以下に、実施形態にかかるBIMシステム、サーバ装置、端末装置、方法及びプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
ここで、図1を参照して、実施形態において利用されるBIM(ビルディングインフォーメーションモデル)の概要について説明する。図1は、建築物の設計図書及びBIMモデルの一例を示す概念図である。図1では、建築物の設計図書による設計方法とBIMによる設計方法との違いを表している。図1の左側に示すように、建築物の設計図書による設計方法では、建築物の設計に関わる各業種が個々に専門図面を作成しているため、各々が関連性及び整合性を各々とる必要がある。つまり、建築物の設計図書による設計方法では、例えば関連する設計図書の修正が必要となり、また、その整合性のチェックも必要となる。一方、図1の右側に示すBIMによる設計方法では、各業種にて建物全体のデータである建築物の3次元モデル(すなわち、建築物のBIMモデル)を共有することができるので、1個のデータ上で関連性及び整合性の確認を行うことができる。以下の実施形態では、このBIMを使用した昇降機客先提案システムについて説明する。
以下、実施形態の構成及び処理について、第1の実施形態(BIMシステム)、第2の実施形態(サーバ装置(サーバ主導型))、第3の実施形態(機能集中型のシステム(スタンドアロン型のBIM装置))の順にて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
最初に、第1の実施形態(BIMシステム)について、図2乃至図6を参照して以下に説明する。なお、第1の実施形態で例示するBIMシステムにおけるサーバ側と端末側の機能分散の形態は以下に限られず、同様の効果や機能を奏し得る範囲において、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
[第1の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、図2を参照して以下に説明する。図2は、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち主要な部分を概念的に示している。なお、本実施形態においては、通信型のBIMシステムを具体例として説明するが、これに限ることなく、スタンドアロン型のBIMシステムなどにも適用可能である。
図2に示すように、第1の実施形態のBIMシステムは、概略的に、昇降機の3次元モデル(すなわち、昇降機のBIMパーツ)等の情報を提供できるサーバ装置200、及び、単数または複数のBIMアプリケーション等を搭載した端末装置100、を通信可能に接続して構成される。ここで、図2に示すように、通信には、一例として、ネットワーク300を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を含む。また、これらBIMシステムの各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
図2に示すように、第1の実施形態のBIMシステムにおいて、サーバ装置200は、概略的に、制御部202と記憶部206とを少なくとも備えている。端末装置100は、出力部(表示部114及び音声出力部116)と入力部118と制御部102と記憶部106とを少なくとも備える。
[サーバ装置200の構成]
ここで、図2において、サーバ装置200は、端末装置100から送信される作成条件に対応する建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを、記憶部206に記憶されたパーツ情報を用いて作成する機能を有する。そして、サーバ装置200は、作成されたBIMパーツを端末装置100へ送信する等の機能を有する。サーバ装置200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク300を経由し、端末装置100と相互に通信可能に接続されており、制御部202と記憶部206とを備える。制御部202は、各種処理を行う制御手段である。通信制御インターフェース部204は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、サーバ装置200とネットワーク300との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部204は、端末装置100等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。記憶部206は、HDD(Hard Disk Drive)等の固定ディスク装置またはSSD(Solid State Drive)等のストレージ手段であり、各種のデータベースやテーブル(パーツ情報データベース206a等)を格納する。
これら記憶部206の各構成要素のうち、パーツ情報記憶手段としてのパーツ情報データベース206aは、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶する。本実施形態において、昇降機は、エレベータ及び乗客コンベアを含む概念であり、乗客コンベアは、エスカレータ及び動く歩道を含む。ここで、パーツ情報は、利用者が建築物のBIMモデルに組み込む昇降機のBIMパーツを設計する上で必要となるあらゆる情報を含む。パーツ情報としては、例えば、用途、定員、積載量、動作速度、色、機種等といった昇降機の仕様、昇降機を建築物に設置する際に必要とされるスペース、寸法、各種付属設備、各種配線配管に関する情報などのうちの少なくとも1つを含む。さらに、パーツ情報としては、例えば、昇降機を構成する必要部材の部材強度、価格、寸法、質量、色、素材、材料、固有振動数といった情報の他、納期、在庫状況、据付時間、仕上げ材、耐用年数、メーカ情報、品番型番などのうちの少なくとも1つを含んでもよい。なお、パーツ情報は、上記に限定されない。
より具体的には、本実施形態において、パーツ情報は、例えば、制御部102によりBIMパーツをBIMモデルに組み込む際等に参照されるBIMパーツのサイズ情報を含む。ここで、BIMパーツのサイズ情報は、BIMパーツを構成する各ユニット、構成部品のサイズ情報も含む。BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、本実施形態のように昇降機がエレベータである場合には、昇降路、乗りかご、カウンタウェイト、メインロープ、巻上機、ガイドレール、乗り場ホール関連品、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、昇降機がエスカレータである場合には、トラス、踏段、踏段チェーン、移動手摺、乗降板、欄干、駆動装置、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、パーツ情報は、例えば、制御部102によりBIMパーツを変更する際に用いられる設定パラメータを含む。ここで、設定パラメータは、BIMパーツを構成する各ユニットのサイズ、色、材質、上記各種配線配管等を規定するパラメータを含む。また、パーツ情報は、予め利用者により指定された点検対象物であることを示す情報も含む。これにより、後述の制御部102は、パーツ情報からどの部材が点検対象物であるかを特定することができる。これらのパーツ情報は、例えば、制御部102の処理により点検対象物を点検する作業者の動線を生成する際、各種点検条件を算出する際、動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する際、動線を最適化する際等に参照される。なお、BIMパーツは、典型的なBIMモデルと同様に、このBIMパーツ自体に対象の昇降機に関連するパーツ情報等の属性情報を含んでいる。
また、制御部202は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、及び、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部202は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部202は、機能概念的に、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、及び、情報提供部202c、を備える。
このうち、作成条件受信部202aは、端末装置100から送信される作成条件を受信する作成条件受信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、例えば、機種、色、素材、希望の価格、納期、利用者の嗜好性等のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、作成条件は、例えば、昇降機を設置する建築物の概要、設置位置等、後述するBIMモデルデータベース106aに格納されている建築物のBIMモデルの構造情報を含んでもよい。また、作成条件は、利用者により端末装置100において入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部202bは、例えば、図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。ここで、図3は、昇降機のBIMパーツの一例を示す図である。図3の左側は、昇降路、乗りかご、ガイドレール等のユニットから構成されるBIMパーツであり、図3の右側は、乗り場ホーム関連品の一例として、乗降口のドアのユニット等から構成されるBIMパーツである。昇降機モデリング部202bは、利用者が後述のレイアウト画面で確認しながら選択可能なように、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。昇降機モデリング部202bは、例えば、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた後述のBIMモデルの構造情報等に基づいて、建築物の概要、規模、設置位置、電源設備容量等から当該建築物に設置可能な昇降機のBIMパーツを単数あるいは複数作成する。また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた納期、価格、あるいは、嗜好性に応じてBIMパーツを自動的に最適化して作成するようにしてもよい。例えば、昇降機モデリング部202bは、利用者によって昇降機の設置に際し納期優先の選択がなされている場合には、設置可能な昇降機のBIMパーツのうち納期が早いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。同様に、昇降機モデリング部202bは、利用者によって価格優先の選択がなされている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち価格が安いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。昇降機モデリング部202bは、利用者によって利用者の嗜好性が設定されている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち嗜好性にあったものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。昇降機モデリング部202bは、作成した昇降機のBIMパーツを記憶部206に格納して、BIMパーツデータベース(図示せず)を構築してもよい。
また、情報提供部202cは、昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを端末装置100へ送信する情報提供手段である。ここで、情報提供部202cは、複数のBIMパーツを含む計算結果を端末装置100へ送信してもよい。
[端末装置100の構成]
