JP2014172926A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合工程で副生物として精製除去されたオリゴアリーレンスルフィドを用いて、エポキシシランカップリング剤や官能基含有熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改質剤との反応性に優れる高分子量ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法を提供する。
【解決手段】 カルボキシアルキルアミノ基含有化合物0.01〜20質量%とオリゴアリーレンスルフィド99.99〜80質量%とを、非酸化性雰囲気下で溶融重合することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造時の精製工程で排出されるオリゴアリーレンスルフィドを回収して再利用する、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気電子部品、自動車部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。特に、リチウムイオン電池用パッキンやガスケット部材といった用途では、近年、特に高分子量PAS樹脂が、靭性および成形性に優れることから広く用いられている。
PPSの工業的な重合方法は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒中で硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンなどのポリハロ芳香族化合物とを反応させる方法が一般的であるが、PAS重合反応段階において副生物として、オリゴアリーレンスルフィドが約2〜5%程度生成することが知られている(非特許文献1参照、特に第388頁右下欄参照。)。
このオリゴアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化速度を低下させ、射出成形時の成形サイクルを遅延させる原因となり、また、溶融時発生ガス量が増え、射出成形時のヤニが増加する等の原因にもなるため、PAS重合の後処理工程で精製され除去されている。
しかしながら、当該オリゴアリーレンスルフィドの精製除去は、収量低下を招き、その分余計に原料が必要となり、製造コストを圧迫する要因となっており、さらに、産業廃棄物量の増加をもたらし、工業規模では年間数百トン(オリゴアリーレンスルフィド生成量が5%の場合、1万トン生産で産廃は500トン)もの産廃処理問題が発生する原因となっていた。
そこでオリゴアリーレンスルフィド中に含まれる繰り返し単位n=4〜13量体の環状オリゴアリーレンスルフィドに着目し、該環状オリゴアリーレンスルフィドを、モノマー原料として開環重合し、高分子量直鎖状化合物を合成する方法などをはじめとして、環状物であることを活用した高機能材料や機能材料への応用展開の可能性に注目が集まっている(特許文献1、2)。
しかしながら、PAS重合の副生物には前記環状オリゴアリーレンスルフィドの他に下記構造式(1)
Figure 2014172926
(式中、nは0〜2であり、Yはハロゲン原子を、Yは水素原子又はハロゲン原子を、Rは水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3〜5のアルキレン基を、Xは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。)で表される化合物(1)(以下、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)と表すことがある。)が含まれる。このため、PAS重合の副生物からカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)を有機溶剤洗浄で分離・除去する方法がとられていたが、該化合物(1)は水素型とアルカリ金属塩型とで溶解する有機溶剤種が異なることから、一旦、70℃で水洗した後に、クロロホルム抽出処理とアルコール再沈殿処理を施して水素型及びアルカリ金属塩型のカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)を環状オリゴアリーレンスルフィドから分離・除去していた。しかし、この方法は、該化合物(1)を完全除去できるものの、分離・除去操作が煩雑な上、高価な溶剤を多量に使用するため、商業生産的には高コストなプロセスとなる問題があった。また、この分離・除去方法を経て得られた環状オリゴアリーレンスルフィドを開環重合して得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は高分子量化されてはいるものの、他の化合物や樹脂との反応性が低いものであった。このため、エポキシシランカップリング剤や官能基含有熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改質剤を加えた際の耐衝撃性改善効果も十分なものとはいえず、用途や使用法に制限があった。
Fahey,D.R et.al, Macromolecules, Volume 30, Issue 3, 10 February 1997, Pages 387-393
WO2007/034800号パンフレット 特開2011-132323号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合工程で副生物として精製除去されたオリゴアリーレンスルフィドを用いて、エポキシシランカップリング剤や官能基含有熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改質剤との反応性に優れる高分子量アリーレンスルフィド樹脂を製造する方法を提供する。
本願発明者らは種々の検討を行った結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合工程で精製除去された副生物を100℃以上かつpH6以上の水と接触させる方法により、オリゴアリーレンスルフィドと前記カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とを効率よく分離し、回収した高濃度でオリゴアリーレンスルフィドを含有する組成物を得、この組成物を非酸化性雰囲気下で加熱して、高重合度体へ溶融重合することで高分子量のポリアリーレンスルフィド樹脂を製造できることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は、下記構造式(1)で表される化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部とを、非酸化性雰囲気下で溶融重合することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
Figure 2014172926
(式中、nは0〜2であり、Yはハロゲン原子を、Yは水素原子又はハロゲン原子を、Rは水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3〜5のアルキレン基を、Xは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。)
