JP2014162779A - 金属錯体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率よく金属錯体を製造する製造方法を提供すること。
【解決手段】多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法において、モノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることによって上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属錯体の製造方法に関する。さらに詳しくは、多価カルボン酸化合物と、少なくとも1種の金属イオンを含む金属錯体の製造方法に関する。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量又は吸着速度の差により分離を行っている。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、高分子金属錯体が開発されている。高分子金属錯体は、(1)広い表面積と高い空隙率、(2)高い設計性、(3)外部刺激による動的構造変化、といった特徴を有しており、既存の吸着材にはない吸着特性が期待される。
優れた吸着性能を有する金属錯体として銅イオンとテレフタル酸と4,4’−ビピリジルとからなる高分子金属錯体が示されている(特許文献1参照)。
特開2003−342260公報
しかしながら、特許文献1の金属錯体は、本発明者らが追試した結果、生産性に問題があることが分かった。
したがって、本発明は、金属錯体を効率よく製造する製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、多価カルボン酸化合物と、少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法において、モノカルボン酸塩を共存させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法であって、前記多価カルボン酸化合物と前記金属イオンとを溶媒中で反応させる工程(1)を含み、該工程(1)において、モノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることを特徴とする、金属錯体の製造方法。
(2)前記モノカルボン酸アルカリ金属塩を、前記金属イオンに対して10〜50モル当量共存させる、(1)に記載の金属錯体の製造方法。
(3)前記モノカルボン酸アルカリ金属塩が、モノカルボン酸ナトリウム塩である、(1)又は(2)に記載の金属錯体の製造方法。
(4)さらに、モノカルボン酸を添加する工程(2)を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
(5)前記モノカルボン酸が、炭素数1〜22の脂肪族モノカルボン酸である、(4)に記載の金属錯体の製造方法。
(6)さらに、前記金属イオンに多座配位可能な有機配位子を添加する工程(3)を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
本発明により、多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法を提供することができる。
テレフタル酸のカルボキシレートイオンと銅イオンとからなるパドルホイール骨格中の金属イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルが配位して形成されるジャングルジム骨格の模式図である。 ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造の模式図である。 実施例1及び比較例1における転化率の時間変化である。 実施例2及び比較例2における転化率の時間変化である。 実施例1で得られた金属錯体の273Kにおける二酸化炭素の吸着等温線である。 比較例1で得られた金属錯体の273Kにおける二酸化炭素の吸着等温線である。
本発明の金属錯体の製造方法は、多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法であって、多価カルボン酸化合物と金属イオンとを溶媒中で反応させる工程(1)において、モノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることを特徴とする。
本発明に用いられる多価カルボン酸化合物としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、テトラカルボン酸化合物などを使用することができる。ジカルボン酸化合物の例は、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、ムコン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸及び2,2’−ジチオフェンジカルボン酸などである。トリカルボン酸化合物の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、ビフェニル−3,4’,5−トリカルボン酸、1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン及び1,3,5−トリス(4’−カルボキシ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ベンゼンなどである。テトラカルボン酸化合物の例は、ピロメリット酸、[1,1’:4’,1’’]ターフェニル−3,3’’,5,5’’−テトラカルボン酸及び1,2,4,5−テトラキス(4−カルボキシフェニル)ベンゼンなどである。これらの中でもジカルボン酸化合物又はトリカルボン酸化合物が好ましい。多価カルボン酸化合物は、単独で用いても良く、2種以上の多価カルボン酸化合物を混合して用いても良い。また、本発明の金属錯体は、単一のジカルボン酸化合物からなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。また、該多価カルボン酸化合物は、酸無水物やアルカリ金属塩の形で用いてもよい。
