以下に添付図面を参照して、本発明に係る原料供給装置及び方法並びに流動層乾燥装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係る流動層乾燥装置を表す概略図、図2は、実施例1の流動層乾燥装置における原炭供給装置を表す概略図、図3は、原炭供給装置における分散器の正面図で、図4は、原炭供給装置における分散器の平面図、図5は、原炭供給装置における分散器の展開図、図6は、実施例1の流動層乾燥装置が適用された石炭ガス化複合発電設備を表す概略構成図である。
実施例1は原料として石炭等の固体炭素質燃料をガス化する石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)であり、石炭ガス化複合発電設備は、空気を酸化剤としてガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行うものである。即ち、実施例1の石炭ガス化複合発電設備は、一例として空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備を示しているが、酸化剤として酸素濃度の高いガスを用いる酸素吹き方式でもよい。
実施例1において、図6に示すように、石炭ガス化複合発電設備10は、給炭装置11、流動層乾燥装置12、微粉炭機(ミル)13、石炭ガス化炉14、チャー回収装置15、ガス精製装置16、ガスタービン設備17、蒸気タービン設備18、発電機19、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)20を有している。
給炭装置11は、原炭バンカ21と、石炭供給機22と、クラッシャ23とを有している。原炭バンカ21は、石炭を貯留可能であって、所定量の石炭を石炭供給機22に投下することができる。石炭供給機22は、原炭バンカ21から投下された石炭をコンベアなどにより搬送し、クラッシャ23に投下することができる。このクラッシャ23は、投下された石炭を所定の大きさに破砕して粉体状の原炭とすることができる。なお、この原炭の粉体状とは、液体状でなく、また未破砕状態などのために数cm以上の大きな固体サイズでないものを示している。本実施形態での石炭は含水した湿潤状態であるために、破砕した原炭はある程度の塊となったものも含めて、粉体状と表記する。
流動層乾燥装置12は、給炭装置11により投入された原炭に流動化蒸気(流動化ガス)を供給することで、この石炭を流動させながら加熱乾燥するものであり、湿潤状態で粉体状の原炭に含有される水分を除去することができる。そして、この流動層乾燥装置12は、取り出された乾燥炭を冷却する冷却器31が設けられ、乾燥炭が乾燥炭バンカ32に貯留される。また、流動層乾燥装置12は、取り出された蒸気から乾燥炭の粒子を分離するサイクロン33と電気集塵機34が設けられ、蒸気から分離された乾燥炭の粒子が乾燥炭バンカ32に貯留される。なお、電気集塵機34で乾燥炭が分離された蒸気は、圧縮機35で圧縮されてから流動層乾燥装置12に流動化蒸気として供給される。
微粉炭機13は、石炭粉砕機であって、流動層乾燥装置12により乾燥された石炭(乾燥炭)を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。即ち、微粉炭機13は、乾燥炭バンカ32に貯留された乾燥炭が石炭供給機36により投下され、この乾燥炭を所定粒径以下の微粉炭とするものである。そして、微粉炭機13で粉砕後の微粉炭は、バグフィルタ37a,37bにより搬送用ガスから分離され、供給ホッパ38a,38bに貯留される。
石炭ガス化炉14は、微粉炭機13で処理された微粉炭が供給可能であると共に、チャー回収装置15で回収されたチャー(石炭の未燃分)が戻されてリサイクル可能となっている。
即ち、石炭ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43が石炭ガス化炉14に接続され、この第1窒素供給ライン43に供給ホッパ38a,38bからの給炭ライン44a,44bが接続されている。また、第2窒素供給ライン45も石炭ガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45にチャー回収装置15からのチャー戻しライン46が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
石炭ガス化炉14は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。なお、石炭ガス化炉14は、微粉炭の混入した異物を除去する異物除去装置48が設けられている。この場合、石炭ガス化炉14は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉14は、チャー回収装置15に向けて可燃性ガスのガス生成ライン49が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置15に供給するとよい。
チャー回収装置15は、集塵装置51と供給ホッパ52とを有している。この場合、集塵装置51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉14で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。供給ホッパ52は、集塵装置51で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。そして、供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
ガス精製装置16は、チャー回収装置15によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(H2S)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17は、圧縮機61から石炭ガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気とガス精製装置16から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガスにより回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。そして、排熱回収ボイラ20にガス浄化装置74及び煙突75が連結されている。
