JP2014161257A - 多能性幹細胞から膵ランゲルハンス島を製造する方法 - Google Patents

多能性幹細胞から膵ランゲルハンス島を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、多能性幹細胞を分化させることによって、生体内の膵島と同様に、複数の機能的な内分泌細胞を含む三次元構造をとり、グルコース応答性にインスリンを産生する膵島を製造することを課題とする。
【解決手段】本発明は、多能性幹細胞から膵ランゲルハンス島を製造する方法であって、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させる工程と、前記分化させた細胞を単一細胞まで分散させてから培養する工程と、を含み、前記単一細胞に分散させた細胞の培養において、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させた細胞をフィーダー細胞として用いる、方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多能性幹細胞から、膵ランゲルハンス島を製造する方法等に関する。
膵臓の組織の大部分は膵液を分泌する外分泌部であるが、その腺房間に内分泌細胞群が散在しており、これを膵ランゲルハンス島(以下「膵島」ともいう。)という。膵島は、グルカゴンを分泌するα細胞、インスリンを分泌するβ細胞、ソマトスタチンを分泌するδ細胞、及び膵ポリペプチドを分泌するPP細胞島を含む組織であり、血糖調節に重要な役割を担う。
膵島は、血糖調節機能を持つ移植可能な最小ユニットであり、膵島移植は糖尿病の根治的な治療法となりうる。しかし、絶対的なドナー不足や免疫拒絶などの問題が、膵島移植による治療法の普及を妨げている。
このような状況に鑑みて、胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹(iPS)細胞などの多能性幹細胞から、膵島への分化を誘導する試みがなされている。例えば、Nostroら(非特許文献1)は、ヒト由来のES細胞又はiPS細胞を、組成を変えた5種類の分化誘導培地で段階的に培養した結果、インスリンを産生するβ細胞を得ることに成功している。
しかしながら、生体内の膵島と同様に、複数の内分泌細胞を含んだ三次元構造の細胞塊が得られたことや、β細胞がグルコース応答性にインスリンを産生したことについては記載されていない。
また、ヒトiPS細胞から、低効率ながら、グルコースに応答するβ細胞が作製されたことも報告されているが(例えば、非特許文献2、3)、生体内の膵島にはまったく及ばないレベルであり、さらなる改善が必要とされていた。
Nostro, M. C. et al. Development 138:861-871 (2011) Thatava et al. Gene Therapy 18:283-293 (2011) Jiang et al. Stem cells 25:1940-1953 (2007)
本発明は、多能性幹細胞を分化させることによって、生体内の膵島と同様に、複数の機能的な内分泌細胞を含む三次元構造をとり、グルコース応答性にインスリンを産生する膵島を製造することを課題とする。
本発明者らは、これまでに、マウスiPS細胞を、既報の系(Jiang et al., Cell Res. 17(4):333-344, 2007)を改変して内分泌前駆細胞にまで分化誘導し、一度単一細胞に分散させてからゼラチンコートディッシュで単層培養に戻して分化誘導したところ、膵島様の細胞塊を得ることに成功した(Saito H. et al., PLoS One 6, e28209, 2011)。しかしながら、ヒトiPS細胞を用いて同じ方法で分化誘導した培養系には、膵島様の細胞塊はほとんど見られなかった。
その後、非特許文献1の方法でヒトiPS細胞を内分泌前駆細胞まで分化誘導し、一度単一細胞に分散させてから単相培養したが、やはり膵島様の細胞塊は極少数しか得られなかった。
そこで、さらに検討を重ねた結果、膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階の細胞をフィーダー細胞とし、その上で、内分泌前駆細胞まで分化させた細胞を単一細胞に分散させてから培養したところ、生体内の膵島と同様の三次元構造を有する細胞塊が得られることを見出した。
さらに、この細胞塊が、生体内の膵島と同様に、膵内分泌ホルモンを分泌するα細胞、β細胞及びδ細胞が含んでいること、グルコース応答性にインスリンを分泌すること、糖尿病モデルマウスに移植すると血糖値是正能を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕多能性幹細胞から膵ランゲルハンス島を製造する方法であって、
