JP2014146984A - Lc発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】LC発振器を、発振回路のインダクタ素子と帰還用増幅回路のインダクタ素子とを相互インダクタンスでインダクタ結合する回路構成とし、発振回路から帰還用増幅回路に入力する信号電圧を低下させることによって、帰還用増幅回路の差動構成による波形歪みを低減する。更に容量結合を利用する構成により発振回路と帰還用増幅回路のバイアス電圧を互いに独立に設定でき、帰還用増幅器としてその出力の電圧範囲を大きく取れるシングルエンド型回路、素子ばらつきや温度変動などに強い差動型回路のいずれも使用することができる。また、発振回路をコルピッツ発振回路とすることによって、発振回路の出力電圧の中心値を電源電圧とすることができ、発振出力を大として大きなQ値を実現することができる。
【選択図】図1
Description
図36は発振器のスペクトル(周波数分布)を示す図である。図36(a)は、ωoで発振する理想的な正弦波発振器のスペクトルを示し、図36(b)は実際の発振器のスペクトルを示している。実際の発振器のスペクトルは、発振周波数の両側に周波数成分が広がるスカート特性を持つ。このとき位相雑音はωoの発振周波数からΔωだけ周波数がオフセットした点における単位帯域内の雑音電力と搬送波の電力の比によって、以下の式(1)で定義される。
位相雑音=(単位帯域内の雑音電力)/(搬送波の電力) ・・・(1)
図37は、一般のRF送受信機によく用いられているヘテロダイン受信器のブロック図である。ヘテロダイン方式はアンテナからの高周波信号と局部発振器(Local Oscillator: LO)からの信号をミキサー(Mixer)で乗算することによって高周波信号(RF)を扱いやすい中間周波数(IF)へ変換した後、後段の回路へ送る方式である。
LC発振器を用いた電圧制御発振器(LC−VCO)において位相雑音を小さくするためには、共振回路のQ値を大きくすることが有効である。共振回路のQ値はインダクタのQ値と固定容量値のキャパシタおよびバラクタ(可変容量ダイオード)のQ値に依存しているが、オンチップVCOにおいては固定容量値のキャパシタおよびバラクタのQ値は充分高いので、共振回路のQ値は主にインダクタによって決まる。
Q=ω・L/R ・・・(2)
で与えられる。ただしLはインダクタ(インダクションコイル)のインダクタンス[H]であり、Rはインダクタの直列抵抗[Ω]、ωは角周波数[rad/s]である。式(2)から、周波数が一定の場合、インダクタのQ値を大きくするには直列抵抗Rを小さくすれば良いということが分かる。
オンチップインダクタの直列抵抗を小さくする方法として、配線の厚みを増やしたり、配線材料をAlからAu等の導電性の高いものに変更する方法が知られている。しかし、これらの方法は標準のICプロセスが使用できないという問題がある。本願発明の発明者は、材料の変更等に代えて回路技術によってQ値を上げる方法として結合インダクタを用いた技術を提案している(特許文献1)。
クロスカップル型の発振器では、トランジスタM3とM4のゲート端子はLC発振器の出力端子に直接接続されているため、帰還により1次側インダクタ素子のQ値が増大し振幅が増加した場合には、2次側のインダクタ素子L3とL4に流れる電流が歪むおそれがある。
クロスカップル型の発振器は、出力電圧の振幅を大きくすると発振器自体に波形歪みが生じるため、波形歪が発生した後にはQ値を更に大きくすることができないという問題がある。
本発明のLC発振器は、コルピッツ発振回路と帰還用増幅回路とを備えた構成である。
コルピッツ発振回路は、第1のインダクタ素子と第1の容量素子と第2の容量素子によりループを構成する共振回路、および共振回路の共振周波数を増幅する第1の増幅器を含む構成である。
図1において、本発明のLC発振器1は、コルピッツ発振回路10と帰還用増幅回路20とから成るLC発振器において、コルピッツ発振回路10は、第1の増幅器11と、バイアス電圧Vbias1の直流電圧が印加される入力端子15と、第1のインダクタ素子12と、第1の容量素子13と、第2の容量素子14と、電流源あるいは抵抗で構成される第1の電流供給手段18と、第1の増幅器11の出力である出力端子16と、発振出力を外部に取り出す場合に使用する発振出力端子19とを備える。
A-1:コルピッツ型発振回路の適用による波形歪みの低減
図2は帰還用増幅回路をシングルエンド回路で構成したLC発振器の一例であり、コルピッツ発振回路の第2の容量素子の端子間電圧あるいは端子間電圧を分割した電圧を、帰還用増幅回路の第2の増幅器(M2)の入力端子に入力している。なお、帰還用増幅回路の第2の増幅器(M2)の入力端子の電圧は、バイアス電圧Vbias2から別途設けたバイアス用インダクタLgを介して電圧を印加することで設定する。
