JP2014177678A - 表面処理鋼板の製造方法および表面処理鋼板、ならびに樹脂被覆鋼板、缶および缶蓋 - Google Patents

表面処理鋼板の製造方法および表面処理鋼板、ならびに樹脂被覆鋼板、缶および缶蓋 Download PDF

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【課題】クロムを用いず、また、めっき後の熱拡散処理設備を必要とせず、従来のめっき設備のみを用いることで、樹脂密着性および耐食性に優れ、ティンフリー鋼板の代替材となり得る表面処理鋼板の製造方法およびその製造方法により得られる表面処理鋼板、ならびにこの表面処理鋼板に有機樹脂が被覆された樹脂被覆鋼板、それを用いた缶および缶蓋を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼板の少なくとも片面に、Ni量が50〜1000mg/m2、Fe量がNi量に対する質量比で0.5〜5.0となるように電気めっきを施し、熱拡散処理を行うことなくNiとFeからなるめっき層を形成後、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を施すことによりTi及びOを含有する皮膜を形成させることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に缶などの容器に加工して用いられる鋼板、特にプラスチックフィルムなどの樹脂との密着性(以後、樹脂密着性と呼ぶ)および耐食性に優れる表面処理鋼板の製造方法およびその製造方法により得られる表面処理鋼板、ならびにこの表面処理鋼板に有機樹脂が被覆された樹脂被覆鋼板、それを用いた缶および缶蓋に関する。
飲料缶、食品缶、ペール缶や18リットル缶などの各種金属缶には、錫めっき鋼板やティンフリー鋼板と呼ばれる電解クロム酸処理鋼板などの鋼板が用いられている。なかでも、ティンフリー鋼板は、高価な錫を使用する必要がなく、6価クロムを含む浴中で鋼板を電解処理することにより製造され、塗料などとの優れた樹脂密着性を有していることに特長がある。
近年、環境に対する意識の高まりから、世界的に6価クロムの使用が規制される方向に向かっており、製造に6価クロム浴を用いるティンフリー鋼板に対しても代替材が求められている。クロムを用いないティンフリー鋼板の代替材として、例えば特許文献1には、タングステン酸溶液中で電解処理が施された容器用鋼板が開示されている。また、特許文献2には、表面にリン酸塩層が形成された容器用表面処理鋼板が開示されている。さらに、特許文献3には、Sn、Niの1種以上を含む表面処理層の上にタンニン酸または酢酸の1種以上およびTiまたはZrまたはそれらの化合物の1種以上を含んだフェノール構造を有する樹脂皮膜を施す容器用鋼板が提案されている。特許文献4には、リン酸イオンを含有しない、Zr、O、Fを主成分とする無機表面処理層と有機表面処理層が形成されている表面処理金属材料が提案されている。また、特許文献5には、Fe−Ni合金層の上にTiおよびOを含む皮膜を有する表面処理鋼板が提案されている。
一方、各種金属缶は、従来より、ティンフリー鋼板などに塗装を施した後に、缶体に加工して製造されていたが、近年、製造に伴う廃棄物の抑制のために、塗装に代わってプラスチックフィルムなどの樹脂をラミネートしたラミネート鋼板(樹脂被覆鋼板)を缶体に加工する方法が多用されるようになっている。このラミネート鋼板には、樹脂と鋼板が強く密着していることが必要であり、特に飲料缶や食品缶として用いられるラミネート鋼板には、内容物の充填後にレトルト殺菌工程を経る場合があるため、高温の湿潤環境でも樹脂が剥離することのない強い樹脂密着性が要求される。また、このラミネート鋼板に用いられる鋼板には、引っかき傷などで部分的に樹脂皮膜が欠損した場合にも、缶の内容物等に侵されて穴開きを生ずる事のない耐食性が必要となる。
特開2004−285380号公報 特開2001−220685号公報 特開2002−355921号公報 特開2006−009047号公報 特開2009−052102号公報
しかしながら、特許文献1に記載のタングステン酸溶液中で電解処理が施された容器用鋼板、特許文献2に記載の表面にリン酸塩層が形成された容器用表面処理鋼板を用いたラミネート鋼板、および特許文献3に記載のフェノール構造を有する樹脂皮膜を施す容器用鋼板では、いずれもレトルト雰囲気における樹脂密着性が不十分である。特許文献4に記載のZr、O、Fを主成分とする無機表面処理層と有機表面処理層が形成されている表面処理金属材料では、樹脂欠損部の耐食性が不十分である。特許文献5では、Fe−Ni合金層を製造するのに、鋼板上にNiめっきを行った後、熱拡散処理を行い、NiとFeを強固に相溶させるため、耐食性に優れているものの、樹脂密着性において必ずしも十分良好な結果が得られない場合がある。さらに熱拡散処理を行うための専用設備が必要であり、設備コストがかかるという問題も有する。