また、図2において、端末装置100は、サーバ装置200から送信された昇降機のBIMパーツを、記憶部106に記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する機能を有する。また、端末装置100は、作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する機能を有する。そして、端末装置100は、作成された統合BIMモデルおよび生成された動線を少なくとも含むレイアウト画面を生成し、生成されたレイアウト画面を表示部114に表示させる等の機能を有する。端末装置100は、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話、スマートフォン、PHS、及びPDA等の携帯端末装置等である。ここで、端末装置100は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、BIMアプリケーション等を搭載していてもよい。また、端末装置100は、表示部114と音声出力部116とを少なくとも含む出力部を備えていてもよい。また、端末装置100は、データ入力等を行う入力部118を備えていてもよい。
ここで、表示部114は、アプリケーション等の表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶または有機EL等から構成されるディスプレイ、モニタ、及び、タッチパネル等)であってもよい。また、音声出力部116は、音声情報を音声として出力する音声出力手段(例えば、スピーカ等)であってもよい。また、入力部118は、例えば、キー入力部、タッチパネル、コントロールパッド(例えば、タッチパッド、及び、ゲームパッド等)、マウス、キーボード、及び、マイク等であってもよい。また、入出力制御インターフェース部108は、表示部114、音声出力部116、及び、入力部118等の制御を行う。
また、通信制御インターフェース部104は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、端末装置100とネットワーク300との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部104は、サーバ装置200等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。また、ネットワーク300は、端末装置100及びサーバ装置200と、外部機器または外部システムとを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網及び一般電話回線網等)、イントラネット、または、電力線通信(PLC)等であってもよい。
また、記憶部106は、HDDやSSD等の大容量のストレージ手段、及び/または、SRAM(Static Random Access Memory)等を用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等のストレージ手段である。記憶部106は、各種のデータベースやファイルやテーブル、BIMモデルデータベース106a、オブジェクト情報データベース106b、履歴情報データベース106c等)を格納してもよい。ここで、記憶部106は、各種のファイル等を一時的に記憶するものであってもよい。
BIMモデルデータベース106aは、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段である。本実施形態において、BIMモデルデータベース106aには、予め設計者により設計された建築物のBIMモデルが格納されている。ここで、BIMモデルには、例えば、建物形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量や特性、部材強度、固有振動数、耐用年数、各種付属設備、各種配線配管等の情報のうちの少なくとも1つを含む構造情報が含まれるが、これに限定されない。この他、構造情報は、建物用途、建物規模、階床数、階床名、階高、各階の使用用途、フロア人員、占有面積等から算出可能な昇降機の利用人数などの情報を含んでいてもよい。更に、構造情報は、対象の建築物を構成する各構造ユニットに関する寸法、位置等を示す情報を含んでいてもよい。ここで、BIMモデルを構成する各構造ユニットとしては、例えば、建築物に配置される部屋、壁、通路、非常階段、避難経路、ガス管、水道管、火災報知機、スプリンクラー、梁、安全対策品等が挙げられる。また、構造情報は、予め利用者により指定された点検対象物であることを示す情報も含む。これにより、後述の制御部102は、構造情報からどの部材が点検対象物であるかを特定することができる。これらの構造情報は、例えば、制御部102の処理により点検対象物を点検する作業者の動線を生成する際、各種点検条件を算出する際、動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する際、動線を最適化する際等に参照される。
オブジェクト情報データベース106bは、建築物のBIMモデル内で移動可能なヒトオブジェクトや環境に影響を及ぼす各種の環境オブジェクトに関するオブジェクト情報を記憶するオブジェクト情報記憶手段である。例えば、ヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報は、所定条件に従って移動可能なヒトを模した3次元モデルを定義する情報である。ヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報は、ヒトを模した3次元モデルを構築するための形状データの他、例えば、各ヒトオブジェクトについて出発地と目的地と少なくとも含む移動条件等を含む。また、例えば、環境オブジェクトに関するオブジェクト情報は、昇降機が設置される建築物の内外の環境を定義する情報であり、各種静的な環境条件、動的な環境条件等の情報を含む。また、環境オブジェクトに関するオブジェクト情報は、建築物の内外の環境に影響を及ぼす物体の3次元モデルを構築するための形状データ等を含んでもよい。オブジェクト情報は、外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよいし、入力部118を介して入力されたものであってもよいし、ネットワーク300を介して取得されたものであってもよい。本実施形態において、上述のヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報は、例えば、制御部102の処理により動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする際等に参照される。上述の環境オブジェクトに関するオブジェクト情報は、例えば、制御部102の処理により点検条件を算出する際等に参照される。
履歴情報データベース106cは、過去に作成された統合BIMモデルと、当該統合BIMモデルに対応する昇降機組込建築物内の動線と、を対応付けて履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段である。履歴情報は、制御部102の処理により、統合BIMモデルが作成され、当該統合BIMモデルに基づいて動線が生成された際に、格納されて蓄積される。更に、履歴情報は、動線に関する注意点を示す注意情報を含んでいてもよい。この注意情報は、利用者がレイアウト画面上で動線を確認した際に手入力された情報であってもよいし、統合BIMモデルに対応する動線上でヒトオブジェクトを移動させるシミュレーション結果や点検対象物に関する点検条件の算出結果等に基づいて自動取得された情報であってもよい。本実施形態において、上述の履歴情報は、例えば、制御部102の処理により動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する際等に参照される。
また、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、及び、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、作成条件送信部102a、統合モデリング部102b、動線生成部102c、画面生成部102d、画面表示部102e、点検条件算出部102f、解析部102g、注意点抽出部102h、動線最適化部102iを備える。
このうち、作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する作成条件送信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、利用者により入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
また、統合モデリング部102bは、サーバ装置200から送信された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。本実施形態において、制御部102は、図4に示すような統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルを、後述の動線生成部102cにより生成される動線と対応付けて、履歴情報として履歴情報データベース106cに格納するものとする。ここで、図4は、昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルの一例を示す図である。図4では、昇降機組込建築物の完成時におけるエレベータの設置状態を示す統合BIMモデルの一部が示されている。
また、動線生成部102cは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成手段である。具体的には、動線生成部102cは、統合BIMモデルを構成する、建築物のBIMモデルの構造情報及び昇降機BIMパーツのパーツ情報に含まれるサイズ情報等(必要に応じて、作業者の特徴を示す作業者条件も参照する)に基づいて、昇降機組込建築物内の空間関係(例えば、点検対象物を点検する作業者が作業可能な空間や作業者が通過可能な空間の寸法等)を把握した上で、例えば、図5に示すような統合BIMモデル内で指定された点検口から点検対象物まで作業者が移動可能な動線を生成する。図5は、統合BIMモデルと点検対象物を点検する作業者の動線とを少なくとも含むレイアウト画面の一例を示す図である。図5は、後述の画面生成部102dにより作成されたレイアウト画面である。図5の当該レイアウト画面の左側の領域には、統合BIMモデルの一部が表示されており、統合BIMモデル内で指定された点検対象物と点検口との間の動線は太字で示されている。ここで、動線生成部102cは、動線の候補を単数、又は、複数で生成することもできる。なお、図5のレイアウト画面に含まれる他の情報については後述する。
本実施形態において、点検対象物は、予め利用者に指定された点検すべき部材を意味する。例えば、点検対象物は、保守点検の対象として法規で定められたものであってもよいし、消耗品等であってもよい。なお、点検対象物は、建築物のBIMモデルに含まれる構造情報または昇降機のBIMパーツに含まれるパーツ情報に予め設定されているものとする。つまり、点検対象物は、構造情報により特定される建築物を構築する部材であってもよいし、パーツ情報より特定される昇降機を構築する部材のどちらであってもよい。
また、画面生成部102dは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルと、動線生成部102cにより生成された動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成手段である。
ここで、画面生成部102dは、後述の点検条件算出部102fにより算出された点検条件を更に含むレイアウト画面を生成してもよい。本実施形態において、点検条件は、例えば、動線の距離、動線の高低差、点検対象物を点検する作業者の作業エリアの大きさ、動線の経路幅、点検対象物または動線の周辺の温度、および、点検対象物または動線の周辺の湿度のうち少なくとも1つを含むが、上記に限定されない。画面生成部102dは、例えば、図5のレイアウト画面の右側の下部に示すように、点検条件として、動線の高低差(図5において、「高低差:10m」)、動線の距離(図5において、「総工程:18m」)、動線の経路幅(図5において、「最小幅:25cm」)、点検対象物の周辺の温度(図5において、「温度:20℃」)、点検対象物の周辺の湿度(図5において、「湿度:70%」)を更に含むレイアウト画面を生成してもよい。