本発明によりポリアリーレンスルフィド樹脂の重合工程で副生物として精製除去されたオリゴアリーレンスルフィドを用いて、エポキシシランカップリング剤や官能基含有熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改質剤との反応性に優れる高分子量アリーレンスルフィド樹脂を製造する方法を提供できる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法は、下記構造式(1)で表される化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部とを、非酸化性雰囲気下で溶融重合することを特徴とする。
Figure 2014172926
(式中、nは0〜2であり、Yはハロゲン原子を、Yは水素原子又はハロゲン原子を、Rは水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3〜5のアルキレン基を、Xは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。)
以下、詳述する。
本発明で用いる、下記構造式(1)で表される化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)は、例えば下記の工程(1)〜工程(3)により製造することができる。
・工程(1)
有機極性溶媒中で、ポリハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、または、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、下記構造式(1)で表される化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を得たのち、該粗反応混合物を有機極性溶媒(6)で洗浄して、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を分離除去して、前記化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)および有機極性溶媒(3)を含む反応混合物(a1)を得る工程(1)を有する。
まず始めに、工程(1)は、有機極性溶媒中で、少なくともポリハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを反応させて、前記構造式(1)で表される化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を製造するか、または、有機極性溶媒中で、少なくともポリハロ芳香族化合物とアルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて下記構造式(1)で表される化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を製造する方法を工程(1a)として有する。
本発明で用いられるポリハロ芳香族化合物は、例えば、芳香族環に直接結合した2個以上のハロゲン原子を有するハロゲン化芳香族化合物であり、具体的には、p−ジクロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、テトラクロルベンゼン、ジブロムベンゼン、ジヨードベンゼン、トリブロムベンゼン、ジブロムナフタレン、トリヨードベンゼン、ジクロルジフェニルベンゼン、ジブロムジフェニルベンゼン、ジクロルベンゾフェノン、ジブロムベンゾフェノン、ジクロルジフェニルエーテル、ジブロムジフェニルエーテル、ジクロルジフェニルスルフィド、ジブロムジフェニルスルフィド、ジクロルビフェニル、ジブロムビフェニル等のジハロ芳香族化合物及びこれらの混合物が挙げられ、これらの化合物をブロック共重合してもよい。これらの中でも好ましいのはジハロゲン化ベンゼン類であり、特に好ましいのはp−ジクロルベンゼンを80モル%以上含むものである。
また、枝分かれ構造とすることによってポリアリーレンスルフィド樹脂の粘度増大を図る目的で、1分子中に3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物を分岐剤として所望に応じて用いてもよい。このようなポリハロ芳香族化合物としては、例えば、1,2,4−トリクロルベンゼン、1,3,5−トリクロルベンゼン、1,4,6−トリクロルナフタレン等が挙げられる。
更に、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基等の活性水素を持つ官能基を有するポリハロ芳香族化合物を挙げることが出来、具体的には、2,6−ジクロルアニリン、2,5−ジクロルアニリン、2,4−ジクロルアニリン、2,3−ジクロルアニリン等のジハロアニリン類;2,3,4−トリクロルアニリン、2,3,5−トリクロルアニリン、2,4,6−トリクロルアニリン、3,4,5−トリクロルアニリン等のトリハロアニリン類;2,2’−ジアミノ−4,4’−ジクロルジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノ−2’,4−ジクロルジフェニルエーテル等のジハロアミノジフェニルエーテル類およびこれらの混合物においてアミノ基がチオール基やヒドロキシル基に置き換えられた化合物などが例示される。また、これらの活性水素含有ポリハロ芳香族化合物中の芳香族環を形成する炭素原子に結合した水素原子が他の不活性基、例えばアルキル基などの炭化水素基に置換している活性水素含有ポリハロ芳香族化合物も使用出来る。これらの各種活性水素含有ポリハロ芳香族化合物の中でも、好ましいのは活性水素含有ジハロ芳香族化合物であり、特に好ましいのはジクロルアニリンである。
ニトロ基を有するポリハロ芳香族化合物としては、例えば、2,4−ジニトロクロルベンゼン、2,5−ジクロルニトロベンゼン等のモノまたはジハロニトロベンゼン類;2−ニトロ−4,4’−ジクロルジフェニルエーテル等のジハロニトロジフェニルエーテル類;3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロルジフェニルスルホン等のジハロニトロジフェニルスルホン類;2,5−ジクロル−3−ニトロピリジン、2−クロル−3,5−ジニトロピリジン等のモノまたはジハロニトロピリジン類;あるいは各種ジハロニトロナフタレン類などが挙げられる。
本発明で用いられるアルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物が含まれる。かかるアルカリ金属硫化物は、水和物あるいは水性混合物あるいは無水物として使用することができる。また、アルカリ金属硫化物はアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との反応によっても導くことができる。
尚、通常、アルカリ金属硫化物中に微量存在するアルカリ金属水硫化物、チオ硫酸アルカリ金属と反応させるために、少量のアルカリ金属水酸化物を加えても差し支えない。