該多価カルボン酸化合物は、カルボキシル基以外に置換基をさらに有していてもよい。例えば、テレフタル酸は2−ニトロテレフタル酸であってもよい。置換基の数は1、2又は3個が挙げられる。置換基としては、特に限定されないが、例えばアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖又は分岐を有する炭素数1〜5のアルキル基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アセチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。該多価カルボン酸化合物は、酸無水物の形で用いてもよい。
本発明に用いられる周期表の2〜13族に属する金属のイオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、ランタノイドイオン(ランタンイオン、テルビウムイオン、ルテチウムイオンなど)、アクチノイドイオン(アクチニウムイオン、ローレンシウムイオンなど)、ジルコニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、モリブデンイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン及びアルミニウムなどを使用することができ、中でもマンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン及び亜鉛イオンが好ましく、銅イオンがより好ましい。金属イオンは、単一の金属イオンを使用することが好ましいが、2種類以上の金属イオンを含む混合金属錯体であってもよい。また、本発明の金属錯体は、単一の金属イオンからなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
該金属イオンは金属塩の形で用いてもよい。金属錯体の製造に用いる周期表の2〜13族に属する金属の塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、スカンジウム塩、ランタノイド塩(ランタン塩、テルビウム塩、ルテチウム塩など)、アクチノイド塩(アクチニウム塩、ローレンシウム塩など)、ジルコニウム塩、バナジウム塩、クロム塩、モリブデン塩、マンガン塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、カドミウム塩及びアルミニウム塩などを使用することができ、中でもマンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩及び亜鉛塩が好ましく、銅塩がより好ましい。金属塩は、単一の金属塩を使用することが好ましいが、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
本発明に用いられるモノカルボン酸アルカリ金属塩としては、モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸であるモノカルボン酸の第1解離指数(pKa、298K)の値が、−4.0〜7.0の範囲内であるものが好ましく、3.5〜7.0の範囲内であるものがより好ましい。例えば、モノカルボン酸アルカリ金属塩は、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸ルビジウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ルビジウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、酪酸ルビジウム、イソ酪酸ナトリウム、イソ酪酸カリウム、イソ酪酸ルビジウム、吉草酸ナトリウム、吉草酸カリウム、吉草酸ルビジウム、カプロン酸ナトリウム、カプロン酸カリウム、カプロン酸ルビジウム、エナント酸ナトリウム、エナント酸カリウム、エナント酸ルビジウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、シクロヘキサンカルボン酸カリウム、シクロヘキサンカルボン酸ルビジウム、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、カプリル酸ルビジウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ルビジウム、ペラルゴン酸ナトリウム、ペラルゴン酸カリウム、ペラルゴン酸ルビジウム、カプリン酸ナトリウム、カプリン酸カリウム、カプリン酸ルビジウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ルビジウムなどの脂肪族モノカルボン酸アルカリ金属塩;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ルビジウム、ニコチン酸ナトリウム、ニコチン酸カリウム、ニコチン酸ルビジウム、イソニコチン酸ナトリウム、イソニコチン酸カリウム、イソニコチン酸ルビジウム、ナフタレンカルボン酸ナトリウム、ナフタレンカルボン酸カリウム、ナフタレンカルボン酸ルビジウム、チオフェンカルボン酸ナトリウム、チオフェンカルボン酸カリウム、チオフェンカルボン酸ルビジウム、3−ピリジンカルボン酸ナトリウム、3−ピリジンカルボン酸カリウム、3−ピリジンカルボン酸ルビジウム、4−ピリジンカルボン酸ナトリウム、4−ピリジンカルボン酸カリウム、4−ピリジンカルボン酸ルビジウムなどの芳香族モノカルボン酸アルカリ金属塩などを使用することができ、モノカルボン酸ナトリウム塩が好ましい。