JP2014175282A - 発光素子 - Google Patents

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【課題】信頼性が高く且つ光取り出し効率が高いトップエミッション型の発光素子を提供する。
【解決手段】基板100上に反射性の第1電極110と発光層122と半透明性の第2電極130とが順番に配置されている。第2電極130の光出射面側に非接触状態で対向する封止部材140と、第2電極130の光出射面に沿った面方向において第1電極110と発光層122と第2電極130との端縁を囲むように基板100と封止部材140との間に設けられた側壁部150とを備える。第2電極130の光出射面と封止部材140と側壁部150とで囲まれた中空封止空間Sには、不活性ガス又は空気が充填され、乾燥剤160が配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子などの発光素子に関するものである。
この種の発光素子として、基板と反射性電極と有機化合物層と半透明性電極とを順次積層させて積層方向に光射出させるトップエミッション型の有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が知られている。このトップエミッション型の有機EL素子は、配線や薄膜トランジスタ(TFT)による開口率のロスを防ぐことができる。
従来、上記トップエミッション型の有機EL素子において、光取り出し効率を向上させる取り組みがなされている。
例えば、反射性電極と半透明性電極との光学的距離を発光波長の略1/2の整数倍にした有機EL素子が知られている。この有機EL素子では、反射性電極と半透明性電極との間で反射する光が互いに強め合う共振器構造の関係となり、光取り出し効率が向上する。
また、反射性電極と発光面との光学的距離を発光波長の略1/4の奇数倍とした有機EL素子が知られている。この有機EL素子では、発光される光と反射性電極とで反射されて戻る光との光の強め合いを利用することにより、光取り出し効率を向上させることができる。また、この有機EL素子では、有機化合物層の発光面から半透明性電極までの光学的距離は発光波長の略1/4の奇数倍となる。
また、半透明性電極の有機化合物層とは反対側に設けた多層ミラーによる干渉効果を利用して光取り出し効率を向上させた有機EL素子が知られている。
一方、有機EL素子の発光材料は水分に弱いため、信頼性を高めるために防湿膜(防湿層)を形成した有機EL素子が知られている。例えば、特許文献1や特許文献2には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などによって形成した無機膜や有機膜からなる防湿層を配置した有機EL素子が開示されている。
上記従来のトップエミッション型の有機EL素子において光取り出し効率を向上させるために共振器構造を構成すると、有機化合物層の発光面から半透明性電極の光出射面までの膜厚が薄くなってしまう。そのため、上記特許文献1などに開示されているようなCVD法などによって半透明性電極の光出射面側に防湿層を形成すると、プラズマ暴露や高エネルギー粒子打ち込み等によって、半透明性電極や有機化合物層にダメージが顕著に発生してしまう。このようなダメージが発生すると、防湿膜を形成したとしても有機EL素子の寿命特性が著しく損なわれ、高い信頼性が得られない。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、信頼性が高く且つ光取り出し効率が高いトップエミッション型の発光素子を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基板上に反射性の第1電極と発光層と半透明性の第2電極とが順番に配置された発光素子であって、前記第2電極の光出射面側に非接触状態で対向する封止部材と、前記第2電極の光出射面に沿った面方向において前記第1電極と前記発光層と前記第2電極との端縁を囲むように前記基板と前記封止部材との間に設けられた側壁部と、を備え、前記第2電極の光出射面と前記封止部材と前記側壁部で囲まれた中空封止空間に、不活性ガス又は空気が充填され、乾燥剤が配置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、半透明性の第2電極の光出射面と封止部材と側壁部とで囲まれた中空封止空間に不活性ガス又は空気が充填され乾燥剤が配置されている。これにより、第2電極の基板側に位置する発光層に対する防湿性を確保できる。しかも、その防湿性を確保するために、従来のような第2電極の光出射面に対してプラズマ暴露や高エネルギー粒子打ち込み等を行うCVD法等で防湿保護膜を形成する必要がない。従って、発光層と第2電極の光出射面との間の厚さを、光学的な共振器構造を形成する程度まで薄くしても、防湿保護膜の形成による発光層や第2電極へのダメージがない。このようにトップエミッション型の発光素子において光取り出し効率が高くするために発光層と半透明性の第2電極との構造を光学的な共振器構造にした場合でも、発光層に対する防湿性を確保できる。よって、信頼性が高く且つ光取り出し効率が高いトップエミッション型の発光素子を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の切断前の構成例を示す断面模式図。 有機EL層(有機化合物層)の層構造の一例を示す断面模式図。 同有機EL素子の切断後の断面模式図。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の他の構成例を示す断面模式図。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の更に他の構成例を示す断面模式図。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子の切断前の構成例を示す断面模式図。 同有機EL素子の切断後の断面模式図。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子の他の構成例を示す断面模式図。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子の更に他の構成例を示す断面模式図。 ダークスポットの一例を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
