JP2014152469A - 貯水構造体 - Google Patents

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由実 脇田
Akira Taomoto
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Abstract

【課題】 貯留された水を効率良く利用して表面を冷却し、かつ、供給された水が多い場合に、水を溢れることを低減して、適度に排水を行うことを、両立して行うことが可能な貯水構造体を提供する。
【解決手段】 水が透過しにくい不透水層3と、不透水層の上に配置されており、液体を保持可能な保水層2と、保水層の上に配置されており、舗装材料を用いた構造物で構成されている舗装層1と、不透水層を貫通するように不透水層の下面から延びて、上面が不透水層の下面より上でかつ舗装層の上面より下の位置に配置されており、水浸入圧が不透水層より低い土壌で構成されている排水機能部4と、排水機能部の全周囲を覆いかつ不透水層又は疎水性粒子で構成されている側壁部6とを備え、不透水層の水浸入圧と、排水機能部の水浸入圧との差は、不透水層の上面の高さと、排水機能部の上面の高さの差よりも大きい貯水構造体を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、その内部に水を貯める貯水構造体に関する。
近年、ヒートアイランド現象の抑制を目的に、道路、歩道、又はビルの屋上の地表温度を抑制する機能を有する舗装構造が提案されている。特許文献1(特開2006−291706号公報)では、舗装面の高温化を防止可能な透水性ブロック及び透水性舗装を提案している。図12は特許文献1の透水性ブロックの構造を示す。透水性ブロックは、透水性材料で多孔質な形状で形成された透水体51の中に、水を貯留する貯留容器52が埋設されている。雨水などは透水体51を経て貯留容器52に保持され、保持された水によりブロック表面を湿潤に保つことで、高温化を防止する。
特許第4178525号公報
特許文献1の構成は、一旦、雨水は貯留容器に保持され、保持された水がブロック内の熱を奪って蒸気となることで、周辺温度を下げることが可能となる。しかしながら、水分の気化は、基本的には、ブロック内に埋め込まれた貯留容器内の水表面で行われるため、貯留容器から地表面までの距離が深い場合には、地表面付近での冷却効率が悪い。これを解決するために、ブロックの高さを浅くして貯留容器を表面近くに設定すると、表面が湿潤に保たれるトレードオフとして、排水性が落ちる。このため、大雨が降った際など、過剰な水が供給された場合に、舗装表面から水が溢れ出す問題が生じる。
このように、特許文献1は、貯留された限られた水を効率良く利用して表面を冷却し、かつ、供給された水が多い場合に、水を溢れることを低減して、適度に排水を行うことを、両立して行うことが困難な構造になっている。
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、貯留された水を効率良く利用して表面を冷却し、かつ、供給された水が多い場合に、水を溢れることを低減して、適度に排水を行うことを、両立して行うことが可能な貯水構造体を提供することにある。
本発明の1つの態様である貯水構造体は、水が透過しにくい不透水層と、
前記不透水層の上に配置されており、液体を保持可能な保水層と、
前記保水層の上に配置されており、舗装材料を用いた構造物で構成されている舗装層と、
前記不透水層を貫通するように前記不透水層の下面から延びて、上面が前記不透水層の下面より上でかつ前記舗装層の上面より下の位置に配置されており、水浸入圧が前記不透水層より低い土壌で構成されている排水機能部と、
前記排水機能部の全周囲を覆いかつ前記不透水層又は疎水性粒子で構成されている側壁部とを備え、
前記不透水層の水浸入圧と、前記排水機能部の水浸入圧との差は、前記不透水層の上面の高さと、前記排水機能部の上面の高さの差よりも大きい貯水構造体を提供する。
本発明の前記態様は、疎水性粒子で構成された排水機能部の上面を保水層の内部もしくは保水層の上面もしくは舗装層内部から不透水層の下面に至る間に配置することで、供給された水が少量の場合は、保水層さらに舗装層に水を保持する事が可能であり、かつ、供給水が過多な場合には、排水機能部から水を下に流すことにより、水が表層から溢れることを防止できる。よって、本貯水構造体は、供給される水量に応じて、効率良く安全に貯水が可能となる。
本発明の第1実施形態にかかる貯水構造体の縦断面図 本発明の第1実施形態の変形例にかかる貯水構造体の縦断面図 本発明の第1実施形態の別の変形例にかかる貯水構造体の縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の構築方法を説明するための縦断面図 混合砂(海砂)の混合率と水浸入圧との関係を示す表形式の図 第1実施形態にかかる貯水構造体を構築するときに使用する2つの筒状の型の斜視図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の貯水動作を説明するための縦断面図 乾燥後の水浸入圧の復元を示すため、水供給延べ回数と水浸入圧との関係を示す表形式の図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Bの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Aの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Aの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Aの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Aの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 第1実施形態の貯水構造体の図2Aの変形例の構築方法を説明するための縦断面図 本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかる貯水構造体の縦断面図 本発明の第1実施形態のさらに別の変形例にかかる貯水構造体の平面図 従来例にかかる貯水構造体の縦断面図
