JP2014156444A - 有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、含フッ素オレフィンから、簡便かつ効率的(高収率、高選択性、低コスト)に、有機基で置換された含フッ素オレフィンを製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法であって、
ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒の存在下で、含フッ素オレフィンを有機ケイ素化合物と
反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法に関する。
1,1,2−トリフルオロスチレン等の1−置換含フッ素オレフィンは、例えば、高分子電解質の原料等として有用な化合物であり、また、1,1−ジフルオロ−2,2−ジフェニルエチレン等の1,1−二置換含フッ素オレフィンは、例えば、酵素阻害剤等の医薬品、強誘電性材料等の原料として有用な化合物である。しかし、これらの化合物を簡便かつ効率的に製造する方法は確立されていない。
例えば、1,1−二置換含フッ素オレフィンは、カルボニル化合物のWittig反応によるジフルオロメチレン化反応で製造できることが報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、カルボニル化合物がケトンである場合には、Wittig試薬を過剰量(4〜5等量以上)用いても収率が低く、さらにはリン化合物として、発癌性のヘキサメチル亜リン酸トリアミドの使用が必須であることから、この方法は問題を有している。
そのため、入手容易なテトラフルオロエチレン(TFE)等の含フッ素オレフィンから、有機基で置換された含フッ素オレフィン(例、1−置換含フッ素オレフィン、1,1−二置換含フッ素オレフィン等)が簡便に製造できれば、極めて有用な合成手法となり得る。
これまで、有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法として、例えば、以下の方法が報告されている。
非特許文献2には、CF=CFX(X:フッ素原子以外のハロゲン原子)の炭素−ハロゲン(C−X)結合を、ブチルリチウムにより炭素−リチウム(C−Li)結合に変換してから、C−C結合生成反応を行う方法が記載されている。また、非特許文献3、4及び5には、前記のようにして生成したC−Li結合のLiを、さらにSn、Si等の金属に再変換してから、C−C結合生成反応を行う方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法は、原料のCF=CFXの入手が比較的困難又は高価であること、及び第一段階に発生するC−Li結合を有する含フッ素リチウム試薬が非常に不安定であるため、反応を−100℃程度の冷却下において実施する必要があることに不利点がある。このため、これらは実用的な方法ではない。
非特許文献6〜8には、TFEに、有機リチウム試薬又は有機マグネシウム試薬を反応させて、1個のフッ素原子を選択的に置換する方法が記載されている。次の反応式中、Phは置換又は無置換のフェニル基を示す。
PhLi+CF=CF→PhCF=CF(非特許文献6)
PhMgBr+CF=CF→PhCF=CF(非特許文献7、8)
これらの方法は、目的物を高い選択性で得るためには、反応を低温で行うと共に、原料のTFEを大過剰に用いる必要があるという不利点がある。反応温度が上がると反応の進行が制御出来なくなり、目的物とともに、1,2−付加体や更なる多置換体が生成してしまう。このため、目的物の収率は大きく低下する。一方、求核性の低い有機ランタニド試薬を用いた場合も、目的物の収率は向上しない(非特許文献9)。
非特許文献10、及び11に記載の方法では、HFC134a(CFCFH)にアルキルリチウムを反応させ、脱離反応により含フッ素ビニルリチウムを発生させている。さらに、亜鉛、或いはホウ素と金属交換を行って生成したビニル亜鉛、或いはホウ素試薬を用いて、含フッ素ビニル誘導体を合成している。
しかし、この方法は、高価なアルキルリチウムを過剰量用いる必要があること、及び生成する含フッ素ビニルリチウムが不安定性を有するので反応温度を精密にコントロールする必要があることに不利点がある。
工業的に入手が容易なTFE、ヘキサフルオロプロペン(HFP)等を原料として、遷移金属触媒の存在下で、分子内のsp2混成炭素原子上のF(フッ素)を有機基で置換させることができれば、置換基を有する含フッ素オレフィンの合成方法として、前記のような既存の方法に比べて、より有用である。
一般に、遷移金属を触媒に用いて、非フッ素オレフィンに置換基を導入する方法については数多くの報告例があるが、含フッ素オレフィンにおけるC−F結合を活性化し、引続いてC−C結合を生成させる反応については極めて報告例が少ない。これは、含フッ素オレフィンのC−F結合の結合エネルギーが、他の含ハロゲンオレフィンのC−Y(YはCl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ素)等)との結合に比較して非常に高いこと、フッ素原子が非常に小さくハードであることから、C−F結合の解裂及びこの結合への金属の酸化的付加反応が起こり難いことが原因と考えられる。
しかしながら最近になって、遷移金属触媒を用いてテトラフルオロエチレン(TFE)の炭素−フッ素結合を活性化させて、有機亜鉛試薬によりフッ素を有機基に置換する方法が報告された(特許文献1、非特許文献12)。
この手法の利点は、反応条件が上記に比べて緩和で、生成物の選択性が高いことである。しかし、この方法は、有機亜鉛試薬自身の取り扱い上の課題が存在する。すなわち、有機亜鉛試薬は温度や湿気に対する安定性が低いので、反応を不活性雰囲気下で行う必要が有る。また、試薬の長期保存が難しいので、用時調製が必要になる場合が多い。
一方、遷移金属触媒存在下に炭素−炭素結合を進行させる反応において、有機ホウ素試薬が多用されている。これら有機ホウ素試薬は他の有機金属試薬と比較して毒性が低く、また試薬自身が安定であり、なかでもボロン酸誘導体は水中でも扱えるなど際立って有利な特徴を有している。このような性質から、ボロン酸誘導体は、上記有機亜鉛試薬をはじめとする求核性の高い他の試薬が共存できない水酸基等が存在しても、選択的に望む位置に炭素−炭素結合を形成出来る。
