以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の充電装置を含む充電システムの概要図である。本例の充電装置1は、給電側の車両のバッテリの電力により、受電側の車両のバッテリを充電する充電装置であって、主に、電欠の電気自動車を救援するためのセーフティーネットとして利用される装置である。
図1に示すように、本例の充電システムは、充電装置1と、バッテリの充電容量が高い救援車両2と、バッテリの充電容量が低い電欠車両3と、救援側ケーブル4と、電欠側ケーブル5とを有している。電欠車両は、バッテリに充電される容量が低く、車両を走行するために必要な容量を有していない車両である。本例の充電装置1の使用場面としては、電欠車両3を救済するために、救援車両2が、充電装置1をトランクに載せて、電欠車両3の場所まで走行する。そして、ユーザーが救援車両2のトランクから充電装置1を取り出して、救援側ケーブル4を充電装置1と救援側車両2との間に接続し、充電側ケーブル5を充電装置1と電欠車両3との間に接続する。
このような使用形態を想定すると、充電装置1は、救援車両2により運搬する必要があるため、車両で運搬可能な外形にしなければならない。また、充電装置1を給電側のトランクに搭載するためには、1名又は2名で、充電装置1を運べるような仕様又は形態にしなければならない。さらに、充電装置1が高圧な電力を扱っているため、絶縁性の確保し、さらに絶縁検知の機能を有していることが好ましい。
充電装置1は、救援側のバッテリと電欠側のバッテリとの電圧を変圧するために、DC/DCコンバータを有している。DC/DCコンバータは、トランス等を含んでいるため、重くなってしまう。そのため、充電装置1の重さは数10kg以上になることが考えられる。そして、重い充電装置を、少人数の大人が、運搬したり、トランクから出し入れしたりすることを考慮すると、充電装置1は、持ち運びやすくしたり、例えばトランク等の段差を容易に超えるようにしたりして、ユーザーにとって使い勝手をよくすることが求められる。
さらに、本例の充電装置1は、緊急用の充電システムとして使用される装置であるため、装置を駆動するための電源を、どのように確保するか問題となる。例えば、充電装置1に乾電池等の電池を搭載することも考えられる。しかしながら、使用頻度の少ない装置に対して、電池を搭載しておくと、電池の放置時間が長くなるため、電池の自然放電等により、充電装置1の使用時には、充電装置1を起動するだけの十分な電力を、電池から出力できない可能性がある。
また、例えば、救援車両2に設けられた強電側のバッテリから電力の供給を受けることも考えられる。しかしながら、高圧の電力を供給しなければ充電装置1を駆動できないようなシステムでは、高電力の供給前に、充電装置1の絶縁を確認するシステムを構築することができず、安全性の高いシステムとはいえない。さらに、充電装置1を駆動させるためのコントローラは弱電で駆動するため、高圧の電力を充電装置1に供給する場合には、電圧の変位が大きいという問題もある。ゆえに、本例の充電装置1には、装置内に電源をもたない構成であって、充電装置1のコントローラを駆動させる電力を、外部から容易に取得できるような構成が求められる。
本発明は、上記のような、セーフティーネットの充電装置1としての特有な仕様を、高い水準で満たす充電装置1を実現している。以下、具体的な充電装置1の構成について説明する。なお、本例では、給電側車両である救援車両2及び受電側車両である電欠車両3として、電気自動車を例にして説明するが、本例の充電装置1は、救援車両2及び電欠車両3の少なくとも何れか一方の車両を、プラグインハイブリッド車両又はハイブリッド車両等の車両として、適用してもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る充電装置の斜視図である。図3は図2に示す充電装置の平面図である。図4は図2に示す充電装置の正面図である。図5は図2に示す充電装置の右側面図である。図6は図2に示す充電装置の背面図である。図7は図2に示す充電装置の底面図である。
充電装置1は、筐体10と、取っ手20と、救援側コネクタ31と、電欠側コネクタ32と、スイッチ33と、開始ボタン34と、停止ボタン35と、非常停止ボタン36と、給電側表示パネル37と、電欠側表示パネル38と、アース用コネクタ41と、電源ハーネス用コネクタ42と、スライダー43と、ローラー44と、吸気口45と、排気口46とを備えている。
筐体10は、複数の面で、後述するDC/DCコンバータ等を収容する金属製の外装部材である。筐体10は多面体の形状に形成されている。筐体10は、上面11と、底面12と、正面側側面13と、背面側側面14と、右側側面15と、左側側面16と、傾斜面17とを有した7面体で構成されている。各面は、一定の厚さを有した壁により構成されている。
正面側側面13、背面側側面14、右側側面15及び左側側面16は、底面12に沿う方向に対して垂直方向(図2のZ方向)に沿った面で形成され、底面12を囲っている。また、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15及び左側側面16は、底面12を形成する各辺から、当該垂直方向に延在するように形成されている。上面11は、底面12と平行する位置で、かつ、底面12の一部の表面と対向するように配置されている。また上面11は、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15及び左側側面16を介して、底面12と反対側の位置に配置されている。
傾斜面17は、正面側側面13に沿った面に対して傾斜しており、正面側側面13に沿った面を、上面11側(言い換えると、背面側側面14に向かって)に折り曲げることで形成される面である。そのため、正面側側面13と傾斜面17との間で形成される角は、鈍角になっている。