また、画面生成部102dは、作業者条件を更に含むレイアウト画面を生成してもよい。本実施形態において、作業者条件は、利用者により予め指定された点検対象物を点検する作業者の特徴を示す条件である。作業者条件は、例えば、作業者の身長、作業者の体重、作業者の利き腕、作業者の体勢、作業者が持ち運ぶ用品の重量、および、用品の寸法のうち少なくとも1つを含むが、上記に限定されない。画面生成部102dは、例えば、図5のレイアウト画面の右側の中央部に示すように、作業者条件として、作業者の身長(図5において、「身長:170cm」)、作業者の体重(図5において、「体重:60kg」)、作業者が持ち運ぶ用品の重量(図5において、「携帯重量:15kg」)、用品の寸法(図5において、「サイズ:45cm×30cm×10cm」)を更に含むレイアウト画面を生成してもよい。また、画面生成部102dは、作業者条件に対応する作業者を模式的に表したヒトオブジェクトを、図5の画面左側に示すように、動線上の任意の位置に表示させたレイアウト画面を生成してもよい。本実施形態において、レイアウト画面上のヒトオブジェクトは、後述の解析部102gによりヒトオブジェクトを移動させるシミュレーションの際に動線上を移動可能なオブジェクトである。
また、画面生成部102dは、後述の注意点抽出部102hにより抽出された動線に関する注意点を示す注意情報を更に含むレイアウト画面を生成してもよい。本実施形態において、注意情報は、利用者がレイアウト画面上で動線を確認した際に手入力された情報であってもよいし、統合BIMモデルに対応する動線上でヒトオブジェクトを移動させるシミュレーション結果や点検対象物に関する点検条件の算出結果等に基づいて自動取得された情報であってもよい。画面生成部102dは、例えば、図5のレイアウト画面の右側の上部に示すように、注意情報として、「最小幅25cmの箇所あり」、「点検対象物は梯子上部の右手側」、「湿度はやや高め」等といった、作業者が動線上を移動して点検対象物を点検する際に点検作業がしにくい要因となり得る注意点を含むレイアウト画面を生成してもよい。
また、画面生成部102dは、統合モデリング部102bより作成された統合BIMモデルと、後述の動線最適化部102iにより最適化された動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成してもよい。
また、画面表示部102eは、画面生成部102dにより生成されたレイアウト画面を表示部114に表示させる画面表示手段である。画面表示部102eは、例えば、上述の図5に示すような、エレベータのBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ3次元の統合BIMモデルと、当該統合BIMモデルに対応する昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線と、を少なくとも含むレイアウト画面を表示部114に表示させる。
また、点検条件算出部102fは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデル、および、動線生成部102cにより生成された動線のうち少なくとも1つ(必要に応じて、オブジェクト情報データベース106bに記憶された環境オブジェクトに関するオブジェクト情報も参照する)に基づいて、点検条件を算出する点検条件算出手段である。例えば、点検条件算出部102fは、動線生成部102cにより生成された動線の長さ、位置、大きさに基づいて、動線の距離、動線の高低差、動線の経路幅を算出する。また、点検条件算出部102fは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルに含まれる点検対象物と、動線生成部102cにより生成された動線と、の位置関係に基づいて、点検対象物を点検する作業者の作業エリアの大きさを算出する。
また、点検条件算出部102fは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルに含まれるBIMモデルの構造情報とBIMパーツのパーツ情報に基づいて、統合BIMモデルに対応する昇降機組込建築物内の点検対象物周辺の所定条件下における温度または湿度を、基準温度または基準湿度からシミュレーションすることで算出する。ここで、点検条件算出部102fは、必要に応じて、オブジェクト情報データベース106bに記憶された環境オブジェクトに関するオブジェクト情報を参照し、基準温度または基準湿度を調整した上で、昇降機組込建築物内の点検対象物周辺の条件下における温度または湿度を算出してもよい。
また、点検条件算出部102fは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルに含まれるBIMモデルの構造情報とBIMパーツのパーツ情報、および、動線生成部102cにより生成された動線に基づいて、統合BIMモデルに対応する昇降機組込建築物内に設定された動線周辺の所定条件下における温度または湿度を、基準温度または基準湿度からシミュレーションすることで算出する。ここで、点検条件算出部102fは、必要に応じて、オブジェクト情報データベース106bに記憶された環境オブジェクトに関するオブジェクト情報を参照し、基準温度または基準湿度を調整した上で、昇降機組込建築物内に設定された動線周辺の所定条件下における温度または湿度を算出してもよい。
また、解析部102gは、画面表示部102eにより表示された、上述の図5に示すようなレイアウト画面上で、オブジェクト情報データベース106bに記憶されたヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報に基づいて、動線生成部102cにより生成された動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする解析手段である。ここで、解析部102gは、作業者の特徴を示す作業者条件に基づいてヒトオブジェクトを変化させた状態で、動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションしてもよい。この場合、解析部102gは、まず、作業者条件の内容(例えば、作業者の身長、体重、利き腕、体勢の他、作業者が持ち運ぶ用品の重量や寸法等の条件)に応じて、作業者の特徴を模式的に示すヒトオブジェクトの表示形態を変化させる。そして、解析部102gは、この表示形態を変化させてヒトオブジェクトを動線上で移動させることで、異なる作業者が動線上を移動した場合を想定したシミュレーションを行う。
また、注意点抽出部102hは、統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルと類似する類似物件を、履歴情報データベース106cに記憶された履歴情報から検索し、検索した当該履歴情報に基づいて、過去に作成された統合BIMモデル内の動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する注意点抽出手段である。ここで、新たに作成した統合BIMモデルと、過去に作成された統合BIMモデルとが、類似する場合、作業者は同様の動線を移動して点検対象物を点検することとなるため、過去に作成された統合BIMモデルにおいて見出された動線に関する注意点も同様のものになる可能性が高い。そこで、本実施形態において、注意点抽出部102hは、履歴情報データベース106cに記憶された履歴情報がある場合は、履歴情報から、過去に作成された統合BIMモデル内の動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する。
また、動線最適化部102iは、注意点抽出部102hにより抽出された注意情報に基づいて、動線生成部102cにより生成された動線を最適化する動線最適化手段である。例えば、動線最適化部102iは、動線生成部102cにより生成された複数の動線の候補から、注意点抽出部102hにより抽出された注意情報が示す注意点を回避可能な動線を選択することで、動線生成部102cにより生成された動線を最適化してもよい。この他、動線最適化部102iは、回避可能な動線の候補が存在しない場合は、動線生成部102cにより生成された動線が注意点を回避可能な動線となるように、昇降機組込建築物側のBIMモデルまたはBIMパーツを変更する条件を算出してもよい。
本実施形態において、制御部102は、画面表示部102eにより表示されたレイアウト画面上でBIMモデル、又は、BIMパーツを変更する変更手段を備えていてもよい。具体的には、また、変更手段は、利用者により入力される変更条件に応じて、BIMモデルデータベース106aに記憶されているBIMモデルに含まれる構造情報を変更することで、建築物のBIMパーツを変更する。また、変更手段は、利用者により入力される変更条件に応じてBIMパーツに含まれるパーツ情報の上記設定パラメータを変更することで、昇降機のBIMパーツを変更する。この場合、上記画面生成部102dは、変更部102fにより変更されたBIMモデル、又は、BIMパーツを含むレイアウト画面、すなわち、変更されたBIMモデル、又は、BIMパーツが反映された統合BIMモデルを含むレイアウト画面を生成する。画面表示部102eは、変更手段により変更されたBIMモデル、又は、BIMパーツが反映された統合BIMモデルを含むレイアウト画面を表示部114に表示させる。これにより、このBIMシステムは、利用者等による設計変更等を即座にBIMモデル、BIMパーツ等に反映させ、表示部114に表示されている統合BIMモデルに反映させることができる。
以上で、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
[第1の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に図6を参照して詳細に説明する。図6は、第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、端末装置100の作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する(ステップSA−1)。
そして、サーバ装置200の作成条件受信部202aは、ステップSA−1にて作成条件送信部102aの処理により送信される作成条件を受信する(ステップSA−2)。
そして、サーバ装置200の昇降機モデリング部202bは、ステップSA−2にて作成条件受信部202aの処理により受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSA−3)。例えば、昇降機モデリング部202bは、図3に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSA−3において、昇降機モデリング部202bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
そして、サーバ装置200の情報提供部202cは、ステップSA−3にて昇降機モデリング部202bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを端末装置100へ送信する(ステップSA−4)。
そして、端末装置100の制御部102は、ステップSA−4にて情報提供部202cの処理により送信された昇降機のBIMパーツを受信する(ステップSA−5)。
そして、端末装置100の統合モデリング部102bは、ステップSA−5にて制御部102の処理により受信された単数または複数の昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSA−6)。例えば、統合モデリング部102bは、図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
そして、端末装置100の動線生成部102cは、ステップSA−6にて統合モデリング部102bの処理により作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する(ステップSA−7)。例えば、動線生成部102cは、図5の画面左側に示すような統合BIMモデル内で指定された点検口から点検対象物まで作業者が移動可能な動線を生成する。ステップSA−7において、動線生成部102cは、動線の候補を単数、又は、複数で生成することもできる。
そして、端末装置100の点検条件算出部102fは、ステップSA−6にて統合モデリング部102bの処理により作成された統合BIMモデル、および、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された動線のうち少なくとも1つに基づいて、点検条件を算出する(ステップSA−8)。例えば、点検条件算出部102fは、図5の画面右側下部に示すような各種点検条件(図5において、「高低差:10m」、「総工程:18m」、「最小幅:25cm」、「温度:20℃」、「湿度:70%」等の点検条件)を生成する。