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、水が透過しにくい不透水層と、
前記不透水層の上に配置されており、液体を保持可能な保水層と、
前記保水層の上に配置されており、舗装材料を用いた構造物で構成されている舗装層と、
前記不透水層を貫通するように前記不透水層の下面から延びて、上面が前記不透水層の下面より上でかつ前記舗装層の上面より下の位置に配置されており、水浸入圧が前記不透水層より低い土壌で構成されている排水機能部と、
前記排水機能部の全周囲を覆いかつ前記不透水層又は疎水性粒子で構成されている側壁部とを備え、
前記不透水層の水浸入圧と、前記排水機能部の水浸入圧との差は、前記不透水層の上面の高さと、前記排水機能部の上面の高さの差よりも大きい貯水構造体を提供する。
前記構成により、液体、例えば水は、不透水層の上面を底として、排水機能部の上面の高さにさらに排水機能部の水浸入圧の高さを加えた高さに至るまで貯水することが可能であり、かつ、その高さを超えた水が供給されると、水は、排水機能部の上面から、排水機能部を通って下に流れる。水が下に流れた場合は、水面が下がるが、排水機能部の上面に至るまでの水はそのまま保持される。
よって、本発明の前記態様は、疎水性粒子で構成された排水機能部の上面を、保水層の内部もしくは保水層の上面もしくは舗装層内部から不透水層の下面に至る間に配置することで、供給された水が少量の場合は、保水層さらに舗装層に水を保持する事が可能であり、かつ、供給水が過多な場合には、排水機能部から水を下に流すことにより、水が表層から溢れることを防止できる。よって、本貯水構造体は、供給される水量に応じて、効率良く安全に貯水が可能となる。
本発明の第2態様によれば、前記排水機能部は、その一部又は全部が、水が浸透しない疎水性粒子で構成されている、第1の態様に記載の貯水構造体を提供する。
前記態様によれば、第1態様に記載した効果に加え、疎水性粒子にて構成された排水機能部の水浸入圧の高さが親水性粒子に比べて高くなるため、より、多くの水を貯水することが可能となる。
本発明の第3態様によれば、前記排水機能部の前記上面は、前記保水層の上面より上でかつ前記舗装層の上面より下の位置に配置されている、第1又は2の態様に記載の貯水構造体を提供する。
前記態様によれば、排水機能部が決壊して液体が排水機能部から下に流れる状態になったとしても、排水機能部の側壁部と不透水層に囲まれた部分の水は保持されるため、舗装層が水に常時触れることになる。従って、舗装層の表面から常に蒸発が起こり、舗装層の冷却効果が高くなる。
本発明の第4態様によれば、前記排水機能部の前記上面は、前記保水層内に配置されている、第1又は2の態様に記載の貯水構造体を提供する。
前記態様によれば、例えば、雨量の少ない際には、なるべく保水層に水を保ちながら、雨量の多い際にも水が舗装層の表面から溢れにくくする事が可能になる。
本発明の第5態様によれば、前記排水機能部の前記上面は、前記保水層の上面と同じ位置に配置されている、第1又は2の態様に記載の貯水構造体を提供する。
前記態様によれば、舗装層から常に蒸発が起こる状態を保持しやすく、かつ、雨量の多い際に水が舗装層の表面から漏れにくくすることが可能となる。
本発明の第6態様によれば、前記不透水層は撥水シートで構成されている、第1〜5のいずれか1つの態様に記載の貯水構造体を提供する。
前記態様によれば、貯水構造体全体の厚さを小さくすることができ、かつ、不透水層を形成する手間が省略できる。
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態の貯水構造体100の構成を示す。貯水構造体100は、舗装層1と、保水層2と、不透水層3と、排水機能部の一例として機能する排水孔部4とを備える。
まず、本貯水構造体100の構造について説明する。
貯水構造体100は、現地(貯水構造体100を形成すべき場所)の元々の土壌(現地土壌という)5の凹部52内に形成されている。貯水構造体100は、不透水層3と、円柱状の排水孔部4と、保水層2と、舗装層1とを備えて構成されている。不透水層3と保水層2と舗装層1とは、それぞれ層状に形成されている。以下、各部分を詳細に説明する。
<舗装層1>
舗装層1は、保水層2の上面全面及び排水孔部4の上端面を覆うように保水層2の上に形成されている。舗装層1は、外部空間に接する第1の面1aと、保水層2に接する第2の面1bとを有する。
舗装層1は、微細な径を有し、かつ、第1の面1aから第2の面1bまで貫通する多数の管(毛細管又は毛管)を有する。舗装層1の各管は、液体(例えば水)を第2の面1b側から第1の面1aに向かって移動させる機能を有する。舗装層1の各管は、いわゆる毛細管現象により液体を移動させる毛細管(毛管)である。 舗装層1の管の径(内径)は、舗装層1の厚み等に依存して、所定の範囲に含まれる大きさである必要がある。舗装層1の管の径は、
h=2Tcosθ/ρgr .....(式1)
により決まる。hは、管内での液体の液面上昇の高さ(m)である。Tは液体の表面張力(N/m)である。θは液体と管内の壁面との接触角である。ρは液体の密度(kg/m)である。rは管の内径(m)である。舗装層1は、舗装層1の厚みより液面上昇の高さ(h)が大きくなる管の径を有する。gは重力加速度である。つまり、舗装層1の管1cの内径rは、液面上昇の効果が舗装層1の厚みより大きくなるように、第1の水浸入圧(閾値)よりも小さい。また、舗装層1の管1cの内径rは、液体が通過できる程度の大きさより小さい第2の水浸入圧(閾値)よりも大きい。前記の所定の範囲は、第2の閾値よりも大きく、第1の閾値よりも小さい範囲を意味する。