本発明で用いられる有機極性溶媒としては、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、N−ジメチルプロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン酸などのアミド、尿素及びラクタム類;スルホラン、ジメチルスルホラン等のスルホラン類;ベンゾニトリル等のニトリル類;メチルフェニルケトン等のケトン類及びこれらの混合物を挙げることができ、これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、N−ジメチルプロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン酸の脂肪族系環状構造を有するアミドが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合反応は、これらの有機極性溶媒の存在下、いわゆるスルフィド化剤と呼ばれる上記のアルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物と、ポリハロ芳香族化合物とを反応させる。重合条件は一般に、温度200〜330℃の範囲であり、圧力は重合溶媒及び重合モノマーであるポリハロ芳香族化合物を実質的に液層に保持するような範囲であるべきであり、一般には0.1〜20MPaの範囲、好ましくは0.1〜2MPaの範囲より選択される。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法の具体的態様の一つとして、1)例えば、ポリハロ芳香族化合物の存在下、アルカリ金属硫化物、又は、含水アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物と、脂肪族環状構造を有するアミド、尿素またはラクタムとを、脱水させながら反応させて固形のアルカリ金属硫化物を含むスラリーを製造する工程、該スラリーを製造した後、更にNMPなどの極性有機溶媒を加え、水を留去して脱水を行う工程、次いで、脱水工程を経て得られたスラリー中で、ポリハロ芳香族化合物と、アルカリ金属水硫化物と、前記脂肪族環状構造を有するアミド、尿素またはラクタムの加水分解物のアルカリ金属塩とを、NMPなどの極性有機溶媒1モルに対して反応系内に現存する水分量が0.02モル以下で反応させて重合を行う工程を必須の製造工程として有するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法が挙げられる。
アミド基含有環状炭化水素化合物の存在下、アルカリ金属硫化物又はアルカリ金属水硫化物と芳香族ポリハロゲン化合物とを重合させるその他の具体的方法としては、
2)アルカリ金属カルボン酸塩またはハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する方法、
3)芳香族ポリハロゲン化合物等の架橋剤を使用する方法、
4)少量の水の存在下に重合反応を行い次いで水を追加してさらに重合する方法、
5)アルカリ金属硫化物と芳香族ジハロゲン化合物との反応中に、反応釜の気相部分を冷却して反応釜内の気相の一部を凝縮させ液相に還流させる方法、等が挙げられる。
これらの中でも特に、副生成物の生成が少なく、かつ、直鎖状で高分子量を有するポリアリーレンスルフィド樹脂が容易に低コストで得られる点から前記1)の方法が好ましい。
本発明においては、オリゴアリーレンスルフィドと、ポリハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを反応させてカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を得るか、または、オリゴアリーレンスルフィドとポリハロ芳香族化合物とアルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させてカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を得る形態も包含する。
なお、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造時に、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造原料として、例えば、有機極性溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、ポリハロ芳香族化合物がp−ジクロロベンゼンである場合には前記カルボキシアルキルアミノ基含有化合物として、下記一般式(1’)
Figure 2014172926
(式中、Xはアルカリ金属原子または水素原子を表す。)で表されるものが主として得られる(この化合物を“CP−MABA”と略記する)。
続いて、工程(1)は、工程(1a)で得られた上記粗反応混合物を有機極性溶媒(6)で洗浄して、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を分離除去して、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)および(6)を含む反応混合物(a1)を製造する方法を工程(1b)として有する。
上記粗反応混合物からポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を分離除去して、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)および有機極性溶媒(3)を含む反応混合物(a1)を得る方法に特に制限は無く、例えば必要に応じて有機極性溶媒(3)の一部もしくは大部分を蒸留等の固液分離操作により除去した後に、得られたスラリーに有機極性溶媒(6)を混和し、10〜200℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜130℃の範囲で接触させることにより、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む固形成分を簡易な濾過操作で分離し、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)および有機極性溶媒(3および6)を含む反応混合物(a1)を濾液成分として得ることができる。
この様な有機極性溶媒(6)としては、オリゴアリーレンスルフィド(2)の溶解を行う環境においてオリゴアリーレンスルフィド(2)は溶解するがポリアリーレンスルフィド樹脂(4)は溶解しにくい溶剤が好ましく、ポリアリーレンスルフィド樹脂(4)は溶解しない溶剤がより好ましい。前記スラリーと有機極性溶剤(6)とを接触させる際の圧力は常圧もしくは加圧いずれでも良いが、0.1〜0.5〔MPa〕の範囲の加圧下で行うことが好ましい。用いる有機極性溶剤(6)としてはポリアリーレンスルフィド樹脂(4)の分解や架橋など好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、N−ジメチルプロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン酸などのアミド、尿素及びラクタム類、ジメチルスルホキシド、トリメチルリン酸、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、メチルエチルケトンなどの極性溶媒を例示できる。
前記スラリーと有機極性溶剤(6)とを接触させる際の雰囲気に特に制限はないが、接触させる際の温度や時間などの条件によってポリアリーレンスルフィド樹脂(4)や有機極性溶媒(6)が酸化劣化するような場合には、非酸化性雰囲気下で行うことが望ましい。
・工程(2)
工程(2)は、工程(1)に続いて、前記反応混合物(a1)から前記有機極性溶媒を固液分離して、オリゴアリーレンスルフィド(2)およびカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)を含む反応混合物(a2)を得る工程である。
