JP2014177680A - 焼入れ処理設備、熱処理設備及び焼入れ処理方法 - Google Patents

焼入れ処理設備、熱処理設備及び焼入れ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼入れ処理においてワークに付着した冷却液の処理設備外に持ち出される量を低減することで、冷却液の利用効率の高い焼入れ処理設備を提供する。
【解決手段】加熱処理後のワークを冷却液に浸漬させて焼入れ処理を行う焼入れ処理設備であって、冷却液を貯留する冷却槽を内部に備えた油槽室と、前記ワークを前記焼入れ処理設備内にて傾斜させる傾斜機構と、前記焼入れ処理設備内に外気を流入させない手段と、を備える、焼入れ処理設備が提供される。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車用部品等のワークに対して焼入れ処理を行うための焼入れ処理設備に関する。更には、前記焼入れ処理設備を用いた、浸炭、浸炭窒化処理等を行う熱処理設備、焼入れ処理方法に関する。
一般に、自動車部品等のワークの製造において、ワークの表面硬化処理方法として加熱したワークを急冷却する焼入れ処理が知られている。焼入れ処理としては、例えば水や油等の浴中にワークを浸漬させて行う方法や、液体を噴霧して行うスプレー焼入れ、気体噴射によって行うガス焼入れ等があるが、金属部品であるワークを大量に焼入れ処理する場合には、油の浴中にワークを浸漬させて行う技術が最も好適に使用されている。
例えば特許文献1には、冷却液を貯留した冷却液槽に対してワークを保持したワーク保持体を鉛直方向に昇降させてワークを冷却液に浸漬させる技術が開示されている。また、特許文献2には、冷却液を貯留した焼入れ槽に対してワークをバスケットを介して浸漬させる技術が開示されている。また、特許文献3には、油冷室内においてワークを冷却槽(油槽)の上部に静止させた状態で油冷室の排気を行い、オイルミストを除去する技術が開示されている。
特開2012−62512号公報 特開2010−53406号公報 特開平4−263008号公報
上記特許文献1に記載された技術等、従来の焼入れ処理においては、冷却液(即ち、油)を貯留した冷却槽に投入されたワークは、ワーク引き上げ領域において冷却液から引き上げられたワークに対してガスを吹き付けることで、当該ワークやワーク保持体、ワークを保持するバスケット等に付着した冷却液を吹き飛ばして除去といった方法が採られている。また、上記特許文献3に記載の技術では、ワークを冷却槽の上部に静止させて油切りを行うとしている。
ここで、鉛直方向上方よりワークを冷却槽に投入する際に、特に、ワークの上面に窪み等が形成されている場合やワークが上方に開口する略お椀形状等であった場合には、冷却液に浸漬後、冷却槽からワークを取り出した時に冷却液である油がワークに形成された窪みや略お椀型のワーク内に残留したまま処理設備外へ搬送されることになる。即ち、ワークの窪みやワーク内に残留した油が大量に処理設備外に持ち出されることになる。図1(a)、(b)には、それぞれ上面に窪み2が形成されているワークの一例を図示している。
一方、冷却槽及び冷却液を用いた焼入れ処理は、処理設備内に外気が流入しない構造とし、不活性ガスや変成ガス等の非酸化性雰囲気として行うことが一般的であるのに対し、処理設備外は大気雰囲気となっている。そのため、上述したようにワークに残留した状態で処理設備外に持ち出された油は、大気雰囲気下において酸化してしまい、再度冷却液として再利用することはできず、廃油として廃棄される。
従って、上記特許文献1、2に記載された技術では、ワークに残留して処理設備外に持ち出された油は再利用することができず、焼入れ処理において冷却液の補給のため大量の油が必要となってしまうため、冷却液のコストが増大してしまうといった問題がある。ワークに窪み等が形成されている場合やワークが略お椀形状である場合には、より大量の油がワークに残留し処理設備外に持ち出されてしまうため、その損失は甚大である。
