JP2014158075A - パラメータ取得装置、パラメータ取得方法及びプログラム - Google Patents

パラメータ取得装置、パラメータ取得方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】車両の振動を考慮しつつ精度の高いパラメータを取得する。
【解決手段】車載装置では、パラメータ導出部が、車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いてカメラの設置に関する設置パラメータを導出するパラメータ導出処理を実行する(ステップS13)。また、振動判定部は、パラメータ導出処理を実行する際の車両の振動の有無を判定し(ステップS14)、記憶部は車両の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータを記憶する(ステップS16)。このため、車両の振動を考慮しつつ精度の高いパラメータを取得できる。
【選択図】図9

Description

本発明は、カメラに関するパラメータを取得する技術に関する。
従来より、自動車などの車両に搭載されたカメラで得られた車両の周辺の画像を、車室内のディスプレイに表示する車載装置が知られている。このような車載装置を利用することにより、ドライバは車両の周辺の様子をほぼリアルタイムに把握することができる。
カメラを車両に設置した場合においては、通常、カメラの光軸の方向は設計上の方向とは僅かに異なっている。このようなカメラの光軸の方向の誤差に起因して、当該カメラで取得された撮影画像に含まれる被写体の像の位置は、理想的な位置からズレることになる。
このような問題に対応するため、従来より、カメラの設置に関する設置パラメータ(例えば、ロール角、チルト角、パン角など)を取得するキャリブレーション処理がなされている(例えば、特許文献1参照。)。車載装置は、このようなキャリブレーション処理で取得された設置パラメータを用いることで、撮影画像中の被写体の像の位置を補正することができる。
特開2010−239408号公報
ところで近年、キャリブレーション処理において、設置パラメータを取得する精度をより向上することが求められている。例えば近年、車両に複数のカメラを設け、これら複数のカメラで得られた複数の撮影画像を合成して、仮想視点からみた車両の周辺の様子を示す合成画像(俯瞰画像)を生成する技術が普及してきている。このような合成画像を生成する場合において各カメラの設置パラメータの精度が低いときには、複数の撮影画像が整合なく合成される。その結果、撮影画像同士の境界部分において同一の被写体の像が分断されるなどの不自然な合成画像が生成されることになる。このため、適切な合成画像を生成するためには、精度の高い設置パラメータが必要となる。
一般に、キャリブレーション処理においては、車両の外部に配置された所定の模様あるいは形状のマークの撮影画像をカメラで取得し、その撮影画像に含まれるマークの像の位置に基いて設置パラメータが導出される。このようなキャリブレーション処理の実行中において、作業員の行為などに起因して車両の振動が生じることがある。このような車両の振動が生じた場合には、撮影画像に含まれるマークの像の位置が本来の位置から変動するため、精度の高い設置パラメータを取得できなくなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両の振動を考慮しつつ精度の高いパラメータを取得できる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、カメラに関するパラメータを取得するパラメータ取得装置であって、車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する導出手段と、前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する判定手段と、前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する記憶手段と、を備えている。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段は、互いに異なる時点に得られた複数の前記撮影画像を比較して、前記車両の振動の有無を判定する。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段は、前記複数の撮影画像それぞれに含まれる同一の被写体の像の位置を比較して、前記車両の振動の有無を判定する。
また、請求項4の発明は、請求項2に記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段は、前記複数の撮影画像それぞれの同一の位置にある一部の領域を比較して、前記車両の振動の有無を判定する。
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段は、前記導出手段が前記導出処理を実行した後に、前記車両の振動の有無を判定する。
また、請求項6の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段は、前記導出手段が前記導出処理を実行する前に、前記車両の振動の有無を判定する。
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、前記判定手段が、前記車両の振動がしていると判定した場合は、ユーザに情報を報知する報知手段、をさらに備えている。
また、請求項8の発明は、カメラに関するパラメータを取得するパラメータ取得方法であって、(a)車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する工程と、(b)前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する工程と、(c)前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する工程と、を備えている。
