JP2014164272A - 光導波回路、および、光導波回路への電流印加方法 - Google Patents

光導波回路、および、光導波回路への電流印加方法 Download PDF

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一孝 奈良
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Abstract

【課題】偏波保持機能を備えた光導波回路を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に形成された光導波路101を含む光導波路層と、光導波路層上に形成された電極パッド102と、電極パッド102から電流を注入される薄膜ヒータ103と、電極パッド102と薄膜ヒータ103とを接続する配線部104と、を備え、電流を印加する電流印加端子に電極パッド102が押圧されて、光導波路層に応力歪みが生じた時に、光導波路101の偏波保持機能を維持させるように、電極パッド102が光導波路101の両側に配置されている光導波回路。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波回路、および、光導波回路への電流印加方法に関するものである。
半導体、高分子材料、強誘電体材料、石英系ガラス等の材料は、熱を加えると、熱光学効果によって屈折率が変化する。これらの材料を用いた光導波路に、薄膜ヒータから熱を加え、光導波路の屈折率を制御することによって、光導波路を伝搬する光の位相を制御することが可能である。このような熱光学位相シフタを形成することによって、光導波路を作製した後から光導波路の光学特性を変えることができる光導波回路を実現することができる(特許文献1、2参照)。
図12は、従来技術に係る光導波回路の平面図である。図12に示すように、熱光学位相シフタを動作させるためには、光導波回路1000の光導波路1001上に配置された薄膜ヒータ1003へ電流を流すことが必要である。そこで、薄膜ヒータ1003と電極パッド1002とを、配線部1004によって配線し、直流電源装置と接続した通電用プローブを電極パッド1002に接触させて通電を行う。
このとき、電極パッド1002に通電用プローブを押圧すると、電極パッド1002および電極パッド1002の下部の光導波路層に応力歪みが生じる。この応力歪みが光導波路1001に到達すると、光導波路1001の偏波主軸が回転する場合があり、光導波路1001の偏波保持特性が劣化する。そこで、図12に示すように、電極パッド1002と光導波路1001との距離Lを1mm以上と十分に離すことによって、応力歪みが光導波路1001まで届かない構成とした光導波回路が提案されている(例えば、特許文献1等)。これによって、光導波路1001の偏波主軸の回転を抑制し、偏波保持機能を備えた光導波回路が実現される。
特許第4975857号公報 特開2004−233737号公報
ここで、近年、光導波回路は、急速に小型化、および、電極配線の複雑化が進んでいる。しかしながら、特許文献1等の光導波回路のように、電極パッドと光導波路との距離Lを十分に離すことによって、光導波路の偏波主軸の回転を抑える構成は、光導波回路の小型化を妨げる要因となる。したがって、従来技術に係る光導波回路は、偏波保持機能を維持したまま、十分な小型化を図ることができないという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光導波回路は、基板と、前記基板上に形成された光導波路を含む光導波路層と、前記光導波路層上に形成された電極パッドと、前記電極パッドから電流を注入される電流注入部と、前記電極パッドと前記電流注入部とを接続する配線部と、を備え、電流を印加する電流印加端子に前記電極パッドが押圧されて、前記光導波路層に応力歪みが生じた時に、前記光導波路の偏波保持機能を維持させるように、前記電極パッドが前記光導波路の両側に配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電極パッドの配置は、前記光導波路層の応力歪みが、前記光導波路に対して、前記光導波路の両側から略均等に印加される配置であることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電極パッドのうち、少なくとも1つはダミーパッドであることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電極パッドが、前記光導波路の両側に、同数形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電極パッドは、前記光導波路に対して、略線対称となる配置であることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記光導波路は、曲線部を備え、前記電極パッドのうち、少なくとも1つは前記曲線部の弧の略中央部に形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記光導波路と前記電極パッドとの間の光導波路層に、応力開放溝が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記応力開放溝は、前記電極パッドに沿う形状であることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記光導波路が2本