JP2014153631A - 偏光板部材用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造コストおよび使用時のハンドリング性が高度に優れ、特に薄型の偏光板の部材として好適に利用することができ、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを代替することのできるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 フィルムの厚みが4.0〜40.0μmであり、フィルムの内部ヘーズが0.5%以下であり、380nmにおける光線透過率が10.0%以下であることを特徴とする偏光板部材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コストおよびハンドリングに優れ、薄型偏光板の部材として好適なポリエステルフィルムに関するものである。
液晶ディスプレイに使用される偏光板は一般的に保護フィルム/偏光膜/保護フィルム、あるいは保護フィルム/偏光膜/位相差フィルムの構成からなり、偏光膜の保護フィルムにはトリアセチルセルロース(以下、TACと略記することがある)フィルムが広く使用されてきた。
TACフィルムは、高い透明性や光学等方性を持つという利点がある一方で、耐薬品性、耐擦傷性などの点で十分な性能を示しているとは言えない。さらに、近年、液晶ディスプレイの薄型化の要求がある中で、TACフィルムを薄くすると、耐久性の低さや透湿性の悪化によりハンドリングや加工歩留まりが悪化する問題が出てきている。
上記のような問題に対して、TACフィルムの代わりにシクロオレフィンポリマーやアクリル等の材料を使用する検討も行われているが(特許文献1、2)、多くの場合、汎用樹脂を使用していないためコストが高くなるという問題がある。
特開平6−51117号公報 特開2006−227090号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、コストおよびハンドリングに優れ、薄型偏光板の部材として好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、フィルムの厚みが4.0〜40.0μmであり、フィルムの内部ヘーズが0.5%以下であり、380nmにおける光線透過率が10.0%以下であることを特徴とする偏光板部材用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、コストおよびハンドリングに優れ、薄型偏光板の部材として好適なポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明で言うポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押出されるいわゆる押出法により押出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じて延伸、熱処理を施したフィルムである。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールとから、あるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合させて得られるものである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸およびオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)などが挙げられ、ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
本発明のフィルムの厚さは4.0〜40.0μmであることが必要である。厚さが4.0μmより薄いと、フィルムの製膜が困難であるとともに、シワ入りなど加工時のハンドリングが困難になる。また、フィルムの厚さが40.0μmより厚い場合には、偏光板の総厚さが厚くなり、意匠性が劣る。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの巻き上げ工程等での作業性を向上させるために滑剤粒子を含有させてもよい。粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、有機粒子などを挙げることができ、これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。中でも、一次粒子の凝集体である多孔質シリカ粒子は、安価でかつフィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくいため、内部ヘーズ低減に効果的である。内部ヘーズとはフィルムの内部構造(ボイドなど)に起因する散乱を評価した物性であり、粗面補償溶媒として例えばエタノールを用いることで測定することができる。
本発明において、後述する測定法におけるフィルムの内部ヘーズは0.5%以下であることが必要である。内部ヘーズが0.5%より大きい場合、偏光板に貼り合わせた際の総ヘーズが上昇し、ディスプレイの視認性が低下する。内部ヘーズを上記範囲とするためには、例えば、用いる粒子の種類、粒径、添加量、粒子含有層の厚さ、製造ラインにおけるフィルターの強化、フィルム製造条件(延伸温度、延伸倍率)等、種々の条件を適宜組み合わせることによって達成することができる。
本発明において、フィルムのヘーズは1.5%以下であることが好ましい。ヘーズが1.5%より大きい場合、偏光板に貼り合わせた際の総ヘーズが上昇し、ディスプレイの視認性が低下する。
ポリエステルフィルムに配合する粒子の平均粒径としては、通常0.5〜5.0μm、好ましくは0.8〜4.0μmの範囲である。平均粒径が0.5μm未満の場合、十分な易滑性を付与するために添加量を増加させる必要性が生じ、結果として透明性が損なわれることがある。また、平均粒径が5.0μmを超える場合には、フィルム表面の粗面度が大きくなりすぎ、コート剤や粘着層を塗布する際に突起部付近で均一に塗布することが困難になったり、フィルムの透明性が損なわれたりすることがある。
フィルムの透明性を向上させるためには最外層のみに粒子を配合する方法も好ましく採用される。この場合の最外層とは、少なくとも表裏どちらか1層であり、表裏両層に粒子を配合することもできる。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明において、波長380nmにおけるフィルムの光線透過率は10.0%以下であることが必要である。光線透過率が10.0%を超えると液晶および偏光子が紫外線により損傷を受けるため問題となる。光線透過率を上記範囲内とするためには、フィルムに添加する紫外線吸収剤の配合量を調節することで達成できる。
本発明で用いることのできる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、1,3,5−トリアジン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物等を挙げることができ、これら1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、色調を考慮した場合、黄色味が付きにくいベンゾオキサジノン系化合物が好適に用いられる。
紫外線吸収剤として用いるベンゾオキサジン系化合物の例としては、2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]が挙げられる。
紫外線吸収剤をポリエステルフィルムに配合する方法として、紫外線吸収剤を押出機に直接添加する方法や、紫外線吸収剤を練りこんだポリエステルを押出機に添加する方法などが挙げられる。