また、請求項9の発明は、コンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記コンピュータに、(a)車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する工程と、(b)前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する工程と、(c)前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する工程と、を実行させる。
請求項1ないし9の発明によれば、導出処理を実行する際の車両の振動の有無を判定し、車両の振動が無いと判定された導出処理において導出されたパラメータを記憶するため、精度の高いパラメータを取得できる。
また、特に請求項2の発明によれば、複数の撮影画像を比較して車両の振動の有無を判定するため、特別なセンサを必要とせずに車両の振動の有無を判定できる。
また、特に請求項3の発明によれば、被写体の像の位置を比較して車両の振動の有無を判定するため、比較的簡便な手法で車両の振動の有無を判定できる。
また、特に請求項4の発明によれば、複数の撮影画像それぞれの一部の領域を比較して車両の振動の有無を判定するため、比較的少ない演算量で車両の振動の有無を判定できる。
また、特に請求項5の発明によれば、導出処理を実行した後に車両の振動の有無を判定するため、導出処理で取得した撮影画像を利用して車両の振動の有無を判定できる。
また、特に請求項6の発明によれば、導出処理を実行する前に車両の振動の有無を判定するため、車両の振動が生じた場合に導出処理を繰り返す必要がない。
また、特に請求項7の発明によれば、ユーザは車両が振動していることを把握できる。
図1は、パラメータ取得装置を含むキャリブレーションシステムを示す図である。 図2は、標識体の外観を示す図である。 図3は、複数のカメラの位置を示す図である。 図4は、車載装置の構成を示す図である。 図5は、合成画像を生成する手法を説明する図である。 図6は、投影面の部分と撮影画像との対応関係を示す図である。 図7は、撮影画像における投影面に投影する領域を説明する図である。 図8は、設置パラメータの導出に用いる撮影画像の一例を示す図である。 図9は、第1の実施の形態のキャリブレーション処理の流れを示す図である。 図10は、実行画面の一例を示す図である。 図11は、パラメータ導出処理の流れを示す図である。 図12は、第1の実施の形態の振動判定処理の流れを示す図である。 図13は、第1の実施の形態の振動判定処理の概要を示す図である。 図14は、警告メッセージを含む実行画面の一例を示す図である。 図15は、第2の実施の形態の振動判定処理の流れを示す図である。 図16は、第2の実施の形態の振動判定処理の概要を示す図である。 図17は、第3の実施の形態のキャリブレーション処理の流れを示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本実施の形態のパラメータ取得装置を含むキャリブレーションシステム10を示す図である。このキャリブレーションシステム10は、車両(本実施の形態では自動車)9に搭載される複数のカメラ5それぞれのパラメータを取得するために用いられる。
キャリブレーションシステム10は、キャリブレーション処理を実行し、各カメラ5の設置に関する設置パラメータを取得する。各カメラ5の実際の光軸の方向は、設計上の方向とは僅かに異なっている。このため、キャリブレーションシステム10は、パン角、チルト角及びロール角などの各カメラ5の設置に関する設置パラメータを取得する。この設置パラメータは、カメラの設置上の誤差(光軸の方向の設計上の方向に対する誤差)を表すものとなる。
キャリブレーションシステム10は、車両9に搭載される複数のカメラ5及び車載装置2、並びに、車両9の外部に配置される4つの標識体7を備えている。車載装置2は、複数のカメラ5で得られた複数の撮影画像を用いて合成画像を生成し、車両9の車室内に表示する機能を有している。また、車載装置2は、カメラ5の設置パラメータを取得するパラメータ取得装置としても機能する。
4つの標識体7はそれぞれ、車両工場や車両整備場などキャリブレーション処理を実行する作業場の所定位置に配置される。図2に示すように、4つの標識体7はそれぞれ、直立可能な立体形状となっている。標識体7は、直立させたプラスチック板などの板状体79を有している。板状体79における車両9に対向する側の主面には、所定の模様のマーク70が形成されている。マーク70の模様は、例えば、二色の正方形を交互に配した市松模様である。この模様を形成する二色のうちの一方は相対的に暗い色(例えば、黒)、他方は相対的に明るい色(例えば、白)となっている。
キャリブレーション処理を実行する場合には、図1に示すように、作業場の所定位置に略正確に車両9が正対装置などにより停車される。これにより、車両9に対する4つの標識体7の相対的な位置は略一定となる。4つの標識体7は、車両9の左前方、右前方、左後方、及び、右後方の各領域A1,A2,A3,A4にそれぞれ配置された状態となる。この状態で、車両9に搭載されたカメラ5が、標識体7を含む車両9の周囲の撮影画像を取得する。
車載装置2は、このようにして得られた撮影画像に基づいて、カメラ5の設置パラメータを取得する。車載装置2は、撮影画像に含まれるマーク70の像の位置を特定し、このマーク70の像の位置に基づいて設置パラメータを導出する。
このようなキャリブレーション処理は、車両9にカメラ5を取り付けた際に実行される。車載装置2は、キャリブレーション処理で取得した設置パラメータを、内部の記憶部に記憶し、以降、合成画像を生成するなどの画像処理において利用する。
<1−2.車載カメラ>
図3は、車両9における複数のカメラ5の位置を示す図である。複数のカメラ5はそれぞれ、レンズと撮像素子とを備えており、車両9の周辺の撮影画像を電子的に取得する。複数のカメラ5はそれぞれ、車載装置2とは別に車両9の適位置に配置され、取得した撮影画像を車載装置2に入力する。
複数のカメラ5は、フロントカメラ5F、バックカメラ5B、左サイドカメラ5L、及び、右サイドカメラ5Rを含んでいる。これら4つのカメラ5F,5B,5L,5Rは、互いに異なる位置に配置され、車両9の周辺の異なる方向の撮影画像を取得する。
