JP2014169481A - 竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層xが、炉中央部に偏在した状態でコークス層cと接するように形成される。原料層xとコークス層cとの接触を少なくすることにより、コークスの反応性が抑制され、その結果、コークスのガス化が抑制され、コークス使用量を削減することができる。
【選択図】図6
Description
例えば、鋳物工場における竪型溶解炉においては、外部から購入した銑鉄や、自所で発生した銑鉄の屑を鉄源として使用している。一方、主として鉄系スクラップを鉄源として銑鉄を生産する竪型溶解炉も存在している。ここでは便宜上、前者をキュポラ、後者をシャフト炉と呼ぶことにする。
キュポラやシャフト炉では、主として使用する鉄源は異なるが、コークスの燃焼熱を利用して鉄源を溶解することは共通である。
また、鉄源の一部として、酸化鉄を主体とした塊状の鉄鉱石、粉状の鉄鉱石を焼結したいわゆる焼結鉱、粉状の鉄鉱石を造粒したペレット、製鉄所で発生する鉄分を含むダストを塊成化したダスト塊成化物などを炉頂部から装入する場合もある。なお、ダストを塊成化する理由は、竪型溶解炉では炉下部から炉頂部に向かうガスの流れがあり、粉体のままでは炉頂装入したダストの一部又は全部がガス流に同伴して炉外に排出されてしまい、溶銑を得ることができないためである。
鉄源である酸化鉄は、炉頂部から装入された後、時間と共に炉下方の高温領域に降下していき、還元性のガス(COガス)またはコークスと接触して還元・溶融反応が進み、溶銑(溶融銑鉄)を得ることが可能である。
一方、コークスは送風中の酸素と反応して燃焼し、二酸化炭素(CO2)と熱を発生する(下記(1)式)。発生したCO2はコークスをガス化させ一酸化炭素(CO)となるが、この反応は吸熱反応である(下記(2)式)。したがって、吸熱反応を抑制できればコークス比の低減が可能である。高価なコークスの使用量が低減できれば、溶銑製造コストを削減することができる(なお、下記(1),(2)式は非特許文献1による)。
C+O2=CO2 (ΔH0 298=-393.5kJ/mol:発熱) …(1)
C+CO2=2CO (ΔH0 298=172.4kJ/mol:吸熱) …(2)
[1]竪型溶解炉の炉頂部から、原燃料として、鉄系スクラップを主体とする鉄源、コークス及び造滓剤を装入し、鉄源を主にコークスの燃焼熱により溶解して溶銑を製造する方法であって、
炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層(x)が、炉中央部に偏在した状態でコークス層(c)と接するように形成されることを特徴とする竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
[3]上記[1]又は[2]の製造方法において、CaO含有量が5mass%以上の原料は、少なくとも、CaO系造滓剤、鉄含有ダスト及び/又は鉄含有スラッジの塊成化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
(i)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部に原料層(x)がそれぞれ形成され、前記コークス層(c)の上層に原料層(y)が形成される。
(ii)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部の下部側に原料層(x)、炉中央部の上部側に原料層(y)がそれぞれ形成される。
(iii)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層にコークス層(c)が形成され、その上層の炉壁周辺部に原料層(y)、炉中央部に原料層(x)がそれぞれ形成される。
(iv)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部の下部側に原料層(y)、炉中央部の上部側に原料層(x)がそれぞれ形成される。
(ア)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成され、前記コークス層(c0)の上層に原料層(y0)が形成される。
(イ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部の下部側に原料層(x0)、バケット中央部の上部側に原料層(y0)がそれぞれ形成される。
(ウ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層にコークス層(c0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部に原料層(y0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
(エ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部の下部側に原料層(y0)、バケット中央部の上部側に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
炉頂部において前記バケット底部のゲートを開放することにより、バケット内の原燃料を炉内に装入することを特徴とする竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
(1)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