前記濾液成分として得られた反応混合物(a1)から有機極性溶媒(3)および(6)を除去する方法は、たとえば溶媒を蒸発させて溶媒回収し、同時に固形物も回収する、いわゆるフラッシュ法や、膜を利用した溶剤の除去を例示できる。有機極性溶剤を除去する際、固形物(不揮発分)の割合が20〜100〔質量%〕、好ましくは20〜99.99〔質量%〕、さらに好ましくは30〜90〔質量%〕の範囲となるよう溶剤を除去することが望ましい。加熱による溶剤の除去を行う際の温度は用いる溶剤の特性に依存するため一意的には限定できないが、通常、20〜150℃、好ましくは40〜120℃の範囲が選択できる。また、溶剤の除去を行う圧力は常圧以下が好ましく、これにより溶剤の除去をより低温で行うことが可能になる。
・工程(3)
工程(3)は、工程(2)に続いて、該反応混合液(a2)を100℃超かつpH6以上で、水と接触させることにより、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)とを分離する工程である。
前記該反応混合液(a2)は、必要に応じて前処理として20〜100℃の範囲の条件下で水洗処理した後に、100℃越かつpH6以上で、水と接触させる。
前記必要に応じて行う水洗処理は、例えば反応混合液(a2)に水を加えて撹拌した後にろ過装置を用いてろ過する方法、前記したろ過によって得られた水分を含有するろ過残渣(以下「含水ケーキ」と略記する。)に再度水を加えてスラリーとした後にろ過する方法、または前記含水ケーキがろ過器に保持された状態で再度水を加えろ過する方法等が挙げられる。
前記必要に応じて行う水洗処理の際に加える水の量は、最終的に得られるオリゴアリーレンスルフィド(2)の理論収量に対して2倍〜10倍の範囲にあることが洗浄効率の点から好ましく、上記の量の水を2〜10回、好ましくは2〜4回に分割して水洗に供することが好ましい。前記水洗処理時の水の温度は50〜90℃の範囲であることが、やはり洗浄効率が良好となる点から好ましく、なかでも70〜90℃の範囲であることが特に好ましい。
必要に応じて行う水洗処理はバッチ処理として複数回行うことができる。複数回行う際には、例えば、50〜90℃で洗浄を行う。複数回繰り返し水洗浄する場合、前記温度条件は同一でも異なっていても良い。
カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィドを含む反応混合液(a2)は、必要に応じて水洗処理を行った後、加圧条件下、100℃超かつpH6以上で、水と接触させる。
加圧条件としては、0.02〜0.1〔MPa〕の範囲、さらに、優れた所定の精製効果を発揮しつつ、前記化合物(1)の水への溶解を促進させるために、0.02〜0.1〔MPa〕で行うことが好ましい。加圧する雰囲気としては、安全性の面から窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス等の不活性ガスとの混合ガスを用いても良いが、経済性の面から、空気を用いることが最も好ましい。
加圧条件下でカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィドと水を接触させる際の温度は、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)の水への溶解度がより顕著となりカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィドの分離がより効率的に行えることから、100℃超、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上である。また、この際の温度の上限は特に限定されないが、200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
加圧条件下でカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィドと水を接触させる際、酸や塩基を添加してpHを6以上、好ましくは6.5〜11.5の範囲に調整をすることによって、前記化合物(1)の水への溶解度等を制御することが好ましい。
特に、100℃超の熱水洗の際に塩基を添加して熱水洗後のpHを9.5〜11.5にすると、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)の酸性型末端(H型末端)が塩基性型末端(Na型末端)に変換されるためカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)の水への溶解度がさらに高められるため好ましい。
ここで用いられる酸は、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、酢酸等が挙げられ、これらの中でも炭酸や酢酸が好ましい。また用いられる塩基性化合物は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、または炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中でも水酸化ナトリウムが好ましい。pHの測定方法は、例えば、スラリーに対して酸を添加する場合には該スラリーを濾過した濾液のpHを測定する方法が挙げられる。
また加圧条件下でカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)と水を接触させる際に用いる水の量についても、水分子が液体として存在する量であれば特に制限は無い。加圧条件下、密閉系内の水の圧力が、その温度での飽和蒸気圧に達していれば、水が液体として存在するが、本発明においては、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)が効率的に水に溶解できるためには、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)100質量部に対して、100〜1000質量部の範囲が好ましく、さらに100〜1000質量部の範囲がより好ましく、200〜800質量部の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、加圧条件下でカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィドと水との接触は連続的に行っても良いし、バッチ式に行ってもいずれでも良い。
本発明においては、加圧条件下で前記カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)と水とを接触させる際に用いる容器は、前記化合物(1)を液層に溶解可能な密閉型あるいは密閉可能な混合機能を有す容器であり、本発明の目的を達成可能なものであるなら何れのものでもよいが、容器内部に撹拌翼を有し、且つ、底部に濾過用フィルターが配設された密閉型あるいは密閉可能な混合機能を有す容器などが挙げられる。