〔実施形態1〕
まず、本発明の第1の実施形態に係る発光素子としての有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子10について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子10の切断前の構成例を示す断面模式図である。
図1に示す有機EL素子10は、光学的な共振器構造を有するトップエミッション型の発光素子である。有機EL素子10は、基板100上に、反射性の第1電極(以下「反射性電極」という。)110と、発光層を含む有機化合物層(以下「有機EL層」という。)120と、半透明性の第2電極(以下「半透明性電極」という。)130とが順番に配置されている。なお、以下の説明において、基板100上に形成された反射性電極110と有機EL層120と半透明性電極130とを含む、有機EL素子の本体部分を「有機EL素子本体」と呼ぶ。
反射性電極110は、AgPdCu層とITO層の2層構造になっている。ここで、ITO層は、酸化インジウム(In)に少量の酸化スズ(SnO)を添加して作製した化合物である酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)からなる層であり、後述の正孔輸送層との相性が良いので使用されている。
有機EL層120は、図2に示すように正孔輸送層121と発光層122と電子輸送層123と電子注入層124とを有している。これらの層のうち、発光層122以外の、正孔輸送層121、電子輸送層123及び電子注入層124は必要に応じて用いられる。この有機EL素子10に電流を通電することで、反射性電極110及び半透明性電極130から注入された正孔と電子とが発光層122において再結合して発光を生じる。
本実施形態の有機EL素子10は、光学的な共振器構造を有する。この共振器構造の関係を位相シフトも含めた式は、次の関係式(1)で表される。
(2D/λ)+((φ1+φ2)/2π)=N(整数) ・・・(1)
ここで、Dは反射性電極110から半透明性電極130までの光学的距離、λは発光波長、φ1は反射性電極110における位相シフト量(ラジアン)、φ2は半透明性電極130における位相シフト量(ラジアン)である。
通常、反射性電極110における位相シフト量φ1と半透明性電極130における位相シフト量φ2はそれぞれπとなる。よって、反射性電極110から半透明性電極130までの光学的距離Dを発光層122の発光波長の略1/2の整数倍とすることで、反射性電極110と半透明性電極130との間で反射する光が互いに強め合う共振器構造の関係となる。この光学的な共振器構造により、光取り出し効率が向上する。
更に、発光される光と反射性電極110で反射されて戻る光との光の強め合いを利用することができる。この光学干渉の関係を位相シフトも含めた式、次の関係式(2)で表される。
(2L/λ)+(φ1/2π)=N(整数) ・・・(2)
ここで、Lは反射性電極110から発光層122の発光面までの光学的距離、λは発光波長、φ1は反射性電極110における位相シフト量(ラジアン)である。
通常、反射性電極110における位相シフト量φ1はπとなるため、反射性電極110から発光層122の発光面までの光学的距離Lを発光波長の略1/4の奇数倍とすることで、発光される光と反射性電極110で反射されて戻る光が互いに強め合う関係となる。これにより、光取り出し効率が更に向上する。
なお、実際の有機EL素子では、発光面に垂直な正面での光取り出し効率とトレードオフ関係にある視野角特性なども考慮して、必ずしも上記式(1)や式(2)を満たす膜厚に完全に一致させる必要はない。
次に、本実施形態の有機EL素子10の各部位についてそれぞれ詳しく説明する。
有機EL層120の正孔輸送層121は、陽極である反射性電極110からの正孔注入と正孔輸送の役割を担う。必要に応じて陽極である反射性電極110と正孔輸送層121との間に、銅フタロシアニンや酸化バナジウムなどの正孔注入層を形成してもよい。正孔注入輸送性能を有する低分子及び高分子材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリフィリル誘導体、スチルベン誘導体、及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。しかしながら、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて正孔輸送層121と発光層122との間に、最低空軌道(LUMO)エネルギーの絶対値が小さい電子ブロック層を形成してもよい。
有機EL層120の発光層122には、公知の発光材料をいずれも好適に用いることができる。発光材料は、単体で発光層122として機能する材料でもよいし、ホスト材料と発光ドーパントや電荷輸送ドーパントなどとの混合層として機能する材料でもよい。
有機EL層120の電子輸送層123としては、公知の材料、例えばアルミキノリノール錯体やフェナントロリン化合物等を用いることができる。また、必要に応じて発光層122と電子輸送層123との間に、最高被占軌道(HOMO)エネルギーの絶対値が大きい正孔ブロック層を形成してもよい。