本発明におけるポリエステルフィルム中には、紫外線吸収剤のほかに必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。かかる添加物は内層のみ、あるいは最外層のみに配合してもよい。表面への析出を防止するためには内層に添加するのが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを保護フィルムとして使用した偏光板において、光干渉色の発生を防ぐためには、ポリエステルフィルムにおけるフィルムの面内リターデーションは2000nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは1500nm以下である。フィルムの面内リターデーションが2000nmより大きい場合には、光の干渉色が強くなり、液晶ディスプレイにおいて画像本来の色彩が得られない。
次に本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、本発明で使用するポリエステルの製造方法の好ましい例について説明する。ここではポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応し、その生成物を重合槽に移送し、減圧しながら温度を上昇させ、最終的に真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ポリエチレンテレフタレート得る。
ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.40〜0.90dl/g、特に好ましくは0.50〜0.80dl/gである。固有粘度が0.40dl/g未満の場合は、フィルムの強度が不足したり、フィルム製造時に破断が頻発して生産性が低下したり、また含有するオリゴマー量が多くなって、光学用として使用した場合にフィルムの透明性の低下等の問題を発生させることがある。一方、固有粘度が0.90dl/gを超えると、フィルム製造時に溶融押出する工程で、粘度が高過ぎて剪断発熱による温度上昇でポリエステルが劣化して色調が変化したり、筋状の厚みムラが発生しやすくなったりする等の問題が発生することがある。
次に上記のようにして得られたポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件は、前記未延伸シートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。さらに、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すこともできる。方法は以下に限定するものではないが、例えば、1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、帯電防止性、滑り性、接着性等の改良、2次加工性改良、耐候性および表面硬度の向上等の目的で水溶液、水系エマルジョン、水系スラリー等によるコーティング処理を施すことができる。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては水系が好ましい。
偏光板として偏光子と貼り合わせる際には、片側表層に偏光子と密着性を高めるための塗布層を設けることが好ましい。
また、偏光子と貼り合わせない方の表面については、ハードコート層を設けてもよい。この場合、ハードコートとの密着性を向上させるために塗布層を設けることが好ましい。
塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤の塗布方法としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。
なお、必要に応じて、フィルムの製造後にオフラインコートと呼ばれる方法でコートしてもよい。コーティングの材料としては、水系および/または溶剤系いずれでもよい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。実施例中、「%」は「重量%」を意味する。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルを1g精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mLに溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)の測定
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
(3)フィルム厚さの測定
フィルムを5枚重ねてミツトヨ製(MDC-293・MDC-25MJ)デジタルマイクロメーターを使用して厚さを測定し、表示値を5で割り単枚の厚さを算出した。
(4)面内リターデーションの測定
大塚電子株式会社製のセルギャップ検査装置RETS−1100Aを用いて波長589nmでの面内リターデーションを測定した。面内リターデーションは回転検光子法でアパーチャ径は2mmとし、23℃で測定した。
(5)ヘーズの測定
JIS−K−7136に準拠し、日本電色工業社製の積分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムのヘーズを測定した。
(6)内部ヘーズの測定
スガ試験機製のヘーズメーター(HZ−2)を用いて測定した。測定は、中央が直径50mmの円形にくりぬかれた2枚の治具にフィルムを挟んでガラスセルに挿入し、フィルムの表面補償溶媒としてエタノールをガラスセルに充填して行った。
(7)光線透過率の測定
日立製作所製の分光光度計U3310を用いて測定した。測定は、波長範囲250〜800nm、スキャンスピード300nm/minで行い、波長380nmでの透過率を採用した。
(ポリエステルaの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.640に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルAの極限粘度は0.64であった。
(ポリエステルbの製造方法)
ポリエステルaの製造方法において、平均粒子径2.7μmのシリカ粒子を0.3部添加し、ポリエステルbを得た。
(ポリエステルcの製造方法)
ポリエステルaの製造方法において、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]を濃度10%となるように添加し、ポリエステルcを得た。
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルa〜cを、表1に示した割合で混合した原料を2台の押出機に各々供給し、層構成がA(最外層)/B(中間層)/A(最外層)のポリエステルフィルムを作製した。まず、ポリエステルを285℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、85℃にて縦方向に3.4倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て125℃で4.0倍の横延伸を施し、228℃で熱処理を行い、ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2014153631
Figure 2014153631
本発明のフィルムは、例えば、偏光板部材として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. フィルムの厚みが4.0〜40.0μmであり、フィルムの内部ヘーズが0.5%以下であり、380nmにおける光線透過率が10.0%以下であることを特徴とする偏光板部材用ポリエステルフィルム。
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