以上形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電流注入部は、薄膜ヒータであることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記電流印加端子は、通電用プローブであることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記光導波路と前記電極パッドとの距離が1mmより小さいことを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路は、上記発明において、前記光導波路の偏波モード結合量が、−25dB以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る光導波回路への電流印加方法は、基板と、前記基板上に形成された光導波路を含む光導波路層と、前記光導波路層上に形成された電極パッドと、前記電極パッドから電流を注入される電流注入部と、前記電極パッドと前記電流注入部とを接続する配線部と、を備える光導波回路への電流印加方法であって、電流を印加する電流印加端子に前記電極パッドが押圧されて、前記光導波路層に応力歪みが生じた時に、前記光導波路層の応力歪みを、前記光導波路に対して、前記光導波路の両側から略均等に印加させるため、前記光導波路層の前記電極パッドが形成されていない領域を押圧部材によって、押圧することを特徴とする。
本発明によれば、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る光導波回路の平面図である。 図2は、図1に示す光導波回路のII−II線断面図である。 図3は、電極パッドに通電用プローブを押圧することにより生じる応力歪みが、光導波路層におよぶ様子を模式的に説明するための図である。 図4は、電極パッドに通電用プローブを押圧することにより生じる応力歪みが、光導波路層におよぶ様子を模式的に説明するための図である。 図5は、本発明の実施の形態2に係る光導波回路の平面図である。 図6は、本発明の実施の形態3に係る光導波回路の平面図である。 図7は、本発明の実施の形態4に係る光導波回路の平面図である。 図8は、本発明の実施の形態5に係る光導波回路の平面図である。 図9は、図8に示す光導波回路のIX−IX線断面図である。 図10は、本発明の実施の形態6に係る光導波回路の平面図である。 図11は、本発明の実施の形態7に係る光導波回路の平面図である。 図12は、従来技術に係る光導波回路の平面図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る光導波回路の実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率等は、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る光導波回路について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る光導波回路の平面図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る光導波回路100は、光導波路101と、例えば金からなる電極パッド102と、電極パッド102から電流を注入される電流注入部である例えばタンタル(Ta)系材料等からなる薄膜ヒータ103と、電極パッド102と薄膜ヒータ103とを接続する配線部104とからなる。本実施の形態1に係る光導波回路100は、光導波回路1000と同様に、熱光学位相シフタを有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路1000と異なり、2本の薄膜ヒータ103に接続された4個の電極パッド102が、マッハツェンダ干渉計回路の入出力部に位置する光導波路101に対して、両側に同数、かつ、線対称に配置されている。
図2は、図1に示す光導波回路のII−II線断面図である。図2に示すように、本実施の形態1に係る光導波回路100は、例えば石英からなる基板110と、基板110上に形成された石英系ガラスからなるクラッド部111およびクラッド部111より屈折率の高いコア部である光導波路101からなる光導波路層112と、光導波路層112上に形成された電極パッド102とを備える。電極パッド102の配置は、光導波路101に対して、線対称となる位置に配置されている。そして、電極パッド102は、電源装置121から電流を印加された電流印加端子である通電用プローブ120を押圧され、電流が印加される。なお、電源装置は、各通電用プローブに印加する電流のON・OFF、または、印加する電流値を調整する制御機能を備えている。
ここで、本発明の効果について説明する。図3、4は、電極パッドに通電用プローブを押圧することにより生じる応力歪みが、光導波路層におよぶ様子を模式的に説明するための図である。図3に示すように、電極パッド2は、電源装置から電流を印加された電流印加端子である針状の通電用プローブ20によって、電流を印加される。このとき、電極パッド2が、通電用プローブ20に押圧されると、図4に示すように、電極パッド2に応力歪みが生じ、さらに、電極パッド2の下部のクラッド部11にも応力歪みが生じる。この応力歪みが光導波路1に到達すると、図4の破線のように光導波路1が歪み、光導波路1の偏波主軸1aは、偏波主軸1a’のように回転することとなる。これによって、光導波回路の偏波保持特性が劣化する。
