JP2014185226A - β−グルカンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な操作によって低コストで実施でき、しかも高純度品を製造可能なβ−グルカンの製造方法を提供すること。
【解決手段】β−グルカン含有液をセルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる工程;β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性液又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する工程;及びβ−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する工程;を包含するβ−グルカンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、β−グルカンの製造方法に関し、特にトウモロコシ由来β−グルカン及びその製造方法に関する。
グルカンは、グルコースのみからなるホモ多糖である。しかし、異なる立体化学的配置のグルコース分子を連結することができるので、グルカンは、化学的、物理的及び機能的諸特性が異なる多様な化合物群である。グルカンの中でも、グルコースが主としてβグルコシド型の結合で連なった多糖類はβ−グルカンと呼ばれる。穀類中に存在するβ−グルカン多糖類は、D−グルコピラノシル単位から構成される。この単位は、β1−4結合したセロトリオ―ス(3量体)とセロテトラオ―ス(4量体)がβ1−3結合した直鎖状高分子である。
β−グルカンは、可溶性食用繊維として有用である。可溶性繊維は、下部腸で結腸微小菌による以外は、未消化のまま残る。これは、健康に有利な細菌の成長を高める。可溶性食用繊維は、結腸ガンを含む或る種の病気の予防と、高血清コレステロール水準に関係する病気の予防に役立つとされている。可溶性繊維は、整腸作用の向上、及び多くの物質の消化に関連するグリカエミック反応の調整を期待して、便秘の治療と予防に使われている。
β−グルカンを含む穀類としては、大麦やオーツ麦がよく知られている。しかし、トウモロコシの種子がβ−グルカンを含むことはあまり知られていない。発明者らは、特に、トウモロコシの種皮がβ−グルカンを豊富に含むことを見出し報告した(非特許文献1)。
特許文献1には穀類からβ−グルカンを抽出する方法が記載されている。この方法には、穀物に含まれる酵素を失活することなく、水で抽出することにより、穀物からβ−グルカンを得ること、抽出時間を制御することにより、穀類から抽出されたβ−グルカンの分子量を制御すること、β−グルカンの水溶液を凍結し、そして解凍し、得られた懸濁液から固体分を分離することからなるβ−グルカンの水溶液からβ−グルカンを回収することが含まれる。
しかし、先行技術が示唆するβ−グルカンの抽出方法は、多くの工程を要し、そのためにコスト高となる観点から工業的適応性に制約を受ける。また、先行技術の方法で得られるβ−グルカンは純度の観点から未だ改良の余地がある。
特開2009−144165号公報
吉田ら、プロセディア・ケミストリー、第4号、2012年、6月、第294〜300頁
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、簡単な操作によって低コストで実施でき、しかも高純度品を製造可能なβ−グルカンの製造方法を提供することにある。
本発明は、β−グルカン含有液をセルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる工程;
β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性液又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する工程;及び
β−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する工程;
を包含するβ−グルカンの製造方法を提供する。
ある実施形態においては、前記β−グルカンがトウモロコシの種子から抽出されたものである。
ある実施形態においては、前記β−グルカンがトウモロコシの種子から熱水を用いて抽出されたものである。
ある実施形態においては、前記β−グルカンがトウモロコシの種皮からアルカリ水溶液を用いて抽出されたものである。
また、本発明は、水蒸気あるいは熱水を用いて成分を抽出した後のトウモロコシの種子をアルカリ水溶液に接触させて成分を抽出することにより、β−グルカン含有液を得る工程;
β−グルカン含有液をセルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる工程;