そして、端末装置100の制御部102は、履歴情報データベース106cに記憶された履歴情報を検索して、ステップSA−6にて統合モデリング部102bの処理により作成された統合BIMモデルと類似する類似物件があるか否かを判定することで、対応する履歴情報があるか否かを判定する(ステップSA−9)。
そして、端末装置100の注意点抽出部102hは、ステップSA−9にて制御部102の処理により対応する履歴情報があると判定された場合(ステップSA−9:Yes)、検索した対応する履歴情報に基づいて、過去に作成された統合BIMモデル内の動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する(ステップSA−10)。例えば、注意点抽出部102hは、図5の画面右側上部に示すような各種注意情報(図5において、「最小幅25cmの箇所あり」、「点検対象物は梯子上部の右手側」、「湿度はやや高め」等の注意点を示す注意情報)を生成する。
そして、端末装置100の動線最適化部102iは、ステップSA−10にて注意点抽出部102hの処理により抽出された注意情報に基づいて、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された動線を最適化する(ステップSA−11)。例えば、動線最適化部102iは、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された複数の動線の候補から、ステップSA−10にて注意点抽出部102hの処理により抽出された注意情報(例えば、「最小幅25cmの箇所あり」)が示す注意点を回避可能な、経路幅が広い動線を選択することで、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された動線を最適化する。その後、ステップSA−12の処理へ移行する。
ここで、ステップSA−9にて制御部102の処理により対応する履歴情報がないと判定された場合(ステップSA−9:No)は、上述のステップSA−10およびステップSA−11の処理を実行せずに(すなわち、注意情報の抽出、動線の最適化を実行せずに)、ステップSA−12の処理へ移行する。
そして、端末装置100の画面生成部102dは、ステップSA−9にて対応する履歴情報があると判定されて(ステップSA−9:Yes)、ステップSA−10にて注意情報を抽出し、ステップSA−11にて動線の最適化を実行した場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する(ステップSA−12)。この場合、画面生成部102dは、ステップSA−6にて統合モデリング部102bの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSA−8にて点検条件算出部102fの処理に算出された点検条件と、ステップSA−10にて注意点抽出部102hの処理にて抽出された動線に関する注意点を示す注意情報と、ステップSA−11にて動線最適化部102iの処理により最適化された動線と、を含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSA−13の処理へ移行する。
また、ステップSA−12において、画面生成部102dは、ステップSA−9にて対応する履歴情報がないと判定されて(ステップSA−9:No)、ステップSA−10にて注意情報を抽出せず、ステップSA−11にて動線の最適化を実行しなかった場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する。この場合、画面生成部102dは、ステップSA−6にて統合モデリング部102bの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された動線と、ステップSA−8にて点検条件算出部102fの処理に算出された点検条件とを含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSA−13の処理へ移行する。
そして、端末装置100の画面表示部102eは、ステップSA−12にて画面生成部102dの処理により生成されたレイアウト画面を表示部114に表示させる(ステップSA−13)。
そして、端末装置100の制御部102は、ヒトオブジェクトの移動解析を行う際に参照される、点検対象物を点検する作業者の特徴を示す作業者条件の入力があるか否かを判定する(ステップSA−14)。ここで、作業者条件は、例えば入力部118を介して利用者により入力される。
そして、端末装置100の解析部102gは、ステップSA−14にて制御部102の処理により作業者条件の入力があると判定された場合(ステップSA−14:Yes)、ステップSA−13にて画面表示部102eの処理により表示されたレイアウト画面上で、オブジェクト情報データベース106bに記憶されたヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報に基づいて、ステップSA−7にて動線生成部102cの処理により生成された動線(または、ステップSA−11にて動線最適化部102iの処理により最適化された動線)上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする(ステップSA−15)。ステップSA−15において、解析部102gは、作業者の特徴を示す作業者条件に基づいてヒトオブジェクトを変化させた状態で、動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする。
本実施形態において、ステップSA−15にて解析部102gの処理によりヒトオブジェクトの移動解析を行った場合、更に、ステップSA−15において、画面生成部102dは、図5の画面右側中央部に示すように、各種作業者条件(図5において、「身長:170cm」、「体重:60kg」、「携帯重量:15kg」、「サイズ:45cm×30cm×10cm」等の作業者条件)を更に含むレイアウト画面を生成する。そして、ステップSA−15において、画面表示部102eは、作業者条件を更に含むレイアウト画面を表示部114に表示させるものとする。その後、ステップSA−16の処理へ移行する。
ここで、ステップSA−14にて制御部102の処理により作業者条件の入力がないと判定された場合(ステップSA−14:No)は、上述のステップSA−15の処理を実行せずに(すなわち、ヒトオブジェクトの移動解析を実行せずに)、ステップSA−16の処理へ移行する。
そして、端末装置100の制御部102は、利用者の入力に応じて変更があるか否かを判定する(ステップSA−16)。
端末装置100の制御部102は、ステップSA−16での処理により変更があると判定した場合(ステップSA−16:Yes)、処理をステップSA−1に移行させる。端末装置100の制御部102は、ステップSA−16での処理により変更がないと判定された場合(ステップSA−16:No)、この処理を終了する。
以上で、第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
ここで、オーダー物件を設計する際は、設計担当者が物件仕様にあわせて、点検保守時の安全性を検討することになっているが、従来は、設計担当者が設計図等の資料を用いて2次元で点検保守時の安全性検討を行っていたため、立体的な安全判断が難しく、また、点検時の作業内容や動線など明確な理解が困難であり、十分な検討が出来ているとは言えない状態であった。一方、本実施形態によれば、作成条件を満たす昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成し、統合BIMモデル内に各点検作業の動線を明確に表示することで、動線上に点検安全性の面で問題が存在しないかを設計時において検討することが可能になる。例えば、点検作業者が作業開始から終了までどのような経路を通り、かつ、その間の作業の安全性についても検討することができる。加えて、作業ルートの距離、高低差、作業エリアの大きさ、経路幅、温度、湿度等を表示して、数値的に安全性を確認するための検討材料とすることもできる。このように、本実施形態によれば、各点検項目へのルートを画面上に表示させ、点検作業動線を視覚的に分かり易く表現することができるので、保守点検作業時の安全確認を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、レイアウト画面上の統合BIMモデル内で点検作業者に対応するヒトオブジェクトを動作させ、感覚的に問題の有無が無いか否かを確認しやすくすることができる。このとき、作業者の身体的特徴(身長、体重、利き腕、作業体勢等)を入力することで、より正確に点検作業時における作業者の安全性を確認することができる。また、作業者の持ち運び用品の重量や寸法についても考慮した上で、より一層正確に点検作業時における作業者の安全性を確認することもできる。
更に、本実施形態によれば、類似物件をデータベースから検索し、過去の実績、注意点などから最適なシミュレーションが行えるようにすることもできる。例えば、過去の類似物件を検索し、この類似物件に基づく点検作業時の経路や問題点を把握した上で、対象の新規物件における点検作業時の最適経路を表示することができる。更に、点検作業時の注意点を事前に把握することも可能になる。
なお、以上で説明した端末装置100の制御部102は、点検条件算出部102f、解析部102g、注意点抽出部102h、動線最適化部102iを備えない構成であってもよい。また、図6で例示したBIMシステムの処理は、ステップSA−8〜ステップSA−11、ステップSA−14〜ステップSA−16等を含まない構成であってもよい。
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について、図7および図8を参照して以下に説明する。なお、以下の第2の実施形態(サーバ主導型)の説明では、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。ここで、図7は、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分を概念的に示している。
なお、第2の実施形態においては、サーバ装置200側で作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。また、サーバ装置200側で統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する。そして、サーバ装置200から端末装置100へ統合BIMモデルと動線を少なくとも含むレイアウト画面を送信して、当該端末装置100の表示部114に表示させるように制御している。このように、第2の実施形態は、サーバ装置200にてサーバ主導で処理を行う点が、その他の実施形態と異なる。
[第2の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、図7を参照して以下に説明する。
図7に示すように、第2の実施形態のサーバ装置200は、出力部(表示部114および音声出力部116)と入力部118と制御部102と記憶部106とを少なくとも備えた端末装置100に通信可能に接続され、制御部202と記憶部206とを少なくとも備える。通信には、一例として、ネットワーク300を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を含む。また、これらサーバ装置200および端末装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
図7において、サーバ装置200は、端末装置100から送信される作成条件に対応するBIMパーツを作成し、BIMパーツをBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する等の機能を有する。また、サーバ装置200は、統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する等の機能を有する。また、サーバ装置200は、作成された統合BIMモデルと、生成された動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する等の機能を有する。また、サーバ装置200は、生成されたレイアウト画面を端末装置100へ送信して、当該レイアウト画面を表示部114に表示させるように制御する等の機能を有する。
