JP2014176363A - 光受容体の光応答解析方法 - Google Patents

光受容体の光応答解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014176363A
JP2014176363A JP2013053886A JP2013053886A JP2014176363A JP 2014176363 A JP2014176363 A JP 2014176363A JP 2013053886 A JP2013053886 A JP 2013053886A JP 2013053886 A JP2013053886 A JP 2013053886A JP 2014176363 A JP2014176363 A JP 2014176363A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
cell
light
calcium
fluorescence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013053886A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Sugiyama
崇 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2013053886A priority Critical patent/JP2014176363A/ja
Publication of JP2014176363A publication Critical patent/JP2014176363A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】細胞周辺の明るさが様々な状態において、一細胞中における細胞内のカルシウム濃度を測定できる光受容体の光応答解析方法を提供する。
【解決手段】ステップS1において、光を感知する光受容体遺伝子と、カルシウムを感知する発光レポーターと、カルシウムを感知する蛍光レポーターとを含む細胞を作製する。ステップS2において、細胞からの発光を促して発光画像を撮像する。ステップS3において、細胞からの蛍光を促して蛍光画像を撮像する。ステップS4において、光照射のタイミングであると判定されたとき、ステップS5において、細胞に照射光を照射する。ステップS6において、撮像終了でないと判定されたとき、繰り返し発光画像と蛍光画像との撮像を行う。撮像終了後、ステップS7において、発光画像及び蛍光画像に基づいて、光照射に対する細胞におけるカルシウム濃度の変化を解析する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光受容体の光応答解析方法に関する。
高齢化に伴って中高年の視力障害によるQOL(quality of life)の低下が社会問題となっている。視力低下の一因として「加齢黄斑変性症」と呼ばれる網膜変性症や、「糖尿病性網膜症」、「網膜色素性変性症」等の視力に影響する網膜疾患が挙げられる。網膜には、明るいところで働く錐体視細胞や暗いところで働く桿体視細胞といった光受容細胞が多く分布している。これらの光受容細胞が機能的に障害を受けると、視力の低下や視野の欠損等の疾患が引き起こされる。これらのことから、網膜の機能を客観的に正しく評価することは、網膜疾患の早期発見や失明予防に重要であると考えられている。
眼科診療では、視力検査や視野検査等によって自覚的な視機能が測定されている。また、光刺激に対して生じる電気的な反応を捉える網膜電図等により網膜の機能が客観的に測定されている。さらに近年、網膜の機能的分布を客観的かつ非侵襲的にイメージングする網膜内因性信号計測法が開発され、臨床応用に向けた研究が進められている。このイメージング法の測定原理は以下である。すなわち、網膜をCCDカメラ又は光干渉断層計(OCT)で一定時間観察する。この観察の間に網膜に光刺激を与える。光刺激を与える前後における網膜の画像を比較して、明るさが変化している部分を神経活動の起きた領域とする。
しかしながら、この測定法には、視細胞に由来するとされる信号の起源が全て理解されていないという課題がある。現在のところ、この信号の起源は、神経活動にともなう細胞構造の微小変化や神経活動にともなう局所ヘモグロビン濃度変化などであると考えられているが不明な点も多い。この信号の起源を詳細に解析するために、光受容に関する神経活動を細胞レベルで捉える技術が必要とされている。
視細胞などの光受容細胞において、光刺激を細胞内に伝達する際に「オプシン」と呼ばれる光受容体タンパク質を介して行われる分子機構が知られている。オプシンについては、様々な生物でホモログが見つかっている。細胞内における情報伝達機構も種によって異なることが知られている。哺乳類のオプシンに係る分子機構では、Gタンパク質を介して細胞内の情報伝達が行われることが知られている。すなわち、光受容細胞への光刺激により細胞内のcAMPやcGMPやカルシウムイオン等のセカンドメッセンジャーの濃度が変化することが知られている。哺乳類オプシンのこれらの性質を利用して、これまでに光受容細胞の光応答を解析する技術が開示されている。
例えば非特許文献1は、オプシン5タンパク質とGタンパク質とを混合し、光を当てたときのGタンパク質とGTPγSとの結合量の測定について開示している。この測定は、オプシン5タンパク質の活性化を測定するものである。
例えば非特許文献2は、オプシン5タンパク質及びCa2+−Clチャネルタンパク質を有するアフリカツメガエルの卵母細胞を利用して、光を照射したときの細胞膜電位の変化の測定について開示している。この測定は、個々の卵母細胞においてオプシン5タンパク質の活性化を測定するものである。
例えば非特許文献3は、オプシン4タンパク質を有する細胞及び蛍光カルシウムセンサーを利用して、光を照射したときの細胞内カルシウム濃度変化の測定について開示している。この測定は、組織又は個々の細胞においてオプシン4タンパク質の活性化を測定するものである。
例えば特許文献1は、オプシン5タンパク質及びカルシウム発光レポーターを発現させた細胞を利用して、紫外光を照射したときの細胞内カルシウム濃度の変化の測定について開示している。この測定は、組織又は細胞において紫外光の照射量を細胞レベルで測定するものである。
上述のようにオプシンについては様々な解析が行われている。しかしながら、例えば非特許文献1においては、生体組織や生細胞においてGタンパク質とGTPγSとの結合量を測定することについて考慮されていない。すなわち、生きている組織や細胞におけるGタンパク質とGTPγSとの結合量の測定には対応されていない。
非特許文献2においては、生体組織等の多数・多種類の細胞について光を照射したときの細胞膜電位の変化の測定について考慮されていない。すなわち、卵母細胞以外の多数・多種類の細胞についての測定には対応されていない。
非特許文献3においては、青色光を吸収するオプシンが用いられている。このため、青色以外の波長域に吸収を持つオプシンを用いた細胞内カルシウム濃度変化の測定については考慮されていない。すなわち、多様な波長域での光刺激を用いたオプシン活性化の測定には対応されていない。
特許文献1においては、微弱光を撮像する方法が用いられている。このため、明るい環境において細胞内のカルシウム濃度の変化を測定することについて考慮されていない。すなわち、明るい環境下において光刺激を用いたカルシウム測定には対応されていない。
特開2012−196183号公報
Yamashita et al.,2010,"Opn5 is a UV−sensitive bistable pigment that couples with Gi subtype of G protein.",Proceedings of National Academy of Sciences of United States of America, vol.107, No.51, pp.22084−22089. Nakane et al.,2010,"A mammalian neural tissue opsin (Opsin5) is a deep brain photoreceptor in birds.",Proceedings of National Academy of Sciences of United States of America, vol.107, No.34, pp.15264−15268. Hartwick et al.,2007,"Light−evoked calcium responses of isolated melanopsin−expressing retinal ganglion cells.",Journal of Neuroscience,vol.27,No.49,pp.13468−13480. Kaihara et al.,2008,"Bioluminescent indicators for Ca2+ based on sprit Renilla luciferase complementation in living cells." Analytical Sciences,Vol.24,pp1405−1408.