図6は、帰還用増幅回路に入力する信号電圧を低下させることによる波形歪みの低減を説明するための図である。
図2,図3に示したコルピッツ発振器は電源電圧を中心として発振する。コルピッツ発振回路による発振出力の中心は電源電圧であり、クロスカップル型と比較すると出力の正弦波の中心が高い電圧にシフトした状態にある。これによって、共振回路を駆動するトランジスタが線形領域に入るまでに余裕が生じる。
A-2項の「帰還用増幅回路への信号電圧を低下させることによる波形歪みの低減」で述べた様に、帰還用増幅回路へ入力される信号電圧はコルピッツ発振器の出力信号電圧を容量で分割して与えることによって、帰還用増幅器に入力する入力信号の振幅は小さく抑えられるのみならず、直流電圧を取り除いた状態で与えられる。
本発明のLC発振器は、発振器部分の構成を電源ノイズなどの影響を受けにくい差動構成とすることができる。
本発明は、第1の増幅器の出力端子、第1の増幅器の入出力に共通の共通端子あるいは第2の容量素子を分割した点に、発振出力の周波数を印加する電圧で可変とする可変容量素子を接続することによって、発振器周波数を電圧で可変とする電圧制御発振器を構成することができる。
はじめに、コルピッツ発振回路について図15を用いて説明する。図15(a)はコルピッツ発振器の原理図を示し、図15(b)はコルピッツ発振回路の小信号等価回路を示している。抵抗R1はインダクタ素子L1の直列抵抗を表している。
LC発振器において位相雑音を小さくするためには、共振回路のQ値を大きくすることが有効であることが知られ、図39で示したように、コルピッツ発振回路において、インダクタの直列抵抗を下げることによってQ値を上げることで位相雑音の低減に寄与することが確認されている。
コルピッツ発振器はシングル出力であるが、高周波電圧制御発振器(VCO)においては電源ノイズなどの影響を受けにくい差動出力であることが望ましい。
[従来提案されている回路構成の最低動作電圧]
図24は従来提案されている差動コルピッツ発振回路を全てトランジスタで構成した回路例を示している。この回路について電源電圧をVcc=1.8Vとし、全てのトランジスタが飽和領域で動作するバイアス電圧Vbの最低値Vbminを求める。発振定常状態ではトランジスタM1,M3とトランジスタM2,M4が半周期ごとにON/OFFする。
Vbminは、
図25は本発明による差動コルピッツ発振回路を全てトランジスタで構成した回路例を示している。この回路について最低バイアス電圧Vbminおよび最低電源電圧Vccminを求める。
表1は上記の動作電圧の最低値の比較結果を表している。
図25で示したLC発振器の回路構成は固定容量で構成された例を示している。この回路構成の場合には周波数を変化させることはできない。
前記した各回路構成例では高周波域の周波数特性が良好であることからトランジスタとしてNMOSを用いているが、高周波域の周波数特性の点で不利であるもののPMOSを用いた構成とすることもできる。
次に、本発明のLC発振器による位相雑音のシミュレーション結果について、図34,図35を用いて説明する。図34のシミュレーション結果は、図17に示したコルピッツ発振回路にシングルエンド型帰還用増幅回路を付加したLC発振器の回路構成によるものである。図34では、相互インダクタンスM=0とした回路のシミュレーション結果についても比較用に示している。図34では、本発明のLC発振器のシミュレーション結果を“結合あり”で表記し、相互インダクタンスM=0とした回路のシミュレーション結果を“結合なし”で表記している。
10 コルピッツ発振回路
11 第1の増幅器
12 第1のインダクタ素子
13 第1の容量素子
14 第2の容量素子
15 第1の増幅器の入力端子
16 第1の増幅器の出力端子
17 第1の増幅器の共通端子
18 第1の電流供給手段
19 発振出力端子
20 帰還用増幅回路
21 第2の増幅器
22 第2のインダクタ素子
23 バイアス素子
24 バイアス端子
25 第2の増幅器の入力端子
27 第2の増幅器の共通端子
Claims (6)
- 第1のインダクタ素子と第1の容量素子と第2の容量素子によりループを構成する共振回路、および前記共振回路の共振周波数を増幅する第1の増幅器を含むコルピッツ発振回路と、
前記コルピッツ発振回路の第1のインダクタ素子と相互インダクタンスで結合する第2のインダクタ素子、および前記コルピッツ発振回路の出力を電流に変換して増幅する第2の増幅器を含み、前記相互インダクタンスを介して前記コルピッツ発振回路に電圧を帰還する帰還用増幅回路とを備え、
前記コルピッツ発振回路の発振中心電圧は電源電圧であり、
前記帰還用増幅回路の第2の増幅器への入力は、前記コルピッツ発振回路の第2の容量素子の端子間電圧あるいは端子間電圧を分割した信号電圧であることを特徴とする、LC発振器。 - コルピッツ発振回路と帰還用増幅回路とから成るLC発振器であり、