なお、サーバ装置200における通信制御インターフェース部204および記憶部206(パーツ情報データベース206a、オブジェクト情報データベース206c、履歴情報データベース206d等)の機能、また、端末装置100における表示部114、音声出力部116、および、入力部118の機能は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、記憶部206のうち、BIMモデルファイル206bには、端末装置100側の記憶部106のBIMモデルデータベース106aに記憶された複数の建築物のBIMモデルのうち、対象の建築物のBIMモデルが予めサーバ装置200側へ転送されて一時的に記憶されているものとする。
図7において、制御部202は、OS等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部202は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部202は、機能概念的に、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、統合モデリング部202d、動線生成部202e、画面生成部202f、画面表示制御部202g、点検条件算出部202h、解析部202i、注意点抽出部202j、動線最適化部202kを備える。
なお、第2の実施形態における制御部202のうち、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、動線生成部202e、画面生成部202f、点検条件算出部202h、解析部202i、注意点抽出部202j、動線最適化部202kについては、上述の第1の実施形態において説明した対応する各部の機能と実質的に同様であるため、これらの説明を省略する。
このうち、統合モデリング部202dは、サーバ装置200側で昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルファイル206bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。
また、画面表示制御部202gは、画面生成部202fにより生成されたレイアウト画面を端末装置100へ送信して、当該レイアウト画面を端末装置100の表示部114に表示させるように制御する画面表示制御手段である。画面表示制御部202gは、例えば、上述の図5に示すような、エレベータのBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ3次元の統合BIMモデルと、当該統合BIMモデルに対応する昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線と、を少なくとも含むレイアウト画面を端末装置100へ送信して、当該レイアウト画面を端末装置100の表示部114に表示させるように制御する。
なお、図7では、BIMモデルデータベース106aが端末装置100側の記憶部106に備えられた例を説明したが、これに限定されない。図示しないが、BIMモデルデータベース106aは、サーバ装置200側の記憶部206側に備えられていてもよく、また、ネットワーク300を介して通信可能に接続されたデータベースサーバとして外部装置の記憶部側に備えられていてもよい。
以上で、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
[第2の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第2の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に図8を参照して詳細に説明する。図8は、第2の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、端末装置100の制御部102は、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する(ステップSB−1)。
そして、サーバ装置200の作成条件受信部202aは、ステップSB−1にて制御部102の処理により送信される作成条件を受信する(ステップSB−2)。
そして、サーバ装置200の昇降機モデリング部202bは、ステップSB−2にて作成条件受信部202aの処理により受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSB−3)。例えば、昇降機モデリング部202bは、図3に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSB−3において、昇降機モデリング部202bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
そして、サーバ装置200の統合モデリング部202dは、ステップSB−3にて昇降機モデリング部202bの処理により作成された単数または複数の昇降機のBIMパーツを、BIMモデルファイル206bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSB−4)。例えば、統合モデリング部202dは、図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
そして、サーバ装置200の動線生成部202eは、ステップSB−4にて統合モデリング部202dの処理により作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する(ステップSB−5)。例えば、動線生成部202eは、図5の画面左側に示すような統合BIMモデル内で指定された点検口から点検対象物まで作業者が移動可能な動線を生成する。ステップSB−5において、動線生成部202eは、動線の候補を単数、又は、複数で生成することもできる。
そして、サーバ装置200の点検条件算出部202hは、ステップSB−5にて統合モデリング部202dの処理により作成された統合BIMモデル、および、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された動線のうち少なくとも1つに基づいて、点検条件を算出する(ステップSB−6)。例えば、点検条件算出部202hは、図5の画面右側下部に示すような各種点検条件(図5において、「高低差:10m」、「総工程:18m」、「最小幅:25cm」、「温度:20℃」、「湿度:70%」等の点検条件)を生成する。
そして、サーバ装置200の制御部202は、履歴情報データベース206dに記憶された履歴情報を検索して、ステップSB−4にて統合モデリング部202dの処理により作成された統合BIMモデルと類似する類似物件があるか否かを判定することで、対応する履歴情報があるか否かを判定する(ステップSB−7)。
そして、サーバ装置200の注意点抽出部202jは、ステップSB−7にて制御部202の処理により対応する履歴情報があると判定された場合(ステップSB−7:Yes)、検索した対応する履歴情報に基づいて、過去に作成された統合BIMモデル内の動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する(ステップSB−8)。例えば、注意点抽出部202jは、図5の画面右側上部に示すような各種注意情報(図5において、「最小幅25cmの箇所あり」、「点検対象物は梯子上部の右手側」、「湿度はやや高め」等の注意点を示す注意情報)を生成する。
そして、サーバ装置200の動線最適化部202kは、ステップSB−8にて注意点抽出部202jの処理により抽出された注意情報に基づいて、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された動線を最適化する(ステップSB−9)。例えば、動線最適化部202kは、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された複数の動線の候補から、ステップSB−8にて注意点抽出部202jの処理により抽出された注意情報(例えば、「最小幅25cmの箇所あり」)が示す注意点を回避可能な、経路幅が広い動線を選択することで、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された動線を最適化する。その後、ステップSB−10の処理へ移行する。
ここで、ステップSB−7にて制御部202の処理により対応する履歴情報がないと判定された場合(ステップSB−7:No)は、上述のステップSB−8およびステップSB−9の処理を実行せずに(すなわち、注意情報の抽出、動線の最適化を実行せずに)、ステップSB−10の処理へ移行する。
そして、サーバ装置200の画面生成部202fは、ステップSB−7にて対応する履歴情報があると判定されて(ステップSB−7:Yes)、ステップSB−8にて注意情報を抽出し、ステップSB−9にて動線の最適化を実行した場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する(ステップSB−10)。この場合、画面生成部202fは、ステップSB−4にて統合モデリング部202dの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSB−6にて点検条件算出部202hの処理に算出された点検条件と、ステップSB−8にて注意点抽出部202jの処理にて抽出された動線に関する注意点を示す注意情報と、ステップSB−9にて動線最適化部202kの処理により最適化された動線と、を含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSB−11の処理へ移行する。
また、ステップSB−10において、画面生成部202fは、ステップSB−7にて対応する履歴情報がないと判定されて(ステップSB−7:No)、ステップSB−8にて注意情報を抽出せず、ステップSB−9にて動線の最適化を実行しなかった場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する。この場合、画面生成部202fは、ステップSB−4にて統合モデリング部202dの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された動線と、ステップSB−6にて点検条件算出部202hの処理に算出された点検条件とを含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSB−11の処理へ移行する。
そして、サーバ装置200の画面表示制御部202gは、ステップSB−10にて画面生成部202fの処理により生成されたレイアウト画面を端末装置100へ送信して(ステップSB−11)、当該レイアウト画面を端末装置100の表示部114に表示させるように制御する(ステップSB−12)。
そして、端末装置100の制御部102は、ヒトオブジェクトの移動解析を行う際に参照される、点検対象物を点検する作業者の特徴を示す作業者条件の入力があるか否かを判定する(ステップSB−13)。ここで、作業者条件は、例えば入力部118を介して利用者により入力される。
そして、サーバ装置200の制御部202は、ステップSB−13にて制御部102の処理により作業者条件の入力があると判定された場合(ステップSB−13:Yes)に端末装置100からサーバ装置200へ送信される作業者条件を受信したか否かを判定する(ステップSB−14)。
そして、サーバ装置200の解析部202iは、ステップSB−14にて制御部202の処理により作業者条件の受信ありと判定した場合(ステップSB−14:Yes)、オブジェクト情報データベース206cに記憶されたヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報に基づいて、ステップSB−5にて動線生成部202eの処理により生成された動線(または、ステップSB−9にて動線最適化部202kの処理により最適化された動線)上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする(ステップSB−15)。ステップSB−15において、解析部202iは、作業者の特徴を示す作業者条件に基づいてヒトオブジェクトを変化させた状態で、動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする。