つまり、舗装層1の管の径は、液面上昇の効果が舗装層1の厚みより大きくなるように、第1の閾値よりも小さい。また、舗装層1の管の径は、液体が通過できる程度の大きさより小さい第2の閾値よりも大きい。前記の所定の範囲は、第2の閾値よりも大きく、第1の閾値よりも小さい範囲を意味する。ここで、第1の閾値は、式1の液面上昇の高さhに舗装層の高さを代入した場合の内径rの値に相当する。また、第2の閾値は、たとえば液体分子の直径よりも大きいとする。具体的な例としては、水分子の場合は、径が0.38nmとなる。なお、式1も分子の直径も、液体の種類により変わる。
舗装層1が液体を第2の面1b側から第1の面1aに向かって移動させる機能を有することを確認する方法を説明する。湿潤している物体の上に、乾燥している舗装層1を配置する。所定時間経過後に、舗装層1の第1の面1aが湿潤していれば、舗装層1が、液体を第2の面1b側から第1の面1aに向かって移動させる機能を有することが確認できる。
湿潤している物体の例は、後述する、液体を含んだ保水層2である。例えば、舗装層1の材料候補となる物質を、後述する、液体を含んだ保水層2の上に配置する。30分経過後に、舗装層1の材料候補となる物質の上に、ティッシュペーパーを置く。ティッシュペーパーが濡れているのを確認できた場合には、舗装層1が、液体を第2の面1b側から第1の面1aに向かって移動させる機能を有することが確認できる。
舗装層1は、例えば、複数の粒子の集合体で構成される。舗装層1の各管の径は、粒子の径の大きさに依存すると考えることができる。舗装層1の各管は、粒子と粒子との間の間隙に相当する。舗装層1の各管の径は、粒子の粒子径と、粒子と粒子との接触の状態等とによって、決まると考えられる。ただし、粒子集合体である層の中で、十分多くの粒子数があらゆる接触状態で存在している。よって、粒子と粒子との接触状態は、管の径への影響は小さいと考えられる。したがって、舗装層1の各管の径は、粒子の径の大きさに依存すると考えることができる。
例えば、舗装層1が、砂又は礫を含む粒子の集合体で構成され、かつ、液体が水の場合、毛管(毛細管)の径は、粒子の径の大きさに依存する。
一例として、舗装層1は、0.3mm以下の粒子径を有する粒子の集合体で構成する。また、一例として、舗装層1は、0.005mm以上の粒子径を有する粒子の集合体で構成する。
粒子とは、礫、砂、シルト、及び、粘土を含む。礫とは、2mmより大きく75mm以下の粒子径を有する粒子である。砂とは、0.075mmより大きく2mm以下の粒子径を有する粒子である。シルトとは、0.005mmより大きく0.075mm以下の粒子径を有する粒子である。粘土とは、0.005mm以下の粒子径を有する粒子である。
砂で構成された舗装層1は、シルト又は粘土で形成された舗装層1よりも、透水性が高い。一例として、舗装層1は、砂で構成される。
例えば、6cmの厚みを有する舗装層は、0.005mm以上でかつ0.3mm以下の粒子径を有する粒子で構成される。式1からわかるように、舗装層1の厚みが大きいほど、舗装層1を構成する粒子は大きくても良い。
具体的な実験例として、0.005mm以上でかつ0.3mm以下の粒子を有する細砂で構成されており、かつ、6cmの厚みを有する舗装層1の候補で、実際に、確認を行った。0.1mm以上でかつ0.4mm以下の粒子径を有する粒子で構成された豊浦砂を、飽和状態に水で満たし、その上に、舗装層1の候補材料を配置した。30分経過後に、舗装層1の候補材料の上に、ティッシュペーパーを置く。すると、ティッシュペーパーが濡れているのを確認できた。よって、舗装層1の候補として、0.005mm以上でかつ0.3mm以下の粒子を有する細砂で構成されており、かつ、6cmの厚みを有する層は、舗装層1に適していると考えられる。
舗装層1は、保水層2に含まれる液体を舗装層1の第2面1bから第1面1aに移動させることにより、第1の面1aを湿潤状態に保つ。舗装層1の第1面1aから液体が蒸発することにより、舗装層1の上部の温度低下、又は、舗装層1の上部の温度上昇を低減することができる。
<保水層2>
保水層2は、不透水層3の上面全てを覆い、かつ、舗装層1と不透水層3との間に形成されている。保水層2は、複数の粒子の集合体で構成されている。保水層2の材料は、例えば、親水性を有する粒子、又は、その表面に親水性を有する材料で覆われている粒子である。本明細書において、「親水性」とは、水と結合しやすい性質、又は、水と混ざりやすい性質を意味する。
親水性を有する粒子は、例えば、金属、又は、セラミックなどで構成する粒子である。また、親水性を有する粒子は、自然界にある土又は岩石などの材料で構成する粒子も含む。
保水層2を構成する粒子の表面を親水性を有する材料で覆われている粒子は、例えば、テフロン(ポリテトラフルオロエチレンの登録商標)又はキュプラなどの高分子材料で覆われた粒子のことである。
また、保水層2は、粒子と粒子との間に空隙を有する。保水層2は、粒子と粒子との間の空隙に液体を保持することができる。本明細書において、「液体を保持する」とは、所定の容量の液体を含んだ状態で維持できることを意味する。所定の容量は、例えば、保水層2を構成する材料の親水性、及び、保水層2が有する空隙の大きさに依存する。
なお、保水層2の材料は、親水性を有する粒子、又は、その表面に親水性を有する材料で覆われている粒子を少なくとも含んでいれば、後述する疎水性の粒子を含んでいても良い。一般的に、水を保水する集合体は、体積あたり0.15gの水を保持することが求められる。すなわち、一般的に用いられる、水を保水する集合体は、15%以上の含水率を有する。一例として、第1実施形態の保水層2も、15%以上の含水率を有する。しかし、0.15g/cmより小さい保水層2でも、後述する知見に基づく効果を必ず失うわけではない。
<不透水層3>