β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性液又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する工程;及び
β−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する工程;
を包含するβ−グルカンの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記いずれかに記載の方法によって得られたβ−グルカンを提供する。
本発明の方法によれば、簡単な操作によってβ−グルカンを精製することができる。また、原料としてトウモロコシの種子又は種皮を利用することができる。そのため、高純度のβ−グルカンを簡単な操作によって低コストで製造することができる。さらに、トウモロコシの水蒸気、熱水抽出残渣及び脱デンプン処理残渣としての種皮由来のβ−グルカンは難水溶性又は非水溶性である点で従来のものと特性が相違し、構造も相違し、新規なβ−グルカンである。
(A)はトウモロコシ種皮ヘミセルロースを陰イオン交換クロマトグラフィーに供した場合の溶出プロファイルを示すグラフである。(B)は、陰イオン交換クロマトグラフィーで得られた中性画分を親和性(アフィニティー)クロマトグラフィーに供した場合の溶出プロファイルを示すグラフである。 親和性クロマトグラフィーで得られたそれぞれの画分について、β−グルカン含有量を分析した結果を示すグラフである。 親和性クロマトグラフィーで得られた2%NaOH画分に分離された物質の13C−NMRスペクトルである。
本発明の方法で用いるβ−グルカン含有液の種類は特に限定されない。通常はβ−グルカン含有物を液化したもの、又はβ−グルカン含有物から抽出した抽出液がβ−グルカン含有液に該当する。
β−グルカン含有物には、オオ麦(5〜10%)、オーツ麦(3〜7%)、ライ麦(0.7〜2.4%)、小麦(0.4〜2.4%)、トウモロコシ(0.1〜1.3%)、イネ(0.4〜0.9%)、カナリークサヨシ(1.1〜2.3%)等の穀物、アマ(0.3〜0.7%)、レンズ豆(0.4〜1.1%)を含む豆類等が挙げられる(A. Ahmad, B. Munir, M. Abrar, S. Bashir, M. Adnan and T. Tabassum, Perspective of β-Glucan as Functional Ingredient for Food Industry, J. Nutr. Food Sci., 2 (2), 1000133)。
本発明の方法で用いるのに好ましいβ−グルカン含有物は大麦、オーツ麦及びトウモロコシ等の穀物である。β−グルカンを含有する穀物のうち特に好ましいものはトウモロコシの種子である。トウモロコシの種子のうち、トウモロコシの種皮にはβ−グルカンが豊富に含まれている(0.1〜5.4%)ため好ましい。
トウモロコシの種皮とは、トウモロコシの種子と外部環境とを隔てている皮をいう。トウモロコシの種皮は、例えば、トウモロコシの種子を縦半分にカットし、内実を除去することにより得られる。しかし、トウモロコシの種子から種皮のみを分離する作業には手間を要する。そのため、熱水を用いて成分を抽出した後のトウモロコシの種子、トウモロコシの種子から水溶性成分を抽出して得られる残渣物等をトウモロコシの種皮として使用してよい。
例えば、トウモロコシからデンプン(コーンスターチ)を抽出する工程は工業的に行われる。そのため、トウモロコシの種子のデンプン抽出残渣は、コーンスターチの副産物として入手が容易である。それゆえ、これをトウモロコシの種皮として使用すること(β-グルカン含有量≦0.1%)ができる。また、スイートコーンの缶詰を製造するために生コーンを水蒸気や熱水処理した際に複製する処理液はβ-グルカン含有量が4.8%と高い高分子成分を含むので製造コストの面から有利である。
トウモロコシの種類は特に限定されないが、デンプンの含有量が少ない種類のものが好ましい。本発明の方法で用いるのに好ましいトウモロコシの品種は入手の容易さを加味すると、スイートコーンが最適である(β-グルカン含有量1.0〜5.4%)。次いで、デントコーン(β-グルカン含有量0.1〜0.2%)が好ましく、ジャイアントコーン(β-グルカン含有量1.7%)、ポップコーン(β-グルカン含有量0.2%)、ソフトコーン(β-グルカン含有量0.2%)、フリントコーン(β-グルカン含有量0.2%)、ワキシ―コーン(β-グルカン含有量≦0.1%)が続く。
β−グルカン含有物から抽出した抽出液は、β−グルカン含有物を適当な液媒体に接触させて、β−グルカン含有物に含まれているβ−グルカンを溶出することにより得られる溶液である。β−グルカン含有物に接触させる溶媒としては、水、温水、熱水、沸騰水、アルカリ水溶液、塩化カリウムを含む塩酸等が挙げられる。