前記コルピッツ発振回路は、
信号電圧が加わる入力端子、信号電圧に比例する同相の電流を出力する出力端子と、入出力に共通する共通端子を備える第1の増幅器の小信号等価回路において、
前記第1の増幅器の出力端子に第1のインダクタ素子および第1の容量素子を接続し、前記第1の容量素子の他端を前記共通端子に接続し、前記第1のインダクタ素子の他端に第2の容量素子を接続し、
前記第2の容量素子の他端を前記第1の増幅器の前記共通端子に接続し、
前記第1のインダクタ素子の他端と第2の容量素子との接続点を前記第1の増幅器の入力端子に接続し、
前記第1のインダクタ素子の他端と第2の容量素子との接続点を基準電圧点とし、
前記帰還用増幅回路は、
前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、前記信号電圧に比例し当該信号電圧と同相あるいは逆相の電流を出力する出力端子を備える第2の増幅器の小信号等価回路において、
前記第2の増幅器の出力端子に第2のインダクタンス素子を接続し、
前記第2のインダクタ素子は前記第1のインダクタ素子と相互インダクタンスで結合し、
前記第2のインダクタ素子の他端を前記第1のインダクタ素子の他端と前記第2の容量素子との接続点である前記基準電圧点に接続し、
前記コルピッツ発振回路は、前記第2の容量素子の端子間電圧あるいは端子間電圧を分割した信号電圧を、前記帰還用増幅回路の入力端子に入力して成ることを特徴とするLC発振器。 - 前記帰還用増幅回路は1つの第2の増幅器を有し、
小信号等価回路において
第2の増幅器は、前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、前記信号電圧に比例し当該信号電圧と同相あるいは逆相の電流を出力する出力端子と、入出力に共通する共通端子を備え、
前記共通端子を前記第1のインダクタ素子の他端と前記第2の容量素子との接続点である基準電圧点に接続してシングルエンド回路を構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のLC発振器。 - 前記帰還用増幅回路は2つの第2の増幅器を有し、
小信号等価回路において
一方の第2の増幅器は、前記コルピッツ発振回路の前記第1のインダクタ素子の両端の電圧と同相あるいは逆相の信号電圧を入力する入力端子と、差動出力を出力する第1の出力端子と、入出力に共通する共通端子とを備え、
他方の第2の増幅器は、前記バイアスが印加される入力端子と、差動出力を出力する第2の出力端子と、入出力に共通する共通端子とを備え、
前記両共通端子を接続して差動増幅回路を構成し、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子は、前記2つの入力端子に入力される信号電圧差に比例し、当該信号電圧差と同相あるいは逆相の電流を出力することを特徴とする、請求項1又は2に記載のLC発振器。 - 2つの前記コルピッツ発振回路を備え、当該2つのコルピッツ発振回路を差動動作させるLC発振器であり、
前記2つのコルピッツ発振回路の内、第1のコルピッツ発振回路が備える第1の増幅器をオン・オフ制御する第1の制御手段、および第2のコルピッツ発振回路が備える第1の増幅器をオン・オフ制御する第2の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段は、前記第2のコルピッツ発振回路における、第1の容量素子の他端と第1の増幅器の入出力に共通の共通端子と第2の容量素子との3つが接続する接続点の信号電圧によって、前記第1のコルピッツ発振回路の第1の増幅器をオン・オフ制御し、
前記第2の制御手段は、前記第1のコルピッツ発振回路における、第1の容量素子の他端と第1の増幅器の入出力に共通の共通端子と第2の容量素子との3つが接続する接続点の信号電圧によって、前記第2のコルピッツ発振回路の第1の増幅器をオン・オフ制御し、
前記第1のコルピッツ発振回路および第2のコルピッツ発振回路の出力を差動信号として出力する差動コルピッツ発振回路を構成することを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載のLC発振器。 - 第1の増幅器の出力端子、入出力に共通の共通端子あるいは前記第2の容量素子を分割した端子に、印加電圧によって発振出力の周波数を可変とする可変容量素子を接続することによって、発振器周波数を電圧で可変とすることを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載のLC発振器。
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