JP2014172847A - 芳香族アミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
芳香族ニトロ化合物から対応する芳香族アミン化合物を工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、芳香族アミン化合物の製造方法であって、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒の存在下、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む、前記方法、ならびに前記水素化触媒に関する。
【選択図】なし
芳香族ニトロ化合物から対応する芳香族アミン化合物を工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、芳香族アミン化合物の製造方法であって、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒の存在下、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む、前記方法、ならびに前記水素化触媒に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、水素化触媒を用いて水素化反応を行って芳香族アミン化合物を製造する方法、および該水素化触媒に関する。
近年、医薬、農薬、染料、顔料およびその中間体として芳香族アミン化合物などのアニリン誘導体が広く用いられている。ニトロ基の還元は有機合成において最も重要な反応の1つである。触媒存在下での水素による接触還元、触媒存在下でのヒドラジン化合物やシクロヘキセン等オレフィン化合物あるいはギ酸等による還元、鉄カルボニル化合物による還元、水素化リチウムアルミニウム等の水素化アルミニウム化合物による還元、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物あるいは水素化ホウ素化合物と金属化合物(塩化ニッケル、酢酸銅等)の組み合わせによる還元、塩酸存在下での亜鉛あるいは錫による還元、活性化された鉄粉による還元、硫化物による還元、ハイドロサルファイトナトリウムによる還元など種々の方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
非特許文献3には、3種類の炭素ナノ繊維に担持した白金またはパラジウム粒子を触媒に用いた、芳香族ニトロ化合物の水素化によるアニリン誘導体の合成が記載されている。触媒に対する芳香族ニトロ化合物のモル比をS/C(Sは基質、Cは触媒)と表すと、白金触媒のS/Cは最高12,200、パラジウム触媒のS/Cは900程度である。
特許文献1には、炭素ナノ繊維に担持したイリジウムナノ粒子を触媒に用いた、芳香族ニトロ化合物の水素化によるアニリン誘導体の合成が記載されている。従来、ハロゲンを官能基にもつ芳香族ニトロ化合物は、パラジウムカーボンや白金カーボンなどの不均一系触媒を用いて水素化してアニリン誘導体を合成する。本触媒では、非特許文献3のようにアミンの添加がなくとも、脱ハロゲン化により副生されるアニリンの生成が抑えられ、その他、アルコキシ、エステル、シアノ、ケトン、内部アルケン、エポキシを損なうことなく反応が進行する。
非特許文献4には、ポリシロキサンゲル中に分散させた白金を触媒に用いた、芳香族ニトロ化合物の水素化によるアニリン誘導体の合成が記載されている。水酸基、エステル、ケトン、アミド、アルコキシを損なわずに反応が進行する。また、ニトロピリジン、2−フェニルニトロエタンの反応も進行する。S/Cは最大10,000(白金換算、水素圧10気圧、室温、24時間)である。
非特許文献5には、多層カーボンナノチューブに担持した白金ナノ粒子を触媒に用いた、超臨界二酸化炭素中における香族ニトロ化合物の水素化によるアニリン誘導体の合成が記載されている。
非特許文献5には、多層カーボンナノチューブに担持した白金ナノ粒子を触媒に用いた、超臨界二酸化炭素中における香族ニトロ化合物の水素化によるアニリン誘導体の合成が記載されている。
非特許文献6には、シリカゲルに担持したコバルトまたはニッケル-パラジウム粒子を触媒に用いた、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの合成が記載されている。
特許文献2には、アルミナに担持した銀ナノ粒子を触媒に用いた、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの合成が記載されている。末端アルケン、ケトン、アミドを損なうことなく反応が進行する。
特許文献2には、アルミナに担持した銀ナノ粒子を触媒に用いた、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの合成が記載されている。末端アルケン、ケトン、アミドを損なうことなく反応が進行する。
非特許文献7では、三核モリブデンキュバン型クラスター[ Mo3−S4X3(dmpe)3]+を触媒に用いた、ニトロベンゼンのギ酸/トリエチルアミンを水素源とする水素移動型還元によるアニリンの合成が記載されている。
非特許文献8では、ヒドロキシアパタイトに担持したロジウムナノ粒子を触媒に用いた、ニトロベンゼンのヒドラジン還元によるアニリンの合成が記載されている。
一方、特許文献3にはパラジウム粒子を用いてアルキン化合物を水素化する方法が記載されているが、アルキン化合物以外の水素化については検討されていない。
非特許文献8では、ヒドロキシアパタイトに担持したロジウムナノ粒子を触媒に用いた、ニトロベンゼンのヒドラジン還元によるアニリンの合成が記載されている。
一方、特許文献3にはパラジウム粒子を用いてアルキン化合物を水素化する方法が記載されているが、アルキン化合物以外の水素化については検討されていない。
ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS,Second Edition,Volume I,Academic Press,Inc,1983,p405-411.
COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS,A Guide to Functional Group Transformations,VCH Publishers,Inc,1989,p411-415.
Org. Lett. 2008, 10, 1601-1604.
Org. Lett. 2009, 11, 1345-1348.
Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 2009-2018.
Chem. Commun. 2005, 2026-2028.
Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 7794-7798.
Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 2689-2694.
しかしながら、上述した従来の方法には、以下の問題がある。
近年化学製造プロセスの環境に対する負荷が問題になってきており、反応条件が温和で、廃棄物が少なく、有害な反応剤等を可能な限り使用しないクリーンな化学反応が求められているところ、このような観点から、非特許文献1および2に記載のニトロ基の還元反応をみると、(1)鉄カルボニル化合物による還元は反応剤が有毒、高価である、(2)水素化アルミニウム化合物、水素化ホウ素化合物による還元は反応剤が高価、水分に不安定で危険である、(3)塩酸存在下での亜鉛、錫による還元は金属を含む酸性廃液の処理が困難である、(4)活性化された鉄粉による還元は大量の鉄廃材が発生し処理が困難である、(5)硫化物による還元は悪臭を有し硫化物を含む廃液の処理が困難である、(6)ハイドロサルファイトナトリウムによる還元は廃液処理が厄介で有機溶剤系では反応困難であるなど、問題点が挙げられる。
近年化学製造プロセスの環境に対する負荷が問題になってきており、反応条件が温和で、廃棄物が少なく、有害な反応剤等を可能な限り使用しないクリーンな化学反応が求められているところ、このような観点から、非特許文献1および2に記載のニトロ基の還元反応をみると、(1)鉄カルボニル化合物による還元は反応剤が有毒、高価である、(2)水素化アルミニウム化合物、水素化ホウ素化合物による還元は反応剤が高価、水分に不安定で危険である、(3)塩酸存在下での亜鉛、錫による還元は金属を含む酸性廃液の処理が困難である、(4)活性化された鉄粉による還元は大量の鉄廃材が発生し処理が困難である、(5)硫化物による還元は悪臭を有し硫化物を含む廃液の処理が困難である、(6)ハイドロサルファイトナトリウムによる還元は廃液処理が厄介で有機溶剤系では反応困難であるなど、問題点が挙げられる。
また、これらの条件は、反応を完結させるために過剰の反応剤を用いている場合が殆どであり、コストアップ要因のみならず、反応後の後処理における廃棄物処理を含めた作業が煩雑である。芳香族ニトロ化合物がケトンやアルデヒドなどの官能基をもつ場合は、ケトンやアルデヒドなどの官能基と反応するヒドリド還元剤は使用できない。また、芳香族ニトロ化合物がハロゲンを官能基にもつ場合は、パラジウムカーボンや白金カーボンなどの不均一系触媒を用いて水素化してアニリン誘導体を合成する。しかしながら、ハロゲン化アニリンと脱ハロゲン化により副生されるアニリンの混合物が一般的に得られる。
非特許文献3は、このような問題を解決する方法として、触媒を利用するものであるが、パラジウム触媒の活性が不十分であるいう問題、白金錯体では、ハロゲン置換の芳香族ニトロ化合物は担持する炭素ナノ繊維の種類によって脱ハロゲン化する、内部および末端二重結合、シアノ基が還元されるなどの問題、脱ハロゲン化を完全に抑制するためには、アミンなどの触媒毒を添加しなければならず、反応終了後、それら添加物を除去・分離する工程が必須であるという問題がある。
非特許文献3は、このような問題を解決する方法として、触媒を利用するものであるが、パラジウム触媒の活性が不十分であるいう問題、白金錯体では、ハロゲン置換の芳香族ニトロ化合物は担持する炭素ナノ繊維の種類によって脱ハロゲン化する、内部および末端二重結合、シアノ基が還元されるなどの問題、脱ハロゲン化を完全に抑制するためには、アミンなどの触媒毒を添加しなければならず、反応終了後、それら添加物を除去・分離する工程が必須であるという問題がある。
特許文献1に記載の方法では、ハロゲン化アニリンと脱ハロゲン化により副生されるアニリンの混合物が一般的に得られ、また触媒に用いる炭素ナノ繊維は高価であり、触媒コストが高くなる。
非特許文献5に記載の方法は二酸化炭素分圧120気圧、水素分圧25気圧、50oCと高温高圧条件が必要となるなどといった問題、非特許文献6に記載の方法は高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
特許文献2に記載の方法は、S/Cが50と低活性であり、水素圧30気圧、160℃と高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
