JP2014141764A - 病原因子産生抑制繊維の再生方法 - Google Patents

病原因子産生抑制繊維の再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗濯後の病原因子の産生を抑制する機能を回復することができる病原因子産生抑制繊維の再生方法を提供する。
【解決手段】本発明は、病原因子産生抑制繊維の再生方法であって、上記病原因子産生抑制繊維は、繊維にリン酸基を含む化合物及びカルボン酸基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を化学結合により固定した繊維で構成され、洗濯後の上記病原因子産生抑制繊維を酸処理する病原因子産生抑制繊維の再生方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維に特定の化合物を化学結合により固定した病原因子産生抑制繊維の再生方法に関し、具体的には、洗濯後の病原因子産生抑制繊維の再生方法に関する。
感染症の治療には抗生物質等の抗菌薬が用いられているが、抗菌薬の濫用によって抗生物質が効かない多剤耐性菌が出現し、院内感染を引き起こす事態を招いている。現状では、院内感染に対する有効な治療方法はなく、大きな医療上の問題を抱えたままである。この院内感染の主要な病原性細菌としては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が挙げられる。緑膿菌と黄色ブドウ球菌は、ともに代表的なヒトの日和見病原体であり、免疫機能が低下した患者に感染し、時には患者を死に至らしめる。どちらの病原性細菌も消毒薬や抗生物質に対する抵抗力が本来的に高いうえ、後天的に薬剤耐性を獲得したものも多いため、いったん発症すると治療が困難である。
このように薬剤耐性(とくに多剤耐性)を獲得した病原性細菌に対して、もはや抗生物質はその効力を発揮できない。つまり、抗生物質をはじめとする抗菌剤の使用には限界があり、抗生物質とは全く作用機序の異なる治療薬及び予防薬の開発が望まれている。近年、多剤耐性菌をはじめとする多くの病原性細菌の病原因子(毒素)産生は、細菌自体が生産するオートインデューサーと呼ばれる細胞シグナル伝達物質によって促進されることが明らかになった。このオートインデューサーの構造は、菌種によって異なり、特にグラム陰性菌とグラム陽性菌とでは全くその構造が異なっている。グラム陰性菌ではホモセリンラクトンという化合物であるのに対し、グラム陽性菌では環状のオリゴペプチドである。
そこで、オートインデューサーのレベルを調節して病原性細菌の病原性を制御する試みが行われるようになった。オートインデューサーの作用を抑制するために、プリンストン大学とユニバーシティ社らは2003年にオートインデューサーとよく似た構造を持つ物質(アナログ)(特許文献1)を用い、ハプトゲン リミテッド社は2006年にオートインデューサーの抗体(特許文献2)を用いて、細菌における毒素産生を抑制する方法をそれぞれ提案している。これらの方法は、病原菌の増殖は抑制せず毒素の産生だけを抑制するので、選択圧が生じず、耐性菌が出現しにくい感染症治療薬及び予防薬として注目されている。また、本発明者らの一部は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて細菌における毒素産生を抑制することを提案した(特許文献3)。また、非特許文献1には、ポリリン酸キナーゼ(PPK)の遺伝子にノックアウト変異を施してPPKの活性を低下させることで、病原菌の細胞内のポリリン酸の蓄積量を低減し、それによりオートインデューサーの合成量を低下させ、病原因子の産生を抑制することが開示されている。
特表2003−532698号公報 特表2006−508910号公報 特開2010−095489号公報
M.Harunur Rashid et. al., "Polyphosphate kinase is essential for biofilm development, quorum sensing, and virulence of Pseudomonas aeruginosa", PNAS, Vol. 97, No. 17, p9636-9641, 2010年8月15日
しかし、上述した文献で提案されている物質自体は有用であるが、実際の医療現場等への適用が困難であるという問題があった。本出願人は、繊維に特定の化合物を化学結合により固定することで、実際の医療現場等への適用が可能である病原因子産生抑制繊維を得られるが、洗濯すると、該病原因子産生抑制繊維の病原因子の産生を抑制する機能が低下する傾向があることを突き止めた。
そこで、本発明は、洗濯後の病原因子の産生を抑制する機能を回復することができる病原因子産生抑制繊維の再生方法を提供する。
本発明は、病原因子産生抑制繊維の再生方法であって、上記病原因子産生抑制繊維は、繊維にリン酸基を含む化合物及びカルボン酸基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を化学結合により固定した繊維で構成され、洗濯後の上記病原因子産生抑制繊維を酸処理することを特徴とする病原因子産生抑制繊維の再生方法に関する。
本発明は、繊維にリン酸基を含む化合物及びカルボン酸基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を化学結合により固定した病原因子産生抑制繊維において、洗濯後の病原因子産生抑制繊維を酸処理することにより、病原因子の産生を抑制する機能を回復させることができる。