上面11と傾斜面17は、一体化した部材で形成されており、上面11の辺のうち、正面側に位置する辺で、当該部材を折り曲げることで形成されている。そして、正面側側面13の高さ(Z方向)が背面側側面14の高さ(Z方向)より低く、かつ、上面の長さ(X方向)が底面12の長さ(X方向)より短いことで、傾斜面17の位置となる開口が形成され、傾斜面17が当該開口を覆っている。正面側側面13及び傾斜面17が、筐体の複数の側面のうち一方の側面である。
蓋体18は、上面11及び傾斜面17で構成され、筐体10の内部空間に対して上側から覆うための部材である。蓋体18は、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15、及び左側側面16とネジ止め等により固定されている。また、ネジ止めを外すことで、蓋体18は、充電装置1の本体19から外れるようになっている。なお、本体19(図11を参照)は、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15、左側側面16、及び底面12で構成されている。
取っ手20は、充電装置1を移動し易くするためのハンドルであり、筐体10の上部に固定されている。取っ手20は、第1取っ手21と、第2取っ手22と、連結部23、端部24とを有している。取っ手20の直径は、人が握って、力を加えやすい程度の大きさである。第1取っ手21、第2取っ手22、連結部23、及び端部24は一体化した部材により構成されている。また、取っ手20は、柱状(または棒状)に形成されている。
取っ手20は、対になっており、上面11及び傾斜部17のY方向の両端に固定されている。ユーザーが充電装置1を移動する際には、ユーザーは、一対の取っ手20をそれぞれの手で握ることになる。
第1取っ手21は、底面12を形成する四辺うち、筐体10の背面側に位置する一辺の部分を支点として、ユーザーが充電装置1を容易に持ち上げられるようにした部材である。第1取っ手21は、底面12に沿う方向に対して垂直方向(Z方向)を長手方向としている。言い換えると、第1取っ手は、傾斜面17の表面から、Z方向に向けて延在するように、柱状に形成されている。ユーザーが第1取っ手21を手で握ることを考慮して、第1取っ手21の長手方向の長さは、少なくとも人間の手の握り拳の大きさ(手の中で、第1取っ手21と接触する部分の長さ)よりも長くなるように形成されている。また、第1取っ手21の長手方向の長さは、充電装置1の全体の高さを抑えるような長さになっている。
また、第1取っ手21は、底面12と背面側側面14とで形成される角部A(図2を参照)に対して対向する位置に設けられている。角部Aは、筐体10に含まれる角のうち、充電装置1の背面側で、かつ、底面側に位置する部分である。角部Aは、ユーザーが第1取っ手21を握りつつ、充電装置1を回転させることで、充電装置1を上方に持ち上げる際の支点となる。そして上面11、底面12、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15、及び左側側面16で形成される直方体において、二面で形成される角のうち、角部Aに相当する角に対して、対角の位置が、角部Aに対して対向する位置に相当する。すなわち、傾斜面17の表面のうち、充電装置10の支点となる部分(底面12の背面側の辺の部分)から、当該支点を中心とした充電装置1の回転軌道で、できるだけ遠くなる位置に固定されている。これにより、第1取っ手21は、角部Aに相当する部分を支点として、充電装置1を回転可能な位置に設けられている。
なお、角部Aに対して対向する位置は、上面11、底面12、正面側側面13、背面側側面14、右側側面15、及び左側側面16で形成される直方体において、角部Aの対角となる位置そのものを指しているのではない。角部Aに対して対向する位置は、筐体の形状や、取っ手20の形状、充電装置1の重心の位置に応じて決まり、角部Aの部分を支点として、充電装置1を回転移動させる際に、充電装置1を容易に持ち上がるような力点の位置を指している。
第2取っ手22は、ユーザが充電装置1をZ方向に持ち上げることで、底面12を、充電装置1を載置した面から浮かすようにするための部材である。第2取っ手22は、底面12に沿う方向に対して平行で、充電装置1の正面から背面に向けた方向(言い換えると、右側側面15又は左側側面16に沿った方向:図2のX方向)を長手方向としている。第2取っ手22の長手方向の長さは、第1取っ手21と同様に、少なくとも人間の手の握り拳の大きよりも長くなるように形成されている。また、
ユーザーが第2取っ手22を握って、充電装置1を容易に上方に持ち上げられるような位置に設けられている。本例では、ユーザーがX方向の様々位置で第2取っ手22を握れるように、第2取っ手22の長手方向が、右側側面15及び左側側面16のX方向への辺に沿うように、第2取っ手22は形成されている。第1取っ手21と傾斜面17との間、及び、第2取っ手22と上面11との間には、ユーザーが取っ手20を握る際に、手を入れられるように、隙間が設けられている。
連結部23は、第1取っ手21と第2取っ手22を連結するための部材である。連結部23は、第1取っ手21の長手方向の両端のうち傾斜面17と固定されていない方の一端と、第2取っ手22の長手方向の両端のうち端部24と固定されていない方の一端とを連結している。端部24は、取っ手20の長手方向に伸びる方向(X方向)を、垂直方向(Z方向)に変える部材であり、第2取っ手22の他端を上面11に固定するための部材である。
救援側コネクタ31は、救援側ケーブル4と接続するための接続口である。救援側コネクタ31にはカバーが設けられており、当該カバーを開くことで、救援側ケーブル4の接続端子に接続される端子が表れる。また、カバーを開けた状態の救援側コネクタ31は、救援側ケーブル4の一端と嵌合するような形状になっている。