続いて、ステップSB−10の処理に移行し、画面生成部202fは、ステップSB−15にて解析部202iの処理によりシミュレーションされたヒトオブジェクトの移動を表す表示制御信号を含むレイアウト画面を生成する。この表示制御信号は、このレイアウト画面が端末装置100へ送信された後、端末装置100側で、ヒトオブジェクトの移動に関するシミュレーション結果を表示させるように制御する際に用いられる信号である。また、ステップSB−10において、画面生成部202fは、図5の画面右側中央部に示すように、各種作業者条件(図5において、「身長:170cm」、「体重:60kg」、「携帯重量:15kg」、「サイズ:45cm×30cm×10cm」等の作業者条件)を更に含むレイアウト画面を生成する。そして、ステップSB−11の処理へ移行し、画面表示制御部202gは、表示制御信号および作業者条件を更に含むレイアウト画面を端末装置100へ送信して、表示部114に表示させるように制御する。
ここで、サーバ装置200側のステップSB−14にて制御部102の処理により作業者条件の受信がないと判定された場合(ステップSB−14:No)は、上述のステップSB−15の処理を実行せずに(すなわち、ヒトオブジェクトの移動解析を実行せずに)、この処理を終了する。
再び、端末装置100側のステップSB−13に処理へ戻り、制御部102の処理により作業者条件の入力がないと判定された場合(ステップSB−13:No)、端末装置100の制御部102は、利用者の入力に応じて変更があるか否かを判定する(ステップSB−16)。
端末装置100の制御部102は、ステップSB−16での処理により変更があると判定した場合(ステップSB−16:Yes)、処理をステップSB−1に移行させる。端末装置100の制御部102は、ステップSB−16にて制御部102の処理により変更がないと判定された場合(ステップSB−16:No)、この処理を終了する。
以上で、第2の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
なお、第2の実施形態にかかるBIMシステム(サーバ主導型)においても、上述の第1の実施形態にかかるBIMシステム(機能分散型)と同様の効果を奏する。また、以上で説明したサーバ装置200の制御部202は、点検条件算出部202h、解析部202i、注意点抽出部202j、動線最適化部202kを備えない構成であってもよい。また、図8で例示したBIMシステムの処理は、ステップSB−6〜ステップSB−9、ステップSB−13〜ステップSB−16等を含まない構成であってもよい。
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について、図9および図10を参照して以下に説明する。なお、以下の第3の実施形態(スタンドアロン型)の説明では、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。ここで、図9は、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分を概念的に示している。ここで、第3の実施形態におけるBIMシステムは、スタンドアロン型に構成され単独で処理を行うBIM装置400により実現される。
なお、第3の実施形態においては、全ての機能をBIM装置400に集約し、当該BIM装置400は、利用者により入力される作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを作成し、BIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する等の機能を有する。また、BIM装置400は、作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する等の機能を有する。そして、BIM装置400は、作成された統合BIMモデルと、生成された動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を表示部414に表示させる等の機能を有する。このように、第3の実施形態は、BIM装置400がスタンドアロン型に構成され単独で処理を行う点がその他の実施形態と異なる。
[第3の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、図9を参照して以下に説明する。
図9に示すように、第3の実施形態のBIM装置400は、出力部(表示部414および音声出力部416)と入力部418と制御部402と記憶部406とを少なくとも備える。これらBIM装置400の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されてもよい。BIM装置400は、例えば、PND(Portable Navigation Device)等の各種情報処理端末、ノート型のパーソナルコンピュータ等の各種情報処理装置、または、携帯電話やPHSやPDA等の携帯端末装置等であってもよい。また、BIM装置400は、通信制御インターフェース部(図示せず)を介してネットワークを経由し、外部装置と相互に通信可能に接続されていてもよい。
図9において、入出力制御インターフェース部408、表示部414、音声出力部416、および、入力部418の各機能は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。また、記憶部406の各部(パーツ情報データベース406a、BIMモデルデータベース406b、オブジェクト情報データベース406c、履歴情報データベース406d等)についても、サーバ装置200ではなくBIM装置400に備えられている点を除き、各機能が第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
なお、制御部402の各部については、本実施形態のBIM装置400がスタンドアロン型であり、制御部402が各送信部を備えていない点を除き、各機能は第1の実施形態と基本的に同様である。
図9において、制御部402は、OS等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部402は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部402は、機能概念的に、作成条件設定部402a、昇降機モデリング部402b、統合モデリング部402c、動線生成部402d、画面生成部402e、画面表示部402f、点検条件算出部402g、解析部402h、注意点抽出部402i、動線最適化部402jを備える。
なお、第3の実施形態における制御部402のうち、動線生成部402d、画面生成部402e、画面表示部402f、点検条件算出部402g、解析部402h、注意点抽出部402i、動線最適化部402jについては、上述の第1の実施形態において説明した対応する各部の機能と実質的に同様であるため、これらの説明を省略する。
このうち、作成条件設定部402aは、利用者により入力される作成条件を設定する作成条件設定手段である。ここで、作成条件は、利用者により入力部418を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
また、昇降機モデリング部402bは、作成条件設定部402aにより設定された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部402bは、例えば、図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。ここで、昇降機モデリング部402bは、作成した昇降機のBIMパーツを記憶部406に格納して、BIMパーツデータベース(図示せず)を構築してもよい。
また、統合モデリング部402cは、昇降機モデリング部402bにより作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース406bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。ここで、統合モデリング部402cは、作成した統合BIMモデルを記憶部406に格納して、統合BIMモデルデータベース(図示せず)を構築してもよい。
以上で、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
[第3の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第3の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に図10を参照して詳細に説明する。図10は、第3の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、まず、作成条件設定部402aは、利用者により入力される作成条件を設定する(ステップSC−1)。
そして、昇降機モデリング部402bは、ステップSC−1にて作成条件設定部402aの処理により設定された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSC−2)。例えば、昇降機モデリング部402bは、上述の図3に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSC−2において、昇降機モデリング部402bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
そして、統合モデリング部402cは、ステップSC−2にて昇降機モデリング部402bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース406bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSC−3)。例えば、統合モデリング部402cは、図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
そして、動線生成部402dは、ステップSC−3にて統合モデリング部402cの処理により作成された統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する(ステップSC−4)。例えば、動線生成部402dは、図5の画面左側に示すような統合BIMモデル内で指定された点検口から点検対象物まで作業者が移動可能な動線を生成する。ステップSC−4において、動線生成部402dは、動線の候補を単数、又は、複数で生成することもできる。
そして、点検条件算出部402gは、ステップSC−3にて統合モデリング部402cの処理により作成された統合BIMモデル、および、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された動線のうち少なくとも1つに基づいて、点検条件を算出する(ステップSC−5)。例えば、点検条件算出部402gは、図5の画面右側下部に示すような各種点検条件(図5において、「高低差:10m」、「総工程:18m」、「最小幅:25cm」、「温度:20℃」、「湿度:70%」等の点検条件)を生成する。
そして、BIM装置400の制御部402は、履歴情報データベース406dに記憶された履歴情報を検索して、ステップSC−3にて統合モデリング部402cの処理により作成された統合BIMモデルと類似する類似物件があるか否かを判定することで、対応する履歴情報があるか否かを判定する(ステップSC−6)。
そして、注意点抽出部402iは、ステップSC−6にて制御部402の処理により対応する履歴情報があると判定された場合(ステップSC−6:Yes)、検索した対応する履歴情報に基づいて、過去に作成された統合BIMモデル内の動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する(ステップSC−7)。例えば、注意点抽出部402iは、図5の画面右側上部に示すような各種注意情報(図5において、「最小幅25cmの箇所あり」、「点検対象物は梯子上部の右手側」、「湿度はやや高め」等の注意点を示す注意情報)を生成する。