本発明においては、病原因子産生抑制繊維は、リン酸基を含む化合物及びカルボン酸基(カルボキシル基)を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物(以下において、病原因子産生抑制成分とも記す。)を化学結合により固定した繊維で構成される。上記病原因子産生抑制繊維は、病原因子の産生を抑制する機能(病原因子産生抑制機能)を有するが、洗濯すると、病原因子の産生を抑制する機能が低下する傾向があった。本発明者らが鋭意検討した結果、その原因の一つとして、洗濯時の水に含まれるカルシウムイオンによるイオン交換により、上記病原因子産生抑制繊維に化学結合により固定されているリン酸基及び/又はカルボキシル基が封鎖されていることを突き止めた。そして、洗濯後の病原因子産生抑制繊維を酸処理すると、病原因子産生抑制繊維におけるカルシウムの量が低減し、病原因子産生抑制機能が回復することを見出し、本発明に至った。
上記酸処理は、例えば、無機酸及び/又は有機酸を用いて行うことができる。環境にやさしい観点から、有機酸で行うことが好ましく、より好ましくはカルボン酸で行う。上記カルボン酸による処理は、家庭洗濯及び工業洗濯等により洗濯した後の上記病原因子産生抑制繊維をカルボン酸と接触させればよく特に限定されない。簡便性の観点から、カルボン酸を含む溶液に接触させることが好ましく、カルボン酸を含む水溶液に接触させることがより好ましい。例えば、上記カルボン酸による処理は、カルボン酸を含む水溶液に洗濯後の病原因子産生抑制繊維を浸漬すること、洗濯後の病原因子産生抑制繊維にカルボン酸を含む水溶液をスプレーすること等により行うことができる。
上記カルボン酸は、特に限定されず、例えば、飽和脂肪酸、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ酸、ジカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体等が挙げられる。入手しやすさから、飽和脂肪酸及びヒドロキシ酸からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記飽和脂肪酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。上記ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸は、水溶性の観点から、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜6であることがより好ましい。簡便性及び安全性の観点から、上記カルボン酸は、酢酸、乳酸及びクエン酸からなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。
上記カルボン酸を含む水溶液において、カルボン酸の濃度は、特に限定されないが、簡便性及び安全性の観点から、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
上記リン酸基を含む化合物としては、特に限定されないが、リン酸エステル及びリン酸エステル塩からなる群から選ばれる一種以上が好ましい。また、カルボン酸基を含む化合物としては、特に限定されないが、アクリル酸塩及びイミノ二酢酸塩からなる群から選ばれる一種以上が好ましい。上記病原因子産生抑制成分の割合は、繊維に対して0.01〜3mmol/gの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.5mmol/gの範囲である。この範囲であると病原因子産生抑制機能は高く保持でき、かつ繊維の風合いを損ねることもない。
本発明で使用できる繊維は、特に限定されるものではないが、電子線グラフト重合法を用いることが可能なセルロース繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等が好ましい。特にセルロース繊維を含むことが好ましい。セルロース繊維は、木綿、麻、レーヨン、キュプラ等いかなるものであっても良い。繊維全体に対するセルロース繊維の割合は、10〜100質量%の範囲が好ましい。繊維は、糸、綿(ワタ)、スライバー、生地(布帛)等のいずれの形態でも良い。また、生地としては、織物、編物、不織布等いかなるものであっても良い。
上記病原因子産生抑制繊維は、特に限定されないが、下記のように作製することができる。具体的には、上記病原因子産生抑制繊維の製造方法は、繊維に電子線照射する工程と、上記繊維にリン酸基を含む化合物及びカルボン酸基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を接触させて化学結合、好ましくはグラフト結合させる工程を含む。電子線照射工程は、化学結合工程の前及び/又は後であっても良い。いずれの順序にしても病原因子抑制成分を繊維に化学結合させることはできる。また、これらの工程後に、次の工程として、アルカリ中和処理を加えても良い。アルカリ中和処理に使用する溶液は、NaOH、KOH、LiOH等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を使用するのが好ましい。なお、予めリン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、リン酸カリウム及びリン酸リチウム等の化合物を用いることにより、中和処理を省略することも可能である。