電欠側コネクタ32は、電欠側ケーブル5と接続するための接続口である。電欠側コネクタ32は、救援側コネクタ31と同様に、カバーを有し、また、電欠側ケーブル5の接続端子に接続される端子を有する。
スイッチ33は、充電装置1を起動させるためのメインスイッチである。開始ボタン34は充電を開始させるためのスイッチである。停止ボタン35は充電を停止するためのスイッチである。非常停止ボタン36は、ユーザーの判断により、充電を緊急停止する際に、操作されるスイッチである。救援側表示パネル37は、救援側の充電回路の状態等を表示するためのディスプレイである。電欠側表示パネル38は、電欠側の充電回路の状態等を表示するためのディスプレイである。
救援側コネクタ31及び電欠側コネクタ32は、筐体10を構成する複数の面のうちの一面である傾斜面17に配置されている。そして、救援側コネクタ31及び電欠側コネクタ32は、同一平面に配置されることで、同一方向を向いている。さらに、傾斜面17が上面11及び底面12に沿う方向に対して垂直方向で、上面11側の位置に形成されているため、救援側コネクタ31及び電欠側コネクタ32の位置は、底面12より上面11に近くなる。
スイッチ33、開始ボタン34、停止ボタン35、非常停止ボタン36、救援側パネル37、及び電欠側表示パネル38は、傾斜面17に設けられ、救援側コネクタ31及び電欠側コネクタ32と同一平面上に設けられている。
アースコネクタ41は、アース線を接続するための端子である。電源ハーネス用コネクタは、電源用ハーネス(図を参照)を接続するための端子である。本例は、電源アース用コネクタに入力される電力により、コントローラの電力を取得している。アースコネクタ41及び電源ハーネス用コネクタ42は、右側側面15に設けられている。
スライダー43は、充電装置1が置かれた面上で、充電装置1を背面側から正面側、あるいは、正面側から背面側(図2のX方向)に、充電装置1を滑らせるための部材である。スライダー43は、樹脂製の部材であり、テーパー状に形成されている。スライダー43は対になっており、底面12上で、右側側面15と左側側面16の付近に設けられている。スライダー43は、底面12側からみたときに、細長い矩形状になっている。そして、スライダー43の長手方向は、底面12の四辺のうち、右側側面15及び左側側面16の辺に対して平行になるように配置されている。また、図5に示すように、スライダー43の高さ(Z方向の高さ)は、正面側から背面側に向けて徐々に低くなっている。
ローラー44は、充電装置1を、XY平面上で移動しやすいようにするための車輪である。ローラー44は、右側側面15と左側側面16のそれぞれに設けられている。また、ローラー44は、角部Aに相当する部分に設けられている。充電装置1を平面上に置いた状態で、ユーザーが第1取っ手21を手で握って、充電装置1を上方に持ち上げると、ローラー44が支点となり、かつ、回転することで、充電装置1の底面12の正面側が、水平面から上に上がる。
吸気口45は、筐体10の内部空間内に空気を導入するための孔を有している。吸気口45は、2つ設けられている。また、吸気口45は、背面側側面14に設けられている。背面側側面14において、吸気口45は、上面11と底面12との間の、Z方向では、底面12に近くなるように配置され、かつ、右側側面15と左側側面16との間の、X方向では、背面側側面14の中央よりも、右側側面15及び左側側面16に近くなるようそれぞれ配置されている。吸気口45は、複数のルーバーを有している。ルーバーは底面12の方向を向いており、上方からの雨水等の進入防止及び筐体10内への指の侵入を防止している。
排気口46は、筐体10の内部空間内の空気を排出するための孔を有している。排気口46は、吸気口45と対応して、2つ設けられている。排気口46は、正面側側面13に設けられている。排気口46は、対応する吸気口45に対して、対向するように設けられている。また、排気口46にも、吸気口45と同様に、ルーバーが設けられている。
図8〜図10を用いて、充電装置1の内部の構成について説明する。図8は、充電装置1の内部構成を説明するための図であり、充電装置1の正面図に相当する。なお、図8では、充電装置1の構成のうち、筐体10等の外部の構成を点線で示している。図9は充電装置1の本体の斜視図である。図10はDC/DCコンバータの外観を示す斜視図である。なお、図8〜図10に示す構成は、充電装置1の内部構成の一部にすぎず、充電装置1は、例えばハーネス等の他の構成も備えている。また、図8のDC/DCコンバータ100の向きと、図10のDC/DCコンバータ100の向きは、逆向きになっている。
充電装置1は、内部構成として、メインコントローラ50と、基板61と、金属板62と、固定部材63と、ヒートシンク64と、ファン65と、スイッチング素子101と、トランス102と、ダイオード103と、コンデンサ104とを備えている。
メインコントローラ50は、筐体10の蓋体18の構成の一部である上面11の裏側(筐体10の内部空間側を臨む面)に設けられている。メインコントローラ50は充電装置1を制御するコントローラである。
基板61は、DC/DCコンバータ100を構成する回路素子である、スイッチング素子101、トランス102、ダイオード103、及びコンデンサ104を実装するための基板である。
金属板62は、筐体10の内部空間を、上面11側と底面12側とで、二分割に隔てる板である。そして、金属板62の表面は、上面11及び底面12と平行になるように配置されている。金属板62の両表面(XY平面に沿う表面:図8を参照)のうち、一方の表面に基板に61が設けられ、基板61と金属板62は層状に積層されている。