一方で、本実施の形態1に係る光導波回路100は、図2に示したように、電極パッド102が、光導波路101に対して、線対称となる位置に配置されている。これによって、光導波路101にかかる応力歪みが、図2の紙面左右方向で釣り合い、光導波路101の偏波主軸が回転することを抑制することができる。このように、電極パッドの配置が、光導波路層112の応力歪みが、光導波路に対して、光導波路の両側から略均等に印加される配置であると、光導波路の偏波主軸の回転を抑制することができるので、光導波回路の偏波保持機能の劣化を抑制することができる。このとき、従来技術に係る光導波回路のように、偏波保持機能を保つために電極パッド1002と光導波路1001との距離Lを大きくする必要はない。すなわち、本実施の形態1に係る光導波回路100は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
なお、この光導波回路100は、例えば、以下の石英系PLC(Planar Lightwave Circuit)作製プロセスを用いて作製することができる。まず、火炎堆積(Flame Hydrolysis Deposition:FHD)法により、石英からなる基板110上に、石英系ガラス層を堆積し、これを透明ガラス化する。これによって、光導波路101より下部のクラッド部が形成される。さらに、コア部となる光導波路101を形成するため、TiやGe等が添加され屈折率が高められた石英系ガラス層を堆積し、これを透明ガラス化する。次に、形成する光導波路101のパターンが描かれたフォトマスクを用いて、反応性イオンエッチングを用いたフォトリソグラフィ、反応性イオンエッチング法によって、屈折率が高められた石英系ガラス層を光導波路101のパターンになるように加工する。これによって、光導波路101が形成される。
その後、再びFHD法により、光導波路101より上部のクラッド部を形成するための石英系ガラス層を堆積し、これを透明ガラス化する。これにより、光導波路101を覆おうようにクラッド部111が形成される。さらに、クラッド部111上に、蒸着等によって電極パッド102、薄膜ヒータ103、配線部104を形成する。これによって、光導波回路100を製造することができる。
(実施例1)
本実施の形態1に係る光導波回路の実施例1として、マッハツェンダ干渉計回路の入出力部の光導波路101と電極パッド102との距離を0.3mmとした光導波回路100を製造した。光導波路101とクラッド部111との比屈折率差は、1.2%とした。また、光導波路101は厚さ6μm、幅6μm、クラッド部111の厚さは、50μmとした。さらに、クラッド部111の電極パッド102が形成された最表面から、光導波路101の上端までの厚みは27μmである。
なお、光導波路とクラッド部との比屈折率差、クラッド部のサイズおよび位置は、他の実施例においても上記と同一である。
この光導波回路100の電極パッド102に、通電用プローブ120を押圧した状態で、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例1に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る光導波回路について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る光導波回路の平面図である。図5に示すように、本実施の形態2に係る光導波回路200は、光導波路201と、電極パッド202と、薄膜ヒータ203と、配線部204とを備える。本実施の形態2に係る光導波回路200は、実施の形態1に係る光導波回路100と同様に、熱光学位相シフタ有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路100と異なり、出力側の光導波路201が2本に分かれており、さらに、2本の薄膜ヒータ203に接続された4個の電極パッド202が、図5の紙面右側にまとめて形成されている。このように、電極パッドがまとめて形成されていると、通電用プローブ等によって電流を印加しやすいため好適である。このとき、電極パッド202は、マッハツェンダ干渉計回路の出力側の2本の光導波路201に対して、両側に同数、かつ、略線対称に配置されている。ただし、この2本の光導波路201のそれぞれ1本に対して、電極パッド202の配置は完全に線対称ではない。しかしながら、電極パッド202は、2本の光導波路201のそれぞれに対して略線対称の配置であり、このとき、各光導波路にかかる応力歪みは、図5の紙面上下方向でほとんど釣り合い、各光導波路の偏波主軸の回転は十分抑制されている。このように、電極パッドは、光導波路に対して、厳密に線対称となる配置である必要はなく、本実施の形態2に係る光導波回路200のように、電極パッドは、光導波路に対して、略線対称となる配置とされ、光導波回路に対して、光導波回路の両側から略均等に応力歪みが印加される配置であればよい。
(実施例2)