このように構成された実施例1の石炭ガス化複合発電設備10では、給炭装置11にて、原炭が石炭供給機22によりクラッシャ23に投下されて破砕され、流動層乾燥装置12により加熱乾燥された後、冷却器31により冷却され、乾燥炭バンカ32に貯留される。乾燥炭バンカ32の乾燥炭は、微粉炭機13で粉砕されて微粉炭が製造され、微粉炭供給ホッパ38a,38bに貯留される。この微粉炭供給ホッパ38a,38bに貯留される微粉炭は、石炭ガス化炉14に供給され、圧縮空気により燃焼してガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)が生成される。そして、この可燃性ガスは、チャー回収装置15によりチャーが分離されてガス精製装置16に送られる。
ガス精製装置16にて、可燃性ガスは、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、この圧縮空気と燃料ガスとを混合して燃焼することで燃焼ガスを生成し、タービン63を駆動して発電機19による発電を行う。そして、ガスタービン設備17から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ20で蒸気を生成し、蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、この蒸気によりタービン69を駆動して発電機19により発電を行う。その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ20から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突75から大気へ放出される。
ここで、実施例1の流動層乾燥装置12について詳細に説明する。
流動層乾燥装置12は、プラグフロー式の乾燥装置であって、図1に示すように、乾燥容器101と、原炭供給装置102と、乾燥炭排出口(乾燥物排出部)103と、流動化蒸気供給部104(104a,104b,104c)と、ガス排出口105と、伝熱管106,107,108とを有している。
実施例1では、本発明の原料供給装置を原炭供給装置(湿潤燃料供給装置)102に適用して説明する。
乾燥容器101は、中空箱型形状をなしており、一端側の上部に原炭を供給する原炭供給装置102が設けられる一方、他端側の下部に原炭を加熱乾燥した乾燥炭を排出する乾燥炭排出口103が形成されている。
また、乾燥容器101は、下部に底板101aから所定距離をあけて複数の貫通孔を有する分散板109が設けられることで、上部の乾燥室(111,112,113)と下部の風室110とに区画されている。そして、乾燥容器101は、この底板101aに風室110を介して分散板109の上方に流動化ガスを供給する流動化蒸気供給部104(104a,104b,104c)が設けられている。更に、乾燥容器101は、乾燥炭排出口103側の天井板101bに流動化ガス及び発生蒸気を排出するガス排出口105が形成されている。
この乾燥容器101は、原炭供給装置102から原炭が供給されると共に、流動化蒸気供給部104から風室110及び分散板109を通して流動化ガスが供給されることで、この分散板109の上方に所定厚さの流動層Sが形成されると共に、この流動層Sの上方の空間にフリーボード部Fが形成される。
そして、乾燥容器101は、内部が原炭が乾燥炭を排出する乾燥炭排出口103へ向かう流動方向の上流側に設けられた第1乾燥室(分割乾燥室)111と、この第1乾燥室111より下流側に設けられた第2乾燥室(分割乾燥室)112と、原炭の流動方向の最も下流側に設けられた第3乾燥室(分割乾燥室)113とが設けられている。
詳細に説明すると、乾燥容器101は、複数(本実施例では、2個)の仕切板(仕切部材)114,115により流動層Sが原炭の流動方向に複数(本実施例では、3個)に分割されている。そして、乾燥容器101は、各仕切板114,115により下部に原炭の通過開口部116,117が形成されている。この各仕切板114,115は、原炭の流動方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、原炭の流動方向に所定間隔で配置されており、左右の端部が乾燥容器101の内壁面に取付けられている。各仕切板114,115は、下端部が分散板109と所定隙間をもって位置し、上端部が流動層Sより上方に延出するように位置している。即ち、各仕切板114,115と分散板109との間に、所定の高さと幅(開口面積)を有する通過開口部116,117が確保されており、この通過開口部116,117は、ほぼ同じ開口面積に設定されている。
このように乾燥容器101は、各仕切板114,115が設けられることで、第1乾燥室111と第2乾燥室112と第3乾燥室113に区画され、各乾燥室111,112,113は、この仕切板114,115の上方で連通されている。この場合、第1乾燥室111は、フリーボード部F1と流動層S1が形成され、原炭の初期乾燥を行う領域(予熱乾燥領域)となっている。第2乾燥室112は、フリーボード部F2と流動層S2が形成され、原炭の中期乾燥を行う領域(定率乾燥領域)となっている。第3乾燥室113は、フリーボード部F3と流動層S3が形成され、原炭の後期乾燥を行う領域(減率乾燥領域)となっている。
この場合、各乾燥室111,112,113は、床面積がほぼ同様となるように設定されているが、原炭の含水量などに応じて最適な比率に設定してもよく、例えば、第2乾燥室112の床面積を最大に設定することが望ましい。即ち、第1乾燥室111は、投入される原炭の含水率が高いことから、所定の含水率まで原炭の乾燥速度が上昇する予熱乾燥領域である。原炭の乾燥速度は、所定の乾燥速度まで上昇して一定となることから、第2乾燥室112は、原炭の乾燥速度が一定となる定率乾燥領域である。原炭の乾燥速度は、原炭の含水率が所定の含水率(限界含水率)になると、下降することから、第3乾燥室113は、原炭の乾燥速度が減少する減率乾燥領域である。従って、定率乾燥領域である第2乾燥室112の容積を最大にすることで、乾燥効率が向上する。
また、乾燥容器101は、3つの乾燥室111,112,113に対応するように、複数(本実施例では、2個)の区画板118,119により風室110が原炭の流動方向に複数(本実施例では、3個)に区画されている。即ち、風室110は、2個の区画板118,119により3個の風室110a,110b,110cに区画され、この3個の風室110a,110b,110cに対応するように3個の流動化蒸気供給部104a,104b,104cが設けられている。
この各区画板118,119は、原炭の流動方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、原炭の流動方向に所定間隔で配置されており、左右の端部が乾燥容器101の内壁面に取付けられている。このように乾燥容器101は、各区画板118,119が設けられることで、第1風室110aと第2風室110bと第3風室110cに区画されている。また、この各区画板118,119は、各仕切板114,115の下方に配置されている。