固定部材63は、L字状の部材であって、右側側面15及び左側側面16に対になって固定されている。また、固定部材63は、基板61及び金属板62も固定している。すなわち、基板61及び金属板62は、固定部材63を介して、右側側面15及び左側側面16にそれぞれ固定されている。固定部材63は、上面11と底面12との間で、上面よりも底面に近い方に設けられている。そして、基板61及び金属板62を筐体10に設置する際には、基板61が底面12を向くよう、金属板62が上面11を向くようにして、基板61及び金属板62は固定部材63に固定されている。
ヒートシンク64は、スイッチング素子101の熱を冷却するための部材であり、複数の金属板を互いに平行に並べることで構成されている。ヒートシンク64は、スイッチング素子101の位置と近くなるように設けられている。具体的には、ヒートシンク64の複数の金属板を支える板の裏面(複数の金属板とは反対側の面)に、基板61及び金属板62を介して、スイッチング素子101が位置するように、ヒートシンク64は、基板62の表面上に設けられている。ヒートシンク64は、基板61の両端に配置された複数のスイッチング素子101と対応して、対になっている。
ファン65は、吸気口45から空気をより導入するようにするための冷却装置であり、吸気口45とヒートシンク64との間に配置されるように、背面側側面14に固定されている。ファン65も、ヒートシンク64と対応して、対になっている。
吸気口45、排気口46、ヒートシンク64、及びファン65は、正面側側面13及び背面側側面14に沿う方向に対して垂直方向(X方向:図9を参照)で、一列になるような位置関係で、配置されている。そのため、吸気口45と排気口46は、ヒートシンク64及びファン65を介して、互いに対向する位置に配置されている。これにより、本例は、充電装置1の背面側の空気は、吸気口45から、筐体1内に取り込まれ、ファン65を介して、ヒートシンク64の複数の金属板に沿って流れて、排気口46から、充電装置1の正面側に排出される。そして、この空気の流れが、ヒートシンク64の冷却効果を高めている。
図10に示すように、スイッチング素子101は、基板61の表面において、Y方向の両端で、X方向に一列に複数並べられ、ヒートシンク64の複数の金属板に沿う方向と平行に並べられている。複数のスイッチング素子101は、救援側車両2のバッテリから入力される直流電力を交流電力に変換するための素子であり、メインコントローラ50の制御に基づいて、オン及びオフを切り替える。そして、このスイッチング動作により、スイッチング素子101は熱を発する。
トランス102は、複数のコイルで構成されており、スイッチング素子101から入力される交流電圧を変圧する変圧器である。本例の強電側のDC/DCコンバータは、トランス102を用いているため、重量が重くなる。
ダイオード103は、ブリッジ状に接続されることで、トランス102から入力される交流電力を整流する整流器である。ダイオード103は、基板61の表面の中央部分に、一列に配置されている。コンデンサ104は、平滑用のコンデンサである。トランス102及びコンデンサ104は、スイッチング素子101とダイオード103との間に配置されている。なお、図10は、DC/DCコンバータ100の回路構成のレイアウトの一例を示しているにすぎず、他のレイアウトであってもよい。
ここで、図8〜図10を参照して、DC/DCコンバータ100を構成する回路素子、金属板62、及びコントローラ50の位置関係について説明する。スイッチング素子101は、金属板62の一対の表面のうち一方の表面上に、基板61を介して設けられている。一方、メインコントローラ50は、金属板62に対して、スイッチング素子101を設けた、当該一方の表面とは反対側で、金属板62の表面から離れた位置に設けられている。
スイッチング素子101から発する熱は、メインコントローラ50への悪影響を防ぐために、メインコントローラ50に伝わらない方がよい。本例では、メインコントローラ50とスイッチング素子101との間を、金属板で隔てているため、スイッチング素子101の熱がメインコントローラ50に伝わらないようにすることできる。さらに、金属板62は、筐体10の本体に相当する右側側面15及び左側側面16に設けられ、メインコントローラ50は蓋体に設けられている。そのため、金属板62とメインコントローラ50との間には、熱を遮断するような空間が形成されるため、金属板62からメインコントローラ50への熱伝導を遮断することができる。
また、スイッチング素子101の熱の問題に加えて、スイッチング動作によるノイズの問題もある。本例では、金属板の一対の表面に対して、一方の表面側にスイッチング素子を配置し、他方の表面側にメインコントローラ50を配置している。そのため、金属板62が、遮蔽板として作用し、スイッチング素子101の発生ノイズがメインコントローラ50側へ漏洩することを防いでいる。
さらに、DC/DCコンバータ100は、上面11と底面12との間で、上面よりも底面12に近い方に配置されている。すなわち、DC/DCコンバータ100のような重量のある構成を、より下方に配置することで、重心を下げて、安定性を高めている。
次に、図11を用いて、充電装置1の蓋体18を本体19から外した状態について説明する。図11は、充電装置1の蓋体を外した状態における、充電装置1の右側側面図である。なお、図11において、充電装置1の内部構成は点線で示されている。また、コントローラ50とDC/DCコンバータ100はハーネス等で接続されているが、図11では図示を省略している。
蓋体18を本体から外すと、コントローラ50は蓋体18に固定されているため、本体19から分離した状態となる。一方、金属板62は本体に固定されているため、DC/DCコンバータ100は、本体からは分離しない。例えば、充電シーケンスの変更等のメンテナンスを行う際には、作業者はコントローラ50に触れることが考えられる。本例では、蓋体18を外すことでコントローラ50も本体から外すことができるため、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