フロントカメラ5Fは、車両9の前端の左右中央の近傍に設けられ、その光軸5Faは車両9の前後方向に沿って前方に向けられる。バックカメラ5Bは、車両9の後端の左右中央の近傍に設けられ、その光軸5Baは車両9の前後方向に沿って後方に向けられる。左サイドカメラ5Lは車両9の左側のサイドミラー93Lに設けられ、その光軸5Laは車両9の左右方向に沿って左側方に向けられる。また、右サイドカメラ5Rは車両9の右側のサイドミラー93Rに設けられ、その光軸5Raは車両9の左右方向に沿って右側方に向けられる。
これらのカメラ5のレンズには魚眼レンズなどの広角レンズが採用され、各カメラ5は180度以上の画角αを有している。このため、4つのカメラ5F,5B,5L,5Rを利用することで、車両9の全周囲を撮影対象とすることが可能である。車両9の左前方、右前方、左後方、及び、右後方の各領域A1,A2,A3,A4は、4つのカメラ5のうちの2つのカメラ5において重複して撮影対象となる。このように重複して撮影対象となる4つの領域A1,A2,A3,A4に、4つの標識体7がそれぞれ配置される(図1参照。)。これにより、4つのカメラ5それぞれは、2つのマーク70の像を含む撮影画像を取得できる。
<1−3.車載装置>
図4は主に、車載装置2の構成を示す図である。図に示すように、車載装置2は、4つのカメラ5と通信可能に接続されている。車載装置2は、4つのカメラ5でそれぞれ得られた4つの撮影画像を合成して仮想視点からみた車両9の周辺の様子を示す合成画像を生成し、この合成画像を表示する。車載装置2は、この合成画像を生成する際に、キャリブレーション処理で得られた設置パラメータを利用する。
車載装置2は、ディスプレイ26と、操作部25と、画像取得部22と、画像合成部23と、記憶部24と、制御部21とを備えている。
ディスプレイ26は、例えば、液晶パネルなどを備えた薄型の表示装置であり、各種の情報や画像を表示する。ディスプレイ26は、その画面がユーザから視認可能なように、車両9の車室内のインストルメントパネルなどに配置される。
操作部25は、ユーザの操作を受け付ける部材であり、タッチパネル及び操作ボタンを含んでいる。タッチパネルはディスプレイ26の画面に重ねて設けられ、操作ボタンはディスプレイ26の画面の周囲に設けられる。ユーザが操作部25を操作した場合は、その操作の内容を示す信号が制御部21に入力される。
画像取得部22は、4つのカメラ5から、各カメラ5で得られた撮影画像を取得する。画像取得部22は、アナログの撮影画像をデジタルの撮影画像に変換するA/D変換機能などの基本的な画像処理機能を有している。画像取得部22は、取得した撮影画像に所定の画像処理を行い、処理後の撮影画像を画像合成部23及び制御部21に入力する。
画像合成部23は、例えばハードウェア回路であり、所定の画像処理を実行する。画像合成部23は、4つのカメラ5でそれぞれ取得された4つの撮影画像を用いて、任意の仮想視点からみた車両9の周辺の様子を示す合成画像(俯瞰画像)を生成する。画像合成部23が合成画像を生成する手法については後述する。
記憶部24は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、各種の情報を記憶する。記憶部24は、設置パラメータ24aとプログラム24bとを記憶している。
設置パラメータ24aは、カメラ5の設置に関するパラメータである。設置パラメータ24aは、パン角、チルト角及びロール角など、カメラ5の光軸の実際の方向を示すパラメータを含んでいる。このような設置パラメータ24aはカメラ5ごとに異なっているため、記憶部24は、4つのカメラ5それぞれの設置パラメータ24aを記憶する。記憶部24に記憶された設置パラメータ24aは、画像合成部23が合成画像を生成する際に利用される。設置パラメータ24aはキャリブレーション処理によって取得されるため、キャリブレーション処理の実行前は記憶部24に設置パラメータ24aは記憶されていない。
また、プログラム24bは、車載装置2のファームウェアである。このようなプログラム24bは、該プログラム24bを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取りや、ネットワークを介した通信などによって取得し、記憶部24に記憶させることができる。
制御部21は、車載装置2の全体を統括的に制御するマイクロコンピュータである。制御部21は、CPU、RAM及びROMなどを備えている。制御部21の各種の機能は、記憶部24に記憶されたプログラム24bの実行(プログラム24bに従ったCPUの演算処理)によって実現される。図中に示すパラメータ導出部21a、振動判定部21b、パラメータ記録部21c及びユーザ報知部21dは、プログラム24bの実行により実現される機能部の一部である。これらの機能部は、キャリブレーション処理に係る処理を実行する。
パラメータ導出部21aは、カメラ5の設置パラメータを導出するパラメータ導出処理を実行する。パラメータ導出部21aは、カメラ5で得られた撮影画像に基いて設置パラメータを導出する。振動判定部21bは、パラメータ導出部21aがパラメータ導出処理を実行する際の車両9の振動の有無を判定する。パラメータ記録部21cは、車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aを、記憶部24に記録する。また、ユーザ報知部21dは、ディスプレイ26にメッセージを表示させて、車載装置2のユーザである作業員に情報を報知する。これらの機能部の処理の詳細については後述する。
<1−4.合成画像の生成>
次に、画像合成部23が合成画像を生成する手法について説明する。図5は、画像合成部23が合成画像を生成する手法を説明する図である。
車載装置2が備えるフロントカメラ5F、バックカメラ5B、左サイドカメラ5L、及び、右サイドカメラ5Rは、車両9の前方、後方、左側方及び右側方をそれぞれ示す4つの撮影画像GF,GB,GL,GRを取得する。これら4つの撮影画像GF,GB,GL,GRには、車両9の全周囲のデータが含まれている。