流動層乾燥装置12は、各乾燥室111,112,113に対して流動化蒸気を供給する蒸気供給ライン121が設けられており、この蒸気供給ライン121から分岐した3個の分岐ライン121a,121b,121cがそれぞれ風室110a,110b,110c(流動化蒸気供給部104a,104b,104c)に連結されている。そして、この分岐ライン121a,121b,121cは、図示しない流量調整弁がそれぞれ設けられており、各風室110a,110b,110cに供給する流動化蒸気量を調整することができる。本実施例では、原炭の流動方向における上流側の乾燥室ほど高い空塔速度となるように、設定されている。
なお、本発明の流動化ガス供給装置は、流動化蒸気供給部104(104a,104b,103c)、分散板109、区画板118,119、蒸気供給ライン121、分岐ライン121a,121b,121c、流量調整弁などにより構成されている。
この乾燥容器101は、その室内において、供給された原炭が押し出し流れとなるようにプラグフロー方式として構成されている。この押し出し流れとは、流動層Sにおいて、原炭が流動方向に拡散しないように、この原炭が乾燥炭を排出する乾燥炭排出口103へ向かう流動方向に押し出す流れである。
また、乾燥容器101は、各乾燥室111,112,113にて、外部から乾燥容器101を貫通して各流動層S1,S2,S3内を循環する複数の伝熱管106,107,108が配置されている。この伝熱管106,107,108は、各流動層S1,S2,S3内に埋設されるように位置し、内部を流れる流動化ガスにより各流動層S1,S2,S3の原炭を加熱して乾燥することができる。この場合、伝熱管106,107,108は、供給される過熱蒸気の圧力を変更することで、その温度を調整することができる。
従って、第1乾燥室111に供給された原炭は、ここで流動化ガスにより流動されると共に、伝熱管106により加熱されることで乾燥される。そして、第1乾燥室111で初期乾燥された原炭は、仕切板114の下部の通過開口部116を通って第2乾燥室112に移動され、ここで、伝熱管107により加熱されることで中期乾燥される。そして、第2乾燥室112で中期乾燥された原炭は、仕切板115の下部の通過開口部117を通って第3乾燥室113に移動され、ここで、伝熱管108により加熱されることで後期乾燥される。
これにより、各乾燥室111,112,113の流動層S1,S2,S3を形成する原炭は、この流動層S1,S2,S3間を上流側から通過開口部116,117を通って順に移動することで、押し出し流れとすることができ、流動方向に拡散させることなく乾燥される。
次に、上述した流動層乾燥装置12における原炭供給装置102について詳細に説明する。
原炭供給装置102は、図1から図4に示すように、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器131と、原炭供給部132と、回転駆動装置133とを有している。
乾燥容器101は、第1乾燥室111の上部に位置してケーシング141が固定されており、このケーシング141から第1乾燥室111内に向けて円筒形状をなす供給配管142が設けられており、この供給配管142は、内部に鉛直方向をなす原炭供給路(原料供給路)143が形成されている。また、回転軸144は、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下されており、上部がケーシング141の軸受部145に回転自在に支持されている。この回転軸144は、原炭供給路143の中心部に沿って配置されており、上端部にケーシング141に配置された回転駆動装置133が連結され、下端部に分散器131が連結されている。従って、回転駆動装置133により回転軸144を介して分散器131を回転することができる。
分散器131は、回転軸144により回転自在に支持され、第1乾燥室111内で第1流動層S1の上方に配置されている。この分散器131は、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなし、放射方向の表面長さ(母線)が周方向で連続的に相違するものとなっている。即ち、分散器131は、放射方向の表面長さが周方向に沿って長くなっている。
具体的に説明すると、分散器131は、中空で下部が開口した円錐形状をなし、下端131aが螺旋形状となっている。この場合、分散器131は、下端131aの位置で回転軸心Oを中心として描かれた水平な仮想円Gにて、放射方向の表面長さが徐々に連続的に長くなり、位置Aで、放射方向の表面長さが最も長くなっている。そして、分散器131は、位置Aから位置B、位置C、位置Dと放射方向の表面長さが徐々に連続的に短くなり、360度移動した位置Aで回転軸心Oと重なり、最も短くなる。
図5に分散器131の展開図を表す。分散器131は、この図5に示すように、所定角度θを有する扇形状をなす仮想扇形Sの円弧部分を曲線状に切り取った形状となっている。そして、分散器131は、図4に示すように、放射方向の表面長さが最も長い位置Aにて、表面に放射方向に沿った案内部材146が設けられている。
また、ケーシング141は、クラッシャ23に投下されて破砕され粉体状となった原炭を貯蔵する原炭貯蔵装置147が設けられ、この原炭貯蔵装置147の下方に原炭搬送装置(搬送コンベヤ)148が配置されている。この原炭搬送装置148は、原炭貯蔵装置147から落下した粉体状の原炭を水平方向に搬送し、供給配管142の原炭供給路143に供給するものである。原炭は含水した湿潤状態になっており、湿潤のためにある程度の塊となったものも含めて粉体状と表記している。
なお、前述した原炭供給部132は、乾燥容器101の上部から分散器131に向けて原炭を供給可能なものであり、原炭貯蔵装置147、原炭搬送装置148、供給配管142(原炭供給路143)などにより構成されている。
このように構成された原炭供給装置102を用いた原炭供給方法は、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器131を鉛直方向に沿う回転軸144により回転する工程と、乾燥容器101の上部から分散器131の表面に向けて原炭を供給する工程とを有している。
ここで、実施例1の流動層乾燥装置12の全体の作動について説明する。
流動層乾燥装置12において、図1及び図2に示すように、乾燥容器101に対して、原炭供給装置102から原炭が供給されると共に、流動化蒸気供給部104から分散板109を通して流動化蒸気が供給されることで、この分散板109の上方に所定厚さの流動層S1,S2,S3が形成される。原炭は、流動化蒸気により流動層S1,S2,S3を乾燥炭排出口103側に移動し、このとき、伝熱管106,107,108から熱を受けることで加熱されて乾燥される。