次に、図12を用いて、充電装置1を含む充電システムの制御と制御に関する構成について説明する。図12は、本例の充電システムのブロック図である。なお、実線は強電側の電源線72を表し、二点鎖線は弱電側の電源線71を示している。
図12に示すように、充電装置1は、DC/DCコンバータ100の他に、放電側メインコントローラ52と、充電側メインコントローラ52と、コンバータ61、62とを備えている。
放電側メインコントローラ51は、救援車両2のバッテリと接続される、放電側(救援側)の充電回路を制御するためのコントローラである。充電側メインコントローラ52は、電欠車両3のバッテリと接続される、充電側(電欠側)の充電回路を制御するためのコントローラである。本例では、制御シーケンスを簡素なものにするために、メインコントローラ50を放電側と充電側で分離して、それぞれの充電回路を別々のコントローラで制御している。放電側メインコントローラ51と充電側メインコントローラ52は互いに信号の送受信を行っている。なお、放電側メインコントローラ51と充電側メインコントローラ52は一つのコントローラであってもよい。
放電側メインコントローラ51は絶縁検知部53を有しており、充電側メインコントローラ52は絶縁検知回路54を有している。絶縁検知部53は、地絡検知回路63の電圧変化から、放電側の充電回路が絶縁されていることを検知している。絶縁検知部54は、地絡検知回路64の電圧変化から、充電側の充電回路が絶縁されていることを検知している。
放電側メインコントローラ51は、弱電側の電源線71に接続されている。充電側メインコントローラ52も同様に、弱電側の電源線71に接続されている。放電側メインコントローラ51及び充電側メインコントローラ52を駆動するための電力は、弱電側の電源線71から取得している。
電源ハーネス6は、弱電側の配線の一部である。電源ハーネス6の一端は、電源ハーネス用コネクタ42に接続されている。一方、電源ハーネス6の他端は、救援車両2のシガーソケットに接続されている。シガーソケットは、救援車両2に搭載されている弱電側のバッテリ及び強電側のバッテリのうち、弱電側のバッテリと電気的に接続されている。すなわち、電源ハーネス6をシガーソケットと電源ハーネス用コネクタ42との間に接続することで、救援車両2の弱電側バッテリの電力を出力可能な状態となる。なお、電源ハーネス6は、電欠車両3のシガーソケットに接続されてもよい。
コンバータ61は、弱電側の電源線71からの入力電圧を昇圧して、放電側の充電回路に出力するための変換回路である。コンバータ61は、弱電側の電源線71と、強電側の電源線72との間に接続されている。
コンバータ62は、弱電側の電源線71からの入力電圧を昇圧して、充電側の充電回路に出力するための変換回路である。コンバータ62は、弱電側の電源線71と、強電側の電源線73との間に接続されている。
地絡検知回路63は、強電側の電源線72を含む、放電側の充電回路の絶縁を確認するための回路であり、放電側の充電回路内に形成されている。地絡検知回路64は、強電側の電源線73を含む、充電側の充電回路の絶縁を確認するための回路であり、充電側の充電回路内に形成されている。
DC/DCコンバータ100は、インバータ110と、トランス120と、整流回路130と、平滑回路140を有している。DC/DCコンバータ100は、救援側コネクタ31と充電側コネクタ32との間に接続され、強電側の電源線72、73に接続されている。DC/DCコンバータ100は、救援車両2の強電側のバッテリの電圧を変圧し、電欠車両3の強電側のバッテリに出力するコンバータである。DC/DCコンバータ100の入力側に、地絡検知回路63が接続され、DC/DCコンバータ100の出力側に、地絡検知回路64が接続されている。
インバータ110は、複数のスイッチング素子101をブリッジ状に接続した回路により構成される。そして、インバータ110は、メインコントローラ50からのスイッチング信号に基づいて、複数のスイッチング素子101のオン、オフを切り替えることで、救援側コネクタから入力された直流電力を交流電力に変換して、トランス120に出力する。
トランス120は,トランス102に相当する。トランス120を構成するコイルのうち、1次側のコイルが、放電側の充電回路に含まれる。一方、2次側のコイルが充電側の充電回路に含まれる。
整流回路130は、ブリッジ状に接続したダイオード130により構成されている。整流回路130は、トランス120の2次側コイルからの交流を整流して、平滑回路130に出力する。
平滑回路140は、コンデンサ104を含むLC回路で構成され、整流回路130の出力電圧を平滑する。
充電装置1の充電回路は、トランス120により、放電側(1次側)と充電側(2次側)で分離される。トランス120のコイルを境界として、放電側の充電回路201は、トランス120の1次側のコイル、インバータ110、地絡検知回路63、救援側ケーブル4、強電側の電源線72及び救援車両2の充電ポート(救援側ケーブル4との接続口)を含む回路で形成される。充電側の充電回路202は、トランス120の2次側のコイル、整流回路130、平滑回路140、地絡検知回路64、電欠側ケーブル5、強電側の電源線73、及び電欠車両3の充電ポート(電欠側ケーブル45の接続口)を含む回路で形成される。
ここで、図12に示す充電システムにおいて、弱電側の電源線71及び強電側の電源線72と、車両に搭載される弱電側バッテリ及び充電用バッテリとの関係について説明する。まず、救援車両2の弱電側バッテリ及び強電側バッテリについて説明する。