不透水層3は、保水層2の下に形成されている。不透水層3は、水を透さない又は水を透しにくい機能を有する。不透水層3の例は、一般に、以下のようなものが例示できる。シルト層若しくは粘土層などの0.02mm以下の粒径を有する複数の粒子で構成されている層。水を通過させる通常の土壌若しくは骨材若しくはコンクリートの表面に、撥水シートなど水を透さない物体で覆った層(後述する図10の変形例を参照)。撥水処理を行った砂など疎水性粒子で形成されている層。粘土若しくはシルトなど細粒土やそれらが固まった岩盤で構成される地層。ひび割れのないコンクリートでできた層。骨材若しくはコンクリートの表面を撥水コーティングした層。又は、砂若しくは礫の表面を撥水コーティングした撥水砂若しくは撥水礫で構成される地層。
前記の不透水層3の中で、撥水砂又は撥水礫を用いる場合は、他の材料で構成される不透水層の場合と比較して、以下のメリットがある。
撥水砂又は撥水礫は、現地土壌の砂又は礫を、その場で撥水コーティング処理することで製造できる。このことから、施工の際に、嵩の高い骨材又はコンクリート又はシートを持ち込まなくても、少量のコーティング剤(例えば、1gのコーティング剤で1kgの砂を処理可能)のみを持ち込む事で、不透水層3が施工できる。また、現地に岩盤などが存在する環境でなくても、どこでも施工できる。また、骨材などの表面をコーティングする場合は、コーティングが磨耗したり剥げたりすると遮水性能を保てなくなるが、撥水砂又は撥水礫で一定の厚みの層を形成する場合には、一部が磨耗しても遮水効果が保てる。
このように一部が磨耗しても遮水効果が保てる理由は、以下の通りである。例えば、親水性の板又は壁に撥水コーティングをしただけの層では、薄いコーティング層がはげてしまうと、遮水性は無くなる。しかしながら、撥水砂の集合で層を形成する場合は、その一部が欠けても、一部が欠けた表面も、また撥水砂であるために、遮水性が保持されるからである。
疎水性粒子とは、表面が撥水処理されている粒子、又は、粒子自体が疎水性を有する粒子を含む。本明細書において、「撥水処理」とは、水を弾く性質を意味する。本明細書において、「疎水性」とは、水と結合しにくい性質、又は、水に溶けにくい性質を意味する。例えば、粒子の表面において、水滴の接触角が90°以上である粒子を言う。疎水性を有する粒子は、例えば、疎水性を有する高分子材料である。表面が撥水処理されている粒子は、例えば、クロロシラン系材料、又は、アルコキシシラン系材料などで表面を撥水処理されている粒子である。クロロシラン系材料の例は、ペプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシルトリクロロシラン、又は、ノルマルオクタデシルジメチルクロロシランである。アルコキシシラン系材料の例は、ノルマルオクタデシルトリメトキシシラン、又は、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシランである。
撥水処理されている粒子の材料は、例えば、土壌、又は、ガラスビーズである。土壌とは、無機物(一次鉱物)、コロイド状の無機物(粘土鉱物あるいは二次鉱物)、粗大有機物、又は、粗大有機物が微生物などの分解作用などによって変質して生じる有機物(腐植)などを含む。
<排水孔部4>
排水孔部4は、不透水層3の一部を貫通し、かつ、不透水層3の上面よりも上向きに突出して形成されている。排水孔部4の全周囲が、不透水層3内に位置する部分は不透水層3で覆われるとともに、不透水層3より上方に突出した部分は疎水性粒子の側壁部6で覆われている。排水孔部4自体は、例えば円柱形状などの棒状に構成されて撥水機能を有する層(部分)である。撥水機能を有する層の例は、複数の疎水性粒子で構成されている層である。
排水孔部4は、上面、下面、及び側面を有する。
排水孔部4の上面は、舗装層1の上面より低い位置にあり、かつ、不透水層3の上面より高い位置にある。詳しくは、排水孔部4の上面の位置は、不透水層3の上面以上(上面含む)であり、かつ、舗装層1の表面よりも5mm以上の下に設置する。ここで、5mmは、建造物の「段差」の条件が5mm以上の差があること、という条件から設定している。よって、建造物の「段差」の条件が5mmから変われば、舗装層1の表面よりも下である排水孔部4の上面の位置を5mmから変えてもよい。より具体的には、図1では、排水孔部4の上面は、舗装層1の下面と同じ位置に配置されている。図2Aでは、図1の変形例として、排水孔部4の上面は、舗装層1の厚さ方向の中間の位置に配置されている。図2Bでは、図1の別の変形例として、排水孔部4の上面は、保水層2の厚さ方向の中間の位置に配置されている。
排水孔部4の上面が保水層2の上面と同じか(図1参照)、又は、保水層2の上面より高い場合(図2A参照)には、排水孔部4が決壊して水が排水孔部4から下に流れる状態になったとしても、排水孔部4の側壁部6と不透水層3に囲まれた部分の水は保持されるため、舗装層1が水に常時触れることになる。従って、舗装層1の表面から常に蒸発が起こり、舗装層1の冷却効果が高くなる。
排水孔部4の上面が高ければ高いほど、水面Wが高くなる可能性があるので、排水孔部4の上面が保水層2の上面と同じ場合(図1参照)よりも、保水層2の上面より高い場合(図2A参照)の方が、舗装層1の冷却効果は高い。しかしながら、図2Aの場合は、排水孔部4が設置された上面の舗装層1の厚みは、他の部分の厚みより薄くなっているので、わざわざ厚みの違う複数種類の舗装ブロックを作って施工する必要がある。これに対して、図1では、1種類の厚みのブロック1cのみで、舗装層1を施工できる手軽さがある。
一方、排水孔部4の上面が保水層2の上面より低い(図2B参照)場合は、水面Wが舗装層1に触れていないため、図2A又は図1の場合に比べて蒸発しにくく、舗装層1の冷却効果は低下する。しかしながら、季節によって集中豪雨などが頻繁に起こり、過剰な雨水が供給されやすくなる環境においては、図2A又は図1に示したように排水孔部4の上面から舗装層1の表面までの距離が短い場合、排水孔部4から水が下に流れてしまう速度より、水が供給される速度が大きく、本発明の第1実施形態の構成であったとしても、舗装層1の表面から水が溢れ出す危険がある。前記の気候条件を有する環境においては、図2Bのように、排水孔部4の上面の位置を保水層2の上面より下に設定しておく事で、例えば、雨量の少ない際には、なるべく保水層2に水を保ちながら、雨量の多い際にも水が舗装層1の表面から溢れにくくする事が可能になる。
