これにより、波長可変干渉フィルター5を透過した光が撮像部15に受光され、浸漬判定用波長に対応した分光画像が撮像される(ステップS11)。撮像された分光画像は、制御回路20に出力され、記憶部23に記憶される。
この後、フィルター制御部243は、他に未取得の分光画像があるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、未取得の分光画像とは、試験紙Aに液体試料が浸漬しているか否かを判定するための浸漬判定用波長に対応する分光画像であり、例えば近赤外から赤外波長域に亘って所定波長間隔(例えば10nm間隔)となる波長の分光画像である。
ステップS12において、まだ取得されていない分光画像がある場合(「No」と判定された場合)、ステップS10に戻り、未取得の波長の分光画像を取得する。
一方、ステップS12において、全ての分光画像が取得されたと判定された場合(「Yes」と判定された場合)、分光測定部244は、取得した複数の波長に対応した分光画像の各画素の光量から、各画素における分光スペクトル(近赤外〜赤外波長域)を算出する(ステップS13)。
次に、浸漬判定部245は、試験紙Aが液体試料に浸漬されているか否かを判定する(ステップS14)。
具体的には、浸漬判定部245は、記憶部23に記憶された図7に示すような水の吸収スペクトルと、ステップS13により算出された各画素の分光スペクトルとを比較し、各画素の分光スペクトルに水の吸収スペクトル波長λaqで光量が低下している画素があるか否かを判定する。つまり、浸漬判定部245は、分光スペクトルに水の吸収スペクトルが含まれる画素がある場合、試験紙Aにおいて液体試料が浸漬された領域があると判定し、当該画素がない場合、浸漬された領域がないと判定する。
ステップS14において、浸漬された領域がないと判定された場合、浸漬判定部245は、例えばモニター16に、試験紙に試料が浸漬されていないことを示すエラー画面を表示させ(ステップS15)、ステップS1の処理に戻る。
ステップS14において、浸漬された領域があると判定された場合、定量分析部246は、ステップS8において特定された試薬領域の各画素に対して、ステップS7で算出された分光スペクトルと、ステップS1により選択され、解析対象選択部242により読み出された参照色データとに基づいて、試薬領域の色(分光スペクトル)に対応した試料の含有率を算出する(ステップS16)。
ここで、参照色データに記録される試験紙の種別として、複数種の試薬がそれぞれ異なる位置に配置された試験紙が選択されている場合、参照色データに試験紙における試薬が配置される位置がそれぞれ記憶されている。したがって、定量分析部246は、参照色データに基づいて、分光画像を構成する各画素のうち、どの位置がどの試薬に対応した画素であるかを判定することが可能となる。
例えば、図2に示すように、試験紙Aに一列に沿ってそれぞれ異なる試薬が配置されている場合、参照色データに、これらの試薬の並び順が記憶される。したがって、分光画像の浸漬領域における分光スペクトルを判定し、同一分光スペクトルの画素を有する画素範囲を1つの試薬が配置された範囲として検出することで、各試薬に対する検査結果を検出することができる。
この後、制御回路20は、ステップS16で算出された測定結果をモニター16に表示させる(ステップS17)。また、制御回路20は、ユーザーによる操作部18の操作に応じて、測定結果を印刷部17に出力し、印刷物として出力させてもよい。さらに、制御回路20は、ユーザーによる操作部18の操作に応じて、通信部19からインターネット等のネットワークを介して所定の端末装置やサーバー装置に送信してもよく、呈色測定装置1に接続された外部記録媒体に記憶させてもよい。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧を順次変化させ、例えば10nm間隔の複数の測定用波長に対する分光画像を撮像部15で取得する。そして、分光測定部244は、これらの分光画像の各画素の光量から、各画素における分光スペクトルを算出し、定量分析部246は、測定された分光スペクトルと、記憶部23に記憶された参照色データとに基づいて、試験紙Aの呈色状態の定量測定を実施する。
このような構成では、波長可変干渉フィルター5により、各波長に対する光量を取得することができるため、試験紙Aの呈色状態に対する正確な色を判定することができ、高精度な定量分析を実施することができる。また、試験紙Aとして専用の試験紙を用いる必要がなく、多種の試験紙Aに対して定量測定を実施することができる。
本実施形態の呈色測定装置1は、光源部13を備え、可視光の光源131から載置台11上の試験紙Aに光を照射させる。これにより、試験紙Aからの反射光として十分な光量を取得することができ、分光スペクトルの精度、呈色状態の定量測定の精度を向上させることができる。
本実施形態の呈色測定装置1は、試験紙Aを載置する載置台11と、この載置台11に回動自在に取り付けられた本体部12とを備え、本体部12には、凹部121が設けられており、載置台11と凹部121とにより内部空間SP1を形成する。そして、内部空間SP1において、載置台11に対向する凹部121の底面に、光源部13、光入射部14、波長可変干渉フィルター5、及び撮像部15が設けられている。
