JP2014168268A - Pon光伝送システム、局側装置及び光通信方法 - Google Patents

Pon光伝送システム、局側装置及び光通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長延化、多分岐化システムに適合するように距離に応じてLD電流値を制御することにより、省電力化と、光伝送路の波長分散特性の補償とを同時に実現する。
【解決手段】PON光伝送システムの局側装置OLTは、送信用光源としてのレーザ送信素子LDと、レーザ送信素子LDからの出力光を変調するEA変調器と、EA変調器からの出力光を増幅するための半導体光増幅器SOAと、レーザ送信素子を駆動するための駆動電流とEA変調器のEAバイアス電圧とを設定するバイアス制御部26とを備え、バイアス制御部26は、EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め設定し、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、レーザ送信素子LDの駆動電流量を調節することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを設定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、PON(Passive Optical Network)光伝送システム及び同システムに設置される局側装置並びに光通信方法に関し、特に半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)を含むレーザ送信装置(EML; Electro Absorption Modulator Laser Diode)を送信用光源とするPON光伝送システム、局側装置及び光通信方法に関するものである。
PON光伝送システムの局側装置で光信号をデータ信号で変調する方式として、光源であるレーザ送信素子(レーザダイオード;LD)に電気信号を加える内部変調方式と、光源から出力される光に対して、光源とは別の光変調器により変調する外部変調方式とがある。
外部変調方式はデータ信号の周波数が高くまで使用できるという利点があり、電気光学効果を利用したLN変調器と、半導体の電界吸収効果を利用した電界吸収型(Electro Absorption;EAという)の変調器とが注目されている。
特にEA変調器は小型で動作電圧が低く、LDと一体に製作でき、集積度が高いという特長を持つ。
一方、PON光伝送システムの光伝送路の距離が長くなっており、これに伴って、光伝送路の波長分散特性により、光伝送路に入射した光信号に波形歪が生じてしまい、長距離区間伝送が困難になるという問題がある。
この長距離区間伝送を容易にするため、非特許文献1は、電気光学効果を利用したLN変調器を対象にして、送信側でのプリチャーピングを用いた分散補償法を検討し、プリチャーピング・パラメータαと分散補償量の最適化を提案している。
プリチャーピング・パラメータαとは、屈折率および光の吸収量が変化したとき,それぞれの変化量の比(Δ屈折率/Δ吸収量)で表される変数である。電圧が変化したとき屈折率が変化しない条件(プリチャーピング・パラメータαが0)では、波長の変化がなくなり、波長チャープ(光強度変調時の光波長のゆらぎ)は生じない。しかし,電圧が変化したとき屈折率が変化する場合には,光の位相変化により等価的に波長が変化したように見え,波長チャープが生じる。
光ファイバが信号光に対して正の波長分散を有するときは、変調器側でブルーチャープ(チャーピングパラメータαが負)を与え、負の波長分散を有するときはレッドチャープ(チャーピングパラメータαが正)を与えれば伝送特性が改善される。これは、正の波長分散とブルーチャープの組み合わせ又は負の波長分散とレッドチャープの組み合わせにおいて、光パルスの立ち上がり部分よりも立ち下がり部分の方がファイバ内を速く進むので光パルスを圧縮する効果がもたらされるためである。
非特許文献1では、EA変調器への光入力パワーが0〜+10dBmの範囲において、送信波形にあらかじめ適度なチャーピングを生じさせておくこと(プリチャープ)で、波長分散による送信パワー増大要求(TDP;Transmitter Dispersion Penalty)を小さくすることが報告されている。
しかし、PON光伝送システムの長延化・多分岐化に伴い、プリチャープを例えば長距離伝送においてTDPが最小となる値に設定した時に、EA変調器の吸収量が大きくなり、送信光パワーが低下する。そのため、送信光パワーを大きくするためレーザ送信素子へ供給されるLD電流を大きくしなければならず、レーザ送信装置(EML)の消費電力増大、LD電流が増大することによる信頼性低下の問題、放熱対策によるサイズ増加などが生じる。
この課題に対して、半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)の使用により、EA変調器で低下した光パワーを補うことが考えられる。半導体光増幅器SOAとは、レーザ送信素子の共振器端面を低反射化することにより、半導体内の活性層を進行する光を誘導放出により増幅させる光増幅器である。その構造はファブリーペローレーザーダイオードに似ているが、端面に無反射層がコーティングされ、端面で反射しない設計となっている。
半導体光増幅器SOAにおいても、プリチャーピング・パラメータαが定義される。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは、式:α=ΓAgLI(ΔN/ΔI)α’で求められる。ここで、α’:線幅増大係数、α'=−(4π/λ)(dn/dg)、λ:波長、n:屈折率変化、g:利得、Γ:光閉じ込め率、Ag:差動利得、L:デバイス長、I:入力光強度、ΔN: キャリア密度変化である。
光入力パワーが弱くて半導体光増幅器SOAの利得が飽和していないときは、半導体光増幅器SOAの利得はほぼ一定であり、キャリア密度変化ΔN=0である。したがって、αはほぼ0となる。
光入力パワーが増加するに従って半導体光増幅器SOAの利得は飽和状態になり、利得は減少する。半導体光増幅器SOAのキャリア密度も減少する。その結果、屈折率が増大し、αは0から負に転じ、光入力パワーの増加とともにαの絶対値は大きくなる。