中でも脂肪族モノカルボン酸ナトリウム塩が好ましく、炭素数1〜8の脂肪族モノカルボン酸ナトリウム塩がより好ましい。さらに好ましい脂肪族モノカルボン酸ナトリウム塩としては、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウムであり、特に酢酸ナトリウムが好ましい。モノカルボン酸アルカリ金属塩は、単独で用いても良く、2種以上のモノカルボン酸アルカリ金属塩を混合して用いても良い。また、モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸であるモノカルボン酸は、カルボキシル基以外に、アルキル基、アルコキシ基等の置換基をさらに有していてもよい。
金属錯体を製造するときに共存させるモノカルボン酸アルカリ金属塩の量は、金属イオンに対して10〜50モル当量の範囲内が好ましく、20〜40モル当量の範囲内がより好ましい。
本発明の製造方法により得られる金属錯体は、金属イオンと多価カルボン酸化合物が配位結合することにより構築される。金属錯体の製造時にモノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることにより、この配位結合を形成する反応の平衡を生成系に片寄せることができ、転化率が上がるので、生産性が向上する。このとき、モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸であるモノカルボン酸が金属錯体の一部に組み込まれてもよい。
本発明の製造方法においては、多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを反応させる際に、モノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることで、目的の金属錯体を高収率で得ることができる。多価カルボン酸化合物と金属イオンとを反応させる工程(1)は溶媒存在下で行うのが好ましい。
前記溶媒としては、有機溶媒、水又はそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ブタノール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水又はこれらの混合溶媒を使用することができる。好ましくは、多価カルボン酸化合物と金属イオンとを、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、金属錯体を析出させて製造する。このとき、超音波又はマイクロウェーブ照射下で反応を行ってもよい。反応温度としては、253〜423Kが好ましい。
前記モノカルボン酸アルカリ金属塩は、反応初期から共存させても、反応後期に添加してもよい。
金属錯体を製造するときの金属塩と多価カルボン酸化合物の混合比率は、金属塩:多価カルボン酸化合物=1:10〜10:1のモル比の範囲内が好ましく、1:5〜5:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
金属錯体を製造するための混合溶液における多価カルボン酸化合物のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
金属錯体を製造するための混合溶液における金属塩のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では未反応の金属塩が残留し、得られた金属錯体の精製が困難になる。
本発明の製造方法においては、前記工程(1)に加え、さらにモノカルボン酸を添加する工程(2)を含むことが好ましい。モノカルボン酸としては、炭素数1〜22の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、炭素数1〜5の脂肪族モノカルボン酸がより好ましい。例えば、ギ酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、オクチル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オレイン酸などの脂肪族モノカルボン酸;安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;ニコチン酸、イソニコチン酸などの複素芳香族モノカルボン酸などを使用することができ、中でもギ酸、酢酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸が好ましく、特にギ酸又は酢酸がより好ましい。モノカルボン酸は、単独で用いても良く、2種以上のモノカルボン酸を混合して用いてもよい。
該モノカルボン酸と前記モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸であるモノカルボン酸とは、同一であっても異なっていてもよい。例えば、ラウリン酸を添加する工程を含む場合に、モノカルボン酸アルカリ金属塩としては、酢酸ナトリウム塩を用いてもよいし、ラウリン酸ナトリウム塩を用いてもよい。特に、該モノカルボン酸と前記モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸は同じであることが好ましい。