トウモロコシの種皮からβ−グルカンを抽出する場合、β−グルカン含有物から可溶性成分を溶出させる液媒体はアルカリ水溶液を使用することが好ましい。特に好ましいアルカリ水溶液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性成分を含有する水溶液である。尿素及びアルカリ性成分を含有する水溶液が更に好ましい。
アルカリ水溶液に含まれるアルカリ性成分の濃度はトウモロコシの種皮に含まれるセルロースを溶解しない程度の濃度であればよい。例えば、アルカリ水溶液中のアルカリ性成分の濃度は0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜4重量%である。アルカリ水溶液中のアルカリ性成分の濃度が0.1重量%未満であるとβ−グルカンの抽出効率が低下する場合があり、17.5重量%を超えるとβ−グルカンの純度が低下する場合がある。
アルカリ水溶液が尿素を含有する場合、尿素の濃度は8モル/リットルまで、好ましくは2〜6モル/リットル、より好ましくは3〜4モル/リットルである。アルカリ水溶液中の尿素の濃度が2モル/リットル未満であるとβ−グルカンの抽出効率が低下する場合があり、6モル/リットルを超えると尿素が完全に溶解せず沈殿物として残存する場合がある。
β−グルカン含有物からβ−グルカンを抽出する方法は当業者が通常行う方法を使用してよい。例えば、β−グルカン含有物をβ−グルカン含有物から可溶性成分を溶出させる液媒体に浸漬して、適当な温度で適当な時間維持し、その後、不溶性成分を除去する。抽出方法を行うことで得られる抽出液には、β−グルカン等のβ−グルカン含有物が含有する溶解性成分が含まれる。
トウモロコシの種皮からβ−グルカンを抽出する場合、溶出液にトウモロコシの種皮を浸漬した後、低温に維持する方法で行ってよい。本方法は、低温下で形成された尿素とNaOHのコンプレックス体がセルロースの水酸基と溶媒和することによって、可溶化を可能としていること(Cai, J., Zhang, L., Liu, SL. 2008. Dynamic Self-Assembly Induced Rapid Dissolution of Cellulose at Low Temperatures. Macromolecules. 41. 9345-9351.)をセルロース以外の多糖の可溶化に利用したものである。ここでいう低温は、トウモロコシの種皮を浸漬した液が凍結する温度が好ましい。その温度は、0℃以下、好ましくは−80〜−10℃、より好ましくは−40〜−20℃である。
また、抽出操作は、β−グルカン含有物から可溶性成分を溶出させる液媒体にトウモロコシの種皮を浸漬した液を凍結させ、解凍する工程を含んでよい。NaOH溶液によるセルロースの可溶化は低温で促進されることが報告されており(Yamashiki, T., Kamide, K., Okajima, K., Kowsaka, K., Matsui, T., and Fukase, H. Some characteristic features of dilute aqueous alkali solutions of specific alkali concentration (2.5moll-1) which possess maximum solubility power against cellulose. Polym. J. 20. 447-457.)、水と特殊な溶媒和構造を形成した水酸化ナトリウムイオンが、セルロースに強く溶媒和してセルロースを溶解するので、溶解反応は発熱反応であり、セルロースの溶解は低温溶解型となるためである。トウモロコシの種皮を浸漬した液を凍結及び解凍させる工程は複数回行ってよい。凍結及び解凍の回数は3回位で十分である。
本発明の方法で用いるのに好ましいβ−グルカン含有液には、トウモロコシの種子を熱水で抽出した液、トウモロコシの種皮を熱水で抽出した液、トウモロコシの種子をアルカリ水溶液で抽出した液、及びトウモロコシの種皮をアルカリ水溶液で抽出した液等が含まれる。
これらの抽出液は、濾過、遠心分離等の固体除去、透析等の精製を行うことが好ましい。また、これらの抽出液は、アニオン交換クロマトグラフィー等で処理することにより、酸性多糖類等の酸性成分を除去しておくことが好ましい。抽出及び精製の過程では、液に含まれている成分を適宜凍結乾燥、自然乾燥、又はβ−グルカン等の成分が変質しない程度の温度で加熱乾燥させてよい。