非特許文献5に記載の方法は二酸化炭素分圧120気圧、水素分圧25気圧、50oCと高温高圧条件が必要となるなどといった問題、非特許文献6に記載の方法は高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
特許文献2に記載の方法は、S/Cが50と低活性であり、水素圧30気圧、160℃と高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
非特許文献7に記載の方法は、S/Cは最高で33程度と低活性である。
非特許文献8に記載の方法は、S/Cは最高200と低活性であり、ハロゲン基は一部脱ハロゲン化が進行するなどといった問題がある。
このように、基質触媒比が高いものでは脱ハロゲン化、内部二重結合やシアノ基の一部が還元されるといった副反応が起こる場合があり、また触媒の低活性を補うために高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
したがって、本発明の課題は、芳香族ニトロ化合物から対応する芳香族アミン化合物を工業的に有利に製造する方法およびこれに用いる水素化触媒を提供することにある。
非特許文献8に記載の方法は、S/Cは最高200と低活性であり、ハロゲン基は一部脱ハロゲン化が進行するなどといった問題がある。
このように、基質触媒比が高いものでは脱ハロゲン化、内部二重結合やシアノ基の一部が還元されるといった副反応が起こる場合があり、また触媒の低活性を補うために高温高圧条件が必要となるなどといった問題がある。
したがって、本発明の課題は、芳香族ニトロ化合物から対応する芳香族アミン化合物を工業的に有利に製造する方法およびこれに用いる水素化触媒を提供することにある。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルキン化合物の水素化に用いられていたアルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて水素化反応を行うことにより、意外にも芳香族ニトロ化合物から高い官能基選択率で芳香族アミン化合物を製造できることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 芳香族アミン化合物の製造方法であって、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む、前記方法。
[2] 水素化触媒が液性媒体中に分散した状態で存在する、[1]に記載の方法。
[3] 芳香族ニトロ化合物が、芳香族環にニトロ基以外の置換基を有する、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 置換基が、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基およびシアノ基からなる群から1または2個以上選択される、[3]に記載の方法。
[5] 芳香族環に置換基を有する芳香族ニトロ化合物のニトロ基を選択的に水素化する、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の方法に用いるための、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒。
[7] 液性媒体中に分散した状態で存在する、[6]に記載の水素化触媒。
[1] 芳香族アミン化合物の製造方法であって、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む、前記方法。
[2] 水素化触媒が液性媒体中に分散した状態で存在する、[1]に記載の方法。
[3] 芳香族ニトロ化合物が、芳香族環にニトロ基以外の置換基を有する、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 置換基が、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基およびシアノ基からなる群から1または2個以上選択される、[3]に記載の方法。
[5] 芳香族環に置換基を有する芳香族ニトロ化合物のニトロ基を選択的に水素化する、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の方法に用いるための、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒。
[7] 液性媒体中に分散した状態で存在する、[6]に記載の水素化触媒。
本発明によれば、芳香族ニトロ化合物から対応する芳香族アミン化合物を工業的に有利に製造する方法およびこれに用いる水素化触媒を提供することができる。
より具体的には、本発明によれば、芳香族アミン化合物を高収率で、また高い選択率で製造することができる。ニトロ基のみを選択的に水素化せしめる触媒の使用により、医薬品原薬中間体、農薬中間体の製造工程の短縮が達成され、製造コストの削減を創出する。また、本発明の触媒は活性が極めて高いため、触媒の使用量は大幅に抑制される。このため、生成物へ残留する触媒金属量が低減されるほか、触媒を回収して再利用する必要も生じず、触媒再利用時のコンタミネーションのリスクを回避することができ、医薬品原薬や中間体を製造する際に求められる品質上の高度な要求を満たす製造方法を提供することができる。
より具体的には、本発明によれば、芳香族アミン化合物を高収率で、また高い選択率で製造することができる。ニトロ基のみを選択的に水素化せしめる触媒の使用により、医薬品原薬中間体、農薬中間体の製造工程の短縮が達成され、製造コストの削減を創出する。また、本発明の触媒は活性が極めて高いため、触媒の使用量は大幅に抑制される。このため、生成物へ残留する触媒金属量が低減されるほか、触媒を回収して再利用する必要も生じず、触媒再利用時のコンタミネーションのリスクを回避することができ、医薬品原薬や中間体を製造する際に求められる品質上の高度な要求を満たす製造方法を提供することができる。
高い選択性が実現できる理由は必ずしも明らかではないが、アルキン化合物またはアルケン化合物のパラジウム粒子に対する凝集保護剤効果に帰依するものと考えられる。本発明に記載のパラジウム粒子の凝集保護剤としては、その調製の際に4−オクチン等のアルキン、または1,4−ブチンジオール等のアルキニルアルコール化合物(アルキン化合物)を用いることができる。本発明の水素化触媒は、アルキン化合物またはアルケン化合物を凝集保護剤とするパラジウム粒子を含む。アルキン化合物を水素化触媒を調製する際に添加した場合、このアルキン化合物はパラジウム粒子の表面を覆うほか、一部はパラジウムと反応して環化や重合を起こしてアルケン化合物となり、その一部がパラジウム表面をアルキン化合物と共に覆っているものと考えられる。水素化反応の系中では、保護剤の一部が脱離し配位力の強い芳香族ニトロ化合物がパラジウム粒子に配位し、水素化されて芳香族アミン化合物となって脱離し、再び高活性なパラジウム粒子になると推測される。本発明の水素化触媒は、反応液中で沈降することなく均一系で作用する。このような特質により従来のパラジウム粒子と比較して高活性且つ高速度の触媒性能が発現するものと考えられる。
以下、本発明の芳香族アミン化合物の製造方法および水素化触媒について、好適な実施態様に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の芳香族アミン化合物の製造方法に先立ち、本発明の水素化触媒について詳細に説明する。
本発明の水素化触媒は、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む。該アルキン化合物またはアルケン化合物は凝集保護剤として機能する。
まず、本発明の芳香族アミン化合物の製造方法に先立ち、本発明の水素化触媒について詳細に説明する。
本発明の水素化触媒は、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む。該アルキン化合物またはアルケン化合物は凝集保護剤として機能する。
本発明における水素化触媒は、反応効率および化学選択性の観点から好ましくはパラジウムナノ粒子であり、該ナノ粒子は、透過型電子顕微鏡観察による結晶径の平均値が0.4〜100nm、好ましくは0.5〜20nm、さらに好ましくは0.5〜5nmである。
アルキン化合物としては、内部アルキンおよび末端アルキンの何れも用いることができるが、より凝集保護効果がある内部アルキン化合物が好ましい。また、これらは有機溶媒に溶解させることを考慮すると、室温で液体であることが好ましい。アルキン化合物の具体例としては、2−ブチン、2−ペンチン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、ジイソプロピルアセチレン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、5−ノニン、2−デシン、3−デシン、4−デシン、5−デシン、ジ−tert−ブチルアセチレン、ジフェニルアセチレン、ジベンジルアセチレン、メチル−iso−プロピルアセチレン、メチル−tert−ブチルアセチレン、エチル−iso−プロピルアセチレン、エチル−tert−ブチルアセチレン、n−プロピル−iso−プロピルアセチレン、n−プロピル−tert−ブチルアセチレン、
フェニルメチルアセチレン、フェニルエチルアセチレン、フェニル−n−プロピルアセチレン、フェニル−iso−プロピルアセチレン、フェニル−n−ブチルアセチレン、フェニル−tert−ブチルアセチレンなどの炭化水素系アルキン類;アセチレンジオール、1−プロピン−1−オール、1−プロピン−1,3−ジオール、2−ブチン−1−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、2−ペンチン−1−オール、2−ペンチン−4−オール、2−ペンチン−5−オール、2−ペンチン−1,4−ジオール、2−ペンチン−1,5−ジオール、2−ヘキシン−1−オール、2−ヘキシン−4−オール、2−ヘキシン−5−オール、2−ヘキシン−6−オール、2−ヘキシン−1,4−ジオール、2−ヘキシン−1,5−ジオール、2−ヘキシン−1,6−ジオール、3−ヘキシン−1−オール、3−ヘキシン−2−オール、3−ヘキシン−1,5−ジオール、3−ヘキシン−1,6−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−ヘキシン−2,6−ジオール、
2−ヘプチン−1−オール、2−ヘプチン−4−オール、2−ヘプチン−5−オール、2−ヘプチン−6−オール、2−ヘプチン−7−オール、3−ヘプチン−1−オール、3−ヘプチン−2−オール、3−ヘプチン−5−オール、3−ヘプチン−6−オール、3−ヘプチン−7−オール、2−ヘプチン−1,2−ジオール、2−ヘプチン−1,5−ジオール、2−ヘプチン−1,6−ジオール、2−ヘプチン−1,7−ジオール、2−ヘプチン−4,5−ジオール、2−ヘプチン−4,6−ジオール、2−ヘプチン−4,7−ジオール、3−ヘプチン−1,2−ジオール、3−ヘプチン−1,5−ジオール、3−ヘプチン−1,6−ジオール、3−ヘプチン−1,7−ジオール、3−ヘプチン−2,5−ジオール、3−ヘプチン−2,6−ジオール、3−ヘプチン−2,7−ジオール、3−ヘプチン−5,6−ジオール、3−ヘプチン−5,7−ジオール、3−ヘプチン−6,7−ジオール、