多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させる工程と、
前記分化させた細胞を単一細胞まで分散させてから培養する工程と、を含み、
前記単一細胞に分散させた細胞の培養において、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させた細胞をフィーダー細胞として用いる、方法;
〔2〕前記単一細胞に分散させる細胞には、多能性幹細胞を内分泌前駆細胞まで分化させたものを用い、
前記フィーダー細胞として用いる細胞には、多能性幹細胞を膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階まで分化させたものを用いる、上記〔1〕に記載の方法;
〔3〕前記内分泌前駆細胞は、Pdx1陽性、Ngn3陽性、NeuroD1陽性、Ptf1a陰性からなる群より選択される少なくとも2つの性質を備える細胞を含む、上記〔2〕に記載の方法;
〔4〕前記内分泌前駆細胞は、多能性幹細胞を分化培地で13日以上培養した細胞である、上記〔2〕に記載の方法;
〔5〕前記膵前駆細胞は、Pdx1陽性、及びPtf1a陽性である、上記〔2〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法;
〔6〕前記膵前駆細胞は、多能性幹細胞を分化培地で8日以上培養した細胞である、上記〔2〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法;
〔7〕前記多能性幹細胞を分化させる工程は、多能性幹細胞を、生体内での膵発生の過程を模倣するように組成を経時的に変化させた培地中で単層培養して行う、上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の方法;
〔8〕前記単一細胞に分散させた内分泌前駆細胞の培養は、カスパーゼ阻害剤を含む培地で行う、上記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の方法;
〔9〕前記多能性幹細胞は、ヒト由来である、上記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の方法;
〔10〕前記多能性幹細胞は、人工多能性幹細胞である、上記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法;
〔11〕前記人工多能性幹細胞が、糖尿病患者由来である、上記〔10〕に記載の方法;
〔12〕上記〔10〕又は〔11〕の方法で製造される膵ランゲルハンス島;
〔13〕医薬品候補化合物のスクリーニングへの、上記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の方法で得られた膵ランゲルハンス島の使用;
〔14〕糖尿病治療薬のスクリーニング方法であって、
上記〔11〕の方法で膵ランゲルハンス島を製造する際、培地に医薬品候補化合物を加える工程と、
膵ランゲルハンス島が、より良好に作られる医薬品候補化合物を選択する工程と、
を含む方法;
〔15〕糖尿病治療薬のスクリーニング方法であって、
上記〔11〕に記載の方法で得られた膵ランゲルハンス島と医薬品候補化合物を接触させ、インキュベーションする工程と、
前記膵ランゲルハンス島の機能を改善する医薬品候補化合物を選択する工程と、
を含む方法
に、関する。
本発明の方法によれば、多能性幹細胞から、生体内と同様の三次元構造と機能を有する膵島を作製することができる。多能性幹細胞は大量培養ができることから、移植を必要とする患者に膵島を十分に供給することができ、ドナー不足の問題が解消され、患者の病状に応じた追加移植のための膵島の準備も容易となる。
また、患者自身の細胞からiPS細胞を作製し、これを用いて膵島を作製すれば、免疫拒絶の問題や、他家移植に伴うウイルス感染の問題も解消される。
さらに、本発明によって作製される膵島は、新薬の探索のためのスクリーニングにも利用できる。特に患者由来のiPS細胞から作製した膵島は、疾患発症機構の解析や、疾患の治療薬の開発にも有用であると考えられる。
図1Aは、ヒトiPS細胞からの膵島の分化誘導法の概略を示す。図1Bは、Stage5におけるフィーダー細胞を用いた膵島形成培養法の模式図を示す。図1Cは、各Stageの細胞を顕微鏡で観察した様子を示す。 図2Aは、ヒトiPS細胞由来膵島の免疫染色像を示す。図2Bは、ヒトiPS細胞由来膵島の、図2Cはフィーダー細胞のジチゾン染色像を示す。 図2Dは、ヒトiPS細胞由来膵島の遺伝子発現プロファイルを示す。 図3Aは、ヒトiPS細胞由来膵島のグルコース応答性のCペプチド分泌を測定した結果を示す。図3Bは、ヒトiPS細胞由来膵島を移植した糖尿病モデルマウスの血糖値の測定結果を示す。