(2)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層にコークス層(c0)が形成され、その上層のバケット中央部に原料層(x0)が形成される。
炉頂部において前記バケット底部のゲートを開放することにより、バケット内の原燃料を炉内に装入した後、炉頂部に設けられた装入シュートからSiO2含有量が95mass%以上の原料を炉内に装入することにより、炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、各層が(i)又は(iii)の形態で形成されることを特徴とする竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
コークスは粒径20mm程度のものを50g用い、コークス単独でのガス化試験の場合には、コークスのみをルツボに充填した。コークスと石灰石又は珪石の混合物のガス化試験、コークスとダスト塊成化物の混合物のガス化試験の場合には、コークスの粒径や充填量は上記と同一とし、石灰石、珪石、ダスト塊成化物をコークスと同一粒径に調整した。石灰石若しくは珪石又はダスト塊成化物をコークスに10g程度均一に混合した。
コークス単独の場合、コークスと石灰石を混合した場合、コークスと珪石を混合した場合の各試験結果を図1に示す。この図1では、コークス単独の場合のガス化反応速度を“1.0”とし、副原料(珪石、石灰石)との混合条件でのコークスのガス化反応速度を指数化して示した。この試験結果では、コークスと珪石を混合した場合はガス化速度がやや遅くなり、コークスと石灰石と混合した場合はガス化反応速度が増大した。
試験に用いた副原料(石灰石、珪石)の組成と、ダスト塊成化物を構成するダスト(A,B)及びポルトランドセメントの組成を、コークスの灰分組成ととともに表1に示す。珪石の主成分はSiO2であるが、石灰石の主成分はCaOであり、両副原料の主成分は異なっている。また、コークス灰分の主たる成分はSiO2とAl2O3である。
まず、図3(A)に示されるコークス単独の場合、コークスのガス化により表面の炭素がガス化すると、その表面には灰分が残留する。この灰分は、上述したようにSiO2及びAl2O3からなる極めて高融点のものであり、容易には溶け落ちることはない。結果的にコークスの表面を覆い、反応ガスとの接触を妨げるので、ガス化速度はそれほど速くない。
以上のことから、CaOの含有率が高い物質については、コークスとなるべく接触しないように装入することにより、コークスの反応性を抑制することが可能であると考えられる。一方、珪石のようなSiO2の含有率が高い物質については、コークスとなるべく接触するように装入すれば、コークスの反応性の抑制に有効であると考えられる。
このガス化試験の結果、図4(a),(b)に示すように、コークスに接する物質のCaO含有量が5mass%以上となると、ガス化促進に切り替わることが判った。また、図4(c),(d)に示すように、コークスに接する物質のSiO2含有量が95mass%以上となると、ガス化抑制に切り替わることが判った。
鉄系スクラップには、鉄スクラップや鋳物スクラップなどがあるが、これらの1種以上を用いることができ、鉄源はこのような鉄系スクラップを主体とする(すなわち、鉄系スクラップの割合が50mass%以上)ものである。鉄系スクラップ以外の鉄源としては、鉄含有ダスト及び/又は鉄含有スラッジの塊成化物(以下、説明の便宜上、「鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物」という)、塊状の鉄鉱石、焼結鉱(粉状鉄鉱石を焼結したもの)、粉状鉄鉱石の造粒ペレットなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。なお、鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物の詳細については、後述する。
造滓剤としては、石灰石、珪石などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
また、以上の原燃料以外に、微粉炭、木炭、廃プラスチックなどの炭材を炉内に装入又は吹き込むようにしてもよい。
原燃料が装入された竪型溶解炉内では、鉄源を主にコークスの燃焼熱により溶解して溶銑が製造される。
また、炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、SiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層yは、コークス層cと接した状態で形成されることが好ましい。
ここで、炉壁周辺部とは、炉体水平断面において炉壁寄りの環状領域、炉中央部とは、その内側の領域である。
SiO2含有量が95mass%以上の原料としては、珪石などの非CaO系造滓剤が代表例であるが、これに限定されない。
なお、以下に説明する図6は炉本体1を縦断面した状態で示しており、また、図7〜図11及び図14〜図16はバケット2を縦断面した状態で示しているが、それらの断面のハッチングは省略してある。
本発明のより具体的な実施形態では、炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層Aは、少なくとも、鉄系スクラップ層s、コークス層c、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層x、及びSiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層yで構成されるとともに、各層が下記(i)〜(iv)のいずれかの形態で形成される。