β−グルカン含有液は、次いで、高分子担体を使用した親和性クロマトグラフィーに供する。親和性クロマトグラフィーの担体としては、化学的安定性に優れ、極性を有する高分子物質が使用される。親和性クロマトグラフィーの担体としては、カラムクロマトグラフィー用の高純度セルロース材料が流速を得るため特に好ましい。セルロースの純度は高い程好ましく、他の多糖の存在は吸着したβ−グルカンをアルカリ溶液により溶出する際に夾雑物として混入するため好ましくない。この場合には、用いるセルロースをあらかじめ溶出する希薄アルカリ水溶液を用いて洗浄する工程を追加する。カラムクロマトグラフィー用のセルロース材料の具体例としては、例えば、高純度コットンセルロースパウダー、木材起源のαセルロース由来の高純度セルロースなどが挙げられる。セルロース担体の形状は繊維状でも粉末状でもよい。
β−グルカン含有液は、セルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる。セルロース担体にβ−グルカンを十分に吸着させるために、その後、適当な時間静置しておいてもよい。次いで、β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する。溶出液はpHが3〜7、好ましくは4〜6のものを使用する。溶出液のpHが3未満であるとβ−グルカン又はセルロース担体が変質する可能性があり、7を超えると吸着しているβ−グルカンまで溶出されることがある。
β−グルカン以外の成分の溶出液としては、酢酸ナトリウム緩衝液、リンゴ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グッドバッファー等を使用することができる。酸性液で溶出した後、水で更に溶出することが好ましい。そうすることで、得られるβ−グルカンの純度が向上する。
次いで、β−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する。溶出液としては、KOHはキシランの可溶化を促進するので好ましくなく、その作用が小さくセルロースとβ−グルカンとの間の吸着に関与する水素結合の開裂を促進するNaOHの水溶液が好ましい。また、その濃度として1〜5%、好ましくは2%前後のものを使用する。アルカリの濃度が7%以上に高くなるとセルロースは天然のセルロースIの結晶型からセルロース分子鎖間の水素結合が切断され、アルカリセルロースとなる頻度が増大し、セルロースIIの結晶形への変換が誘起され、β−グルカンとの相互作用も変化を受けるので好ましくない。また、アルカリの濃度が高くなると、溶出液の中和と脱塩に余剰の試薬と時間が必要となり、経済的に好ましくない。
β−グルカンの溶出液としては、トウモロコシの種皮からβ−グルカンを抽出する場合と同様のアルカリ水溶液を使用することができる。但し、一旦可溶化したβ−グルカンとセルロース間の水素結合による吸着力は元の種皮中の結合力と比較して弱く、アルカリ水溶液に尿素を含有させる必要はない。溶出液は適宜中和・透析等の精製を行い、乾燥させることにより、β−グルカンが得られる。本発明の方法で得られるβ−グルカンは高純度であり、可溶物として通常約77%以上、グルコースとして約92%以上、好ましくは可溶物として約85%以上、グルコースとして約96%以上の純度を示す。
実施例1
スイートコーンの種子を準備した。スイートコーンの種子を半分にカットし、種皮を手で分離し、さらにその下半分を除去して上半分を収集した。この種皮を、6モル/リットルの尿素を含有する水酸化ナトリウム0〜2重量%水溶液に、液体と固体の比率が125mL/gになる量で浸漬し、−20℃に維持した。解凍と融解を2〜7回繰り返した後、吸引濾過することにより溶液画分を回収した。可溶化した液を酢酸で中和し、水に対して透析して脱塩した後3倍量のエタノールを添加して冷蔵庫(4℃)で放置して沈殿物を得た。この沈殿物を遠心分離(11,000 g(重力の加速度)、10分間、4℃)して回収した後エタノールによる段階的脱水処理と45℃での乾燥を経て、β-グルカンの精製のための原料としての粗製トウモロコシ種皮β-グルカン含有ヘミセルロースを得た。
トウモロコシ種皮β-グルカン含有ヘミセルロースを80℃の熱水に溶解し、遠心分離(11,000 g、10分間、25℃)して得た上澄み液を15×150mmの弱陰イオン交換樹脂カラム(TOYOPEARL DEAE-650M、東ソー社製)に充填し、0〜1.2MNaClを含む5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)を用いて溶出した。250滴を一画分として収集し、フェノール−硫酸法を用いて多糖類の溶出を追跡した。結果を図1(A)に示す。陰イオン交換樹脂に吸着しないβ-グルカンを主体とする中性画分、及び陰イオン交換樹脂に吸着するアラビノキシランを主体とする酸性画分が溶出された。収集されたそれぞれの画分を水で透析し、凍結乾燥させた。原料であるトウモロコシ種皮ヘミセルロースに対する画分の収率(重量%)は次の通りである。表の値は平均値±標準偏差(n=3)である。
[表1]
Figure 2014185226