有機EL層120の電子注入層124としては、アルカリ(土類)金属、またはアルカリ(土類)金属化合物の薄膜を用いることができる。電子注入層124の厚さは、例えば0.5[nm](5[オングストローム])以上、1[nm]10[オングストローム]以下である。電子注入層124の材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)やフッ化カリウム(KF)、酸化マグネシウム(MgO)が好ましい。また、厚膜化が可能な電子注入層124として、有機化合物にドナー(電子供与性)ドーパントとして機能する金属又は金属化合物を混合する層を用いることができる。電子注入層124の電子注入効率を向上させるために仕事関数の低い金属、もしくはその化合物をドーパントとして用いることが好ましく、仕事関数が低い金属としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類が好ましい。アルカリ金属化合物は、大気中での取り扱いが比較的容易なため好ましい。例えば、アルカリ金属化合物としてセシウム化合物が好ましく、炭酸セシウムは大気中で安定であり、取り扱いが容易である。電子注入層124の有機化合物としては電子輸送性の材料が好ましく、公知の材料、例えばアルミキノリノール錯体やフェナントロリン化合物等を用いることができる。
半透明性電極130は、薄膜の金、白金、銀、アルミニウム、クロム、マグネシウム又はこれらの合金などを用いることができる。特に、導電率と反射率が高い銀又は銀合金の薄膜が好ましい。また、金属薄膜は5[nm]以上20[nm]以下の膜厚であることが好ましい。例えば、銀又は銀合金の膜厚が5[nm]未満だと、光学的な共振器構造として十分な反射率が得られない。一方で、銀又は銀合金の膜厚が20[nm]より大きい値であると、青色のEL発光波長(ピーク波長460[nm]近辺)に対して吸収での光ロスが発生してしまい、また赤色のEL発光波長(ピーク波長620[nm]近辺)に対しては反射率が大きくなる。最も波長の長い赤色に対して共振器構造が強くなりすぎることは、膜厚変動に対するロバスト性の観点から好ましくない。これは、光学干渉が強くなることで、有機EL層(有機化合物層)120の膜厚変動に対する輝度変化の割合が大きくなり、最も有機EL層120の膜厚が厚くなる赤色素子の膜厚管理が厳しくなってしまうからである。
また、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満の半透明性電極130は、スパッタリング法で形成された金属薄膜であることが好ましい。本実施形態の構成では、半透明性電極130のみでカソードの導通を確保することとなる。しかしながら、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満の金属薄膜を蒸着法で形成すると島状の(連続膜でない)膜となり、画素分離膜やコンタクトホールなどの凹凸部で断線するなど信頼性の面で問題となる場合が多い。また、金属薄膜のプロセス管理が厳しくなってしまう。それに対して、スパッタリング法で形成する場合には連続膜となりやすく、本発明者の検討では、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満という薄膜であればスパッタ時間が短く、スパッタリング法による有機EL層120へのダメージは特段の問題とならない。また、この場合、電子注入層124には、有機化合物に金属又は金属化合物(電子供与性のドナードーパント)を混合した電子注入層124が好ましい。LiFなどの薄膜の電子注入層と違って厚膜化が可能であり、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満という薄膜のスパッタリングであればダメージ緩和層として機能すると考えられる。
また、本実施形態の有機EL素子10は、樹脂基板140と側壁部150とを備えている。樹脂基板140は、半透明性電極130の光出射面側に非接触状態で対向し、無機膜141、142が表面に形成されている。側壁部150は、半透明性電極130の光出射面に沿った面方向において反射性電極110と発光層122を含む有機EL層120と、半透明性電極130の端縁を囲むように基板100と樹脂基板140との間に設けられている。そして、半透明性電極130の光出射面と樹脂基板140と側壁部150とで囲まれた中空封止空間Sが形成されている。この中空封止空間Sに不活性ガス又は空気が充填され、乾燥剤160が配置されている。
乾燥剤160としては、例えば、双葉電子工業社製の透明乾燥剤(「OleDry」)のような液状のものを用いることができる。この液状の乾燥剤の塗布は、例えば武蔵エンジニアリング社製の高粘度・非接触ジェットディスペンサ(「エアロジェット」)を用いたディスペンサー方式により行うことができる。
また、中空封止空間Sを完全密封できない場合は、かえって信頼性に影響をおよぼす可能性があるので、例えばシート状の乾燥剤を用いてもよい。シート状の乾燥剤は、有機EL層120の発光部分に対応する部分のみをパンチ等で開け、例えば樹脂基板140の内面に両面接着で固定してもよい。このシート状の乾燥剤は、液だれなどのよごれもでないし、ホットメルト等の熱硬化時に接着力が増すような接着剤を用いることではがれにくくなる。この乾燥剤のシートの厚みで最後に接着する樹脂基板140との厚みをある程度規制することもできる。
樹脂基板140の材料としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)やPEN(Poly Ethylene Naphthalate)を挙げることができる。PET及びPENはどちらもポリエステルという高分子であり、ポリエステルは,エステル結合(−COO−)を主鎖にもつ高分子である。上記ホットメルトは、このような材質の樹脂基板に適した軟化点の低い(例えば120度以下)程度を選定することが望ましい。
また、本発明者は、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子の場合、本実施形態のように、樹脂基板1に少なくともZnSSiOを含む保護膜(防湿膜)を形成することが寿命特性を改善する上で有効であることを見いだした。すなわち、共振器構造を有した有機EL素子の上に保護膜(防湿膜)を直接設けるのではなく、上記中空封止空間Sを構成する樹脂基板140に少なくともZnSSiOを含む保護膜(防湿膜)を形成することが寿命特性を改善する上で有効である。発明者は、樹脂基板140に少なくともZnSSiOを含む保護膜(防湿膜)を形成することで、従来の無機保護層(防湿層)をCVD法等で有機EL素子上に成膜する構成するよりも、安価で著しく寿命特性を改善できることを実験により見出した。