本発明に係る膵島の製造方法は、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させる工程と、分化させた細胞を単一細胞まで分散させてから培養する工程と、を含み、単一細胞に分散させた細胞の培養において、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させた細胞をフィーダー細胞として用いることを特徴とする。
本明細書において「膵島」は、人工又は生体内で形成された細胞塊であって、少なくともグルカゴンを分泌するα細胞と、インスリンを分泌するβ細胞と、ソマトスタチンを分泌するδ細胞とを含み、グルコース応答性にインスリンを産生するものをいう。人工の膵島の場合は特に、生体内の膵島と同様の三次元構造を有するものをいう。
膵島にα細胞、β細胞、及びδ細胞が含まれることは、例えば、それぞれ、グルカゴン、インスリン、及びソマトスタチンに対する抗体を用いる免疫染色で確認できる。β細胞は、Cペプチドに対する抗体を用いた免疫染色で検出することもできる。Cペプチドは、インスリンの前駆体であるプロインスリンが、酵素によって分解されてインスリンとなる際に生成されるペプチドである。β細胞は、ジチゾン染色によって検出してもよい。
膵島がグルコース応答性にインスリンを産生することは、例えば、濃度の異なるグルコースを含む培養液に膵島を浸漬し、一定時間経過後に上清を回収し、これに含まれるインスリンやCペプチドの量を測定することによって確認できる。
また、生体内の膵島と同様の三次元構造を有することは、顕微鏡観察することによって確認することができる。
本明細書において「多能性幹細胞」は、生体を構成するあらゆる種類の細胞に分化できる多能性を有し、かつ、増殖能を有する幹細胞をいい、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性癌種細胞(EC細胞)、エピブラスト幹細胞(EpiS細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、多能性精子細胞(mGS細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、クローン胚由来ES細胞(ntES細胞)、単為発生胚由来ES細胞(pES細胞)などが挙げられる。また、体細胞を分化転換(direct reprogramming;PLoS One.2011;6(10):e26298. doi: 10.1371/journal.pone.0026298.)により作製した細胞も含まれる。
これらの多能性幹細胞は、適宜作製または入手することができる。
例えば、ES細胞(Martin MJ & Kaufman MH, Nature, 292:154-156, 1981; Thomson JA et al., Proc Natl Acad Sci USA, 92:7844-7848, 1995; Thomson JA et al, Science 282:1145-1147, 1998等)は、動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取り出し、これを培養することによって樹立することができ、白血病抑制因子(LIF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などを加えた培地で継代培養することができる。
iPS細胞(Takahashi K & Yamanaka S, Cell, 126:663-686, 2006等)は、体細胞に、特定の初期化因子を導入することによって作製することができる。初期化因子としては、例えば、Oct3/4、Oct1、Oct6、Klf1、Klf2、Klf4、Klf5、Sox1、Sox2、Sox3、Sox7、Sox15、Sox17、Sox18、c-Myc、N-Myc、L-Myc、Nanog、Lin28等が挙げられるがこれらに限定されず、2以上を組み合わせて導入してもよい。初期化因子は、体細胞に核酸として導入してもよいし、タンパク質として導入してもよく、いずれも公知の方法又はそれに準ずる方法で当業者が行うことができる。
本明細書において、「膵臓系譜細胞」とは、多能性幹細胞が膵臓に分化していく過程で見られるすべての細胞をいい、例えば、膵前駆細胞、内分泌前駆細胞、α細胞、β細胞、δ細胞を含むがこれらに限定されない。
