JP2014165549A - 単一指向性マイクロホン・ユニット、受波アレイ、単一指向性スピーカ・ユニットおよびスピーカアレイ - Google Patents

単一指向性マイクロホン・ユニット、受波アレイ、単一指向性スピーカ・ユニットおよびスピーカアレイ Download PDF

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正人 三好
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Abstract

【課題】 指向性中心を移動させることなく、単一指向性の主軸の方向を電気的に変換することができるマイクロホン・ユニットを提供する。
【解決手段】単一指向性マイクロホン・ユニットは、マイクロホン素子11とマイクロホン素子12の距離dと、マイクロホン素子11とマイクロホン素子13の距離dとが等しくなるように、マイクロホン素子11、12および13が直角二等辺三角形状に配置されており、単一指向性の主軸の方向の角度ψを変化させたときに、指向性中心がマイクロホン素子11上に維持されるように構成されているマイクロホン素子部10を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、単一指向性の主軸の方向を電気的に変換することができる単一指向性マイクロホン・ユニット、受波アレイ、単一指向性スピーカ・ユニットおよびスピーカアレイに関する。
従来、遠隔音声を高品質で収集する技術が検討されており、複数方向の音声を選択的に記録することを目的として種々の技術が提案されている(特許文献1〜3)。また、無指向性のマイクロホンを指向性のあるマイクロホンに置換したときの受波アレイの指向性が検討されている(非特許文献1)。
特許文献1には、1ポイントで5チャンネルに対応したマルチチャンネル収音を行うことを目的として、3個の無指向性マイクロホンと、これらの出力から5個の指向性マイクロホンを合成する5個の合成手段とを備えたマルチチャンネル収音装置が記載されている。
特許文献2には、簡易な構成でマイク部の指向性ビームの向きを変えることを目的として、互いに間隔をあけて配置された複数のマイクロホンを有するマイク部と、これらのうち二つのマイクロホンの音声信号を処理して指向性ビームを形成するビームフォーマ部と、二つのマイクロホンをビームフォーマ部に選択的に接続するスイッチ手段とを備えたマイクロホン装置が記載されている。
特許文献3には、マイクロホンの実装形態を変えることなくマイクロホンの指向性の角度を任意に変えることを目的として、3個の全指向性マイクロホンを音の波長に対し十分に小さいとみなせる間隔を空けて、三角形状に配置することで、演算処理により、任意の方向に音声信号の指向性を合成する音声信号処理装置が記載されている。
非特許文献1には、指向性を持った受波アレイについて、あらゆる方向に同じ感度を持っている無指向性のマイクロホンを、方向により感度の変わる指向性をもったマイクロホンに置換したときに、受波アレイ全体としてどのような指向性になるかについて記載されている。置換前後におけるマイクロホン同士の指向性中心が一致していれば、置換前の無指向性のマイクロホンよりなる受波アレイ全体としての指向性と、置換後の指向性を持ったマイクロホンの指向性との積を計算することにより、置換後の受波アレイ全体の指向性を求めることができる。この法則は、ブリッジ則として知られている。
特開2002−232988号公報 特開2011−182278号公報 特開2008−160588号公報
城戸健一著「基礎音響工学」コロナ社、東京、1999年、pp.90−97.