従来のように半透明性電極130上に例えばCVD法により無機保護層を成膜する場合、製造工程中の有機EL素子がプラズマ中の高エネルギーイオン雰囲気に曝され、また成膜粒子自体も高エネルギーをもって半透明性電極130上に打ち込まれる。半透明性電極130から発光層122までの距離が近い場合は半透明性電極130のみならず下層にまで成膜の影響が及び、発光層122にもダメージを与えてしまう。
本実施形態では、樹脂基板140の表面にZnSSiO層141、142をスパッタ法にて作製するが、樹脂基板140の両面に形成することで樹脂基板140が反らない形状にできる。ZnSSiO層141、142は、RFスパッタの膜の方がDC(直流)スパッタ膜よりも膜質は良いが、熱が樹脂基板140にかかるので、DCスパッタで形成してもよい。
本発明者の実験によって得られたZnSSiO膜の典型的な効果は、次のとおりである。樹脂基板140のみでは、80度及び85%の条件で10時間すると輝度で30%以上劣化した。これに対し、樹脂基板140の両面にZnSSiO膜を30[nm]形成した場合、5000時間で輝度が10%程度の劣化であった。
共振器構造のない従来の有機EL素子であれば、スパッタリング法やCVD法によるダメージを緩和する方法として、電子注入層124などを厚く形成する方法が考えられる。例えば、電子注入層124を厚くするために、発光層122の発光面から半透明性電極130までの光学的距離を発光層の発光波長の略3/4倍や5/4倍等にする。しかしながら、電子注入層124を厚くすると、厚膜化による光吸収や材料消費の問題、またプロセスのタクトが長くなる等の問題が生じる。よって、発光層122の発光面から半透明性電極130までの光学的距離を発光層122の発光波長の略1/4とすることが好ましい。
また、本実施形態の共振器構造に用いる半透明性電極130は十数[nm]と非常に薄いために、ダメージ緩和層としては機能しない。
本実施形態でZnSSiO膜を用いた保護膜については、光ディスクに用いた場合の例であるが、特許文献3に保護層に要求される特性として次の3点が挙げられている。
(1)使用波長領域で透明であること
(2)融点が比較的高いこと
(3)クラックを生じないこと
これらの要求に適した下部・上部保護層として、従来のGeOやSiOに代えて、ZnS、ZnSe、ZnTe等の材料を用いることが提案されている。これらの材料を用いることにより、2000℃程度の耐熱性を確保でき、基板よりも屈折率を大きくして光学干渉効果による吸収率向上を図ることができる。
また、特許文献4及び特許文献5には、下部・上部保護層に要求される特性として、次の5点が挙げられている。
(1)使用波長領域で透明であること
(2)融点が動作する温度より高いこと
(3)機械的強度が高いこと
(4)化学的に安定なこと
(5)適当な熱定数(熱伝導率、比熱)を持っていること
そして、これらの要求を満たす下部保護層・上部保護層として、ZnS、ZnSe、ZnTe等の結晶質カルコゲン化物とSiO、GeO、SnO、In、TeO等のガラス物質の混合物を用いることが提案されている。ガラス物質が20モル%前後で光ディスクの記録パワーが低減し、その結果として熱ダメージが低減することでオーバーライト性能が向上するとしている。
本実施形態の用途の有機EL素子10では熱的な繰り返しがないが、本実施形態で樹脂基板140の保護膜として用いたZnSSiO膜は次のようなメリットを有する
・ポリカーボネートやPETなどの樹脂基板140との密着力がよい
・単なるSiOなどよりも膜厚が100[nm]程度でも応力が少ない
・青色波長から赤色波長にかけての透過率が99.3%と高く、ポリカーボネート(タキロン、ユーピロン)やPETも東レ(ルミラー)で91−95%と透過率的には問題ない
有機EL層120の発光層122からの熱放熱に関しては、反射性電極層(AgPdCu)110への急冷構造としてはITOも熱伝導率が高いが急冷構造ではない。これに対し、ZnSSiO層を反射性電極110と有機EL層120との間に設けることで急冷構造になり、有機EL素子10の長寿命化に貢献する。特に、有機EL素子10では電流制御発光なので、特に書き込み用プリントヘッドに用いた場合などではかなり電流を流すので、熱が発生し有機EL素子の寿命を短くすることになるので、上記ZnSSiO層は有効である。
なお、本実施形態では、樹脂基板140の表面にZnSSiO膜を形成したが、ZnSSiO/TiC−TiOの2層からなる膜を樹脂基板140の表面に形成してもよい。また、ZnSSiO/TiC−TiO/ZnSSiOの3層からなる膜を樹脂基板140の表面に形成してもよい。
また、本実施形態では、基板100上の反射性電極110が陽極となる構成で説明してきたが、本発明はこの形態に限定されるものではない。また、基板100側より反射性電極(陰極)110、電子注入層124、発光層122、正孔輸送層121、半透明性電極(陽極)130、バッファ層、無機保護層の順序で構成されてもよい。
次に、第1の実施形態に係る有機EL素子10のより具体的な実施例について説明する。
(実施例1−1)
実施例1−1の有機EL素子10の構成は、図1(切断前の断面図)及び図3(切断後の
断面図)に示した構成である。
本実施例1−1では、基板100としてのシリコン基板上に、反射性電極120として、先ずAg合金(Ag95Pd3Cu2)を100[nm]の膜厚でスパッタリング法にて成膜した。更に、ITOをスパッタリング法にて70[nm]の膜厚で形成した。また、バンク170を、感光性ポリイミドを用いてフォトリソグラフィーにて形成した。バンク170は、高さ1[μm]でテーパー角40°程度に形成し、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄した後、IPAで煮沸洗浄して乾燥した。更に、この基板の表面に対してUV/オゾン洗浄を施した。