このような構成では、試験紙Aを載置台11に載置して本体部12を載置台11側に回動させれば、試験紙Aの呈色状態の定量測定が実施可能な状態となり、操作効率の向上性を図ることができる。
また、試験紙Aを載置する載置台11と、本体部12とが別体であり、本体部12に試験紙Aの呈色定量測定を行うための光源13、波長可変干渉フィルター5、及び撮像部15が組み込まれている。また、本体部12には、凹部121が設けられており、試験紙Aと本体部12とは非接触となる。
このため、測定時に試験紙Aが本体部12(特に凹部121)に接触することがなく、本体部12のクリーニング等の処理が不要にできる。
更に、載置台11及び本体部12は遮光性部材により構成されており、遮蔽部として機能する。したがって、外光が内部空間SP1に入射することがなく、外光によるノイズの影響を抑制でき、分光スペクトル及び呈色状態の定量測定における精度を向上させることができる。
そして、載置台11には、検知センサー112が設けられ、本体部12が載置台11に接触した際に検知信号を出力する。そして、演算処理部24は、この検知信号の入力をトリガーとして呈色状態の定量測定が開始する。このような構成では、測定時における内部空間SP1への外光の入射をより確実に抑制できる。
本実施形態では、光入射部14にテレセントリック光学系142が含まれる。これにより、試験紙Aにより反射された光が一様な平行な光として波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55に対して入射する。これにより、波長可変干渉フィルター5により面分光を行うことができる。つまり、反射膜54,55への入射光の入射位置によらず、目標波長の光を透過させることができるようになり、撮像部15で面分光された光を撮像することで、目標波長に対する分光画像を取得することができる。
また、浸漬判定部245は、この分光画像の各画素の分光スペクトル(近赤外〜赤外域)に基づいて、液体試料が浸漬された浸漬領域を特定し、定量分析部246は、その浸漬領域に対する画素の分光スペクトル(可視光域)に基づいて定量分析を実施する。これにより、液体試料が付着した箇所に対して適切に定量分析を実施することができる。また、複数種の試薬が異なる位置に配置された試験紙を用いる場合でも、参照色データとしてその試験紙の情報(試薬の配置位置等)が登録されていれば、分光画像から試験紙における各試薬の位置を特定することができる。この場合、試験紙の種別によらず、1回の測定で当該試験紙に配置された各試薬に対する呈色状態の定量測定を実施することができる。
本実施形態では、光入射部14に拡大光学系141が含まれる。これにより、試験紙Aからの反射光を縮小して波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55に入射させることができる。したがって、反射膜54,55の径寸法を小さくでき、波長可変干渉フィルター5の小型化を促進できる。さらに、反射膜54,55の面積を小さくできるため、各反射膜54,55の面精度を向上させることが可能となり、波長可変干渉フィルター5における分光精度を向上させることができ、分光スペクトルの測定精度、呈色状態の定量測定の測定精度をも向上させることができる。
本実施形態では、分光部として波長可変干渉フィルター5を用いている。このような波長可変干渉フィルター5では、反射膜54,55を対向配置させ、これらの反射膜54,55間のギャップG1の寸法を静電アクチュエーター56により変化させる構成であり、簡素な構成により小型化が可能となり、呈色測定装置1の小型化をも図れる。
本実施形態では、データ取得部241は、通信部19を介して、外部記憶媒体に記憶された参照色データや、インターネット等のネットワーク上の参照色データを取得し、記憶部23に記憶する。また、ユーザーの操作部18の入力操作に応じて参照色データを取得することも可能である。このため、試験紙の種別や、それに対する呈色状態の色を新たに登録することで、定量測定が試験紙の種別を順次追加することができる。
[その他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態では、載置台11及び本体部12を有し、載置台11及び本体部12により試験紙Aを収納可能な内部空間SP1を形成する据置タイプの構成を例示したが、例えば、携帯型の呈色測定装置であってもよい。
図9は、他の実施形態における携帯型呈色測定装置の概略構成を示す図である。なお、図9において、上記実施形態と同様の構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図9に示すように、携帯型の呈色測定装置としては、例えばカメラ型の装置を例示できる。この呈色測定装置1Aでは、光入射部14の各レンズ位置等が調整可能であり、試験紙Aの呈色反応部分が撮像範囲内となるようにピントを合わせて、測定を開始する。
上記実施形態では、ステップS3からステップS8により、測定用波長に対する分光画像を取得して試験紙Aの各画素の分光スペクトルを算出し、試薬領域を特定した後、ステップS10からステップS14の処理で、浸漬判定用波長の分光画像を取得して試験紙Aが液体試料に浸漬されているか否かを判定する例を示したが、これに限定されない。