しかし、特許文献1、2に記載された装置には、装置を構成する二つのマイクロホンを結ぶ線上の角度にしか指向性の主軸方向を向けることができないという問題がある。
また、特許文献3に記載された音声信号処理装置は、遅延を用いることなく、3個の全指向性マイクロホンより単一指向性を合成するものであるから、指向性の主軸方向を変える度に指向性中心が移動する。同文献に記載の発明は、任意のチャンネル数のサラウンド記録を行うことを目的としたものであるから、指向性中心が移動することは問題にされていない。本発明の発明者らは、指向性の主軸方向を変える度に指向性中心が移動することが受波アレイを構成するマイクロホンとして音声信号処理装置を用いる場合に問題となることに着目した。すなわち、同文献に記載の音声信号処理装置には、マイクロホンの指向性変化に伴って指向性中心が移動するから、ブリッジ則を用いて受波アレイを設計することができないという問題がある。
このように、置換後の受波アレイ全体の指向性を評価するには、置換後のマイクロホンとして指向性中心が移動しないものを用いることが必要となる。そこで、本発明は、指向性中心を移動させることなく、単一指向性の主軸の方向を電気的に変換することができるマイクロホン・ユニットを提供することを目的としている。
本発明の単一指向性マイクロホン・ユニットは、第1と第2の全指向性マイクロホン素子の距離と、第1と第3の全指向性マイクロホン素子の距離とが等しくなるように、第1、第2および第3のマイクロホン素子が直角二等辺三角形状に配置されており、指向性中心が前記第1の全指向性マイクロホン素子上にある構成を備えている。
本発明の受波アレイは、本発明の単一指向性マイクロホン・ユニットが等間隔で直線状に配置されてなる構成を備えている。
本発明の単一指向性スピーカ・ユニットは、第1と第2の全指向性スピーカ素子の距離と、第1と第3の全指向性スピーカ素子の距離とが等しくなるように、第1、第2および第3のスピーカ素子が直角二等辺三角形状に配置されており、指向性中心が前記第1の全指向性スピーカ素子上にある構成を備えている。
本発明のスピーカアレイは、本発明の単一指向性スピーカ・ユニットが等間隔で直線状に配置されてなる構成を備えている。
本発明の単一指向性マイクロホン・ユニットは、上記の構成により、第1の全指向性マイクロホン素子上に指向性中心を位置させたままで、指向性の主軸方向を変化させることができる。このため、この単一指向性マイクロホン・ユニットを用いて受波アレイを構成すれば、ブリッジ則を用いてその収音効果を評価することができるから、種々の性質を備えた受波アレイを容易に実現することができる。
本発明の単一指向性スピーカ・ユニットは、単一指向性マイクロホン・ユニット同様、第1の全指向性スピーカ素子上に指向性中心を位置させたままで、指向性の主軸方向を変化させることができる。このため、この単一指向性スピーカ・ユニットを用いてスピーカアレイを構成すれば、ブリッジ則を用いてその放音効果を評価することができるから、種々の性質を備えたスピーカアレイを容易に実現することができる。
第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子の配置を示すブロック図 第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットの構成を示すブロック図 周波数4kHzの場合のシミュレーション実験結果のうち、指向性を示すグラフ(a)ψ=0°、(b)ψ=30°、(c)ψ=60°、(d)ψ=90°、ポーラパターンを示すグラフ(e)ψ=0°、(f)ψ=30°、(g)ψ=60°、(h)ψ=90° 周波数2kHzの場合のシミュレーション実験結果のうち、指向性を示すグラフ(a)ψ=0°、(b)ψ=30°、(c)ψ=60°、(d)ψ=90°、ポーラパターンを示すグラフ(e)ψ=0°、(f)ψ=30°、(g)ψ=60°、(h)ψ=90° 周波数1kHzの場合のシミュレーション実験結果のうち、指向性を示すグラフ(a)ψ=0°、(b)ψ=30°、(c)ψ=60°、(d)ψ=90°、ポーラパターンを示すグラフ(e)ψ=0°、(f)ψ=30°、(g)ψ=60°、(h)ψ=90° 周波数0.5kHzの場合のシミュレーション実験結果のうち、指向性を示すグラフ(a)ψ=0°、(b)ψ=30°、(c)ψ=60°、(d)ψ=90°、ポーラパターンを示すグラフ(e)ψ=0°、(f)ψ=30°、(g)ψ=60°、(h)ψ=90° 第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子の他の配置を示すブロック図 