即ち、原炭供給装置102にて、回転駆動装置133により回転軸144を介して分散器131がR方向に回転する一方、原炭貯蔵装置147に貯蔵された原炭が原炭搬送装置148に落下し、この原炭搬送装置148により供給配管142の原炭供給路143に供給される。すると、原炭供給路143を自由落下する原炭は、回転する分散器131の表面に向けて周方向にほぼ均一に落下し、この回転する分散器131の表面を放射方向に下降し、下端部131aから流動層S1の表面部に落下する。
このとき、分散器131は、表面が下方に向けて傾斜していることから、湿潤状態で粉体状の原炭はこの表面上を放射方向に下降するが、分散器131が回転しているため、原炭に遠心力が付与され、分散器131の径方向のより外方に移動し、下端131aに至るとその放射方向で落下する。そして、分散器131は、放射方向の表面長さ、つまり、下端131aの位置が周方向で相違することから、原炭は、分散器131の放射方向の異なる位置で落下する。
即ち、原炭は、原炭供給路143を通って回転する分散器131の表面に周方向に分散して落下する。また、ほぼ均一に落下するように分散器131の傾斜状態と回転速度を適切に選定すると、より好ましい。そして、分散器131の表面を放射方向に移動する原炭は、下端131aの位置D、位置C、位置B、位置Aを通る各位置で順に落下する。つまり、分散器131上の原炭は、原炭供給路143から周方向に分散されて、より好ましくはほぼ均一に分散供給される。そして、この分散器131が回転することから、流動層S1に対して周方向にほぼ均一に供給される。また、分散器131上の原炭は、分散器131の放射方向の長さが周方向で相違することから、流動層S1に対して径方向に分散され、より好ましくは、ほぼ均一に供給される。更に、分散器131上の原炭は、分散器131上の遠心力により、より径方向の外方に飛ばされて分散し供給される。その結果、分散器131は、原炭を流動層S1の広域にわたって均一に供給することができる。
そして、原炭供給装置102から原炭が流動層S1に分散して供給され、より好ましくは均一に供給されると、まず、第1乾燥室111では、流動化蒸気供給部104aから第1風室110aに流動化蒸気が供給され、この流動化蒸気が分散板109の各貫通穴を通して第1乾燥室111に供給される。そのため、湿潤状態の原炭は、この流動化蒸気と伝熱管106からの熱を受けることで、流動層S1で流動しながら乾燥される。
次に、第1乾燥室111で初期乾燥が終了した原炭は、仕切板114の下方の通過開口部116を通って第2乾燥室112に流動する。この第2乾燥室112では、流動化蒸気供給部104bから第2風室110bに流動化蒸気が供給され、この流動化蒸気が分散板109の各貫通穴を通して第2乾燥室112に供給される。そのため、原炭は、この流動化蒸気と伝熱管107からの熱を受けることで、流動層S2で流動しながら乾燥される。そして、第2乾燥室112で中期乾燥が終了した原炭は、仕切板115の下方の通過開口部117を通って第3乾燥室113に流動する。
この第3乾燥室113では、流動化蒸気供給部104cから第3風室110cに流動化蒸気が供給され、この流動化蒸気が分散板109の各貫通穴を通して第3乾燥室113に供給される。そのため、原炭は、この流動化蒸気と伝熱管108からの熱を受けることで、流動層S3で流動しながら乾燥される。このように原炭は、流動層S1,S2,S3にて、伝熱管106,107,108により加熱されながら、供給される流動化蒸気により流動し、押し出し流れとなって流動方向に拡散することなく乾燥される。
そして、原炭が乾燥された乾燥炭は、乾燥炭排出口103から外部に排出され、流動層Sで原炭が加熱乾燥されることで発生した蒸気は、流動化蒸気と共に上昇し、流動層Sの上方の空間に形成されるフリーボード部Fから乾燥炭排出口103側に流れ、ガス排出口105から外部に排出される。
このように実施例1の原炭供給装置102にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器131と、乾燥容器101の上部から分散器131に向けて原炭を供給可能な原炭供給部132と、分散器131を回転可能な回転駆動装置133とを設けている。
従って、分散器131は、円錐形状をなして放射方向の表面長さが周方向で相違することから、回転駆動装置133により分散器131を回転し、原炭供給部132から分散器131の表面に向けて原炭が供給されると、この原炭は、回転する分散器131の表面を放射方向に下降し、下端131aから流動層S1に落下する。このとき、原炭は、回転する分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する複数の位置で落下するため、原炭を流動層S1の広域にわたって分散して供給し、より好ましくは分散器131の傾斜状態と回転速度を適切に選定することで、より均一に供給することができると共に、装置の大型化を抑制することができる。
この場合、分散器131を円錐形状とすることで、回転する分散器131の表面に供給された原炭は、周方向に対して分散して振り分けられ、より好ましくは均一に振り分けられ、また、分散器131の表面を適正に下降して落下させることができる。
実施例1の原炭供給装置102では、分散器131の放射方向の表面長さを周方向に沿って長くしている。従って、原炭は、回転する分散器131の遠心力により径方向の外方に移動しながら、放射方向の下端131aの異なる位置で落下するため、原炭を分散して供給でき、より好ましくは均一に供給することができる。
実施例1の原炭供給装置102では、分散器131における放射方向の表面長さが最も長い位置に放射方向に沿う案内部材146を設けている。従って、回転する分散器131の表面に供給された原炭は、放射方向に下降して下端131aから落下するが、このとき、放射方向の表面長さが最も長い位置の原炭は、案内部材146により案内されながら下降することから、表面の途中で分散されずに落下することはなく、原炭をより均一に分散して供給することができる。
実施例1の原炭供給装置102では、原炭供給部132として鉛直方向に沿う原炭供給路143を設け、分散器131の回転軸144をこの原炭供給路143の中心部に沿って配置している。従って、分散器131の回転軸144を原炭供給路143内に配置することで、装置のコンパクト化を図ることができると共に、原炭を適正に分散器131に供給することができる。
また、実施例1の原炭供給方法にあっては、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器131を鉛直方向に沿う回転軸144により回転する工程と、乾燥容器101の上部から分散器131の表面に向けて原炭を供給する工程とを有している。
従って、原炭は、回転する分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する位置で落下するため、原炭を分散して供給し、より好ましくは均一に供給することができると共に、装置の大型化を抑制することができる。