「膵臓系譜細胞を所定の段階まで分化させる」という場合、本発明の方法に従って膵島が得られる限り、どの段階であってもよいが、例えば、単一細胞に分散させる細胞は、内分泌前駆細胞まで分化させたものを用いることができる。また、フィーダー細胞として用いる細胞は、膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階まで分化させたものと用いることができる。単一細胞に分散させる細胞も、フィーダー細胞として用いる細胞も、内分泌前駆細胞まで分化させてから用いてもよい。
本明細書において「膵前駆細胞」は膵臓前駆細胞とも呼ばれ、その後外分泌前駆細胞又は内分泌前駆細胞、導管細胞へと分化していく細胞をいう。膵前駆細胞は、例えば、PDX1(pancreas duodenal homeobox gene 1)陽性、及びPTF1a(pancreas transcription factor 1a)陽性の細胞とすることができる。また、NKX6.1陽性であることを指標としてもよい。PDX1陽性且つNKX6.1陽性、又は、PTF1a陽性且つNKX6.1陽性であることを指標としてもよい。あるいは、膵前駆細胞は、多能性幹細胞を、生体内での膵発生の過程を模倣するように組成を経時的に変化させた分化培地で培養を開始してから、8日以上、9日以上、又は10日以降の細胞としてもよい。
「膵前駆細胞まで分化させる」という場合、多能性幹細胞を分化させた結果、細胞群に膵前駆細胞が含まれる状態となったことを意味し、すべての細胞が膵前駆細胞となる必要はない。
本明細書において「内分泌前駆細胞」は、その後、α細胞、β細胞、δ細胞及びPP細部へと分化していく細胞をいう。内分泌前駆細胞は、例えば、PDX1陽性、PTF1a陰性、NGN3(neurogenin 3)陽性、NeuroD1陽性、ISL1陽性のうち、少なくとも2つの性質を備えるものとすることができる。例えば、PDX1陽性、NGN3陽性、及びNeuroD1陽性の細胞としてもよい。あるいは、内分泌前駆細胞は、多能性幹細胞を、生体内での膵発生の過程を模倣するように組成を経時的に変化させた分化培地で培養を開始してから、13日以上、14日以上、又は15日以降の細胞としてもよい。
「内分泌前駆細胞まで分化させる」という場合、多能性幹細胞を分化させた結果、細胞群に内分泌前駆細胞が含まれる状態となったことを意味し、すべての細胞が内分泌前駆細胞となる必要はない。
本明細書において「膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階まで分化させる」とは、多能性幹細胞を膵前駆細胞まで分化させた時点から、これが内分泌前駆細胞に分化する時点までのいずれかの時点の細胞群をいい、膵前駆細胞がより多い細胞群や、内分泌前駆細胞がより多くなった細胞群が想定される。
多能性幹細胞を膵臓系譜細胞に分化させる工程では、生体内での膵発生の過程を模倣するように、培養液の組成を経時的に変化させるとよい。
このような方法としては、例えば、非特許文献1、Kunisada et al, Stem Cell Res. 2012 Mar;8(2):274-84、Thatava et al, Gene Therapy (2011) 18, 283-293、Zhang et al. Cell Research (2009) 19:429-438、Chen et al. Nat Chem Biol. 2009 Apr;5(4):258-65、Tateishi et al, J. Biol. Chem.(2008)、Kroon et al, Nat Biotechnol. 2008 Apr;26(4):443-52、D'Amour et al, Nat Biotechnol. 2006 Nov;24(11):1392-401に記載された培地や、これを適宜修正した培地を用いることができる。
例えば、多能性幹細胞として、ヒトiPS細胞を用いる場合、分化させる工程の前半では、RPMIを基本として、ヒト血清を加えた培地を用いることができ、後半は、DMEMを基本とする培地を用いることができるが、基本培地はこれらの培地に限らない。
初期の段階で、Activin Aやwnt3aを加えることが好ましく、その後レチノイン酸、Cyclopamine-KAAD、FGF-10を加えることも好ましい。
培地には、生体内での膵発生の過程を模倣して、機能的な膵島を得るために、未分化性を維持して増殖を促進する物質や、増殖を抑制して分化を促進する物質、生体内の膵臓で発現するタンパク質、インスリン分泌を促進する物質等を、適当な時期に加えてもよい。かかる物質としては、GSK-3β(Glycogen Synthase Kinase 3β)阻害剤(例えばCHIR99021)、ALK阻害剤(例えばSB431542)、Notchシグナル阻害剤(例えばDAPT)、AMPK及びBMPシグナル阻害剤(たとえばDorsomorphin)、インスリン様増殖因子-1、上皮成長因子、肝細胞成長因子、グルカゴン様ペプチド-1、市販のサプリメント等が挙げられる。
