JP2014174156A - 誘電特性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】40GHzを超えるミリ波帯においてもTM0表面波の影響を無くし、通常のMSL半波長共振器の共振特性からMSL用誘電体基板や誘電体シートのMSLモードとして用いた時の誘電特性(比誘電率εr、誘電損失tanδ)を決定するための測定装置を提供する。
【解決手段】入出力部を導波管にし、フィンライン・テーパーリッジでマイクロストリップラインモードに変換しており、マイクロストリップライン部はカットオフ導波管の中に収納される構造であり、マイクロストリップライン半波長共振器1の共振特性をTM0表面波を抑圧した状態で測定した後、誘電体シート21を乗せ、もう一度共振特性を測定し、2回の共振特性の変化から誘電体シートの誘電特性を決定する。
【選択図】図7
【解決手段】入出力部を導波管にし、フィンライン・テーパーリッジでマイクロストリップラインモードに変換しており、マイクロストリップライン部はカットオフ導波管の中に収納される構造であり、マイクロストリップライン半波長共振器1の共振特性をTM0表面波を抑圧した状態で測定した後、誘電体シート21を乗せ、もう一度共振特性を測定し、2回の共振特性の変化から誘電体シートの誘電特性を決定する。
【選択図】図7
Description
この発明は、マイクロストリップラインをTEM(Transverse Electromagnetic)波が伝搬する場合において、その伝送媒体である銅張誘電体積層基板や誘電体シートの誘電特性(比誘電率εrや誘電損失tanδ)をマイクロ波、ミリ帯で測定する技術に関する。
携帯電話やスマートフォンの高速化、放送衛星や通信衛星の大容量化、各種レーダー通信の高速化、衝突防止用レーダーや農業機器への応用など、21世紀における電波の使用状況はマイクロ波、ミリ波領域まで拡大してきている。これらの高周波数帯でマイクロストリップラインやコプレーナーラインなどのTEM波を用いる平面構造のデバイスが、大量生産性ならびに低コスト性から主流技術として期待されている。これらのデバイスの設計精度を上げ、生産性を高めるためには、これらの伝送媒体に用いる銅張誘電体積層基板や誘電体シートの誘電特性(比誘電率εrや誘電損失tanδ)をマイクロ波、ミリ帯で精度良く把握する技術が求められている。
しかしながら、周波数が高くなると、マイクロストリップラインの主伝送モードであるTEM波と誘電体表面を伝送するされる表面波との結合が生じる。特に40GHz程度を超えると、この傾向は顕著で、TM0表面波が伝送線路導体の存在しない単なる誘電体表面を伝搬するようになり、その表面波がTEM波と結合し、前項で述べた誘電体基板などの誘電特性を精度良く測定することが不可能になる。このように、特にミリ波帯でのマイクロストリップラインなどの伝送媒体に用いる銅張誘電体積層基板や誘電体シートの誘電特性(比誘電率εrや誘電損失tanδ)を精度良く把握する技術が解決されていない。
前項で示したTM0表面波の影響を具体的に説明する。マイクロストリップライン(MSL)構造で、基板の誘電率や基板に貼り付けた薄い誘電体シートの誘電率の測定など、電界が基板の接地板にほぼ垂直になる場合(MSLモード)の誘電体の誘電特性は、20GHz以下の周波数帯では、一般に、図1(a)に示すように、MSL構造の入出力端子間にMSL半波長共振器を配置し、共振器のの両側のギャップにより入出力線路に結合させ、その共振特性を測定することによって求められている。
しかしミリ波帯では、図1(b)に示す伝送特性(SパラメータS21)の電磁界シミュレーションで示されているように、入出力部でTM0表面波モードを励振し、MSL共振器の共振特性がマスクされている。通常の測定系統では図1(a)に示すMSL入出力端子の外側にそれぞれ同軸コネクタを接続することになる。この同軸コネクタからMSLへのモード変換でも非整合が生じ、TM0表面波モードの励振を助長することになる。
実験ではさらに顕著なTM0表面波モードの影響が観測され、MSL共振器の共振特性は完全にマスクされてしまう。
しかしミリ波帯では、図1(b)に示す伝送特性(SパラメータS21)の電磁界シミュレーションで示されているように、入出力部でTM0表面波モードを励振し、MSL共振器の共振特性がマスクされている。通常の測定系統では図1(a)に示すMSL入出力端子の外側にそれぞれ同軸コネクタを接続することになる。この同軸コネクタからMSLへのモード変換でも非整合が生じ、TM0表面波モードの励振を助長することになる。
実験ではさらに顕著なTM0表面波モードの影響が観測され、MSL共振器の共振特性は完全にマスクされてしまう。
TM0表面波モードの影響を確認するため、図2(a)に示すように、入出力のMSL線路間に挿入されているMSL共振器を除いて、伝送特性の電磁界シミュレーションを行った結果を図2(b)に示す。導体の有無に関わらずTM0表面波が誘電体表面を伝搬していることが分かる。図1(b)と図2(b)を比較すると、S21のベースラインが誘電体基板表面を伝搬するTM0表面波のエネルギーで抑えられており、MSL共振器の伝送特性がマスクされていることが分かる。
また、高周波数になるほどTM0表面波の励振が大きくなっていることは、理屈どおりである。以上が、40GHzを超える周波数領域でMSLモードとしての基板の誘電特性(電界が基板の接地面に垂直な場合の誘電特性)の測定が十分なされていない主な理由である。