第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子のさらに他の配置を示すブロック図 (a)単一指向性マイクロホン・ユニットからなる第2の実施形態の受波アレイの模式図、(b)全指向性素子からなる従来の受波アレイの模式図 主軸方向の角度ψについて説明する模式図 周波数4kHzについてのシミュレーション結果であり、全指向性素子を用いた受波アレイについて、(a)角度ψ=0°、(b)角度ψ=30°、(c)角度ψ=60°、(d)角度ψ=90°の結果を示すグラフ、単一指向性マイクロホン・ユニットを用いた受波アレイについて、(e)角度ψ=0°、(f)角度ψ=30°、(g)角度ψ=60°、(h)角度ψ=90°の結果を示すグラフ 周波数1kHzについてのシミュレーション結果であり、全指向性素子を用いた受波アレイについて、(a)角度ψ=0°、(b)角度ψ=30°、(c)角度ψ=60°、(d)角度ψ=90°の結果を示すグラフ、単一指向性マイクロホン・ユニットを用いた受波アレイについて、(e)角度ψ=0°、(f)角度ψ=30°、(g)角度ψ=60°、(h)角度ψ=90°の結果を示すグラフ 周波数1kHzについてのシミュレーション結果であり、全指向性素子を用いた受波アレイについて、(a)角度ψ=0°、(b)角度ψ=30°、(c)角度ψ=60°、(d)角度ψ=90°の結果を示すグラフ、単一指向性マイクロホン・ユニットを用いた受波アレイについて、(e)角度ψ=0°、(f)角度ψ=30°、(g)角度ψ=60°、(h)角度ψ=90°の結果を示すグラフ 周波数0.5kHzについてのシミュレーション結果であり、全指向性素子を用いた受波アレイについて、(a)角度ψ=0°、(b)角度ψ=30°、(c)角度ψ=60°、(d)角度ψ=90°の結果を示すグラフ、単一指向性マイクロホン・ユニットを用いた受波アレイについて、(e)角度ψ=0°、(f)角度ψ=30°、(g)角度ψ=60°、(h)角度ψ=90°の結果を示すグラフ 図10(a)(b)に示した受波アレイの主ローブ半値幅を示すグラフ 単一指向性に分類されるカーディオイド型の指向性を示す模式図 カーディオイド型指向性を実現するマイクロホン構成を説明するブロック図
〔第1の実施形態〕
〔単一指向性マイクロホン・ユニット〕
〔単一指向性〕
図16は単一指向性に分類されるカーディオイド型の指向性を示す模式図である。同図に示すように、代表的な単一指向性として、ハイパーカーディオイド、スーパーカーディオイドおよびカーディオイドがある。これら指向性は、2つの全指向性マイクロホン素子(以下、適宜、「全指向性マイクロホン素子」を単に「マイクロホン素子」という。)、増幅器および遅延器の組み合わせによって実現出来る。
図17はカーディオイド型指向性を実現するマイクロホンの構成を説明するブロック図である。同図に示すように、カーディオイド指向性(1+cosθ)を備えたマイクロホン100は、マイクロホン素子110、111、増幅器120、遅延器130および加算器140の組合せによって構成することができる。
マイクロホン素子110は、増幅器120および遅延器130を介して加算器140と接続されている。マイクロホン素子111は、直接加算器140と接続されている。増幅器120の利得を−1とし、遅延器130の遅延をd/c(ここで、dはマイクロホン素子110と111との距離〔m〕であり、cは音速340〔m/秒〕である。)とすれば、マイクロホン100は、マイクロホン素子110からマイクロホン素子111の方向に主軸をもち、マイクロホン素子111側からの音のみを受音するカーディオイド型指向性を備えたものとなる。
〔単一指向性の電気的ステアリング原理〕
単一指向性の電気的ステアリング原理について、以下に説明する。
指向性の主軸がψ(0°≦ψ≦90°)を向くカーディオイドは次の式(1)によりあらわされる。
Figure 2014165549
この式(1)は次のように変形することができる。
Figure 2014165549
ここで、式(2)の第1項は全指向性を、第2項および第3項は単一指向性を表す。第2項と第3項が直交することに注意して、等感度の全指向性マイクロホン素子を間隔d〔m〕でL字型に配置した、図1のようなマイクロホン素子部の構成を考える。同図に示すように、本実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子部10を構成するマイクロホン素子11、12および13(第1、第2および第3の全指向性マイクロホン素子)は、マイクロホン素子11とマイクロホン素子12との距離dと、マイクロホン素子11とマイクロホン素子13の距離dとが等しくなるように、直角二等辺三角形状に配置されている。以下、上記距離dを適宜マイクロホン素子間隔dという、