内分泌前駆細胞を単一細胞に分散させ、フィーダー細胞を用いて培養する工程では、培地のカスパーゼ阻害剤を加えてもよい。
培地を交換する際、細胞が失われたり損傷されたりするのを防ぐために、cell culture insert等の透過性メンブレンを細胞に重層して培養し、メンブレン越しに培養液を交換してもよい。
その他の培養の条件は、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法に従って、適宜決定することができる。
本明細書において「細胞を単一細胞まで分散させる」とは、個々の細胞が他の細胞とほぼ接着することなく培養液中に浮遊した状態にすることを意味し、例えば、培養細胞を、トリプシン、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、プロナーゼ、ディスパーゼ、TrypLE(Invitrogen社)などの解離剤で処理する方法によって行うことができる。市販の分散用試薬を用いてもよい。
本明細書において「フィーダー細胞」とは、目的の細胞の生存、分化や増殖が良好となる環境を作るために、培養皿に敷いて目的細胞と共培養される細胞をいう。本発明に係る方法では、例えば、多能性幹細胞を所定の段階まで分化させた後、上記トリプシン処理等によって細胞を分散、浮遊させ、ゼラチンコートした培養皿に播種し、一定時間単層培養することによって、フィーダー細胞とすることができる。
単一細胞に分散させた細胞をフィーダー細胞を用いて培養するとは、フィーダー細胞の層が形成された培養皿の培養液中で、単一細胞に分散させた細胞を培養することを意味する。
本発明に係る膵島の製造方法は、あらゆる哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ等)に由来する多能性幹細胞を用いて行うことができる。上述のとおり、マウスと同じ方法で多能性幹細胞から分化誘導しても膵島は形成されなかったが、本発明の方法によれば、ヒト由来の多能性幹細胞からも膵島を製造することが可能である。
本発明に係る膵島の製造方法は、糖尿病患者由来の人工多能性幹細胞にも適用することができる。これにより得られる膵島は、糖尿病発症機構の解明や、新薬の探索など、様々な研究に有用である。
本発明に係る方法で得られる膵島は、実施例に示されるとおり、生体内でもインスリンを分泌して血糖値を低下させる機能を有するものであり、糖尿病患者への移植に有用である。膵島は、ドナー由来の膵島と同様に移植することができる。本発明の方法によれば、膵島の大量生産が可能となるので、十分な供給量を確保できるとともに、患者の病状に応じた追加移植のための膵島の準備も容易となる。
また、患者自身から採取した体細胞から人工多能性幹細胞を作製し、これを用いて膵島を製造すれば、他家移植に伴う免疫拒絶やウイルス感染の問題も生じにくい。
本発明に係る方法で得られる膵島は、多能性幹細胞が患者由来か健常者由来かにかかわらず、医薬品化合物のスクリーニングに使用することができる。具体的には、膵島と医薬品化合物とを接触させてインキュベートし、その後膵島による内分泌ホルモン分泌機能を測定することにより、膵島の機能を亢進又は低下させる化合物や、ホルモン分泌細胞の増殖や維持に作用する化合物を選択することが可能である。
本発明は、糖尿病治療薬のスクリーニング方法も包含する。本発明に係る糖尿病治療薬のスクリーニング方法の一態様では、糖尿病患者に由来する人工多能性幹細胞を用いて本発明の方法により膵島を製造する際に培地に医薬品候補化合物を加える。
患者由来の人工多能性幹細胞を用いると、本発明に係る方法を用いても膵島が正常に形成されないことも想定される。かかる場合、本スクリーニング方法により、膵島がより良好に作られる医薬品化合物を選択し、糖尿病治療薬候補とすることが可能である。
候補化合を培地に加える時期や濃度は、当業者が適宜決定することができる。なお、膵島がより良好に作られるとは、より生体内の正常な膵島に近い膵島が作られることを意味し、例えば、膵島の形状がより生体の膵島に近い三次元構造となることや、α、β、δ細胞等が、生体の膵島により近い量の内分泌ホルモンを分泌することなどを意味する。
本発明に係る糖尿病治療薬のスクリーニング方法の別の態様では、糖尿病患者に由来する人工多能性幹細胞を用いて本発明の方法により製造された膵島と、医薬品候補化合物を接触させてインキュベーションする。その結果、膵島の機能を改善する医薬品候補化合物を選択して、糖尿病治療薬候補とすることが可能である。
ここで、膵島の機能が改善されるとは、膵島の機能が、生体内の正常な膵島に近づくことを意味し、例えば、膵島の形状がより生体の膵島に近い三次元構造となることや、α、β、δ細胞等が、生体の膵島により近い量の内分泌ホルモンを分泌することなどを意味する。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