また、上記特許文献1〜3に代表される従来の焼入れ設備において、焼入れ処理後の設備外に搬送されたワークに対して、洗浄処理工程で油を落とすための洗浄処理が行われるが、大量の油が処理設備外に持ち出された場合には、洗浄処理に用いる洗浄液も大量に必要となるため、洗浄液の交換頻度が上がり洗浄効率が低下、洗浄コストが増大するといった問題もある。
そこで、本発明は、焼入れ処理においてワークに付着した冷却液の処理設備外に持ち出される量を低減することで、冷却液の利用効率の高い焼入れ処理設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、加熱処理後のワークを冷却液に浸漬させて焼入れ処理を行う焼入れ処理設備であって、冷却液を貯留する冷却槽を内部に備えた油槽室と、前記ワークを前記焼入れ処理設備内にて傾斜させる傾斜機構と、前記焼入れ処理設備内に外気を流入させない手段と、を備える、焼入れ処理設備が提供される。
上記焼入れ処理設備は、前記ワークを保持する保持体を備えても良い。
前記傾斜機構は、前記ワーク又は前記保持体を支持する支持部材を備え、更に前記支持部材を昇降させる昇降機構を備えても良い。また、前記傾斜機構は、前記保持体と前記ワークを一体的に傾斜させても良い。
前記支持部材は複数設けられ、前記傾斜機構は、複数の支持部材の全部又は一部を昇降させる昇降機構を備えても良い。前記傾斜機構は、前記ワークを回転させる回転機構を備えても良い。
前記油槽室と隣接する油切り室が設けられても良い。前記傾斜機構は、前記油槽室又は前記油切り室に設けられても良い。
前記ワークを傾斜させたときに落下する冷却液を回収する回収機構を備えても良い。前記油切り室は、冷却液を回収する回収機構と、前記回収機構によって回収した冷却液を前記冷却槽に還流させる還流機構と、を備えても良い。前記油槽室又は前記油切り室には、前記ワークに対して非酸化性ガスを吹き付ける噴射機構が設けられても良い。
また、別の観点からの本発明によれば、ワークに浸炭処理を行う熱処理炉と、上記記載の焼入れ処理設備を備えた、熱処理設備が提供される。
更に別の観点からの本発明によれば、上記記載の焼入れ処理設備によって焼入れ処理を行う焼入れ処理方法であって、前記焼入れ処理設備内に外気を流入させない非酸化性雰囲気において、ワークを前記冷却槽に貯留された冷却液に浸漬させて焼入れ処理し、前記冷却槽からワークを取り出した後、前記傾斜機構によって前記ワークを前記焼入れ処理設備内にて傾斜させる、焼入れ処理方法が提供される。
本発明によれば、焼入れ処理においてワークに付着した冷却液の処理設備外に持ち出される量を低減することで、冷却液の利用効率の高い焼入れ処理設備が提供される。
上面に窪みが形成されているワークの一例を示す概略斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る熱処理設備の概略縦断面図である。 油槽室を横から見た概略断面図である。 油槽室におけるワークの熱処理についての説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る焼入れ処理設備を横から見た概略断面図である。 架台の概略拡大図であり、(a)は傾斜させていない状態、(b)は傾斜させた状態を示している。 本発明の第3の実施の形態に係る油切り室の構成についての説明図である。 回転機構の概略断面図である。 本発明の変形例に係る油切り室の構成についての説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下では、熱処理設備1に備えられる熱処理炉3は従来より知られている一般的な連続浸炭設備であるため、その構造については簡略的に説明するに留め、本発明の特徴部分である焼入れ処理設備について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る熱処理設備1の概略縦断面図であり、具体的には連続浸炭焼入れ設備の構造を示すものである。図2に示すように、熱処理設備1は、例えば自動車部品等のワークWをX方向(略水平方向)に沿った搬送方向Dに搬送しながらワークWを高温状態で処理する熱処理炉3と、ワークWの油冷(油焼入れ処理)を行う焼入れ処理設備4を備えている。なお、熱処理炉3は、例えば予熱処理、浸炭処理、拡散処理、降温処理からなるガス浸炭を行う処理炉である。