有機EL層120は次のように作製した。先ず、正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を用いて形成し、正孔輸送層121は、トリアリールアミン系正孔輸送材料を40nmの膜厚となるように蒸着にて成膜して形成した。次に、発光層122をNPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)を用いて厚さ約35nmにて形成した。次に、電子輸送層123をAlq3(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)にて厚さ約35[nm]にて形成し、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)124を連続して形成した。電子注入層124はLiFにて厚さ約0.5[nm]にて形成した。
その後、半透明性電極130としてMgAgを15[nm]形成し、有機EL層120の製造プロセスが完結した。有機EL層(有機化合物層)120の蒸着速度は約0.1[nm/sec](1[オングストローム/sec])であった。
乾燥剤160は、シリカ・アルミナゲル(学名:アロフェン)にパルプ及び適量のバインダーを添加してシート状に成形・加工された乾燥剤を用いた。シート状の乾燥剤であるため、任意な形状、大きさに加工して使用できるので、事前に所定の大きさに加工しておいた。そして、樹脂基板140(東レ製の「ルミラー」(PET:100[μm])の両面にRFスパッタ膜60[nm]を形成した。その後、ホットメルト(Moribe製の「966P」、軟化点:109℃)をスプレーでメタルマスクを経由して有機EL素子本体側に塗布して、樹脂基板140と接着させた。
有機EL素子10の切断は、図1に示す切断面の位置で、樹脂基板140、ホットメルト接着剤からなる側壁部150及びSi基板100をステルスダイシングして行った。このステルスダイシングは、浜松ホトニクス製のレーザー切断装置で行った。
(実施例1−2)
実施例1−2では、図4に示すようにZnSSiO膜115を反射性電極110上に膜厚20[nm]にて形成したが、ほかの構成は全て実施例1−1と同じ構成である。ZnSSiO膜の成膜は、プロセスガスとしてArを用いたArガスDCスパッタにて行った
(実施例1−3)
実施例1−3では、反射性電極110と半透明性電極130の間に、TiC−TiO層及びZnSSiO層を形成したが、他の構成は全て実施例1−1と同じ構成である。Ti−C−Oの場合、(TiC)x(TiO)100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%である。実際に用いたものは(TiC)80(TiO)20の組成のものである。TiC−TiO層及びZnSSiO層の成膜は、プロセスガスとしてArを用いたArガスDCスパッタにて行った。
(実施例1−4)
実施例1−4では、図5に示すように半透明性電極130の上に封止層180としてZnSSiO層を形成したが、他の構成は全て実施例1−1と同じ構成である。
(実施例1−5)
実施例1−5では、樹脂基板140として、PET基板の代わりにPEN基板(厚さ:100[μm])を用いたが、他の構成は全て実施例1−1と同じ構成である。
(比較例1−1)
比較例1−1では、ZnSSiO膜141、142を両面に形成した樹脂基板140をガラス基板に置き換えた以外は実施例1−1と全て同じ構成である。
(比較例1−2)
比較例1−2では、乾燥剤160を形成しない事以外は実施例1−1と全て同じ構成である。
(比較例1−3)
比較例1−3では、樹脂基板140の表面にZnSSiO膜を形成しないこと以外は実施例1−1と全て同じ構成である。
表1は、以上の実施例及び比較例の有機EL素子について寿命試験を行った結果である。表1の寿命試験の結果は、50[mA/cm]の電流を、60℃及び70℃の温度並びに40%RHの環境下で100時間通電試験を行ったときの、初期状態の輝度(cd/m)を1として正規化した値を示している。
表1に示すように、本発明の実施例1−1〜実施例1−5の構成であれば、比較例1−1のガラス基板で封止した構成並みの寿命が得られた。一方、比較例1−2及び比較例1−3の構成では、実施例1−1〜実施例1−5の構成よりも早く輝度が低下し、後述の図10に示すような部分的なダークスポットが発生した。特に、比較例1−3に示すように樹脂基板140にZnSSiO膜の構成が無い場合は、劣化が早く起きた。
〔実施形態2〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光素子としての有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子10について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子10の切断前の構成例を示す断面模式図である。なお、図6及び後述の図7〜図9において前述の第1の実施形態と共通する部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
第2の実施形態に係る有機EL素子10では、反射性電極110と有機EL層120との間に酸化インジウム亜鉛層116を配置することにより、有機EL素子本体の平坦化および寿命の向上を図っている。ここで、酸化インジウム亜鉛層は、酸化インジウム(In)に酸化亜鉛(ZnO)を添加して作製した化合物である酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide)からなる層である。酸化インジウム(In)と酸化亜鉛(ZnO)との比率は、例えばIn:ZnO=90:10(単位:モル%)である。この酸化インジウム亜鉛は、IZO(登録商標)と呼ばれる場合もある。