有機ホウ素試薬のこの様な利点を活かして、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびトリフルオロエチレン(TFE)とのカップリング反応による、トリフルオロビニル誘導体の合成方法が最近報告された(特許文献2,3、非特許文献13)。しかしながら、CTFEではコストの面で、またTFEでは収率の面で、まだ課題が残されている。
特開2010−229129 国際公開第2012/121345号
L.S.Jeongら、Organic Letters, 2002年, 4巻, 529頁 P.Tarrantら, J.Org.Chem.1968年, 33巻, 286頁 F.G.A.Stone1ら、J.Am.Chem.Soc., 1960年, 82巻, 6232頁 J-F.Normantら、J.Organomet.Chem. 1989年, 367巻, 1頁 W.R.Dolbier, Jr.らJ.Chem,Soc., Perkin Trans. 1998年, 219頁 S.Dixon, J.Org.Chem.1956年、21巻、400頁 J.Xikuiら、Huaxue Xuebao, 1983年、41巻、637頁 Aokiら、J. Fluorine Chem., 1992年、59巻、285頁 A. B. Sigalov ら、Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya, 1988年, 445頁 J.Burdonら、J.Fluorine Chem., 1999年, 99巻, 127頁 C.C.Tzschuckeら、Chem.Eur.J., 2012年, 18巻, 437頁 S.Ogoshi ら、J.Am.Chem.Soc., 2011年, 133巻, 3256頁 T.Yamamotoら、Organic Letters、2012年, 14巻, 3454頁
本発明は、含フッ素オレフィンから、効率的(高収率、高選択性、低コスト)に、有機基で置換された含フッ素オレフィンを製造できる製造方法を提供することを目的とする。
遷移金属触媒存在下に炭素−炭素結合を進行させる反応において用いられる有機金属試薬の中で、非常に取り扱いが容易なものとして、有機ホウ素試薬以外に有機ケイ素試薬が知られている。有機ケイ素試薬は、ホウ素試薬以上に安定で取り扱い易く、さらには毒性及び環境への負荷が低いという有利な特徴を有している。また遷移金属触媒反応を用いたビニル誘導体合成において、有機ホウ素試薬とは異なった位置選択性が達成できるなどの利点も知られている。
しかし、有機ケイ素試薬を用いた反応の応用例は少なく、これを含フッ素オレフィンのsp2混成炭素原子上のフッ素原子の置換反応に用いることは報告されていない。
有機ケイ素試薬の利点を活かしつつ、含フッ素オレフィンのsp2混成炭素原子上のフッ素原子の置換反応を進行させることが出来れば、非常に多くの種類の置換基を有する含フッ素オレフィンの製造が可能になる。
本発明者らは、特定の遷移金属触媒の存在下、TFE等の含フッ素オレフィンを有機ケイ素化合物と反応させたところ、含フッ素オレフィンのsp2混成炭素原子に結合したフッ素原子が有機ケイ素化合物の有機基で置換されたオレフィンを製造できることを見いだ
した。
具体的には、有機ニッケル錯体又は有機パラジウム錯体等の存在下、TFEを後述するケイ素試薬と反応させると、α,β,β−トリフルオロスチレン、1,1−ジフルオロ−2,2−ジフェニルエチレン等が得られることを見いだした。この反応は、下記の反応式に示す触媒サイクルを経て進行していると考えられる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
当該スキーム中、R、R’、及びR’’は、それぞれ有機基を表す。
遷移金属錯体[1]はCF=CF[2]に1:1の比で配位し、錯体[3]を選択的に形成する。錯体[3]は添加物(additive)の添加又は加熱によって錯体[4]へ異性化する。錯体[4]とフッ素アニオンなどの塩基の配位により活性化された有機ケイ素試薬[5]との反応により、錯体[6]を経由して新規含フッ素オレフィン[7]が生成すると共に、遷移金属錯体[1]が再生し、触媒サイクルを形成する。
本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果、
ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒の存在下で、含フッ素オレフィンをケイ素化合物と反応させることにより、有機基で置換された含フッ素オレフィンを簡便かつ効率的(高収率、高選択性、低コスト)に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の、置換されたフッ素オレフィンの製造方法に関する。
項1
有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法であって、
ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒の存在下で、含フッ素オレフィンを有機ケイ素化合物と
反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
項2
前記遷移金属がニッケル、及びパラジウムから選択される項1に記載の製造方法。
項3
有機ケイ素化合物が式(1):
R−SiY (1)
(式中、
Rは置換されていてもよいアリール基、炭素を介して結合する置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいアルキニル基を示す;Yは、各出現において同一又は異なって、ヒドロキシ基、ヒドロキシド基、アルコキシ基、アルキル基又はフルオロ基を示す。
それぞれYで示される2個又は3個のアルコキシ基、又はアルキル基は互いに連結して隣接するケイ素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表される有機ケイ素化合物である項1又は2に記載の製造方法。
項4
Rが置換されていてもよい単環式、二環式又は三環式のアリール基である項3に記載の製造方法。
項5
前記含フッ素オレフィンのsp2混成炭素原子に結合した少なくとも1個のフッ素原子が、前記Rで示される基で置換される項3又は4に記載の製造方法。
項6
前記工程が塩基の存在下で実施される項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7
前記有機遷移金属触媒が有機パラジウム錯体である項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8