また、高周波数になるほどTM0表面波の励振が大きくなっていることは、理屈どおりである。以上が、40GHzを超える周波数領域でMSLモードとしての基板の誘電特性(電界が基板の接地面に垂直な場合の誘電特性)の測定が十分なされていない主な理由である。
「0004」と「0005」での考察に示した通り、マイクロ波帯の高周波領域およびミリ波帯では、通常の構造でのMSL共振器を用いた共振器法による誘電体シートや銅張誘電体積層基板の誘電特性の測定において、表面波の影響が深刻になり、測定不能または大きな誤差を含む測定となる。
先行研究として、小林禧夫元埼玉大学教授等によるマイクロ波、ミリ波帯での銅張誘電体積層基板の誘電特性の測定法に関する成果がある。[1]、[2]
この論文では、誘電体基板平面方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定法として、空洞共振器法と遮断円筒導波管法が、また、基板に垂直方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定法として、ストリップ線路構造(トリプレート構造)の平衡形円板共振器法が提案されている。しかし後者の、特にtanδの測定について、基板の半径方向への放射の影響で40GHzを超える周波数帯で大きな誤差が発生している。
この論文では、誘電体基板平面方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定法として、空洞共振器法と遮断円筒導波管法が、また、基板に垂直方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定法として、ストリップ線路構造(トリプレート構造)の平衡形円板共振器法が提案されている。しかし後者の、特にtanδの測定について、基板の半径方向への放射の影響で40GHzを超える周波数帯で大きな誤差が発生している。
本特許は、マイクロストリップライン(MSL)構造のままで、銅張誘電体積層基板等のMSL伝送に用いられる誘電体基板の基板に垂直方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定法を提案している。単なるMSL構造では「0004」と「0005」に示したようにTM0表面波の影響大きく受けるので、本特許では表面波を励振しない構造を提案することで測定精度を上げている。
小林禧夫;「銅張誘電体積層基板のマイクロ波評価技術」、信学論(C)、Vol.J89−C、No.5、2006年5月、pp.210−216.
小林禧夫;「銅張りプリント配線基板のマイクロ波/ミリ波特性と実測例」RFワールドNo.12、pp.57−67.
40GHzを超えるミリ波帯で表面波の影響を受けずに銅張誘電体積層基板や誘電体シートの誘電特性を測定するには、入出力が同軸コネクタでマイクロストリップライン(MSL)を励振する通常の構造では、同軸コネクタとMSL接続部で非整合を生じやすく、「0005」で述べたTM0表面波をさらに励振させやすくなり、精度の高い測定は不可能となる。
一般に、銅張誘電体積層基板等のTEM波(Transverse Electromagnetic Wave)の伝送を行う場合、誘電体基板の基板に垂直方向の比誘電率εrと誘電損失tanδの測定には、MSL構造の半波長共振器などの共振特性を測定して、その共振周波数と負荷Q値や無負荷Q値の測定値から求める方法が用いられている。しかしながら、TM0表面波が発生するミリ波帯では、表面波に対する何らかの対策を施さないと明確な共振特性を得ることができない。特に誘電損失tanδの測定は不可能になる。
本発明は上記「0010」に示した表面波の励振を抑圧したMSL伝送の構造を提案し、「0011」に示したMSL構造の半波長共振器などの共振特性を、40GHzを超えるミリ波帯においても表面波の影響を受けずに測定可能な共振器構造と測定法を提案し、この課題に答えようとするものである。
以上述べてきた本提案の目的をまとめると、TM0表面波の影響を無くし、通常のMSL半波長共振器の共振特性からMSL用誘電体基板や誘電体シートのMSLモードとして用いた時の誘電特性(比誘電率εr、誘電損失tanδ)をマイクロ波帯およびミリ波帯で決定するための測定法を、以下に示すように、確立することである。
▲1▼ TM0表面波をカットオフにし伝搬できないようにする。
▲2▼ TM0表面波の励振を大きく助長する同軸コネクタを入出力部から除く。
▲3▼ 測定対象周波数は20〜110GHz程度とし、入出力部は導波管とし、フィ ンラインを用いたテーパーリッジにより導波管モードをMSLモードに変換す ることにより、非整合の主因となる同軸/MSL変換を入出力部から除く。
▲4▼ MSL共振器の伝送特性S21を導波管系で測定し、誘電特性を決定する。
▲1▼ TM0表面波をカットオフにし伝搬できないようにする。
▲2▼ TM0表面波の励振を大きく助長する同軸コネクタを入出力部から除く。
▲3▼ 測定対象周波数は20〜110GHz程度とし、入出力部は導波管とし、フィ ンラインを用いたテーパーリッジにより導波管モードをMSLモードに変換す ることにより、非整合の主因となる同軸/MSL変換を入出力部から除く。
▲4▼ MSL共振器の伝送特性S21を導波管系で測定し、誘電特性を決定する。