また、実施例1の流動層乾燥装置12にあっては、乾燥容器101と、複数の乾燥室111,112,113を形成すると共に通過開口部116,117が形成される仕切部材114,115と、各乾燥室111,112,113の下方から流動化ガスを供給することで原炭と共に流動層S1,S2,S3を形成する流動化蒸気供給部104とを設け、原炭供給装置102として、上述した分散器131と原炭供給部132と回転駆動装置133を設けている。
従って、原炭供給装置102が乾燥容器101に原炭を供給するとき、原炭は、回転する分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する位置で落下するため、流動層S1への原炭を分散して供給し、より好ましくは均一に供給することができると共に、装置の大型化を抑制することができる。
図7は、本発明の実施例2に係る流動層乾燥装置における原炭供給装置を表す概略図、図8は、原炭供給装置における分散器の正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2において、図7及び図8に示すように、原炭供給装置201は、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器202と、原炭供給部132と、回転駆動装置133とを有している。
乾燥容器101は、第1乾燥室111の上部に位置してケーシング141が固定され、このケーシング141から第1乾燥室111内に向けて供給配管142が設けられ、内部に原炭供給路143が形成されている。回転軸144は、原炭供給路143の中心部に沿って配置され、ケーシング141の軸受部145に回転自在に支持されており、上端部に回転駆動装置133が連結され、下端部に分散器202が連結されている。
分散器202は、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなし、放射方向の表面長さ(母線)が周方向で相違するものとなっている。即ち、分散器202は、放射方向の表面長さが周方向に沿って長くなっている。
また、分散器202は、円錐形状の内部に中空部211と、中空部211に乾燥用ガスを供給する乾燥用ガス供給装置212と、中空部211から分散器202の表面側に乾燥用ガスを噴出可能な複数の乾燥用ガス噴出部213とを有している。即ち、回転軸144及び分散器202は、中空形状をなし、下部に蓋214が固定されることで、中空部211が形成されている。回転軸144は、乾燥用ガスが回転軸144内を通過し、分散器222の中空部211に乾燥用ガスが供給されるよう中空形状をなし、中途部に連結部215が設けられ、乾燥用ガス供給装置212は、配管216を介して連結部215に連結されている。連結部215は、配管216を通して供給された乾燥用ガス(例えば、加熱蒸気)を回転軸144内に通過させるものである。
そして、分散器202は、中空部211の乾燥用ガスを表面側に噴出可能な複数の乾燥用ガス噴出部213が設けられている。各乾燥用ガス噴出部213は、分散器202の放射方向に沿うと共に千鳥状に配置され、分散器202の径方向に向けて配置されている。
このように構成された実施例2の原炭供給装置201にて、回転駆動装置133により回転軸144を介して分散器202がR方向に回転する一方、原炭供給部132により原炭が原炭供給路143に供給される。すると、原炭供給路143を自由落下する原炭は、回転する分散器202の表面に向けて周方向にほぼ均一に落下し、この回転する分散器202の表面を放射方向に下降して流動層S1の表面部に落下する。
このとき、分散器202は、表面が傾斜していることから、原炭はこの表面上を放射方向に下降するが、分散器202が回転しているため、原炭に遠心力が付与され、より径方向の外方に移動する。そして、分散器202は、放射方向の表面長さが周方向で相違することから、原炭は、分散器202の放射方向の異なる位置で落下する。
また、分散器202は、内部に乾燥用ガスとしての加熱蒸気が供給されて加熱されて表面の温度が上昇していることから、分散器202の表面を放射方向に下降する原炭の乾燥が促進される。そして、分散器202は、複数の乾燥用ガス噴出部213から加熱蒸気が噴出されることから、原炭が分散器202の表面に固着することを抑制するとともに、この加熱蒸気によっても、分散器202の表面を放射方向に下降する原炭の乾燥が促進される。
このように実施例2の原炭供給装置201にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器202を設け、この分散器202に、中空部211と、中空部211に乾燥用ガスを供給する乾燥用ガス供給装置212と、中空部211から表面側に乾燥用ガスを噴出可能な複数の乾燥用ガス噴出部213を設けている。
従って、分散器202を回転し、分散器202の表面に向けて原炭が供給されると、この原炭は、回転する分散器202の表面を放射方向に下降して流動層S1に落下する。このとき、原炭は、回転する分散器202の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する複数の位置に落下するため、原炭を流動層S1の広域にわたって分散して供給し、より好ましくは、ほぼ均一に落下するように分散器131の傾斜状態と回転速度を適切に選定することで、より均一に供給することができる。
また、乾燥用ガス供給装置212が中空部211に乾燥用ガスを供給すると、この乾燥用ガスは、複数の乾燥用ガス噴出部213から分散器202の表面に噴出されることとなり、分散器202の表面に供給された原炭の含水率が高くても、この原炭が乾燥用ガスにより乾燥が促進されることとなり、分散器202の表面への原炭の付着が防止され、原炭の供給を適正に行うことができる。そして、原炭が分散器202の表面へ付着したとしても、乾燥用ガス噴出部213から噴出される乾燥用ガスにより付着して原炭が吹き飛ばされて、原炭が分散器202の表面に固着することを抑制する。更に、乾燥用ガスが加熱蒸気であると、分散器202自体を加熱して表面の温度を上昇することができ、加熱して分散器202の表面を原炭が移動することで、原炭の乾燥を促進することができる。
図9は、本発明の実施例3に係る流動層乾燥装置における原炭供給装置を表す概略図、図10は、原炭供給装置における分散器の平面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3において、図9及び図10に示すように、原炭供給装置221は、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器222と、原炭供給部132と、回転駆動装置223とを有している。
乾燥容器101は、第1乾燥室111の上部に位置してケーシング141が固定され、このケーシング141から第1乾燥室111内に向けて供給配管142が設けられ、内部に原炭供給路143が形成されている。回転軸144は、原炭供給路143の中心部に沿って配置され、ケーシング141の軸受部145に回転自在に支持されており、下端部に分散器222が連結されている。