なお、舗装層1を省略する場合には、排水孔部4の上面は、保水層2の上面よりも低い位置にある。
排水孔部4の下面の位置は、不透水層3の下に存在する現地土壌層5の上面と同じか又は現地土壌層5の上面より下にある。言い換えれば、排水孔部4の下面の位置は、不透水層3の下面と同じか、不透水層3の下面よりも下にある。排水孔4は、舗装層1又は保水層2から現地土壌層5までを貫通する形状を有する。なお、排水孔4の形状は、円錐又は四角柱に限られず、舗装層1又は保水層2から現地土壌層5までを貫通する形状であれば良い。
なお、貯水構造体100の下に配置されている現地土壌層5は、液体が通過できる材料であれば良い。
排水孔部4の側面は、全て、不透水層3及び疎水性粒子で構成される側壁部6で覆われている。すなわち、排水孔部4と保水層2との間には、不透水層3又は疎水性粒子の側壁部6が位置することが望ましい。ただし、図2Bの排水孔部4の上面と保水層2との間には、不透水層3又は疎水性粒子は不要である。
側壁部6の厚さとしては、側壁部6をプラスチック又はコンクリートなどの土管で設置する際には、厚さは任意である。側壁部6を第1実施形態で示したように撥水砂で製造する場合には、側壁部6の厚さは5mm以上とする。これは、実験で、5mm厚の撥水砂層の遮水性が5cm厚の撥水砂と変わらなかったことを確認しているためである。
側壁部6の水浸入圧は、側壁部6を全て同じ材料で施工する場合は、不透水層3の水浸入圧と同じか、又は、それ以上であることが条件である。ただし、水が浸入する条件は、水面までの高さに依存するので、舗装層1の表面から距離が深い部分ほど、高い水浸入圧が条件となる。したがって、高さに合わせて、異なる水浸入圧を持つ材料で形成してもよい。たとえば、側壁部6を撥水砂で構成する場合には、深いところほど粒径の小さい撥水砂で形成して高い水浸入圧を確保し、浅いところは粒径の大きい撥水砂で相対的に水浸入圧が低くなるよう形成してもよい。
排水孔部4の水浸入圧は、不透水層3の水浸入圧より小さく構成している。 よって、例えば、排水孔部4の外側は、図1に示すように、排水孔部4とは異なる材料である不透水層3と同じ材料で覆われている。言い換えれば、側壁部6は、不透水層3と同じ材料で構成されている。排水孔部4自体は、全部又は一部に疎水性粒子を含む材料にて形成された疎水性粒子層であり、排水孔部4を形成する疎水性粒子層は、不透水層3の上面と排水孔部4の上面の高さの違い分以上に、不透水層3よりも水浸入圧が低いことを必須条件とする。
例えば、図1のように排水孔部4の上面が保水層2の上面と同じ高さであり、排水孔部4の下面が不透水層2の下面と同じ高さであり、保水層2の厚さがYcmであるとすると、不透水層3の水浸入圧と、排水孔部4の水浸入圧との差は、Ycm以上である必要がある。
例えば、粒子の大きさの違いが水浸入圧に影響する事を考慮して、不透水層3が粒径Xμmの疎水性粒子で構成されている場合には、排水孔部4を形成する疎水性粒子は、Ycm分だけ、水浸入圧が小さくなるように、不透水層3を構成する疎水性粒子の粒径に比べて大きい粒径で形成してもよい。あるいは、疎水性粒子のみで形成された層に比べて、疎水性粒子と親水性粒子とを混ぜて形成した層は、水浸入圧が低下する。このことを利用して、不透水層3を疎水性粒子で形成し、排水孔部4は、疎水性粒子と親水性粒子とを混ぜた混合粒子で形成することで、不透水層3と排水孔部4とに、Ycm以上の水浸入圧差を保証しても良い。
排水孔部4は、保水層2に一定の貯水量を保ちながら、過多な水が供給された際には、舗装層1の表面から水が溢れ出すことを防止するために、余分な水を不透水層3より下の土壌層5に流す。そのため、排水孔部4の下面は、不透水層3の下面に設置され、あるいは、不透水層3の下面よりも下に設置されており、排水孔部4の上面の位置は、保水層2の下面よりも高く、かつ、舗装層1の上面よりも低い範囲に設定されているものである。水が溢れ出すことを防ぐためには、排水孔部4を形成する疎水性粒子の水浸入圧がZcmであった場合、前記排水孔部4の上面の位置は、舗装層1の表面よりもZcm低い位置よりさらに下に設定する必要がある。
なお、図1に示す貯水構造体100は、舗装層1を備えるが、舗装層1を省略することも可能である。
次に、前記の貯水構造体100の構築方法を図3Aから図3Fを用いて説明する。
貯水構造体100は、例えば、現地の土壌層5の一部を除去して凹部52を形成し、その除去した部分である凹部52内に配置する。
例えば、図3Aに示すように、現地土壌層5の一部を除去した凹部52に、貯水構造体100を配置する。例えば、歩道の一部の縦5m×横5mの区間が、貯水構造体100として施工する場合、まず、施工場所の縦5m×横5mの敷地を深さ21cmだけ掘り返す。この深さは、不透水層3の厚さと保水層2の厚さと舗装層1の厚さとを合計した厚さに相当する。
例えば、不透水層3に疎水性粒子を用いる場合を記載する。具体的には、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の粒子径を有する豊浦砂を撥水処理した撥水砂を不透水層3として使用すると、この豊浦砂撥水砂の水浸入圧は約20cmである。その際に、排水孔部4の水浸入圧は、20cmから保水層2の厚みを引いた高さより大きくなる材料で形成する必要がある。ここでは、撥水処理をした海砂と撥水処理をしていない海砂とを混ぜた混合砂を排水孔部4として用いる。