前記カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)を含む反応混合液(a2)は、必要に応じて水洗処理を行った後、加圧条件下、100℃超かつpH6以上で、水と接触させ、その後、室温まで冷却した後、必要に応じて濾過し、イオン交換水を加えて20〜90℃の範囲で再度濾過して、液層として塩基性型末端(Na型末端)に変換された前記カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)を分離して、固形分としてオリゴアリーレンスルフィド(2)を回収する。しかしながら、このようにして反応混合液(a2)から固液分離して得られた固形分はオリゴアリーレンスルフィド(2)を高濃度に含む他、分離せずにカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)が残留する為、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)0.01〜20質量%とオリゴアリーレンスルフィド99.99〜80質量%とを含む組成物(α)となるまで、上記固液分離操作を1回または複数回行うことが好ましい。組成物(α)中のカルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)が20質量%を超える範囲であると、ポリアリーレンスルフィド樹脂の原料の一部として用いた場合に、ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融重合時の阻害要因となり、一方、0.01質量%未満にするためには、過剰な固液分離が必要となり生産性を低下させる原因となる。
回収して得られたオリゴアリーレンスルフィド(2)を高濃度で含有する組成物(α)は、そのまま乾燥して粉末を得ても良いし、更に数回の水洗処理した後、固液分離し、乾燥を行って粉末として得ても良い。100℃超の熱水洗後に行う水洗処理に用いる水量は特に制限は無いが、オリゴアリーレンスルフィド(2)の理論収量に対して2〜10倍の範囲である。また乾燥は実質的に水が蒸発する温度に加熱して行う。乾燥は真空下で行っても良いし、空気中あるいは窒素のような不活性雰囲気下で行っても良い。
なお、オリゴアリーレンスルフィド(2)中には、下記構造式(2)
Figure 2014172926
(ただし、式中m=2〜50、好ましくは4〜13である。)で表される環式ポリアリーレンスルフィド(2a)を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上から100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下の範囲といった高純度で含有する。なお、残りの成分としては下記構造式(3)および(4)
Figure 2014172926
(式中、Yハロゲン原子を表す。)で表される2量体ないし3量体成分などが0質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上から、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下の範囲となる割合で挙げられる。
PASの製造方法
本発明は、上記工程(1)〜(3)を経ることによって、構造式(1)で表される化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部とを含む組成物(α)として得られたものを原料として用い、溶融重合することにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造することができるが、それぞれ別々に製造した前記化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)とを、前記化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部となるよう配合して溶融重合することもできる。
本発明において溶融重合は押出機等を用いてオリゴアリーレンスルフィドの融点以上で、オリゴアリーレンスルフィドを溶融した状態で行ってもよいが、オリゴアリーレンスルフィドの熱劣化の可能性が高まるため、融点プラス100℃以下で行うことが好ましい。ただし、ここでの融点とは、示差走査熱量計(パーキンエルマー製DSC装置 Pyris Diamond)を用いてJIS K 7121に準拠して測定したものをさす。
本発明において溶融重合は、酸化架橋反応を防ぎつつ、かつ高重合度体を得ることができる観点から非酸化性雰囲気下で行う。なお、本発明において非酸化性雰囲気とは、気相の酸素濃度が5体積%未満、好ましくは2体積%未満、更に好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることを指す。
また、本発明において溶融重合は、溶媒を実質的に含まない条件下で行うことが好ましい。溶媒を実質的に含まない条件であるとは、化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)の合計100質量部に対して、溶媒が10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下から、0質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上の範囲であることを意味する。
また、本発明において溶融重合の原料として前記構造式(1)で表される化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部に加え、さらに、該化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)の合計100質量部に対し、50質量部以下、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは0〜10質量部の範囲でポリアリーレンスルフィド樹脂(β)を含む条件下で加熱処理を行うことができる。
ここで、ポリアリーレンスルフィド樹脂(β)としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されるものではなく、例えば前記工程(1b)で分離除去した、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を回収し、さらに水と接触させてアルカリ金属ハロゲン化物(5)を濾別するなどの公知の精製工程を施して得られたものを用いることができる。
・ポリアリーレンスルフィド樹脂
本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は300℃で測定した溶融粘度(V6)が5〜1,000〔Pa・s〕の範囲のものとなる。ただし、300℃で測定した溶融粘度(V6)とは、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を表す。
本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、その非ニュートン指数が0.90〜1.25の範囲であり、好ましくは0.95〜1.15の範囲であり、さらに好ましくは0.95〜1.10である。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
Figure 2014172926
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどPPSは線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
さらに、本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は質量平均分子量で10,000〜1,000,000の範囲、好ましくは20,000〜500,000の範囲、より好ましくは40,000〜100,000の範囲である。