本実施の形態2に係る光導波回路の実施例2として、マッハツェンダ干渉計回路の出力部の2本の光導波路201と電極パッド202との距離を、0.2mmと0.5mmとした光導波回路200を製造した。この光導波回路200の電極パッド202に、通電用プローブを押圧した状態で、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例2に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る光導波回路について説明する。図6は、本発明の実施の形態3に係る光導波回路の平面図である。図6に示すように、本実施の形態3に係る光導波回路300は、光導波路301と、電極パッド302と、薄膜ヒータ303と、配線部304と、ダミーパッド305とを備える。本実施の形態3に係る光導波回路300は、実施の形態1に係る光導波回路100と同様に、熱光学位相シフタを有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路100と異なり、出力側の光導波路301が2本に分かれており、さらに、2本の薄膜ヒータ303に接続された4個の電極パッド302が、図6の紙面右側に寄せて形成されている。そして、出力側の2本の光導波路301の間には、通電用プローブを押圧されるが、薄膜ヒータ303と配線されておらず、電流注入部である薄膜ヒータ303に電流を流すためには使用されない2個のダミーパッド305が形成されている。このとき、電極パッド302およびダミーパッド305は、マッハツェンダ干渉計回路の出力側の2本の光導波路301に対して、両側に同数、かつ、略線対称に配置されている。このように、ダミーパッドを設けることによって、各光導波路に係る応力歪みが光導波路の両側から略均等に印加される構成としてもよい。
なお、ダミーパッドは、電流注入部に電流を流すためには使用されない電極パッドである。したがって、電流注入部と配線されていないことによって、電流注入部に電流を流さない構成であってよい。また、電流注入部と配線されている場合であっても、押圧される通電用プローブに電源装置から電流が印加されていないことによって、電流注入部に電流を流さない構成であってもよい。
(実施例3)
本実施の形態3に係る光導波回路の実施例3として、それぞれの光導波路301と電極パッド302およびダミーパッド305との距離を、1mmより小さい距離として、光導波回路300を製造した。この光導波回路300の電極パッド302に、通電用プローブを押圧した状態で、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例3に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る光導波回路について説明する。図7は、本発明の実施の形態4に係る光導波回路の平面図である。図7に示すように、本実施の形態4に係る光導波回路400は、光導波路401と、電極パッド402と、薄膜ヒータ403と、配線部404とを備える。本実施の形態4に係る光導波回路400は、実施の形態1に係る光導波回路100と同様に、熱光学位相シフタを有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路100と異なり、出力側の光導波路401は2本に分かれており、さらに、出力側の2本の光導波路401は、曲線部を有する。そして、電極パッド402は、光導波路401の円弧の中央部に配置されている。このように、光導波路401が曲線部を有する場合、電極パッド402を曲線部の中央に配置することで、光導波路401の両側からかかる応力歪みを略均等にすることができる。
なお、電極パッドは、曲線部が、例えば、異なる曲率の円弧が接続した形状の場合、各円弧の略中央部に配置してもよく、また、当該曲線をある1つの円弧で近似した場合の当該近似円弧の略中央に配置してもよい。
(実施例4)
本実施の形態4に係る光導波回路の実施例4として、それぞれの光導波路401と電極パッド402との距離を、1mmより小さい距離として、光導波回路400を製造した。この光導波回路400の電極パッド402に、通電用プローブを押圧した状態で、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例4に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る光導波回路について説明する。図8は、本発明の実施の形態5に係る光導波回路の平面図である。図8に示すように、本実施の形態5に係る光導波回路500は、光導波路501と、電極パッド502と、薄膜ヒータ503と、配線部504と、応力開放溝506とを備える。本実施の形態5に係る光導波回路500は、実施の形態1に係る光導波回路100と同様に、熱光学位相シフタを有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路100と異なり、光導波路501と電極パッド502との間に、電極パッド502に沿う形状の応力開放溝506が形成されている。また、本実施の形態5に係る光導波回路500は、実施の形態4に係る光導波回路400に、さらに、応力開放溝506が形成された構成である。
図9は、図8に示す光導波回路のIX−IX線断面図である。図9に示すように、光導波回路500は、基板510上に形成された、コア部である光導波路501とクラッド部511とからなる光導波路層512と、光導波路層512上に形成された電極パッド502および配線部504と、光導波路501と電極パッド502との間の光導波路層512に形成された応力開放溝506とを備える。このとき、電極パッド502に不図示の通電用プローブを押圧することによって生じた応力歪みは、応力開放溝506がない状態でも、光導波路501の両側からかかる応力歪みが略均等である。したがって、光導波路501が歪み、その偏波主軸が回転することによる偏波保持機能の劣化が抑制されている。さらに、本発明の実施の形態5に係る光導波回路500は、応力開放溝506によって、応力歪みの光導波路501への到達が、さらに抑制されている。これによって、より偏波保持機能の劣化が抑制された光導波回路を実現している。
