JP2014149920A - ガス電界電離イオン源、および走査イオン顕微鏡 - Google Patents

ガス電界電離イオン源、および走査イオン顕微鏡 Download PDF

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義実 川浪
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、イオンビームの電流が長期間安定な走査イオン顕微鏡を提供することに関する。
【解決手段】
本発明では、ガス電界電離イオン源およびこれを用いた走査イオン顕微鏡において、エミッタ電極の近傍と同じガス圧の空間に、エミッタ電極に対して相対的に低い温度に制御した構造物を備える。好ましくは、その温度を60K以下に制御する。また、装置の稼働時間やまたはイオンビーム電流の不安定さを判断基準として、イオン源の動作を停止して、前記構造物の温度を所定時間、所定の温度差だけ高める制御を行う。
本発明によれば、イオンビームの電流が長期間安定になるため、試料像に余分なノイズの入ることが減り、定量的な測定、加工や分析の精度が向上する。また、エミッタ電極の破壊を未然に防止できるため、その修復(再生または交換)作業が減らせ、装置稼働率が向上する。

【選択図】図1

Description

本発明は、ガス電界電離イオン源、および走査イオン顕微鏡、ならびにこれらから派生するイオンビーム応用装置に関する。
特許文献1及び2には、エミッタ電極の先端に微小突起を持つ高輝度なガス電解電離イオン源(Gas Field Ionization Ion Source、略称:GFIS)が記載されている。また、これを搭載して、水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)などのガスイオンのビームを形成する集束イオンビーム(Focused Ion Beam、略称:FIB)装置が記載されている。これらのガス集束イオンビーム(略称:ガスFIB)は、現在よく使われている液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source、略称:LMIS)からのガリウム(Ga:金属)集束イオンビーム(略称:Ga−FIB)とは異なり、試料にGa汚染をもたらさないという利点がある。加えて、GFISは、ここから引出したガスイオンのエネルギー幅が狭いこと、およびイオン発生源サイズが小さいことから、Ga−FIBと較べ、より微細なビームが形成できる。
これらのガスFIB装置は、高分解能の走査イオン顕微鏡として用いられる。すなわち、試料上でのイオンの走査と同期して、試料から放出される二次粒子を検出することにより試料の像を形成する。
特許文献3には、GFISにおいて、エミッタ電極の先端部の温度とガス供給部のガス放出口部分の温度を個別に制御することが記載されている。
特開平7−192669号公報 特表2009−517846号公報 特開2011−86465号公報
本願発明者が、ガス電解電離イオン源の安定稼動について鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
ガス電界電離イオン源を用いた走査イオン顕微鏡では、稼働を続けるにしたがってイオンビーム電流の不安定さが増す。このイオンビーム電流の不安定さがさらに増すと、エミッタ電極先端が破壊して突然イオンビーム電流がゼロ近くに低下する状況も発生する。
イオンビームのどのような応用においても、その電流の時間的な安定性の確保が、最重要の課題である。本願発明者のこれまでの研究によって、次のことが分かった。すなわち、エミッタ電極からのイオン放出の安定性は、イオン化すべきガスに含まれる不純物ガスの存在量に最も影響される。この不純物ガスの大部分は、イオン化すべきガスの導入によって、エミッタ電極や引出電極などが配置されている真空容器内の種々の壁から発生している。この不純物ガスは、エミッタ電極の温度を60K以下に冷却すると急激に吸着量が増加して、エミッタ電極の電界顕微鏡(Field Ion Microscope、略称:FIM)像の輝点明滅を発生させる。さらに、この不純物ガスの量が多いとエミッタ電極の先端の原子の電界蒸発を誘発して、特にエミッタ電極の先端が原子レベルで先鋭化されている場合には、この寿命が短くなってしまう。
従来のガス電界電離イオン源では、イオンビームの電流を増やすために、イオン化すべきガスの圧力を高める構造を採用している。すなわち、エミッタ電極先端から離間した位置に配置されている引出電極の中心にある小さな開口を作動排気口として、エミッタ電極を小部屋に閉じ込め、且つ、こららを均一な温度とするのが一般的である。この場合、イオン化すべきガスが小部屋の壁から放出させる不純物ガスを減らす手段が無い。さらに、イオンビームの電流を増やすためにエミッタ電極の温度を低下させると、イオン放出の安定性が低下するため、低温動作に限界が生じる。
本発明の目的は、イオンビームの電流が長期間安定な走査イオン顕微鏡を提供することに関する。
本発明では、ガス電界電離イオン源およびこれを用いた走査イオン顕微鏡において、エミッタ電極の近傍と同じガス圧の空間に、エミッタ電極に対して相対的に低い温度に制御した構造物を備える。好ましくは、その温度を60K以下に制御する。また、装置の稼働時間やまたはイオンビーム電流の不安定さを判断基準として、イオン源の動作を停止して、前記構造物の温度を所定時間、所定の温度差だけ高める制御を行う。