熱処理炉3の炉体10内には、複数の処理室として、ワークWの予熱処理(昇温処理)を行う予熱室11、浸炭処理及び拡散処理を行う浸炭室12(浸炭拡散室)、拡散処理後の降温処理を行う降温室13が、搬送方向Dの上流側から順に並べて設けられている。炉体10の入口側には、ワークWを焼入れ処理設備1の外部から炉体10内(予熱室11)に搬入する開閉自在な扉22を備えた搬入口21が設けられ、炉体10の出口側には、ワークWを炉体10内(降温室13)から搬出して油槽室50に搬入するための開閉自在な扉26を備えた搬入出口25が設けられている。
炉体10の内部において、予熱室11と浸炭室12の間、浸炭室12と降温室13の間には、仕切壁31、32がそれぞれ備えられている。即ち、炉体10の内部は2つの仕切壁31、32によって3つの処理室が構成されている。各仕切壁31、32には、ワークをX方向に通過させる通過口がそれぞれ開口しており、各通過口には開閉自在な仕切扉37、38が設けられている。即ち、予熱室11、浸炭室12、降温室13の各処理室の雰囲気は、仕切扉37、38によって仕切ることが可能な構成となっている。
本実施の形態におけるワークWとは必ずしも鋼材部品等の1個を示しているのではなく、複数の鋼材部品等を入れたトレイやバスケット等のかたまりを1単位としてワークWとしても良い。
また、図2に示すように、熱処理炉3には、ワークWを搬送する搬送機構としてのローラコンベア40が設けられている。ローラコンベア40は複数のローラが炉体10内の下部においてX方向に並べて配置される構成であり、各ローラの上面にワークWを載せて搬送を行う。また、予熱室11、浸炭室12、降温室13には、それぞれの内部の雰囲気を撹拌するファン等の撹拌機構42と、内部温度を調整するヒータ(図示せず)が設けられている。
また、図示しないが、熱処理炉3には、各処理室(予熱室11、浸炭室12、降温室13)にエンリッチガス、変成ガス、空気、窒素を、実施する処理に応じて外部から供給する供給路が設けられており、それら供給されたガスを排気する排気路も設けられている。
熱処理炉3の下流側には、焼入れ処理設備4が設けられ、焼入れ処理設備4には油槽室50が配設されている。油槽室50は、熱処理炉3において熱処理されたワークWを冷却し、焼入れを行う設備であり、例えば油である冷却液AにワークWを浸漬させて冷却を行う構成となっている。冷却されたワークWは、油槽室50の下流側に設けられた開閉式の搬出口51から搬出され、例えば洗浄等の後工程を行う設備に移動される。以下には、図3を参照して油槽室50の構造について説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る焼入れ処理設備4に設けられた油槽室50を横から見た概略断面図である。図3に示すように、油槽室50の内部下方には冷却液Aが貯留された冷却槽52が設けられている。また、油槽室50の内部において冷却槽52の上方にはワークWを保持する保持体55が備えられており、油槽室50内部に搬入されたワークWは保持体55に保持される。油槽室50内部は焼入れ処理時に、例えば不活性ガスや変成ガス等のガスを図示しないガス供給路から供給して、非酸化性雰囲気下とされる。なお、保持体55としては、例えばワークWを載せる架台や、ワークWを収納するバスケット等が挙げられる。
また、保持体55は、油槽室50の天井部50aから複数の支持部材58を介して吊り下げられた構成となっている。本実施の形態では、支持部材58は2本であるものとし、保持体55は図中の左右両端部をそれぞれ支持部材58a、58bによって吊り下げられる構成として説明する。
また、支持部材58a、58bには昇降機構60(図中、左昇降機構60a、右昇降機構60bとして記載)がそれぞれ取り付けられており、各支持部材58a、58bは互いに独立して鉛直方向に昇降自在に制御される構成となっている。即ち、支持部材58と昇降機構60によって以下に説明するようにワークWの傾斜を行う傾斜機構が構成される。なお、昇降機構60としては、例えば空圧、油圧、電動で稼働するシリンダー、モータ、ギア、あるいはジップチェーンリフタ(登録商標:株式会社椿本チエイン)等のチェーン機構が例示される。