本発明は、クロムを用いず、また、めっき後の熱拡散処理設備を必要とせず、従来のめっき設備のみを用いることで、樹脂密着性および耐食性に優れ、ティンフリー鋼板の代替材となり得る表面処理鋼板の製造方法およびその製造方法により得られる表面処理鋼板、ならびにこの表面処理鋼板に有機樹脂が被覆された樹脂被覆鋼板、それを用いた缶および缶蓋を提供することを目的とする。
本発明者らは、クロムを用いず、樹脂密着性および耐食性に優れ、ティンフリー鋼板の代替材となり得る表面処理鋼板について鋭意研究を重ねた結果、鋼板上に、NiとFeからなるめっき層(Niめっき層と鋼板素地のFeが熱拡散により熱合金化した層であるNi−Fe合金を含まない、Ni−Fe層)を形成し、さらに前記NiとFeからなるめっき層上にTi及びOを含有する皮膜を形成することにより極めて優れた樹脂密着性と耐食性が両立し得ることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、Ni量が50〜1000mg/m2、Fe量がNi量に対する質量比で0.5〜5.0となるようにめっき処理を施し、熱拡散処理を行うことなくNiとFeからなるめっき層を形成後、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を施すことによりTi及びOを含有する皮膜を形成させることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法を提供するものである。
前記Ti及びOを含有する皮膜に関しては、Ti量が5〜200mg/m2であることが好ましい。
本発明はまた、上記の製造方法により得られた表面処理鋼板を提供する。さらにまた、本発明の表面処理鋼板上に、有機樹脂が被覆されている樹脂被覆鋼板、それを用いた缶および缶蓋を提供する。
本発明により、クロムを用いず、従来のめっき設備のみを用いることで、樹脂密着性および耐食性に優れる表面処理鋼板を製造できるようになった。本発明の表面処理鋼板は、これまでのティンフリー鋼板の代替材として問題なく、有機樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板とし、缶や缶蓋に加工しても、樹脂の剥離が全く起こらない。また、引っかき傷などによる樹脂の欠損部においても、地鉄からのFeの溶出がごく少ない耐食性を有する。
180°ピール試験を説明する図である。
1)NiとFeからなるめっき層の形成
本発明の表面処理鋼板では、鋼板としては、一般的な缶用の鋼板などを用いることができる。まず、鋼板の少なくとも片面に、Ni量が50〜1000mg/m2、Fe量がNi量に対する質量比で0.5〜5.0となるように電気めっきを施すことにより、NiとFeからなるめっき層を形成する。そして、熱拡散処理を行わないことを特徴とする。
NiとFeからなるめっき層の形成方法としては、NiイオンとFeイオンを含む電気めっき浴を用いて陰極電解処理する方法が適当である。例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸第一鉄、およびホウ酸を含むめっき浴などが使用できる。
ここで、NiとFeからなるめっき層のうち、Niに関しては、下地鋼板と強固に結合し被覆することで、耐食性を付与する。Ni量が50mg/m2未満であると、缶に加工する際に工具との接触や、缶体に与えられた衝撃により、鋼板表面の有機樹脂被覆層が割れて欠損部が生じた際に、有機樹脂の剥離や地鉄の腐食が進行し、缶としての機能に支障を与える。一方、Ni量が1000mg/m2を超えると、更なる耐食性の向上が望めず、コスト高となる。したがって、Ni量は50〜1000mg/m2とする。
また、NiとFeからなるめっき層のうち、Feに関しては、有機樹脂との密着性の向上に寄与する。詳細なメカニズムは不明だが、めっき層の上にTi及びOを含む化成処理層を形成する際に、Feが化成処理層内に取り込まれることでTi及びOを含む化成処理皮膜の表面に、微細な凹凸形態を有するようになり、有機樹脂との接触面積が増大して密着性が向上するものと考えられる。このような密着性の向上効果は、Niめっき層と鋼板素地のFeが熱拡散により熱合金化した層(Ni−Fe合金層)からは得られない。電気めっきにより、Niとともに共析したFeや、Fe単独で電気めっきにより析出したFeに比べ、Niと密に結合している分、Niに拘束されたFeが、後述するTiとOを含む化成処理層の中にとりこまれにくいためと考えられる。したがって、本発明では、めっき処理後に熱拡散処理を行わず、NiとFeからなるめっき層(Ni−Fe層)を形成させる。これにより、Ni−Fe合金層の場合に比べて有機樹脂との密着性が向上する。