非特許文献2によれば、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを正に固定し、かつ半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを負に固定する(すなわち半導体光増幅器SOAを飽和領域で使用する)ことで、レーザ送信装置(EML)全体としての総合のプリチャーピング・パラメータを小さくでき、長距離区間伝送が可能であるという報告がされている。
石川丈二 他「10Gb/s SMF無中継伝送における分散補償法の検討」pp. 15-20, 信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE, OCS94-28(1994-06) 渡辺俊夫 他「半導体光増幅器を用いた10Gb/s信号光のチャープ制御」pp. 31-36, 信学技報 Technical Report of IEICE, OCS99-81(1999-11)
非特許文献2によれば、EA変調器の出力光信号波形は、波形の立ち上がり時点で瞬時光周波数が上昇し、立ち下り時点で低下する。EA変調器からの出力光信号を半導体光増幅器SOAに通過させた後の瞬時光周波数は、EA変調器の出力光信号波形とは逆に、波形の立ち上がり時点で瞬時光周波数が低下し、立ち下り時点で上昇している(同文献の図8の説明参照)。このことを利用して、EA変調器の出力光信号の正のチャープを負のチャープに変換することができる。
しかし非特許文献2は、PON光伝送システムの距離に応じたパラメータ(特にレーザ送信素子のLD電流)の再調整については、何ら示唆していない。
PON光伝送システムの短・中距離での使用においても、LD電流を長距離区間用の大きなLD電流値で使用することとすれば、レーザ送信素子のLD電流の負荷が増大し、省電力化が達成できないという問題が生じる。
よって、本発明の目的は、長延化、多分岐化システムに適合するように距離に応じてLD電流値を制御することで、省電力化と、光伝送路の波長分散特性の補償とが同時に実現できるPON光伝送システム、局側装置及び光通信方法を提供することにある。
本発明のPON光伝送システムは、局側装置において、送信用光源としてのレーザ送信素子と、レーザ送信素子からの出力光を変調するEA(Electro Absorption)変調器と、EA変調器からの出力光を増幅するための半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)と、レーザ送信素子を駆動するための駆動電流と、EA変調器のEAバイアス電圧とを設定するバイアス制御部とを備え、バイアス制御部は、EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め正の値に設定し、バイアス制御部は、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、レーザ送信素子の駆動電流量を調節することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを予め0又は負の値に設定する。
この構成によれば、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め正の値に設定しておくことで、EA変調器の光吸収量を小さくすることができ、EA変調器における光損失を最小限にできる。このため、レーザ送信素子の駆動電流量を小さくでき、レーザ送信素子の負荷軽減、局側装置の省電力化にメリットがある。
近距離伝送では、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を設定する。この結果、EA変調器と半導体光増幅器SOAとをあわせたプリチャーピング・パラメータは大きくなるが、近距離伝送なので伝送される光信号の波形歪の問題は生じない。
中距離伝送ではEA変調器と半導体光増幅器SOAとをあわせたプリチャーピング・パラメータをほぼ0にしたいため、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるように、レーザ送信素子の駆動電流量を設定する。LD電流は近距離伝送よりも大きくなるが、長距離区間伝送よりも小さくできる。
長距離区間伝送では、合計のプリチャーピング・パラメータをさらに負にしたいため、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるように、レーザ送信素子の駆動電流量を、中距離伝送よりも大きく設定する。中距離伝送よりLD電流はさらに大きくなるが、TDPを最適に設定することができ、ロスバジェット(ロスバジェット」とは、送信光パワーと光受信モジュールの受信感度の差で決まる光伝送路に許容される伝送損失値を言う)をより拡大することができる。
バイアス制御部は、距離区間の距離が長いほど、レーザ送信素子の出力光を入力する半導体光増幅器SOAの利得が飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を大きく設定し、距離区間の距離が短いほど、レーザ送信素子の出力光を入力する半導体光増幅器SOAの利得が非飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を小さく設定することが好ましい。
この結果、駆動電流制御部は距離区間の距離が短いほど半導体光増幅器SOAのαを0に近くするよう設定し、距離区間の距離が長いほど、半導体光増幅器SOAのαを0よりも小さくすることにより、合計のプリチャーピング・パラメータを負にすることができる。
本発明の局側装置及び光通信方法は、本発明のPON光伝送システムと実質同一発明にかかるものである。
以上のように本発明によれば、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαが結果的に変更され、2つのプリチャーピング・パラメータの相加効果により、局側装置と複数の宅側装置との間の距離の長短にかかわらず、一つのシステム仕様で、省電力化と、光伝送路の波長分散特性の補償とを同時に実現することができる。