そうすると、角周波数ω〔rad〕、音速c〔m/秒〕の受波信号(ただし、時間と共に変動する共通項は省略している)は次のように表される。
Figure 2014165549
ただし、
Figure 2014165549
ここで、T(ω,θ)はマイクロホン素子11の受波信号、T(ω,θ)はマイクロホン素子11とマイクロホン素子12を用いて合成される単一指向性が付与された受波信号、T(ω,θ)はマイクロホン素子11とマイクロホン素子13とを用いて合成される単一指向性が付与された受波信号をそれぞれ表す。そして、上記各受波信号の指向性中心は、いずれもマイクロホン素子11上にあり、ψを変化させてもその位置は変わらない。このため、マイクロホン素子部10により構成した受波アレイは、ブリッジ則を用いてその収音効果を評価することができる。したがって、種々の性質を備えた受波アレイを構成することが容易になる。また、単一指向性マイクロホン・ユニット1の指向性中心がマイクロホン素子11上にあることから、マイクロホン素子部10を容易に配置することができる。ここで、「指向性中心」とは、図16に示したような指向性を式で表す場合に原点となる位置をいう。同図中では、指向性中心の位置を+で示している。
式(3)で2ωd/cが小さいとき、指向性係数D(θ)は次のように計算される。
Figure 2014165549
式(5c)と式(2)を比較すると、マイクロホン素子11、12および13が、L字型配置(直角二等辺三角形状に配置)されたマイクロホン素子部10の指向性は、ψ方向に主軸を向けるカーディオイドになっていることがわかる。
〔単一指向性ユニットの構成〕
図2は、本実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットの構成を示すブロック図である。本実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニット1は、受波信号x(ω,θ)を得るために構成したものであり、マイクロホン素子11、12、13、増幅器21、22、23、24、25、遅延器30および加算器40を備えている。
加算器40は、マイクロホン素子11、マイクロホン素子12およびマイクロホン素子13からの出力を加算するものである。マイクロホン素子11は、増幅器21を介して加算器40に接続されている(第1の経路)とともに、これに並列して増幅器24および遅延器30を介して加算器40に接続されている(第4の経路)。マイクロホン素子12は、増幅器22を介して加算器40に接続されている(第2の経路)。マイクロホン素子13は、増幅器23を介して加算器40に接続されている(第3の経路)。
単一指向性マイクロホン・ユニット1の指向性の主軸方向を角度ψとすると、増幅器21〜24による各利得を以下のようにする。なお主軸方向の角度ψについては、後に図10を用いて説明する。
増幅器21によるマイクロホン素子11の第1利得:1−(cosψ+sinψ)
増幅器22によるマイクロホン素子12の利得: cosψ
増幅器23によるマイクロホン素子13の利得: sinψ
また、マイクロホン素子11に接続した遅延器30による遅延τ[秒]と増幅器24による利得は、マイクロホン素子12およびマイクロホン素子13との間でカーディオイド型単一指向性を生成するために用いる定数である。
増幅器24によるマイクロホン素子11の第2利得:−(1/2+1/2)=−1
遅延器30による増幅器24の出力信号に適用する遅延:τ=d/c(cは音速340〔m/秒〕である。)
なお、増幅器25による利得:c/(ωd)は、角周波数に比例して変化する加算器40からの出力の利得を一定値に保持するためのものである。すなわち、増幅器25は利得調整器としての役割を果たしている。
以上ではカーディオイド型指向性について説明したが,図16記載の他のカーディオイド型指向性についても、それらがa+cosθ(aは指向性によって決まる定数)と表わされることを用いれば、図2の回路構成で指向性の主軸方向を変えることができる。この際、増幅器21および増幅器24によるマイクロホン11の第1利得および第2利得を下記の様に変更するだけでよく、他の増幅器の利得や遅延器の遅延を変える必要はない。
増幅器21による利得(第1利得) a−(cosψ+sinψ)
増幅器24による利得(第2利得) −(a/2+a/2)=−a
〔シミュレーション実験の結果〕
取り扱う音波の上限周波数を4kHz、マイクロホン素子間隔dを17mm、遅延τを0.05m秒にそれぞれ定めて、単一指向性マイクロホン・ユニット1をパーソナルコンピュータ上に構築し、単一指向性のステアリング性能(方向性制御の精度)を確認した。この確認においては、指向性の主軸方向の角度ψを0°から90°までの範囲で30°刻みに変化させた(主軸方向の角度ψと各増幅器による利得との対応関係を表1に示す。)。試験周波数は4Khz、2kHz、1kHzおよび0.5kHzとした。