弱電側バッテリは、エアコンやカーナビゲーションシステム等の車内の電装品を駆動させるための二次電池である。一方、強電側バッテリは、主にモータを駆動する際の電力源として利用されるバッテリである。一般的に、強電側バッテリの電圧は数百ボルト以上である。一方、弱電側バッテリの電圧は数10ボルト程度である。ただし、弱電側バッテリの電圧は、強電側バッテリの電圧より低いが、1〜2Vの数ボルト程度しか出力できない電池の電圧よりは高い。
図12に示すように、弱電側の電源線71は、救援車両2の弱電側のバッテリと電気的に接続されている。メインコントローラ50は、弱電側のバッテリの電圧で動作するように設計されている。そのため、救援車両2の弱電側のバッテリが、弱電側電源線に接続されることで、メインコントローラ50は、駆動電力を取得し、起動可能な状態となる。
一方、強電側の電源線72、73は、救援車両2の強電側のバッテリ及び電欠車両3の強電側のバッテリに電気的に接続され、DC/DCコンバータ100に接続されている。すなわち、本例の充電システムは、車両に搭載されている弱電側バッテリ及び強電バッテリに対応して、弱電側の電源線71と、強電側の電源線72、73を分けている。さらに、弱電で駆動するメインコントローラ50は、弱電側電源線に接続し、充電回路は強電側電源線で構成される。これにより、本例は、充電装置1にバッテリを設けることなく、充電装置1内で系統電圧を分けたシステムを実現している。
次に、図12を用いて、本例の充電装置1の制御について説明する。救援側ケーブル4、電欠側ケーブル5、及び電源ハーネス用ケーブル6が、充電装置1、救援車両2、及び電欠車両3に接続された状態で、ユーザーが開始ボタン34を押すと、メインコントローラ50は、弱電側電源線を介して、救援車両2の弱電側バッテリから電力を取得して、起動する。
メインコントローラ50は、充電側メインコントローラ51を起動させて、救援側ケーブル4を介して救援車両2側と通信を行う。ここまで、放電側の充電回路は、例えば、充電回路内の強電側の電源に設けられたリレー(図示しない)をオフにすることで、絶縁が確保されている。
次に、メインコントローラ50は、上記のリレーをオンにすることで、放電側の充電回路を導通状態にする。この時点では、車両2の強電側バッテリから充電装置1への電力供給はない。
放電側メインコントローラ51は、絶縁検知部53により、コンバータ61を制御して、弱電側の電源線71から供給される電力(弱電圧)を昇圧し、強電側の電源線72に出力する。放電側の充電回路201には、コンバータ61から試験用の電圧(高圧)が印加される。
絶縁検知回路53は、試験用電圧の印加中に、地絡検知回路63の電圧を検出することで、放電側の充電回路201に地絡、短絡の有無を検知する。放電側メインコントローラ53は、地絡、短絡を検知した場合には、絶縁が確保されていないと判断し、絶縁が確保されていない旨のメッセージを、救援側表示パネル37に表示する。
放電側の充電回路201の絶縁が確保されていることが確認された場合には、メインコントローラ50は、充電側メインコントローラ52を起動する。充電側メインコントローラ52は、放電側メインコントローラ51と同様に、電欠側ケーブル5を介して電欠車両3側と通信を行う。また、充電側メインコントローラ52は、絶縁検知回路53により、コンバータ62を制御し、弱電側の電源線71の電圧を昇圧して、充電側の充電回路202に印加する。そして、絶縁検知部54は、地絡検知回路63の電圧を検出することで、放電側の充電回路201に地絡、短絡の有無を検知する。
放電側の充電回路201及び充電回路202の絶縁が確認されると、放電側メインコントローラ51は、放電側のメインリレーをオンにして、救援車両2の強電側のバッテリの電力を、DC/DCコンバータ100に出力可能な状態にする。同様に、充電側メインコントローラ52は、充電側メインリレーをオンにして、DC/DCコンバータ100からの電力を、電欠車両2の強電側バッテリに出力可能な状態にする。なお、メインリレーについて、図12には図示していないが、放電側のメインリレーは、DC/DCコンバータ100の入力側と救援側コネクタ31との間に接続され、充電側メインリレーは、DC/DCコンバータ100の出力側と電欠側コネクタ62との間に接続されている。
それぞれのメインリレーをオンにした後、メインコントローラ100は、インバータ110のスイッチング素子101を制御して、電欠車両3の強電側バッテリの充電を開始する。
充電中、救援車両2のバッテリコントローラ(図示しない)は、放電されるバッテリのSOCを管理しており、電欠車両3のバッテリコントローラ(図示しない)は、充電されるバッテリのSOCを管理している。
メインコントローラ50は、給電車両2及び電欠車両3のそれぞれのバッテリコントローラから、放電中のバッテリ及び充電中のバッテリの電池情報を取得する。そして、充電中のバッテリのSOCが目標SOCに到達すると、メインコントローラ50は、充電を停止して、救援側表示パネル37及び電欠側表示パネル38に、充電を終了した旨を表示する。
ユーザーにより停止ボタン35が押させると、充電側メインコントローラ52は、充電を終了する旨の信号を、電欠車両3のバッテリコントローラに送信する。充電側メインコントローラ52は、電欠車両3のバッテリコントローラからの応答信号を確認後、充電側のメインリレーをオフにする。
同様に、放電側メインコントローラ51は、充電を終了する旨の信号を、救援車両2のバッテリコントローラに送信する。放電側メインコントローラ51は、当該信号に対する応答信号を受信すると、放電側のメインリレーをオフにする。これにより、充電装置1は充電を終了する。
次に、本例の充電システムの制御フローを説明する。図13は、充電システムの制御手順を示すフローチャートである。図13において、救援車両2及び電欠車両3に示される制御フローは、それぞれのコントローラで行われている制御である。