なお、光導波路501への応力歪みを十分に遮断するため、クラッド部511に形成された応力開放溝506は、光導波路501の基板510側の下端よりさらに深く、基板510に近い位置まで形成されていることが好ましい。また、効率的に応力歪みを遮断するには、図8のように電極パッド502に沿う形状に応力開放溝506を形成するとよい。このように、光導波路501の両側からかかる応力歪みが略均等であり、さらに、光導波路と電極パッドとの間の光導波路層に、応力開放溝を形成することによって、より確実に応力歪みによる光導波路の偏波主軸の回転を抑制することができる。
(実施例5)
本実施の形態5に係る光導波回路の実施例5として、それぞれの光導波路501と電極パッド502との距離を、1mmより小さい距離として、光導波回路500を製造した。応力開放溝506の幅は10μm、深さは40μmである。したがって、応力開放溝506は、光導波路501の基板510側の下端よりさらに深く、基板510に近い位置まで形成されている。
この光導波回路500の電極パッド502に、通電用プローブを押圧した状態でこの構成において、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例5に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6に係る光導波回路について説明する。図10は、本発明の実施の形態6に係る光導波回路の平面図である。図10に示すように、本実施の形態6に係る光導波回路600は、光導波路601と、電極パッド602と、薄膜ヒータ603と、配線部604と、ダミーパッド605とを備える。本実施の形態6に係る光導波回路600は、実施の形態1に係る光導波回路100と同様に、熱光学位相シフタを有するマッハツェンダ干渉計回路であるが、光導波回路100と異なり、出力側の光導波路601は2本に分かれており、さらに、出力側の2本の光導波路601は、曲線部を有する。そして、電極パッド602およびダミーパッド605は、光導波路601の円弧の略中央部に形成されている。また、13個形成された電極パッド602のうち、4個は電流注入部である薄膜ヒータ603と配線された電極パッド602であるが、9個は電流注入部と配線されていないダミーパッド605である。そして、出力側の2本の光導波路601が形成する曲線部の内側と外側とに形成された電極パッド602およびダミーパッド605の数が異なっている。さらに、出力側の2本の光導波路601が形成する曲線部の内側の電極パッド602およびダミーパッド605は、弧の中心ではなく、略中央部にまとめて配置されている。このように、電極パッドの配置は、光導波路の両側に形成される電極パッドおよびダミーパッドの数が異なっていてもよく、さらに、電極パッドの配置は、光導波路の形成する曲線部の弧の中心でなくてもよい。ただし、本実施の形態6に係る光導波回路600における電極パッドの配置は、光導波路に対してかかる応力歪みが光導波路の両側から略均等に印加される配置である。
(実施例6)
本実施の形態6に係る光導波回路の実施例6として、それぞれの光導波路601と電極パッド602との距離を、1mmより小さい距離として、光導波回路600を製造した。この光導波回路600の電極パッド602に、通電用プローブを押圧した状態で、偏波モード結合量を測定したところ、偏波モード結合量は−25dB以下であった。したがって、本実施例6に係る光導波回路は、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路である。
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7に係る光導波回路について説明する。図11は、本発明の実施の形態7に係る光導波回路の平面図である。図11に示すように、本実施の形態7に係る光導波回路700は、半導体の電界吸収効果を利用した電界吸収型(Electroabsorption:EA)変調器であり、コア部であり半導体からなる光導波路701と、不図示の半導体からなるクラッド部と、クラッド部上に形成された電極パッド702と、配線部704と、電極707とを備える。本実施の形態7に係る光導波回路700は、光導波回路100と異なり、電流注入部として薄膜ヒータではなく、電極707が形成されている。なお、光導波回路700は、光導波路層がLiNbOからなるLN変調器であってもよい。
光導波回路700は、通電用プローブから電極パッド702に電流が注入され、さらに、電流注入部である電極707に電流が注入される。電極707に電流が注入されると、半導体層に電流が注入され、半導体の光吸収量が変化する。通電用プローブから注入する電力値を不図示の電源装置によって制御すると、入射光に強度変調をかける半導体光変調器として機能する。このとき、実施の形態1と同様に、電極パッド702の配置は、電極パッド702に通電用プローブを押圧することによる応力歪みが、光導波路701に対して、光導波路701の両側から略均等に印加される配置である。したがって、光導波回路700は、光導波路701の偏波主軸の回転を抑制することができる偏波保持機能を備えた光導波回路である。このように、電流注入部は薄膜ヒータに限らず、例えば電極であってよいが、さらに、本発明は電極パッドを備える様々な光導波回路に適用することができる。