Figure 2014165549
上記シミュレーション実験の結果を図3〜図6に示す。いずれの図も、指向性を示すグラフのうち、(a)がψ=0°、(b)がψ=30°、(c)がψ=60°、(d)がψ=90°の結果をそれぞれ示している。また、ポーラパターンを示すグラフのうち、(e)がψ=0°、(f)がψ=30°、(g)がψ=60°、(h)がψ=90°の結果をそれぞれ示している。指向性のグラフは、横軸が指向方向を示し、縦軸が指向性利得を示している。図3、4、5および6の順に、周波数4kHz、2kHz、1kHzおよび0.5kHzの場合についての実験結果である。
上記シミュレーション実験の結果、素子間隔dが17mmであるコンピュータ上に構築した単一指向性マイクロホン・ユニットについて、4kHz、2kHz、1kHzおよび0.5kHzの正弦波を用いて良好なステアリング性能が得られることを確認できた。
また、図3〜図6のグラフの比較により、4kHzの正弦波においては、主軸の方向の向き(角度ψ)により、指向性にややひずみが生じる領域も存在する。しかし、2kHz、1kHzおよび0.5kHzの正弦波では全ての領域において、ほぼひずみの無い指向性が得られた。これにより、マイクロホン素子間隔dを17mmに設定した場合、指向性が2kHz以下で良好になることが分かった。なお、4kHzの正弦波では、主軸方向の角度ψによっては、指向性にややひずみが生じる領域も存在するが、主軸方向の角度ψとしてこの領域以外を選択して用いれば、指向性の良好な単一指向性マイクロホン・ユニットとして用いることができる。
以上のように、指向性主軸の電気的ステアリングが可能なマイクロホン・ユニットを設計した。このマイクロホン・ユニットは、全指向性マイクロホン素子3個を等間隔dでL字型に配置することにより、指向性中心が1つの全指向性マイクロホン素子上に保持されたままで、指向性の主軸の角度ψを変化可能としている。また、カーディオイド型指向性の主軸の角度ψは、0°≦ψ≦90°の範囲で変化可能な構成となっている。
図7は第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子の他の配置を示すブロック図である。同図に示すように、マイクロホン素子部16は、マイクロホン素子部10のマイクロホン素子11、12および13に加えて、マイクロホン素子14を備えている。マイクロホン素子14は、マイクロホン素子11とマイクロホン素子12とを結ぶ直線を基準として、マイクロホン素子13と線対称な位置に配置されている。このように、4つのマイクロホン素子によりT字型が形成されている。
マイクロホン素子部16は、マイクロホン素子11、12および13、ならびにマイクロホン素子11、12および14が各直角二等辺三角形状に配置されてなる第1ならびに第2のマイクロホン素子部が組み合わさってなる構成である。このため、第1、第2の何れのマイクロ素子部を用いるかにより、指向性中心をマイクロホン素子11上に位置させたままで、主軸の方向の角度ψを0°≦ψ≦180°の範囲で変化させることができる。
図8は第1の実施形態の単一指向性マイクロホン・ユニットのマイクロホン素子のさらに他の配置を示すブロック図である。同図に示すように、マイクロホン素子部17は、マイクロホン素子部16のマイクロホン素子11、12、13および14に加えて、マイクロホン素子15を備えている。マイクロホン素子15は、マイクロホン素子13とマイクロホン素子14とを結ぶ直線を基準として、マイクロホン素子12と線対称な位置に配置されている。このように、5つのマイクロホン素子により十字型が形成されている。
マイクロホン素子部17は、マイクロホン素子11、12および13、マイクロホン素子11、12および14、マイクロホン素子11、14および15、ならびにマイクロホン素子11、13および15、が直角二等辺三角形状に配置されてなる、第1、第2、第3ならびに第4のマイクロホン素子部が組み合わさってなる構成である。このため、第1〜第4の何れのマイクロ素子部を用いるかにより、指向性中心をマイクロホン素子11上に位置させたままで、主軸の方向の角度ψを0°≦ψ≦360°の範囲で変化させることができる。
〔第2の実施形態〕
〔単一指向性ユニットを用いる受波アレイの評価〕
本実施形態においては、第1の実施形態において説明した図1のマイクロホン素子部を備えた単一指向性マイクロホン・ユニットを等間隔で配置した受波アレイについて説明する。なお、図7、8のマイクロホン素子部を備えた単一指向性マイクロホン・ユニットを等間隔で配置した受波アレイとして本発明を実施することもできる。