本発明によれば、イオンビームの電流が長期間安定になるため、試料像に余分なノイズの入ることが減り、定量的な測定、加工や分析の精度が向上する。また、エミッタ電極の破壊を未然に防止できるため、その修復(再生または交換)作業が減らせ、装置稼働率が向上する。
実施例1にかかるガス電界電離イオン源の全体構成図である。 実施例2にかかるガス電界電離イオン源の全体構成図である。 実施例3にかかる走査イオン顕微鏡の全体構成図である。
実施例にかかるガス電界電離イオン源では、エミッタ電極の近傍のガス圧力を高めるような作動排気構造を作らずに、不純物ガス自体の発生量を低下させている。ここで、エミッタ電極の温度を低下させることにより、イオンビームの電流の低下をカバーしている。また、エミッタ電極と同じガス圧の空間にエミッタ電極に対して相対的に低い温度に制御した構造物を設置して、そのクライオ効果によって、エミッタ電極に吸着する不純物ガスの量を減らしている。
実施例では、針状の先端を持つエミッタ電極と、エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、エミッタ電極と引出電極との間に引出電圧を印加してエミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を備えるガス電界電離イオン源において、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、エミッタ電極とは熱的に絶縁されている低温構造物を備え、イオン放出時に低温構造物の温度をエミッタ電極より低くする制御を行うことを開示する。
また、実施例では、針状の先端を持つエミッタ電極と、エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、エミッタ電極と引出電極との間に引出電圧を印加してエミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を備えるガス電界電離イオン源において、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、エミッタ電極を冷却する冷却構造物と、冷却構造物とエミッタ電極とを熱的に接続する接続構造物と、接続構造物のエミッタ電極側部またはエミッタ電極を加熱する手段とを備え、イオン放出時にエミッタ電極の温度を冷却構造物より高くする制御を行うことを開示する。
また、実施例では、針状の先端を持つエミッタ電極と、エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、エミッタ電極と引出電極との間に引出電圧を印加してエミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を有備えるガス電界電離イオン源において、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、エミッタ電極とは独立に温度制御可能な低温構造物を備え、イオン放出時に低温構造物の温度をエミッタ電極より低くする制御を行うことを開示する。
また、実施例では、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時に60K以下に制御することを開示する。
また、実施例では、ガス電界電離イオン源を備える走査イオン顕微鏡において、ガス電界電離イオン源の稼働時間の長さを判断して、電界電離イオン源のイオン放出を停止させ、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時より高くする制御を行うことを開示する。
また、実施例では、ガス電界電離イオン源を備える走査イオン顕微鏡において、イオンビームの電流の安定性低下を判断して、電界電離イオン源のイオン放出を停止させ、エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時より高くする制御を行うことを開示する。
以下、上記およびその他の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。なお、図面はもっぱら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を限縮するものではない。
図1に、本実施例にかかるガス電界電離イオン源の全体構成図を示す。ガス電界電離イオン源100の中心部分は、先端が針状のエミッタ電極1と、その先端から離間した位置に配置された、中心に開口を持つ引出電極2である。これらは真空容器10の中に保持されている。エミッタ電極1の先端近傍には、イオン化すべきガスがガス供給口3から供給されている。このガスの圧力は、ガス供給系30からの供給量と、作動排気口12および排気系11からの排出量のバランスにより調整されている。エミッタ電極1と引出電極2の間に、エミッタ電極1側を正とする高電圧を印加すると、ある閾値以上でガスのイオン化が起こり、エミッタ電極1の先端からイオンビーム4が放出される。なお、図示はされていないが、ガス電解電離イオン源には、エミッタ電極1や引出電極2の保持部、微動機構部、高電圧印加部、高電圧絶縁部、および熱絶縁部なども存在する。