以下では、図3に示した構成の油槽室50におけるワークWの熱処理について、図4(a)〜(e)を参照して説明する。図4(a)〜(e)は、油槽室50におけるワークWの焼入れ処理についての説明図である。先ず、図4(a)に示すように、熱処理炉3において加熱処理されたワークWが油槽室50に搬入され、保持体55に保持される。この時、保持体55は油槽室50の内部において冷却槽52の液面より上方に位置しており、まだ冷却は開始されていない状態である。ここで、ワークW搬入後に、油槽室50と熱処理炉3との間の搬入出口25(図1参照)や、搬出口51を閉じ、外気が流入しない状態あるいは設備内を外気より高い圧力とすることで、油槽室50内部空間は外気と遮断された雰囲気下となり、例えば変成ガスや不活性ガスを供給することで還元雰囲気や不活性雰囲気などの非酸化性ガス雰囲気下とされる。
次に、図4(b)に示すように、保持体55にワークWが保持された状態で、昇降機構60a、60bを制御し、支持部材58a、58bを介して保持体55の左右両端を同じ距離だけ(同じストロークで)降下させる。この時降下させる距離は、保持体55に保持されたワークWが冷却槽52内に貯留された冷却液Aに十分に浸漬される程度の距離である。このようにして図4(c)に示すようにワークWが冷却槽52内の冷却液Aに浸漬され、所定の時間ワークWを浸漬させておくことで、焼入れ処理(具体的には急冷却)が行われる。
続いて、焼入れ処理終了後に、図4(d)に示すように、昇降機構60a、60bを制御することで保持体55が冷却槽52から引き上げられる。保持体55を引き上げる際には、降下時と同様に、保持体55の左右両端を同じ距離だけ(同じストロークで)上昇させる。この時、保持体55に保持されたワークWは、冷却槽52に浸漬され熱処理が行われた直後であり、冷却液Aが付着した状態である。特に、図1に示したようなワークW上面に窪みが形成されている場合には、当該窪みに冷却液Aが残留した状態で引き上げられることになる。
次に、昇降機構60a、60bのそれぞれを独立制御し、図4(e)に示すように、支持部材58a、58bを介して保持体55の左右両端部のうちの一方を上昇させ、他方を下降させることで保持体55を所定の角度だけ傾斜させる。これにより、ワークWも保持体55に連動して傾斜し、ワークWの油切りが行われる。特に、ワークWに形成された窪みに残留した冷却液Aは、効率的に油槽室50の下方に落下することとなる。なお、本実施の形態では保持体55の左右両端部のうちの一方を上昇させ、他方を下降させることで保持体55を傾斜させるものとして説明しているが、傾斜させる方法はこれに限られるものではない。例えば保持体55の左右両端部のうちの一方のみを上昇させる、あるいは下降させるといった方法を採っても良い。
図4(e)に示すように、保持体55を傾斜させることでワークWの油切りが行われ、ワークWからは冷却液Aが落下する。油槽室50において保持体55は冷却槽52の鉛直上方向に位置しているため、ワークWから落下した冷却液Aは冷却槽52内に戻ることとなり、熱処理に用いた冷却液Aが効率的に回収される。
そして、焼入れ処理が完了したワークWは、次の洗浄工程でワークWに付着した冷却液Aを洗浄・除去するために油槽室50外へ搬出される。洗浄工程については、例えば洗浄室においてワークWに対して洗浄液を噴射させて行われる。
以上、図3を参照して説明した構成の油槽室50において、図4に示すような工程でもって冷却液Aの回収を行うことで、ワークWに付着・残留したまま油槽室50外へ持ち出されてしまう冷却液Aの量を低減させることができ、また、冷却液Aを回収・再利用できるため、冷却液Aの利用効率を上昇させることが可能となる。また、熱処理に必要な追加の冷却液Aの量が低減されるため、コストの削減が図られる。