分散器222は、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなし、放射方向の表面長さ(母線)が周方向で連続的に相違するものとなっている。即ち、分散器222は、放射方向の表面長さが周方向に沿って長くなっている。
また、分散器222は、中空部211と、中空部211に乾燥用ガスを供給する乾燥用ガス供給装置212と、中空部211から表面側に乾燥用ガスを噴出可能な複数の乾燥用ガス噴出部231とを有している。即ち、回転軸144及び分散器222は、中空形状をなし、下部に蓋214が固定されることで、中空部211が形成されている。回転軸144は、乾燥用ガスが回転軸144内を通過し、分散器222の中空部211に乾燥用ガスが供給されるよう中空形状をなし、中途部に連結部215が設けられ、乾燥用ガス供給装置212は、配管216を介して連結部215に連結されている。連結部215は、配管216を通して供給された乾燥用ガス(例えば、加熱蒸気)を回転軸144内に通過させるものである。
そして、分散器222は、中空部211の乾燥用ガスを表面側に噴出可能な複数の乾燥用ガス噴出部231が設けられている。各乾燥用ガス噴出部231は、分散器222の放射方向に沿うと共に千鳥状に配置されている。そして、この各乾燥用ガス噴出部231は、分散器222の周方向に向けて配置されることで回転駆動装置223を構成している。具体的に、各乾燥用ガス噴出部231は、分散器222の周方向に均等間隔で配置され、水平な仮想円Gに対して接線方向を向いて固定されている。
このように構成された実施例3の原炭供給装置221にて、乾燥用ガス供給装置212は、配管216を介して連結部215に乾燥用ガスを供給すると、この乾燥用ガスは、回転軸144を通して分散器222の中空部211に供給され、複数の乾燥用ガス噴出部231から外部に噴出される。そのため、回転駆動装置223により分散器222がR方向に回転する一方、原炭供給装置221により原炭が原炭供給路143に供給される。すると、原炭供給路143を自由落下する原炭は、回転する分散器222の表面に向けて周方向に分散され、さらに好ましくは、分散器222の傾斜状態と回転速度を適切に選定することで、ほぼ均一に落下し、この回転する分散器222の表面を放射方向に下降して流動層S1の表面部に落下する。
このとき、分散器222は、表面が傾斜していることから、原炭はこの表面上を放射方向に下降するが、分散器222が回転しているため、原炭に遠心力が付与され、より径方向の外方に移動する。そして、分散器222は、放射方向の表面長さが周方向で相違することから、原炭は、分散器222の放射方向の異なる位置で落下する。
また、分散器222は、内部に乾燥用ガスとしての加熱蒸気が供給されて加熱されていることから、分散器222の表面を放射方向に下降する原炭の乾燥が促進される。そして、分散器222は、複数の乾燥用ガス噴出部231から加熱蒸気が噴出されることから、この加熱蒸気によっても、分散器222の表面を放射方向に下降する原炭の乾燥が促進される。
このように実施例3の原炭供給装置221にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器222を設け、この分散器222に、中空部211と乾燥用ガス供給装置212と乾燥用ガス噴出部231を設け、この各乾燥用ガス噴出部231を周方向に向けて設けている。
従って、分散器222を回転し、表面に向けて原炭が供給されると、この原炭は、回転する分散器222の表面を放射方向に下降して流動層S1に落下する。このとき、原炭は、回転する分散器222の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する複数の位置に落下するため、原炭を流動層S1の広域にわたって分散して供給し、より好ましくは均一に供給することができる。
また、乾燥用ガス供給装置212が中空部211に乾燥用ガスを供給すると、この乾燥用ガスは、複数の乾燥用ガス噴出部231から分散器222の表面に噴出されることとなり、分散器222の表面に供給された原炭の含水率が高くても、この原炭が乾燥用ガスにより乾燥が促進されることとなり、分散器222の表面への原炭の付着が防止され、原炭の供給を適正に行うことができる。
そして、複数の乾燥用ガス噴出部231は、分散器222の周方向に向けて乾燥用ガスを噴出するため、この分散器222は噴射された乾燥用ガスにより推進力を得て回転することができ、複数の乾燥用ガス噴出部231により回転駆動装置223を構成することができることとなり、回転駆動装置の駆動動力を軽減したり、別途回転駆動装置を設ける必要がなくなり、構造の簡素化を可能とすることができる。
なお、上述した実施例2では、乾燥用ガス噴出部213を分散器202の径方向に向けて設け、実施例3では、乾燥用ガス噴出部231を分散器222の周方向に向けて設けたが、この構成に限定させるものではない。例えば、一部の乾燥用ガス噴出部を分散器の径方向に向け、残りの乾燥用ガス噴出部を分散器の周方向に向けてもよい。また、複数の乾燥用ガス噴出部の向きを異なる方向に向けることで、分散器の表面を移動する原炭に乾燥用ガスが接触しやすくするようにしてもよい。
図11は、本発明の実施例4に係る流動層乾燥装置における原炭供給装置を表す概略図、図12は、原炭供給装置における分散器の正面図、図13は、原炭供給装置における分散器の平面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例4において、図11から図13に示すように、原炭供給装置241は、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器242と、原炭供給部132と、回転駆動装置133とを有している。
乾燥容器101は、第1乾燥室111の上部に位置してケーシング141が固定され、このケーシング141から第1乾燥室111内に向けて供給配管142が設けられ、内部に原炭供給路143が形成されている。回転軸144は、原炭供給路143の中心部に沿って配置され、ケーシング141の軸受部145に回転自在に支持されており、上端部に回転駆動装置133が連結され、下端部に分散器242が連結されている。
分散器242は、下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなし、放射方向の表面長さ(母線)が周方向で連続的に相違するものとなっている。即ち、分散器242は、放射方向の表面長さが周方向に沿って長くなっている。