本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂の分子量分布の広がり、すなわち質量平均分子量と数平均分子量の比(質量平均分子量/数平均分子量)で2.5以上、好ましくは3.0以上の範囲である。
本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、カルボキシアルキルアミノ基含有化合物(1)を低減した、高濃度のオリゴアリーレンスルフィドを含有する組成物を原料として使用していることから、溶融成形加工時の発生ガス成分を抑制し臭気改善と金型汚れを防止することができる。
本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、従来のポリアリーレンスルフィド樹脂と同様に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤、カップリング剤、充填材など公知慣用の添加剤を含有せしめることができる。更に、同様に下記のごとき合成樹脂及びエラストマーを混合して使用することもできる。これら合成樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等が挙げられ、エラストマーとしては、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本発明の製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、エポキシシランカップリング剤や官能基含有熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改質剤との反応性に優れ、従来のポリアリーレンスルフィド樹脂と同様に、そのまま射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形のごとき各種溶融加工法により、耐熱性、成形加工性、寸法安定性等に優れた成形物にすることができ、例えば、コネクタ・プリント基板・封止成形品などの電気・電子部品、ランプリフレクター・各種電装部品などの自動車部品、各種建築物や航空機・自動車などの内装用材料、あるいはOA機器部品・カメラ部品・時計部品などの精密部品等の射出成形・圧縮成形品、あるいは繊維・フィルム・シート・パイプなどの押出成形・引抜成形品等として幅広く利用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
(CP−MABAの定量方法)
CP−MABA量はHPLCで液中のCP−MABA濃度を測定し、算出した。
サンプル調製:有機溶媒中にCP-MABAが含まれる場合は、溶媒をエバポレータで溶媒を留去したたのち、残渣にHPLCの移動相を加え溶解して測定サンプルを調製した。水溶液中にCP−MABAが含まれる場合は、そのまま移動相を加えて調製した。
測定サンプルのHPLC測定を行い、下記の方法で作製した標準サンプルと同じ保持時間のピーク面積と検量線とから液中の濃度を求め、算出した。
(標準物質:CP−MABAの合成)
48%NaOH水溶液83.4g(1.0モル)とN‐メチル‐2‐ピロリドン297.4g(3.0モル)を、撹拌機付き耐圧容器に仕込み、230℃で3時間撹拌した。この撹拌が終了した後、温度230℃のままバルブを開き、放圧し、N‐メチル‐2‐ピロリドンの蒸気圧程度である230℃において0.1MPaまで圧力を低下させ、水を留去した。その後、再び密閉し200℃程度まで温度を低下させた。
p−ジクロロベンゼン147.0g(1.0モル)を60℃以上の温度条件下で加熱溶解して反応混合物中に投入し、250℃まで昇温後4時間撹拌した。この撹拌が終了した後、室温まで冷却した。p−ジクロロベンゼンの反応率は31モル%であった。冷却後、内容物を取り出し、水を加えて撹拌後、未反応のp−ジクロロベンゼンが不溶物となって残ったものをろ過によって取り除いた。
次いで、ろ液である水溶液に塩酸を加えて該水溶液のpHを4に調整した。このとき水溶液中に褐色オイル状のCP−MABA(水素型)が生じた。そこにクロロホルムを加えて褐色オイル状物質を抽出した。このときの水相には、N‐メチル‐2‐ピロリドン及びその開環物である4−メチルアミノ酪酸(以下「MABA」と略記する。)が含まれるため水相は廃棄した。クロロホルム相は水洗を2回繰り返した。
クロロホルム相に水を加えてスラリー化した状態で48%NaOH水溶液を加え、該スラリーのpHを13に調整した。このときCP−MABAはナトリウム塩となって水相に移り、クロロホルム相には副生成物であるp−クロロ−N−メチルアニリン及びN−メチルアニリンが溶解しているためクロロホルム相は廃棄した。水相はクロロホルム洗浄を2回繰り返した。
水溶液に希塩酸を加えて該水溶液のpHを1以下に調整した。このときCP−MABAは塩酸塩となって水溶液中にとどまるので、水溶液にクロロホルムを加えて、副生成物であるp−クロロフェノールを抽出した。p−クロロフェノールが溶解したクロロホルム相は廃棄した。
残った水溶液に48%NaOH水溶液を加え、該水溶液のpHを4に調整した。これにより、CP−MABAの塩酸塩が中和され、褐色オイル状のCP−MABA(水素型)が水溶液から析出した。CP−MABA(水素型)をクロロホルムで抽出し、クロロホルムを減圧除去することによってCP−MABA(水素型)を得た。
(加熱時重量減少率測定)
リガク製示差熱天秤TG8120を用い、サンプル10mgを秤量し、50℃から400℃まで20℃/minで昇温し、100℃時点のサンプル重量を基準に320℃時点のサンプル重量減少量を測定し、重量減少率を算出した。
(融点測定)
パーキンエルマー製DSC装置を用い、50℃から350℃まで20℃/minで昇温し、ポリマーが溶融した時に現れる吸熱ピークのピーク温度(Tm)を測定した。
(溶融粘度(V6))
フローテスター(島津製作所製高化式フローテスター「CFT−500D型」)を用い
て、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者
の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持後の溶融粘度(Pa・s)を測定
した。
(非ニュートン指数測定法)
非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した。
SR=K・SSN
ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm2)、Kは定数を示す。N値は1に近いほどPPS樹脂は線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
(反応性評価方法)
PPS樹脂を小型粉砕機で粉砕した後、日本工業規格Z8801の目開き0.5mmの試験用篩いを用いて篩った。篩いを通過したPPS樹脂100質量部に対し、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を配合し、均一に混合した後に溶融粘度V6を測定した。添加後の溶融粘度V6/添加前の溶融粘度V6の比から粘度上昇度を倍率として算出した。粘度上昇度が大きいほど反応性が高く、優れていることを示す。
〔製造例1〕
(オリゴフェニレンスルフィドを含むポリフェニレンスルフィド樹脂の製造)