ステップS1にて、放電側メインコントローラ51及び救援車両2のコントローラは、信号を送受信することで通信を確立する。ステップS2にて、放電側メインコントローラ51は、コンバータ61及び地絡検知回路63を制御して、放電側の充電回路の絶縁を確認する。ステップS3にて、放電側メインコントローラ51は、放電側のメインリレーをオンにする。
ステップS4にて、放電側メインコントローラ51は起動信号を充電側メインコントローラ52に送信し、充電側メインコントローラ52は当該起動信号を受信することで、起動する。
ステップS5にて、充電側メインコントローラ53及び電欠車両3のコントローラは、信号を送受信することで通信を確立する。ステップS6にて、充電側メインコントローラ52は、コンバータ62及び地絡検知回路64を制御して、充電側の充電回路の絶縁を確認する。ステップS7にて、充電側メインコントローラ52は、充電側のメインリレーをオンにする。
ステップS8にて、救援車両2及び電欠車両3のそれぞれのコントローラ、放電側メインコントローラ51、及び充電側メインコントローラ52は、充電制御を行う。
ユーザーによる停止ボタン35が押されると、ステップS9にて、充電側メインコントローラ52は、電欠車両3のコントローラに充電を終了した旨の信号を送信し、電欠車両3のコントローラは、当該信号を受信することで、充電終了を確認し、制御を終了する。
ステップS10にて、充電側メインコントローラ52は、充電側のメインリレーをオフにする。ステップS11にて、充電側メインコントローラ52は、放電側メインコントローラ51に充電を終了した旨の信号を送信し、制御を終了する。放電側メインコントローラ51は、当該信号を受信することで、充電終了を確認する。
ステップS12にて、充電側メインコントローラ52は、電欠車両3のコントローラに充電を終了した旨の信号を送信し、電欠車両3のコントローラは、当該信号を受信することで、充電終了を確認し、制御を終了する。ステップS13にて、放電側メインコントローラ51は、充電側のメインリレーをオフにして、制御を終了する。
次に、図14を用いて、充電装置1をトランクに置いた状態について説明する。図14は、トランクを開放した状態で、充電装置1を救援車両2に搭載した状態を説明するための図である。
雨天などの悪天候時に、本例の充電装置1を使用する場合には、ユーザは、充電装置1をトランクから出さずに、充電装置1をトランクに置いた状態で、バッテリの充電を行う。そのため、図14に示すように、充電装置1は、トランク内に収まるような外形にしている。そして、図14の状態で、電源ハーネス6を、車室内を通して、救援車両2のシガーソケットに接続し、救援側ケーブル4を救援車両2の充電ポートに、電欠側ケーブル5を電欠車両3の充電ポートに接続する。これにより、図12に示すような配線が構築されるため、充電装置1をトランクから出すことなく、充電を行うことができる。
さらに、本例では、充電装置1の使い勝手をよくするために、図15に示すように、救援側コネクタ31、電欠側コネクタ32、及びスイッチ33等の操作部分を、傾斜面に17に配置し、傾斜面17をトランクの段差210より高くなるように配置している。図15は、図14に示す矢印XVからみたときの矢視図である。
トランクの形状は車種毎で異なっており、車種によっては、図14、16に示すように、段差210を有するトランクがある。このようなトランク内で、充電装置1を使用する場合には、ケーブルの接続部分やユーザーの操作面は、トランクの開口側を向いている方が、ユーザーにとって充電装置1を操作しやすい。
本例では、充電装置1の正面側をトランクの開口に向けて、トランク内に充電装置1を置いた場合には、充電装置1の正面側側面13が、給電車両2の段差210(段差210でトランク内部を臨む面)と対向するように、筐体の外形を設計している。そして、正面側側面13の上側に傾斜面17を形成し、当該傾斜面17に、救援側コネクタ31及びスイッチ33等を配置することで、コネクタと操作部分が、トランクの開口側を向くようにしている。
さらに、本例は、正面側側面13と段差210とを対向させている。例えば、救援車両2を上り坂に停車した状態で、充電作業を行った場合に、充電装置1がトランク内で、開口に向けて滑ったとしても、正面側側面13が段差210と当たることで、充電装置1の移動が規制される。その結果として、トランクからの充電装置1の落下を防ぐことができる。
次に、図16〜図22を用いて、充電装置1を段差210を有するトランク内からトランク外に取り出すときの工程について、説明する。図16、18、20、22、は、充電装置1、救援車両2、及びユーザーの斜視図を示す。図16、18、20、22の順番は、充電装置1を救援車両2から取り出す際の工程の順番と対応している。図18、21、23は、図17、20、22の状態をそれぞれ説明するための図であり、充電装置1の右側側面図及びトランクの一部の断面図を示している。
まず、図16に示すように、ユーザーは、第1取っ手21を握り、トランクの段差に向けて充電装置1を滑らすことで、充電装置1を取り出しやすい位置に移動する。このとき、充電装置1の底面12にはスライダー43が設けられ、角部Aには、ローラー44が設けられているため、充電装置1の移動を容易に行うことができる(図5を参照)。
次に、図17に示すように、ユーザーは、第1取っ手21を握りつつ、第1取っ手21の位置を上方に上げる。図18に示すように、充電装置1は、第1取っ手21に加わる上方への力に対して、ローラー44が支点となって回転することで、充電装置1が回転移動する。そして、充電装置1の正面側が上に持ち上がり、正面側が段差110を乗り上げる高さまで上がる。さらに、ローラー44の回転により、充電装置1の正面側が持ち上がった状態で、段差110に近づくように移動する。