画像合成部23は、これら4つの撮影画像GF,GB,GL,GRに含まれるデータ(各画素の値)を、仮想的な三次元空間における立体曲面である投影面TSに投影する。投影面TSは、例えば略半球状(お椀形状)をしており、その中心領域(お椀の底部分)は車両9の位置となる車両領域R0として定められている。一方、車両領域R0の外側の領域である投影領域R1は、撮影画像GF,GB,GL,GRのいずれかと対応付けられている。画像合成部23は、撮影画像GF,GB,GL,GRに含まれるデータを投影領域R1に投影する。
図6に示すように、画像合成部23は、投影領域R1において車両9の前方に相当する部分に、フロントカメラ5Fの撮影画像GFのデータを投影する。また、画像合成部23は、投影領域R1において車両9の後方に相当する部分に、バックカメラ5Bの撮影画像GBのデータを投影する。さらに、画像合成部23は、投影領域R1において車両9の左側方に相当する部分に左サイドカメラ5Lの撮影画像GLのデータを投影し、投影領域R1において車両9の右側方に相当する部分に右サイドカメラ5Rの撮影画像GRのデータを投影する。
4つの撮影画像GF,GB,GL,GRのそれぞれにおいて、投影面TSに投影すべきデータを含む領域は、4つのカメラ5それぞれの設置上の誤差に応じて変化する。このため、画像合成部23は、記憶部24に記憶された4つのカメラ5それぞれの設置パラメータ24a(ロール角、チルト角、パン角など)を用いて、撮影画像GF,GB,GL,GRそれぞれの投影面TSに投影する領域を修正する。
このような投影面TSに投影する領域について、図7に示す撮影画像Gを例に説明する。仮にこの撮影画像Gを取得したカメラ5に関して設置上の誤差がない場合は、投影面TSに投影すべきデータを含む領域はデフォルトの領域UA1となる。通常はカメラ5には設置上の誤差が存在することから、画像合成部23は、当該カメラ5の設置パラメータ24aに基づいて、投影面TSに投影する領域を領域UA1から領域UA2に修正する。そして、画像合成部23は、この修正後の領域UA2に含まれるデータを投影面TSに投影することになる。
図5に戻り、このように投影面TSの各部分にデータを投影すると、次に、画像合成部23は、車両9の三次元形状を示すポリゴンのモデルを仮想的に構成する。この車両9のモデルは、投影面TSが設定される三次元空間における車両9の位置である車両領域R0に配置される。
次に、画像合成部23は、三次元空間に対して仮想視点VPを設定する。画像合成部23は、三次元空間における任意の視点位置に任意の視線方向に向けて仮想視点VPを設定できる。そして、画像合成部23は、投影面TSのうち、設定した仮想視点VPからみて所定の視野角に含まれる領域を画像として切り出す。また、画像合成部23は、設定した仮想視点VPに応じてポリゴンのモデルに関してレンダリングを行い、その結果となる二次元の車両像90を、切り出した画像に対して重畳する。これにより、画像合成部23は、仮想視点VPからみた車両9及び車両9の周辺の領域を示す合成画像CPを生成する。
例えば図5に示すように、視点位置を車両9の直上、視線方向を直下とした仮想視点VPaを設定した場合には、画像合成部23は、車両9及び車両9の周辺の領域を俯瞰する合成画像CPaを生成できる。また、視点位置を車両9の左後方、視線方向を車両9の前方とした仮想視点VPbを設定した場合には、画像合成部23は、車両9の左後方からみた車両9及び車両9の周辺を示す合成画像CPbを生成できる。
このような合成画像CPの生成において設置パラメータ24aの精度が低い場合には、4つの撮影画像GF,GB,GL,GRが整合なく合成されてしまう。その結果、撮影画像同士の境界部分B(図6参照。)で同一の被写体の像が分断されるなどの不自然な合成画像CPが生成されることになる。このため、適切な合成画像CPを生成するためには、精度の高い設置パラメータ24aが必要となる。
<1−5.キャリブレーション処理>
次に、車載装置2が設置パラメータ24aを取得するキャリブレーション処理の概要について説明する。キャリブレーション処理は、図1に示すように4つの標識体7が予め配置された作業場の所定位置に車両9を停車させた状態で、作業員が操作部25を介して所定の操作を車載装置2に行うことで実行される。そして、キャリブレーション処理に含まれるパラメータ導出処理においては、カメラ5が、標識体7のマーク70を含む車両9の周辺の領域を被写体として撮影画像を取得する。
図8は、パラメータ導出処理において取得された撮影画像GCの一例を示す図である。図に示すように撮影画像GCには、左側及び右側にそれぞれマーク70の像(以下、「マーク像」という。)71が含まれる。
パラメータ導出処理においては、パラメータ導出部21aは、この撮影画像GCに含まれる2つのマーク像71それぞれの位置71aを特定する。そして、パラメータ導出部21aは、特定した2つのマーク像71の位置71aに基いて、所定の演算を行なって該撮影画像GCを取得したカメラ5の設置パラメータ24aを導出する。キャリブレーション処理では、4つのカメラ5のそれぞれに関してこのようなパラメータ導出処理が行われる。これにより、4つのカメラ5の全ての設置パラメータ24aが導出される。
このようなパラメータ導出処理の実行中において、作業員の行為などに起因して、車両9の振動が生じることがある。このような場合は例えば、数秒間にわたって車両9のサスペンションが周期的に伸縮する。このように車両9の振動が生じている状態において撮影画像GCを取得したとすると、撮影画像GCに含まれるマーク像71の位置71aが本来の位置から変動する。その結果、マーク像71の位置71aに基いて演算を行うパラメータ導出部21aは、精度の高い設置パラメータ24aを取得できなくなる。
このため、本実施の形態の車載装置2のキャリブレーション処理では、振動判定部21bが、パラメータ導出処理の実行中における車両9の振動の有無を判定する。そして、パラメータ導出処理の実行中に車両9の振動が生じた場合は、パラメータ記録部21cは、そのパラメータ導出処理で導出された設置パラメータ24aを記憶部24に記録しない。したがって、記憶部24は、車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aのみを記憶することになる。これにより、車載装置2は、車両9の振動が生じた場合であっても、精度の高い設置パラメータ24aを取得できるようになっている。