陰イオン交換樹脂に吸着しなかった画分である中性多糖類を5mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に溶解した。この溶液を、セルロース担体を使用した親和性クロマトグラフィーに供した。すなわち、中性多糖類溶液を2.5(内径)×15.0cmのセルロースカラム(Whatman CF-11、旧Whatman社(現GE Healthcare Life Science社)製)(pH5.0)、水及び2%水酸化ナトリウム水溶液を通して充填物の溶出を行った。上記と同様にして多糖類の溶出を追跡した。結果を図1(B)に示す。酢酸ナトリウム緩衝液(SAB)で溶出された画分、水で溶出された画分、及び水酸化ナトリウムで溶出された画分が得られた。収集されたそれぞれの画分を水で透析し、凍結乾燥させた。原料であるトウモロコシ種皮ヘミセルロースに対する画分の収率(重量%)は次の通りである。表の値は平均値±標準偏差(n=3)である。
[表2]
Figure 2014185226
図2は、親和性クロマトグラフィーで得られるそれぞれの画分について、β−グルカン含有量を分析した結果を示すグラフである。β−グルカンは選択的に2%NaOH画分に分離され、2%NaOH画分は76.9%のβ−グルカンを含有していた。
図3は、親和性クロマトグラフィーで得られる2%NaOH画分に分離された物質の13C−NMRスペクトルである。このスペクトルは純粋なβ−グルカンのものと一致する。82.19ppm及び86.6ppmに存在する特徴的な強いピークは、β−グルカンの1,4−結合又は1,3−結合されたD−GlcのC−3のシグナルに割当てられる。β−グルカンに割当てられるもの以外の強いピーク検出されない。この結果は、2%NaOH画分に分離された物質が高純度のβ−グルカンであることを示す。
メチル化分析及びリケナーゼを使用したフラグメンテーション分析により、2%NaOH画分中のβ−グルカンの構造と大麦由来の純粋β−グルカンの構造を比較した。分析結果を表3及び表4に示す。
[表3]
Figure 2014185226
[表4]
Figure 2014185226
β−グルカンの構造は、一般に、グルコースの(1,4)/(1,3)結合の比率及びセロトリオシル/セロテトラオシル断片の比率によって特徴付けられる。2%NaOH画分中のβ−グルカンのグルコースの(1,4)/(1,3)結合の比率は2.60である。この値は、大麦のβ−グルカンの値である2.37よりも高い。2%NaOH画分中のβ−グルカンのセロトリオシル/セロテトラオシル断片の比率2.5である。この値は、大麦のβ−グルカンの値である2.2よりも高い。グルコースの(1,4)/(1,3)結合の比率及びセロトリオシル/セロテトラオシル断片の比率が高いβ−グルカンは、セルロース様領域における強力な水素結合による分子間相互作用により、溶解性が低いと報告されている。

Claims (6)

  1. β−グルカン含有液をセルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる工程;
    β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性液又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する工程;及び
    β−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する工程;
    を包含するβ−グルカンの製造方法。
  2. 前記β−グルカンがトウモロコシの種子から抽出されたものである請求項1に記載のβ−グルカンの製造方法。
  3. 前記β−グルカンがトウモロコシの種子から熱水を用いて抽出されたものである請求項1に記載のβ−グルカンの製造方法。
  4. 前記β−グルカンがトウモロコシの種皮からアルカリ水溶液を用いて抽出されたものである請求項1に記載のβ−グルカンの製造方法。
  5. 熱水を用いて成分を抽出した後のトウモロコシの種子をアルカリ水溶液に接触させて成分を抽出することにより、β−グルカン含有液を得る工程;
    β−グルカン含有液をセルロース担体に接触させてβ−グルカンをセルロース担体に吸着させる工程;
    β−グルカンを吸着したセルロース担体を酸性液又は中性液に接触させてβ−グルカン以外の成分を溶出する工程;及び
    β−グルカンを吸着したセルロース担体を希薄アルカリ水溶液に接触させてβ−グルカンを溶出する工程;
    を包含するβ−グルカンの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の方法によって得られたβ−グルカン。
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