多価カルボン酸化合物と金属イオンとを反応させる際に、前記モノカルボン酸アルカリ金属塩とは別に、モノカルボン酸を添加することで、多価カルボン酸化合物と金属イオンとの反応速度すなわち錯形成速度が制御され、結晶欠陥が少ない金属錯体を得ることが可能となる。このとき、添加したモノカルボン酸は、得られる金属錯体の効果を損ねない範囲で、金属錯体の一部に組み込まれてもよい。
本発明の製造方法においては、さらに、前記金属イオンに多座配位可能な有機配位子を添加する工程(3)を含んでいてもよい。多座配位可能な有機配位子とは、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を2箇所以上持つ中性配位子を意味する。非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子などが挙げられる。本発明の製造方法において、前記金属イオンに多座配位可能な有機配位子を添加する工程(3)を含む場合、得られる金属錯体は、多価カルボン酸化合物と金属イオンと多座配位可能な有機配位子とを含む。この場合においても、モノカルボン酸アルカリ金属塩の共役酸であるモノカルボン酸が金属錯体の一部に組み込まれてもよい。
該多座配位可能な有機配位子は、複素芳香環化合物であることが好ましく、中でも窒素原子を配位部位に有する複素芳香環化合物であることが好ましい。また、多座配位可能な有機配位子は、二座配位可能な有機配位子が好ましく、点群がD∞hであり、かつ長軸方向の長さが7.0Å以上16.0Å以下である二座配位可能な有機配位子がより好ましい。
該二座配位可能な有機配位子の点群は、下記参考文献1に記載の方法に従って決定することができる。
参考文献1:中崎昌雄、分子の対称と群論、39〜40頁(1973年、東京化学同人)
例えば、4,4’−ビピリジル、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン、2,7−ジアザピレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、4,4’−ビス(4−ピリジル)ビフェニレン、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミドなどは左右対称な直線分子であり、かつ対称心を有するので、点群はD∞hとなる。また、1,2−ビス(4−ピリジル)エテンは2回回転軸とその軸に垂直な対称面を有するので、その点群はC2hとなる。
本明細書における二座配位可能な有機配位子の長軸方向の長さは、富士通株式会社製Scigress Explorer Professional Version 7.6.0.52を用い、分子力学法MM3で配座解析を行った後、半経験的分子軌道法PM5で構造最適化を行うことで求めた最安定構造における、金属イオンに対して配位する原子のうち構造式内で最も離れた位置にある2原子間の距離と定義する。
例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの窒素原子間距離は2.609Å、ピラジンの窒素原子間距離は2.810Å、4,4’−ビピリジルの窒素原子間距離は7.061Å、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレンの窒素原子間距離は9.583Å、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンの窒素原子間距離は11.315Å、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンの窒素原子間距離は11.204Å、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロンの窒素原子間距離は15.309Å、4,4’−ビス(4−ピリジル)ビフェニレンの窒素原子間距離は15.570Å、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミドの窒素原子間距離は15.533Åとなる。
本発明に用いられる多座配位可能な有機配位子としては、4,4’−ビピリジル、2,7−ジアザピレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、4,4’−ビス(4−ピリジル)ビフェニレン、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミドなどが好ましく、中でも4,4’−ビピリジルが特に好ましい。多座配位可能な有機配位子は、単独で用いてもよく、2種以上の多座配位可能な有機配位子を混合して用いてもよい。
本発明の金属錯体の製造方法が、多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを反応させる工程(1)と、モノカルボン酸を添加する工程(2)と、金属イオンに多座配位可能な有機配位子を添加する工程(3)とを含む場合、本発明においては、これら4成分を同時に混合して1つの工程で反応させる場合と、これら4成分のうち少なくとも1成分を他の成分と別のタイミングで混合して複数の工程で反応させる場合とを含む。すなわち、工程(2)は工程(1)と同時に行っても工程(1)の後に行ってもよく、工程(3)は工程(1)及び工程(2)と同時に行っても工程(1)及び工程(2)の後に行ってもよい。或いは工程(2)を工程(1)の後に行い、工程(3)をさらに工程(2)の後に行ってもよい。また、モノカルボン酸アルカリ金属塩は、多価カルボン酸化合物と金属イオンとを反応させる工程において共存していればよく、例えば、工程(1)、工程(2)及び工程(3)を同時に行う場合には、前記4成分のどの成分と一緒に添加しても構わない。これらの各工程は、溶媒中で行うのが好ましく、用いられる溶媒としては、前記に例示したものが挙げられる。