加えて、上述したように焼入れ処理の後段では、熱処理後の洗浄液を用いたワークWの洗浄が行われるが、ワークWに付着・残留した冷却液Aが多量である程、洗浄液の使用量や洗浄時間が増大するため、ワークWに付着・残留する冷却液Aの量を低減させることで、洗浄工程における洗浄液の使用量の低下や洗浄時間の短縮化を図ることができ、洗浄効率を上げることが可能となる。
以上、本発明の第1の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。そこで、以下には本発明の他の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態に係る油槽室50においては、油槽室50の内部において保持体55を傾斜させる構成とし、傾斜させるための機構として支持部材58a、58bと昇降機構60a、60bが設置されている場合について説明したが本発明はこれに限られるものではない。そこで、第2の実施の形態では、図5を参照して、油槽室50に隣接する油切り室70を設けた構成について説明する。なお、本実施の形態において上記第1の実施の形態と同様の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る熱処理設備1を横から見た概略断面図である。図5に示すように、本実施の形態に係る熱処理設備1には、上流側から順にワークWの加熱処理を行う熱処理炉3と、油槽室50と、油切り室70が設けられており、熱処理炉3と油槽室50が隣接し、油槽室50と油切り室70が隣接している。即ち、油槽室50及び油切り室70で焼入れ処理設備4が構成される。油切り室70の内部は、油槽室50と同様に焼入れ処理時に外気が流入しない構成であり、例えば変成ガス雰囲気や不活性ガス雰囲気下とされる。
油切り室70には、ワークWを保持する保持体として架台72が設置されており、架台72には昇降機構73が備えられている。昇降機構73は架台72の片側端部に設置されており、昇降機構73を稼働させることにより架台72を所定の角度傾斜させることが可能な構成となっている。図6は架台72の概略拡大図であり、(a)は傾斜させていない状態、(b)は傾斜させた状態を示している。なお、昇降機構73は、上記第1の実施の形態における昇降機構60a、60bと同じく、例えば空圧、油圧、電動で稼働するシリンダー、モータ、ギア、あるいはジップチェーンリフタ(登録商標:株式会社椿本チエイン)等のチェーン機構であることが好ましい。また、本実施の形態では昇降機構73が1基設けられる場合を図示しているが、昇降機構73は少なくとも1つ設けられていれば良く、複数設けられていても良い。
また、図5に示すように、油切り室70においては、架台72の下方に冷却液Aを回収する回収機構75が設けられている。即ち、架台72に熱処理後のワークWが保持された状態で架台72を傾斜させると、ワークWに付着・残留していた冷却液Aが落下し、回収機構75内に回収される。回収機構75には、隣接する油槽室50内の冷却槽52に回収した冷却液Aを送液する還流機構78が設置され、回収機構75にて回収された冷却液Aは、適宜冷却槽52に還流される。また、焼入れ処理後のワークWは油切り室70側面に設けられた搬出口56を開閉することで焼入れ処理設備4から適宜搬出される。
図5及び図6を参照して説明した第2の実施の形態に係る構成の熱処理設備1によれば、焼入れ処理後のワークWを油切り室70の架台72に載置し、架台72を傾斜させることによってワークWに付着・残留する冷却液Aを落下させ、回収機構75内に回収することができる。回収された冷却液Aは、還流機構78によって冷却槽52に還流され、再度ワークWの冷却に用いられる。油切り室70は油槽室50と同じく少なくとも焼入れ処理時に外気から遮断された雰囲気であり、このように回収された冷却液Aは大気雰囲気に曝されるといったことがないため、冷却効率等を劣化させることなく再利用可能である。従って、ワークWに付着・残留したまま処理装置外へ持ち出されてしまう冷却液Aの量を低減させることができ、再利用できる冷却液Aの量が従来に比べて増えるため、冷却液Aの利用効率を上昇させることが可能となる。また、後段の洗浄における洗浄液の使用量の低下や洗浄時間の短縮化を図ることができ、洗浄効率を上げることが可能となる。