上述のように、多数・多種類の生きている組織・細胞において、様々な波長域及び光強度を有する光による刺激を行ったときの、一細胞中における細胞内のカルシウム濃度を、細胞周辺の明るさが様々な状態において測定する光受容体の光応答解析方法が求められている。
本発明は、細胞周辺の明るさが様々な状態において、一細胞中における細胞内のカルシウム濃度を測定できる光受容体の光応答解析方法を提供することを目的とする。
前記目的を果たすため、本発明の一態様によれば、光受容体の光応答解析方法は、光を感知する光受容体遺伝子と、カルシウムを感知する発光レポーターと、カルシウムを感知する蛍光レポーターとを含む対象細胞を作製することと、前記対象細胞からの発光を促して前記対象細胞の発光画像を繰り返し撮像することと、前記対象細胞からの蛍光を促して前記対象細胞の蛍光画像を繰り返し撮像することと、少なくとも1回の前記対象細胞に照射光を照射することと、繰り返し取得した前記発光画像及び前記蛍光画像に基づいて、前記対象細胞におけるカルシウムの濃度を解析することと、を具備する。
本発明によれば、細胞周辺の明るさが様々な状態において、一細胞中における細胞内のカルシウム濃度を測定できる光受容体の光応答解析方法を提供できる。
一実施形態に係る光受容体の光応答解析方法の概略を示すフローチャート。 発光レポーターとしてのカルシウム感受性発光タンパク質の一例の概略を示す図。 光受容体遺伝子と発光レポーターの遺伝子とが導入された細胞の模式図。 イメージングシステムの構成例の概略を示す図。 光刺激前の細胞の発光画像の一例を示す図。 光刺激後の細胞の発光画像の一例を示す図。 細胞の発光輝度の継時変化の一例を示す図。 光刺激前のFluo−4を添加した細胞の蛍光画像の一例を示す図。 光刺激後のFluo−4を添加した細胞の蛍光画像の一例を示す図。 Fluo−4を添加した細胞の蛍光輝度の継時変化の一例を示す図。 光刺激前のCalcium Orangeを添加した細胞の蛍光画像の一例を示す図。 光刺激後のCalcium Orangeを添加した細胞の蛍光画像の一例を示す図。 Calcium Orangeを添加した細胞の蛍光輝度の継時変化の一例を示す図。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。本実施形態に係る光受容体の光応答解析方法の概略を図1に示す。ステップS1において、光を感知する光受容体遺伝子と、カルシウムを感知する発光レポーターと、カルシウムを感知する蛍光レポーターとを含む細胞が調製される。
光受容体の一例として、例えば視細胞等の光受容細胞に存在する光受容タンパク質であるオプシンが挙げられる。オプシンには、例えばヒトのオプシン5が含まれる。また、オプシンにはオプシン4が含まれる。また、オプシンには、これらの例えばヒト以外の哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類、微生物といった任意の動物種の対応物も含まれる。したがって、光受容体遺伝子の一例として、オプシン5といったオプシンの遺伝子が挙げられる。
例えばヒトのオプシン5は、光を吸収して細胞内カルシウム濃度を上昇させる。このため、オプシン5が発現している細胞に光が照射されたとき、細胞内カルシウム濃度は上昇する。本実施形態では、このカルシウム濃度の変化をカルシウム感受性発光タンパク質の発光強度、又はカルシウム感受性蛍光色素の蛍光強度の変化を検出することで、光照射による細胞応答を測定する。
発光レポーターの一例として、ホタルルシフェラーゼやレニラルシフェラーゼ等のルシフェラーゼが挙げられる。また、発光レポーターには、イクオリン、オベリン等の発光タンパク質も含まれる。
カルシウムを感知する発光レポーターとしてのカルシウム感受性発光タンパク質は、カルシウムイオンと相互作用を起こして発光強度を強めたり、弱めたりするタンパク質である。カルシウム感受性発光タンパク質の一例として、円順列置換したホタルルシフェラーゼ、カルモジュリン、及びM13ペプチドを含む改変タンパク質が挙げられる。このカルシウム感受性発光タンパク質を用いたスプリットルシフェラーゼアッセイ法を用いたカルシウムの検出原理の一例について説明する。このスプリットルシフェラーゼアッセイ法については、例えば特表2009−532063号公報に開示されている。スプリットルシフェラーゼアッセイ法は、例えば、タンパク質間相互作用の検出や、タンパク質の細胞内小器官移行の検出等に用いられている。
スプリットルシフェラーゼアッセイ法を用いたカルシウムの検出原理について図2を参照して簡単に説明する。スプリットルシフェラーゼアッセイ法では、ホタルルシフェラーゼやレニラルシフェラーゼ等のルシフェラーゼを特定の位置で分割して発光酵素活性(生物発光能)を失活させたフラグメント(断片)であるN末端側断片(NLuc)とC末端側断片(CLuc)とが用いられる。
N末端側断片(NLuc)とC末端側断片(CLuc)とを再構成させて発光酵素活性を回復させるために、例えばカルシウム結合タンパク質であるカルモジュリン(CaM)103、及びカルモジュリンと可逆的に結合又は解離できるM13ペプチド104が用いられる。例えば図2に示されるように、N末端側断片(NLuc)101と、M13ペプチド104と、カルモジュリン(CaM)103と、C末端側断片(CLuc)102とが接続された融合タンパク質が細胞内で発現した場合を考える。細胞内のカルシウムイオンがカルモジュリン(CaM)103に結合していないとき、発光酵素であるルシフェラーゼのN末端側断片(NLuc)101とC末端側断片(CLuc)102とは再構成して発光酵素活性が回復する。一方、細胞内のカルシウムイオンがカルモジュリン(CaM)103と結合すると、カルモジュリン(CaM)103の立体構造が変化する。このとき、ルシフェラーゼのN末端側断片(NLuc)101とC末端側断片(CLuc)102とは解離し、発光酵素活性が消失する。したがって、この融合タンパク質が発現している細胞についてルシフェリン存在下で発光強度を測定すると、細胞内でのカルシウム濃度に応じた発光シグナルの増減が検出され得る。この発光強度に基づいて、細胞内のカルシウム濃度が解析され得る。
上述のようなカルシウムを感知する発光レポーターを細胞に導入するため、例えばNLucと、M13と、CaMと、CLucとが接続された融合タンパク質の遺伝子が、細胞に導入される。