そして、動線最適化部402jは、ステップSC−7にて注意点抽出部402iの処理により抽出された注意情報に基づいて、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された動線を最適化する(ステップSC−8)。例えば、動線最適化部402jは、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された複数の動線の候補から、ステップSC−7にて注意点抽出部402iの処理により抽出された注意情報(例えば、「最小幅25cmの箇所あり」)が示す注意点を回避可能な、経路幅が広い動線を選択することで、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された動線を最適化する。その後、ステップSC−9の処理へ移行する。
ここで、ステップSC−6にて制御部402の処理により対応する履歴情報がないと判定された場合(ステップSC−6:No)は、上述のステップSC−7およびステップSC−8の処理を実行せずに(すなわち、注意情報の抽出、動線の最適化を実行せずに)、ステップSC−9の処理へ移行する。
そして、画面生成部402eは、ステップSC−6にて対応する履歴情報があると判定されて(ステップSC−6:Yes)、ステップSC−7にて注意情報を抽出し、ステップSC−8にて動線の最適化を実行した場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する(ステップSC−9)。この場合、画面生成部402eは、ステップSC−3にて統合モデリング部402cの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSC−5にて点検条件算出部402gの処理に算出された点検条件と、ステップSC−7にて注意点抽出部402iの処理にて抽出された動線に関する注意点を示す注意情報と、ステップSC−8にて動線最適化部402jの処理により最適化された動線と、を含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSC−10の処理へ移行する。
また、ステップSC−6において、画面生成部402eは、ステップSC−6にて対応する履歴情報がないと判定されて(ステップSC−6:No)、ステップSC−7にて注意情報を抽出せず、ステップSC−8にて動線の最適化を実行しなかった場合は、以下に示すようなレイアウト画面を生成する。この場合、画面生成部402eは、ステップSC−3にて統合モデリング部402cの処理より作成された統合BIMモデルと、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された動線と、ステップSC−5にて点検条件算出部402gの処理に算出された点検条件とを含むレイアウト画面を生成する。その後、ステップSC−10の処理へ移行する。
そして、画面表示部402fは、ステップSC−9にて画面生成部402eの処理により生成されたレイアウト画面を表示部414に表示させる(ステップSC−10)。
そして、BIM装置400の制御部402は、ヒトオブジェクトの移動解析を行う際に参照される、点検対象物を点検する作業者の特徴を示す作業者条件の入力があるか否かを判定する(ステップSC−11)。ここで、作業者条件は、例えば入力部418を介して利用者により入力される。
そして、解析部402hは、ステップSC−11にて制御部402の処理により作業者条件の入力があると判定された場合(ステップSC−11:Yes)、ステップSC−10にて画面表示部402fの処理により表示されたレイアウト画面上で、オブジェクト情報データベース406cに記憶されたヒトオブジェクトに関するオブジェクト情報に基づいて、ステップSC−4にて動線生成部402dの処理により生成された動線(または、ステップSC−8にて動線最適化部402jの処理により最適化された動線)上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする(ステップSC−12)。ステップSC−12において、解析部402hは、作業者の特徴を示す作業者条件に基づいてヒトオブジェクトを変化させた状態で、動線上でのヒトオブジェクトの移動をシミュレーションする。
本実施形態において、ステップSC−12にて解析部402hの処理によりヒトオブジェクトの移動解析を行った場合、更に、ステップSC−12において、画面生成部402eは、図5の画面右側中央部に示すように、各種作業者条件(図5において、「身長:170cm」、「体重:60kg」、「携帯重量:15kg」、「サイズ:45cm×30cm×10cm」等の作業者条件)を更に含むレイアウト画面を生成する。そして、ステップSC−12において、画面表示部402fは、作業者条件を更に含むレイアウト画面を表示部414に表示させるものとする。その後、ステップSC−13の処理へ移行する。
ここで、ステップSC−11にて制御部402の処理により作業者条件の入力がないと判定された場合(ステップSC−11:No)は、上述のステップSC−12の処理を実行せずに(すなわち、ヒトオブジェクトの移動解析を実行せずに)、ステップSC−13の処理へ移行する。
そして、BIM装置400の制御部402は、利用者の入力に応じて変更があるか否かを判定する(ステップSC−13)。
BIM装置400の制御部402は、ステップSC−13での処理により変更があると判定した場合(ステップSC−13:Yes)、処理をステップSC−1に移行させる。BIM装置400の制御部402は、ステップSC−13での処理により変更がないと判定された場合(ステップSC−13:No)、この処理を終了する。
以上で、第3の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
なお、第3の実施形態にかかるBIMシステム(スタンドアロン型)においても、上述の第1の実施形態にかかるBIMシステム(機能分散型)と同様の効果を奏する。また、以上で説明したBIM装置400の制御部402は、点検条件算出部402g、解析部402h、注意点抽出部402i、動線最適化部402jを備えない構成であってもよい。また、図10で例示したBIM装置400の処理は、ステップSC−5〜ステップSC−8、ステップSC−11〜ステップSC−13等を含まない構成であってもよい。
このように、上述した第1〜第3の実施形態によれば、利用者により入力される作成条件に対応するBIMパーツを、パーツ情報を用いて作成し、作成されたBIMパーツをBIMモデルに組み込んだ統合BIMモデルを作成する。そして、第1〜第3の実施形態によれば、作成された統合BIMモデルを少なくとも含むレイアウト画面を生成し、生成されたレイアウト画面を表示させる。よって、第1〜第3の実施形態によれば、利用者が昇降機の設備計画を提案する際、建築物に昇降機を組み込んだ状態を視覚的に分かりやすく表示することができる。また、利用者は、昇降機を設置する建築物の設計段階から施工、竣工後、リニューアル(改修)時等の全体を通したシミュレーションを行うことができる。これにより、利用者は、昇降機を設置する建築物の設計において、全体的な管理及び確認を行えるので、客先の要望をより良く反映した提案が容易となる。その結果、本実施形態によれば、利用者は、打合せ時間の短縮ができ、不具合発生率の低減もでき、更に、再製作時等のコストを抑制することができる。
[他の実施の形態]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態は、昇降機としてエレベータの例について説明したが、エスカレータ、動く歩道等の乗客コンベアについても同様に適用できる。
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400の各装置が備える処理機能、特に制御部102、制御部202、及び、制御部402にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDDなどの記憶部106、記憶部206、及び、記憶部406などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、及び、Blu−ray Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部106、記憶部206、及び、記憶部406に格納される各種のデータベース等(例えば、BIMモデルデータベース106a、オブジェクト情報データベース106b、履歴情報データベース106c、パーツ情報データベース206a、BIMモデルファイル206b、オブジェクト情報データベース206c、履歴情報データベース206d、パーツ情報データベース406a、BIMモデルデータベース406b、オブジェクト情報データベース406c、履歴情報データベース406d等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、端末装置100、サーバ装置200、及び、BIM装置400は、該情報処理装置に本実施形態の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
以上で説明した実施形態、変形例に係るBIMシステム、サーバ装置、端末装置、方法及びプログラムによれば、昇降機の設備計画を提案する際、建築物に昇降機を組み込んだ状態を視覚的に分かりやすく表示することができる。
[付記]
実施形態のサーバ装置は、表示部を少なくとも備えた端末装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部とを少なくとも備えたサーバ装置であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、を備え、前記制御部は、前記端末装置から送信される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段と、前記昇降機モデリング手段により作成された前記BIMパーツを前記端末装置へ送信する情報提供手段と、を備え、前記端末装置において、前記情報提供手段により前記サーバ装置から送信された前記BIMパーツを前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルが作成され、前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築内の点検対象物を点検する作業者の動線が生成され、前記統合BIMモデルと前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面が生成され、前記レイアウト画面が前記表示部に表示されることを特徴とする。
実施形態の端末装置は、サーバ装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部と表示部とを少なくとも備えた端末装置であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段、を備え、前記制御部は、前記サーバ装置において昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を用いて作成される、前記端末装置から送信された作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記サーバ装置から受信し、当該BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段と、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成手段と、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成手段により生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成手段と、前記画面生成手段により生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる画面表示手段と、を備えたことを特徴とする。