同軸コネクタから銅張誘電体積層基板等にTEM波を励振すると、「0005」、「0010」に述べたように、表面波をともに励振することになるので、入出力を導波管とし、導波管から直接MSLへ変換する。提案している導波管/MSL変換器は、銅張誘電体積層基板を、導波管のH面中央で割った分割導波管で挟み込んだフィンライン構造としている。
本発明で提案する変換器は、図3(a)に示すように例えばWR−15またはWR−10の導波管をH面の中央で分割し、図3(b)に示すような銅張誘電体積層基板を挟み込む構造である。理想的には分割をしていない導波管内にE面の幅に等しい銅張誘電体積層基板を挿入する構造とすべきであるが、現実にはそのような構造でH面の管壁において基板を固定し、接地の条件を満足させることは困難である。このため基板を挟み込む構造を採用したが、単に基板を挟み込むだけではH面管壁の中央に基板の誘電体層の幅の間隙が生じ、有限のリアクタンス成分をもち高周波的にも接地されない。そこで図3(b)および(c)のように、基板の誘電体層の導波管壁面位置付近にビアホールの列を設け、間隙を壁面完全接地の条件に近づけた。
変換器の構造は入出力対称とし、導波管系で導波管/MSL変換器2個分の伝送特性の測定を行えるようにしている。図3(b)の基板表面の導体Aと裏面の導体Bは、(1)から(3)にかけて導波管からMSLへの変換を行っている。(1)から(2)の部分ではAは導波管E面の上端から、Bは下端から伸びているため、各導体に入射するTE10モードの電界の向きはAとBでは逆となり、流れる電流は互いに逆相である。従って、(1)から(2)のテーパ上の伝送は平衡モードとなる。この部分の金属パターンがcos2の曲線のテーパリッジガイドになるように設計することにより、導波管の高いインピーダンスをMSLの50Ωに向けて徐々に下げている。テーパの形状を図2(b)におけるP1からP2を例にとって説明する。テーパ長をL、導波管E面の幅をb、MSLの幅をW、図の右方向をx、上方向をy、P1の座標を{0,(b+W)/2}、P2の座標を(L,0)とすると、P1からP2へのテーパの形状はy=(b+W)/2cos2{(πx)/(2L)}となる。他のテーパはこれと対称である。Lは長いほど導波管とMSLの整合を良くするが、ある程度の長さで飽和し始め、際限なく伸ばすと変換器の大形化や、損失の増大を招くことになる。そこで、導波管/MSL変換器(1個分)のS21として−1dB以上が得られる最短のLをシミュレーションで求めた。WR−15導波管に対応するV帯ではL=17mm,WR−10導波管に対応するW帯ではL=13mmでS21>−1dBとなったので、これらのテーパ長を採用した。
図3(b)において(1)から(2)はリッジガイドで構成される平衡回路であるが、(2)から(3)は導体AをMSLの中心導体、導体Bを接地板とするMSLであり、不平衡回路である。そこで(2)の箇所には導体A、Bともに金属板のない誘電体スロットを設けた。これは誘電体層の比誘電率を考慮して、使用周波数帯でほぼλ/4線路となり,線路の先端はE面の管壁で短絡されている。故に接地電流を開放にし、不平衡回路に平衡電流が流れない。このようにして、平衡モードから不平衡モードへの変換をスムーズに行っている。
銅張誘電体積層基板を、導波管のH面中央で割った分割導波管で挟み込んだフィンライン構造の導波管/MSL/導波管変換器の断面図を図3(c)に示した。銅張誘電体積層基板が導波管H面の中央に挿入され、ビアホールで両側に接地されていることが分かる。また、その外観を[図4]に示す。
以上の構造により、導波管モードからMSLモードへ低損失で広帯域な変換が可能となる。この変換の様子を図5に示す。図5(a)は導波管のH面の中央部のE面電界分布で、図5(b)はE面の中央部のH面電界分布である。また図5(c)は入力導波管部、図5(d)はMSL部中央における電界分布のベクトル表示である。図4(a)及び(b)は左端から右端に向かって伝送モードが変換されながら伝搬していく様子を示している。図の左端の入力導波管においては図5(c)に示したようなTE10モードの電界分布であり、これがリッジガイド上ではTE10ハイブリッドモードに変換されここでエネルギーがテーパ状のリッジガイドにより徐々に絞られ、MSL上では図5(d)に示したTEMモードに変換されている。その後は逆にTEMモード→TE10ハイブリッドモード→TE10モードへと変換されていく。これが本提案の変換器における正規の伝送経路である。
銅張誘電体積層基板で構成されたフィンラインにおいて、導波管からのインピーダンス整合のための入出力部のテーパー線路に挟まれた中央部のMSL部にMSL半波長共振器を構成する。
図3(b)に示したフィンライン用銅張誘電体積層基板の中央部のMSL部分にギャップ結合型MSL半波長共振器を構成する。
一例として、図6に示すように、WR−15を用いたフィンラインパターンに、1段のMSL半波長共振器を疎結合で配置した。
誘電体シートの誘電特性測定のために、図6に示すように導波管のH面中央部に挟み込まれた銅張誘電体積層基板上に作成されたMSL半波長共振器の上部にそれと密着するように誘電体シートを配置する。測定用試料と誘電体基板との密着を確実なものにするため、測定用試料の上部に発泡スチロールを挿入している。
誘電体シートの試料がある場合とない場合のMSL半波長共振器の共振特性を測定することにより、共振周波数のズレから誘電体シートの比誘電率を、また共振特性のQ値のズレから誘電体シートの誘電損失tanδが測定できる。