本実施例のガス電界電離イオン源では、エミッタ電極1を冷却するのは、冷凍機の第1冷却ステージ5である。第1冷却ステージ5からエミッタ電極1までは、熱伝導性の非常に高い構造物で熱的に接続されてほぼ同じ温度に保たれている。すなわち、銅の網線で作られた熱接続体22−1、銅で作られた円筒状の熱シールド25、熱接続体22−2、銅ブロックで作られたエミッタ支持体20、良熱伝導性かつ電気絶縁性のセラミクスで作られたエミッタホルダ21、エミッタ電極1のベースの順に熱的に接続されている。本実施例で特徴的な点は、エミッタ電極1の近傍と同じガス圧の空間(真空容器10の内部空間)に、冷凍機の第2冷却ステージ6を設け、その温度をイオンビーム4の放出中に第1冷却ステージ5の温度、すなわちエミッタ電極1の温度より低温に保つことである。このガス空間で発生する不純物ガスを、最も低い温度に保たれる第2冷却ステージ6にトラップさせることにより、エミッタ電極1でのイオン放出を安定化させている。
なお、通電加熱型のヒータ40およびヒータ50は、それぞれ前記の第2冷却ステージ6の温度およびエミッタ電極1の温度を独立に調整するために設けられている。各冷却ステージの温度を真空容器10の外側で十分に調整できる装置構成とすれば、これらのヒータを用いなくても良い。
本実施例のエミッタ電極1としては、針状に成形したタングステン(W)の基材にイリジウム(Ir)をコートして、アニールにより先端に三角錐状のナノピラミッド構造を形成したものを用いている。エミッタ電極1の最先端は、単原子(Single Atom)である。また、イオン化すべきガスとしては、クリプトン(Kr)を用いている。イオン放出を行っている際、エミッタ電極1の温度は、クリプトンの沸点より若干低い約100Kに保たれており、イオンビーム4の電流を高めている。第2冷却ステージ6は、ヒータ40を調整して約60Kから50Kに保たれており、不純物ガスをトラップしている。クリプトンは、この程度の低温でも高い蒸気圧を持っているため、エミッタ電極1へのガス供給がとまることは無い。さらに、ガス供給口3は、エミッタ電極1とほぼ同温度の熱シールド25に接続されており、第2冷却ステージ6をこの熱シールド25より外側の遠い位置においたことによっても、ガス供給の安定性がもたらされている。
クリプトンのような重いガスは不純物ガスをより多く発生するため、安定なイオン放出を得にくい課題があった。しかし、本実施例では、その不純物ガスの影響を軽減して、イオンビームの電流を安定化することができた。クリプトンのような重いイオンはスパッタ効果が高いため、試料の加工に向いており、上記のイオン放出安定化により、ガス電界電離イオン源を、長時間のイオン照射が必要な加工応用に実用可能となった。
図2に、本実施例にかかるガス電界電離イオン源の全体構成図を示す。本実施例のガス電界電離イオン源100‘の基本的構成と動作は、イオン放出に関わる主要部分において、図1に示した実施例1とほぼ同じである。
本実施例でも、エミッタ電極1と同じガス圧の空間にエミッタ電極1に対して相対的に低い温度に制御した構造物を設置して、そのクライオ効果によって、エミッタ電極1に吸着する不純物ガスの量を減らしている。実施例1と異なるのは、具体的な低温構造物の設置方法である。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
本実施例において、エミッタ電極1を冷却するのは、冷凍機の第2冷却ステージ6である。第2冷却ステージ6からエミッタ電極1までは、熱伝導性の非常に高い構造物で熱的に接続されている。すなわち、銅の網線で作られた熱接続体22、銅ブロックで作られたエミッタ支持体20、良熱伝導性かつ電気絶縁性のセラミクスで作られたエミッタホルダ21、エミッタ電極1のベースの順に熱的に接続されている。本実施例で特徴的な点は、エミッタ支持体20に取り付けられている通電加熱型のヒータ41によって、イオンビーム4の放出中に、エミッタ電極1の温度を第2冷却ステージ6の温度より相対的に高く制御していることである。エミッタ電極1の近傍と同じガス圧の空間(真空容器10の内部空間)で発生する不純物ガスを、最も低い温度に保たれている第2冷却ステージ6にトラップさせることにより、エミッタ電極1でのイオン放出を安定化させている。
ここで、冷凍機の第1冷却ステージ5について説明する。第1冷却ステージ5は、第2冷却ステージ6より高い温度に保たれており、熱接続体26で接続されている熱シールド25を冷却している。熱シールド25は、エミッタ電極1へ入る輻射熱を一部ブロックしている。これによりエミッタ電極1が低温に保たれやすくなっている。また、通電加熱型のヒータ40およびヒータ50は、それぞれ前記の第2冷却ステージ6の温度および熱シールド25の温度を独立に調整するために設けられている。各冷却ステージの温度を真空容器10の外側で十分に調整できる装置構成をとすれば、これらのヒータを用いなくても良い。