局側装置OLTと複数の宅側装置ONUとの間を、光カプラを介して光ファイバで接続したPON光伝送システムの構成例を示す概略図である。 PON光伝送システムの宅側装置ONUに備えられ、レーザ送信素子LDを光源としてデータバッファメモリに蓄積されたデータを送信する光送信装置を示すブロック構成図である。 局側装置の光送信部18の詳細なブロック構成図である。 ディスカバリ手順を説明するためのフローチャートである。 半導体光増幅器SOAの入力光パワー(レーザ送信素子LDのLD電流に換算)、増幅利得及びプリチャーピング・パラメータの関係を図解するグラフである。 EA変調器のプリチャーピング・パラメータαと消光比との関係を示すグラフである。 LD電流とEA変調後光出力パワーの関係を示すグラフである。 半導体光増幅器SOAへの入力光パワー(LD電流に換算)と半導体光増幅器SOAの利得との関係、LD電流と半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαとの関係を示すグラフである。 LD電流と半導体光増幅器SOAの光出力パワーとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、PON光伝送システムのネットワーク構成例を示す概略図である。
PON光伝送システムは、局舎に備えられる局側装置OLTと複数の加入者に備えられる宅側装置ONUとが、光ファイバ及び光カプラOCを介して接続されている。
宅側装置ONUは、加入者宅内に設置されるパーソナルコンピュータなどの光ネットワークサービスを享受するための端末を接続するネットワークインタフェースを備えている。
光カプラOCは、特に外部からの電源供給を必要とせず入力された信号から受動的に信号を分岐・多重するスターカプラで構成されている。
局側装置OLT及び光カプラOC、光カプラOC及び宅側装置ONUに接続されている光ファイバは、それぞれ1本の光ファイバからなるシングルモードファイバを用いている。つまり、1台の局側装置OLTは、1本の幹線光ファイバを通して第1の光カプラOCに接続されている。そして、第1の光カプラOCは、必要であればM台の第2の光カプラOC(Mは、この例では2の数)と光ファイバで接続している。そして、第1、第2の光カプラOCは、複数の宅側装置ONUと、支線光ファイバで接続されている。よって、1局の局側装置OLTが送受する信号は、2段の光カプラOCによって、複数台の宅側装置ONUに分配される。なお、光カプラOCや宅側装置ONUの台数は例示であるにすぎない。
本発明の実施形態の光伝送システムは、PON光伝送システムに、イーサネット(イーサネット(Ethernet)は登録商標である)の技術を取り込み、Gbps台のベースバンド速度で光ファイバのアクセス区間通信を実現するGE−PON光伝送システム(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)方式を採用している。
GE−PON光伝送システム方式に従えば、局側装置OLT及び宅側装置ONUの相互の通信は、可変長なフレームを単位として行われる。
まず、上位のネットワークから放送形態で各局側装置OLTに入ってくる下りフレームは、局側装置OLTにおいて所定の処理が行われ、中継されるべき論理リンク(MPCPリンクという)が特定される。そして、局側装置OLTを通して、光信号として光ファイバに送信される。光ファイバに送信させた光信号は、光カプラOCで分岐され、光カプラOCにつながる宅側装置ONUに送信されるが、当該MPCPリンクを構成する宅側装置ONUのみが所定の下りフレームを取り込み、フレームを宅内ネットワークインタフェースに中継する。
一方、上り光信号には、それぞれの宅側装置ONUからの上りフレームが含まれている。上り光信号は、それぞれの宅側装置ONUからの光信号どうしが互いに時間的に競合しないように送信される必要がある。そのために、局側装置OLTは、各宅側装置ONUに対して上り光信号を送信してもよい期間ウィンドウ(以下、単に「ウィンドウ」という)を割り当て、上り帯域割当用制御フレームとして通知する。ウィンドウを割り当てられた宅側装置ONUは、その割り当てられたウィンドウ期間に上り光信号を送信する。この上り光信号を「バースト光信号」という。バースト光信号は、各宅側装置ONUから送信され、ベースバンド信号で発光状態を変化させた、有限時間の光信号列である。
したがって、各宅側装置ONU間の上り光信号の競合は回避される。各宅側装置ONUは、あるウィンドウが与えられたとき、そのウィンドウに収まる限りフレームを連続して送信してよい。そして、局側装置OLTは、各宅側装置ONUからの一連のフレーム信号を含んだバースト光信号を受信することができる。
局側装置OLTと複数の宅側装置ONUとの間の距離は、複数の宅側装置ONUごとに異なることは言うまでもないが、本発明の実施形態では、局側装置OLTと複数の宅側装置ONUとの間の各距離に大きなばらつきはないものとする。すなわち、局側装置OLTが装備される局舎から見れば、複数の加入者宅は局舎から離れた一定の地域に分布して存在しているものとする。
そこで複数の距離区間を設定し、局側装置OLTと複数の宅側装置ONUとの間の各距離が何れか1つの距離区間に入るようにする。複数の距離区間として、例えば、5〜15kmの距離区間1,15〜30kmの距離区間2,30km以上の距離区間3などを設定する。距離区間1を称するときは、10kmという代表的な距離を用いて、「10km区間」と言い、距離区間2を称するときは「20km区間」と言い、距離区間3を称するときは「40km区間」などと言う。
図2は、本実施の形態における局側装置10(OLT)のブロック構成図である。
局側装置10は、波長多重素子を用いて光信号を伝搬方向に応じて分離する光合分波部12と、受信した光信号を電気信号に変換する光受信部13と、PON光伝送システム側受信部14と、PON光伝送システム側送信部15と、データ中継処理部16と、局側信号処理部17と、送信する電気信号を光信号に変換する光送信部18と、上位ネットワーク送信部19と、上位ネットワーク受信部20とを有する。
PON光伝送システム側受信部14は、宅側装置ONUから受信した電気信号を構成するフレームのヘッダ部分を読み取ることにより、当該フレームがデータフレームであるか、レジスタリクエストフレームであるか、又はレポートフレームであるか等を判定する。
この判定の結果、フレームがデータフレームであれば、PON光伝送システム側受信部14はこれをデータ中継処理部16に送る。データ中継処理部16は、上位ネットワークに対する送信制御等の所定の中継処理を行い、処理後のフレームは上位ネットワーク送信部19を通して上位ネットワークへ送出される。
また、判定の結果、フレームがレジスタリクエストフレーム、又は、レポートフレームであれば、PON光伝送システム側受信部14はこれを局側信号処理部17に転送する。