図9は(a)が単一指向性マイクロホン・ユニットからなる本実施形態の受波アレイの模式図であり、(b)が全指向性素子からなる従来の受波アレイの模式図である。図9(a)に示すように、本実施形態の受波アレイ50は、単一指向性マイクロホン・ユニット1(図2参照)のマイクロホン素子部10を等間隔で直線配列したものである。第1の実施形態1において説明したとおり、単一指向性マイクロホン・ユニット1は、指向性の主軸の角度ψを変化させても指向性中心が変化しない。これにより、図9(b)に示す従来の受波アレイ150の全指向性マイクロホン素子151を単一指向性マイクロホン・ユニット1に置換した受波アレイ50の全体の指向性を、ブリッジ則を用いて簡単に求めることができる。また、単一指向性マイクロホン・ユニット1の指向性中心は、マイクロホン素子11上にある。このため、全指向性マイクロホン素子151を単一指向性マイクロホン・ユニット1に置換する際、全指向性マイクロホン素子151の位置にマイクロホン素子11が位置するように配置すれば良い。
図9(a)に示す本実施形態の受波アレイ50を、20個の単一指向性マイクロホン・ユニット1を34mm間隔で直線配列して構成した。また、図9(b)に示す従来の受波アレイ150を、20個の全指向性マイクロホン素子151を34mm間隔で直線配列して構成した。そして、シミュレーション実験により、受波アレイ50と受波アレイ150について、指向性を比較した。
〔サイドローブの比較〕
上記2つの受波アレイについて、指向性の主軸方向の角度ψを0°から90°の範囲で30°刻みに変化させて、それぞれの角度ψについて、試験周波数を4kHz、2kHz、1kHzおよび0.5kHzとしてシミュレーションを行った。
図10は主軸方向の角度ψについて説明する模式図である。同図に示すように、受波アレイ50は、マイクロホン素子11を結んだ直線を受波アレイ50の末端から伸ばした直線の方向を基準(0°、360°)とし、指向性の主軸Xと基準とした前記の直線とがなす角度を主軸方向の角度ψとする。
図11、12、13および14は、周波数を4kHz、2kHz、1kHzおよび0.5kHzとしたときのシミュレーション結果を示すグラフである。各図においては、(a)〜(d)が全指向性素子151を用いた受波アレイ150の結果を示し、(e)〜(f)が単一指向性マイクロホン・ユニット1を用いた受波アレイ50の結果を示している。また、(a)および(e)が角度ψ=0°の結果を、(b)および(f)が角度ψ=30°の結果を、(c)および(g)が角度ψ=60°の結果を、(d)および(e)が角度ψ=90°の結果をそれぞれ示している。いずれのグラフにおいても、横軸が指向方向を示し、縦軸が指向性利得を示している。
図11の(a)と(e)との比較により、単一指向性マイクロホン・ユニット1を用いた受波アレイ50は、全指向性マイクロホン素子151を用いた受波アレイ150よりも、サイドローブが抑圧されることが分かった。たとえば、受波アレイ150では、指向方向180°付近において指向性利得のピークが存在するのに対し、受波アレイ50では、指向方向180°付近において指向性利得がほぼ抑制されておりピークが存在しない。
図11の(b)〜(d)と(f)〜(h)との比較により、以下のことが分かる。(b)〜(d)に示されるように、受波アレイ150では、指向性軸の主軸Xと、基準となる直線(0°。360°)に対して、線対称となる軸X´の方向(角度ψ´、図10参照)に、強いローブが生じる。対して、(f)〜(h)に示されるように、受波アレイ50では、軸X´の方向(角度ψ´)に生じるローブが顕著に抑制されている。この抑制効果は、主軸Xの角度ψが大きくなるにつれて大きくなり、角度ψ=90°においては、角度ψ´=270°のローブがほぼ完全に消失している。
図12、13および14に示す、2kHz、1kHzおよび0.5kHzの結果においても、上述した4kHzと同様の傾向が認められた。図11〜14に示す結果より、単一指向性ユニットを用いた受波アレイは、全指向性マイクロホンを用いた受波アレイに比べて、主ローブと対称な位置に在る強いローブを含めて、サイドローブを抑圧する効果を持つことが分かった。
〔主ローブの半値幅の比較〕
受波アレイ50と受波アレイ150の主ローブ半値幅(電力半値幅)を比較した。この比較では、指向性の主軸Xの方向の角度ψを90°に固定し(図10参照)、試験周波数を0.5kHz〜4kHzの範囲の0.5kHzごとに設定した。結果を表2および図15に示す。表2および図15に示されるように、単一指向性マイクロホン・ユニット1を用いた受波アレイ50の主ローブ半値幅は、1.5kHzよりも低い周波数において、全指向性マイクロホン素子151を用いた受波アレイ150よりも狭くなっている。このように、受波アレイ50は、主ローブの指向性が受波アレイ150より向上することが分かった。