海砂は粒径が0.425mm以上でかつ0.85mm以下の粒子径を有するもので、これを撥水処理した場合の水浸入圧は8cmであった。図4に、海砂の混合砂の混合率と水浸入圧との関係を示す。撥水処理後の海砂に撥水処理していない海砂を混ぜた混合砂は、混合の割合を変えることで水浸入圧が変化する。図4では、撥水処理後と撥水処理前の砂を、体積比で1:5の割合で混合した場合、水浸入圧が5cmとなった。第1実施形態における排水孔部4には、前記割合の混合砂を用いることとする。
現地土壌層5の凹部52の底面52a上に、まず、排水孔部4を構築する。掘り起こした現地土壌層5の凹部52の底面52a上に、図5に示すような貫通穴10a,11aをそれぞれ有する直径の異なる2つの筒状の型10、11を重ねて配置する(図3A参照)。内側の筒状の型10は、排水孔部4を形成するためのものである。内側の筒状の型10の外側に配置される外側の筒状の型11は、側壁部6を形成するためのものである。筒状の型10、11として、例えば、直径15cmの排水孔部4を配置する場合には、小さい筒状型10の直径は15cmとし、大きい方の筒状型11の直径20cmとし、どちらも高さ15cmの円筒の筒とする。円筒の筒状型10,11の各厚さは、薄ければ薄いほど、型を抜いた後の隙間が薄くなるので好都合であり、例えば、折り曲げて円筒を形成できる薄さとして1mmの厚さでも良い。排水孔部用の筒状型10及び側壁部用の筒状型11は、材質は問わないが、たとえばプラスチックで製造したものでもよい。
掘り起こした地面すなわち凹部52の底面52aの上の、排水孔部4を形成すべき箇所に、筒状型10を筒状型11内に挿入した状態で置き、排水孔部4用として、筒状型10の中に海砂の混合砂を筒の高さ15cmまで入れる。また、排水孔部用の型10と側壁部用の型11との隙間には、側壁部6用として、豊浦砂による撥水砂を同じく15cm入れる(図3B参照)。
次いで、掘り起こした地面すなわち凹部52の底面52aのうちの、排水孔部4用の型10及び側壁部用の型11を配置した部分以外の部分には、先の豊浦砂による撥水砂を、5cmの高さまで配置して不透水層3を形成する(図3C参照)。
次いで、不透水層3の上面の全面に、排水孔部4用の筒状型10及び側壁部用の型11と同じ高さになるまで、保水層2を形成する。具体的には、たとえば、撥水処理する前の豊浦砂で、保水層2を形成しても良い。(図3D参照)。
次いで、不透水層3と保水層2とを形成した後、排水孔部4と不透水層3と保水層2との境界にある排水孔部4用の型10と側壁部6用の型11とをそれぞれ抜き取り(図3E参照)、保水層2の上面及び排水孔部4の上面の全面に、舗装層1を形成する(図3F参照)。例えば、舗装層1は、6cmの厚みを有するブロック1cで形成するとする。各ブロック1cは、一例として、上面から底面まで貫通する微細な径を有する多数の管を有し、微細な径の管に存在する液体が、舗装下面から舗装上面の方向に、上昇する機能を有する。舗装層1は、保水層2に含まれる液体、又は、舗装層1の内部に含まれる液体を、舗装層1の表面に吸い上げ、舗装層1の表面に吸い上げられた液体は蒸発する。
次に、前記の貯水構造体100に水が供給された場合の構造体100の貯水の振る舞いについて、図6Aから図6Fを用いて説明する。
集中豪雨又はゲリラ豪雨により、貯水構造体100に雨水が供給される例を説明する。ここでは、貯水構造体100が保持可能な容量を超える量の雨水が供給されることにより、排水孔部4から雨水を通過する例を説明する。図6Aから図6Fは、時系列の変化を示している。
舗装層1に供給された雨水は、舗装層1を通過し、保水層2で保持される。さらに雨水が供給されると、保水層2が飽和し、舗装層1まで水面Wが上昇する(図6A参照)。
水は不透水層3の水浸入圧あるいは排水孔部4の水浸入圧を超えるまで舗装層1に保持されるが、前記どちらかの水浸入圧を超えると、不透水層3又は排水孔部4が水を下に通す。前記貯水構造体100の構築方法で述べた仕様であった場合、排水孔部4の水浸入圧は5cmであり、不透水層3の水浸入圧は20cmであるので、水面が舗装層1の5cmを超えたところで、先に排水孔部4が水圧に耐え切れず水13を下に通す(図6B参照)。排水孔部4が水を通した後、舗装層1の5cmの高さまで貯まっていた水は、排水孔部4を通って、排水孔部4の下の現地土壌層5に流れる。
現地土壌層5に水13が流れることにより、供給された水との関係に依存して、舗装層1に水が貯まる速度が低下する。あるいは、水面Wが下がり始める。(図6C参照)。
水面Wが水浸入圧以下になっても、排水孔部4から連続して水13が排水される場合、排水孔部4から下部への排水は止まらない。水面Wはさらに低下し、排水孔部4の上面に至るまで排水は継続する。図1の貯水構造体100の場合は、排水孔部4の上面は保水層2の上面と同じ高さであるため、保水層2に水を保持したまま、排水孔部4からの水の流出は止まる(図6D参照)。
排水孔部4を流れる水13が一旦止まっても、排水孔部4の中で水13が流れた経路に相当する部分(以下、「水道」とも表記する)に水13が残っている間は、再度、水が排水孔部4に供給されると水が通過しやすい状態になっている。つまり、この状態で舗装層1に水を供給しても、供給した舗装層1に貯水されず、排水孔部4より排出される可能性がある(図6E参照)。
しかしながら、排水孔部4の水道部分が乾燥すれば、排水孔部4は従来の水浸入圧を保持する状態となり、舗装層1に水を貯水する事が可能となる。保水層2に貯えられた水により、表面を湿潤に保ちながら、排水孔部4を構成する撥水砂層が乾くのを待って、再び貯水するしくみである。
排水孔部4が乾燥するに費やされる時間と、保水層2に表面に水を供給するに足る水量下限値に至る時間との関係で、前者が早ければ、水を再度供給する事で、表面は常に湿潤を保つ事となる。
排水孔部4の撥水砂が乾燥すると、従来の水浸入圧を保つことを、実験的に確認した。図7は、同じ撥水砂層に、水の供給と乾燥とを何度も繰り返した場合の水浸入圧の変化を示す図である。水の供給と乾燥とを繰り返した場合の、水の供給繰り返し回数と繰り返し後の水浸入圧との関係を示している。50回経過した後の水浸入圧は、2回目以降の水浸入圧を保っている事がわかる。