圧力計、温度計、コンデンサ−を連結した撹拌翼付き1リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.3重量%NaS)129.42gと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)300.0gを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水30.96gを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.13モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)147.90g及びNMP120.0gを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いてゲージ圧で0.1MPaに加圧して昇温を開始した。液温260℃で3時間攪拌しつつ反応を進め、オートクレーブ上部を散水することにより冷却した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。反応中の最高圧力は、0.85MPaであった。反応後、冷却し、温度170℃の時点でシュウ酸・2水和物1.89g(0.015モル)をNMP0.663kgに含む溶液を加圧注入し、30分間撹拌後、冷却した。
得られた反応スラリー全量を120℃でろ過し、NMP320gを加えケーキ洗浄ろ過した。NMPろ液量は536gであった。得られた含NMPケーキ全量に70℃のイオン交換水1Lを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水1Lを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキにイオン交換水1Lを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水1Lを加えケーキ洗浄を行った。この操作をもう一度繰り返した後、120℃で4時間乾燥し、溶融粘度(V6)63Pa・s、収量96.9gのPPS樹脂を得た。
(オリゴフェニレンスルフィドとCP−MABAを含む反応混合物の回収)
上記NMPろ液536gを1Lナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下150℃でNMPを蒸留により除去し、茶色の固形状残渣18.35gを得た。この残渣を150℃真空乾燥機で1時間乾燥した後の重量は7.52g(オリゴフェニレンスルフィド5.09gとNa型CP−MABA2.4320gを含む)で、固形状残渣の不揮発分は41.0wt%であった。ただし、オリゴフェニレンスルフィドとCP−MABAの定量は以下の方法で行った。
(オリゴフェニレンスルフィドとCP−MABAの定量方法)
NMPろ液から回収したオリゴフェニレンスルフィドとCP−MABAを含む反応混合物にクロロホルムとイオン交換水と48%NaOH水溶液を加え、水相をpH13に調整した。オリゴフェニレンスルフィドを抽出したクロロホルム相からクロロホルムを減圧留去することでオリゴフェニレンスルフィドを得た。抽出残渣を150℃真空乾燥機で1時間乾燥した後の重量を秤量することによりオリゴフェニレンスルフィド量を求めた。水相をHPLCで定量することによりCP−MABA量を求めた。
〔参考例1〕
(CP−MABAの分離)
製造例1で得られた固形状残渣18.35gとイオン交換水100gを0.5リッターオートクレーブに仕込み、48%NaOH水溶液を添加してpHを10.6に調整し、180℃で60分間撹拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水100gを加えケーキ洗浄を行った。ろ液のpHは10.0で、ろ液中のNa型CP−MABA量は2.4315gで、抽出率は99.98%であった。ケーキ洗浄後のケーキを60℃真空乾燥機で1時間乾燥した後、オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA0.0005gを含んだ乳白色の粉末状混合物(A−1)を得た。粉末状混合物(A−1)の融点はTm204℃であった。
〔実施例1〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
上記粉末状混合物(A−1)を3.0g秤量し、テフロンシート(登録商標)のシートに挟み、窒素雰囲気下の320℃イナートオーブンで1時間、加熱溶融して、ポリマー化した。室温まで冷却し、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔参考例2〕
(CP−MABAの分離)
「180℃で60分間撹拌」を「170℃で60分間撹拌」としたこと以外は参考例1と同じ操作を行った。ろ液のpHは10.0で、ろ液中のNa型CP−MABA量は2.4223gで、抽出率は99.6%であった。オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA0.0097gを含んだ乳白色の粉末状混合物(A−2)を得た。粉末状混合物(A−2)の融点はTm204℃であった。
〔実施例2〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−2)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔参考例3〕
(CP−MABAの分離)
「180℃で60分間撹拌」を「150℃で10分間撹拌」としたこと以外は参考例1と同じ操作を行った。ろ液のpHは10.0で、ろ液中のNa型CP−MABA量は2.3348gで、抽出率は96%であった。オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA0.0972gを含んだ乳白色の粉末状混合物(A−3)を得た。粉末状混合物(A−3)の融点はTm204℃であった。
〔実施例3〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−3)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔参考例4〕
(CP−MABAの分離)
「180℃で60分間撹拌」を「120℃で10分間撹拌」としたこと以外は参考例1と同じ操作を行った。ろ液のpHは10.0で、ろ液中のNa型CP−MABA量は1.8727gで、抽出率は77%であった。オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA0.5593gを含んだ乳白色の粉末状混合物(A−4)を得た。粉末状混合物(A−4)の融点はTm196℃であった。
〔実施例4〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−4)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔参考例5〕
(CP−MABAの分離)
「180℃で60分間撹拌」を「100℃で10分間撹拌」としたこと以外は参考例1と同じ操作を行った。ろ液のpHは10.0で、ろ液中のNa型CP−MABA量は1.4325gで、抽出率は58.9%であった。オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA0.9995gを含んだ乳白色の粉末状混合物(A−5)を得た。粉末状混合物(A−5)の融点はTm184℃であった。