なお、本実施の形態では、油切り室70において架台72、昇降機構73や回収機構75を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、このような構成は油槽室50に適用することも可能である。
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態においては、油切り室70に架台72を設け、その架台72を傾斜させることでワークWに付着・残留した冷却液Aを回収するものとしたが、油切り室70における冷却液Aの回収方法はこれに限られるものではない。図7は本発明の第3の実施の形態に係る焼入れ処理設備に設けられた油切り室70の構成についての説明図(側面断面図)である。なお、上記第2の実施の形態における油切り室と同様の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、油切り室70内部において架台72の上面には、載置されたワークWを回転させることが可能な水平方向の回転軸を備えた回転機構80が設置されている。回転機構80はワークWが載置される例えば略円筒形状の保持体81と、保持体81を回転駆動させる支持部材を兼ねた回転動力源82から構成されている。保持体81の周面(側面)には例えばチェーンが取り付けられ、回転動力源82としては例えばスプロケット及びモータ等が例示される。図8は回転機構80の概略断面図(正面断面図)である。図8に示すように、回転動力源82は1又は複数設置され、保持体81の側面に接触するように配置される。
図7及び図8に示す回転機構80においては、保持体81にワークWを載置し、回転動力源82の稼働によって保持体81を回転させることで、載置されたワークWも連動して回転する構成となっている。即ち、ワークWを傾斜させるための傾斜機構として回転機構80が設置されている。具体的には、スプロケットをモータによって回転させ、その回転をチェーンを介して保持体81に伝達することで保持体81は回転する。
本実施の形態では、冷却液Aが付着・残留したワークWを保持体81に載置し回転させることで、ワークWから冷却液Aが飛散し、油切り室70内において落下し、回収機構75に回収される。このような方法によれば、特にワークW上面に窪みが形成され、当該窪みに冷却液Aが溜まっている場合に、効率良く冷却液Aを飛散させ回収することができる。その後、ワークWは油切り室70の搬出口56から焼入れ処理設備4の外部に搬出される。
なお、本実施の形態では、上記回転機構80を油切り室70内に設けるものとして説明しているが、本発明はこれに限られるものではなく、このような構成を油槽室50に適用することも可能である。
更に、油切り室70における冷却液Aの回収方法として、補助的にワークWに非酸化性ガスとして不活性ガス等を吹き付けても良い。そこで、以下では、油切り室70においてワークWに不活性ガスを吹き付ける構成について説明する。図9は以下に説明する噴射機構90を備えた油切り室70の構成についての説明図である。なお、図9において、上記第2あるいは第3の実施の形態の説明に用いた図5〜8に記載の油切り室と同様の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図9に示すように、油切り室70には、架台72に載置されたワークWを囲むように、天井面及び内側面に沿って複数の噴射機構90が設置されている。噴射機構90には、ノズル91が備えられており、ノズル91の噴射方向はワークWに向いている。また、噴射機構90に不活性ガスを供給する供給管92が設けられており、図示しない供給源から供給された不活性ガスが各噴射機構90によってワークWに向かって噴射される構成となっている。
図9に示す噴射機構90を設けた構成の油切り室70では、冷却液Aが付着・残留したワークWの表面に対して噴射機構90から不活性ガスが噴射され、ワークW表面に付着・残留している冷却液Aを油切り室70内部において吹き飛ばし、飛散させることができる。これにより、ワークW表面に付着・残留した冷却液Aを効率的に除去し、回収機構75によって回収することが可能となる。