したがって、図1に示した貯水構造体100においても、決壊部分が乾燥すると、排水孔部4は、水を貯めることができる。(図6F参照)
図1に示した貯水構造体100は、排水孔部4の上面は保水層2の上面と高さが同じ場合で説明をしている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、変形例にかかる貯水構造体100Aとして、排水孔部4の上面は図2Aに示すように舗装層1の内部まで延ばしても良いし、さらに、別の変形例にかかる貯水構造体100Bとして、図2Bに示すように保水層2の内部まで縮めても良い。
図2Aのように、排水孔部4の上面が舗装層1の内部にまで延びている場合は、不透水層3から排水孔部4の上面までの間は、水が流出することがないため、保証される貯水量は多く、従って、舗装層1の表面に水を吸い上げやすい条件となり、舗装層1の表面は常に湿潤を保ちやすくなる。しかしながら、排水孔部4の水浸入圧を低く設計しておく必要があるため、供給水が少量の段階で水を通してしまうため、貯水速度が低下する可能性がある。反対に、図2Bに示した排水孔部4の上面を保水層2の内部にまで縮めた場合は、排水孔部4自身も一定水圧までは水を通さない遮水機能が保証されるため、排水孔部4の上面までは早く貯水することが可能である。しかしながら、過多な水が供給されて排水孔部4から水が流れてしまった後は、排水孔部4の上面が低いために、再び排水孔部4が乾燥するまで、舗装層1の表面に水を吸い上げにくくなる欠点もある。
よって、これらの貯水構造体100,100A,100Bの設計は、現地の降雨量又は日照のなどの気候条件、又は、貯水構造体100,100A,100Bを形成する材料条件(不透水層3と、保水層2と、舗装層1と、排水孔部4とを構成する材料の条件など)により、最適な貯水量を計算した上で、排水孔部4の上面位置を選択すればよい。
また、第1実施形態では、排水孔部4は、撥水処理後の砂と撥水処理前の砂とを混合した砂で構成されている例を述べたが、排水孔部4の上面の高さと不透水層3の上面の高さとの差分よりも、不透水層4の水浸入圧と排水孔部4の水浸入圧との差が大きいことを保証さえできれば、前記のような混合砂でなくてもよい。例えば、粒径が不透水層を形成する疎水性粒子よりも、粒径の大きい疎水性粒子で排水孔部4を形成しても良い。
第1実施形態の貯水構造体100(貯水構造体100A,100Bも同様。)によれば、疎水性粒子で構成された排水孔部4の上面を、保水層2の内部もしくは保水層2の上面もしくは舗装層1内部から不透水層3の下面に至る間に配置することで、供給された水が少量の場合は、保水層2さらに舗装層1に水を保持する事が可能であり、かつ、供給水が過多な場合には、排水孔部4から水を下に流すことにより、水が表層から溢れることを防止できる。よって、本貯水構造体100,100A,100Bは、供給される水量に応じて、効率良く安全に貯水が可能となる。
従って、第1実施形態の貯水構造体100(貯水構造体100A,100Bも同様。)は、一定以下の量の液体(例えば水)が供給された場合、保水層2と舗装層1とに液体を保持することにより、舗装層1の表面を湿潤状態に保つことが可能となる。一定以上の液体が供給された場合、排水孔部4が液体を下に通すため、過多な液体が供給されることにより、舗装層1の表面から他の部分に液体が溢れたり、貯水構造体100の強度が落ちたりする問題を防ぐことができる。さらにこの場合でも、排水孔部4の上面より液面は下がらないため、一定量の液体は常に保持できる。
さらに、排水孔部4を設置することで、決壊場所を排水孔部4に意図的に指定することができる。これにより、決壊場所を乾燥させる場合、又は、雨量が想定よりも多い気候変動などで貯水量を調整する必要性が生じた場合などに、不透水層全体を乾燥させる手間も時間も必要はなく、排水孔部4のみを部分的に乾燥したり、排水孔部4を形成している撥水砂条件(たとえば粒子径、又は、撥水していない砂との混合率など)のみを変更することで、計画した量の水を簡易に貯水することが可能となる。
前記図2Bに示す貯水構造体100Bのように、排水孔部4の上面は、保水層2の厚さ方向の中間の位置に配置されている場合の貯水構造体100Bの構築方法について、図8A〜図8Fを参照しつつ、以下に説明する。
図8Aに示すように、まず、現地土壌層5の一部を掘り起こして縦5m×横5mの土壌層5の凹部52を形成する。そして、凹部52の底面52a上に、図3Aと同様に排水孔部用の型10及び側壁部用の型11を置き、その中に、海砂の混合砂と撥水砂とをそれぞれ詰める。手順は、図3Aと同じであるが、図5に示す排水孔部用型10及び側壁部用の型11はそれぞれ高さ15cmであったが、それぞれ、それらの高さよりも高い、例えば17cmの高さのものを使用している。
次に、底面52aのうちの、排水孔部4用の型10及び側壁部用の型11を配置した部分以外の部分には、不透水層3を、例えば3cmの高さで形成する(図8B参照)。
次いで、不透水層3の上面の全面に、排水孔部4用の筒状型10及び側壁部用の型11と同じ高さになるまで、すなわち、排水孔部4の上面の高さまで、保水層2を形成する(図8C参照)。
次いで、排水孔部4用の型10と側壁部6用の型11とをそれぞれ抜き取る(図8D参照)。次いで、排水孔部4及び側壁部6の上及び先に形成された保水層2の上に、さらに例えば2cm分だけ、保水層2を形成する(図8E参照)。
次いで、その保水層2の上面の全面に舗装層1を形成する(図8F参照)。
この結果、図2Bに示す貯水構造体100Bを構築することができる。
また、前記図2Aに示す貯水構造体100Aのように、排水孔部4の上面は、舗装層1の厚さ方向の中間の位置に配置されている場合の貯水構造体100Aの構築方法について、図9A〜図9Eを参照しつつ、以下に説明する。