(ii) 図6(B)に示されるように、最下層に鉄系スクラップ層s(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層c(コークス4)、炉中央部の下部側に原料層x(例えば、石灰石5b)、炉中央部の上部側に原料層y(例えば、珪石5a)がそれぞれ形成される。
(iii) 図6(C)に示されるように、最下層に鉄系スクラップ層s(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層にコークス層c(コークス4)が形成され、その上層の炉壁周辺部に原料層y(例えば、珪石5a)、炉中央部に原料層x(例えば、石灰石5b)がそれぞれ形成される。
(iv) 図6(D)に示されるように、最下層に鉄系スクラップ層s(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層c(コークス4)、炉中央部の下部側に原料層y(例えば、珪石5a)、炉中央部の上部側に原料層x(例えば、石灰石5b)がそれぞれ形成される。
なお、本発明の実施形態は、図6(A)〜(D)のものに限定されるものではない。
一般に、従来法におけるバケット2内での原燃料の分布状態(装入状態)は、図14に示すように、最下層に鉄系スクラップ3、その上にコークス4、さらにその上に副原料である石灰石5b(CaO系造滓剤=CaO含有量が5mass%以上の原料)と珪石5a(SiO2含有量が95mass%以上の原料)を、それぞれ層状に分布させており、バケット2から炉内に装入された場合にも、この分布状態が維持される。
なお、下記(ア)〜(エ)におけるバケット内壁周辺部とは、バケット水平断面においてバケット壁面寄りの環状領域、バケット中央部とは、その内側の領域である。
(イ) 図7(B)に示すように、最下層に鉄系スクラップ層s0(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層c0(コークス4)、バケット中央部の下部側に原料層x0(例えば、石灰石5b)、バケット中央部の上部側に原料層y0(例えば、珪石5a)がそれぞれ形成されるようにする。
(ウ) 図7(C)に示すように、最下層に鉄系スクラップ層s0(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層にコークス層c0(コークス4)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部に原料層y0(例えば、珪石5a)、バケット中央部に原料層x0(例えば、石灰石5b)がそれぞれ形成されるようにする。
(エ) 図7(D)に示すように、最下層に鉄系スクラップ層s0(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層c0(コークス4)、バケット中央部の下部側に原料層y0(例えば、珪石5a)、バケット中央部の上部側に原料層x0(例えば、石灰石5b)がそれぞれ形成されるようにする。
図15は、図14に対応した従来のバケット2内への原燃料の装入方法を示している。4つのホッパー9a〜9dは、それぞれスクラップ装入用ホッパー9a、コークス装入用ホッパー9b、石灰石装入用ホッパー9c、珪石装入用ホッパー9dである。バケット2は、まず最初にスクラップ装入用ホッパー9aの下で所定量の鉄スクラップ3が装入され、次いで、コークス装入用ホッパー9bの下に移動して、ここで所定量のコークス4が装入される。次に、バケット2は石灰石装入用ホッパー9cの下に移動して所定量の石灰石5bが装入され、最後に珪石装入用ホッパー9dの下に移動して所定量の珪石5aが装入される。この結果、バケット2内の原燃料は、図14のように層状に積み重ねられた状態となる。
図8は、バケット2内に図7(A)に示す原燃料層A0を形成するための装入方法であり、まず最初にバケット2は、スクラップ装入用ホッパー9aの下で所定量のスクラップ3を装入され、次いで、コークス装入用ホッパー9bの下に移動して、ここで所定量のコークス4が装入される。その際に、予め筒状の装入用ガイド12をバケット2の中心部に配置するとともに、笠形状をした装入用ガイド10をホッパーとバケット2間(装入用ガイド12の上端位置)に配置しておくと、コークス4は装入用ガイド12の外側(バケット内壁周辺部)にのみ装入される。次に、バケット2は石灰石装入用ホッパー9cの下に移動して所定量の石灰石5bが装入されるが、その際には、石灰石5bを筒状の装入用ガイド12の内部にのみ装入するようにする。なお、この装入時に、リング状で上面110が求心方向に下向きに傾斜した装入用ガイド11をホッパーとバケット2間に配置してもよい。その後、装入用ガイド12を抜き出し、最後に珪石装入用ホッパー9dの下に移動して珪石5aが装入されるが、その際、笠形状をした装入用ガイド10をホッパーとバケット2間に配置しておくことで、珪石5aをコークス4の上部のバケット内壁周辺部にのみ装入することができる。なお、珪石5aの装入は、装入用ガイド12を抜き出す前に行ってもよい。以上により、バケット2内への原燃料の装入が完了する。
図12はバケット内壁周辺部にのみ原燃料を装入するための装入用ガイド10を示すもので、図(A)は平面図、図(B)は側面図である。また、図13はバケット中央部にのみ原燃料を装入するための装入用ガイド11を示すもので、図(A)は平面図、図(B)は側面図である。