局側信号処理部17は、レジスタリクエストフレームの場合、後述するディスカバリ手順の結果得られたRTT(ラウンドタイムトリップ)に基づいて、局側装置OLTと複数の宅側装置ONU間の距離を取得し、登録されている宅側装置ONUの中で最も遠い距離がいずれの距離区間に入るか、その距離区間の情報を光送信部18に送る。光送信部18は、その距離区間情報を記録部(図3の“21”参照)へ保存し、その距離区間情報に基づいてEAバイアス制御回路によるバイアス制御部の制御を行う。レポートフレームの場合、局側信号処理部17は、このレポートに基づいて制御情報としてのゲートフレームを生成し、このゲートフレームを、PON光伝送システム側送信部15に送り、光送信部18を経由して下り方向へ光送信させる。
またPON光伝送システム側送信部15は、上位ネットワーク受信部20を通して取得した電気信号を構成するデータフレームを、宅側装置ONUに向けて送信する。
図3は、局側装置10の光送信部18の詳細なブロック構成図である。
光送信部18は、距離区間情報を記憶する記録部21と、送信データのクロスポイントを制御するクロスポイント制御部22と、送信データの消光比を制御する変調振幅制御部23と、EA変調器にEAバイアス電圧を供給するEAバイアス制御回路24と、光信号を送出するレーザ送信素子LDにバイアス電流を供給するLDバイアス制御回路25と、半導体光増幅器SOAにバイアス電流を供給するSOAバイアス制御回路28と、EAバイアス制御回路24、LDバイアス制御回路25及びSOAバイアス制御回路28を制御するバイアス制御部26と、レーザ送信素子LD及びEA変調器を含み電気信号を光信号に変換する送信用光源EMLと、TECバイアス制御部27とを有している。
送信用光源EMLには、レーザ送信素子LD、EA変調器、半導体光増幅器SOA及びフォトダイオードPDが搭載されているとともに、ペルチェ素子TECとサーミスタが内蔵され、TECバイアス制御部27により、送信用光源EMLの温度を一定に保つようにしている。またLDバイアス制御回路25は、レーザ送信素子LDの発光出力が所定の出力になるようにバイアス駆動電流(LD電流という)を定めている。それとともに、フォトダイオードPDの受光強度信号に基づいて、レーザ送信素子LDの発光出力を一定に保つように、LD電流を微調整(フィードバック制御)している。
バイアス制御部26は、EA変調器に供給するEAバイアス電圧を設定し、EAバイアス制御回路24を通してEA変調器に供給する。バイアス制御部26は、距離区間情報に基づいて半導体光増幅器SOAへの駆動電流を設定し、SOAバイアス制御回路28を通して供給する。
本発明では、バイアス制御部26は、EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め設定する。また局側装置と宅側装置との間の距離に応じて、レーザ送信素子LDへのLD電流量を設定することにより、結果として半導体光増幅器SOAの利得を調整し、プリチャーピング・パラメータαを可変する。
図4は、半導体光増幅器SOAの入力光パワー(レーザ送信素子LDのLD電流に換算)、増幅利得及びSOAのプリチャーピング・パラメータαの相互の一般的な関係を図解するグラフである。
このグラフから、半導体光増幅器SOAには、入力光パワーが増大しても利得が一定である非飽和領域と、入力光パワーが増大すると利得が低下していく飽和領域とがある。半導体光増幅器SOAを飽和領域と非飽和領域との境界(3dB飽和入力パワーという)又はそれ以上の入力パワーで使用すると、信号光の立ち上がりで半導体光増幅器SOAのキャリア密度が減少し、屈折率が増大する。その結果、半導体光増幅器SOAから出力される信号光は位相変調を受け、光信号波形の立ち上がりで瞬時光周波数が低下することになる。これを利用して、EA変調器を通して入力される信号光の正チャープを負のチャープに変換することができる。
半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは、信号光の立ち上がりで半導体光増幅器SOAのキャリア密度が減少し、屈折率が増大する現象を表すためのパラメータである。図4に示すように、飽和領域においてα=0のときは、「半導体光増幅器SOAのキャリア密度が減少し、屈折率が増大し瞬時光周波数が変化する現象」は発生せず、非飽和領域に入ってαが負に大きくなるほど、前述した現象は多く発生する。
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが正、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαが負の場合、EA変調器においては、光信号波形の瞬時光周波数は立ち上がりで上昇し、立ち下がりで低下する。半導体光増幅器SOAにおいては、瞬時光周波数は立ち上がりで低下し、立ち下りで上昇する。
この半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαと、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαとは相加され、送信用光源のプリチャーピング・パラメータαとなる。この送信用光源のプリチャーピング・パラメータαによって、半導体光増幅器SOAの出力光の周波数変動は評価される。
本願発明では、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαをどの距離においても正に固定して使用する。これにより、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを負に固定した場合に比べて、EA変調後の光出力パワーがより大きくなるため、同じ光出力パワーを得るならば、LD電流を小さくできる。
しかし、長距離区間伝送時には送信用光源のプリチャーピング・パラメータαが負である必要がある。そこで、バイアス制御部26においてLD電流を制御することで半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを任意に設定可能としている。
α設定の方針は、図4を用いて説明したように、LD電流を飽和領域で使用すると半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαが負へ大きくなり、非飽和領域で使用すると半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは0になることを利用して、距離情報によりLD電流を制御することである。