前記有機基で置換された含フッ素オレフィンが、式(2):
(式中、Rは前記と同意義を示す。)
で表される化合物である項3〜7のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、含フッ素オレフィンから、簡便かつ効率的(高収率、高選択性、低コスト)に、有機基で置換された含フッ素オレフィンを製造できる。
以下に、本発明で用いられる用語を説明する。
本明細書中、「置換」とは、分子中の水素原子又はフッ素原子を別の原子又は基で置き換えることを意味する。
本明細書中、「置換基」とは、分子中の1個以上の水素原子又はフッ素原子と置き換わる別の原子又は基を意味する。
本明細書中、「低級アルキル基」(置換基中の低級アルキルを含む)としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル等のC1〜6アルキル基が挙げられる。
本明細書中、「低級アルコキシ基」(置換基中の低級アルコキシを含む)としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ等のC1〜6アルコキシ基が挙げられる。
本明細書中、「低級アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2〜6アルケニルが挙げられる。
本明細書中、「低級アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2〜6アルキニル基が挙げられる。
本明細書中、「5又は6員の単環式芳香族複素環」としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、フラザン環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環等の、環構成原子として、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含有する5又は6員の単環式芳香族複素環が挙げられる。
以下に、本発明の製造方法を説明する。
本発明の製造方法は、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒の存在下で、含フッ素オレフィンを有機ケイ素化合物と反応させる工程(本明細書中、単に反応工程と称する場合がある
)を含む。
本発明で、基質として使用される含フッ素オレフィンとしては、オレフィンを形成する2つのsp2混成炭素原子に少なくとも1つのフッ素原子が結合している化合物が挙げられる。具体的には、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン(ビニリデンフロリド)、1,2−ジフルオロエチレン等が挙げられ、入手の容易性、フッ素化学における汎用性等の観点から、TFE、トリフルオロエチレン、HFP等が好ましい。
本発明の製造方法で用いられる有機ケイ素化合物は、含フッ素オレフィンのsp2混成
炭素原子上のフッ素原子を置換し得る有機基を有する化合物であり、求核試薬として働く。
当該有機ケイ素化合物が有する有機基としては、例えば、置換されていてもよいアリール基、炭素を介して結合する置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいアルキニル基等が挙げられる。
本発明の製造方法で用いられる有機ケイ素化合物は、好ましくは、前記式(1)で表さ
れる有機ケイ素化合物である。以下に、式(1)中の記号を説明する。
Rで示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル基等の、単環、二環又は三環のアリール基が挙げられる。
アリール基上の置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、(g)低級(特にC2〜6)アルケニル基、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(i)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(j)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(l)ホルミル基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(n)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(o)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
アリール基は、1個以上(例えば、1〜4個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rで示される「炭素を介して結合する置換されていてもよいヘテロアリール基」の炭素を介して結合するヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル(例、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(例、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル等の環構成原子として、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含有する5又は6員の単環式ヘテロアリール基;当該5又は6員の単環式ヘテロアリール基が1又は2個のベンゼン環と縮合して形成される二環式又は三環式のヘテロアリール基;及びフェニル基が、1又は2個の5又は6員の単環式芳香族複素環と縮合して形成される二環式又は三環式のヘテロアリール基が挙げられる。
ヘテロアリール基上の置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、(g)低級(特にC2〜6)アルケニル基、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(i)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(j)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(l)ホルミル基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(n)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(o)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