本実施例のエミッタ電極1は、第1の実施例と同じで、その最先端が単原子(Single Atom)である。イオン化すべきガスとしては、ヘリウム(He)を用いている。イオン放出を行っている際、エミッタ電極1の温度は約40Kに保たれており、イオンビーム4の電流を高めている。第2冷却ステージ6は、約20Kに保たれており、不純物ガスをトラップしている。20K程度の温度差があれば選択的なトラップがおこる。ヒータ41は、この温度差を維持するように制御する。熱接続体22には、エミッタ電極1などに入る輻射熱も流れるので、ヒータ41で発生が必要な熱量は小さい。
ヘリウムはイオン化に必要な電界が高いため、イオン放出中に不純物ガスの影響でエミッタ電極1の先端の原子レベルの突起が電界蒸発しやすい(すなわち破壊されやすい)課題があった。本実施例では、エミッタ電極1への不純物ガスの影響を軽減した。本実施例のエミッタ電極1の先端単原子を再生するには数時間を要するが、この作業の頻度が大幅に減少した。これにより、ガス電界電離イオン源を用いた装置の稼働率が向上した。
なお、本実施例では、エミッタ電極1の温度を第2冷却ステージ6の温度に対して一定量高くするためにヒータ41を用いているが、エミッタ電極1のベース部のフィラメントに通電加熱することにより代替えすることもできる。
図3に、本実施例にかかる走査イオン顕微鏡の全体構成図を示す。走査イオン顕微鏡200の基本構成は、ガリウム液体金属イオン源(Ga−LMIS)用に製作された最大加速電圧40kVの集束イオンビーム(FIB)装置と同じであり、イオン源部を実施例1で説明したガス電界電離イオン源100へ入れ替えたものである。以下、実施例1〜2との相違点を中心に説明する。
走査イオン顕微鏡200では、ガス電界電離イオン源100から放出されたKrのイオンビーム4をイオン光学系300に入射させる。このイオン光学系300によって加速と集束ならびに偏向されたイオンビーム4は、試料ステージ101に載置された試料8上に照射される。イオンビーム4の照射により試料8から発生した二次電子9は、二次電子検出器104で検出される。なお、イオンビーム4の通過領域は基本的に真空排気がなされている。
イオン光学系300のうち、イオンビーム5の加速、集束、軸調整、および開き角制限に関わる部分は、レンズ系制御部105で制御される。また、イオン光学系300のうち、イオンビーム4の試料8上での偏向と走査に関わる部分は、偏向系制御部106で制御される。画像処理部110は、二次電子検出器104からの二次電子9の強度信号と偏向系制御部106の走査信号を対応させて二次電子観察像を形成する。
顕微鏡制御部120は、イオン源制御部90、レンズ系制御部105、偏向系制御部106、および画像処理部110を含む走査イオン顕微鏡200全体を制御するとともに、他の機器やユーザからの入出力も制御する。たとえば、顕微鏡制御系120は、画像処理部110から二次電子観察像を読みだし、図示しない画面上に表示する。顕微鏡制御系120は、偏向系駆動部106を制御して、この画面上でユーザが指定した位置へイオンビーム4を照射させることができる。
本実施例の顕微鏡制御部120は、ガス電界電離イオン源100の稼働時間、すなわちイオン放出時間をモニタして記憶している。また、定期的に(例えば一分間隔で)イオンビーム4の電流をモニタして記憶している。ここで、イオンビーム4の電流は、例えばイオン光学系300内でブランキング偏向した先に設置されているファラデーカップで測定できる。さらに、顕微鏡制御部120は、モニタしたイオンビーム4の電流の変化からイオン放出の安定性低下の度合いを計算する機能を備えている。
本実施例で特徴的な点は、顕微鏡制御部120が、ガス電界電離イオン源100の稼働時間の長さ、またはイオンビーム電流の安定性低下のレベルを判断して、ガス電界電離イオン源100のイオン放出を停止させ、さらにガス電界電離イオン源100のエミッタ電極1と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時より高くすることである。最低温の構造物に不純物ガスが多量に蓄積するとトラップ効果が弱くなり、エミッタ電極1からのイオン放出が不安定化することへの対処として、不純物ガスを加熱除去して活性化するのである。基本的には、不安定化がおきる前に一定時間毎に処理を行うが、モニタしているイオンビーム電流の不安定化を検出したら、その時点で処理を行う。
図1を用いて、この処理を説明する。ガス電界電離イオン源100の最低温の構造物は、冷凍機の第2冷却ステージ6である。その温度は、(Kr)イオン放出時に50Kから60Kに保たれており、不純物ガスをトラップしている。この部分の温度をヒータ40により20Kほど上げると、トラップされていた不純物ガスの大部分がリリースされ、排気系11および作動排気口12から放出される。
ここで、顕微鏡制御部120には、この処理を事前にユーザへ告知するようなルーチンを組み込んでおくのが望ましい。また、イオンビーム4を使った自動的な作業プログラムには、予めこれに対応する非常処理ルーチンを組み込んでおくのが望ましい。また、再稼働可能となった処理後は、ユーザに次の動作を判断させるようなルーチンを組み込んでおくのが望ましい。
本実施例によれば、イオン放出の不安定化を未然に防止でき、発生した不安定化を除去することができるので、イオン顕微鏡を用いた加工などの長時間作業の自動化が可能となる。