この結果、短距離区間では、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを正に固定する。負に固定した場合に比べて、EA変調後の光出力パワーがより大きくなるため、同じ光出力パワーを得るならば、LD電流を小さくできる、という前述した効果がそのまま得られる。
中・長距離区間では、LD電流を、距離が長いほど大きく設定することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαが負になるように設定する。このように、距離に応じてLD電流を設定することで、省電力化と、TDPを規格に適合させることの2つを、両立させることができる。
本実施の形態によれば、(1)距離区間情報を取得するためのディスカバリプロセスを実行し、(2)得られたRTT(ラウンドタイムトリップ)から各宅側装置との距離を計算し、宅側装置との距離区間を記録部21へ保存し、(3)バイアス制御部26はその距離情報に基づいてLDバイアス制御回路25を制御する。
図5はディスカバリ手順によって距離区間情報を取得する処理を説明するためのフローチャートである。この手順では、距離区間として、10km, 20km, 40kmの3種類を想定しているが、この数値に限られるものではない。
局側信号処理部17は、ステップS1において、すでにディスカバリ手順等により、光送信部18の記録部21に距離区間情報が登録されているかどうかを確認し(ステップS1)、距離区間情報が登録されている場合は、その距離区間情報に基づく光送信部18のバイアス電圧、送信光パワーなどの設定値をバイアス制御部26へ送信する(ステップS2)。
局側装置OLTは、設定値に基づき、上り送信許可メッセージ(Discovery_Gate)をすべての宅側装置ONUに向けて送信する(ステップS3)。上り送信許可メッセージには、局側装置OLTのローカル時間T1が記載されており、未登録の宅側装置ONUは、宅側装置ONUのクロックを上り送信許可メッセージに記載されている時刻に合わせ、局側装置OLTと時刻の同期をとる。宅側装置ONUは、上り送信許可メッセージに指定された許可時間からランダム時間待った後、局側装置OLTへ登録要求(Register_Request)を送信する。
局側信号処理部17は、登録要求を受信した時間と宅側装置ONUからの時間情報とから、局側装置OLTと宅側装置ONU間の各距離を計算する(ステップS4)。そして最も遠い宅側装置ONUの距離が含まれる距離区間を決定して光送信部18の記録部21へ保存する。
新たに保存された距離区間情報が、すでに登録されている距離区間情報と比較して遠いかどうか判定する(ステップS5)。YESの場合は、光送信部18に最も遠い距離区間情報を送信し記録部21に保存し(ステップS6)、当該距離区間情報による光送信部18のバイアス電圧、送信光パワーなどの設定値をバイアス制御部26へ送信する(ステップS7)。このようにして、距離区間情報が更新された場合、光送信部18の記録部21を更新することができる。
局側信号処理部17は、ステップS1で記録部21に距離区間情報が保存されていない場合(例えばシステム起動後、初めてのディスカバリ)は、宅側装置ONUが1台も登録されていない状態である。このときは、一番遠い距離区間情報を光送信部18へ送信する(ステップS10)。そして光送信部18のバイアス電圧、送信光パワーなどの設定値をバイアス制御部26へ送信する(ステップS11)。
局側信号処理部17は、設定値に基づき、上り送信許可メッセージ(Discovery_Gate)をすべての宅側装置ONUに向けて送信する(ステップS12)。局側信号処理部17は、登録要求(Register_Request)を受信した時間と宅側装置ONUの時間情報から局側装置OLTと宅側装置ONU間の各距離を計算し登録する(ステップS13)。
次に登録された距離が1件以上あるかどうかを調べ(ステップS14)、もしあれば、光送信部18に最も遠い距離が含まれる距離区間情報を記録部21に保存し(ステップS15)、当該距離区間情報に対応する設定値を制御部へ送信する(ステップS16)。
ステップS14において、宅側装置ONUが登録されない場合(距離区間情報40kmに対応する設定値ではディスカバリが成功しなかった場合)は、ステップS21に進み、現在の距離区間情報が10kmであるかどうかを確認し、“NO”の場合はステップS22に進み、現在の距離区間情報が40kmであるかどうかを確認し、“YES”の場合は、距離区間情報20kmを光送信部18へ送信する(ステップS23)。以後、ステップS11からS14の処理を行い、登録された距離が1件以上あるかどうかを調べ(ステップS14)、もしあれば、光送信部18に最も遠い距離が含まれる距離区間情報を記録部21に保存し(ステップS15)、当該距離区間情報に対応する設定値をバイアス制御部へ送信する(ステップS16)。
もしステップS14で宅側装置ONUが登録されない場合(距離区間情報40km,20kmに対応する設定値ではディスカバリが成功しなかった場合)は、ステップS21に進み、現在の距離区間情報が10kmであるかどうかを確認し、“NO”の場合はステップS22に進み、現在の距離区間情報が40kmであるかどうかを確認する。“NO”の場合は、距離区間情報10kmを光送信部18へ送信する(ステップS24)。以後、ステップS11からS14の処理を行い、登録された距離が1件以上あるかどうかを調べ(ステップS14)、もしあれば、光送信部18に最も遠い距離が含まれる距離区間情報を記録部21に保存し(ステップS15)、当該距離区間情報に対応する設定値をバイアス制御部へ送信する(ステップS16)。
もしこれでも宅側装置ONUが登録されない場合(距離区間情報40km,20km,10kmに対応する設定値ではディスカバリが成功しなかった場合)は、ステップS21に進み、現在の距離区間情報が10kmであるかどうかを確認し、“YES”の場合は宅側装置ONUが1台も登録されない状態であり、ディスカバリに失敗したと判断してディスカバリ処理を抜ける。
このような図5のディスカバリ手順を定期的に行う。