2−オクチン−1−オール、2−オクチン−4−オール、2−オクチン−5−オール、2−オクチン−6−オール、2−オクチン−7−オール、2−オクチン−8−オール、3−オクチン−1−オール、3−オクチン−2−オール、3−オクチン−5−オール、3−オクチン−6−オール、3−オクチン−7−オール、3−オクチン−8−オール、4−オクチン−1−オール、4−オクチン−2−オール、4−オクチン−3−オール、2−オクチン−1,4−ジオール、2−オクチン−1,5−ジオール、2−オクチン−1,6−ジオール、2−オクチン−1,7−ジオール、2−オクチン−1,8−ジオール、2−オクチン−2,5−ジオール、2−オクチン−2,6−ジオール、2−オクチン−2,7−ジオール、2−オクチン−2,8−ジオール、2−オクチン−4,5−ジオール、2−オクチン−4,6−ジオール、2−オクチン−4,7−ジオール、2−オクチン−4,8−ジオール、2−オクチン−5,6−ジオール、2−オクチン−5,7−ジオール、2−オクチン−5,8−ジオール、2−オクチン−6,7−ジオール、2−オクチン−6,8−ジオール、2−オクチン−7,8−ジオール、
3−オクチン−1,2−ジオール、3−オクチン−1,5−ジオール、3−オクチン−1,6−ジオール、3−オクチン−1,7−ジオール、3−オクチン−1,8−ジオール、3−オクチン−2,5−ジオール、3−オクチン−2,6−ジオール、3−オクチン−2,7−ジオール、3−オクチン−2,8−ジオール、3−オクチン−5,6−ジオール、3−オクチン−5,7−ジオール、3−オクチン−5,8−ジオール、3−オクチン−6,7−ジオール、3−オクチン−6,8−ジオール、3−オクチン−7,8−ジオール、
4−オクチン−1,2−ジオール、4−オクチン−1,3−ジオール、4−オクチン−1,6−ジオール、4−オクチン−1,7−ジオール、4−オクチン−1,8−ジオール、4−オクチン−2,3−ジオール、4−オクチン−2,6−ジオール、4−オクチン−2,7−ジオール、4−オクチン−2,8−ジオール、4−オクチン−3,6−ジオール、4−オクチン−3,7−ジオール、4−オクチン−3,8−ジオール等のアルキニルアルコール類、および上記アルキニルアルコール類の一部または全部のOH基がNH2基に置換されたアルキニルアミン類などが挙げられる。アルキン化合物はパラジウム粒子の表面を覆うほか、一部はパラジウムと反応して環化や重合を起こしてアルケン化合物となり、その一部がパラジウム表面をアルキン化合物と共に覆っているものと考えられる。
アルケン化合物としては、内部アルケンおよび末端アルケンの何れも用いることができるが、より凝集保護効果がある内部アルケン化合物が好ましい。アルケン化合物の具体例としては、(Z)−4−オクテン、(Z)−1−フェニル−1−プロペンなどが挙げられる。
本発明の水素化触媒において、アルキン化合物またはアルケン化合物の含有量は、パラジウム1モル当たり0.1〜100当量、好ましくは1〜10当量であることがより好ましい。
本発明の水素化触媒において、アルキン化合物またはアルケン化合物の含有量は、パラジウム1モル当たり0.1〜100当量、好ましくは1〜10当量であることがより好ましい。
本発明の水素化触媒は液性媒体に分散された状態で用いられるのが好ましい。担体を用いることなく、分散させることで均一系となるため、実質的に溶液と同じく扱うことが可能となり、体積により秤量することができる。液性媒体は、極性溶媒および非極性溶媒のいずれも使用可能であるが、極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、例えばアミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、含硫黄系溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。また、後述するパラジウム粒子の生成において塩基を用いる場合には、塩基と反応して還元剤を発生させる溶媒であることが好ましく、例えばアミド系溶媒が好ましい。アミド系溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が挙げられるが、このうちDMFまたはDMAが好ましい。エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。含硫黄系溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。混合溶媒としては、例えばアミド系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒等が挙げられる。使用する溶媒の量には特に制限はなく、パラジウム1モル当たり、1〜1000リットル程度を目安とするが、好ましくは10〜100リットルである。
アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子を含む水素化触媒の製造方法としては、特に限定されないが、例えばアルキン化合物またはアルケン化合物の存在下でパラジウム粒子を生成する方法が挙げられる。不活性ガス雰囲気下、反応容器にパラジウム化合物を加え、アルキン化合物またはアルケン化合物を含む凝集保護剤を添加した後に、撹拌しながら液性媒体を加え、還元剤を徐々に加えて更に撹拌することにより行う。水素化触媒が生成すれば、上記化合物の添加順序は問わない。反応が進むにつれて反応液の色調は徐々に濃茶褐色〜濃赤褐色を呈してくるので、この色の変化により水素化触媒の生成を確認することができる。この他、水素化触媒製造の反応系中で反応溶媒と反応して還元剤を生成させる塩基も用いることができる。
本発明の水素化触媒の生成反応に使用可能なアルキン化合物としては、内部アルキンおよび末端アルキンの何れも用いることができるが、より凝集保護効果がある内部アルキン化合物が好ましい。また、これらは有機溶媒に溶解させることを考慮すると、室温で液体であることが好ましい。アルキン化合物の具体例としては、2−ブチン、2−ペンチン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、ジイソプロピルアセチレン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、5−ノニン、2−デシン、3−デシン、4−デシン、5−デシン、ジ−tert−ブチルアセチレン、ジフェニルアセチレン、ジベンジルアセチレン、メチル−iso−プロピルアセチレン、メチル−tert−ブチルアセチレン、エチル−iso−プロピルアセチレン、エチル−tert−ブチルアセチレン、n−プロピル−iso−プロピルアセチレン、n−プロピル−tert−ブチルアセチレン、
フェニルメチルアセチレン、フェニルエチルアセチレン、フェニル−n−プロピルアセチレン、フェニル−iso−プロピルアセチレン、フェニル−n−ブチルアセチレン、フェニル−tert−ブチルアセチレンなどの炭化水素系アルキン類;アセチレンジオール、1−プロピン−1−オール、1−プロピン−1,3−ジオール、2−ブチン−1−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、2−ペンチン−1−オール、2−ペンチン−4−オール、2−ペンチン−5−オール、2−ペンチン−1,4−ジオール、2−ペンチン−1,5−ジオール、2−ヘキシン−1−オール、2−ヘキシン−4−オール、2−ヘキシン−5−オール、2−ヘキシン−6−オール、2−ヘキシン−1,4−ジオール、2−ヘキシン−1,5−ジオール、2−ヘキシン−1,6−ジオール、3−ヘキシン−1−オール、3−ヘキシン−2−オール、3−ヘキシン−1,5−ジオール、3−ヘキシン−1,6−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−ヘキシン−2,6−ジオール、
2−ヘプチン−1−オール、2−ヘプチン−4−オール、2−ヘプチン−5−オール、2−ヘプチン−6−オール、2−ヘプチン−7−オール、3−ヘプチン−1−オール、3−ヘプチン−2−オール、3−ヘプチン−5−オール、3−ヘプチン−6−オール、3−ヘプチン−7−オール、2−ヘプチン−1,2−ジオール、2−ヘプチン−1,5−ジオール、2−ヘプチン−1,6−ジオール、2−ヘプチン−1,7−ジオール、2−ヘプチン−4,5−ジオール、2−ヘプチン−4,6−ジオール、2−ヘプチン−4,7−ジオール、3−ヘプチン−1,2−ジオール、3−ヘプチン−1,5−ジオール、3−ヘプチン−1,6−ジオール、3−ヘプチン−1,7−ジオール、3−ヘプチン−2,5−ジオール、3−ヘプチン−2,6−ジオール、3−ヘプチン−2,7−ジオール、3−ヘプチン−5,6−ジオール、3−ヘプチン−5,7−ジオール、3−ヘプチン−6,7−ジオール、
2−オクチン−1−オール、2−オクチン−4−オール、2−オクチン−5−オール、2−オクチン−6−オール、2−オクチン−7−オール、2−オクチン−8−オール、3−オクチン−1−オール、3−オクチン−2−オール、3−オクチン−5−オール、3−オクチン−6−オール、3−オクチン−7−オール、3−オクチン−8−オール、4−オクチン−1−オール、4−オクチン−2−オール、4−オクチン−3−オール、2−オクチン−1,4−ジオール、2−オクチン−1,5−ジオール、2−オクチン−1,6−ジオール、2−オクチン−1,7−ジオール、2−オクチン−1,8−ジオール、2−オクチン−2,5−ジオール、2−オクチン−2,6−ジオール、2−オクチン−2,7−ジオール、2−オクチン−2,8−ジオール、2−オクチン−4,5−ジオール、2−オクチン−4,6−ジオール、2−オクチン−4,7−ジオール、2−オクチン−4,8−ジオール、2−オクチン−5,6−ジオール、2−オクチン−5,7−ジオール、2−オクチン−5,8−ジオール、2−オクチン−6,7−ジオール、2−オクチン−6,8−ジオール、2−オクチン−7,8−ジオール、
3−オクチン−1,2−ジオール、3−オクチン−1,5−ジオール、3−オクチン−1,6−ジオール、3−オクチン−1,7−ジオール、3−オクチン−1,8−ジオール、3−オクチン−2,5−ジオール、3−オクチン−2,6−ジオール、3−オクチン−2,7−ジオール、3−オクチン−2,8−ジオール、3−オクチン−5,6−ジオール、3−オクチン−5,7−ジオール、3−オクチン−5,8−ジオール、3−オクチン−6,7−ジオール、3−オクチン−6,8−ジオール、3−オクチン−7,8−ジオール、
4−オクチン−1,2−ジオール、4−オクチン−1,3−ジオール、4−オクチン−1,6−ジオール、4−オクチン−1,7−ジオール、4−オクチン−1,8−ジオール、4−オクチン−2,3−ジオール、4−オクチン−2,6−ジオール、4−オクチン−2,7−ジオール、4−オクチン−2,8−ジオール、4−オクチン−3,6−ジオール、4−オクチン−3,7−ジオール、4−オクチン−3,8−ジオール等のアルキニルアルコール類、および上記アルキニルアルコール類の一部または全部のOH基がNH2基に置換されたアルキニルアミン類などが挙げられる。アルケン化合物としては、内部アルケンおよび末端アルケンの何れも用いることができるが、より凝集保護効果がある内部アルケン化合物が好ましい。アルケン化合物の具体例としては、(Z)−4−オクテン、(Z)−1−フェニル−1−プロペンなどが挙げられる。アルキン化合物又はアルケン化合物としてアルキニルアルコール化合物又はアルケニルアルコール化合物を用いる場合には、これらが還元剤の役割も果たすため、別個に塩基や還元剤を用いなくてもよい。