なお、上述の説明では、カルシウムイオンの濃度が低いとき、ルシフェラーゼの活性が回復し、カルシウムイオンの濃度が高いとき、ルシフェラーゼの活性が消失する例を示した。しかしながらこれに限らず、発光レポーターは、カルシウムイオンの濃度が高いとき、ルシフェラーゼの活性が回復し、カルシウムイオンの濃度が低いとき、ルシフェラーゼの活性が消失するように構成されていてもよい。
光受容体遺伝子や発光レポーターの遺伝子のコドンは、対象とする細胞における発現に最適化されていてもよい。また、Kozak配列等、発現量を上昇させるための配列を含んでよいし、付与されていてもよい。ベクターは、対象とする細胞における発現のための発現ベクターであってもよい。発現ベクターである場合、光受容体遺伝子や発光レポーターの遺伝子の配列のほかに、発現を制御するための配列、マーカー遺伝子の配列等、一般的な発現ベクターに含まれる配列を含んでいてもよい。
光受容体遺伝子や発光レポーターの遺伝子を細胞へ導入する方法として、塩化カルシウム法若しくは塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、リポフェクション法、又はエレクトロポレーション法等が用いられ得る。本実施形態で使用される遺伝子が導入された細胞は、一過性発現細胞と安定発現細胞との何れでもよい。
光受容体遺伝子と、発光レポーターの遺伝子とが導入された細胞の模式図を図3に示す。この図に示されるように、遺伝子が導入された細胞203において、光受容体201と発光レポーター202とが発現する。本実施形態では、このような細胞203が用いられる。
別の方法は、細胞外で精製したタンパク質を細胞内に直接導入する方法である。例えば、マイクロインジェクション法によってタンパク質を細胞内に直接注入することができる。あるいは、タンパク質を含む培養液を用いて細胞をインキュベートし、エンドサイトーシスによってタンパク質を細胞に取り込ませることもできる。
カルシウムを感知する蛍光レポーターは、カルシウムイオンと相互作用を起こして蛍光強度を強めたり、弱めたりする色素である。このような蛍光カルシウム感受性色素の一例として、Fluo−4、Calcium Orange、Fura−red等が挙げられる。
対象となる細胞の種類に限定はなく、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞及び動物細胞等が使用され得る。動物細胞が使用される場合、特に哺乳細胞が使用され、例えばマウスの細胞、サルの細胞及びヒトの細胞が使用される。細胞は、生きた状態で用いられ得る。細胞の由来が多細胞生物である場合、細胞は、組織から単離した細胞でもよいし、株化した単一の細胞でもよいし、複数の細胞の集合体でもよい。細胞の集合体とは、例えば、組織、個体等である。細胞の集合体を測定対象とする場合、その集合体全体を測定対象としてもよいし、その集合体に含まれる特定の細胞のみを測定対象としてもよい。
ステップS2において、ステップS1で調整された細胞の発光画像の取得が行われる。この撮像のため、発光が促される。すなわち、例えば発光レポーターとしてホタルルシフェラーゼが用いられている場合、発光基質であるルシフェリンが添加される。勿論この発光基質の添加は撮像の度に行われる必要はなく、一連の複数回の撮像を開始する前に一度添加されるだけでもよい。また、レニラルシフェラーゼが用いられるとき、発光基質としてセレンテラジンが用いられ得る。細胞において発光が生じる状態において、例えば発光顕微鏡を用いて、細胞の発光状態の撮像が行われる。
発光基質を添加する方法には特別な限定はなく、適宜に選択され得る。例えば、細胞を含む培養液に添加することで、培養液を介して細胞に発光基質を取り込ませることができる。また、マイクロインジェクション法等を利用して、発光基質を細胞内に直接注入することもできる。さらには、測定する細胞が組織又は個体に含まれる細胞である場合には、血液又は体液に発光基質を添加し、血液循環又は体液循環を利用して、対象とする細胞に対して送達させることもできる。
オプシンはレチナールと結合した状態で応答特性を有する波長範囲に当てはまる光を受けると活性化する。したがって、レチナールの産生が少ない細胞を用いる場合、レチナール添加工程を設けることが好ましい。特に、紫外光感受性タンパク質としてオプシン5を用いる場合、11−cis−レチナールを添加することが好ましい。ここにいう添加とは、細胞を含む培養液に添加すること、マイクロインジェクション法等を利用して細胞内に直接注入すること、血液又は体液に添加して、血液循環又は体液循環を介して細胞に送達すること等を含む。また、添加のタイミングも適宜に選択され得る。
ステップS3において、ステップS1で調整された細胞の蛍光画像の取得が行われる。この撮像のため、蛍光が促されるように、細胞への励起光の照射が行われる。例えば顕微鏡を用いて、励起光が照射された状態で細胞から発せられる蛍光の状態が撮像される。励起光の波長は、例えば500乃至700nmである。また、励起光の波長は、好ましくは540乃至600nmである。
ステップS4において、細胞に光刺激を与えるために、細胞に光を照射するタイミングであるか否かを判定する。光を照射するタイミングであるとき、ステップS5において細胞への光照射が行われる。この光照射で照射される光の波長は、例えば340乃至600nmである。また、この照射光の波長は、好ましくは360乃至400nmである。また、発光画像に対して照射光が影響しないように、発光画像の取得時には照射光の強度は、例えば0.1乃至1000μW/mmとする。この照射光強度は、好ましくは0.3乃至3.0μW/mmとする。一方、蛍光画像に対して照射光が影響しないように、蛍光画像の取得時には照射光の強度は、例えば1乃至100mW/mmとする。この照射光強度は、好ましくは3乃至30mW/mmとする。光照射の長さ、回数及びタイミングは任意に設定され得る。
一方、ステップS5の判定で光を照射するタイミングでないと判定されたとき、光照射が行われずに処理はステップS6に進む。ステップS6において、撮像終了であるか否かが判定される。撮影終了でないとき、処理はステップS2に戻り、発光画像及び蛍光画像の取得が行われる。すなわち、発光画像の撮像及び蛍光画像の撮像は連続的に行われる。一方、撮像終了であると判定されたとき、ステップS7において、取得された発光画像及び蛍光画像に基づいて、解析が行われる。この解析においては、取得された発光画像の輝度及び蛍光画像の輝度に基づいてカルシウムイオンの濃度が算出される。