好ましい一実施形態では、多価カルボン酸化合物と、金属イオンと、モノカルボン酸とを反応させる工程(第一工程)と、第一工程で得られた中間体に、前記金属イオンに多座配位可能な有機配位子を反応させて、金属錯体を得る工程(第二工程)とに分割される。また、第一工程において、多価カルボン酸化合物を分散させた溶液を、金属イオンを分散させた溶液に逐次的に混合してもよく、またその逆でもよい。その場合、モノカルボン酸アルカリ金属塩はどちらの溶液に加えてもよい。さらに第二工程において、中間体を分散させた溶液を、多座配位可能な有機配位子を分散させた溶液に逐次的に混合してもよく、またその逆でもよい。
また、本発明の金属錯体の製造方法においては、モノカルボン酸アルカリ金属塩の共存下で、多価カルボン酸化合物と金属イオンとを反応させる工程、或いは、必要に応じて該金属イオンに多座配位可能な有機配位子及び/又はモノカルボン酸を反応させる工程において、これらのうち少なくとも一種が懸濁した状態で反応させてもよい。懸濁状態とは、前記4成分のうちの少なくとも一種を、その飽和溶解度以上の濃度で反応系中に加え、原料及び金属錯体が液体中に分散した状態を意味する。
本発明の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに単座有機配位子を加えることができる。単座有機配位子とは、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を1箇所持つ中性配位子を意味する。単座有機配位子は、前記多座配位可能な有機配位子と同様に、金属イオンに配位して金属錯体の一部に組み込まれる。単座有機配位子としては、例えば、フラン、チオフェン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、メチルイソシアニドなどを使用することができ、中でもピリジンが好ましい。単座有機配位子は炭素数1〜23の炭化水素基を置換基として有してもよい。単座有機配位子は、反応初期から共存させても、反応後期に添加してもよい。
本発明の製造方法で得られる金属錯体が前記単座有機配位子を含む場合、その割合は本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、多価カルボン酸と単座有機配位子との組成比は、1:5〜1:1,000のモル比の範囲内が好ましく、1:10〜1:100の範囲内であることがより好ましい。当該組成比は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー又はNMRなどを用いて分析することで決定することができるが、これらに限定されるものではない。
反応が終了したことは吸光光度法を用いたパックテスト、ガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより原料の残存量を定量することにより確認することができるが、これらに限定されるものではない。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒による洗浄後、373K程度で数時間真空乾燥することにより、本発明の金属錯体を得ることができる。
反応温度としては、使用する溶媒に応じて適宜に選択すればよいが、253〜463Kが好ましく、298〜423Kがより好ましい。
本発明の製造方法で得られる金属錯体は、用いる多価カルボン酸化合物及び金属イオンの種類により、一次元、二次元、或いは三次元の集積構造をとる。
一次元の集積構造を有する金属錯体の例としては2,3−ピラジンジカルボン酸と銅イオンとからなる金属錯体が、二次元の集積構造を有する金属錯体の例としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と銅イオンとからなる金属錯体が、三次元の集積構造を有する金属錯体の例としてはトリメシン酸と銅イオンとからなる金属錯体、或いはテレフタル酸と銅イオンと4,4’−ビピリジルとからなる金属錯体等が、それぞれ挙げられる。
一例として、多価カルボン酸化合物としてテレフタル酸を、金属イオンとして銅イオンを、多座配位可能な有機配位子として4,4’−ビピリジルを有する金属錯体について詳しく述べる。該金属錯体は、テレフタル酸のカルボキシレートイオンと金属イオンとからなるパドルホイール骨格中の金属イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルが配位して形成されるジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造を有する。ジャングルジム骨格の模式図を図1に、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造の模式図を図2に示す。
上記「ジャングルジム骨格」とは、テレフタル酸などの多価カルボン酸化合物と金属イオンとからなるパドルホイール骨格中の金属イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルなどの多座配位可能な有機配位子が配位し、多価カルボン酸化合物と金属イオンとからなる二次元格子状シート間を連結することで形成されるジャングルジム様の三次元構造を意味する。「ジャングルジム骨格が多重に相互貫入した構造」とは、複数のジャングルジム骨格が互いの細孔を埋める形で貫入し合った三次元集積構造である。