本発明の水素化触媒の生成反応に使用可能なパラジウム源としては、還元反応によりパラジウム粒子を生成するものであれば特に限定されないが、例えば一般式(1)〜(4)
Pd(II)XjLk …(1)
(Pd(II)Xm)2-の塩 …(2)
(Pd(II)Ln)2+の塩 …(3)
(Pd(IV)Xp)2-の塩 …(4)
(一般式(1)〜(4)中、Lは含リン配位子を除く単座または多座配位子(化合物中にLが2以上存在するときは各々独立して互いに同じであってもよいし異なっていてもよい)、Xはアニオン性基、jはXjが全体で−2価となるようにXの価数に応じて決まる値、kは0〜4のいずれかの整数、mはXmが全体で−4価となるようにXの価数に応じて決まる値、nは4〜6のいずれかの整数、pはXpが全体で−6価となるようにXの価数に応じて決まる値である)
のいずれかで表されるパラジウム化合物またはその多量体が挙げられる。
Pd(II)XjLk …(1)
(Pd(II)Xm)2-の塩 …(2)
(Pd(II)Ln)2+の塩 …(3)
(Pd(IV)Xp)2-の塩 …(4)
(一般式(1)〜(4)中、Lは含リン配位子を除く単座または多座配位子(化合物中にLが2以上存在するときは各々独立して互いに同じであってもよいし異なっていてもよい)、Xはアニオン性基、jはXjが全体で−2価となるようにXの価数に応じて決まる値、kは0〜4のいずれかの整数、mはXmが全体で−4価となるようにXの価数に応じて決まる値、nは4〜6のいずれかの整数、pはXpが全体で−6価となるようにXの価数に応じて決まる値である)
のいずれかで表されるパラジウム化合物またはその多量体が挙げられる。
これらの一般式における配位子Lとしては、単座配位子、および多座配位子の双方を用いることができる。配位子Lの構造は含リン化合物を除くヘテロ原子を有する化合物全般のほかアルケンやアルキンなどであり、例えばアンモニア、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類などが挙げられる。また、アニオン性基Xとしては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、NO2、NO3、CN、OH、SO4、S2O3、アセチルアセトン、π−アリル基、プロピオネート基、カルボキシル基、CF3COO基等が挙げられる。
一般式(1)で表される2価のパラジウム化合物としては、例えば、2価中性化合物で配位子Lを有さないものや、2価中性化合物で配位子Lを有するものが挙げられる。このうち、2価中性化合物で配位子Lを有さないものとしては、PdF2、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OAc)2、Pd(NO3)2、Pd(OH)2、PdSO4、Pd(CN)2、PdS、Pd(OCOCF3)2、ビス(アセチルアセトン)パラジウム、およびアリルパラジウムクロリドなどが挙げられ、2価中性化合物で配位子Lを有するものとしては、PdCl2(NH3)2、PdBr2(NH3)2、PdI2(NH3)2、Pd(NO2)2(NH3)2、Pd(PhCN)2Cl2、Pd(CH3CN)2Cl2、(2,2−ビピリジン)パラジウムジクロリド、(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムジクロリド、エチレンジアミンパラジウムジクロリド、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミンパラジウムジクロリド、および(1,10−フェナントロリン)パラジウムジクロリドなどが挙げられる。但し、2価中性化合物で配位子Lを有するものから誘導したパラジウム粒子を水素化触媒の構成要素として用いた場合には還元反応の速度が十分上がらないことがあるため、2価中性化合物で配位子Lを有さないものを用いることが好ましい。
一般式(2)で表される2価のパラジウム化合物としては、例えば、〔PdCl4〕2-(2NH4)2+、〔Pd(S2O3)4〕2-(2K)2+、〔PdCl4〕2-(2K)2+、〔PdBr4〕2-(2K)2+、〔PdCN4〕2-(2K)2+、〔Pd(NO2)4〕2-(2K)2+、および〔PdCl4〕2-(2Na)2+などの2価ジアニオニック化合物が挙げられる。
一般式(3)で表される2価のパラジウム化合物としては、例えば、〔Pd(NH3)4〕2+(2CH3COO)2-、〔Pd(NH3)4〕2+(2Cl)2-、〔Pd(NH3)4〕2+(2Br)2-、〔Pd(NH3)4〕2+(2NO3)2-、〔Pd(NH3)4〕2+(PdCl4)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2Cl)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2BF4)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2ClO4)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2PF6)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2I3)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2I)2-、〔Pd(dmf)4〕2+(2CF3SO3)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2Cl)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2BF4)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2ClO4)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2PF6)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2I3)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2I)2-、〔Pd(dma)4〕2+(2CF3SO3)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2Cl)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2BF4)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2ClO4)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2PF6)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2I3)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2I)2-、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2CF3SO3)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2Cl)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2BF4)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2ClO4)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2PF6)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2I3)2-、〔Pd(PhCN)4〕2+(2I)2-、および〔Pd(PhCN)4〕2+(2CF3SO3)2-等の2価ジカチオニック化合物が挙げられる。このような2価ジカチオニック化合物の製造方法としては、例えば、〔Pd(CH3CN)4〕2+(2BF4)2-はアセトニトリル溶媒中でパラジウムスポンジとNOBF4の反応によって得ることができる(Organometallics vol.20, p2697(2001))。また、パラジウム化合物の配位子Lを、より配位力の高い配位子へ交換することも可能であり、一例として〔Pd(CH3CN)4〕2+(2BF4)2-から〔Pd(dmf)4〕2+(2BF4)2-を合成することができる(Inorg.Chem., vol.30, p1112(1991))。
一般式(4)で表される4価ジアニオニック化合物としては、例えば、〔PdCl6〕2-(2NH4)2+、〔PdCl6〕2-(2K)2+、および〔PdCl6〕2-(2Na)2+などが挙げられる。
一般式(4)で表される4価ジアニオニック化合物としては、例えば、〔PdCl6〕2-(2NH4)2+、〔PdCl6〕2-(2K)2+、および〔PdCl6〕2-(2Na)2+などが挙げられる。
水素化触媒の生成反応に使用可能な塩基としては、例えば無機塩基としては金属アルコキシド、金属アリールオキシド、水酸化物、アルキル金属化合物、アリール金属化合物、アンモニアなどが挙げられ、有機塩基としてはアミン、イミン、アミド、イミドなどが挙げられる。また、塩基性を有する還元剤を用いることもできる。また、これらの混合物を用いることもできる。具体的には、CH3OK、CH3CH2OK、CH3CH2CH2OK、i−PrOK、t−BuOK、t−AmOK、(CH3CH2)3COK、PhOK、CH3ONa、CH3CH2ONa、CH3CH2CH2ONa、i−PrONa、t−BuONa、t−AmONa、(CH3CH2)3CONa、PhONa、CH3OLi、CH3CH2OLi、CH3CH2CH2OLi、i−PrOLi、t−BuOLi、t−AmOLi、(CH3CH2)3COLi、PhOLi、KOH、K2CO3、NaOH、LiOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、MeLi、n−BuLi、t−BuLi、PhLi、NH3、Me3N、Me2NH、MeNH2、Et3N、Et2NH、EtNH2、(n−Pr)3N、(n−Pr)2NH、n−PrNH2、(i−Pr)2NH、i−PrNH2、n−ジブチルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、キノリン、ピリジン、ピコリン、DBU(1,8-Diazabicyclo [5,4,0]undec-7-ene)、DABCO(1,4-di-azobicyclo[2,2,2]octane)などが挙げられる。このうち、アルカリ金属のアルコキシドおよびアルカリ金属のアリールオキシドが好ましく、アルカリ金属として塩基性の高いカリウムを有する化合物がより好ましく、CH3OK、t−BuOK、t−AmOK、(CH3CH2)3COK、PhOK等が更に好ましい。このうち、アルカリ金属のアルコキシド及びアルカリ金属のアリールオキシドが好ましく、アルカリ金属として塩基性の高いカリウムを有する化合物がより好ましく、CH3OK、t−BuOK、t−AmOK、(CH3CH2)3COK、PhOK等が更に好ましい。なお、これらの塩基は有機溶媒と反応して還元性を有する化合物を生成させ、この化合物がパラジウム化合物と反応して水素化触媒を与える場合もある。