図9は、キャリブレーション処理の流れを示す図である。以下、このようなキャリブレーション処理の流れについて説明する。
まず、ユーザ報知部21dが、キャリブレーション処理の実行画面をディスプレイ26に表示させる(ステップS11)。図10は、この実行画面の例を示す図である。図に示すように、実行画面には、キャリブレーション処理の進行状況を表すプログレスバーPBとともに、注意メッセージM1が含まれている。この注意メッセージM1は、パラメータ導出処理の実行中における車両9の振動を防止するため、作業中に動かないように作業員に注意を与えるものとなっている。
次に、パラメータ導出部21aが、4つのカメラ5のうち一のカメラ5を処理の対象とする「注目カメラ」として選択する(ステップS11)。続いて、この注目カメラ5の設置パラメータ24aを導出するためのパラメータ導出処理が実行される(ステップS13)。
図11は、パラメータ導出処理(ステップS13)の詳細な流れを示す図である。パラメータ導出処理では、まず、注目カメラ5が、2つの標識体7のマーク70を含む車両9の周辺の領域の撮影画像GCを取得する(ステップS21)。
次に、パラメータ導出部21aが、注目カメラ5で得られた撮影画像GC中の2つのマーク像71それぞれの位置71aを特定する(ステップS22)。図8に示すように撮影画像GC中において2つのマーク像71が含まれる位置は、該撮影画像GCを取得した注目カメラ5の設置上の精度に依存するものの、おおよそ一定となる。このため、パラメータ導出部21aは、2つのマーク像71が含まれるべき位置それぞれの近傍の領域を、演算の対象とする対象領域TAとして撮影画像GCから切り出す。そして、パラメータ導出部21aは、例えば、ハリスオペレータなどの周知の手法を用いて対象領域TAに含まれるエッジやコーナーを検出し、これらエッジやコーナーに基いてマーク像71を検出する。これにより、パラメータ導出部21aは、マーク像71の中心位置(市松模様の二色の境界線が交差する位置)をマーク像71の位置71aとして特定する。
次に、パラメータ導出部21aは、2つのマーク像71の位置71aに基いて注目カメラ5の設置に関する設置パラメータ24aを導出する(ステップS23)。パラメータ導出部21aは、周知の手法を用いて注目カメラ5の設置パラメータ24aを導出できる。例えば、パラメータ導出部21aは、撮影画像GC中の2つのマーク像71の左右方向の位置に基づいてパン角、2つのマーク像71の上下方向の位置に基づいてチルト角、撮影画像GC中の2つのマーク像71の高さの差に基づいてロール角をそれぞれ導出する。なお、パラメータ導出部21aは、特許文献1に記載の手法など他の周知の手法を採用して設置パラメータ24aを導出してもよい。
このようにしてパラメータ導出処理が完了すると、次に、このパラメータ導出処理における車両9の振動が生じたか否かを判定する振動判定処理が実行される(図9のステップS14)。振動判定処理では、パラメータ導出処理のステップS21で取得された撮影画像と、パラメータ導出処理の後の時点で取得する撮影画像とを比較することによって車両9の振動の有無が判定される。
図12は、振動判定処理(ステップS14)の詳細な流れを示す図である。また、図13は、振動判定処理の概要を示す図である。なお、図13では、説明の便宜上、撮影画像に含まれる2つのマーク像71のうちの一方のマーク像71の近傍の領域のみを示している。
振動判定処理においても、まず、注目カメラ5が、2つの標識体7のマーク70を含む車両9の周辺の領域の撮影画像を取得する(ステップS31)。このように新たに取得された撮影画像GC2が、図13に示すように、パラメータ導出処理で取得された撮影画像GC1と比較される。以下、パラメータ導出処理で取得された撮影画像を「第1画像」GC1といい、その後の振動判定処理で取得された撮影画像を「第2画像」GC2という。
パラメータ導出処理において車両9の振動がなければ、パラメータ導出処理で取得された第1画像GC1と、パラメータ導出処理の後に取得された第2画像GC2とのそれぞれに含まれる同一の被写体の像の位置は一致するはずである。したがって、互いに異なる時点に得られた2つの撮影画像GC1,GC2それぞれに含まれる同一のマーク70に関するマーク像71の位置71aが異なる場合は、パラメータ導出処理において車両9の振動が生じていたと判定できることになる。この原理により、振動判定部21bは、車両9の振動の有無を判定する。
振動判定部21bは、まず、第2画像GC2中のマーク像71の位置71aを特定する(ステップS32)。振動判定部21bは、ステップS21と同様の手法を用いて、マーク像71の中心位置をマーク像71の位置71aとして特定する。
そして、振動判定部21bは、第1画像GC1及び第2画像GC2それぞれに含まれる同一のマーク70に関するマーク像71の位置71aを比較する。具体的には、振動判定部21bは、第1画像GC1のマーク像71の位置71aと、第2画像GC2のマーク像71の位置71aとの間の距離(以下、「像間距離」という。)を導出する(ステップS33)。次に、振動判定部21bは、像間距離が所定の閾値(例えば、1ピクセル)以上であるか否かを判定する(ステップS34)。そして、振動判定部21bは、像間距離が閾値以上の場合は「車両9の振動あり」と判定し(ステップS35)、像間距離が閾値未満の場合は「車両9の振動なし」と判定する(ステップS36)。
なお、閾値は、求める精度やノイズを考慮して1ピクセルより大きな値としてもよい。また、マーク像71の位置71aの比較は、撮影画像に含まれる左右2つのマーク像71のうちの一方のみで行なってもよく、双方で行なってもよい。
このようにして振動判定処理が完了すると、以降、振動判定処理の判定結果に応じた処理が実行される(図9のステップS15)。
振動判定処理において「車両9の振動なし」と判定された場合は(ステップS15にてNo)、パラメータ記録部21cが、パラメータ導出処理で導出された設置パラメータ24aを、注目カメラ5に関連付けて記憶部24に記録する(ステップS16)。これにより、記憶部24は、車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aを記憶する。その結果、記憶部24は、精度の高い設置パラメータ24aを記憶できる。そして、処理はステップS12に戻り、注目カメラ5に設定されていない他のカメラ5が新たな注目カメラ5に設定されて、上述した処理が繰り返される。