さらに、細胞の明視野画像が取得されてもよい。発光画像及び/又は蛍光画像を取得した明視野画像に重畳することで、発光及び/又は蛍光を発している細胞を明視野画像において同定することができる。
図4は、本実施形態で用いられるイメージングシステム300の構成の概略を示す。このイメージングシステム300は、上述のステップS2乃至ステップS6における発光画像及び蛍光画像の取得に用いられる。また、イメージングシステム300は、明視野画像を取得してもよい。この図に示されるように、イメージングシステム300は、細胞301を収容するための容器303と、光刺激を与えるための照明302と、光学系304と、撮像装置305とが、図示せぬハウジング内に遮光状態で収容されていると共に、解析装置306と電気的に接続した構成となっている。容器303は、例えばシャーレやマルチプレート等である。容器303として、スライドガラス、マイクロプレート、ゲル支持体、微粒子担体等も用いられ得る。容器303は、細胞が臓器又はマウス等の非ヒト個体のような生体関連の検体である場合には、検体自身を任意の保持手段で保持する支持部材であってもよい。光学系304には、例えば顕微鏡が用いられる。光学系304は、細胞301の拡大画像を撮像装置305の撮像面に結像させる。また、光学系304は、蛍光画像を取得するために、励起光を細胞301に照射する。また、撮像装置305は、励起光と蛍光とを分離するフィルタやダイクロイックミラー等を含み得る。撮像装置305は、例えば顕微鏡に設けられたデジタルカメラである。撮像装置305は、光学系304の対物レンズを介して、細胞301の蛍光イメージや発光イメージを撮像し記録することができる。容器解析装置306は、撮像装置305と有線又は無線で通信可能に接続されている。解析装置306は、撮像装置305で取得された画像の解析を行う。解析装置306は、例えばパーソナルコンピュータである。図4においては、撮像装置305は、細胞の下に配置されているが、細胞の上に配置されてもよいことは勿論である。また、照明302は、明視野画像を取得する際の照明光を兼ねてもよく、光刺激専用のレーザ光であってよい。なお、イメージングシステム300は、発光画像及び蛍光画像を取得し、各発光・蛍光画像を繰り返し撮像し、かつこれら複合的な画像を解析するための構成要素を具備していればよく、本出願人による国際公開特許2006/106882号を参照して種々変更等することが可能である。
細胞301の発光又は蛍光は、光学系304で拡大されるので、個々の細胞301における発光又は蛍光が観察され得る。本実施形態に係るイメージングシステム300では、撮像装置305が発光画像及び蛍光画像を繰り返し撮像し、その画像を解析装置306が繰り返し取り込む。したがって、イメージングシステム300によれば、同一視野において撮像を繰り返し撮像できる。すなわち、同一視野において、連続的に細胞が観察される。その結果、複数の発光画像及び蛍光画像による同一細胞における時空間的な解析ができる。また、明視野画像も同一視野で撮像することにより、細胞内外における発光及び/又は蛍光の分布をより正確に把握することができる。また、複数の異なる細胞について同時に撮像を行い、複数の細胞に係る発光画像及び蛍光画像を細胞ごとに照合しながら解析を行うので、個々の細胞におけるカルシウム濃度変化を時空間的に解析できる。
本実施形態では、11−cis−レチナールと結合したオプシン5遺伝子を有する細胞に光が当たると、オプシン5の活性化がおこり、細胞内のカルシウムストアからのカルシウム動員がおこる。細胞質のカルシウム濃度が変化すると、細胞内に存在するカルシウム感受性発光タンパク質の発光酵素活性が回復又は消失して検出可能なシグナルが発生又は消失する。したがって、ルシフェリン存在下で発光強度を測定すれば、光の照射による細胞内でのカルシウム濃度を解析できる。また、細胞質のカルシウム濃度が変化すると、細胞内に存在するカルシウム感受性蛍光物質による蛍光の強度が変化する。したがって、この蛍光の強度を測定すれば、光の照射による細胞内でのカルシウム濃度を解析できる。
本実施形態によれば、細胞周囲が暗い状態において撮像される発光画像と、周囲が明るい状態で撮像される蛍光画像とを組み合わせることによって、周囲の明るさが様々な状態で光受容体による光応答に基づくカルシウムイオン濃度の変化を継時的にかつ定量的に解析することができる。解析はイメージングに基づくため、個別の細胞ごとの変化を解析できる。
本発明の実施例においては、ヒトのオプシン5と、特開2012−051824号公報に記載のカルシウム感受性発光タンパク質と、蛍光カルシウム感受性色素とを有する細胞を用いた実施例について説明する。
[ヒトのオプシン5遺伝子の動物細胞発現用プラスミドの作製]
ヒト由来のオプシン5遺伝子の全長を合成し、その端部にBamHI制限酵素サイトとEcoRI制限酵素サイトとを設けた。このオプシン5遺伝子を、動物細胞発現用プラスミドであるpcDNA3.1(インビトロジェン社製)のBamHI部位とEcoRI部位の間に挿入し、動物細胞発現用プラスミドpcDNA/OPN5を作製した。
[カルシウム感受性発光タンパク質発現用プラスミドの作製]
特開2012−051824号公報に記載された方法で、カルシウム感受性発光タンパク質発現用プラスミドpcDNA/cpGL4_C_CaM−M13_Nを作製した。pcDNA/cpGL4_C_CaM−M13_Nの作製方法を簡単に説明する。
前準備として、ホタルルシフェラーゼのN末端側断片遺伝子及びC末端側断片遺伝子のクローニングを行った。また、カルモジュリン(CaM)遺伝子及びM13遺伝子のクローニングを行った。これら遺伝子に基づいて、カルシウムセンサータンパク質発現プラスミドの作製を行った。
ホタルルシフェラーゼの各断片のクローニングのための、PCR(polymerase chain reaction)に用いる合成オリゴDNA(deoxyribonucleic acid)を以下に示す配列で調製した。調製したオリゴDNAは、円順列置換してセンサータンパク質内に配置するためのN末側断片(cpNLuc)遺伝子及びC末側断片(cpCLuc)遺伝子である。