水素化触媒の生成反応に使用可能な還元剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ボロヒドリド化合物、ボラン化合物、金属水素化物、有機リチウム化合物、アルコール、アルデヒド、ギ酸化合物、水素及びこれらの混合物が挙げられる。具体的には、LiBH4、NaBH4、KBH4、Me4NBH4、Bu4NBH4、Ca(BH4)2、LiEt3BH、ジボラン、LiH、NaH、KH、LiAlH4、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red−Al、メチルリチウム、ブチルリチウム、ヒドラジン、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ホルムアルデヒド、ギ酸、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウムなどが挙げられる。
塩基及び還元剤の使用量は、特に限定されるものではなく、用いるパラジウム化合物の価数と等しい当量を用いることが目安となるが、一例として2価パラジウム化合物を用いる場合には、パラジウム1モル当たり0.5〜50当量用いることが好ましく、1〜10当量用いることがより好ましく、1.5〜2.5当量用いることが更に好ましい。大過剰に加えた場合には、生成した水素化触媒の凝集が起きる場合がある。なお、本発明の水素化触媒を調製する反応において、アルキン化合物又はアルケン化合物としてアルキニルアルコール化合物又はアルケニルアルコール化合物を用いる場合には、これらが還元剤の役割も果たすため、別個に塩基や還元剤を用いなくてもよい。
上記水素化触媒の生成反応は、酸素を含まないアルゴンまたは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、特に制限はないが、10〜100℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。また、反応時間も、特に制限はないが、1〜72時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。この生成反応は、例えば、不活性ガス雰囲気下、反応容器に有機溶媒を加え、アルキン化合物またはアルケン化合物を添加した後、パラジウム化合物、例えば一般式(1)〜(4)からなるパラジウム化合物群から選ばれた1種または2種以上のパラジウム化合物またはその多量体を加えて攪拌しながら、塩基を徐々に加えて更に攪拌することにより行う。反応が進むにつれて反応液の色調は徐々に濃茶褐色を呈してくるので、この色の変化により水素化触媒の生成を確認することができる。この他、水素化触媒製造の反応系中で反応溶媒と反応して還元剤を生成させる塩基も用いることができる。したがって、本発明の水素化触媒は、塩基および/または還元剤と共に用いることもできる。
塩基および/または還元剤を上述した水素化触媒と、さらに混合してもよい。この混合操作は、水素化触媒の調製液(反応液)へ、さらなる塩基および/または還元剤を直接投入して混合してもよい。また、芳香族ニトロ化合物の水素化反応の前に予め水素化触媒に塩基および/または還元剤とを混合してもよいし、水素化反応時に反応系内に塩基および/または還元剤とを投入し混合してもよい。
基質中にカルボニル基等の置換基が含まれる場合には、基質と還元剤が直接反応を起こす種類の還元剤の添加は好ましくなく、塩基を添加することが好ましい。さらに、多種類の塩基または還元剤を用いてもよく、塩基および還元剤を併せて用いてもよい。
さらに加える塩基としては、例えば無機塩基としては金属アルコキシド、金属アリールオキシド、水酸化物、アルキル金属化合物、アリール金属化合物、アンモニアなどが挙げられ、有機塩基としてはアミン、イミン、アミド、イミドなどが挙げられる。また、これらの混合物を用いることもできる。具体的には、CH3OK、CH3CH2OK、CH3CH2CH2OK、i−PrOK、t−BuOK、t−AmOK、(CH3CH2)3COK、PhOK、CH3ONa、CH3CH2ONa、CH3CH2CH2ONa、i−PrONa、t−BuONa、t−AmONa、(CH3CH2)3CONa、PhONa、CH3OLi、CH3CH2OLi、CH3CH2CH2OLi、i−PrOLi、t−BuOLi、t−AmOLi、(CH3CH2)3COLi、PhOLi、KOH、K2CO3、NaOH、LiOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、MeLi、n−BuLi、t−BuLi、PhLi、NH3、Me3N、Me2NH、MeNH2、Et3N、Et2NH、EtNH2、(n−Pr)3N、(n−Pr)2NH、n−PrNH2、(i−Pr)2NH、i−PrNH2、n−ジブチルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、キノリン、ピリジン、ピコリン、DBU(1,8-Diazabicyclo [5,4,0]undec-7-ene)、DABCO(1,4-di-azobicyclo[2,2,2]octane)などが挙げられる。このうち、アルカリ金属のアルコキシド及びアルカリ金属のアリールオキシドが好ましく、アルカリ金属がリチウム及びナトリウムである塩基がより好ましく、CH3ONa、t−BuONa、t−AmONa、(CH3CH2)3CONa、PhONa、CH3OLi、t−BuOLi、t−AmOLi、(CH3CH2)3COLi、及びPhOLiが更に好ましい。塩基の使用量は、基質や塩基の種類のほか基質中に含まれる不純物によって異なるため、その都度適宜の量を設定すればよいが、基質に対して0.00001〜10当量、かつ触媒に対して1当量以上とすることが好ましい。基質中には酸性成分、ケトン、又は過酸化物等が不純物として含まれていることがあり、基質を精製することによってこれらの不純物の除去を行った場合には、塩基の添加量を減ずることができる。
さらに加える還元剤としては、前述のとおり、基質中の置換基と反応しない還元剤の選択が好ましく、例えば、ボロヒドリド化合物、ボラン化合物、および金属水素化物であり、具体的にはLiBH4、NaBH4、KBH4、Me4NBH4、Bu4NBH4、Ca(BH4)2、LiEt3BH、ジボラン、ジメチルアミン−ボラン錯体、ピリジン−ボラン錯体、LiH、NaH、KH、LiAlH4、水素化ジイソブチルアルミニウム、Red−Alなどが挙げられる。還元剤の使用量は、基質や還元剤の種類のほか基質中に含まれる不純物によって異なるため、その都度適宜の量を設定すればよいが、基質に対して0.000001〜0.01当量、かつ触媒に対して1当量以上とすることが好ましい。基質中には酸性成分、ケトン、または過酸化物等が不純物として含まれていることがあり、基質の精製操作によってこれらの不純物の除去を行った場合には、還元剤の添加量を減ずることができる。
次に、本発明の芳香族アミン化合物の製造方法について詳細に説明する。
本発明の芳香族アミン化合物の製造方法は、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することによりアミン化合物を得るものである。本発明において、「水素化」とは水素分子を還元剤として用いる「還元」を意味する。
本発明の芳香族アミン化合物の製造方法は、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することによりアミン化合物を得るものである。本発明において、「水素化」とは水素分子を還元剤として用いる「還元」を意味する。
本発明の芳香族アミン化合物の製造方法において、反応基質(出発物質)である芳香族ニトロ化合物は、芳香族環に少なくとも1個以上のニトロ基を含有する化合物である。芳香族環は、例えば、単環式または多環式炭化水素系芳香族環または単環式または多環式複素芳香族環である。単環式または多環式炭化水素系芳香族環としては、これに限定されるものではないが、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられる。単環式または多環式複素芳香族環としては、これに限定されるものではないが、例えばO、NおよびSからなる群から選択される元素を1または2個以上含む単環式または多環式複素芳香族環であり、例えばイミダゾール、ピリジン、キノリン等が挙げられる。
これらの芳香族ニトロ化合物は、ニトロ基以外の置換基を有していてもよい。本発明の芳香族アミン化合物の製造方法によれば、芳香族にニトロ基ではない置換基を有していても、ニトロ基を選択的に水素化することができる。当該置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基およびシアノ基が挙げられる。
芳香族ニトロ化合物としては、例えばニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、m−ニトロトルエン、p−ニトロトルエン、2−ニトロ−p−キシレン、o−クロロニトロベンゼン、m−クロロニトロベンゼン、p−クロロニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−ニトロアニソール、m−ニトロアニソール、p−ニトロアニソール、α−ニトロナフタレン、β−ニトロナフタレン、2’−ニトロアセトフェノン、3’−ニトロアセトフェノン、4’−ニトロアセトフェノン、2−ニトロベンズアルデヒド、3−ニトロベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、2−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、2−ニトロ安息香酸エチル、3−ニトロ安息香酸エチル、4−ニトロ安息香酸エチル、N-(2−ニトロフェニル)ベンズアミド、N-(3−ニトロフェニル)、N-(4−ニトロフェニル)、3−ニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンゾフェノン、4−ニトロイミダゾール、3−ニトロピリジン、5−ニトロキノリン、6−ニトロキノリン、o−ニトロベンゾニトリル、m−ニトロベンゾニトリル、p−ニトロベンゾニトリルなどが挙げられる。
本発明の芳香族アミン化合物の製造方法は、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む。
本発明に係る水素化反応の操作方法は、特に限定はなく、従来から水素化反応に用いられる操作方法を採用することができる。例えば、反応基質(出発物質)、上記水素化触媒、および必要に応じて反応溶媒としての有機溶媒を一括して反応器に仕込み、水素雰囲気下、所定の反応温度と水素分圧にて撹拌して水素化を行う方法などが例示される。