Fe量に関しては、Ni量に対する質量比で0.5未満の場合、Ti及びOを含む化成処理層内へのFeの取り込みが不足し、十分な密着性が得られない。また、Niに対する質量比が5.0を超えると、有機樹脂被覆層の欠損部から、Feが溶出しやすくなり、十分な耐食性が得られなくなる。したがって、Fe量はNi量に対する質量比で0.5〜5.0とする。
なお、Ni量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。Fe量の測定に関しては、FIB(Focused Ion Beam)法により、めっき層の断面薄膜サンプルを作成し、エネルギー分散型X線分析装置付きの透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行い、Niとの元素比率を求め、質量比に換算して定量化することができる。
2)TiおよびOを含む皮膜の形成
本発明において、NiとFeからなるめっき層上に形成されたTiおよびO(酸素)を含む皮膜は、樹脂密着性を向上させるのに欠くことができない。TiおよびOを含む皮膜は他の酸化物(たとえばZrとOからなる酸化物皮膜)と比べ強い樹脂密着性を有し、ティンフリー鋼板に匹敵する樹脂密着性を得るには非常に有効な皮膜である。
TiおよびOを含む皮膜は、Ti量制御の観点から、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理する方法で形成する。Ti量は、陰極電解時の電流密度および電解時間を適切に選択することによって容易に制御することができる。なお、皮膜中のTi量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。また、O量については、特に規定しないが、XPSによる表面分析でその存在を確認することができる。
また、TiおよびOを含む皮膜の形成方法としては、フルオロチタン酸イオンを含む水溶液中で陰極電解処理する方法、または、硫酸チタン、硝酸チタン、乳酸チタン、シュウ酸チタンなど、フッ素を含まない水溶性チタン原料を溶かした水溶液中で陰極電解処理する方法等が好適である。フルオロチタン酸イオンを与える化合物としては、フッ化チタン酸、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウムなどを用いることができる。特に、フッ化チタン酸カリウムを含む水溶液中で陰極電解処理する方法は、効率良く均質な皮膜を形成することが可能であり好適である。
本発明において、皮膜中のTi量が5mg/m2以上であれば、表面の被覆性が十分となり、有機樹脂との密着性改善の効果が十分に得られる。Ti量が200mg/m以下であればコスト高とならず、十分な密着性の向上が得られる。したがって、Ti量は5〜200mg/mであることが好ましい。
Ti、Oを含む皮膜を形成する場合は、上記浴中に有機物を添加することも可能である。また、TiおよびOを含む皮膜上に有機皮膜を形成することも可能である。この場合は、有機物の水溶液に鋼板を浸漬することにより行なう。有機物としては、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、アミン類等のうち、常温で固体の不揮発性物質が好ましく、このような有機物からなる有機皮膜を形成させることが好ましい。たとえば有機酸類、特にヒドロキシ酸が好適である。ヒドロキシ酸とは、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基とを持つ有機化合物の総称であり、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、マンデル酸などの中から選ばれた少なくとも1種の酸を用いることができる。処理後に鋼板を水洗、乾燥し、皮膜を形成することができる。
このような本発明の方法で製造された表面処理鋼板上には、有機樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板(ラミネート鋼板)とすることができる。上述したように、本発明の方法で製造された表面処理鋼板は樹脂密着性に優れているため、この樹脂被覆鋼板は優れた耐食性と加工性を有する。
本発明の表面処理鋼板に被覆する有機樹脂としては、特に限定はなく、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタラート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものであってもよい。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤等(厚さ:0.1〜5.0μm)が好ましく用いられる。さらに熱硬化性塗料を、厚み0.05〜2μmの範囲で表面処理鋼板側、あるいはフィルム側に塗布し、これを接着剤としてもよい。