Figure 2014165549
以上のとおり、単一指向性マイクロホン・ユニット1を等間隔で直線配列してなる受波アレイ50は、同じ間隔で全指向性マイクロホン素子151を直線配列した受波アレイ150と比較して、(1)サイドローブを抑圧する効果を持つこと、(2)収音音波の周波数が低い領域において、主ローブの半値幅が狭くなることが分かった。
なお、本実施形態では、各単一指向性マイクロホン・ユニットの指向性の主軸の角度ψを同じにする態様について説明した。しかし、上述したとおり、単一指向性マイクロホン・ユニット1は主軸の角度ψが変わっても、その指向性中心が変化しないことから、ブリッジ則を用いてその指向性を評価することができる。このため、各単一指向性マイクロホン・ユニットの指向性の主軸の角度ψを変化させて、種々の指向性を備えた受波アレイを構成することができる。
第1および第2の実施形態においては、単一指向性マイクロホン・ユニットおよび受波アレイとして本発明を実施する形態について説明した。しかし、図1、7および8に示した、マイクロホン素子11、12、13の代わりに全指向性のスピーカ素子を用いることにより、本発明を単一指向性スピーカ・ユニットおよびスピーカアレイとして実施することもできる。
本発明は、マイクロホンおよびスピーカにおいて、その指向性を制御するために利用することができる。
1 単一指向性マイクロホン・ユニット
10、16、17 マイクロホン素子部
11、12、13、14、15 マイクロホン素子
21、22、23、24、25 増幅器
30 遅延器
40 加算器
50 受波アレイ

Claims (6)

  1. 第1と第2の全指向性マイクロホン素子の距離と、第1と第3の全指向性マイクロホン素子の距離とが等しくなるように、第1、第2および第3の全指向性マイクロホン素子が直角二等辺三角形状に配置されており、指向性中心が前記第1の全指向性マイクロホン素子上にある単一指向性マイクロホン・ユニット。
  2. 前記第1、第2および第3の全指向性マイクロホン素子からの出力を加算する加算器を備えており、
    前記第1の全指向性マイクロホン素子は、第1の増幅器を備えた第1の経路と、前記第1の経路に並列している第4の増幅器および遅延器を備えた第4の経路とを介して、前記加算器に接続されており、
    前記第2の全指向性マイクロホン素子は、第2の増幅器を備えた第2の経路を介して、前記加算器に接続されており、
    前記第3の全指向性マイクロホン素子は、第3の増幅器を備えた第3の経路を介して、前記加算器に接続されている請求項1に記載の単一指向性マイクロホン・ユニット。
  3. その指向性をa+cosθ(aは指向性によって決まる定数)と表すことができ、
    その指向性の主軸方向の角度をψとすると、
    前記第1の増幅器による利得がa−(cosψ+sinψ)であり、
    前記第2の増幅器による利得がcosψであり、
    前記第3の増幅器による利得がsinψであり、
    前記第4の増幅器による利得が−aであり、
    前記遅延器による遅延がd/c(dは第1と第2の全指向性マイクロホンの距離および第1と第3の前記全指向性マイクロホンの距離、cは音速)である請求項2に記載の単一指向性マイクロホン・ユニット。
  4. 請求項1、2または3に記載の単一指向性マイクロホン・ユニットが等間隔で直線状に配置されている受波アレイ。
  5. 第1と第2の全指向性スピーカ素子の距離と、第1と第3の全指向性スピーカ素子の距離とが等しくなるように、第1、第2および第3の全指向性スピーカ素子が直角二等辺三角形状に配置されており、指向性中心が前記第1の全指向性スピーカ素子上にある単一指向性スピーカ・ユニット。
  6. 請求項5に記載の単一指向性スピーカ・ユニットが等間隔で配置されているスピーカアレイ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016112635A1 (zh) * 2015-01-12 2016-07-21 芋头科技(杭州)有限公司 多声道的数字麦克风
JP2017228978A (ja) * 2016-06-23 2017-12-28 キヤノン株式会社 信号処理装置、信号処理方法、及びプログラム

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