ヘテロアリール基は、1個以上(例えば、1〜4個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rで示される「置換されていてもよいシクロアルキル基」のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3〜6シクロアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基上の置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、(g)低級(特にC2〜6)アルケニル基、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(i)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(j)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(l)ホルミル基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(n)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(o)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
シクロアルキル基は、1個以上(例えば、1〜4個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rで示される「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては、例えば、低級アルキル基が挙げられる。
アルキル基上の置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(g)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(i)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(j)ホルミル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(l)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
アルキル基は、1個以上(例えば、1〜3個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rで示される「置換されていてもよいアルケニル基」のアルケニル基としては、例えば、低級アルケニル基が挙げられる。
アルケニル基上の置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基、(g)低級(特にC2〜6)アルケニル基、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(i)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(j)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(l)ホルミル基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(n)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(o)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
アルケニル基は、1個以上(例えば、1〜3個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rで示される「置換されていてもよいアルキニル基」のアルキニル基としては、例えば、低級アルキニル基が挙げられる。
アルキニル基上の置換基としては、
例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ニトロ基、
(c)シアノ基、
(d)アミノ基、
(e)カルボキシ基、
(f)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、
(g)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(h)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルファニル基、
(i)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−スルホニル基、
(j)ホルミル基、
(k)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニル基(低級アルカノイル基)、
(l)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル−カルボニルアミノ基、
(m)1個以上(特に1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ−カルボニル基
等が挙げられる。
アルキニル基は、1個以上(例えば、1〜3個(特に1〜2個))の前記置換基で置換されていてもよい。
Rは、好ましくは、置換されていてもよい単環式、二環式又は三環式のアリール基であり、より好ましくは、フェニル基又はナフチル基である。
Yで示される「アルコキシ基」としては、例えば、低級アルコキシ基が挙げられる。
Yで示される「アルキル基」としては、例えば、低級アルキル基が挙げられる。
Yは、好ましくはアルコキシ基(好ましくは、、メトキシ基、エトキシ基)、ヒドロキシ基、又はフルオロ基である。
それぞれYで示される2個又は3個のアルコキシ基、又はアルキル基が互いに連結して隣接するケイ素原子と共に形成する環としては、例えば、下記の、ケイ素を含んだ4員環構造であるシラシクロブタン環が形成される。当該環は、その歪みにより反応性が高いので、好ましい。