以上のディスカバリ手順では、光送信部18のバイアス制御部26の設定値は、光送信部18の記録部21に距離区間情報がない場合、距離区間40kmの設定値でディスカバリを行い、1台も宅側装置ONUをディスカバリできない場合は距離区間20kmの設定値でディスカバリを行い、1台も宅側装置ONUをディスカバリできない場合は距離区間10kmの設定値でディスカバリを行う。これにより、ディスバリ手順実行時には、複数の宅側装置と局側装置との距離が、いずれの距離区間に該当するか不明な場合でも、各距離区間に対応した複数のLD電流などの設定値をそれぞれ設定して各ディスバリ手順を実行することができる。
局側装置と複数の宅側装置との距離が、いずれの距離区間に該当するかに応じて、各距離区間に対応したLD電流などの設定値を決定する手順を、実際の計算例を参照しながら説明する。この実施例では距離区間として、10km, 60kmの2種類の区間を想定するが、本発明はこれに限られるものではない。3種類、あるいはそれ以上の区間を想定しても良く、キロメートルの数値もこれに限定されるものではない。
(1)半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαの設定
(1−1)比較例
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを−0.67に固定すると60km伝送までの送信パワー増大要求(TDP;Transmitter Dispersion Penalty)は1.5dB以下であるという報告(非特許文献2)に基づき、距離区間にかかわらず、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを−0.7に固定する。また半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは0に固定する。
(1−2)実施例
(a)短距離区間用設定
10km伝送を想定する。EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5のときにTDP1.5dB以下であるという報告(非特許文献1)に基づき、EA変調器のα=0.5とした。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは、10km伝送のような短距離の場合、α=0とした。
(b)長距離区間用設定
60km伝送を想定する。EA変調器のプリチャーピング・パラメータα=0.5のときにTDPは1.5dB以下であるという報告(非特許文献1)に基づき、EA変調器のα=0.5とした。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαは負にした。
半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを負にすることで、正のチャープを負のチャープに変換することができる。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαが負の方向に大きくなればなるほど、TDPが小さくなることが期待できるが、LD電流量が大きくなることから、TDPを小さくすることと、LD電流量を小さくすることとの兼ね合いから、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを、α=−1.2とした。
(1−3)結果
Figure 2014168268
表1は、EA変調器のプリチャーピング・パラメータα、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを設定した場合に、距離ごと(10km,60km)のTDPを計算した結果を示す。
表1の左欄は、短距離区間用設定(EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータα0)の光信号を、10km伝送に適用した場合に、TDPが1となり、60km伝送に適用した場合にTDPが4.5となることを示す。
表1の中欄は、長距離区間用設定(EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータα1.2)の光信号を、10km伝送に適用した場合にTDPが0.9となり、60km伝送に適用した場合にTDPが1.4となることを示す。
表1の右欄は、距離を考慮しない従来の設定(EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが−0.7、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータα0)の光信号を、10km伝送に適用したときTDPが0.9となり、60km伝送に適用したときTDPが1.4となることを示す。
(2)LD電流の設定
図6は、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαと消光比との関係を示すグラフである。図7は、LD電流とEA変調後光出力パワーの関係を示すグラフである。
本実施例では、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを正の値0.5に固定して使用する。比較例では、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを負の値−0.7に固定して使用する。α=0.5(実施例)とα=−0.7(比較例)では、EA変調器の吸収特性を示す消光比に8dBの差があり、EA α=0.5の方が、吸収が少ない。
図7より、LD電流を変化させ、EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを0.5に固定したときのEA変調後の光出力パワーは、比較例(EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを−0.7に固定)より、LD電流の範囲にわたって、4dB大きくなっていることが分かる。
図8は、半導体光増幅器SOAへの入力光パワー(LD電流に換算)と半導体光増幅器SOA利得との関係、LD電流と半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαとの関係を示すグラフである。曲線AはEA変調器のプリチャーピング・パラメータαを−0.7にしたときの半導体光増幅器SOAの利得、曲線Bは半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαを表す。曲線CはEA変調器のプリチャーピング・パラメータαを0にしたときの半導体光増幅器SOAの利得、曲線Dは半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαを表す。図9は、LD電流と半導体光増幅器SOA光出力パワーの関係を示すグラフであり、図7のEA変調後光出力パワーに、図8の半導体光増幅器SOA利得(曲線C,D)をグラフ上で足し算した結果が図9になる。