この実施形態では、底部に開放可能なゲート20を備えたバケット2に、SiO2含有量が95mass%以上の原料以外の原燃料を装入し、このバケット2から炉内への原燃料装入を行う。バケット2内の原燃料層A0は、少なくとも、鉄系スクラップ層s0、コークス層c0及びCaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層x0で構成されるとともに、最下層に鉄系スクラップ層s0(鉄系スクラップ3)が形成され、その上層にコークス層c0(コークス4)が形成され、その上層のバケット中央部に原料層x0(例えば、石灰石5b)が形成されるようにする。
鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物は、鉄含有ダスト、鉄含有スラッジの1種以上又はこれを主体とする原料を塊状に固めたものであればよく、したがって塊成化物の種類や製法を問わないが、一般には、鉄含有ダスト、鉄含有スラッジの1種以上に水硬性バインダーを配合し、さらに必要に応じて還元用の炭材粉などを配合した原料に水を加えて混合した後、成形し、この成形物を水和硬化させて塊成化物としたものが用いられる。
前記水硬性バインダーとしては、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメントなどの各種セメント、高炉水砕スラグ微粉末、生石灰などの1種以上を用いることができる。原料中の水硬性バインダーの配合量は、強度の発現及びスラグ生成量の抑制の観点から、一般に2〜25mass%程度とすることが好ましい。
成形物の形状は任意であるが、炉に装入した際の粉化をなるべく抑えるために角部が少ない方が好ましい。また、成形物の大きさも任意であるが、あまり小さいと竪型溶解炉に装入した際に炉の圧力損失を増大させ、一方、あまり大きいと竪型溶解炉に装入した際に塊成化物の中心部の昇温遅れによる還元・溶解遅れを生じるので、一般には容積で20〜2000cc程度のサイズが好ましい。
また、鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物としては、上述したような水硬性バインダーを用いて成形体を水和硬化させる製法以外の方法で製造されたものでもよい。例えば、水硬性バインダー以外のバインダー(例えば、糖蜜や有機バインダー)を用いて成形体を固化させることにより得られたものでもよい。
使用した原燃料の組成を表2に示す。鉄源は需給および経済性を考慮して複数の種類のものを混合して用いるのが一般的である。本実施例では、広く一般に用いられている(社)日本鉄源協会が制定する鉄スクラップ規格のうち、H2に相当するものを主として用いた(スクラップA)。この規格はスクラップのサイズに係わるものであり、成分の規格はないが、微量ではあるが付着する土砂などにより鉄以外の不純物を含んでいる。スラグ成分設計のためにはこれら不純物濃度が必要であるため、表2には鉄以外の組成に関して推定値を記載したが、ロットにより成分は変動するため、必ずしも成分が同一である必要はない。また、スクラップBは製鉄所内で発生した銑鉄の屑である。
なお、スラグの流動性を保つために、スラグ塩基度(スラグ中のCaO濃度(mass%)をSiO2濃度(mass%)で除した値)が一定値(0.92)となるように、造滓剤の配合量を適宜調整した。
表3に、本発明例と比較例の操業条件と排ガス組成などを示す。
この本発明例1では、低融点のスラグが生成してコークスの表面が清浄化され、ガス化反応が促進されるようなことがなかったため、ガス利用率は比較的高めであり、コークス比も180kg/tと低位であった。
この本発明例2では、低融点のスラグが生成してコークスの表面が清浄化され、ガス化反応が促進されるようなことがなかったため、ガス利用率は比較的高めであり、コークス比も182kg/tと低位であった。
この本発明例3では、低融点のスラグが生成してコークスの表面が清浄化され、ガス化反応が促進されるようなことがなかったため、ガス利用率は比較的高めであり、コークス比も185kg/tと低位であった。
この本発明例4では、低融点のスラグが生成してコークスの表面が清浄化され、ガス化反応が促進されるようなことがなかったため、ガス利用率は比較的高めであり、コークス比も183kg/tと低位であった。
この比較例1では、低融点のスラグが生成してコークスの表面を清浄化し、ガス化反応を促進するためにガス利用率は低下し、コークス比も201kg/tと高位となった。
2 バケット
3 鉄系スクラップ
4 コークス
5 造滓剤
5a 珪石
5b 石灰石
6 環状管
7 羽口
8 出銑口
9a,9b,9c,9d ホッパー
10,11,12 装入用ガイド
13 装入シュート
14 流量調整弁
20 ゲート
110 上面
A,A0 原燃料層
s,s0 鉄系スクラップ層
c,c0 コークス層
x,x0 CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層
y,y0 SiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層
Claims (6)
- 竪型溶解炉の炉頂部から、原燃料として、鉄系スクラップを主体とする鉄源、コークス及び造滓剤を装入し、鉄源を主にコークスの燃焼熱により溶解して溶銑を製造する方法であって、
炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層(x)が、炉中央部に偏在した状態でコークス層(c)と接するように形成されることを特徴とする竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。 - 炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、SiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層(y)が、コークス層(c)と接した状態で形成されることを特徴とする請求項1に記載の竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
- CaO含有量が5mass%以上の原料は、少なくとも、CaO系造滓剤、鉄含有ダスト及び/又は鉄含有スラッジの塊成化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
- 炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層は、少なくとも、鉄系スクラップ層(s)、コークス層(c)、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層(x)、及びSiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層(y)で構成されるとともに、各層は下記(i)〜(iv)のいずれかの形態で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
(i)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部に原料層(x)がそれぞれ形成され、前記コークス層(c)の上層に原料層(y)が形成される。
(ii)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部の下部側に原料層(x)、炉中央部の上部側に原料層(y)がそれぞれ形成される。
(iii)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層にコークス層(c)が形成され、その上層の炉壁周辺部に原料層(y)、炉中央部に原料層(x)がそれぞれ形成される。
(iv)最下層に鉄系スクラップ層(s)が形成され、その上層の炉壁周辺部にコークス層(c)、炉中央部の下部側に原料層(y)、炉中央部の上部側に原料層(x)がそれぞれ形成される。 - 底部に開放可能なゲートを備えたバケットに原燃料を装入し、該バケット内の原燃料層は、少なくとも、鉄系スクラップ層(s0)、コークス層(c0)、CaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層(x0)、及びSiO2含有量が95mass%以上の原料からなる原料層(y0)で構成されるとともに、各層が下記(ア)〜(エ)のいずれかの形態で形成されるようにし、
(ア)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成され、前記コークス層(c0)の上層に原料層(y0)が形成される。
(イ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部の下部側に原料層(x0)、バケット中央部の上部側に原料層(y0)がそれぞれ形成される。
(ウ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層にコークス層(c0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部に原料層(y0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
(エ)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部の下部側に原料層(y0)、バケット中央部の上部側に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
炉頂部において前記バケット底部のゲートを開放することにより、バケット内の原燃料を炉内に装入することを特徴とする請求項4に記載の竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。 - 底部に開放可能なゲートを備えたバケットに原燃料を装入し、該バケット内の原燃料層は、少なくとも、鉄系スクラップ層(s0)、コークス層(c0)及びCaO含有量が5mass%以上の原料からなる原料層(x0)で構成されるとともに、各層が下記(1)又は(2)の形態で形成されるようにし、
(1)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層のバケット内壁周辺部にコークス層(c0)、バケット中央部に原料層(x0)がそれぞれ形成される。
(2)最下層に鉄系スクラップ層(s0)が形成され、その上層にコークス層(c0)が形成され、その上層のバケット中央部に原料層(x0)が形成される。
炉頂部において前記バケット底部のゲートを開放することにより、バケット内の原燃料を炉内に装入した後、炉頂部に設けられた装入シュートからSiO2含有量が95mass%以上の原料を炉内に装入することにより、炉頂部からの1回分の原燃料装入で形成される原燃料層において、各層が(i)又は(iii)の形態で形成されることを特徴とする請求項4に記載の竪型溶解炉を用いた溶銑の製造方法。
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