本発明で用いられる有機ケイ素化合物として、例えば、公知の有機ケイ素試薬を用いることができる。このような有機ケイ素試薬としては、例えば、アズマックス社又はシグマ‐アルドリッチ社のカタログに掲載されている有機ケイ素試薬が挙げられる。本発明で用いられる有機ケイ素化合物は、具体的に好ましくは、例えば、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシ(4−メトキシフェニル)シラン又は2−ナフチルシランなどである。
含フッ素オレフィン及び有機ケイ素化合物の使用量は、含フッ素オレフィンにおいて置
換反応するフッ素原子の数に応じ適宜設定することができる。通常、含フッ素オレフィンの使用量は、通常、有機ケイ素化合物1モルに対して、0.1〜100モル程度、好まし
くは0.5〜10モル程度を用いることができる。
本発明で用いられる有機遷移金属触媒は、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒である。当該遷移金属は、好ましくは、ニッケル、及びパラジウムから選択される。ニッケル、及びパラジウムから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒は、具体的には、有機ニッケル錯体、又は有機パラジウム錯体である。
ニッケル錯体及びパラジウム錯体は、試薬として投入するもの及び反応系中で生成するものの両方を意味する。
パラジウム錯体としては、0価パラジウム錯体;II価パラジウム錯体から反応中に発生した0価パラジウム錯体;又はこれらとジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
0価パラジウム錯体としては、特に限定はないが、例えば、Pd(dba)(dbaはジベンジリデンアセトン)、Pd(COD)(CODはシクロオクタ−1,5−ジエン)、Pd(DPPE)(DPPEは1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)、Pd(PCy(Cyはシクロヘキシル基)、Pd(Pt−Bu(t−Buはt-ブチル基)及びPd(PPh(Phはフェニル基)等が挙げられる。
II価パラジウム錯体としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、ジクロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価パラジウム錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて0価パラジウム錯体が生成する。
上記の0価パラジウム錯体又はII価パラジウム錯体から還元により生じた0価パラジウム錯体は、反応中で、必要に応じ添加されるジケトン、ホスフィン、ジアミン、ビピリジル等の化合物(配位子)と作用して、反応に関与する0価のパラジウム錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のパラジウム錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでは無い。
これらパラジウム錯体は上記のような配位子を用いることで、反応基質との均一な溶液を形成させて反応に用いることが多いが、これ以外にもポリスチレン、ポリエチレン等のポリマー中に分散又は担持させた不均一系触媒としても用いることが可能である。このような不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。具体的な触媒構造としては、以下の化学式に示すような、架橋したポリスチレン(PS)鎖にホスフィンを導入したポリマーホスフィンなどで金属原子を固定したもの等が挙げられる。また、これ以外にも、以下:
1)Kanbaraら、Macromolecules、2000年、33巻、657頁
2)Yamamotoら、J. Polym. Sci.、2002年、40巻、2637頁
3)特開平06−32763号公報
4)特開2005−281454号公報
5)特開2009−527352号公報
に示す文献に記載のポリマーホスフィンも利用可能である。
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
ジケトンとしては、アセチルアセトン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニルプロパンジオン等のβジケトン等が挙げられる。
パラジウム錯体は、好ましくは、Pd(dba)である。
ホスフィンとしては、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。
トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20アルキル)ホスフィンが挙げられる。
トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィンが挙げられる。
これらの中でも、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン及びジt−ブチルメチルホスフィンが好ましい。またこれ以外にも、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンのような二座配位子も有効である。
また、前述したように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリールホスフィンも好ましく用いることが出来る。具体的には以下の化学式に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンが例示される。
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
ジアミンとしては、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
これらの配位子のうち、ホスフィン、ジアミン及びビピリジル等が好ましく、トリアルキルホスフォン及びトリアリールホスフィン等がより好ましく、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン及びジt−ブチルメチルホスフィン等が更に好ましい。通常、ホスフィンのように嵩高い配位子を有するパラジウム錯体を用いたほうが、より収率良く目的の置換された含フッ素オレフィンを得ることができる。特に、ホスフィンとして嵩高くて塩基性の高いものが有効である。具体的にはトリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、イソプロピルホスフィンなどの嵩高いアルキルホスフィン類が高収率を与えうる有効なホスフィンである。