一例として、図6に示すように、WR−15を用いたフィンラインパターンに、1段のMSL半波長共振器を疎結合で配置した。
誘電体シートの誘電特性測定のために、図6に示すように導波管のH面中央部に挟み込まれた銅張誘電体積層基板上に作成されたMSL半波長共振器の上部にそれと密着するように誘電体シートを配置する。測定用試料と誘電体基板との密着を確実なものにするため、測定用試料の上部に発泡スチロールを挿入している。
誘電体シートの試料がある場合とない場合のMSL半波長共振器の共振特性を測定することにより、共振周波数のズレから誘電体シートの比誘電率を、また共振特性のQ値のズレから誘電体シートの誘電損失tanδが測定できる。
誘電体シートがある場合とない場合のMSL半波長共振器の共振特性を測定するための構成を図7に示す。
誘電体シートの比誘電率を決定するには、まず、誘電体シートがない場合についてフィンライン用銅張誘電体積層基板の比誘電率εrを決定しなければならない。
これを通常の同軸入出力のMSL共振器で測定しようとすると、図1および図2に示したようにTM0表面波の励振のため明確な共振特性が得られない。
図6に示すWR−15導波管を用いたフィンライン構造で、MSL部に構成されたMSL半波長共振器の長さ1を1=1.3、1.4、1.5、1.6、1.7mmにした場合の共振特性を電磁界シミュレーションで求めた結果を図8に示した。また、測定値を図9に示した。図8、9の結果は図1、2とは異なりTM0表面波の励振もなく明確な共振特性が観測されている。
これを通常の同軸入出力のMSL共振器で測定しようとすると、図1および図2に示したようにTM0表面波の励振のため明確な共振特性が得られない。
図6に示すWR−15導波管を用いたフィンライン構造で、MSL部に構成されたMSL半波長共振器の長さ1を1=1.3、1.4、1.5、1.6、1.7mmにした場合の共振特性を電磁界シミュレーションで求めた結果を図8に示した。また、測定値を図9に示した。図8、9の結果は図1、2とは異なりTM0表面波の励振もなく明確な共振特性が観測されている。
「0023」でTM0表面波の励振を避けることができた理由を説明する。図3、4から分かるようにMSLの中心導体はフィンラインを構成する導波管のE面の中央に配置され、MSLが構成されている部分ではH面の中央にMSLの接地板が挿入されている構造となっている。
従って、本来の導波管モードはH面の中央に挿入されたMSLの接地板によりカットオフになっており、フィンラインテーパーによってMSLモードに変換されたものだけが伝搬することになる。
ここで、MSLモードであるTEM波にとっては、E面を横幅とする導波管をケースとしたTEM波以外では理想的なカットオフ伝送路になる。従って、TM0表面波を万一励振したとしてもカットオフになり伝搬しない。
従って、カットオフ導波管の中にMSL半波長共振器を設置したことになり、理想的な共振特性が得られることになる。
従って、本来の導波管モードはH面の中央に挿入されたMSLの接地板によりカットオフになっており、フィンラインテーパーによってMSLモードに変換されたものだけが伝搬することになる。
ここで、MSLモードであるTEM波にとっては、E面を横幅とする導波管をケースとしたTEM波以外では理想的なカットオフ伝送路になる。従って、TM0表面波を万一励振したとしてもカットオフになり伝搬しない。
従って、カットオフ導波管の中にMSL半波長共振器を設置したことになり、理想的な共振特性が得られることになる。
本発明では、銅張誘電体積層基板および誘電体シートの誘電特性(比誘電率εrと誘電損失tanδ)を決定しようとするものである。
まず銅張誘電体積層基板の誘電特性を決定する。このときのMSLの断面構造を図10に示す。誘電体基板の比誘電率はε1で誘電損失はtanδ1とする。この構造を基準にして誘電体シートの誘電特性も後述のように決定するので、図10の構造をReference系(添え字rで表す)と呼ぶことにする。
図10を真上から見た図(平面図)を図11に示す。MSLの50Ω線路を入力(I/P port)と出力(O/P port)に配置し、その間に1/2管内波長(λg)のMSL共振器をギャップを介して電界結合させる。
図11における入力から出力への伝送特性(Sパラメータ表示のS21)を測定し、以下に示す各種のQ値を測定する。
1/QLr=1/Q0r+1/Qer ▲1▼
1/Q0r=1/Qc+1/Qdr+1/Qrad. ▲2▼
QLr:Reference系負荷Q値
Q0r:Reference系無負荷Q値
Qer:Reference系外部Q値
Qc:導体損に基づく無負荷Q値
Qdr:Reference系tanδ1に基づく無負荷Q値
Qrad.:放射損に基づく無負荷Q値
ここで、図10、図11で示されているMSL半波長共振器は図6の構造に収納されているので、MSLモード以外はカットオフになっている。従って、放射は極めて小さく▲2▼式の中のQrad.は大きく、1/Qrad.の項は省略できる。
▲1▼、▲2▼式より▲3▼式が得られる。
1/Qdr=1/QLr−(1/Qc+1/Qer) ▲3▼
▲3▼式において、QLrは測定により決定する。また、QcとQerは測定周波数での電気導電率と図10、11の構造を与えて電磁界シミュレーションにより決定できる。その結果、銅張誘電体積層基板の誘電損失tanδ1を▲4▼式のように決定できる。