[cpNLuc遺伝子作製用合成オリゴDNA配列]
cpNLuc_Fw(配列番号1):5´−ATCAGATCTGAAGATGCCAAAAACATTAAG−3´
cpNLuc_Rv(配列番号2):5´−CTAGAATTCTTAGTCCTTGTCGATGAGAGC−3´
[cpCLuc遺伝子作製用合成オリゴDNA配列]
cpCLuc_Fw(配列番号3):5´−TGTGGATCCAGCCACCATGAGCGGCTACGTTAACAACCCC−3´
cpCLuc_Rv(配列番号4):5´−CAGCTCGAGCACGGCGATCTTGCCGCCCTT−3´
また、カルモジュリン(CaM)及びM13のクローニングのための、PCRに用いる合成オリゴDNAを以下に示す配列で調製した。
[CaM−M13遺伝子作製用合成オリゴDNA配列]
CaM−M13_Fw(配列番号5):5´−GCCCTCGAGCATGACCAACTGACAGAAGAG−3´
CaM−M13_Rv(配列番号6):5´−CATGGATCCCAGTGCCCCGGAGCTGGAGAT−3´
鋳型としてpGL4.10(プロメガ(株)製)を用いて、ホタルルシフェラーゼの各断片をPCRによりクローニングした。配列番号1及び配列番号2のオリゴDNAを用いて円順列置換センサータンパク質用のN末端側断片遺伝子(cpNLuc:GL4.10遺伝子の1番目から416番目のアミノ酸を含む)を増幅した。また、配列番号3及び配列番号4のオリゴDNAを用いて円順列置換センサータンパク質用のC末端側断片遺伝子(cpCLuc:GL4.10遺伝子の399番目から550番目のアミノ酸を含む)を増幅した。
また、鋳型として、非特許文献1に記載のカメレオン遺伝子(YC2.1)のcDNAを用いて、カルモジュリン(CaM)及びM13をPCRによりクローニングした。配列番号5及び配列番号6のオリゴDNAをプライマーとして用いてCaM−M13遺伝子(カメレオン遺伝子の230番目から406番目のアミノ酸配列に対応する領域を含む)を増幅した。
上記の通り増幅した各遺伝子を発現用プラスミドに挿入することで、カルシウムセンサータンパク質発現用プラスミドを作製した。具体的には、動物細胞発現用プラスミドであるpcDNA3.1(インビトロジェン社製)のBamHI部位とEcoRI部位の間に、発光酵素の断片としてcpNLuc遺伝子及びcpCLuc遺伝子を、カルシウム結合領域及び相互作用領域としてCaM−M13遺伝子をそれぞれ挿入し、プラスミドpcDNA/cpGL4_C_CaM−M13_Nを作製した。
[測定1:光照射によるカルシウム濃度変動の発光イメージング]
HEK293細胞における光照射によるカルシウム濃度変動の発光イメージングについて説明する。
(手順1:HEK293細胞の培養)
HEK293細胞は、ATCC社より入手した。HEK293を、5% COインキュベーター内で、10% Fetal Bovine Serum、及び1x Nonessential amino acidsが添加されたEarle's MEM/培地(GIBCO社製)を用いて培養した。
(手順2:融合タンパク質発現プラスミドの導入)
HEK293細胞を直径35mmガラスボトムディッシュに2×10/dishの細胞密度で播種し、5% COインキュベーター内で一晩培養した。ヒトのオプシン5発現用プラスミドpcDNA/OPN5、及び記載のカルシウム感受性発光タンパク質発現用プラスミドpcDNA/cpGL4_C_CaM−M13_Nを、FuGENE HD(ロシュ社製)を用いてトランスフェクションした。その後トランスフェクションされた細胞を、5% COインキュベーター内で一晩培養した。
(手順3:発光画像の撮像)
一晩培養後の細胞の培地中にルシフェリン(プロメガ社製)を終濃度2mMとなるように、また、11−cis−レチナールを終濃度10μMとなるようにそれぞれ添加した。ルシフェリン及び11−cis−レチナールの添加の後、細胞を1時間静置した。その後、細胞を発光顕微鏡LV(LUMINOVIEW)−200(オリンパス社製)にセットした。撮像装置305として、EM−CCDカメラiXon(アンドール社製)を用いた。対物レンズの倍率は40倍、露出時間は5乃至10秒間、ビニングは1×1とし、5秒間隔で発光画像のタイムラプス撮影を行った。撮像した画像を、解析装置306としてのパーソナルコンピュータに取り込んだ。
(手順4:光照射による発光画像のタイムラプス撮像)
タイムラプス撮影開始から5分後にCCDカメラのシャッターを閉じ、ハロゲンランプ光源から光照射(0.15乃至1.0μW、10乃至15秒間)を行った。照射後に再びCCDカメラのシャッターを開き、引き続き発光画像のタイムラプス撮影を行った。
(手順5:画像解析)
手順3で撮影した各々の発光画像に対して、複数のROI(Region of Interest:関心領域)を指定した。また、手順4で撮影した各々の発光画像に対して、複数のROIを指定した。指定した各ROIの発光強度を各々の発光画像に基づいて測定した。発光画像の解析には、Metamorphソフトウェア(ユニバーサルイメージング社製)を用いた。
[測定2:光照射によるカルシウム濃度変動の蛍光イメージング]
HEK293細胞における光照射によるカルシウム濃度変動の蛍光イメージングについて説明する。
(手順1:OPN5タンパク質発現プラスミドの導入)
HEK293細胞を直径35mmガラスボトムディッシュに2×10/dishの細胞密度で播種し、5% COインキュベーター内で一晩培養した。ヒトのオプシン5発現用プラスミドpcDNA/OPN5を、FuGENE HD(ロシュ社製)を用いてトランスフェクションした。その後トランスフェクションされた細胞を、5% COインキュベーター内で一晩培養した。
(手順2:蛍光画像の撮像)
一晩培養後の細胞の培地中にFluo−4(インビトロジェン)又はCalcium Orange(インビトロジェン)を終濃度5μMとなるように、また、11−cis−レチナールを終濃度10μMとなるようにそれぞれ添加した。蛍光色素と11−cis−レチナールとの添加の後、細胞を1時間静置した。その後、細胞を蛍光顕微鏡IX−81(オリンパス社製)にセットした。撮像装置305として、CCDカメラ(ORCAII;浜松ホトニクス社製)を用いた。対物レンズの倍率は40倍、露出時間は500ミリ秒間、ビニングは1×1とし、10秒間隔で蛍光画像のタイムラプス撮影を行った。撮像した画像を、解析装置306としてのパーソナルコンピュータに取り込んだ。