また、ニッケル錯体としては、0価ニッケル錯体;II価ニッケル錯体から反応中に発生した0価ニッケル錯体;又はこれらとジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
0価ニッケル錯体とは、特に限定はないが、例えば、Ni(COD)、Ni(CDD)(CDDはシクロデカ−1,5−ジエン)、Ni(CDT)(CDTはシクロデカ−1,5,9−トリエン)、Ni(VCH)(VCHは4−ビニルシクロヘキセン)、Ni(CO)、(PCyNi−N≡N−Ni(PCy、Ni(PPh等が挙げられる。
II価ニッケル錯体とは、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価ニッケル錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて0価ニッケル錯体が生成する。
上記の0価ニッケル錯体又はII価ニッケル錯体から還元により生じた0価ニッケル錯体は、反応中で、必要に応じ添加される配位子と作用して、反応に関与する0価のニッケル錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のニッケル錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでは無い。ニッケル錯体としては、系中で生じる0価のニッケル錯体を安定化させる機能が高いものが望ましい。具体的には、ホスフィン、ジアミン、ビピリジル等の配位子を有しているものが好ましく、特にホスフィンを有しているものが好ましい。
ここで、ホスフィンとしては、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3〜20アルキル)ホスフィンが挙げられる。トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィンが挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン及びトリイソプロピルホスフィンが好ましい。
また、前述したように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリールホスフィンも好ましく用いることが出来る。具体的には以下の化学式に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンが例示される。
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
ジアミンとしては、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
これらの配位子のうち、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリアリールホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン等の嵩高い配位子が好ましい。通常、トリアリールホスフィンのように嵩高い配位子を有するニッケル錯体を用いたほうが、より収率よく目的の置換された含フッ素オレフィンを得ることができる。特に、ホスフィンとして嵩高くて塩基性の高いものが有効である。具体的にはトリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、イソプロピルホスフィンなどの嵩高いアルキルホスフィン類が高収率を与えうる有効なホスフィンである。
有機遷移金属触媒は、有機基で置換された含フッ素オレフィンの収率、及び選択性等の観点から、好ましくは、有機パラジウム錯体である。
有機遷移金属触媒の使用量は、特に制限されないが、有機ケイ素化合物1モルに対して
、通常、0.0001〜1モル程度、より好ましくは0.001〜0.2モル程度、更に好ましくは0.01〜0.2モル程度である。
配位子を投入する場合には、配位子の使用量は、有機ケイ素化合物1モルに対して、通常、0.0002〜2モル程度、好ましくは0.02〜0.4モル程度、より好ましくは0.05〜0.2モル程度である。
また、投入する配位子と有機遷移金属触媒のモル比は、通常2/1〜10/1であり、好ましくは2/1〜4/1である。
前記反応工程は、好ましくは、添加物(additive)としての塩基の存在下で実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化化合物;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩化合物;リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸塩化合物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩化合物;
リチウムメトキシド、リチウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルコキシド
等が挙げられる。
塩基の使用量は、有機ケイ素化合物1モルに対して、通常、0.1〜10モル、好まし
くは、0.1〜5モルである。
また前記反応工程においては、置換反応において発生するフッ素アニオンが塩基として作用するので、他の塩基の添加無しの条件でも、反応が好ましく進行する。この条件の反応は、反応操作およびコスト面で有利である。
反応温度は、特に制限されないが、通常、−100℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは室温(20℃程度)〜120℃が挙げられる。本発明の反応工程は、加熱下で実施される事が好ましい。「加熱下」とは、室温より高い温度条件を用いることを意味し、具体的には、例えば、反応温度が60℃〜120℃である。なお、高温では生成物であるトリフルオロビニル誘導体の2量化が進行する場合があるため、2量化が進行しない範囲で上限の反応温度を設定することができる。