tanδ1=1/Qdr ▲4▼
まず銅張誘電体積層基板の誘電特性を決定する。このときのMSLの断面構造を図10に示す。誘電体基板の比誘電率はε1で誘電損失はtanδ1とする。この構造を基準にして誘電体シートの誘電特性も後述のように決定するので、図10の構造をReference系(添え字rで表す)と呼ぶことにする。
図10を真上から見た図(平面図)を図11に示す。MSLの50Ω線路を入力(I/P port)と出力(O/P port)に配置し、その間に1/2管内波長(λg)のMSL共振器をギャップを介して電界結合させる。
図11における入力から出力への伝送特性(Sパラメータ表示のS21)を測定し、以下に示す各種のQ値を測定する。
1/QLr=1/Q0r+1/Qer ▲1▼
1/Q0r=1/Qc+1/Qdr+1/Qrad. ▲2▼
QLr:Reference系負荷Q値
Q0r:Reference系無負荷Q値
Qer:Reference系外部Q値
Qc:導体損に基づく無負荷Q値
Qdr:Reference系tanδ1に基づく無負荷Q値
Qrad.:放射損に基づく無負荷Q値
ここで、図10、図11で示されているMSL半波長共振器は図6の構造に収納されているので、MSLモード以外はカットオフになっている。従って、放射は極めて小さく▲2▼式の中のQrad.は大きく、1/Qrad.の項は省略できる。
▲1▼、▲2▼式より▲3▼式が得られる。
1/Qdr=1/QLr−(1/Qc+1/Qer) ▲3▼
▲3▼式において、QLrは測定により決定する。また、QcとQerは測定周波数での電気導電率と図10、11の構造を与えて電磁界シミュレーションにより決定できる。その結果、銅張誘電体積層基板の誘電損失tanδ1を▲4▼式のように決定できる。
tanδ1=1/Qdr ▲4▼
銅張誘電体積層基板の比誘電率ε1は以下のように決定できる。図10の構造におけるMSLの管内波長λg1は▲5▼式で表される。▲5▼式のf( )は( )内のアイテムの関数であることを示している。また、MSL半波長共振器の共振周波数fr1は▲6▼式で表される。
λg1=f(E0ε1、図10、図11の構造) ▲5▼
fr1=C/λg1 ▲6▼
ε0:真空中の誘電率
ε1:図10、11の構造に示す銅張誘電体積層基板の比誘電率
C:光速(=3×108 m/s)
fr1:図10、図11に示すMSL半波長共振器の共振周波数
fr1の測定結果と▲5▼、▲6▼式を用いた電磁界シミュレーションによりε1を決定できる。
λg1=f(E0ε1、図10、図11の構造) ▲5▼
fr1=C/λg1 ▲6▼
ε0:真空中の誘電率
ε1:図10、11の構造に示す銅張誘電体積層基板の比誘電率
C:光速(=3×108 m/s)
fr1:図10、図11に示すMSL半波長共振器の共振周波数
fr1の測定結果と▲5▼、▲6▼式を用いた電磁界シミュレーションによりε1を決定できる。
次に誘電体シートの誘電特性を決定する。このときのMSLの断面構造を図12に示す。図10の構造の銅張誘電体積層基板の上部に誘電体シートを設置している。誘電体シートの比誘電率をε2で誘電損失はtanδ2とする。図12の構造をMeasured系(添え字mで表す)と呼ぶことにする。
図12における入力から出力への伝送特性(Sパラメータ表示のS21)を測定し、以下に示す各種のQ値を測定する。
1/QLm=1/Q0m+1/Qem ▲7▼
1/Q0m=1/Qc+1/Qdm+1/Qrad. ▲8▼
QLm:Measured系負荷Q値
Q0m:Measured系無負荷Q値
Qem:Measured系外部Q値
Qdm:Measured系tanδ1、tanδ2に基づく無負荷Q値
図12の構造でも、放射は極めて小さく▲8▼式の中のQrad.は大きく、1/Qrad.の項は省略できる。▲7▼、▲8▼式より▲9▼式が得られる。
1/Qdm=1/QLm−(1/Qc+1/Qem) ▲9▼
1/QLmは測定により、1/Qc+1/Qemは測定周波数での電気導電率と図12の構造を与えて電磁界シミュレーションにより決定できるので、Qdmを決定できる。また、Qdmは図12に示すように、銅張誘電体積層基板(ε1)の上部に誘電体シート(ε2)を設置している場合の総合の誘電損失に基づくQ値を表している。従って、Qdmは▲10▼式で表される。
1/Qdm=1/Qdr+1/Qds ▲10▼
Qdr:Reference系tanδ1に基づく無負荷Q値(銅張誘電体積層 基板に基づくもの)
Qds:Measured系tanδ2に基づく無負荷Q値(誘電体シートに基 づくもの)
従って、tanδ2は▲11▼式のように求められる。
tanδ2=1/Qds=1/Qdm−1/Qdr ▲11▼
Qdrは[0025]の方法で決定できるので、誘電体シートのtanδ2は測定値Qdmを用い、電磁界シミュレーションにより決定できる。
図12における入力から出力への伝送特性(Sパラメータ表示のS21)を測定し、以下に示す各種のQ値を測定する。
1/QLm=1/Q0m+1/Qem ▲7▼
1/Q0m=1/Qc+1/Qdm+1/Qrad. ▲8▼
QLm:Measured系負荷Q値
Q0m:Measured系無負荷Q値
Qem:Measured系外部Q値
Qdm:Measured系tanδ1、tanδ2に基づく無負荷Q値
図12の構造でも、放射は極めて小さく▲8▼式の中のQrad.は大きく、1/Qrad.の項は省略できる。▲7▼、▲8▼式より▲9▼式が得られる。