(2−1)比較例
LD電流の設定条件は、(a)EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが−0.7であり、半導体光増幅器SOAのαが0であること、(b)10G-EPON(PRX50)とX-GPON(N2b)の規格に適応するため、半導体光増幅器SOA光出力パワーが、10.5dBm−12.0dBmの範囲内であること、である。
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが−0.7のとき、LD電流と半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαとの関係は、図8の曲線Bで表される。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを0で使用するためのLD電流は65mAとなる。このとき半導体光増幅器SOAの利得は曲線Aから12dBとなる。このLD電流65mAは、半導体光増幅器SOAを非飽和領域で使用するための上限値となり、これよりLD電流が大きくなれば、飽和領域に入ってしまう。また、このLD電流65mAを採用することによって、図9に示すように、半導体光増幅器SOA光出力パワー10.5dBmを確保することができる。
(2−2)実施例
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを正(0.5)に固定して使用する。半導体光増幅器SOA駆動電流は、LD電流の設定に対しても広範囲で半導体光増幅器SOA光出力パワーを10.5dBm−12.0dBm範囲内に設定できるように、80mA固定とした。
(a)短距離区間用設定
LD電流の設定条件は、(a)EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5であり、半導体光増幅器SOA α=0dBであること、(b)10G-EPON(PRX50)とX-GPON(N2b)の規格に適応するため、半導体光増幅器SOA光出力パワーが、10.5dBm−12.0dBmの範囲内であること、である。
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5のとき、LD電流と半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαとの関係は、図8の曲線Dで表される。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを0で使用するためのLD電流は40mAとなる。このとき半導体光増幅器SOAの利得は曲線Cから12dBとなる。このLD電流40mAは、半導体光増幅器SOAを非飽和領域で使用するための上限値となり、これよりLD電流が大きくなれば飽和領域に入ってしまう。また、このLD電流40mAを採用することによって、図9に示すように、半導体光増幅器SOA光出力パワー10.5dBmを確保することができる。よって、LD電流は40mAと設定する。
LD電流の比較例からの削減量は65mA(比較例)−40mA(実施例)=25mAとなる。
(b)長距離区間用設定
60km伝送を想定する。LD電流の設定条件は、(a)EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5であり、半導体光増幅器SOA α=−1.2であること、(b)10G-EPON(PRX50)とX-GPON(N2b)の規格に適応するため、半導体光増幅器SOA光出力パワーが、10.5dBm−12.0dBmの範囲内であること、である。
EA変調器のプリチャーピング・パラメータαが0.5のとき、LD電流と半導体光増幅器SOAのプリチャーピングのパラメータαとの関係は、図8の曲線Dで表される。半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを−1.2で使用するためのLD電流は60mAとなる。この60mAという電流値は、半導体光増幅器SOAを飽和領域で使用することになる。このとき半導体光増幅器SOAの利得は曲線Dから9dBとなる。このLD電流60mAを採用することによって、図9に示すように、半導体光増幅器SOA光出力パワー10.9dBmを確保することができる。よって、LD電流は60mAと設定する。
LD電流の比較例からの削減量は65mA(比較例)−60mA(実施例)=5mAとなる。
(3)以上をまとめると、表2のようになる。
Figure 2014168268
短距離区間でのLD電流削減効果は25mAであり、長距離区間でのLD電流削減効果は5mAである。実施例では、波長分散によるTDPを、比較例と同等のTDP1.5dB以下とし、LD電流量を小さくすることで、LD負荷を軽減することができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、今回開示された実施の形態はすべて例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、距離区間の数を増やすこと、または隣り合う距離区間の範囲に重なりが生じるように設定しても、本発明は実施できる。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 局側装置
12 光合分波部
13 光受信部
14 PON光伝送システム側受信部
15 PON光伝送システム側送信部
16 データ中継処理部
17 局側信号処理部
18 光送信部
21 記録部
24 EAバイアス制御回路
25 LDバイアス制御回路
26 バイアス制御部
28 SOAバイアス制御部
本発明のPON光伝送システムは、局側装置において、送信用光源としてのレーザ送信素子と、その出力光を増幅するための半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)と、レーザ送信素子を駆動するための駆動電流を設定するバイアス制御部とを備え、バイアス制御部は、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、レーザ送信素子の駆動電流量を調節することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを予め0又は負の値に設定する。