さらに、フェノールエポキシ、アミノ−エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキシアミノ変性−、エポキシフェノール変性−ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料の単独または2種以上の組合わせであってもよい。
本発明において、有機樹脂被覆層の厚みは3〜50μm、特に5〜40μmの範囲にあることが望ましい。厚みが3μm以上であれば耐食性が十分となり、厚みが50μm以下であれば加工性にも優れる。
本発明において、表面処理鋼板への有機樹脂被覆層の形成は任意の手段で行うことができ、例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。押出コート法の場合、表面処理鋼板の上に有機樹脂を溶融状態で押出コートして、熱接着させることにより製造することができる。すなわち、有機樹脂を押出機で溶融混練した後、T−ダイから薄膜状に押し出し、押し出された溶融樹脂膜を表面処理鋼板と共に一対のラミネートロール間に通して冷却下に押圧一体化させ、次いで急冷する。多層の有機樹脂被覆層を押出コートする場合には、各層用の押出機を複数使用し、各押出機からの樹脂流を多重多層ダイ内で合流させ、以後は単層樹脂の場合と同様に押出コートを行えばよい。また、一対のラミネートロール間に垂直に表面処理鋼板を通し、その両側に溶融樹脂ウエッブを供給することにより、前記表面処理鋼板両面に有機樹脂被覆層を形成させることができる。
本発明の缶は、前述した樹脂被覆鋼板から形成されている限り、任意の製缶法によるものでよい。この缶は、側面継ぎ目を有するスリーピース缶であることもできるが、一般にシームレス缶(ツーピース缶)であることが好ましい。このシームレス缶は、表面処理鋼板の有機樹脂の被覆面が缶内面側となるように、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、あるいは絞り・しごき加工等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
また、本発明の缶蓋は、上述した樹脂被覆鋼板から形成されている限り、従来公知の任意の製蓋法によるものでよい。一般には、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やフルオープンタイブのイージーオープン缶蓋に適用することができる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したに過ぎず、この発明が限定されるものではない。
鋼板として、板厚0.20mm、調質度T−4の低炭素冷延鋼板を使用し、アルカリ脱脂、酸洗を施した後、表1に示す処理浴A〜Eのいずれかの浴組成の処理液中にて、表1に示す温度および電流密度で陰極電解を行い、NiとFeからなるめっき層を鋼板の両面に形成した。続いて表1に示す処理浴Gの浴組成の処理液中にて、表1に示す温度および電流密度で陰極電解を行い、乾燥してTiおよびOを含む皮膜を鋼板の両面に形成した。
Figure 2014177678
上記の方法により、表3に示す表面処理鋼板を作製した。各々の処理浴中での陰極電解時間を調整することで、本発明例(No.1〜14)、及び本発明例の範囲を逸脱した比較例(No.15〜22)を作製した。
また、同じく本発明例の範囲を逸脱した比較例として、表3に示す表面処理鋼板(No.23)を以下の手順で作製した。
鋼板として、板厚0.20mm、調質度T−4の低炭素冷延鋼板を使用し、アルカリ脱脂、酸洗を施した後、表1に示す処理浴Eの処理液中で、同じく表1に示す電流密度、処理温度で陰極電解を行い、Ni電気めっき層を鋼板の両面に形成した。その後、鋼板を10vol%H+90%volN雰囲気中で700℃で焼鈍し、Niと鋼板のFeを相互に拡散させ、鋼板上にFe−Ni合金層を形成した。続いて表1に示す処理浴Hの浴組成の処理液中で、同じく表1に示す電流密度、処理温度で陰極電解を行い、乾燥してTi、FeおよびOを含む皮膜を鋼板の両面に形成した(No.23)。
これらの表面処理鋼板No.1〜23の両面に、厚さ25μm、共重合比12mol%のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタラートフィルム(有機樹脂被覆層)をラミネートして、ラミネート鋼板(樹脂被覆鋼板)を作製した。ラミネートは、210℃に加熱した表面処理鋼板とフィルムを一対のゴムロールで挟んでフィルムを鋼板に融着させ、ゴムロール通過後1sec以内に水冷して行った。このとき、鋼板の送り速度は40m/min、ゴムロールのニップ長は14mmであった。ここで、ニップ長とは、ゴムロールと鋼板が接する部分の搬送方向の長さのことである。そして、作製したラミネート鋼板No.1〜23について、次の特性評価試験を行った。