例えば、ステップS3からステップS6において、測定用波長に対する分光画像に加え、浸漬判定用波長の分光画像をも取得する処理をしてもよい。この場合、ステップS6において、全目標波長(測定用波長及び浸漬判定用波長)の分光画像が取得されたか否かを判定する。また、ステップS6において、「Yes」と判定された場合、ステップS7において、各画素の測定用波長域から浸漬判定用波長域に亘る分光スペクトルを算出する。この後、ステップS8の試薬領域の特定、ステップS14からステップS15の浸漬判定を実施する。
このような処理でも、上記実施形態と同様に、試験紙Aの呈色定量測定及び試験紙Aの浸漬判定の各処理を実施でき、かつ、測定手順の短縮を図れる。
さらには、例えば、ステップS3からステップS8の代わりに、まず、ステップS9からステップ15を実施して、浸漬判定用の波長域に対する分光スペクトルから試験紙Aが液体試料により浸漬されているか否かを判定した後、ステップS3からステップ8を実施して、測定用の波長域に対する分光スペクトルから試薬領域を特定し、ステップS16及びステップS17の処理を実施してもよい。
このような処理でも、上記実施形態と同様に、試験紙Aの呈色定量測定及び試験紙Aの浸漬判定の各処理を実施でき、かつ、浸漬異常と判定された場合に、測定用波長の分光画像の取得前に、エラー画面により異常を報知することができる。
上記実施形態では、データ取得部241により、外部記憶媒体やネットワーク上から参照色データを取得する例を示したが、例えば予め測定対象が定まっている場合では、データ取得部241が設けられない構成などとしてもよい。
上記実施形態では、分光部として波長可変干渉フィルター5を例示したが、これに限定されず、例えば、AOTFやLCTF等が用いられてもよい。ただし、特に図9のような携帯型の呈色測定装置1Aでは、装置の小型化が望まれるため、上記実施形態のようにファブリーペローエタロンを用いることが好ましい。
上記実施形態では、光入射部14に拡大光学系141が設けられる構成を例示したがこれに限定されない。この場合、分光画像を取得するために、波長可変干渉フィルター5における反射膜54,55のサイズを大きくしてもよい。
また、テレセントリック光学系142が設けられる構成を例示したが、例えば、試験紙Aにおける所定の一点に対する呈色状態の定量測定を行う場合等では、分光画像を取得する必要がなく、テレセントリック光学系142が設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態及び図9に示す呈色測定装置1,1Aでは、光源部13を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、外光を利用して呈色状態の定量分析を実施してもよい。ただし、外光は環境によって変化するため、より精度の高い測定を実施するためには、上述したような光源部を用いた測定を行うことが好ましい。
上記実施形態では、浸漬判定部245により、試験紙Aの浸漬状態を判定する例を示したが、これに限定されない。
例えば液体試料が浸漬された試験紙Aが用いられているとして、浸漬判定の処理(ステップS9〜ステップS15の処理)を実施せず、呈色状態の定量測定(ステップS3からステップS8及びステップS16)の処理を実施してもよい。
上記実施形態では、載置台11に載置された試験紙Aに対して光源部13から照射した光を反射させて、波長可変干渉フィルター5を透過させ、撮像部15で撮像した。これに対して、試験紙Aを透過した光の分光スペクトルを測定し、定量測定を行ってもよい。この場合、例えば、載置台11の載置面111をガラス等により構成し、載置面111の下部に光入射部14、波長可変干渉フィルター5、及び撮像部15を配置する構成等が例示できる。
上記実施形態では、ステップS3からステップS7の処理により可視光域における分光スペクトルを算出した後、ステップS8で試薬領域を特定し、その後、ステップS9からステップS13の処理により近赤外〜赤外波長域における分光スペクトルを算出し、ステップS14で浸漬状態を判定した。これに対して、ステップS3からステップS7の処理の後、ステップS9からステップS13の処理を実施して、可視から赤外域に亘る分光スペクトルを測定した後、試薬領域の特定、浸漬状態の判定、及び呈色状態の定量測定を実施してもよい。
この場合、光源制御部21は、赤外光源及び可視光源を切り替えることなく、赤外光源及び可視光源の双方を点灯させて、可視から赤外域に対応する分光画像を順次取得してもよい。
上記実施形態では、ステップS10からステップS12において、赤外から近赤外波長域に亘る所定波長間隔毎の分光画像を取得し、ステップS13において、取得した分光画像の各画素における分光スペクトルから、図7に示すような水の吸光スペクトルを有する画素を検出する例を示したが、これに限定されない。
例えば、試験紙Aにおける水の含有率を算出し、水の含有率が所定値以上である場合に浸漬されていると判定してもよい。この場合、MgO等の基準白色板に対して測定を実施した際の光量Iを予め測定しておく。そして、浸漬判定部245は、水の吸光スペクトル波長λaqに対応した分光画像の各画素の光量Iλaqを取得し、次式(1)により吸光度Aλaqを算出する。