(手順3:光照射による蛍光画像のタイムラプス撮像)
タイムラプス撮影開始から5分後以降に、ハロゲンランプ光源から光照射(0.15乃至1.0μW、10乃至15秒間)を行った。照射後に引き続き蛍光画像のタイムラプス撮影を行った。
(手順4:画像解析)
手順2で撮影した各々の蛍光画像に対して、複数のROI(Region of Interest:関心領域)を指定した。また、手順3で撮影した各々の蛍光画像に対して、複数のROIを指定した。指定した各ROIの蛍光強度を各々の蛍光画像に基づいて測定した。蛍光画像の解析には、Metamorphソフトウェア(ユニバーサルイメージング社製)を用いた。
[実験結果]
測定1の光照射によるカルシウム濃度変動の発光イメージングの結果を示す。図5に、光照射前の発光画像の一例を示す。また、図6に、光照射後の発光画像の一例を示す。図5及び図6において、四角形は、ROIを示す。また、これら発光画像から得られた発光輝度の継時変化を図7に示す。
図5乃至図7に示されるように、ヒトのオプシン5タンパク質及びカルシウム感受性発光タンパク質cpGL4_C_CaM−M13_Nを利用することによって、光刺激に対するカルシウム応答を発光強度の減少としてシングルセル(単一細胞)レベルで検出することができた。
測定2の光照射によるカルシウム濃度変動の蛍光イメージングの結果を示す。図8は、光照射前におけるFluo−4を添加した細胞の蛍光画像の一例を示す。図9は、光照射後におけるFluo−4を添加した細胞の蛍光画像の一例を示す。これら蛍光画像から得られたFluo−4を添加した細胞における蛍光強度の継時変化を図10に示す。
また、図11は、光照射前におけるCalcium Orangeを添加した細胞の蛍光画像の一例を示す。図12は、光照射後におけるCalcium Orangeを添加した細胞の蛍光画像の一例を示す。これら蛍光画像から得られたCalcium Orangeを添加した細胞における蛍光強度の継時変化を図13に示す。
図8乃至図13に示されるように、蛍光カルシウム感受性色素(Fluo−4又はCalcium Orange)を利用することによって、光刺激に対するカルシウム応答を蛍光強度の増強としてシングルセル(単一細胞)レベルで検出することができた。
カルシウム感受性発光タンパク質を用いたイメージングでは、図5乃至図7に示されるように、細胞は光刺激に対して一過性のカルシウム応答を示すことが明らかになった。また、刺激光の強度が0.7乃至1.0μW/mmで10秒間の照射でカルシウム応答が起こることが示された。
図8乃至図10に示されるように、蛍光カルシウム指示薬Fluo−4を用いたイメージングでは、一回目の励起により一過性のカルシウム動員が見られ、その後は蛍光強度が変化しなくなった。蛍光強度が一定になったところで、30秒間の励起を行ったが、Fluo−4の蛍光強度に変化は見られなかった。発光イメージングの結果と蛍光イメージングの結果より、励起光を照射しているとOPN5遺伝子の光刺激によるシグナル伝達系に影響を及ぼすことが明らかになった。
Fluo−4の励起波長はOPN5の吸収波長に近い。このため、Fluo−4を用いた実験では、励起を行うたびにオプシン5に刺激が入り、図8乃至図10に示されるような現象が起こってしまう可能性が考えられた。そこで、励起波長がFluo−4よりも赤色にシフトしている蛍光色素であるCalcium Orange(吸収波長:549nm)を用いて、光刺激による細胞のカルシウム応答を観察した。その結果、図11乃至図13に示されるように、Calcium Orangeの励起によるカルシウム動員は見られなかったが、発光カルシウムイメージングで行った光強度(0.7乃至1.0μW)では、光刺激によるカルシウム応答も観察できなかった。一方で、刺激光の強度を上げて光刺激を行ったところ、1mW/mm以上の光強度で照射したときにCalcium Orangeの蛍光強度が上昇していくことが認められた。しかしながら、図13に示されるように、蛍光強度が高い状態は一過性のものではなく、10分以上続いていた。これらの結果より、オプシン5の吸収波長と異なる励起波長の照射があっても、励起光により細胞内シグナル伝達系に影響が及ぶことが示された。
カルシウム感受性発光タンパク質を用いた発光イメージングは、レポーターの発光が微弱であるため、明るい環境下で計測には不向きである。このため、蛍光イメージングで得られたような光受容体のシグナル伝達を観察することはできなかった。一方で、蛍光色素を用いた蛍光イメージングからは、励起光の刺激が細胞の挙動に影響を与えることが明らかになった。
以上のことから、発光イメージングと蛍光イメージングとを組み合わせることにより、光受容体活性化において、周囲が明るい環境におけるシグナル伝達と暗い環境におけるシグナル伝達とを比較することが可能であることが示された。この研究手法はこれまでに無かった新しい手法であり、光受容シグナル研究領域を含む多様なシグナル伝達研究領域に詳細なデータを提供できるものと考えられる。
以上詳述に説明したように、本発明にかかる光受容体の光応答解析ツール及び解析方法は、バイオ、製薬、医療など様々な分野で好適に用いることができる。
101…N末端側断片、102…C末端側断片、103…カルモジュリン、104…ペプチド、201…光受容体、202…発光レポーター、203…細胞、300…イメージングシステム、301…細胞、302…照明、303…容器、304…光学系、305…撮像装置、306…解析装置

Claims (16)

  1. 光を感知する光受容体遺伝子と、カルシウムを感知する発光レポーターと、カルシウムを感知する蛍光レポーターとを含む対象細胞を作製することと、
    前記対象細胞からの発光を促して前記対象細胞の発光画像を繰り返し撮像することと、
    前記対象細胞からの蛍光を促して前記対象細胞の蛍光画像を繰り返し撮像することと、
    少なくとも1回の前記対象細胞に照射光を照射することと、