1.ヒトiPS細胞からの膵島の分化誘導
図1Aに、多能性分化細胞から膵島を形成する分化誘導系の概要を示す。
Stage1
MEF上に単層培養条件で維持培養したiPS細胞の上清を除き、2% human serum, 100 ng/ml Activin A, 3 μM CHIR99021を含むRPMI1640に置換、1日培養した。
Stage2
2% human serum, 100 ng/ml Activin Aを含むRPMI1640に変更し、2日間培養した。
Stage3
1% B27, 10μM SB431542, 1μM Dorsomorphin, 2μM Retinoic Acid, 50 ng/ml FGF10, 0.25μM Cyc-KAADを含むDMEMに変更し、7日間培養した。培養終了時に細胞を回収し、後述の方法でRNAを回収、PDX1及びNKX6.1のmRNAレベルでの発現を確認した。また、免疫染色でPDX1の発現を確認した。
Stage4
1% B27, 100 ng/ml human Noggin, 10μM DAPT, 50 ng/ml Human IGF-1, 10 ng/ml GLP-1, 10 ng/ml human EGFを含むDMEMに変更し、3-5日培養した。
培養終了時に細胞を回収し、RNAを回収、Ngn3及びNeuroD1のmRNAレベルでの発現を確認した。また、免疫染色でPDX1の発現を確認した。
stage5
stage4の培養が終了した細胞を少なくとも培養皿に2つ用意した。この一方をフィーダー細胞として培養皿で単層培養し、もう一方をTryple又はコラゲナーゼを解離剤としてを使用して単一細胞にまで分散した後、フィーダーとした単層培養細胞の上に播種した。この様子を図1Bに示す。この細胞を1% B27, 50 ng/ml IGF1, 50 ng/ml human HGF, 10 ng/ml GLP-1, 10 ng/ml human EGF, 10μM Caspase3 inhibitor, 10 mM nicotinamideを含むDMEM/F12で10日前後培養した。
細胞の播種後、細胞を播種した培養皿の上にポアサイズ0.4μm Transwell (Corning)をセットし、メンブレン越しに上清を捨て、新しい培地を添加する方法で培地交換することで浮遊した細胞が失われないようにした。
図1Cに、顕微鏡で観察した様子を示す。Stage1からStage4にかけて平坦な形態を示す細胞が徐々に立体的な構造を形成する様子が確認できた。さらにStage5の終了時には、数十個程度の細胞塊が形成されていた。
2.ヒトiPS細胞由来膵島の性質
ヒトiPS細胞由来膵島がヒト体内の膵島と同様に成熟した内分泌細胞で形成されているかを確認する為に、内分泌細胞特異的に発現するインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンの免疫染色を行った。上清に浮遊した膵島様構造物を遠心分離後回収し、サイトスピンを用いてスライドガラスに貼付けた。
これを1日風乾させた後、-20℃に冷却したアセトン/メタノールに5分間浸漬することで、固定、浸透化処置を行った。5%FBSを含むPBSで37℃ 1時間ブロッキングを行ったのち、同ブロッキング液に一次抗体を加え4℃で一晩反応させた。
翌日、PBSで洗浄後、二次抗体を加えたブロッキング液に37℃、1時間浸漬した。一時間後、PBSで洗浄後、核染色剤DAPIを添加した封入剤を用いて細胞を封入し、共焦点電子顕微鏡にて観察した。
用いた一次抗体及び希釈率は、Mouse anti-Human c-peptide, 1:500 (Millipore)、Rabbit anti-Human/Mouse Glucagon, 1:200 (DAKO)、Rabbit anti-Human/Mouse Somatostatin, 1:200 (DAKO)。用いた二次抗体及び希釈率は、Alexa Fluor 488 標識 Donkey anti-mouse IgG (Invitrogen), Alexa Fluor 647 標識 chicken anti-Rabbit IgG (Invitrogen)で、すべて1:200で使用した。
図2Aに、免疫染色像を示す。膵島様の細胞塊は、生体内と同様に数種類の内分泌細胞から形成されていた。一部が未成熟な内分泌細胞様にpolyhormonalな細胞であったが、多くの細胞が一種類のホルモンを分泌する成熟した内分泌細胞様であった。