なお、前記撹拌の方法は、撹拌律速とならないように水素と反応液が十分に混合できれば、特にその方法に制限はなく、従来から水素化反応に使用されている撹拌方法(反応装置)が使用できる。
本発明に係る水素化反応の操作方法は、特に限定はなく、従来から水素化反応に用いられる操作方法を採用することができる。例えば、反応基質(出発物質)、上記水素化触媒、および必要に応じて反応溶媒としての有機溶媒を一括して反応器に仕込み、水素雰囲気下、所定の反応温度と水素分圧にて撹拌して水素化を行う方法などが例示される。
なお、前記撹拌の方法は、撹拌律速とならないように水素と反応液が十分に混合できれば、特にその方法に制限はなく、従来から水素化反応に使用されている撹拌方法(反応装置)が使用できる。
水素化触媒の使用量は、パラジウム金属に対する芳香族ニトロ化合物のモル比をS/C(Sは基質、Cは触媒)と表すと、S/Cは特に制限はないが、実用性を考慮すると100から500,000の範囲で用いることができ、500から50,000の範囲で用いることが好ましい。
反応温度は特に限定されないが、経済性を考慮すると0〜80℃の範囲で行うことができ、15〜60℃の範囲で行うことが好ましい。
水素化反応の反応圧力(水素分圧)は、特に限定されないが、0.1〜20MPaの範囲で実施することができ、経済性を考慮すると0.5〜15MPaの範囲が好ましい。
水素化反応の反応時間は、反応基質の種類、濃度、触媒量、反応温度、水素圧力などの反応条件によって異なるが、数分から数十時間で、例えば、3分〜72時間で、好ましくは、20分〜48時間で反応は完結する。
水素化反応の反応圧力(水素分圧)は、特に限定されないが、0.1〜20MPaの範囲で実施することができ、経済性を考慮すると0.5〜15MPaの範囲が好ましい。
水素化反応の反応時間は、反応基質の種類、濃度、触媒量、反応温度、水素圧力などの反応条件によって異なるが、数分から数十時間で、例えば、3分〜72時間で、好ましくは、20分〜48時間で反応は完結する。
反応溶媒は、反応基質を溶解することができ、水素化反応の影響を受けない或いは受け難いものが好ましい。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの含ヘテロ元素溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶媒などを一種または二種以上で用いることができる。
好ましくは、反応を効率的に進める観点から、エステル系溶媒あるいはエーテル系溶媒から選択され、具体的には酢酸エチル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられ、より好ましくはテトラヒドロフランが推奨される。これらの有機溶媒は、1種でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応基質の溶解度および経済性の観点から、反応系全体の重量に対して、90重量%以下であってもよく、反応基質が液体の場合には無溶媒に近い状態で反応を実施することもできる。
反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応基質の溶解度および経済性の観点から、反応系全体の重量に対して、90重量%以下であってもよく、反応基質が液体の場合には無溶媒に近い状態で反応を実施することもできる。
水素化反応後の後処理工程としては、特に限定はなく、従来から水素化反応後に用いられる後処理工程(後処理方法)を適宜選択ないし組み合わせて採用することができる。
後処理工程としては、当該触媒の残渣を分別する工程、反応溶媒を使用したときの溶媒回収もしくは分離工程、さらに目的物の純度をより向上させるための精製工程(常圧・減圧蒸留、化学処理、吸着処理等)などが挙げられる。
以上、本発明を好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明においては、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
例えば、本発明によれば、上記水素化触媒の存在下、水素を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することにより、芳香族アミン化合物を製造することができる。
後処理工程としては、当該触媒の残渣を分別する工程、反応溶媒を使用したときの溶媒回収もしくは分離工程、さらに目的物の純度をより向上させるための精製工程(常圧・減圧蒸留、化学処理、吸着処理等)などが挙げられる。
以上、本発明を好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明においては、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
例えば、本発明によれば、上記水素化触媒の存在下、水素を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することにより、芳香族アミン化合物を製造することができる。
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における分析・評価は以下の方法で行った。
実施例1〜11、比較例1において用いたニトロベンゼン化合物の構造は、以下のとおりである。
実施例1〜11、比較例1において用いたニトロベンゼン化合物の構造は、以下のとおりである。
下記の実施例において、パラジウム粒子の調製、および還元反応はすべてアルゴンガスまたは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下にて行った。反応に使用した溶媒は、乾燥、脱気したものを用いた。また、NMRはJNM−ECS400(400MHz,日本電子社製)およびJNM−ECX400P(400MHz,日本電子社製)を用いて測定した。1H NMRはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質に用い,それらの信号をδ=0(δは化学シフト)とした。未精製物の収率は、内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン、またはトリフェニルメタンを加え均一に混和した後,生成物を1H NMRを測定し求めた。
[製造例1]
<アルキン誘導体とパラジウム粒子とを含む水素化触媒の合成>
[4−オクチンの精製例1]
4−オクチンを5%炭酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、pH=7になるまで水洗いを行った後、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った。テフロン(登録商標)コートした撹拌子の入ったシュレンクチューブをアルゴン置換し、上記の操作で酸性成分を除去した4−オクチンに対して0.03当量のテトラヒドロホウ酸テトラブチルアンモニウム((n−C4H9)4NBH4)(和光純薬工業社製)を加え、60℃で30分間撹拌を行った。その後、pH=7になるまで水洗いを行い、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、水酸化カリウムの2−プロパノール溶液に浸漬し洗浄した蒸留器具を用い、蒸留精製した。
<アルキン誘導体とパラジウム粒子とを含む水素化触媒の合成>
[4−オクチンの精製例1]
4−オクチンを5%炭酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、pH=7になるまで水洗いを行った後、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った。テフロン(登録商標)コートした撹拌子の入ったシュレンクチューブをアルゴン置換し、上記の操作で酸性成分を除去した4−オクチンに対して0.03当量のテトラヒドロホウ酸テトラブチルアンモニウム((n−C4H9)4NBH4)(和光純薬工業社製)を加え、60℃で30分間撹拌を行った。その後、pH=7になるまで水洗いを行い、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、水酸化カリウムの2−プロパノール溶液に浸漬し洗浄した蒸留器具を用い、蒸留精製した。
[触媒製造例1]
テフロン(登録商標)コートした撹拌子の入った20mLシュレンクチューブをアルゴン置換し、酢酸パラジウム(39.9mg、0.178mmol、Aldrich社製)、凍結脱気した脱水DMF(17.5mL、関東化学社製)を入れ10分間撹拌した。上述のように精製処理を行った4−オクチン(207.3mg、1.88mmol、和光純薬工業株式会社製)、およびカリウムtert−ブトキシド(43.3mg、0.386mmol、関東化学社製)を加えて、室温で12時間撹拌し、水素化触媒のDMF分散液を調製した。透過型電子顕微鏡観察からナノサイズの微粒子が観測されパラジウム粒子の生成を確認した。同装置により求めた結晶径の平均値は、1.8nmであった。
テフロン(登録商標)コートした撹拌子の入った20mLシュレンクチューブをアルゴン置換し、酢酸パラジウム(39.9mg、0.178mmol、Aldrich社製)、凍結脱気した脱水DMF(17.5mL、関東化学社製)を入れ10分間撹拌した。上述のように精製処理を行った4−オクチン(207.3mg、1.88mmol、和光純薬工業株式会社製)、およびカリウムtert−ブトキシド(43.3mg、0.386mmol、関東化学社製)を加えて、室温で12時間撹拌し、水素化触媒のDMF分散液を調製した。透過型電子顕微鏡観察からナノサイズの微粒子が観測されパラジウム粒子の生成を確認した。同装置により求めた結晶径の平均値は、1.8nmであった。
[実施例1]
<ニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼン(500.1mg、4.06mmol)をアルゴン置換した100mLのポリカーボネート製オートクレーブ(ガラス製内筒付き)に仕込み、凍結脱気を3回施したTHF(4mL)をシュレンク管よりテフロン(登録商標)製キャヌラを用いて移送して加え、さらに水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=20,000)をマイクロシリンジを用いて加えた。水素で約0.8MPaまで加圧後放出する操作を10回繰り返して容器内を水素で完全に置換し、最後に水素を0.8MPaまで仕込み反応を開始した。30℃で1.5時間攪拌後、反応圧力を常圧に戻した。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン(224.9mg、1.34mmol)を加え均一に混和した後,生成物を1H NMRで定量したところ、ニトロベンゼンは完全に消失し,アニリンが4.00mmol、99%収率で生成していた。
1H NMR δ= 3.65 (br s, 2H)、6.66-6.70 (m, 2H)、6.74-6.78 (m, 1H)、7.13-7.18 (m, 2H)。
<ニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼン(500.1mg、4.06mmol)をアルゴン置換した100mLのポリカーボネート製オートクレーブ(ガラス製内筒付き)に仕込み、凍結脱気を3回施したTHF(4mL)をシュレンク管よりテフロン(登録商標)製キャヌラを用いて移送して加え、さらに水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=20,000)をマイクロシリンジを用いて加えた。水素で約0.8MPaまで加圧後放出する操作を10回繰り返して容器内を水素で完全に置換し、最後に水素を0.8MPaまで仕込み反応を開始した。30℃で1.5時間攪拌後、反応圧力を常圧に戻した。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン(224.9mg、1.34mmol)を加え均一に混和した後,生成物を1H NMRで定量したところ、ニトロベンゼンは完全に消失し,アニリンが4.00mmol、99%収率で生成していた。
1H NMR δ= 3.65 (br s, 2H)、6.66-6.70 (m, 2H)、6.74-6.78 (m, 1H)、7.13-7.18 (m, 2H)。
[実施例2]
<ニトロベンゼンの常圧での水素化>
ニトロベンゼン(136mg、1.11mmol)、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(200μL、2.0μmol、S/C=500)、反応時間4.5時間、水素を充填した風船を装着した以外は実施例1と同様に行い、アニリンを得た。ニトロベンゼンは完全に消失し、アニリンが1.03mmol、93%収率で生成していた。
<ニトロベンゼンの常圧での水素化>
ニトロベンゼン(136mg、1.11mmol)、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(200μL、2.0μmol、S/C=500)、反応時間4.5時間、水素を充填した風船を装着した以外は実施例1と同様に行い、アニリンを得た。ニトロベンゼンは完全に消失し、アニリンが1.03mmol、93%収率で生成していた。
[実施例3]
<3−ニトロベンゾニトリルの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに3−ニトロベンゾニトリル(148.4mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を10時間とした以外は実施例1と同様に行い、3−シアノアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製し、3−シアノアニリンが110.7mg(0.937mmol、94%収率)生成していた。
1H NMR δ= 3.87 (br s, 2H)、6.85-6.90 (m, 2H)、7.01-7.03 (m, 1H)、7.22 (distorted t, 1H)。
<3−ニトロベンゾニトリルの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに3−ニトロベンゾニトリル(148.4mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を10時間とした以外は実施例1と同様に行い、3−シアノアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製し、3−シアノアニリンが110.7mg(0.937mmol、94%収率)生成していた。
1H NMR δ= 3.87 (br s, 2H)、6.85-6.90 (m, 2H)、7.01-7.03 (m, 1H)、7.22 (distorted t, 1H)。
[実施例4]
<4−クロロニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−クロロニトロベンゼン(159.2mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−クロロアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質としてトリフェニルメタン(68.2mg、0.279mmol)を加え均一に混和した後、生成物を1H NMRで定量したところ、4−クロロアニリンが0.569mmol、56%収率で生成していた。
1H NMR δ= 3.65 (br s, 2H)、6.59-6.63 (m, 2H)、7.08-7.12 (m, 2H)。
<4−クロロニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−クロロニトロベンゼン(159.2mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−クロロアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質としてトリフェニルメタン(68.2mg、0.279mmol)を加え均一に混和した後、生成物を1H NMRで定量したところ、4−クロロアニリンが0.569mmol、56%収率で生成していた。
1H NMR δ= 3.65 (br s, 2H)、6.59-6.63 (m, 2H)、7.08-7.12 (m, 2H)。
[実施例5]
<2−メトキシニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに2−メトキシニトロベンゼン(159.0mg、1.04mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、2−メトキシアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、2−メトキシアニリンが88.9mg(0.721mmol、69%収率,黄色油状物)生成していた。
1H NMR δ= 3.78 (br s, 2H)、3.85 (s, 3H)、6.71-6.75 (m, 2H)、6.77-6.82 (m, 2H)。
<2−メトキシニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに2−メトキシニトロベンゼン(159.0mg、1.04mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、2−メトキシアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、2−メトキシアニリンが88.9mg(0.721mmol、69%収率,黄色油状物)生成していた。
1H NMR δ= 3.78 (br s, 2H)、3.85 (s, 3H)、6.71-6.75 (m, 2H)、6.77-6.82 (m, 2H)。
[実施例6]
<4−メトキシニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−メトキシニトロベンゼン(306.0mg、2.00mmol)を使用し、THF(2mL)、水素化触媒のDMF分散液(40μL、0.40μmol、S/C=5,000)、反応時間を10.5時間とした以外は実施例1と同様に行い、2−メトキシアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−メトキシアニリンが239.8mg(1.95mmol、97%収率,淡黄色結晶)生成していた。
1H NMRδ= 3.42 (br s, 2H)、3.75 (s, 3H)、6.63-6.67 (m, 2H)、6.73-6.76 (m, 2H)。
<4−メトキシニトロベンゼンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−メトキシニトロベンゼン(306.0mg、2.00mmol)を使用し、THF(2mL)、水素化触媒のDMF分散液(40μL、0.40μmol、S/C=5,000)、反応時間を10.5時間とした以外は実施例1と同様に行い、2−メトキシアニリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−メトキシアニリンが239.8mg(1.95mmol、97%収率,淡黄色結晶)生成していた。
1H NMRδ= 3.42 (br s, 2H)、3.75 (s, 3H)、6.63-6.67 (m, 2H)、6.73-6.76 (m, 2H)。
[実施例7]
<4’−ニトロアセトフェノンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4’−ニトロアセトフェノン(164.7mg、0.997mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4’−アミノアセトフェノンが131mg(0.969mmol、97%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 2.51 (s, 3H), 4.13 (br s, 2H)、6.65 (d, J=8.1 Hz, 2H)、7.81 (d, J=8.1 Hz, 2H)。
過剰還元生成物1−(4−アミノフェニル)エタノールの生成は<2%であった。
<4’−ニトロアセトフェノンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4’−ニトロアセトフェノン(164.7mg、0.997mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4’−アミノアセトフェノンが131mg(0.969mmol、97%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 2.51 (s, 3H), 4.13 (br s, 2H)、6.65 (d, J=8.1 Hz, 2H)、7.81 (d, J=8.1 Hz, 2H)。
過剰還元生成物1−(4−アミノフェニル)エタノールの生成は<2%であった。
[比較例1]
<4’−ニトロアセトフェノンのPd/Cによる水素化>
4’−ニトロアセトフェノン(164.7mg、0.997mmol)をアルゴン置換した50mLのナス型フラスコに仕込み、THF(4mL)とPd/C(Aldrich、10%w/w)11.8mg(0.011mmol、S/C=100)を加えた。ダイヤフラムポンプで減圧にし,素早く水素で常圧に戻す操作を10回繰り返して容器内を水素で完全に置換し、最後に水素を充填した風船を装着し反応を開始した。25℃で3時間攪拌後、水素を放出し、セライトろ過により触媒を除去した。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン(224.9mg、1.34mmol)を加え均一に混和した後、生成物を1H NMRで定量したところ、4’−ニトロアセトフェノンは完全に消失し、4’−アミノアセトフェノンが0.54mmol、54%収率で生成するとともに、1−(4−アミノフェニル)エタノールが0.43mmol、43%収率で、および4−エチルアニリンが0.03mmol、3%収率で生成していた。
<4’−ニトロアセトフェノンのPd/Cによる水素化>
