JP2014175595A - 磁気浮上装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静止側の電磁石10の一次コイル12と浮上体20の電磁石の二次コイル22とが磁界共有結合により結合して、一次側から二次側に電力が効率的に非接触給電される。静止側の電磁石10の入力周波数は、磁界共振結合の共振周波数f1(<f0)の近傍に設定され、浮上体20の重力に釣り合う吸引力は、浮上体20と静止側10とのギャップが増加すると吸引力が増加し、ギャップが減少すると吸引力が減少する範囲に設定される。この磁気浮上装置は自己平衡性を有し、浮上体20を安定浮上させるための制御機構が不要である。
【選択図】図1
Description
この装置では、磁気浮上中の浮上体に対し、一次側コイル及び二次側コイルを通じて非接触給電が行われる。また、浮上体を安定浮上させるため、固定側と浮上体との空隙が検知され、その検知結果に基づいて二次側コイルのインピーダンスがインピーダンス制御回路で制御される。
静止側が、一次側コイルを含む共振周波数f0の一次側共振回路を有し、浮上側が、二次側コイルを含む共振周波数f0の二次側共振回路を有する、ことを特徴とする。
浮上側が静止側の下側で磁気浮上する吊下げ型の磁気浮上装置では、一次側コイルに供給する交流の周波数をf1近傍に設定することで静止側の一次側電磁石と浮上側の二次側電磁石との間に吸引力が作用する。
「静止側と浮上側との間隔(ギャップ)」と「吸引力」との関係が“ギャップが増加すると吸引力が増加し、ギャップが減少すると吸引力が減少する”範囲に浮上している浮上側は、静止側との間隔が変動しても自らバランス位置に戻る自己平衡性を有している。
一次側共振回路及び二次側共振回路は、それぞれ単独では、共通の共振周波数f0を持つLC共振回路である。
浮上側が自己平衡性を有しているため、浮上側と静止側との間隔を制御するための制御機構が不要である。
磁界共振結合はMHz帯での技術として発表されたが、磁気浮上を行うにあたり、この周波数帯では浮上が難しい。しかし、500Hz以上であれば磁界共振結合が達成されることを実験で確認できた。
電力変換装置が、静止側から供給された交流を直流や所望の周波数の交流に変換し、モータ等の電気機械が、変換された電力で駆動される。
例えば、電力変換装置が、静止側から供給された交流を直流に変換し、その直流が電力貯蔵装置に蓄積され、電気機械が、蓄積された電力で駆動される。
また、自己平衡性を有する浮上側は、安定浮上のための制御機構が不要であり、装置の低コスト化を図ることができる。
この装置は、磁力を発生する静止側10と、静止側10の下側で磁気浮上する浮上体20とから成り、静止側10は、一次側電磁石を構成するE型コア11及び一次側コイル12と、一次側コイル12に高周波交流を供給する高周波電源14と、一次側コイル12に直列接続したコンデンサ13とを備えている。
一方、浮上体20は、二次側電磁石を構成するE型コア21及び二次側コイル22と、二次側コイル22に直列接続したコンデンサ23とを備えている。
図2(a)は、一次側共振回路の一次側コイル12と二次側共振回路の二次側コイル22とが非接触給電を行うトランスとして機能するときの等価回路を示している。
静止側10及び浮上体20の電磁石は、共に、ホルマル銅線を260回巻きしたボビンを、積層ケイ素鋼板のE型コアに取り付けて構成している。
磁界共振結合は、2006年にMITからMHz帯での技術として発表されたが、その後の研究で、MHz以外のkHz帯やGHz帯においても同様の結合が利用できることが明らかにされている。
2つの電磁石を近づけた場合、電磁石単体での共振周波数f0より低い共振周波数f1と、共振周波数f0より高い共振周波数f2とが現われている。これにより、静止側10の一次側共振回路と浮上体20の二次側共振回路とが磁界共振結合により結合していることが確認できる。
この磁気浮上装置では、電磁石の入力周波数が500Hz以上において、磁界共振結合が達成できることを確認した。
k=Lm/(L1・L2)1/2=Lm/L
で表される。
なお、図6では、反発力の方が吸引力に比べて力が弱いが、これは、浮上体20を静止側10の下側に配置して測定しているため、反発力により浮上体20と静止側10とのギャップが拡がり、吸引力に比べて磁束漏れが多くなることが原因している。
図2(b)の等価回路において、一次側共振回路に流れる電流I1は、次式(数4)で表され、二次側共振回路に流れる電流I2は、式(数5)で表される。
このI1及びI2は、0<ω<ω0のとき異符号となり、ω0<ωのとき同符号となる。I1及びI2が異符号の場合は、図7(a)に示すように、静止側10の電磁石で発生する磁束φ1と浮上体20の電磁石で発生する磁束φ2とが同じ向きになり、両者間に吸引力が発生する。一方、I1及びI2が同符号の場合は、図7(b)に示すように、静止側10の電磁石で発生する磁束φ1と浮上体20の電磁石で発生する磁束φ2とが逆向きになり、反発力が発生する。
図8において、ギャップが、最大吸引力をもたらすギャップより狭いG1〜G2の範囲では、ギャップの増加に伴って吸引力が増大する。そのため、浮上体20の重力に釣り合う吸引力が、この範囲内に存在すると、何らかの原因でギャップが拡がった場合、図9(a)に示すように、吸引力が増加して、浮上体20の重力より吸引力が勝り、浮上体20は、ギャップを狭める方向に移動して元の位置に戻る。