また、第2の実施形態に係る有機EL素子10では、少なくとも酸化インジウム亜鉛の薄膜を含む半透明性電極130を用いている。酸化インジウム亜鉛の薄膜は5nm以上20nm以下の膜厚であることが好ましい。最も波長の長い赤色に対して共振器構造が強くなりすぎることは、膜厚変動に対するロバスト性の観点から好ましくない。これは、光学干渉が強くなることで、有機EL層(有機化合物層)120の膜厚変動に対する輝度変化の割合が大きくなり、最も有機EL層120の膜厚が厚くなる赤色素子の膜厚管理が厳しくなってしまうからである。
また、膜厚が5nm以上20nm未満の半透明性電極は、スパッタリング法で形成された酸化インジウム亜鉛の薄膜であることが好ましい。本実施形態の構成では、半透明性電極130のみでカソードの導通を確保することとなる。しかしながら、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満の薄膜を蒸着法で形成すると島状の(連続膜でない)膜となり、画素分離膜やコンタクトホールなどの凹凸部で断線するなど信頼性の面で問題となる場合が多い。また、酸化インジウム亜鉛の薄膜のプロセス管理が厳しくなってしまう。それに対して、スパッタリング法で形成する場合には連続膜となりやすく、本発明者の検討では、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満という薄膜であればスパッタ時間が短く、スパッタリング法による有機EL層120へのダメージは特段の問題とならない。また、この場合、電子注入層124としては、有機化合物に金属又は金属化合物(電子供与性のドナードーパント)を混合した電子注入層が好ましい。LiFなどの薄膜の電子注入層と違って厚膜化が可能であり、膜厚が5[nm]以上20[nm]未満という薄膜のスパッタリングであればダメージ緩和層として機能すると考えられる。
また、本実施形態において、有機EL層120の発光層122からの熱放熱に関しては、反射性電極層(AgPdCu)110への急冷構造としては上記酸化インジウム亜鉛も熱伝導率が高いが急冷構造ではない。これに対し、ZnSSiO層を反射性電極層110と有機EL層120との間に設けることで急冷構造になり、有機EL素子10の長寿命化に貢献する。特に、有機EL素子10では電流制御発光なので、特に書き込み用プリントヘッドに用いた場合などではかなり電流を流すので、熱が発生し有機EL素子の寿命を短くすることになるので、上記ZnSSiO層は有効である。
次に、第2の実施形態に係る有機EL素子10のより具体的な実施例について説明する。
(実施例2−1)
実施例2−1の有機EL素子10の構成は、図6(切断前の断面図)及び図7(切断後の断面図)に示した構成である。
本実施例2−1では、基板100としてのシリコン基板上に、反射性電極120として、先ずAg合金(Ag95Pd3Cu2)を100[nm]の膜厚でスパッタリング法にて成膜した。更に、酸化インジウム亜鉛層116をスパッタリング法にて20[nm]の膜厚で形成した。また、バンク170を、感光性ポリイミドを用いてフォトリソグラフィーにて形成した。バンク170は、高さ1[μm]でテーパー角40°程度に形成し、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄した後、IPAで煮沸洗浄して乾燥した。更に、この基板の表面に対してUV/オゾン洗浄を施した。
有機EL層120は次のように作製した。先ず、正孔注入層は、銅フタロシアニン(CuPc)を用いて形成し、正孔輸送層121は、トリアリールアミン系正孔輸送材料を40[nm]の膜厚となるように蒸着にて成膜して形成した。次に、発光層122をNPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)を用いて厚さ約35[nm]にて形成した。次に、電子輸送層123をAlq3(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)にて厚さ約35[nm]にて形成し、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)124を連続して形成した。電子注入層124はLiFにて厚さ約0.5nmにて形成した。
その後、半透明性電極130としてMgAgを15[nm]形成し、有機EL層120の製造プロセスが完結した。有機EL層(有機化合物層)120の蒸着速度は約0.1[nm/sec](1[オングストローム/sec])であった。
乾燥剤160は、シリカ・アルミナゲル(学名:アロフェン)にパルプ及び適量のバインダーを添加してシート状に成形・加工された乾燥剤を用いた。シート状の乾燥剤であるため、任意な形状、大きさに使用できるので、事前に所定の大きさに加工しておいた。そして、樹脂基板140(東レ製の「ルミラー」(PET:100[μm])を両面にRFスパッタ膜60[nm]を形成した。その後、ホットメルト(Moribe製の「966P」、軟化点:109℃)をスプレーでメタルマスクを経由して有機EL素子本体側に塗布して、樹脂基板140と接着させた。
有機EL素子10の切断は、図6に示す切断面の位置で、樹脂基板140、ホットメルト接着剤からなる側壁部150及びSi基板100をステルスダイシングして行った。このステルスダイシングは、浜松ホトニクス製のレーザー切断装置で行った。
(実施例2−2)
実施例2−2では、図8に示すようにZnSSiO膜115を反射性電極110上に膜厚20[nm]にて形成したが、ほかの構成は全て実施例2−1と同じ構成である。ZnSSiO膜の成膜は、プロセスガスとしてArを用いたArガスDCスパッタにて行った。
(実施例2−3)
実施例2−3では、反射性電極110と半透明性電極130との間に、TiC−TiO層及びZnSSiO層を形成したが、他の構成は全て実施例2−1と同じ構成である。Ti−C−Oの場合、(TiC)x(TiO)100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%である。実際に用いたものは(TiC)80(TiO)20の組成のものである。TiC−TiO層及びZnSSiO層の成膜は、プロセスガスとしてArを用いたArガスDCスパッタにて行った。