以上、説明したように、上記実施の形態によれば、小型化することができ、かつ、偏波保持機能を備えた光導波回路を提供することができる。
なお、本実施の形態において、ダミーパッドは金からなるが、これに限らず種々の材料を用いることができる。さらに、ダミーパッドが形成されていなくても、通電用プローブ等の押圧部材によって、クラッド部を直接押圧し、応力歪みを印加することによって、光導波路の両側で応力歪みが釣り合う構成であってもよい。このように、光導波路層の電極パッドが形成されていない領域を押圧部材によって、押圧することによって、光導波路層の応力歪みを、光導波路に対して、光導波路の両側から略均等に印加させる光導波回路への電流印加方法によっても、本発明の光導波回路の偏波保持機能を維持する効果を得ることができる。
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1、101、201、301、401、501、601、701、1001 光導波路
1a、1a’ 偏波主軸
2、102、202、302、402、502、602、702、1002 電極パッド
10、110、510 基板
11、111、511 クラッド部
12、112、512 光導波路層
20、120、520 通電用プローブ
121 電源装置
100、200、300、400、500、600、700、1000 光導波回路
103、203、303、403、503、603、1003 薄膜ヒータ
104、204、304、404、504、604、704、1004 配線部
305、605 ダミーパッド
506 応力開放溝
707 電極
L 電極パッドと光導波路との距離

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された光導波路を含む光導波路層と、
    前記光導波路層上に形成された電極パッドと、
    前記電極パッドから電流を注入される電流注入部と、
    前記電極パッドと前記電流注入部とを接続する配線部と、
    を備え、電流を印加する電流印加端子に前記電極パッドが押圧されて、前記光導波路層に応力歪みが生じた時に、前記光導波路の偏波保持機能を維持させるように、前記電極パッドが前記光導波路の両側に配置されていることを特徴とする光導波回路。
  2. 前記電極パッドの配置は、前記光導波路層の応力歪みが、前記光導波路に対して、前記光導波路の両側から略均等に印加される配置であることを特徴とする請求項1に記載の光導波回路。
  3. 前記電極パッドのうち、少なくとも1つはダミーパッドであることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波回路。
  4. 前記電極パッドが、前記光導波路の両側に、同数形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光導波回路。
  5. 前記電極パッドは、前記光導波路に対して、略線対称となる配置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光導波回路。
  6. 前記光導波路は、曲線部を備え、
    前記電極パッドのうち、少なくとも1つは前記曲線部の弧の略中央部に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光導波回路。
  7. 前記光導波路と前記電極パッドとの間の光導波路層に、応力開放溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光導波回路。
  8. 前記応力開放溝は、前記電極パッドに沿う形状であることを特徴とする請求項7に記載の光導波回路。
  9. 前記光導波路が2本以上形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光導波回路。
  10. 前記電流注入部は、薄膜ヒータであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の光導波回路。
  11. 前記電流印加端子は、通電用プローブであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の光導波回路。
  12. 前記光導波路と前記電極パッドとの距離が1mmより小さいことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の光導波回路。
  13. 前記光導波路の偏波モード結合量が、−25dB以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の光導波回路。
  14. 基板と、
    前記基板上に形成された光導波路を含む光導波路層と、
    前記光導波路層上に形成された電極パッドと、
    前記電極パッドから電流を注入される電流注入部と、
    前記電極パッドと前記電流注入部とを接続する配線部と、
    を備える光導波回路への電流印加方法であって、
    電流を印加する電流印加端子に前記電極パッドが押圧されて、前記光導波路層に応力歪みが生じた時に、前記光導波路層の応力歪みを、前記光導波路に対して、前記光導波路の両側から略均等に印加させるため、前記光導波路層の前記電極パッドが形成されていない領域を押圧部材によって、押圧することを特徴とする光導波回路への電流印加方法。
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