〔実施例5〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−5)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔比較参考例1〕
(CP−MABAの分離)
製造例1で得られた固形状残渣18.35gとイオン交換水100gを0.5リッターオートクレーブに仕込み、pHを調整せず、70℃で10分間撹拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水100gを加えケーキ洗浄を行った。ろ液のpHは3.2で、ろ液中のNa型CP−MABA量は0.5107gで、抽出率は21%であった。ケーキ洗浄後のケーキを60℃真空乾燥機で1時間乾燥した後、オリゴフェニレンスルフィド5.09gと、CP−MABA1.9213gを含んだ茶色の粉末状混合物(A−6)を得た。粉末状混合物(A−6)の融点は明確なピークを示さなかった。
〔比較例1〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−6)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
〔比較参考例2〕
(CP−MABAの分離)
製造例1で得られた固形状残渣18.35gにクロロホルム100gとイオン交換水100gを加え、48%NaOH水溶液を加えて水相をpH13に調整した。オリゴフェニレンスルフィドを抽出したクロロホルム相からクロロホルムを減圧留去した後、固形状残渣に再度クロロホルム10gを加え、室温で溶解した。これをメタノール100gに撹拌しながらゆっくりと滴下し、沈殿物をろ過した。得られたケーキを60℃真空乾燥機で1時間乾燥した後、白色粉末状のオリゴフェニレンスルフィド5.09g(A−5)得た。水相のNa型CP−MABA量は2.4320gで、抽出率は100%であった。粉末状混合物(A−5)の融点はTm204℃であった。
〔比較例2〕
(溶融重合によるPPS樹脂の製造)
粉末状混合物(A−1)の代わりに上記粉末状混合物(A−5)を使用した以外は実施例1と同じ操作を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の融点Tm(℃)、溶融粘度V6(Pa・s)、非ニュートン指数、加熱時重量減少率(%)、反応性(倍率)を表1に示した。
Figure 2014172926

Claims (9)

  1. 下記構造式(1)で表される化合物(1)0.01〜20質量部とオリゴアリーレンスルフィド(2)99.99〜80質量部とを、非酸化性雰囲気下で溶融重合することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
    Figure 2014172926
    (式中、nは0〜2であり、Yはハロゲン原子を、Yは水素原子又はハロゲン原子を、Rは水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基又はシクロヘキシル基を表し、Rは炭素原子数3〜5のアルキレン基を、Xは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。)
  2. 前記化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)に加え、さらに該化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)の合計100質量部に対して、50質量部以下の割合でポリアリーレンスルフィド樹脂を含む条件下で溶融重合する請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  3. 前記製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、その非ニュートン指数が0.90〜1.25の範囲である請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  4. 前記製造方法により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、300℃における溶融粘度(ただし、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の測定値)が5〜1,000〔Pa・s〕の範囲である請求項1〜3の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  5. 前記前記化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合工程で精製除去された副生物を100℃以上かつpH6以上の水と接触させて得られたものである請求項1〜4の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  6. 前記前記化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)は、
    有機極性溶媒中で、ポリハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、または、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、前記構造式(1)で表される化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)、有機極性溶媒(3)、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を含む粗反応混合物を得たのち、該粗反応混合物を有機極性溶媒(6)で洗浄して、ポリアリーレンスルフィド(4)及びアルカリ金属ハロゲン化物(5)を分離除去して、前記化合物(1)、オリゴアリーレンスルフィド(2)および有機極性溶媒(3)を含む反応混合物(a1)を得る工程(1)、
    前記反応混合物(a1)から前記有機極性溶媒を固液分離して、前記化合物(1)およびオリゴアリーレンスルフィド(2)を含む反応混合物(a2)を得る工程(2)、
    反応混合液(a2)を100℃超かつpH6以上で、水と接触させることにより、前記構造式(1)で表される化合物(1)とオリゴアリーレンスルフィド(2)とを分離する工程(3)、
    分離したオリゴアリーレンスルフィド(2)を回収する工程(4)によって得られたものである請求項1〜5の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  7. 前記反応混合液(a2)を100℃超かつpH6以上で、水と接触させる際に、水の存在量がオリゴアリーレンスルフィド100質量部に対して、100〜1000質量部の範囲である請求項6記載のオリゴアリーレンスルフィドの製造方法。
  8. 該反応混合物(a2)は、前記反応混合物(a1)から前記有機極性溶媒を固液分離させた後、100〜250℃の範囲で水洗処理して得られたものである請求項6または7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  9. 前記工程(2)において固液分離がフラッシングにより極性有機溶媒を分離し除去するものである請求項6〜8の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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