    繰り返し取得した前記発光画像及び前記蛍光画像に基づいて、前記対象細胞におけるカルシウムの濃度を解析することと、
    を具備する光受容体の光応答解析方法。
  2. 前記光受容体遺伝子は、ヒトのオプシン5遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記発光レポーターは、発光タンパク質である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記発光レポーターは、円順列置換したルシフェラーゼ、カルモジュリン、及びM13ペプチドを含む改変タンパク質である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記発光を促すことは、発光基質を添加することである、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記蛍光レポーターは、蛍光物質である、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の方法。
  7. 前記蛍光画像の撮像において、500乃至700nmの波長を含む励起光を照射することにより前記蛍光を促す請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の方法。
  8. 前記蛍光画像の撮像において、540乃至600nmの波長を含む励起光を照射することにより前記蛍光を促す請求項7に記載の方法。
  9. 前記発光画像の撮像及び前記蛍光画像の撮像には、発光顕微鏡が用いられる請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の方法。
  10. 前記発光画像の撮像及び前記蛍光画像の撮像は連続的に行われる、請求項1乃至9のうち何れか1項に記載の方法。
  11. 前記照射光の波長は、340乃至600nmである、請求項1乃至10のうち何れか1項に記載の方法。
  12. 前記照射光の波長は、360乃至400nmである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記照射光の強度は、
    前記発光画像の取得時には、0.1乃至1000μW/mmであり、
    前記蛍光画像の取得時には、1乃至100mW/mmである、
    請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の方法。
  14. 前記照射光の強度は、
    前記発光画像の取得時には、0.3乃至3.0μW/mmであり、
    前記蛍光画像の取得時には、3乃至30mW/mmである、
    請求項13に記載の方法。
  15. カルシウムの濃度の解析は、前記発光画像の輝度及び前記蛍光画像の輝度に基づいて行われる、請求項1乃至14のうち何れか1項に記載の方法。
  16. 前記対象細胞の明視野画像を撮像することをさらに具備し、
    カルシウムの濃度の解析において、前記発光画像及び/又は前記蛍光画像を前記明視野画像に重ね合わせることで、前記発光及び/又は前記蛍光を発している前記対象細胞を同定する、
    請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の方法。
JP2013053886A 2013-03-15 2013-03-15 光受容体の光応答解析方法 Pending JP2014176363A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013053886A JP2014176363A (ja) 2013-03-15 2013-03-15 光受容体の光応答解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013053886A JP2014176363A (ja) 2013-03-15 2013-03-15 光受容体の光応答解析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014176363A true JP2014176363A (ja) 2014-09-25

Family

ID=51697064

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013053886A Pending JP2014176363A (ja) 2013-03-15 2013-03-15 光受容体の光応答解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014176363A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017192313A (ja) * 2016-04-18 2017-10-26 学校法人 工学院大学 情報処理装置、方法、及びプログラム
CN111103272A (zh) * 2018-10-26 2020-05-05 山东大学 细胞特异性光敏效应的实时筛查与测量系统及方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004061438A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Bio Oriented Technol Res Advancement Inst 化学発光および蛍光の経時変化測定装置および方法
JP2010246534A (ja) * 2009-03-24 2010-11-04 Olympus Corp 光シグナル解析方法
JP2012196183A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Olympus Corp 紫外光測定方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004061438A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Bio Oriented Technol Res Advancement Inst 化学発光および蛍光の経時変化測定装置および方法