このように、浮上体20の重力に釣り合う吸引力が、ギャップの増加に伴って吸引力が増大する範囲にあれば、ギャップが変動しても自らバランス位置に戻る“自己平衡性”を有している。
なお、電力伝送効率ηは、図2(a)の回路において、V1とI1との位相差をθとして、
η=(V2/V1)(I2/I1)(1/cosθ)
と表される。
従来の交流磁気浮上装置の電力伝送効率は0.1程度であり、それに比べて、静止側10と浮上体20とが磁界共振結合で結合された磁気浮上装置の電力伝送効率は、高い値を示している。また、ギャップが増加しても、電力伝送効率の低下は少ない。
図13は、この磁気浮上装置を模式的に示している。この装置の浮上体20は、静止側10から非接触給電された電力を変換する電力変換装置41と、変換された電力により駆動される電気機械42とを備えている。
電力変換装置41は、インバータなどであり、静止側10から供給された交流を直流や所望の周波数の交流に変換する。電気機械42は、モータなどであり、電力変換装置41により変換された電力で駆動される。
この磁気軸受装置に本発明を適用すれば、電動モータのロータ側に供給する電力の位相を電力変換装置41で適宜変換することにより、モータの回転を自由に制御することが可能になる。
電力貯蔵装置43は、例えば、電力変換装置41で交流から変換された直流を蓄積し、電気機械42は、電力貯蔵装置43に蓄積された電力で駆動される。
11 E型コア
12 一次側コイル
13 コンデンサ
14 高周波電源
20 浮上体
21 E型コア
22 二次側コイル
23 コンデンサ
31 可動体
32 板
33 軸受
34 カウンターウェイト
35 ロードセル
36 渦電流形変位センサ
41 電力変換装置
42 電気機械
43 電力貯蔵装置
Claims (10)
- 一次側電磁石を構成する一次側コイルと該一次側コイルに高周波の交流を供給する高周波電源とを有する静止側と、
二次側電磁石を構成する二次側コイルを有し、前記一次側電磁石から発生される磁力で浮上するとともに、前記一次側コイル及び二次側コイルを通じて前記静止側から非接触で給電が行われる浮上側と、
を備える磁気浮上装置であって、
前記静止側は、前記一次側コイルを含む共振周波数f0の一次側共振回路を有し、
前記浮上側は、前記二次側コイルを含む共振周波数f0の二次側共振回路を有する、
ことを特徴とする磁気浮上装置。 - 請求項1に記載の磁気浮上装置であって、
前記浮上側と前記静止側との間隔は、前記一次側共振回路と前記二次側共振回路とが周波数f1(<f0)及びf2(>f0)で共振する磁界共振結合が維持される間隔に保たれる、
ことを特徴とする磁気浮上装置。 - 請求項2に記載の磁気浮上装置であって、
前記高周波電源から出力される交流の周波数は、周波数f1またはその前後の周波数であって、前記静止側の一次側電磁石と、前記静止側の下側で磁気浮上する前記浮上側の二次側電磁石との間に吸引力が作用する周波数に設定される、
ことを特徴とする磁気浮上装置。 - 請求項3に記載の磁気浮上装置であって、
前記浮上側の重力に釣り合う前記吸引力は、前記浮上側と前記静止側との間隔が増加すると該吸引力が増加し、前記間隔が減少すると該吸引力が減少する範囲に設定されている、
ことを特徴とする磁気浮上装置。 - 請求項2に記載の磁気浮上装置であって、
前記高周波電源から出力される交流の周波数は、周波数f2またはその前後の周波数であって、前記静止側の一次側電磁石と、前記静止側の上側で磁気浮上する前記浮上側の二次側電磁石との間に反発力が作用する周波数に設定され、
前記浮上側の重力に釣り合う前記反発力は、前記浮上側と前記静止側との間隔が増加すると該反発力が減少し、前記間隔が減少すると該反発力が増加する範囲に設定されている、
ことを特徴とする磁気浮上装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記一次側共振回路は、前記一次側コイルに直列接続されたコンデンサを有し、前記二次側共振回路は、前記二次側コイルに直列接続されたコンデンサを有することを特徴とする磁気浮上装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記浮上側と前記静止側との間隔を制御する制御機構を持たないことを特徴とする磁気浮上装置。
- 請求項1から7のいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記高周波電源から出力される交流の周波数が500Hz以上であることを特徴とする磁気浮上装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記浮上側が、前記静止側から給電された電力を変換する電力変換装置と、変換された電力によって駆動される電気機械とを備えていることを特徴とする磁気浮上装置。
- 請求項9に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上側は、さらに、前記電力変換装置で変換された電力を蓄積する電力貯蔵装置を備え、前記電気機械が、前記電力貯蔵装置に蓄積された電力によって駆動されることを特徴とする磁気浮上装置。
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