なお、上記説明した噴射機構90を備えた構成は、本発明の第1〜第3の実施の形態に係る装置構成と併用することが好ましい。即ち、本構成を上記第1〜第3の実施の形態にかかる構成と併用することで、ワークWに付着・残留した冷却液Aの除去や回収をより効率的に実施することが可能となる。
本発明は、例えば自動車用部品等のワークに対して焼入れ処理を行うための焼入れ処理設備に関する。更には、前記焼入れ処理設備を用いた、浸炭、浸炭窒化処理等を行う熱処理設備、焼入れ処理方法に適用できる。
1…熱処理設備
3…熱処理炉
4…焼入れ処理設備
10…炉体
11…予熱室
12…浸炭室
13…降温室
21…搬入口
25…搬入出口
31、32…仕切壁
35、36…通過口
37、38…仕切扉
40…ローラコンベア
50…油槽室
52…冷却槽
55…保持体
56…搬出口
58(58a、58b)…支持部材
60(60a、60b)…昇降機構
70…油切り室
71…熱処理炉
72…架台
73…昇降機構
75…回収機構
78…還流機構
80…回転機構
81…保持体
82…回転動力源
90…噴射機構
91…ノズル
92…供給管
D…搬送方向
A…冷却液
W…ワーク

Claims (13)

  1. 加熱処理後のワークを冷却液に浸漬させて焼入れ処理を行う焼入れ処理設備であって、
    冷却液を貯留する冷却槽を内部に備えた油槽室と、
    前記ワークを前記焼入れ処理設備内にて傾斜させる傾斜機構と、
    前記焼入れ処理設備内に外気を流入させない手段と、
    を備える、焼入れ処理設備。
  2. 前記ワークを保持する保持体を備える、請求項1に記載の焼入れ処理設備。
  3. 前記傾斜機構は、前記ワーク又は前記保持体を支持する支持部材を備え、更に前記支持部材を昇降させる昇降機構を備える、請求項2に記載の焼入れ処理設備。
  4. 前記傾斜機構は、前記保持体と前記ワークを一体的に傾斜させる、請求項2又は3に記載の焼入れ処理設備。
  5. 前記支持部材は複数設けられ、
    前記傾斜機構は、複数の支持部材の全部又は一部を昇降させる昇降機構を備える、請求項3又は4に記載の焼入れ処理設備。
  6. 前記傾斜機構は、前記ワークを回転させる回転機構を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の焼入れ処理設備。
  7. 前記油槽室と隣接する油切り室が設けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の焼入れ処理設備。
  8. 前記傾斜機構は、前記油槽室又は前記油切り室に設けられる、請求項7に記載の焼入れ処理設備。
  9. 前記ワークを傾斜させたときに落下する冷却液を回収する回収機構を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の焼入れ処理設備。
  10. 前記油切り室は、冷却液を回収する回収機構と、
    前記回収機構によって回収した冷却液を前記冷却槽に還流させる還流機構と、を備える、請求項7〜9のいずれかに記載の焼入れ処理設備。
  11. 前記油槽室又は前記油切り室には、前記ワークに対して非酸化性ガスを吹き付ける噴射機構が設けられる、請求項7〜10のいずれかに記載の焼入れ処理設備。
  12. ワークに浸炭処理を行う熱処理炉と、
    請求項1〜11のいずれかに記載の焼入れ処理設備を備えた、熱処理設備。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の焼入れ処理設備によって焼入れ処理を行う焼入れ処理方法であって、
    前記焼入れ処理設備内に外気を流入させない非酸化性雰囲気において、
    ワークを前記冷却槽に貯留された冷却液に浸漬させて焼入れ処理し、
    前記冷却槽からワークを取り出した後、
    前記傾斜機構によって前記ワークを前記焼入れ処理設備内にて傾斜させる、焼入れ処理方法。
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