JP2010246534A (ja) * 2009-03-24 2010-11-04 Olympus Corp 光シグナル解析方法
JP2012196183A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Olympus Corp 紫外光測定方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6016026214; '"Long-Wabelength Calcium Indicators"' Product Information of Molecular Probes, Inc. , 20050915, p. 1-5 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017192313A (ja) * 2016-04-18 2017-10-26 学校法人 工学院大学 情報処理装置、方法、及びプログラム
CN111103272A (zh) * 2018-10-26 2020-05-05 山东大学 细胞特异性光敏效应的实时筛查与测量系统及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zou et al. Bright and fast multicoloured voltage reporters via electrochromic FRET
Yang et al. Coupling optogenetic stimulation with NanoLuc-based luminescence (BRET) Ca++ sensing
Zhang et al. Fast and sensitive GCaMP calcium indicators for imaging neural populations
Akerboom et al. Genetically encoded calcium indicators for multi-color neural activity imaging and combination with optogenetics
Wu et al. A long Stokes shift red fluorescent Ca2+ indicator protein for two-photon and ratiometric imaging
Lin et al. Genetically encoded indicators of neuronal activity
Inagaki et al. Genetically encoded bioluminescent voltage indicator for multi-purpose use in wide range of bioimaging
Akerboom et al. Optimization of a GCaMP calcium indicator for neural activity imaging
Berlin et al. Photoactivatable genetically encoded calcium indicators for targeted neuronal imaging
Gong et al. Enhanced archaerhodopsin fluorescent protein voltage indicators
Liu et al. Sustained deep-tissue voltage recording using a fast indicator evolved for two-photon microscopy
Walker et al. Functional imaging in the zebrafish retinotectal system using RGECO
Lee et al. Improving a genetically encoded voltage indicator by modifying the cytoplasmic charge composition
Kannan et al. Optimizing strategies for developing genetically encoded voltage indicators
US10053492B2 (en) Red genetically encoded calcium indicators and methods of use
JP2013240352A (ja) 発光タンパクによる長期モニタリング方法および解析方法
Hara-Kuge et al. An improved inverse-type Ca2+ indicator can detect putative neuronal inhibition in Caenorhabditis elegans by increasing signal intensity upon Ca2+ decrease
Ai et al. Green-to-red photoconversion of GCaMP
JP5800462B2 (ja) 光シグナル解析方法
JP2014176363A (ja) 光受容体の光応答解析方法
Chien et al. Two-photon photoactivated voltage imaging in tissue with an Archaerhodopsin-derived reporter
Tanwar et al. Optogenetic modulation of real-time nanoscale dynamics of HCN channels using photoactivated adenylyl cyclases
JP5875773B2 (ja) 紫外光測定方法
JP5893241B2 (ja) カルシウム解析方法
US20230296649A1 (en) Voltage indicators

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160906

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161018