1/Qdm=1/QLm−(1/Qc+1/Qem) ▲9▼
1/QLmは測定により、1/Qc+1/Qemは測定周波数での電気導電率と図12の構造を与えて電磁界シミュレーションにより決定できるので、Qdmを決定できる。また、Qdmは図12に示すように、銅張誘電体積層基板(ε1)の上部に誘電体シート(ε2)を設置している場合の総合の誘電損失に基づくQ値を表している。従って、Qdmは▲10▼式で表される。
1/Qdm=1/Qdr+1/Qds ▲10▼
Qdr:Reference系tanδ1に基づく無負荷Q値(銅張誘電体積層 基板に基づくもの)
Qds:Measured系tanδ2に基づく無負荷Q値(誘電体シートに基 づくもの)
従って、tanδ2は▲11▼式のように求められる。
tanδ2=1/Qds=1/Qdm−1/Qdr ▲11▼
Qdrは[0025]の方法で決定できるので、誘電体シートのtanδ2は測定値Qdmを用い、電磁界シミュレーションにより決定できる。
誘電体シートの比誘電率ε2は以下のように決定できる。図12の構造におけるMSLの管内波長λg2は▲12▼式で表される。▲12▼式のf( )は( )内のアイテムの関数であることを示している。また、MSL半波長共振器の共振周波数fr2は▲13▼式で表される。
λg2=f(ε0ε2、図12の構造) ▲12▼
fr2=C/λg2 ▲13▼
ε0:真空中の誘電率
ε2:図12の構造に示す誘電体シートの比誘電率
C:光速(=3×108m/s)
fr2:図12に示すMSL半波長共振器の共振周波数
fr2の測定結果と▲12▼、▲13▼式を用いたコンピュータシミュレーションによりε2を決定できる。
λg2=f(ε0ε2、図12の構造) ▲12▼
fr2=C/λg2 ▲13▼
ε0:真空中の誘電率
ε2:図12の構造に示す誘電体シートの比誘電率
C:光速(=3×108m/s)
fr2:図12に示すMSL半波長共振器の共振周波数
fr2の測定結果と▲12▼、▲13▼式を用いたコンピュータシミュレーションによりε2を決定できる。
本発明の方法を用いて、一例として銅張誘電体積層基板(Rogers 5880)の65〜75GHzでの誘電特性(比誘電率εr、誘電損失tanδ)を測定し、図13に示した。比誘電率についてはメーカーでの10GHzでのカタログ値2.2より少し小さくなり2.1となり、また誘電損失は10GHzでの値である9×10−4より少し劣化して9.5×10−4と測定されている。
解決手段に示した方法により、マイクロ波、ミリ波でよく使われている銅張誘電体積層基板や誘電体シートなどのTEM波の伝搬にかかわり、電界が基板またはシート面に垂直な関係のときの誘電体基板や誘電体シートの誘電特性(比誘電率や誘電損失)を精度良く測定することができる。特に40GHzを超えるミリ波帯では、TM0表面波の励振により誘電特性の精度の高い測定は不可能であった。本発明の方法を用いると、20GHz〜110GHzでTM0表面波の励振を完全に抑圧し、精度の高い測定を可能としている。
1:マイクロストリップライン半波長共振器
2:銅張誘電体積層基板
3:誘電体基板
4:分割導波管(WR−15またはWR−10)
5:ビアホール(φ=0.25mm)
6:導体A(表面)
7:導体B(裏面)
8:マイクロストリップライン部(0.36mm幅、6mm長)
9:導波管E面の幅:b
10:フィンラインテーパー長:L
WR−15の場合:17mm
WR−10の場合:8mm
11:導波管入出力部間の長さ:40mm
12:マイクロストリップラインの接地面
13:フィンラインの接地方法:ビアホール部を両側から締め付け銅張誘電体積層基板と 導波管の接地を完全にとる。
14:基板の端はオープン
15:マイクロストリップラインの中心導体
16:E面電界分布
17:H面電界分布
18:入力導波管部
19:出力導波管部
20:発泡スチロール
21:誘電体シート
22:測定対象の誘電体シートおよび発泡スチロール
23:WR−15導波管
2:銅張誘電体積層基板
3:誘電体基板
4:分割導波管(WR−15またはWR−10)
5:ビアホール(φ=0.25mm)
6:導体A(表面)
7:導体B(裏面)
8:マイクロストリップライン部(0.36mm幅、6mm長)
9:導波管E面の幅:b
10:フィンラインテーパー長:L
WR−15の場合:17mm
WR−10の場合:8mm
11:導波管入出力部間の長さ:40mm
12:マイクロストリップラインの接地面
13:フィンラインの接地方法:ビアホール部を両側から締め付け銅張誘電体積層基板と 導波管の接地を完全にとる。
14:基板の端はオープン
15:マイクロストリップラインの中心導体
16:E面電界分布
17:H面電界分布
18:入力導波管部
19:出力導波管部
20:発泡スチロール
21:誘電体シート
22:測定対象の誘電体シートおよび発泡スチロール
23:WR−15導波管
銅張誘電体積層基板や誘電体シートの誘電特性を精度良く測定するために、図3(a)、(b)、(c)および図4に示すように入出力部が導波管で、フィンラインテーパーによりMSLモードに変換している。こうすることにより、TM0表面波の励振を完全に抑え、MSL部でTEM波のみの励振を可能とさせ測定精度を高めている。
銅張誘電体積層基板の誘電特性の測定には図6、図7、図10および図11の実施形態を、誘電体シートの誘電特性の測定には図6、図7および図12の実施形態が適している。