一方、振動判定処理において「車両9の振動あり」と判定された場合は(ステップS15にてYes)、パラメータ記録部21cは、パラメータ導出処理で導出された設置パラメータ24aを記憶部24に記録せずに破棄する。また、図14に示すように、ユーザ報知部21dが、車両9が振動していることを示す警告メッセージM2を含む実行画面をディスプレイ26に表示させる(ステップS17)。これにより、振動判定処理の判定結果が作業員に報知され、作業員は車両9が振動していることを把握できる。なお、ビープ音などの所定の音を出力することで、振動判定処理の判定結果を作業員に報知してもよい。
また、この実行画面においてはリトライボタンCBが含まれている。作業員はこのリトライボタンCBにタッチすることで、車載装置2に対してリトライ指示を行うことができる。作業員は、車両9の振動が収まったと判断した後にこのリトライボタンCBにタッチする。
リトライ指示がなされた場合は(ステップS18にてYes)、処理はステップS13に戻る。これにより、注目カメラ5を変更せずに上述した処理が繰り返され、設置パラメータ24aが再導出される。この場合は、車両9の振動が無い状態でパラメータ導出処理が実行されるため、導出された設置パラメータ24aが記憶部24に記憶されることになる。
このような処理が繰り返されることにより、4つのカメラ5の全ての精度の高い設置パラメータ24aが記憶部24に記憶される。4つのカメラ5の全ての設置パラメータ24aが記憶部24に記憶されると(ステップS19にてYes)、キャリブレーション処理が終了する。
以上のように、本実施の形態の車載装置2では、パラメータ導出部21aが、車両9が備えるカメラ5で得られた撮影画像に基いてカメラ5の設置に関する設置パラメータ24aを導出するパラメータ導出処理を実行する。また、振動判定部21bは、パラメータ導出処理を実行する際の車両9の振動の有無を判定し、記憶部24は車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aを記憶する。このため、車両9の振動を考慮しつつ精度の高いパラメータを取得できる。
また、振動判定部21bは、互いに異なる時点に得られた複数の撮影画像を比較して、車両9の振動の有無を判定する。このため、加速度センサなどの特別なセンサを必要とせずに、車両9の振動の有無を判定することができる。
また、振動判定部21bは、複数の撮影画像それぞれに含まれる同一のマーク70のマーク像71の位置71aを比較して、車両9の振動の有無を判定する。このため、比較的簡便な手法で車両9の振動の有無を判定できる。
また、振動判定部21bは、パラメータ導出部21aがパラメータ導出処理を実行した後に、車両9の振動の有無を判定する。このため、振動判定部21bは、パラメータ導出処理で取得した撮影画像を利用して、車両9の振動の有無を判定できる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の車載装置2の構成及び処理は第1の実施の形態と略同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。第2の実施の形態の車載装置2の振動判定部21bは、第1の実施の形態とは異なる手法で、車両9の振動の有無を判定する。このため、第2の実施の形態は、振動判定処理(図9のステップS14)のみが第1の実施の形態と異なっている。
パラメータ導出処理において車両9の振動がなければ、パラメータ導出処理で取得された第1画像GC1と、パラメータ導出処理の後に取得された第2画像GC2とのそれぞれの同一位置にある領域に含まれる被写体の像は一致するはずである。この原理により、第2の実施の形態の振動判定部21bは、互いに異なる時点に得られた2つの撮影画像GC1,GC2それぞれの同一位置にある一部の領域を比較して、車両9の振動の有無を判定する。
図15は、第2の実施の形態の振動判定処理の詳細な流れを示す図である。また、図16は、第2の実施の形態の振動判定処理の概要を示す図である。なお、図16においても、説明の便宜上、撮影画像に含まれる2つのマーク像71のうちの一方のマーク像71の近傍の領域のみを示している。
まず、注目カメラ5が、2つの標識体7のマーク70を含む車両9の周辺の領域の撮影画像を取得する(ステップS41)。この撮影画像は、パラメータ導出処理の後に取得された第2画像GC2となる。
次に、振動判定部21bは、第1画像GC1及び第2画像GC2それぞれの同一位置にある一部の領域を、比較に利用する代表領域RA1,RA2に設定する(ステップS42)。振動判定部21bは、パラメータ導出処理において特定された第1画像GC1中のマーク像71の位置71aを中心とする所定サイズ(例えば、水平10画素×垂直10画素)の領域を、第1画像GC1の代表領域RA1に設定する。そして、この第1画像GC1の代表領域RA1と同一位置となる第2画像GC1中の領域を、第2画像GC2の代表領域RA2に設定する。
次に、振動判定部21bは、第1画像GC1の代表領域RA1と、第2画像GC2の代表領域RA2とを比較する。具体的には、振動判定部21bは、第1画像GC1の代表領域RA1と、第2画像GC2の代表領域RA2との輝度差(平均輝度の差)を導出する(ステップS43)。次に、振動判定部21bは、輝度差の絶対値が所定の閾値(例えば、1)以上であるか否かを判定する(ステップS44)。そして、振動判定部21bは、輝度差が閾値以上の場合は「車両9の振動あり」と判定し(ステップS45)、輝度差が閾値未満の場合は「車両9の振動なし」と判定する(ステップS46)。
このように第2の実施の形態においては、振動判定部21bは、複数の撮影画像それぞれの同一の位置にある一部の領域を比較して、車両9の振動の有無を判定する。このため、比較的少ない演算量で車両9の振動の有無を判定できる。