この構成によれば、近距離伝送では、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を設定する。この結果、プリチャーピング・パラメータは大きくなるが、近距離伝送なので伝送される光信号の波形歪の問題は生じない。
中距離伝送ではプリチャーピング・パラメータをほぼ0にしたいため、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるように、レーザ送信素子の駆動電流量を設定する。LD電流は近距離伝送よりも大きくなるが、長距離区間伝送よりも小さくできる。
長距離区間伝送では、プリチャーピング・パラメータをさらに負にしたいため、半導体光増幅器SOAを、その利得が非飽和領域になるように、レーザ送信素子の駆動電流量を、中距離伝送よりも大きく設定する。中距離伝送よりLD電流はさらに大きくなるが、TDPを最適に設定することができ、ロスバジェット(ロスバジェット」とは、送信光パワーと光受信モジュールの受信感度の差で決まる光伝送路に許容される伝送損失値を言う)をより拡大することができる。
この結果、駆動電流制御部は距離区間の距離が短いほど半導体光増幅器SOAのαを0に近くするよう設定し、距離区間の距離が長いほど、半導体光増幅器SOAのαを0よりも小さくすることにより、合計のプリチャーピング・パラメータを負にすることができる。
前記バイアス制御部は、局側装置からの距離が相対的に長い距離区間に対するプリチャーピング・パラメータαの絶対値が、局側装置からの距離が相対的に短い距離区間に対するプリチャーピング・パラメータαの絶対値と等しいか又は大きくなるように設定するものであってもよい。
本発明の局側装置及び光通信方法は、本発明のPON光伝送システムと実質同一発明にかかるものである。

Claims (4)

  1. 局側装置と複数の宅側装置との間で光分岐器を介して光通信を行うPON(Passive Optical Network)光伝送システムにおいて、
    前記局側装置は、送信用光源としてのレーザ送信素子と、前記レーザ送信素子からの出力光を変調するEA(Electro Absorption)変調器と、前記EA変調器からの出力光を増幅するための半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)と、前記レーザ送信素子を駆動するための駆動電流と、前記EA変調器のEAバイアス電圧とを設定するバイアス制御部とを備え、
    前記バイアス制御部は、前記EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、前記EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め正の値に設定し、
    前記バイアス制御部は、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、前記レーザ送信素子の駆動電流量を設定することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを予め0又は負の値に設定することを特徴とする、PON光伝送システム。
  2. 前記バイアス制御部は、前記距離区間の距離が長いほど、レーザ送信素子の出力光を入力する前記半導体光増幅器SOAの利得が飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を大きく設定し、距離区間の距離が短いほど、レーザ送信素子の出力光を入力する前記半導体光増幅器SOAの利得が非飽和領域になるようにレーザ送信素子の駆動電流量を小さく設定する、請求項1に記載のPON光伝送システム。
  3. 局側装置と複数の宅側装置との間で光分岐器を介して光通信を行うPON(Passive Optical Network)光伝送システムに用いられる局側装置であって、
    前記局側装置は、送信用光源としてのレーザ送信素子と、前記レーザ送信素子からの出力光を変調するEA(Electro Absorption)変調器と、前記EA変調器からの出力光を増幅するための半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)と、前記レーザ送信素子を駆動するための駆動電流と、前記EA変調器のEAバイアス電圧とを設定するバイアス制御部とを備え、
    前記バイアス制御部は、前記EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、前記EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め正の値に設定し、
    前記バイアス制御部は、局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、前記レーザ送信素子の駆動電流量を設定することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを予め0又は負の値に設定することを特徴とする、局側装置。
  4. 局側装置と複数の宅側装置との間で光分岐器を介して光通信を行うPON(Passive Optical Network)光伝送システムに設置された局側装置が行う光通信方法であって、
    送信用光源としてのレーザ送信素子と、前記レーザ送信素子からの出力光を変調するEA(Electro Absorption)変調器と、前記EA変調器からの出力光を増幅するための半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)とを用意し、
    前記EA変調器のEAバイアス電圧を制御することにより、前記EA変調器のプリチャーピング・パラメータαを予め正の値に設定し、
    局側装置と複数の宅側装置との間の距離区間情報に応じて、前記レーザ送信素子の駆動電流量を設定することにより、半導体光増幅器SOAのプリチャーピング・パラメータαを予め0又は負の値に設定することを特徴とする、光通信方法。
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