1:エミッタ電極、2:引出電極、3:ガス供給口、4:イオンビーム、5:第1冷却ステージ、6:第2冷却ステージ、8:試料、9:二次電子、10:真空容器、11:排気系、12:作動排気口、20:エミッタ支持体、21:エミッタホルダ、22、22−1、22−2:熱接続体、25:熱シールド、26:熱接続体、30:ガス供給系、40、41、50:ヒータ、90:イオン源制御部、100、100‘:ガス電界電離イオン源、101:試料ステージ、102:レンズ系、103:偏向系、104:二次電子検出器、105:レンズ系制御部、106:偏向系制御部、110:画像処理部、120:顕微鏡制御部、200:走査イオン顕微鏡、300:イオン光学系

Claims (8)

  1. 針状の先端を持つエミッタ電極と、当該エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、前記エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、前記エミッタ電極と前記引出電極との間に引出電圧を印加して前記エミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を備えるガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、前記エミッタ電極とは熱的に絶縁されている低温構造物を備え、
    イオン放出時に当該低温構造物の温度を前記エミッタ電極より低くする制御を行うことを特徴とするガス電界電離イオン源。
  2. 請求項1に記載のガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時に60K以下に制御することを特徴とするガス電界電離イオン源。
  3. 針状の先端を持つエミッタ電極と、当該エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、前記エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、前記エミッタ電極と前記引出電極との間に引出電圧を印加して前記エミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を備えるガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、前記エミッタ電極を冷却する冷却構造物と、当該冷却構造物と前記エミッタ電極とを熱的に接続する接続構造物と、当該接続構造物のエミッタ電極側部または当該エミッタ電極を加熱する手段とを備え、
    イオン放出時に前記エミッタ電極の温度を前記冷却構造物より高くする制御を行うことを特徴とするガス電界電離イオン源。
  4. 請求項3に記載のガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時に60K以下に制御することを特徴とするガス電界電離イオン源。
  5. 針状の先端を持つエミッタ電極と、当該エミッタ電極の先端方向に離間した位置に開口を有する引出電極と、前記エミッタ電極の先端近傍へガスを供給してその圧力を制御するガス圧制御手段と、前記エミッタ電極と前記引出電極との間に引出電圧を印加して前記エミッタ電極の先端近傍にガスをイオン化する電界を形成する引出電圧制御手段と、を有備えるガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間に、前記エミッタ電極とは独立に温度制御可能な低温構造物を備え、
    イオン放出時に当該低温構造物の温度を前記エミッタ電極より低くする制御を行う
    ことを特徴とするガス電界電離イオン源。
  6. 請求項5に記載のガス電界電離イオン源において、
    前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時に60K以下に制御することを特徴とするガス電界電離イオン源。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のガス電界電離イオン源を備える走査イオン顕微鏡において、
    前記ガス電界電離イオン源の稼働時間の長さを判断して、前記電界電離イオン源のイオン放出を停止させ、前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時より高くする制御を行うことを特徴とする走査イオン顕微鏡。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のガス電界電離イオン源を備える走査イオン顕微鏡において、
    前記イオンビームの電流の安定性低下を判断して、前記電界電離イオン源のイオン放出を停止させ、前記エミッタ電極の先端近傍と同じガス圧の空間にある最低温の構造物の温度を、イオン放出時より高くする制御を行うことを特徴とする走査イオン顕微鏡。
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JP2020013801A (ja) * 2016-07-05 2020-01-23 株式会社日立ハイテクサイエンス イオンビーム装置

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