λaq=−log(Iλaq/I) …(1)
また、記憶部23に、水の吸光度Aλaqと、水の含有量との相関を示す相関データ(例えば検量線)を記憶しておく。そして、浸漬判定部245は、算出された吸光度Aλaqと、相関データとに基づいて、各画素における水の含有率を分析する。この分析方法としては、従来用いられているケモメトリックス法により行うことができ、ケモメトリックス法としては、例えば、重回帰分析、主成分回帰分析、部分最小二乗法等の方法を用いることができる。そして、浸漬判定部245は、分析された水の含有率が所定値以上となる画素を検出し、試験紙Aにおいて液体試料が浸漬された部分に対応した画素(浸漬領域)として判定する。
上記のような手法により浸漬判定を行う場合、水の吸収スペクトルに対応した吸光度Aλaqが取得されればよいため、水の吸収スペクトル波長λaqに対応した分光画像を取得すればよい。したがって、上記実施形態のように、所定波長間隔おきの分光画像を全て取得する必要がなく、分光画像の取得処理に係る時間を短縮できる。
また、呈色測定装置1に試験紙Aの温度、又は温度分布を検出する温度検出センサーが設けられていてもよい。この場合、記憶部23に、各温度に対する水の吸光スペクトル波長λaqの補正値を記憶しておく。そして、浸漬判定部245は、波長λaqに補正値を掛けあわせ、試験紙Aの温度に対する波長λaqを補正する処理をしてもよい。このような構成では、温度変化に伴って水の吸収スペクトルが変化した場合でも、適切に水の含有率に基づいて液体試料の浸漬状態を判定することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等に適宜変更できる。
1,1A…呈色測定装置、5…波長可変干渉フィルター、11…載置台、112…検知センサー、12…本体部、121…凹部、13…光源部、131…光源、14…光入射部、141…拡大光学系、142…テレセントリック光学系、15…撮像部、16…モニター、17…印刷部、18…操作部、19…通信部、20…制御回路、21…光源制御部、22…電圧制御部、23…記憶部、24…演算処理部、54…固定反射膜、55…可動反射膜、56…静電アクチュエーター、241…データ取得部、242…解析対象選択部、243…フィルター制御部、244…分光測定部、245…浸漬判定部、246…定量分析部、A…試験紙。

Claims (8)

  1. 試料の接触により呈色反応を示す試薬が保持された試験紙の呈色状態を測定する呈色測定装置であって、
    自然光又は光源からの光を受けた前記試験紙からの光が入射され、当該入射された光から所定波長の光を選択し、かつ前記所定波長を変更可能な分光部と、
    前記分光部により選択された波長の光を受光する受光部と、
    前記試験紙の呈色状態を示す参照色データを記憶する記憶部と、
    前記受光部により受光された複数波長の光から、前記試験紙の色を測定する測色部と、
    前記測色部で測定された色、及び前記参照色データに基づいて、前記試料の定量測定を実施する分析部と、
    を具備したことを特徴とする呈色測定装置。
  2. 請求項1に記載の呈色測定装置において、
    前記試験紙に対して光を照射する光源部を備える
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  3. 請求項2に記載の呈色測定装置において、
    前記試験紙を載置する載置台と、
    前記載置台を覆い、前記載置台との間に前記試験紙を配置する内部空間を形成するカバー部と、を備え、
    前記カバー部は、前記載置台に対向する面に前記光源部、前記分光部、及び前記受光部を有する
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  4. 請求項3に記載の呈色測定装置において、
    前記内部空間の外部の光が内部へ入射するのを遮蔽する遮蔽部を備える
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の呈色測定装置において、
    前記分光部に入射する光を導く光入射部を備え、
    前記光入射部は、テレセントリック光学系を有する
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  6. 請求項5に記載の呈色測定装置において、
    前記光入射部は拡大光学系を有する
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の呈色測定装置において、
    前記分光部は、波長可変型のファブリーペローエタロンである
    ことを特徴とする呈色測定装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の呈色測定装置において、
    前記参照色データを取得し、取得した前記参照色データを前記記憶部に記憶させるデータ取得部を備える
    ことを特徴とする呈色測定装置。
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