(実施例2−4)
実施例2−4では、図9に示すように半透明性電極130の上に封止層180としてZnSSiO層を形成したが、他の構成は全て実施例3−1と同じ構成である。
(実施例2−5)
実施例2−5では、樹脂基板140としてPET基板の代わりに、PEN基板(厚さ:100[μm])を用いたが、他の構成は全て実施例2−1と同じ構成である。
(比較例2−1)
比較例2−1では、ZnSSiO膜141、142を両面に形成した樹脂基板140をガラス基板に置き換えた以外は実施例2−1と全て同じ構成である。
(比較例2−2)
比較例2−2では、乾燥剤160を形成しない事以外は実施例2−1と全て同じ構成である。
(比較例2−3)
比較例2−3では、樹脂基板にZnSSiO膜を形成しないこと以外は実施例2−1と全て同じ構成である。
表2は、以上の実施例及び比較例の有機EL素子について寿命試験を行った結果である。表2の寿命試験の結果は、50[mA/cm]の電流を、60℃及び70℃の温度並びに40%RHの環境下で100時間通電試験を行ったときの、初期状態の輝度(cd/m)を1として正規化した値を示している。
表2に示すように、本発明の実施例2−1〜実施例2−5の構成であれば、比較例2−1のガラス基板で封止した構成並みの寿命が得られた。一方、比較例2−2及び比較例2−3の構成では、実施例2−1〜実施例2−5の構成よりも早く輝度が低下し、図10に示すような部分的なダークスポットが発生した。特に、比較例2−3に示すように樹脂基板140にZnSSiO膜の構成が無い場合は、劣化が早く起きた。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
Si基板などの基板100上に反射性電極110などの反射性の第1電極と発光層122と半透明性基板130などの半透明性の第2電極とが順番に配置された有機EL素子10などの発光素子であって、前記第2電極の光出射面側に非接触状態で対向する樹脂基板140などの封止部材と、前記第2電極の光出射面に沿った面方向において前記第1電極と前記発光層と前記第2電極との端縁を囲むように前記基板と前記封止部材との間に設けられた側壁部150と、を備え、前記第2電極の光出射面と前記封止部材と前記側壁部で囲まれた中空封止空間Sに、不活性ガス又は空気が充填され、乾燥剤160が配置されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、半透明性の第2電極の光出射面と封止部材と側壁部で囲まれた中空封止空間に不活性ガス又は空気が充填され乾燥剤が配置されている。これにより、第2電極の基板側に位置する発光層に対する防湿性を確保できる。しかも、その防湿性を確保するために、従来のような第2電極の光出射面に対してプラズマ暴露や高エネルギー粒子打ち込み等を行うCVD法等で防湿保護膜を形成する必要がない。従って、発光層と第2電極の光出射面との間の厚さを、光学的な共振器構造を形成する程度まで薄くしても、防湿保護膜の形成による発光層や第2電極へのダメージがない。このようにトップエミッション型の発光素子において光取り出し効率が高くするために発光層と半透明性の第2電極との構造を光学的な共振器構造にした場合でも、発光層に対する防湿性を確保できる。よって、信頼性が高く且つ光取り出し効率が高いトップエミッション型の発光素子を提供することができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、前記封止部材は、無機膜141、142が表面に形成された樹脂基板140である。これによれば、上記実施形態について説明したように、第2電極が面した中空封止空間における封止機能を確保しつつ、その中空封止空間に対する防湿機能を高めることができる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、前記樹脂基板140の表面に形成された無機膜141、142は、ZnSSiOの層を含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、樹脂基板140による防湿保護機能をより高めることができる。
(態様D)
上記態様Bにおいて、樹脂基板140の表面に形成された無機膜141、142は、ZnSSiOの層と、チタン炭化物とチタン酸化物との混合物の層とを含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、樹脂基板140による防湿保護機能をより高めることができる。
(態様E)
上記態様A乃至Dのいずれかにおいて、前記基板と前記封止部材との間に設けられた側壁部150は、ホットメルト接着剤で形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、第2電極が面した中空封止空間における封止機能を確保しつつ、基板上に封止部材を固定できる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、前記乾燥剤160は、円環状に形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層から発した光路を確保しつつ、第2電極が面した中空封止空間における防湿機能を高めることができる。
(態様G)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、ZnSSiO層を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図ることができる。
(態様H)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、ZnSSiO層とITO層とを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図ることができる。