なお、閾値は、求める精度やノイズを考慮して1より大きな値としてもよい。また、代表領域RA1,RA2は、2つの撮影画像GC1,GC2それぞれの同一位置となる一部の領域であればよく、マーク像71の位置71aとは無関係な位置の領域であってもよい。また、上記では振動判定部21bは、代表領域RA1,RA2の輝度を比較して車両9の振動の有無を判定していたが、代表領域から得られる他の特性を比較してもよい。例えば、代表領域に含まれる被写体の形状などを比較してもよい。
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の車載装置2の構成及び処理は第1の実施の形態と略同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
第1の実施の形態では、振動判定部21bは、パラメータ導出部21aがパラメータ導出処理を実行した後に車両9の振動の有無を判定していた。これに対して、第3の実施の形態では、振動判定部21bは、パラメータ導出部21aがパラメータ導出処理を実行する前に車両9の振動の有無を判定する。すなわち、パラメータ導出部21aは、車両9の振動が無いことが確認された後に、パラメータ導出処理を実行することになる。これによっても、記憶部24は、車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aを記憶できる。
図17は、第3の実施の形態のキャリブレーション処理の流れを示す図である。以下、第3の実施の形態のキャリブレーション処理の流れについて説明する。
まず、ユーザ報知部21dが、キャリブレーション処理の実行画面をディスプレイ26に表示させる(ステップS51)。次に、パラメータ導出部21aが、4つのカメラ5のうち一のカメラ5を処理の対象とする「注目カメラ」として選択する(ステップS52)。
次に、注目カメラ5が、2つの標識体7のマーク70を含む車両9の周辺の領域の撮影画像GCを取得する(ステップS53)。そして、この撮影画像を取得してから所定時間(例えば、0.5秒)経過すると(ステップS54にてYes)、振動判定処理が実行される(ステップS55)。この振動判定処理の手法は、第1の実施の形態の手法(図12参照。)、及び、第2の実施の形態の手法(図15参照。)のいずれを採用してもよい。ただし、この振動判定処理においては、上記の第1画像GC1に代えて、ステップS53で取得された撮影画像を用いることになる。この場合も、振動判定部21bは、互いに異なる時点に得られた2つの撮影画像を比較することで車両9の振動の有無を判定する。
このようにして振動判定処理が完了すると、以降、振動判定処理の判定結果に応じた処理が実行される(ステップS56)。
振動判定処理において「車両9の振動なし」と判定された場合は(ステップS56にてNo)、注目カメラ5の設置パラメータ24aを導出するためのパラメータ導出処理が実行される(ステップS57)。このパラメータ導出処理の手法は第1の実施の形態と同様の手法(図11参照。)を採用できる。ただし、設置パラメータの導出に用いる撮影画像は、ステップS53及び振動判定処理(ステップS55)のいずれかで得られた撮影画像を用いることができる。このため、新たに撮影画像を取得する必要はない。このパラメータ導出処理は、車両9の振動が無いと判定された後に実行されることから、精度の高い設置パラメータを導出できる。
次に、パラメータ記録部21cが、パラメータ導出処理で導出された設置パラメータ24aを、注目カメラ5に関連付けて記憶部24に記録する(ステップS58)。これにより、記憶部24は、車両9の振動が無いと判定されたパラメータ導出処理において導出された設置パラメータ24aを記憶する。その結果、記憶部24は、精度の高い設置パラメータ24aを記憶できる。そして、処理はステップS52に戻り、注目カメラ5に設定されていない他のカメラ5が新たな注目カメラ5に設定されて、上述した処理が繰り返される。
一方、振動判定処理において「車両9の振動あり」と判定された場合は(ステップS56にてYes)、ユーザ報知部21dが、車両9が振動していることを示す警告メッセージM2を含む実行画面(図14参照。)をディスプレイ26に表示させる(ステップS59)。
そして、リトライ指示がなされた場合は(ステップS60にてYes)、処理はステップS53に戻る。これにより、振動判定処理が再実行され、その振動判定処理の結果によって車両9の振動が無いことが確認された後にパラメータ導出処理が実行されることになる。
このような処理が繰り返されることにより、4つのカメラ5の全ての精度の高い設置パラメータ24aが記憶部24に記憶される。4つのカメラ5の全ての設置パラメータ24aが記憶部24に記憶されると(ステップS61にてYes)、キャリブレーション処理が終了する。
このように第3の実施の形態においては、振動判定部21bは、パラメータ導出部21aがパラメータ導出処理を実行する前に車両9の振動の有無を判定する。このため、車両9の振動が生じた場合に、パラメータ導出処理を繰り返す必要がない。
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記第1の実施の形態では、振動判定部21bは、2つの撮影画像GC1,GC2それぞれに含まれる同一のマーク70に関するマーク像71の位置71aを比較して、車両9の振動の有無を判定していた。これに対して、振動判定部21bは、2つの撮影画像GC1,GC2に基いてオプティカルフローを導出し、オプティカルフローの長さ(平均の長さ)が閾値以上の場合に「車両9の振動あり」と判定してもよい。オプティカルフローは、2つの撮影画像GC1,GC2間での特徴点(すなわち、同一の被写体上の点)の動きを示すベクトルである。このため、この場合も、振動判定部21bは、複数の撮影画像それぞれに含まれる同一の被写体の像の位置を比較して車両9の振動の有無を判定することになる。
また、上記実施の形態では、4つのカメラ5のそれぞれに関して振動判定処理を実行していた。これに対して、第1の実施の形態では、4つのカメラ5の全ての設置パラメータを導出した後に、これらの導出に用いた4つの撮影画像を利用して振動判定処理を実行してもよい。また、第3の実施の形態では、振動判定処理で車両9の振動が無いと一度判定された場合は、その後に振動判定処理を実行することなく、4つのカメラ5の全ての設置パラメータを導出してもよい。