また、膵島のβ細胞特異的な染色法としてジチゾン染色を用いた。50 mgジチゾンを5 ml DMSOに溶解し、0.2 μMフィルターで濾過滅菌を行った後、medium 1 mlあたり10 μlの容量で添加し37℃ 15分静置した。15分後、mediumで3回洗浄し、顕微鏡下で観察した。
図2Bに、細胞のジチゾン染色像を示す。細胞塊のみがジチゾンで染色され、細胞塊によるインスリン分泌が確認された。ジチゾン染色されない細胞塊も存在した。
図2Cに、フィーダー細胞のジチゾン染色像を示す。フィーダー細胞には、ジチゾン染色陽性となる細胞は認められなかった。
さらに、ヒトiPS細胞由来膵島の遺伝子発現プロファイルを調べる為に、定量的RT-PCR法を用いて検討を行った。まず、膵島からtotal RNAを回収する為に膵島様構造物を遠心、回収した。これをTrizolに溶解し、クロロホルムを加え、撹拌後遠心することで有機相と水相へ分離させた。水相部分を回収し、イソプロパノールを加え、遠心することでtotal RNAを沈殿させた。その後75%エタノールを用いて余分な塩を除き、total RNAを抽出した。
Nano drop (Thermo Fisher Science) を用いてtotal RNA濃度を測定し、1 μgのRNAに対して、High capacity cDNA transcription kit (Applied Biosystems) を用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。このcDNAを4倍希釈し、テンプレートに用いた。SYBR premix EX Taq (Roche)を用いて、製造企業のプロトコールに従いサンプル調整を行った。調整したサンプルはLight Cycler (Roche) を用いて、定量的解析を行った。PCR条件は、熱変性95℃ 20秒、アニーリング20秒、40サイクルを基本プロトコールとして行った。
図2Dに、ヒトiPS細胞由来膵島の遺伝子発現プロファイルを示す。コントロールとしてiPS細胞(iPS)とヒト膵臓のtotal RNA(panc)を用いた。膵島様細胞塊(ILC)には、未分化な細胞で発現する遺伝子(Nanog、HNF4A、Sox17)の発現はほとんど認められなかった。
3.ヒトiPS細胞由来膵島の機能解析
ヒトiPS由来膵島が生体内の膵島と同様の機能を持つか検討するために、膵島様構造物のグルコース濃度応答性インスリン分泌能を調べた。膵島様構造物を遠心、回収し、グルコースを含まないKrebs-ringer液(135 mM NaCl、3.6 mM KCl、2 mM NaHCO3、0.5 mM NaH2PO4、0.5 mM MgCl2、1.5 mM CaCl2、10 mM HEPES)で一回洗浄、上清を完全に除去してから再度グルコース無添加のKrebs-ringer液に37℃、1時間浸漬した。その後液を完全に廃棄し、膵島様構造物に3 mM D-glucoseを含むKrebs-ringer液を添加して37℃、一時間反応させた。上清を回収し、20 mM D-glucoseを含むKrebs-ringer液に置換した。37℃、一時間静置したのち、上清を回収した。
上清に分泌されたインスリン量を検出する方法として、ELISA法を用いた。培養液中に含まれる外因性インスリンの誤検出を避ける為に、インスリン前駆体であるプロインスリンの構成成分であるC-peptide量を測定した。測定にはC-peptide, Human, ELISA Kit, Ultrasensitive (Mercadia) を用い、キット付属のプロトコールに従って行った。吸光度を測定し、C-peptide分泌量を測定した。
図3Aに、ヒトiPS細胞由来膵島のグルコース応答性Cペプチド分泌能を示す。ヒトiPS細胞由来膵島より、グルコース濃度に応じたCペプチドの分泌が認められた。
また、ヒトiPS細胞由来膵島が生体内の膵島同様に血糖是正能を示すか検討するために、糖尿病モデルマウスにおける膵島様構造物の血糖是正能を検討した。
糖尿病モデルマウスは、8週令以上16週令以下のNOD.CB17-Prkdcscid/J (Non-obese diabetes Severe Combined Immunodeficiency; NOD-SCIDマウス 日本チャールズリバー)にストレプトゾシン (STZ, Sigma) を生理食塩水に125mg/kgの濃度で溶解し、腹腔内に1回投与することで作成した。血糖値の推移を移植後3日以降からaccu-check compact plus (Roche) を用いて測定し,STZ投与後5日目以降に連続して2日間、300 mg/dl以上の値を示すマウスを糖尿病発症個体とした。
移植用の膵島様構造物は培養終了後回収し、上清を完全に除いた後、マトリゲル50μlを添加し穏やかに撹拌した後、移植時まで氷上に静置した。レシピエントとなるマウスには0.3 mg/kg塩酸メデトミジン、4 mg/kgミダゾラム、5 mg/kg酒石酸ブトルファノールを混合した麻酔薬を腹腔内に投与することで深麻酔を施した。その後左腎皮膜下に膵島様構造物をマトリゲルごと移植した。