また、反応時間も特に制限されないが、その下限としては、例えば、10分間、1時間、2時間、5時間が挙げられ、一方、その上限としては、例えば、15日程度、7日程度、72時間程度、50時間程度、24時間程度が挙げられる。
反応雰囲気は、特に限定されないが、有機遷移金属触媒の活性を考慮して、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われる。また、反応圧力は、加圧でも、常圧でもよいし、減圧でもよい。通常、加圧下で行うことが好ましく、その場合の圧力は、0.1〜10MPa程度、好ましくは0.1〜1MPa程度である。
本発明の反応工程は、好ましくは溶媒中で実施される。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、グライム、ジグライム等のエーテル系溶媒等;アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルシアナミド、t−ブチルニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒を使用することができる。中でも、シクロヘキサン、THF及びDMF等が好ましい。
このようにして得られる、有機基で置換された含フッ素オレフィンは、好ましくは、例えば、式(2):
(式中、Rは前記と同意義を示す。)
で表される化合物である。
前記反応工程で得られた置換基を有する含フッ素オレフィンは、必要に応じて、蒸留等の公知の精製法によって精製することができる。
このようにして得られた置換基を有する含フッ素オレフィンは、例えば、フッ素ゴム、反射防止膜材料、イオン交換膜、燃料電池用電解質膜、液晶材料、圧電素子材料、酵素阻害薬、殺虫剤等の原料として有用である。特に本発明によれば、アリール基に複数のビニル基を有する含フッ素オレフィンの合成も容易である。これらはフッ素樹脂の架橋性基として有用である。またこれらのモノマーを用いることで、フッ素‐非フッ素両高分子鎖成分を有する複合材料の製造も可能である。さらには、有機ケイ素化合物が多くの置換基と共存することが可能であることを活かせば、含フッ素オレフィンの分子内に水溶性を高める極性基、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基などの導入が可能となる。このように、本発明により得られる新規な含フッ素オレフィンをモノマー成分として用いることにより、既存フッ素樹脂では得られない機能の発現を可能にする。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
以下、実施例で用いる略号は以下の通りである。
Cy:シクロヘキシル(cyclohexyl)
Cyp:シクロペンチル(cyclopentyl)
TFE:テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)
THF:テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)
dba:ジベンジリデンアセトン(dibenzylideneacetone)
実施例1
グローブボックス中、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下:以下の実施例で同様)で、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、PCy(5.6mg、0.02mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のC6D6(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で22時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが44%の収率で得られたことを確認した。
実施例2
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、PCy(5.6mg、0.02mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で2時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが85%の収率で得られたことを確認した。
実施例3
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、PCy(5.6mg、0.02mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のDMF−d7(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で18時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが22%の収率で得られたことを確認した。
実施例4
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、PCy(5.6mg、0.02mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を80℃で49時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが80%の収率で得られたことを確認した。
実施例5
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、PCy(5.6mg、0.02mmol)、トリエトキシフェニルシラン(24.0mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で19時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが50%の収率で得られたことを確認した。
実施例6
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、PCy(2.8mg、0.01mmol)、トリメトキシ(4−メトキシフェニル)シラン(22.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で58時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、1−メトキシ−4−(1,2,2−トリフルオロビニル)ベンゼンが40%の収率で得られたことを確認した。