銅張誘電体積層基板の誘電特性の測定には図6、図7、図10および図11の実施形態を、誘電体シートの誘電特性の測定には図6、図7および図12の実施形態が適している。
40GHzを超えるミリ波帯では、MSL線路の励振で通常行われている同軸コネクタを介してMSL基板に接続する方法を用いると、必ずTM0表面波の励振がなされる。従って、表面波の伝搬により、シャープな共振特性を得ることができなくなる。本発明の実施形態を用いれば、表面波を抑圧し精度の高い測定を20〜110GHzで可能とする。
マイクロストリップライン(MSL):マイクロ波、ミリ波帯で用いられる伝送線路で、中心導体と接地板で誘電体基板を挟んだ構造になっている。
TM0表面波 :TM0表面波は、Transverse Magnetic Waveのことで、波の進行方向の電界成分を持たない電磁波で、カットオフ周波数をもち、直流を含む低周波では伝搬しない。表面波は誘電体などの表面にトラップされて伝搬する電磁波で、表面から離れるに従って指数関数的に減衰する。MSL線路の中心導体の有無に関わらず伝搬するので、銅張誘電体積層基板に構成した半波長共振器の共振特性を図1、図2に示したようにマスクしてしまう。
TEM波 : TEM波はTransverse Electromagnetic Waveのことで、波の進行方向に電界成分も磁界成分も持たない電磁波で、MSLの主伝送モードであり、カットオフ周波数は無い。カットオフ導波管の中にMSL共振器を構成し、カットオフ特性を有するTM0表面波をカットオフにして完全に抑圧し、カットオフ周波数の無いTEM波を用いて鮮明な共振特性を得ている。
S21 : ポート1から2への伝送特性を表わすSパラメータ。
フィンライン: 導波管をH面の中央で分割し、その間にE面に平行に、導体薄板で両面を裏打ちされた誘電体薄板を挟み込んだ構造である。ただし上記の銅張誘電体積層基板は種々の機能デバイス(フィルタのようなパッシブデバイスや能動素子を装荷したアクティブデバイス)のマウントが可能なようにエッチングによりパターンが構成されている。今回のアプリケーションではテーパーリッジとMSL線路である。
テーパーリッジ:インピーダンスを徐々に変化させ(線幅を変化)電磁波を反射が少なくスムーズに伝送させる形状にしている。ここでは導波管の高いインピーダンスを図3に示すようにリッジ構造により徐々に下げMSLの50Ωに整合させている。
ビアホール:図3に示すようにフィンラインを構成する場合、銅張誘電体積層基板を導波管のH面の中央に挟み込むことになるが、誘電体薄板の両側の電位が高周波でも等電位になるように、ビアホール(小さな貫通孔列)を設けている。
銅張誘電体積層基板:低損失な誘電体薄板の両側に銅箔を積層させた基板で、銅箔をエッチング処理などにより任意のパターンに成形することにより、マイクロストリップラインやストリップラインデバイスを作製するのに用いられる。
誘電特性:誘電体としての基本的な特性のことで、本発明では特に比誘電率εrと誘電損失tanδのことを意味する。
比誘電率εr:真空の誘電率をε0とすると、誘電体の誘電率εはε=ε0εrで表される。
誘電損失tanδ:誘電体の複素誘電率の実数部をε1虚数部をε2とすると、複素誘電率εはε=ε1−jε2=ε1(1−jtanδ)と表すことができる。すなわち、誘電損失tanδは誘電体の損失項を表すことになる。
無負荷Q値Q0:共振器単体に蓄えられるリアクティブエネルギーと抵抗分に消費される電力損失の比のことで、この発明の例では、電力損失として導体損失と誘電体損失を考えている。
負荷Q値QL:共振器入出力部に接続される電源インピーダンスや負荷の影響も考慮したリアクティブエネルギーと抵抗分に消費される電力損失の比のことで、当然QLはQ0より小さくなる。
外部Q値Qe:共振器と入出力部との結合の強さを表し、Qeが大きいほど結合は小さくなる。またQ0、QL、Qeは
1/QL=1/Q0+1/Qeで関係付けられている。
TM0表面波 :TM0表面波は、Transverse Magnetic Waveのことで、波の進行方向の電界成分を持たない電磁波で、カットオフ周波数をもち、直流を含む低周波では伝搬しない。表面波は誘電体などの表面にトラップされて伝搬する電磁波で、表面から離れるに従って指数関数的に減衰する。MSL線路の中心導体の有無に関わらず伝搬するので、銅張誘電体積層基板に構成した半波長共振器の共振特性を図1、図2に示したようにマスクしてしまう。
TEM波 : TEM波はTransverse Electromagnetic Waveのことで、波の進行方向に電界成分も磁界成分も持たない電磁波で、MSLの主伝送モードであり、カットオフ周波数は無い。カットオフ導波管の中にMSL共振器を構成し、カットオフ特性を有するTM0表面波をカットオフにして完全に抑圧し、カットオフ周波数の無いTEM波を用いて鮮明な共振特性を得ている。
S21 : ポート1から2への伝送特性を表わすSパラメータ。
フィンライン: 導波管をH面の中央で分割し、その間にE面に平行に、導体薄板で両面を裏打ちされた誘電体薄板を挟み込んだ構造である。ただし上記の銅張誘電体積層基板は種々の機能デバイス(フィルタのようなパッシブデバイスや能動素子を装荷したアクティブデバイス)のマウントが可能なようにエッチングによりパターンが構成されている。今回のアプリケーションではテーパーリッジとMSL線路である。