また、分散器242は、表面に放射方向に沿って複数の案内部材251,252,253,254が設けられており、各案内部材251,252,253,254は、周方向に所定間隔(等間隔)で設けられている。即ち、分散器242は、下端242aの位置で回転軸心Oを中心として描かれた水平な仮想円Gにて、位置Aで、放射方向の表面長さが最も長く、この位置Aから、例えば90度ごとの位置B、位置C、位置Dと放射方向の表面長さが徐々に短くなり、360度移動した位置Aで回転軸心Oと重なり、最も短くなる。各案内部材251,252,253,254は、この位置A、位置B、位置C、位置Dに分散器242の放射方向に沿って設けられている。なお、本実施例において、分散器242の表面に4つの案内部材251、252、253、254が設けられている例を用いて説明したがこれに限ることはなく、分散器の大きさ等に応じて案内部材の設置数を適宜変更することができる。
このように構成された実施例4の原炭供給装置241にて、回転駆動装置133により回転軸144を介して分散器242がR方向に回転する一方、原炭供給部132により原炭が原炭供給路143に供給される。すると、原炭供給路143を自由落下する原炭は、回転する分散器242の表面に向けて周方向に分散されて落下し、より好ましくは、分散器131の傾斜状態と回転速度を適切に選定することで、ほぼ均一に落下し、この回転する分散器242の表面を放射方向に下降して流動層S1の表面部に落下する。
このとき、分散器242は、表面が傾斜していることから、原炭はこの表面上を放射方向に下降するが、分散器242が回転しているため、原炭に遠心力が付与され、より径方向の外方に移動する。そして、分散器242は、放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違することから、原炭は、分散器242の放射方向の異なる位置で落下する。
また、分散器242は、表面に放射方向に沿って突出する案内部材251,252,253,254が複数設けられていることから、分散器242の表面を下降する原炭は、案内部材251,252,253,254により区画されたその領域を下降することとなり、原炭の周方向の移動を抑制して原炭が分散されずに局所的に落下することが防止される。
このように実施例4の原炭供給装置241にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器242を設け、この分散器242の表面に放射方向に沿って複数の案内部材251,252,253,254を周方向に所定間隔で設けている。
従って、分散器242を回転し、表面に向けて原炭が供給されると、この原炭は、回転する分散器242の表面を放射方向に下降して流動層S1に落下する。このとき、原炭は、回転する分散器242の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下し、且つ、放射方向の表面長さが相違する複数の位置に落下するため、原炭を流動層S1の広域にわたって分散して供給し、より好ましくは均一に供給することができる。
また、原炭は、分散器242の表面に沿って下降するとき、各案内部材251,252,253,254に案内されて下降することから、原炭の周方向の移動が抑制され、原炭が流動層S1に対して局所的に落下することはなく、原炭を流動層S1に分散して供給し、より好ましくは均一に供給することができる。
図14は、本発明の実施例5に係る流動層乾燥装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例5において、図14に示すように、流動層乾燥装置12は、乾燥容器101と、原炭供給装置102と、乾燥炭排出口103と、流動化蒸気供給部104と、ガス排出口105と、伝熱管106,107,108とを有している。そして、原炭供給装置102は、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器131と、原炭供給部132及び回転駆動装置133を有している。なお、この流動層乾燥装置12並びに原炭供給装置102の構成は、前述した実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
本実施例では、流動層S1が所定の大きさごとに区画された複数の領域の状態を検出する流動層状態検出センサとして、複数の温度センサ261が設けられている。制御装置262は、この各温度センサ261の検出結果が入力可能となっており、この検出結果に基づいて回転駆動装置133により分散器131の回転速度を制御可能となっている。
即ち、乾燥容器101の流動層S1は、複数の領域、例えば、上下方向における上部と中部と下部、水平方向における中央部と外周部とその中間部などの領域に区画し、各領域におけるほぼ中央部に流動層S1の温度を検出する温度センサ261が設けられている。この場合、各温度センサ261は、乾燥容器101の底板101a、天井板101b、側壁などから図示しない支持ロッドを用いて支持されている。
制御装置262は、複数の温度センサ261の検出結果が入力されると共に、回転駆動装置133により分散器131の回転速度を調整可能となっている。具体的に、制御装置262は、複数の温度センサ261が検出した流動層S1における各領域の温度に基づいて、隣接する領域の温度偏差が予め設定された所定温度(例えば、5℃または10℃)以上になったら、回転駆動装置133により分散器131の回転速度を調整することで、原炭は、回転する分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら落下する量を調整して、放射方向の表面長さが相違する位置で落下する量を調整することができるので、流動層S1への原炭の分散状態を調整して供給し、該当する領域への原炭の供給量を調整する。
流動層S1の水平方向における中央部の温度が低下したら、この領域における原炭の乾燥度合が遅れていると判断し、この領域への原炭の供給量を減少させる。つまり、制御装置262は、回転駆動装置133により分散器131の回転速度を上昇させる。分散器131の回転速度が上昇すると、分散器131により分散される原炭へ付与する遠心力が増加し、原炭は、流動層S1の水平方向における外周部に多く供給されることとなる。
一方、流動層S1の水平方向における外周部の温度が低下したら、この領域における原炭の乾燥度合が遅れていると判断し、この領域への原炭の供給量を減少させる。つまり、制御装置262は、回転駆動装置133により分散器131の回転速度を低下させる。分散器131の回転速度が低下すると、分散器131により分散される原炭へ付与する遠心力が減少し、原炭は、流動層S1の水平方向における中央部に多く供給されることとなる。
このように実施例5の原炭供給装置102にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で連続的に相違する分散器131と、この分散器131を回転駆動する回転駆動装置133と、流動層S1が所定の大きさごとに区画された複数の領域の温度を検出する複数の温度センサ261と、各温度センサ261の検出結果に基づいて回転駆動装置133により分散器131の回転速度を制御する制御装置262を設けている。