樹脂密着性試験:
ラミネート鋼板No.1〜23について、温度130℃、相対湿度100%のレトルト雰囲気における180°ピール試験により樹脂密着性の評価を行った。180°ピール試験とは、図1の(a)に示すようなフィルム2を残して鋼板1の一部3を切り取った試験片(サイズ:30mm×100mm)を用い、図1の(b)に示すように、試験片の一端に重り4(100g)を付けてフィルム2側に180°折り返して60分間放置して行うフィルム剥離試験のことである。そして、図1の(c)に示す剥離長5を測定し、次のように樹脂密着性を評価し、◎または○であれば樹脂密着性が良好であるとした。
◎:剥離長が15mm未満
○:剥離長が15mm以上20mm未満
△:剥離長が20mm以上50mm未満
×:剥離長が50mm以上
連続処理後樹脂密着性試験:
連続電解処理に対する皮膜性能の安定性を評価するために、表1に記載の処理液温度、電流密度で合計2時間電解処理を行った後に、初期と同じ条件で電解を行い、得られた皮膜の樹脂密着性を上記の手順に従い調べ、◎または○であれば良好であるとした。
◎:剥離長が15mm未満
○:剥離長が15mm以上20mm未満
△:剥離長が20mm以上50mm未満
×:剥離長が50mm以上
耐食性試験:
ラミネート鋼板No.1〜23の樹脂被覆面に、カッターを用いて鋼板素地まで達するカットを交差して施し、以下の試験液組成、条件で浸漬試験を行なった。
試験液組成:クエン酸1.5質量%、食塩1.5質量%
試験温度:38℃
試験期間:21日間
カット部の耐食性を次のように評価し、○であれば耐食性が良好であるとした。
○:フィルム剥離、腐食ほとんど無し
△:わずかにフィルム剥離、腐食がある
×:フィルム剥離、腐食が顕著
実缶貯蔵試験:
ラミネート鋼板No.1〜23を用いて、表2に示す条件で製缶加工を行ない、缶胴の開口端をネックイン、フランジ加工してシームレス缶No.1〜23を作製した。また、同じラミネート鋼板を用いて、209径のSOT蓋を作製し、スコア加工部内外面をエポキシフェノール系塗料で補修した。
Figure 2014177678
作製したスチール缶No.1〜23および蓋について、スチール缶に50℃でコーヒー飲料を充填した後、蓋を2重巻締めし、125℃で25min間のレトルト処理を行い、55℃で3ヶ月放置後開缶して、缶内面側の腐食やフィルム異常を目視で調査した。
○:フィルム剥離、腐食無し
△:わずかにフィルム剥離、腐食がある
×:フィルム剥離、腐食が顕著
樹脂密着性試験、連続処理後樹脂密着性試験、耐食性試験、実缶貯蔵試験、の評価結果を表3に示す。
Figure 2014177678
本発明例であるNo.1〜14は、いずれも良好な試験結果を示している。これに対し、比較例であるNo.15〜22はいずれも、樹脂密着性試験、連続処理後樹脂密着性試験、耐食性試験、実缶貯蔵試験の結果のいずれか、またはすべてが劣っている。また、No.23は、樹脂密着性試験、耐食性試験、実缶貯蔵試験の結果は良好だが、連続処理後樹脂密着性試験の結果が不良となった。
1 鋼板
2 フィルム
3 鋼板の切り取った部位
4 重り
5 剥離長

Claims (6)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、Ni量が50〜1000mg/m2、Fe量がNi量に対する質量比で0.5〜5.0となるように電気めっきを施し、熱拡散処理を行うことなくNiとFeからなるめっき層を形成後、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を施すことによりTi及びOを含有する皮膜を形成させることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  2. 前記Ti及びOを含有する皮膜中のTi量が、5〜200mg/mであることを特徴とする請求項2に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の表面処理鋼板の製造方法によって得られる表面処理鋼板。
  4. 請求項3に記載の表面処理鋼板に、有機樹脂が被覆されていることを特徴とする樹脂被覆鋼板。
  5. 請求項4に記載の樹脂被覆鋼板からなる缶。
  6. 請求項4に記載の樹脂被覆鋼板からなる缶蓋。
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