まず、予め、いくつかの高さ6cmの舗装ブロック1cを半分の高さに切っておく。さらに、図9Aに示すように、現地土壌層5の一部を掘り起こして縦5m×横5mの土壌層5の凹部52を形成する。そして、凹部52の底面52a上に、高さ18cm、一辺20cmの四角形状の側壁部用型11と、一辺15cmの排水孔部用型10とを互いに重ねて配置し、図3Aと同様に、海砂の混合砂と撥水砂とをそれぞれ入れて、排水孔部4及び側壁部6とを形成する(図9A参照)。
次いで、その周りに、すなわち、底面52aのうちの、排水孔部4用の型10及び側壁部用の型11を配置した部分以外の部分には、高さ5cmの不透水層3と高さ10cmの保水層2とを順に形成する(図9B参照)。
その後、排水孔部4の周りには、高さ6cmの舗装ブロック1cを配置する(図9C参照)。
配置後、排水孔部用型10及び側壁部用型11を抜き取る(図9D参照)。
次いで、排水孔部4及び側壁部6の上に、舗装層1の表面の高さを合わせるように、半分の高さに切り取られたブロック1dを配置する(図9E参照)。この際の側壁部6を形成する撥水砂の水浸入圧は、2.5cm未満である事が望ましく、例えば、図4に示したように、通常砂と撥水砂とを1:3の割合で混合して、2cmの水浸入圧にした材料を、排水孔部4として用いるとよい。
この結果、図2Aに示す貯水構造体100Aを構築することができる。
また、前記実施形態のさらに別の変形例として、不透水層3を形成する代わりに、遮水シート20を用いる貯水構造体100Cの場合について図10を参照しながら説明する。
図10では、現地土壌層5の上に、直接、遮水シート20を、貯水構造体100の構築すべき箇所の全面に配置している。排水孔部4及び側壁部6の下端は、それぞれ、遮水シート20を貫通しているが、少なくとも、排水孔部4の下端が遮水シート20を貫通しておればよい。
このような構成にすれば、貯水構造体100の全体の厚さを小さくすることができ、かつ、不透水層3を形成する手間が省略できる。
また、貯水構造体100は、図3Fなどに示すように、例えば、現地土壌層5に周囲を囲まれた状態で配置されているが、これに限られるものではなく、図11に実線及び図1に一点鎖線に示すように、貯水構造体100の全ての側面を枠62で囲むようにしても良い。なお、図11は、舗装層1を取り除いた状態での平面図である。
枠62は、現地土壌層5で構成してもよいし、代わりに、現地土壌層5以外の材料、例えば木材などで構成してもよい。すなわち、貯水構造体100の側面に形成されている現地土壌層5又は枠62は、液体又は気体が通過できる物質でも、液体又は気体が通過できない物質でも良い。少なくとも貯水構造体100の底面及び側面の一部を囲う物質があれば良い。
また、枠62から液体が漏れないよう、保水層2及び不透水層3と、枠62との隙間に、撥水砂を詰めて外枠用不透水層61とし、貯水された水が枠62から外に漏れないようにしてもよい。この隙間に撥水砂を詰めて外枠用不透水層61を形成する際には、撥水砂を袋に詰め、撥水砂が詰まった袋を隙間に詰めてもよい。このようにすることで、撥水砂がブロックの隙間から漏れず、施工が簡素になる利点がある。ただし、撥水砂を隙間に詰めた場合でも、撥水砂を詰めない場合でも、貯水構造体100の効果は同様に得られる。
なお、本発明を第1実施形態及び変形例に基づいて説明してきたが、本発明は、前記の第1実施形態及び変形例に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる貯水構造体は、貯留された水を効率良く利用して表面を冷却し、かつ、供給された水が多い場合に、水を溢れることを低減して、適度に排水を行うことを、両立して行うことが可能なすぐれた効果を有し、ヒートアイランド現象の抑制を目的に、道路、歩道、又はビルの屋上の地表温度を抑制する機能を有する舗装構造等として有用である。
1 舗装層
1a 第1の面
1b 第2の面
1c ブロック
2 保水層
3 不透水層
4 排水孔部
5 土壌層
6 側壁部
10 排水孔部用筒状型
10a 貫通穴
11 側壁部用筒状型
11a 貫通穴
13 水
20 撥水シート
52 凹部
52a 底面
61 外枠用不透水層
62 枠
100,100A,100B,100C 貯水構造体

Claims (6)

  1. 水が透過しにくい不透水層と、
    前記不透水層の上に配置されており、液体を保持可能な保水層と、
    前記保水層の上に配置されており、舗装材料を用いた構造物で構成されている舗装層と、
    前記不透水層を貫通するように前記不透水層の下面から延びて、上面が前記不透水層の下面より上でかつ前記舗装層の上面より下の位置に配置されており、水浸入圧が前記不透水層より低い土壌で構成されている排水機能部と、
    前記排水機能部の全周囲を覆いかつ前記不透水層又は疎水性粒子で構成されている側壁部とを備え、
    前記不透水層の水浸入圧と、前記排水機能部の水浸入圧との差は、前記不透水層の上面の高さと、前記排水機能部の上面の高さの差よりも大きい貯水構造体。
  2. 前記排水機能部は、その一部又は全部が、水が浸透しない疎水性粒子で構成されている、請求項1に記載の貯水構造体。
  3. 前記排水機能部の前記上面は、前記保水層の上面より上でかつ前記舗装層の上面より下の位置に配置されている、請求項1又は2に記載の貯水構造体。
  4. 前記排水機能部の前記上面は、前記保水層内に配置されている、請求項1又は2に記載の貯水構造体。
  5. 前記排水機能部の前記上面は、前記保水層の上面と同じ位置に配置されている、請求項1又は2に記載の貯水構造体。
  6. 前記不透水層は撥水シートで構成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の貯水構造体。
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JP7090965B1 (ja) * 2022-04-18 2022-06-27 日本建設技術株式会社 透保水性舗装構造およびその工法

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