テーパーリッジ:インピーダンスを徐々に変化させ(線幅を変化)電磁波を反射が少なくスムーズに伝送させる形状にしている。ここでは導波管の高いインピーダンスを図3に示すようにリッジ構造により徐々に下げMSLの50Ωに整合させている。
ビアホール:図3に示すようにフィンラインを構成する場合、銅張誘電体積層基板を導波管のH面の中央に挟み込むことになるが、誘電体薄板の両側の電位が高周波でも等電位になるように、ビアホール(小さな貫通孔列)を設けている。
銅張誘電体積層基板:低損失な誘電体薄板の両側に銅箔を積層させた基板で、銅箔をエッチング処理などにより任意のパターンに成形することにより、マイクロストリップラインやストリップラインデバイスを作製するのに用いられる。
誘電特性:誘電体としての基本的な特性のことで、本発明では特に比誘電率εrと誘電損失tanδのことを意味する。
比誘電率εr:真空の誘電率をε0とすると、誘電体の誘電率εはε=ε0εrで表される。
誘電損失tanδ:誘電体の複素誘電率の実数部をε1虚数部をε2とすると、複素誘電率εはε=ε1−jε2=ε1(1−jtanδ)と表すことができる。すなわち、誘電損失tanδは誘電体の損失項を表すことになる。
無負荷Q値Q0:共振器単体に蓄えられるリアクティブエネルギーと抵抗分に消費される電力損失の比のことで、この発明の例では、電力損失として導体損失と誘電体損失を考えている。
負荷Q値QL:共振器入出力部に接続される電源インピーダンスや負荷の影響も考慮したリアクティブエネルギーと抵抗分に消費される電力損失の比のことで、当然QLはQ0より小さくなる。
外部Q値Qe:共振器と入出力部との結合の強さを表し、Qeが大きいほど結合は小さくなる。またQ0、QL、Qeは
1/QL=1/Q0+1/Qeで関係付けられている。
Claims (2)
- 入出力部を導波管とし、その導波管内部に基本波がカットオフになる領域を設け、そのカットオフ領域にマイクロストリップライン型共振器を配置することによりTM0表面波の励振を抑圧して、その共振特性を測定した後、該マイクロストリップラインの伝送線路上に、これから測定するための誘電体シートを乗せ、もう一度共振特性を測定し、2回の共振特性の変化から誘電体シートの誘電特性(比誘電率εr、誘電損失tanδ)を決定する測定装置。
- 入出力部の導波管とマイクロストリップライン型共振器を配置したマイクロストリップライン部の接続にテーパーリッジ型フィンラインで構成した導波管/マイクロストリップライン変換器を用いた請求項1の測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013067362A JP2014174156A (ja) | 2013-03-11 | 2013-03-11 | 誘電特性測定装置 |
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JP2013067362A JP2014174156A (ja) | 2013-03-11 | 2013-03-11 | 誘電特性測定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017010182A1 (ja) * | 2015-07-13 | 2017-01-19 | シャープ株式会社 | センサ回路 |
JP2019070549A (ja) * | 2017-10-06 | 2019-05-09 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 誘電体材料評価装置 |
CN113189443A (zh) * | 2021-04-08 | 2021-07-30 | 广东工业大学 | 一种基于频域复介电常数的动车组高压电缆健康状态评估方法 |
-
2013
- 2013-03-11 JP JP2013067362A patent/JP2014174156A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017010182A1 (ja) * | 2015-07-13 | 2017-01-19 | シャープ株式会社 | センサ回路 |
JPWO2017010182A1 (ja) * | 2015-07-13 | 2018-02-22 | シャープ株式会社 | センサ回路 |
JP2019070549A (ja) * | 2017-10-06 | 2019-05-09 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 誘電体材料評価装置 |
JP7011806B2 (ja) | 2017-10-06 | 2022-01-27 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 誘電体材料評価装置 |
CN113189443A (zh) * | 2021-04-08 | 2021-07-30 | 广东工业大学 | 一种基于频域复介电常数的动车组高压电缆健康状态评估方法 |
CN113189443B (zh) * | 2021-04-08 | 2022-03-22 | 广东工业大学 | 一种基于频域复介电常数的动车组高压电缆健康状态评估方法 |
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