該金属錯体がジャングルジム骨格が多重に相互貫入した構造を有することは、例えば単結晶X線構造解析、粉末X線結晶構造解析などにより確認できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の製造方法で得られる金属錯体は多孔性金属錯体であり、その細孔中にガスなどを吸着することができるため、各種ガスの吸着材、吸蔵材及び分離材として用いることができる。ただし、溶媒が吸着した状態ではガスを吸着しない。そのため、本発明の製造方法で得られる金属錯体を吸着材、吸蔵材、或いは分離材として使用する際には、予め得られた金属錯体について真空乾燥を行い、細孔内の溶媒を取り除くことが必要である。通常は金属錯体が分解しない程度の温度(例えば298K〜523K以下)で真空乾燥を行えばよいが、その温度はより低温(例えば298K〜393K以下)であることが好ましい。この操作は、超臨界二酸化炭素による洗浄によっても代えることができ、より効果的である。
本発明の製造方法によって得られる金属錯体は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタン、1−ブテン、イソブテン、1−ブチン、2−ブチン、1,3−ブタジエン、メチルアレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気又は有機蒸気(常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガス)などの各種ガスの吸着性能、吸蔵性能及び分離性能に優れている。従って、本発明の金属錯体は、各種ガスの吸着材、吸蔵材及び分離材として有用であり、これらも本発明の権利範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例における分析及び評価は次のようにして行った。
(1)パックテストによる原料金属塩の転化率の算出
株式会社共立理化学研究所製パックテストを用いて、溶媒に溶解している金属イオンの量を定量し、転化率を算出した。
金属イオンが銅イオンの場合:パックテスト銅 WAK−Cu
(2)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製SmartLab
X線源:CuKα(λ=1.5418Å) 45kV 200mA
ゴニオメーター:横型ゴニオメーター
検出器:D/teX Ultra
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=2/3°
受光スリット=0.3mm
散乱スリット=2/3°
(3)元素分析
炭素、水素及び窒素については、炭素・水素・窒素同時測定装置を用いて定量した。また、銅については、ICP発光分光分析装置を用いて定量した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
≪炭素・水素・窒素≫
装置:株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ製MICRO CORDER JM10
燃焼温度:950℃
キャリアガス:ヘリウム、酸素(燃焼時)
燃焼時間:4分
≪銅≫
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製iCAP6500DuO
RFパワー:1150W
使用波長:324.754nm
(4)吸着等温線の測定
高圧ガス吸着量測定装置を用いて、容量法によりガス吸脱着量の測定を行い、吸着等温線を作成した(JIS Z8831−2に準拠)。このとき、測定に先立って試料を373K、0.5Paで5時間乾燥し、吸着水などを除去した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
<実施例1>
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物2.34g(9.38mmol)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1.62g(9.38mmol)、酢酸16.9g(281mmol)をメタノール1,500mLに溶解し、そこに酢酸ナトリウム23.1g(281mmol)を加え、313Kで100時間攪拌した。析出した金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、粗生成物を2.07g得た。水で3回洗浄し、精製を行った結果、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:銅=1:1の組成比で表される金属錯体0.876g(収率40%)を得た。得られた金属錯体の元素分析結果を以下に示す。
測定値 C:37.5,H:4.2,O:31.2,Cu:27.1
理論値 C:40.8,H:5.1,O:27.2,Cu:27.0
<比較例1>
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物2.34g(9.38mmol)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1.62g(9.38mmol)及び酢酸16.9g(281mmol)をメタノール1,500mLに溶解し、313Kで100時間攪拌した。析出した金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:銅=1:1の組成比で表される金属錯体0.24g(収率4%)を得た。得られた金属錯体の元素分析結果を以下に示す。