膵島様構造物は、6 well plate 1-2枚分, もしくは5枚分以上移植した。
移植後、24時間毎に上記の方法で血糖値を測定した。血糖値を測定する時間は午後5時とした。
図3Bに、ヒトiPS細胞由来膵島を糖尿病モデルマウスに6-well plate 1-2枚分(<150 ILCs)、又は5枚分以上(>300 ILCs)移植し、血糖値を測定した結果を示す。マトリゲルを移植したマウスをコントロールとした(Sham)。
マウスの正常な血糖値は100〜180 mg/dlであるところ、ヒトiPS細胞由来膵島を6-well plate 5枚分以上移植した群では、血糖値がほぼこの範囲に維持され、血糖値是正能が認められた。

Claims (15)

  1. 多能性幹細胞から膵ランゲルハンス島を製造する方法であって、
    多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させる工程と、
    前記分化させた細胞を単一細胞まで分散させてから培養する工程と、を含み、
    前記単一細胞に分散させた細胞の培養において、多能性幹細胞を膵臓系譜細胞の所定の段階まで分化させた細胞をフィーダー細胞として用いる、方法。
  2. 前記単一細胞に分散させる細胞には、多能性幹細胞を内分泌前駆細胞まで分化させたものを用い、
    前記フィーダー細胞として用いる細胞には、多能性幹細胞を膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階まで分化させたものを用いる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記内分泌前駆細胞は、Pdx1陽性、Ngn3陽性、NeuroD1陽性、Ptf1a陰性からなる群より選択される少なくとも2つの性質を備える細胞を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記内分泌前駆細胞は、多能性幹細胞を分化培地で13日以上培養した細胞である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記膵前駆細胞は、Pdx1陽性、及びPtf1a陽性である、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記膵前駆細胞は、多能性幹細胞を分化培地で8日以上培養した細胞である、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記多能性幹細胞を分化させる工程は、多能性幹細胞を、生体内での膵発生の過程を模倣するように組成を経時的に変化させた培地中で単層培養して行う、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記単一細胞に分散させた内分泌前駆細胞の培養は、カスパーゼ阻害剤を含む培地で行う、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記多能性幹細胞は、ヒト由来である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記多能性幹細胞は、人工多能性幹細胞である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記人工多能性幹細胞が、糖尿病患者由来である、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項10又は11の方法で製造される膵ランゲルハンス島。
  13. 医薬品候補化合物のスクリーニングへの、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法で得られた膵ランゲルハンス島の使用。
  14. 糖尿病治療薬のスクリーニング方法であって、
    請求項11の方法で膵ランゲルハンス島を製造する際、培地に医薬品候補化合物を加える工程と、
    膵ランゲルハンス島が、より良好に作られる医薬品候補化合物を選択する工程と、
    を含む方法。
  15. 糖尿病治療薬のスクリーニング方法であって、
    請求項11に記載の方法で得られた膵ランゲルハンス島と医薬品候補化合物を接触させ、インキュベーションする工程と、
    前記膵ランゲルハンス島の機能を改善する医薬品候補化合物を選択する工程と、
    を含む方法。
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