(態様I)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、TiC−TiO層とZnSSiO層とITO層とを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図ることができる。
(態様J)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、酸化インジウム亜鉛層を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図るとともに発光素子本体部分の平坦化を図ることができる。
(態様K)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、ZnSSiO層と酸化インジウム亜鉛層とを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図るとともに発光素子本体部分の平坦化を図ることができる。
(態様L)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、前記第1電極と発光層122との間に、TiC−TiO層とZnSSiO層と酸化インジウム亜鉛層とを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、発光層などで発生した熱に対する冷却機能を高めて寿命の向上を図るとともに発光素子本体部分の平坦化を図ることができる。
(態様M)
上記態様A乃至Lのいずれかにおいて、前記第2電極は酸化インジウム亜鉛を含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、第2電極の平坦化および寿命の向上を図ることができる。
(態様N)
上記態様A乃至Mのいずれかにおいて、前記発光層122は有機ELの発光層である。これによれば、上記実施形態について説明したように、信頼性が高く且つ光取り出し効率が高いトップエミッション型の有機EL発光素子を提供できる。
10 有機EL素子
100 基板
110 反射性電極
115 ZnSSiO
116 酸化インジウム亜鉛層
120 有機EL層(発光層)
121 正孔輸送層
122 発光層
123 電子輸送層
124 電子注入層
130 半透明性電極
140 樹脂基板
150 側壁部
160 乾燥剤
170 バンク
180 封止層
S 中空封止空間
特開2004−327402号公報 特開2005−319678号公報 特公平6−87320号公報 特公平4−74785号公報 特公平6−90808号公報

Claims (14)

  1. 基板上に反射性の第1電極と発光層と半透明性の第2電極とが順番に配置された発光素子であって、
    前記第2電極の光出射面側に非接触状態で対向する封止部材と、
    前記第2電極の光出射面に沿った面方向において前記第1電極と前記発光層と前記第2電極との端縁を囲むように、前記基板と前記封止部材との間に設けられた側壁部と、を備え、
    前記第2電極の光出射面と前記封止部材と前記側壁部で囲まれた中空封止空間に、不活性ガス又は空気が充填され、乾燥剤が配置されていることを特徴とする発光素子。
  2. 請求項1の発光素子において、
    前記封止部材は、無機膜が表面に形成された樹脂基板であることを特徴とする発光素子。
  3. 請求項2の発光素子において、
    前記樹脂基板の表面に形成された無機膜は、ZnSSiOの層を含むことを特徴とする発光素子。
  4. 請求項2の発光素子において、
    前記樹脂基板の表面に形成された無機膜は、ZnSSiOの層と、チタン炭化物とチタン酸化物との混合物の層とを含むことを特徴とする発光素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの発光素子において、
    前記基板と前記封止部材との間に設けられた側壁部は、ホットメルト接着剤で形成されていることを特徴とする発光素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの発光素子において、
    前記乾燥剤は、円環状に形成されていることを特徴とする発光素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、ZnSSiO層を有することを特徴とする発光素子。
  8. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、ZnSSiO層とITO層とを有することを特徴とする発光素子。
  9. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、TiC−TiO層とZnSSiO層とITO層とを有することを特徴とする発光素子。
  10. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、酸化インジウム亜鉛層を有することを特徴とする発光素子。
  11. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、ZnSSiO層と酸化インジウム亜鉛層とを有することを特徴とする発光素子。
  12. 請求項1乃至6のいずれかの発光素子において、
    前記第1電極と前記発光層との間に、TiC−TiO層とZnSSiO層と酸化インジウム亜鉛層とを有することを特徴とする発光素子。

  13. 請求項1乃至12のいずれかの発光素子において、
    前記第2電極は酸化インジウム亜鉛を含むことを特徴とする発光素子。
  14. 請求項1乃至13のいずれかの発光素子において、
    前記発光層は有機ELの発光層であることを特徴とする発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022064580A1 (ja) * 2020-09-24 2022-03-31 シャープ株式会社 発光素子、及び表示装置

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