実施例7
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、PCy(2.8mg、0.01mmol)、トリメトキシナフチルシラン(24.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で17時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、2−(1,2,2−トリフルオロビニル)ナフタレンが65%の収率で得られたことを確認した。
実施例8
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、PCy(2.8mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが78%の収率で得られたことを確認した。
実施例9
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、Pt−BuMe(1.6mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが5%の収率で得られたことを確認した。
実施例10
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、P(n−Bu)(2.0mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが3%の収率で得られたことを確認した。
実施例11
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、P(t−Bu)(2.0mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが少量得られたことを確認した。
実施例12
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、P(i−Pr)(1.6mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが73%の収率で得られたことを確認した。
実施例13
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、P(i−Bu)(2.0mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で20時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが6%の収率で得られたことを確認した。
実施例14
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、P(Cyp)(2.4mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で7時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが84%の収率で得られたことを確認した。
実施例15
グローブボックス中、不活性雰囲気下で、Pd(dba)(5mg、0.005mmol)、Pt−BuMe(1.6mg、0.01mmol)、トリメトキシフェニルシラン(19.8mg、0.1mmol)のTHF−d8(0.5mL)溶液を耐圧チューブ(容量2ml)中に調製し、これにα,α,α−トリフルオロトルエン(0.01mmol:19F−NMR測定時の内部標準)を加えた。さらにここにTFE(0.313mmol:上述の容器容量と導入圧力0.35MPaから算出した。)を加えた。この反応溶液を100℃で7時間放置した。反応を19F−NMRで追跡し、内部標準より、α,β,β−トリフルオロスチレンが5%の収率で得られたことを確認した。
本発明によれば、有機基で置換された含フッ素オレフィンを簡便かつ効率的(高収率、高選択性、低コスト)に製造できる。

Claims (8)

  1. 有機基で置換された含フッ素オレフィンの製造方法であって、
    ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、及びコバルトから選択される遷移金属を含有する有機遷移金属触媒の存在下で、含フッ素オレフィンを有機ケイ素化合物と
    反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 前記遷移金属がニッケル、及びパラジウムから選択される請求項1に記載の製造方法。
  3. 有機ケイ素化合物が式(1):
    R−SiY (1)
    (式中、
    Rは置換されていてもよいアリール基、炭素を介して結合する置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいアルキニル基を示す;Yは、各出現において同一又は異なって、ヒドロキシ基、ヒドロキシド基、アルコキシ基、アルキル基又はフルオロ基を示す。
    それぞれYで示される2個又は3個のアルコキシ基、又はアルキル基は互いに連結して隣接するケイ素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表される有機ケイ素化合物である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. Rが置換されていてもよい単環式、二環式又は三環式のアリール基である請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記含フッ素オレフィンのsp2混成炭素原子に結合した少なくとも1個のフッ素原子が、前記Rで示される基で置換される請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記工程が塩基の存在下で実施される請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記有機遷移金属触媒が有機パラジウム錯体である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記有機基で置換された含フッ素オレフィンが、式(2):
    (式中、Rは前記と同意義を示す。)
    で表される化合物である請求項3〜7のいずれかに記載の製造方法。
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