上記リン酸基を含む化合物として、例えばモノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート(別名リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、以下「P1M」という。)を用い、P1Mをセルロース繊維に適用する場合、電子線照射により下記式(2)及び/又は下記式(3)のようにセルロースにP1Mがグラフト結合し、次いで中和処理により下記式(4)及び/又は下記式(5)のようにリン酸塩(リン酸エステル塩)となると推測される。
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上記カルボン酸基を含む化合物として、例えばアクリル酸を用い、アクリル酸をセルロース繊維に適用した場合、電子線照射により下記式(7)及び/又は下記式(8)のようにセルロースにアクリル酸がグラフト結合し、次いで中和処理により下記式(9)及び/又は下記式(10)のようにカルボン酸塩(アクリル酸塩)となると推測される。
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上記カルボン酸基を含む化合物として、例えばメタクリル酸グリシジルをセルロース繊維にグラフト結合させ、イミノ二酢酸(キレート基)を導入し、中和処理した場合、電子線照射により下記式(12)及び/又は下記式(13)のようにセルロースにメタクリル酸グリシジルがグラフト結合し、次いで下記式(14)及び/又は下記式(15)のようにイミノ二酢酸(キレート基)が導入され、次いで中和処理により下記式(16)及び/又は下記式(17)のようにカルボン酸塩(イミノ二酢酸塩)となると推測される。
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また、上記病原因子産生抑制繊維は、例えば、セルロース繊維にリン酸と尿素を含む水溶液を接触させることにより、上記セルロース繊維にリン酸エステルを化学結合、好ましくは共有結合させてもよい。リン酸エステルをより効果的に導入できるという観点から、セルロース繊維にリン酸と尿素を含む水溶液を接触させ、加熱キュアすることにより、上記セルロース繊維にリン酸エステルを化学結合、好ましくは共有結合させる。例えば、リン酸と尿素を含む水溶液(以下、単にリン酸処理液とも記す。)にセルロース繊維(生地)を浸漬し、セルロース繊維にリン酸エステルを共有結合させる。リン酸処理液は、必要に応じてアンモニア水を含んでもよい。アンモニア水によりpHを調整できる。リン酸処理液のpHは7未満であることが好ましい。加熱キュア(キュアリング)の処理条件は、温度100〜180℃、時間0.5〜5分が好ましい。例えば、この処理により、セルロース繊維に対してリン酸エステルを0.1質量%以上、好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは5〜8質量%共有結合できる。化学結合工程の後、アルカリにより中和させてもよい。
セルロース分子は下記式(18)で示され(但し、nは1以上の整数)、反応性に富む水酸基をグルコース残基のC−2、C−3、C−6の位置に持ち、この部分にリン酸がエステル結合すると推測される。例えばグルコース残基のC−2の位置にリン酸がエステル結合した例を下記式(20)に示す。下記式(20)において、リン酸がエステル結合している−CH−基はセルロース鎖内の炭化水素基である。次いで中和処理により下記式(21)のようにリン酸塩となると推測される。
Figure 2014141764
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或いは、下記式(22)〜式(24)に示すリン酸エステルになることも考えられる。下記式(22)はリンと窒素のモル比が1:1の場合であり、下記式(23)〜式(24)はリンの含有率の高いエステル化物で、下記式(24)は架橋構造となる。下記式(22)〜式(24)の化合物は希塩酸又は希アルカリにより洗浄すると、窒素がアンモニアとして放出されると考えられる。
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本発明においては、リン酸基を含む化合物、カルボン酸基を含む化合物を併用して繊維に結合させても良いし、それぞれを結合させた繊維を混合させても良い。
上記病原因子産生抑制繊維は、糸や、編物、織物、不織布等の生地(布帛)として用いることができる。
上記病原因子産生抑制繊維は、クオラムセンシングを有する細菌、すなわちオートインデューサーを産生する細菌のオートインデューサーの産生を抑制することにより、病原因子の産生を抑制すると考えられる。これは、セルロース繊維に結合させたリン酸基を含む化合物、カルボン酸基を含む化合物のイオン強度はそれほど高くなく、殺菌性は乏しいが、細菌のオートインデューサーの産生を抑制することにより、病原因子の産生を抑制する機能は高いためであると考えられる。具体的には、セルロース繊維などの繊維に化学結合させたリン酸基を含む化合物、カルボン酸基を含む化合物(分子)のキレート作用により、マグネシウムを除去することで、PPKの活性を低下させ、細菌の細胞内にポリリン酸が蓄積することを防止し、オートインデューサーの産生を抑制することにより、病原因子の産生を抑制すると思われる。すなわち、病原因子(毒素)産生を低下させる目的でオートインデューサーを標的とする。このため、治療法に対して耐性のある菌株が出現する可能性ははるかに低いと考えられる。したがって、クオラムセンシングを有する全ての病原性細菌に対して適用が可能であり、例えばグラム陰性菌及びグラム陽性菌のいずれにも適用が可能である。また、本発明の病原因子産生抑制繊維は、真菌に対しても病原因子の産生を抑制する効果を有しているため、病原性真菌に対しても適用可能である。