従って、制御装置262は、各温度センサ261が検出した流動層S1における各領域の温度に基づいて分散器131の回転速度を調整する。この場合、流動層S1における各領域の温度が均一となるように、分散器131の回転速度を調整することで、原炭の供給位置や供給量を調整し、原炭の効率的な乾燥を行うことができる。
図15は、本発明の実施例6に係る流動層乾燥装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例6において、図15に示すように、流動層乾燥装置12は、乾燥容器101と、原炭供給装置102と、乾燥炭排出口103と、流動化蒸気供給部104と、ガス排出口105と、伝熱管106,107,108とを有している。
原炭供給装置102は、乾燥容器101における第1乾燥室111の上部に設けられており、分散器131と、原炭供給部132及び回転駆動装置133を有している。また、原炭供給装置102にて、分散器131は、回転軸144を介して鉛直方向に沿って移動自在に支持され、鉛直移動装置271により鉛直方向に移動可能となっている。
なお、この流動層乾燥装置12並びに原炭供給装置102におけるその他の構成は、前述した実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
本実施例では、流動層S1が所定の大きさごとに区画された複数の領域の状態を検出する複数の温度センサ261が設けられている。制御装置262は、この各温度センサ261の検出結果が入力可能となっており、この検出結果に基づいて鉛直移動装置271により分散器131を鉛直方向に移動してその位置を制御可能となっている。
即ち、制御装置262は、複数の温度センサ261の検出結果が入力されると共に、鉛直移動装置271により分散器131の鉛直方向における位置を調整可能となっている。具体的に、制御装置262は、複数の温度センサ261が検出した流動層S1における各領域の温度に基づいて、隣接する領域の温度偏差が予め設定された所定温度(例えば、5℃または10℃)以上になったら、鉛直移動装置271により分散器131の位置を調整することで、分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら、水平方向へ速度をもって落下する原炭の落下位置を調整することで、流動層S1への原炭の分散状態を調整して供給して、該当する領域への原炭の供給量を調整する。
流動層S1の水平方向における中央部の温度が低下したら、この領域における原炭の乾燥度合が遅れていると判断し、この領域への原炭の供給量を減少させる。つまり、制御装置262は、鉛直移動装置271により分散器131を上昇させる。分散器131が上昇すると、分散器131により分散される原炭は、分散器131の遠心力により径方向の外方に移動されながら、水平方向へ速度をもって落下するので、原炭の落下位置は径方向に広がり、流動層S1の水平方向における外周部に多く供給されることとなる。
一方、流動層S1の水平方向における外周部の温度が低下したら、この領域における原炭の乾燥度合が遅れていると判断し、この領域への原炭の供給量を減少させる。つまり、制御装置262は、鉛直移動装置271により分散器131を下降させる。分散器131が下降すると、原炭の落下位置は径方向に広がりが少なくなり、分散器131により分散される原炭は、流動層S1の水平方向における中央部に多く供給されることとなる。
このように実施例6の原炭供給装置102にあっては、乾燥容器101の上部に鉛直方向に沿って垂下される回転軸144により回転自在に支持されて下方に向け水平方向の断面積を増加させた円錐形状をなすと共に放射方向の表面長さが周方向で相違する分散器131と、この分散器131を回転駆動する回転駆動装置133と、分散器131を鉛直方向に移動する鉛直移動装置271と、流動層S1が所定の大きさごとに区画された複数の領域の温度を検出する複数の温度センサ261と、各温度センサ261の検出結果に基づいて鉛直移動装置271により分散器131の位置を制御する制御装置262を設けている。
従って、制御装置262は、各温度センサ261が検出した流動層S1における各領域の温度に基づいて分散器131の高さ位置を調整する。この場合、流動層S1における各領域の温度が均一となるように、分散器131の高さ位置を調整することで、原炭の供給位置や供給量を調整し、原炭の効率的な乾燥を行うことができる。
なお、この実施例6では、分散器131を鉛直方向に移動する鉛直移動装置271を設け、流動層S1の状態に応じて分散器131の位置を調整するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、鉛直移動装置271により分散器131を常時鉛直上下方向に往復移動する量や移動速度のパターンを調整することで、流動層S1に対して広範囲にわたって原炭を分散供給するようにしてもよい。また、原炭の含水量などに応じて、分散器131を鉛直方向に移動させ、その高さ位置を制御することで流動層S1に対して広範囲にわたり原炭を分散供給することもできる。
また、上述した実施例5、6では、流動層S1が所定の大きさごとに区画された複数の領域の状態を検出する流動層状態検出センサとして、複数の温度センサ261を適用したが、圧力センサを適用してもよい。この場合、流動層S1における圧力が高い領域は、原炭量が多くて乾燥が遅れている領域であることから、原炭の供給量を減少させる必要がある。各圧力センサが検出した各領域の圧力に基づいて分散器131の回転速度や分散器131の高さ位置を調整してもよい。
また、上述した実施例では、乾燥容器101に一つの原炭供給装置102,201,221,241を設けたが、乾燥容器101の大きさや原炭の供給量に応じて複数設けてもよいものである。
また、上述した実施例では、分散器131,202,222,242を円錐形状としたが、角錐形状としてもよく、放射方向の傾斜面も直線に限らず、凹凸形状をなす湾曲面としてもよい。
また、上述した実施例では、乾燥容器101内を3つの乾燥室111,112,113に区画したが、2つの乾燥室または4つ以上の乾燥室としてもよい。また、乾燥容器101の形状、原炭供給装置102、乾燥炭排出口103、流動化蒸気供給部104、ガス排出口105、伝熱管106,107,108の各構成や配置は、各実施例に限定されるものではなく、流動層乾燥装置12の設置場所や用途などに応じて適宜変更が可能である。
また、上述した実施例では、原料として湿潤燃料を適用し、この湿潤燃料として低品位炭を使用したが、高品位炭であっても適用可能であり、また、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。また、原料は、湿潤燃料に限るものではない。