測定値 C:40.9,H:3.1,O:28.0,Cu:28.0
理論値 C:40.8,H:5.1,O:27.2,Cu:27.0
実施例1及び比較例1において、反応系中に存在する原料金属塩の転化率をパックテストを用いて算出した。転化率の時間変化を図3に示す。
実施例1及び比較例1の結果より、本発明の構成要件を満たす実施例1に示した製造方法は、モノカルボン酸アルカリ金属塩を添加していない比較例1に示した製造方法と比較して、生産性が向上していることは明らかである。
<実施例2>
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物5.86g(23.5mmol)、テレフタル酸3.90g(23.5mmol)、酢酸42.3g(704mmol)及び酢酸ナトリウム57.7g(704mmol)をメタノール3,750mLに溶解し、313Kで50時間攪拌した。析出した金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、中間体を単離した。
次に、得られた中間体を、窒素雰囲気下でメタノール2,000mL中に分散させ、4,4’−ビピリジル1.83g(11.7mmol)を添加し、298Kで3時間攪拌した。このとき、反応溶液は懸濁したままであった。金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。続いて、373K、50Paで8時間乾燥し、粗生成物を2.90g得た。水で3回洗浄し、テレフタル酸:銅:4,4’−ビピリジル=2:2:1の組成比で表される金属錯体0.876g(収率40%)を得た。
<比較例2>
窒素雰囲気下、硫酸銅五水和物5.86g(23.5mmol)、テレフタル酸3.90g(23.5mmol)及び酢酸42.3g(704mmol)をメタノール3,750mLに溶解し、313Kで51時間攪拌した。析出した金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、中間体を単離した。次に、得られた中間体を、窒素雰囲気下でメタノール2,000mL中に分散させ、4,4’−ビピリジル1.83g(11.7mmol)を添加し、298Kで3時間攪拌した。このとき、反応溶液は懸濁したままであった。金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。続いて、373K、50Paで8時間乾燥し、テレフタル酸:銅:4,4’−ビピリジル=2:2:1の組成比で表される金属錯体0.287g(収率4%)を得た。
実施例2及び比較例2において、反応系中に存在する原料金属塩の転化率をパックテストを用いて算出した。転化率の時間変化を図4に示す。
実施例2及び比較例2の結果より、本発明の構成要件を満たす実施例2に示した製造方法は、モノカルボン酸アルカリ金属塩を添加していない比較例2の製造方法と比較して、生産性が向上していることは明らかである。
(ガス吸着性評価)
実施例1で得られた金属錯体の273Kにおける二酸化炭素の吸着等温線を図5に示す。
比較例1で得られた金属錯体の273Kにおける二酸化炭素の吸着等温線を図6に示す。
図5及び図6の比較より、本発明の製造方法で得られた金属錯体は、モノカルボン酸アルカリ金属塩を添加していない比較例1の製造方法で得られた金属錯体と同等の二酸化炭素吸着性能を示すことがわかる。以上の結果より、本発明の製造方法は、得られる金属錯体のガス吸着性能は維持しつつ、生産性を向上させることができ、多孔性金属錯体の製造方法として優れていることは明らかである。

Claims (6)

  1. 多価カルボン酸化合物と、周期表の2〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとを含む金属錯体の製造方法であって、前記多価カルボン酸化合物と前記金属イオンとを溶媒中で反応させる工程(1)を含み、該工程(1)において、モノカルボン酸アルカリ金属塩を共存させることを特徴とする、金属錯体の製造方法。
  2. 前記モノカルボン酸アルカリ金属塩を、前記金属イオンに対して10〜50モル当量共存させる、請求項1に記載の金属錯体の製造方法。
  3. 前記モノカルボン酸アルカリ金属塩が、モノカルボン酸ナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の金属錯体の製造方法。
  4. さらに、モノカルボン酸を添加する工程(2)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
  5. 前記モノカルボン酸が、炭素数1〜22の脂肪族モノカルボン酸である、請求項4に記載の金属錯体の製造方法。
  6. さらに、前記金属イオンに多座配位可能な有機配位子を添加する工程(3)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020528043A (ja) * 2018-06-11 2020-09-17 南京工▲業▼大学 二次元シート状Cu−MOF材料を調製する方法
JP2022013196A (ja) * 2020-07-03 2022-01-18 平岡織染株式会社 消臭性抗菌防黴物質、消臭性抗菌防黴塗料組成物、及び消臭性抗菌防黴塗膜

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