また、上記実施の形態では、マーク70は直立可能な標識体7に形成されていた。これに対して、マーク70は、例えば、直立できない板状の標識体の主面に形成してもよく、また、作業場の床面に形成してもよい。
また、上記実施の形態では、設置パラメータは、カメラ5の光軸の方向を示すパラメータを含むものとして説明したが、カメラ5の設置の位置を示すパラメータを含んでいてもよい。
また、上記実施の形態では、振動判定部21bは、互いに異なる時点に得られた複数の撮影画像を比較して車両9の振動の有無を判定していたが、他の手法によって車両9の振動の有無を判定してもよい。例えば、加速度センサを利用して車両9にかかる力を検出し、検出した力に基いて車両9の振動の有無を判定してもよい。
また、上記実施の形態では、「車両9の振動あり」と判定された場合はユーザのリトライ指示が出てから同一の処理を繰り返すようにしていたが、ユーザの指示とは無関係に自動的に同一の処理を繰り返すようにしてもよい。
また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能は必ずしも単一の物理的要素によって実現される必要はなく、分散した物理的要素によって実現されてよい。また、上記実施の形態で複数のブロックとして説明した機能は単一の物理的要素によって実現されてもよい。また、車両内の装置と車両外の装置とに任意の一つの機能に係る処理を分担させ、これら装置間において通信によって情報の交換を行うことで、全体として当該一つの機能が実現されてもよい。
また、上記実施の形態においてプログラムの実行によってソフトウェア的に実現されると説明した機能の全部又は一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよく、ハードウェア回路によって実現されると説明した機能の全部又は一部はソフトウェア的に実現されてもよい。また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能が、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
2 車載装置
5 カメラ
9 車両
10 キャリブレーションシステム
71 マーク像
21a パラメータ導出部
21b 振動判定部
24 記憶部
24a 設置パラメータ

Claims (9)

  1. カメラに関するパラメータを取得するパラメータ取得装置であって、
    車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する導出手段と、
    前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する判定手段と、
    前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する記憶手段と、
    を備えることを特徴とするパラメータ取得装置。
  2. 請求項1に記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段は、互いに異なる時点に得られた複数の前記撮影画像を比較して、前記車両の振動の有無を判定することを特徴とするパラメータ取得装置。
  3. 請求項2に記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段は、前記複数の撮影画像それぞれに含まれる同一の被写体の像の位置を比較して、前記車両の振動の有無を判定することを特徴とするパラメータ取得装置。
  4. 請求項2に記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段は、前記複数の撮影画像それぞれの同一の位置にある一部の領域を比較して、前記車両の振動の有無を判定することを特徴とするパラメータ取得装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段は、前記導出手段が前記導出処理を実行した後に、前記車両の振動の有無を判定することを特徴とするパラメータ取得装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段は、前記導出手段が前記導出処理を実行する前に、前記車両の振動の有無を判定することを特徴とするパラメータ取得装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のパラメータ取得装置において、
    前記判定手段が、前記車両の振動がしていると判定した場合は、ユーザに情報を報知する報知手段、
    をさらに備えることを特徴とするパラメータ取得装置。
  8. カメラに関するパラメータを取得するパラメータ取得方法であって、
    (a)車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する工程と、
    (b)前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する工程と、
    (c)前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する工程と、
    を備えることを特徴とするパラメータ取得方法。
  9. コンピュータによって実行可能なプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    (a)車両が備えるカメラで得られた撮影画像に基いて前記カメラの設置に関するパラメータを導出する導出処理を実行する工程と、
    (b)前記導出処理を実行する際の前記車両の振動の有無を判定する工程と、
    (c)前記車両の振動が無いと判定された前記導出処理において導出されたパラメータを記憶する工程と、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
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