4’−ニトロアセトフェノン(164.7mg、0.997mmol)をアルゴン置換した50mLのナス型フラスコに仕込み、THF(4mL)とPd/C(Aldrich、10%w/w)11.8mg(0.011mmol、S/C=100)を加えた。ダイヤフラムポンプで減圧にし,素早く水素で常圧に戻す操作を10回繰り返して容器内を水素で完全に置換し、最後に水素を充填した風船を装着し反応を開始した。25℃で3時間攪拌後、水素を放出し、セライトろ過により触媒を除去した。溶媒を減圧下留去し、内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン(224.9mg、1.34mmol)を加え均一に混和した後、生成物を1H NMRで定量したところ、4’−ニトロアセトフェノンは完全に消失し、4’−アミノアセトフェノンが0.54mmol、54%収率で生成するとともに、1−(4−アミノフェニル)エタノールが0.43mmol、43%収率で、および4−エチルアニリンが0.03mmol、3%収率で生成していた。
[実施例8]
<4−ニトロ安息香酸エチルの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−ニトロ安息香酸エチル(196.9mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−アミノ安息香酸エチルを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−アミノ安息香酸エチルが164.7mg(0.997mmol、99%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 1.36 (t, J=7.2 Hz, 3H)、4.04 (br s, 2H)、4.32 (q, J=7.2 Hz, 2H)、6.64 (d, J=8.5 Hz, 2H)、7.86 (d, J=8.5 Hz, 2H)。
<4−ニトロ安息香酸エチルの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−ニトロ安息香酸エチル(196.9mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−アミノ安息香酸エチルを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−アミノ安息香酸エチルが164.7mg(0.997mmol、99%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 1.36 (t, J=7.2 Hz, 3H)、4.04 (br s, 2H)、4.32 (q, J=7.2 Hz, 2H)、6.64 (d, J=8.5 Hz, 2H)、7.86 (d, J=8.5 Hz, 2H)。
[実施例9]
<4−ニトロフェノールの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−ニトロフェノール(140.8mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−アミノフェノールを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−アミノフェノールが89.3mg(0.818mmol、81%収率,褐色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 3.43 (br s, 2H)、4.28 (br s, 1H)、6.60 (d, J=8.5 Hz, 2H)、6.67 (d, J=8.5 Hz, 2H)。
<4−ニトロフェノールの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに4−ニトロフェノール(140.8mg、1.01mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(20μL、0.20μmol、S/C=5,000)、反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様に行い、4−アミノフェノールを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、4−アミノフェノールが89.3mg(0.818mmol、81%収率,褐色結晶)生成していた。
1H NMR δ = 3.43 (br s, 2H)、4.28 (br s, 1H)、6.60 (d, J=8.5 Hz, 2H)、6.67 (d, J=8.5 Hz, 2H)。
[実施例10]
<N−(2−ニトロフェニル)ベンズアミドの水素化>
ニトロベンゼンの代わりにN−(2−ニトロフェニル)ベンズアミド(243.1mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様に行い、N−(2−アミノフェニル)ベンズアミドを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、N−(2−アミノフェニル)ベンズアミドが210.1mg(0.990mmol、99%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ= 3.88 (br s, 2H)、6.84-6.87 (m, 2H)、7.10 (distorted t, 1H)、7.34 (br d, J=6.7 Hz, 1H)、7.48-7.59 (m, 3H)、7.85 (br s, 1H)、7.91 (br d, J=6.7 Hz, 1H)。
<N−(2−ニトロフェニル)ベンズアミドの水素化>
ニトロベンゼンの代わりにN−(2−ニトロフェニル)ベンズアミド(243.1mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様に行い、N−(2−アミノフェニル)ベンズアミドを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製したところ、N−(2−アミノフェニル)ベンズアミドが210.1mg(0.990mmol、99%収率,無色結晶)生成していた。
1H NMR δ= 3.88 (br s, 2H)、6.84-6.87 (m, 2H)、7.10 (distorted t, 1H)、7.34 (br d, J=6.7 Hz, 1H)、7.48-7.59 (m, 3H)、7.85 (br s, 1H)、7.91 (br d, J=6.7 Hz, 1H)。
[実施例11]
<6−ニトロキノリンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに6−ニトロキノリン(174.1mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を23時間とした以外は実施例1と同様に行い、6−アミノキノリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製したところ、6−アミノキノリンが122.6mg(0.850mmol、85%収率,黄色結晶)生成していた。
1H NMR δ= 3.96 (br s, 2H)、6.91 (d, J=2.7 Hz, 1H)、7.17 (dd, J=6.7, 2.7 Hz, 1H)、7.25-7.29 (m, 1H)、7.91 (distorted d, 2H)、8.65-8.67 (m, 1H)。
<6−ニトロキノリンの水素化>
ニトロベンゼンの代わりに6−ニトロキノリン(174.1mg、1.00mmol)を使用し、THF(1mL)、水素化触媒のDMF分散液(50μL、0.50μmol、S/C=2,000)、反応時間を23時間とした以外は実施例1と同様に行い、6−アミノキノリンを得た。溶媒を減圧下留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで生成物を精製したところ、6−アミノキノリンが122.6mg(0.850mmol、85%収率,黄色結晶)生成していた。
1H NMR δ= 3.96 (br s, 2H)、6.91 (d, J=2.7 Hz, 1H)、7.17 (dd, J=6.7, 2.7 Hz, 1H)、7.25-7.29 (m, 1H)、7.91 (distorted d, 2H)、8.65-8.67 (m, 1H)。
本発明によれば、工業的に有利な製造条件下で、高純度の芳香族アミン化合物を高選択的に製造できる。その芳香族アミン化合物は医薬、農薬、染料、顔料およびその中間体として有用である。
Claims (7)
- 芳香族アミン化合物の製造方法であって、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒を用いて、芳香族ニトロ化合物を水素化することを含む、前記方法。
- 水素化触媒が液性媒体中に分散した状態で存在する、請求項1に記載の方法。
- 芳香族ニトロ化合物が、芳香族環にニトロ基以外の置換基を有する、請求項1または2に記載の方法。
- 置換基が、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基およびシアノ基からなる群から1または2個以上選択される、請求項3に記載の方法。
- 芳香族環に置換基を有する芳香族ニトロ化合物のニトロ基を選択的に水素化する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法に用いるための、アルキン化合物またはアルケン化合物とパラジウム粒子とを含む水素化触媒。
- 液性媒体中に分散した状態で存在する、請求項6に記載の水素化触媒。
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---|---|---|---|
JP2013045958A JP2014172847A (ja) | 2013-03-07 | 2013-03-07 | 芳香族アミン化合物の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016117688A (ja) * | 2014-12-22 | 2016-06-30 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | ジアミン化合物の製造方法 |
CN111790449A (zh) * | 2020-07-30 | 2020-10-20 | 泉州师范学院 | 一种铱纳米颗粒催化剂及其制备方法和在催化还原硝基化合物转化为氨基化合物的应用 |
-
2013
- 2013-03-07 JP JP2013045958A patent/JP2014172847A/ja active Pending
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CN111790449A (zh) * | 2020-07-30 | 2020-10-20 | 泉州师范学院 | 一种铱纳米颗粒催化剂及其制备方法和在催化还原硝基化合物转化为氨基化合物的应用 |
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