実施形態のBIMシステムは、制御部と記憶部とを少なくとも備えたサーバ装置、および、表示部を少なくとも備えた端末装置、を通信可能に接続したBIMシステムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段と、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、を備え、前記制御部は、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段と、前記昇降機モデリング手段により作成された前記BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段と、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成手段と、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成手段により生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成手段と、前記画面生成手段により生成された前記レイアウト画面を前記端末装置へ送信して、当該レイアウト画面を前記表示部に表示させるように制御する画面表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
実施形態の方法は、制御部と記憶部と表示部を少なくとも備えたBIMシステムにおいて実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段と、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、を備え、前記制御部において実行される、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリングステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成ステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成ステップにて生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成ステップと、前記画面生成ステップにて生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を含むことを特徴とする。
実施形態の方法は、表示部を少なくとも備えた端末装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部とを少なくとも備えたサーバ装置において実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、を備え、前記制御部において実行される、前記端末装置から送信される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを前記端末装置へ送信する情報提供ステップと、を含み、前記端末装置において、前記情報提供ステップにて前記サーバ装置から送信された前記BIMパーツを前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルが作成され、前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線が生成され、前記統合BIMモデルと前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面が生成され、前記レイアウト画面が前記表示部に表示されることを特徴とする。
実施形態の方法は、サーバ装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部と表示部とを少なくとも備えた端末装置において実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段、を備え、前記制御部において実行される、前記サーバ装置において昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を用いて作成される、前記端末装置から送信された作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記サーバ装置から受信し、当該BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリングステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成ステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成ステップにて生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成ステップと、前記画面生成ステップにて生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を含むことを特徴とする。
実施形態の方法は、制御部と記憶部とを少なくとも備えたサーバ装置、および、表示部を少なくとも備えた端末装置、を通信可能に接続したBIMシステムにおいて実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段と、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、を備え、前記制御部において実行される、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリングステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成ステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成ステップにて生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成ステップと、前記画面生成ステップにて生成された前記レイアウト画面を前記端末装置へ送信して、当該レイアウト画面を前記表示部に表示させるように制御する画面表示制御ステップと、を含むことを特徴とする。
実施形態のプログラムは、制御部と記憶部と表示部を少なくとも備えたBIMシステムに実行させるためのプログラムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段と、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、を備え、前記制御部において、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリングステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成ステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成ステップにて生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成ステップと、前記画面生成ステップにて生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を実行させることを特徴とする。
実施形態のプログラムは、表示部を少なくとも備えた端末装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部とを少なくとも備えたサーバ装置に実行させるためのプログラムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、を備え、前記制御部において、前記端末装置から送信される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを前記端末装置へ送信する情報提供ステップと、を実行させ、前記端末装置において、前記情報提供ステップにて前記サーバ装置から送信された前記BIMパーツを前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルが作成され、前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線が生成され、前記統合BIMモデルと前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面が生成され、前記レイアウト画面が前記表示部に表示されることを特徴とする。
実施形態のプログラムは、サーバ装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部と表示部とを少なくとも備えた端末装置に実行させるためのプログラムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段、を備え、前記制御部において、前記サーバ装置において昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を用いて作成される、前記端末装置から送信された作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記サーバ装置から受信し、当該BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリングステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する動線生成ステップと、前記統合モデリングステップにて作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成ステップにて生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する画面生成ステップと、前記画面生成ステップにて生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を実行させることを特徴とする。
実施形態のBIMシステムは、制御部と記憶部と表示部を少なくとも備える。前記記憶部は、BIMモデル記憶手段と、パーツ情報記憶手段と、を備える。前記BIMモデル記憶手段は、建築物のBIMモデルを記憶する。前記パーツ情報記憶手段は、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶する。前記制御部は、昇降機モデリング手段と、統合モデリング手段と、動線生成手段と、画面生成手段と、画面表示手段と、を備える。前記昇降機モデリング手段は、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する。前記統合モデリング手段は、前記昇降機モデリング手段により作成された前記BIMパーツを、前記BIMモデル記憶手段に記憶された前記BIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。前記動線生成手段は、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルに基づいて、当該統合BIMモデルが表す前記昇降機組込建築物内の点検対象物を点検する作業者の動線を生成する。前記画面生成手段は、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルと、前記動線生成手段により生成された前記動線とを少なくとも含むレイアウト画面を生成する。前記画面表示手段は、前記画面生成手段により生成された前記レイアウト画面を前記表示部に表示させる。前記記憶部は、過去に作成された前記統合BIMモデルと、当該統合BIMモデルに対応する前記昇降機組込建築物内の前記動線と、を対応付けて履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段、を更に備える。前記制御部は、前記統合モデリング手段により作成された前記統合BIMモデルと類似する類似物件を、前記履歴情報記憶手段に記憶された前記履歴情報から検索し、検索した当該履歴情報に基づいて、前記過去に作成された前記統合BIMモデル内の前記動線に関する注意点を示す注意情報を抽出する注意点抽出手段、を更に備える。前記画面生成手段は、前記注意点抽出手段により抽出された前記注意情報を更に含む前記レイアウト画面を生成する。