このとき、第1取っ手21は、角部Aに対向する位置に設けられ、長手方向を上方としているため、充電装置1を回転移動させる際、ユーザーは、回転移動させる方向の力を、充電装置1に対して容易に加えることができる。また、角部Aに車輪を設けることで、充電装置1は、回転移動しやすい。ゆえに、ユーザーは、小さな力で、充電装置1を回転移動しつつ、持ち上げることができる。
また、図18に示すようにスライダー43の正面側の端部を、段差210の先端に当てることで、次に工程では、この接触する部分を支点として、充電装置1をさらに引き上げることになる。
次に、図19に示すように、ユーザーは、スライダー43を段差210のエッジ部分Bに当てつつ、第1取っ手21を引くことで、スライダー43をエッジ部分B上で滑らせて、充電装置1を移動させる。そして、充電装置1はトランクの段差210の上に乗るように、充電装置1を移動する。このとき、第1取っ手21の長手方向が上方を向いているため、ユーザは、取っ手20の握りが縦方向になる。充電装置1を正面側に引く動作について、縦方向の握りで取っ手20を握った方が、横方向の握りで取っ手20を握るよりも、充電装置1に対して力を加えやすい。なお横方向の握りは、取っ手22を握った状態である。
また、図20に示すように、ユーザーによる第1取っ手21を引く動作に対して、スライダー43をエッジ部分43で滑らせることで、さらに、充電装置1が段差210を超えやすくするように、構成している。
次に、図21に示すように、充電装置1が段差210を乗り上げた状態で、ユーザーは持ち手を、第1取っ手21から第2取っ手22に持ち替える。このとき、図22に示すように、段差210は、樹脂製のスライダー43と接触しているため、段差210が傷つくことを防ぐことができる。また、ユーザーが充電装置1を手前に引きすぎて、充電装置1がバンパーに接触したとしても、樹脂製のスライダー43と接触するため、バンパーが傷つくことを防ぐことができる。
そして、図21の状態で、ユーザは、第2取っ手22を握りつつ、充電装置1を上方に持ち上げる。第2取っ手22の長手方向は、横方向を向いている。図21の状態から充電装置1を持ち上げる際には、上記のような支点となるようなものはなく、横方向の握りで取っ手20を握った方が、縦方向の握りで取っ手20を握るよりも、充電装置1に対して力を加えやすい。そのため、本例では、第1取っ手21に加えて、第2取っ手22を設けることで、充電装置1を持ち運びしやすいように構成している。
さらに、充電装置1トランク内に完全に収まった状態から、充電装置1を、段差の高さより高く、真上に上げようとすると、ユーザーは前屈みの状態で(図16を参照)、このような作業を行うことになるため、腰に負担がかかってしまう。一方、本発明は、充電装置1を真上に上げる動作は、充電装置1が段差210を乗り上げた状態で行うことになるため、ユーザーは前屈みの状態で、このような作業を行わなくてもよい。その結果として、腰への負担を軽減させることができる。
上記のように、本例は、第1取っ手21の長手方向を、底面12に沿う方向に対して垂直方向とし、かつ、底面12と裏側側面14で形成される角部Aに対して対向する位置に第1取っ手21を設けている。これにより、ユーザーが、角部Aを支点として充電装置1を回動移動させる場合に、充電装置1に対して力を加えやすくすることができる。その結果として、充電装置1の使い勝手をよくすることができる。
また本例は、角部Aにローラー44を設けている。これにより、角部Aを支点として充電装置1を回転移動しやくすることができる。また。充電装置1を、底面12に沿う方向に移動させる際にも、移動し易くすることができる。その結果として、充電装置1の使い勝手をよくすることができる。
また本例は、底面12にスライダー43を設けている。これにより、トランクの段差210等を乗り上げようと、充電装置1を移動させる際に、スライダー43で充電装置1を滑らすことができるため、充電装置1を移動し易くすることができる。また、充電装置1が他の部位と衝突した場合に、当該部位の損傷を防ぐことができる。
また本例は、第2取っ手22の長手方向を、底面12に沿う方向に対して平行方向として、上面11に第2取っ手22を設けている。これにより、ユーザーが、充電装置1を真上に持ち上がる際に、充電装置1に対して力を加えやすくすることができる。その結果として、充電装置1の使い勝手をよくすることができる。
また本例は、第1取っ手21を設けた面に、スイッチ33等のユーザーによる操作部分を設けている。これにより、ユーザーの使い勝手をよくすることができる。
また、本例は、操作部分のボタン数を少なくし、少ないボタンに対応するような充電シーケンスを採用している。本例の充電装置1はセーフティーネットとして利用されるため、装置の使用頻度は少ない。そして、ユーザーは充電装置1の使用に慣れていないも関わらず、充電装置1の制御が複雑で、操作が煩雑とした場合には、ユーザーは充電装置1を手軽に利用できずに、操作性がよくない。そのため、本例では、ボタンのワンタッチ操作で、充電の開始及び充電の停止を行えるような制御を行っている。そして、制御シーケンスのシンプル化に伴い、スイッチ31、開始ボタン34、停止ボタン35、及び非常停止ボタン36という、少ないボタン数で操作部分を実現している。さらに、これらの操作部分を、一つの面に全て設けているため、ユーザーの操作性を高めることができる。
また本例は、スイッチ33等の操作部分を、傾斜面17に設けている。これにより、ユーザーに対して、操作部分を見やすくすることができるため、ユーザーの使い勝手をよくすることができる。
また本例は、角部Aを支点として充電装置1を回転可能な位置に第1取っ手21を設けている。これにより、ユーザーが、角部Aを支点として充電装置1を回動移動させる場合に、充電装置1に対して力を加えやすくすることができる。その結果として、充電装置1の使い勝手をよくすることができる。
上記において、スイッチ33等の操作部分が本発明の「操作部」に相当する。