クオラムセンシングを有する病原性細菌としては、例えばアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アシネトバクター-バーマニー(Acinetobacter baumannii)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルセラ属菌(Brucella sp.)、カンピロバクター属菌(Campylobacter sp.)、カプノシトファガ属菌(Capnocytophaga sp.)、カルジオバクテリウム-ホミニス(Cardiobacterium hominis)、エイケネレラ-コロデンス(Eikenella corrodens)、野兎病菌(Francisella tularensis)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター-ピロリ菌(Helicobacter pylori)、キンゲラ-キンガエ(Kingella kingae)、レジオネラ-ニューモフィラ菌(Legionella pneumophila)、パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida)、シトロバクター属菌(Citrobacter sp.)、エンテロバクター属菌(Enterobacter sp.)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス属菌(Proteus sp.)、腸炎菌(Salmonella enteriditis)、チフス菌(Salmonella typhi)、霊菌(Serratia marcescens)、シゲラ属菌(Shigella sp.)、エルシニア-エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、モラクセラ-カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ベイヨネラ属菌(Veillonella sp.)、バクテロイデス-フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス属菌(Bacteroides sp.)、プレボテラ属菌(Prevotella sp.)、フソバクテリウム菌属(Fusobacterium sp.)、鼠咬症スピリルム(Spirillum minus)、エロモナス属菌(Aeromonas sp.)、プレシオモナス-シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ-バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)、フラボバクテリウム属菌(Flavobacterium sp.)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ブルクホルデリア-セパシア(Burkholderiacepacia)、ブルクホルデリア-シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)、キサントモナス-マルトフィリア(Xanthomonas maltophilia)、ステノトロフォモナス-マルトフィラ(Stenotrophomonas maltophila)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バシラス属細菌(Bacillus spp.)、クロストリジウム属細菌(Clostridium spp.)、リステリア菌(Lesteria monocytogenes)及び連鎖球菌属細菌(Streptococcus spp.)等が挙げられる。病原性真菌としては、例えば、白癬菌(Trichophyton)、カンジダ菌(candida)、アスペルギルス菌(aspergilloma)等が挙げられる。なお、白癬菌に対して、本発明の病原因子産生抑制繊維は、菌糸形成を抑制する効果を発揮すると思われる。
上記病原因子産生抑制繊維(生地)は、例えば次の分野に適用可能である。
(1)医療用白衣、看護師の制服類
多剤耐性菌にも効果のある病原因子産生抑制成分を結合させた生地を用いるため、医師や看護師の衣服に起因する院内感染の防止が可能である。
(2)下着、肌着
アトピー性皮膚炎の増悪化は、炎症部位に感染した黄色ブドウ球菌が産生するスーパー抗原に起因するとされている、本発明の繊維が、黄色ブドウ球菌のスーパー抗原の産生を抑制すれば、アトピー性皮膚炎を鎮静化する下着が開発できる。
(3)医療用の包帯、ガーゼ、マスク
手術後の傷口、創傷や寝たきり患者の褥瘡への病原菌の感染を抑制するガーゼ、包帯、マスクなどとして活用すれば多剤耐性菌による感染も抑制できる。
(4)絆創膏の素材
創傷に施す絆創膏の素材に適用できる。
(5)壁紙、カーペットなどのインテリア素材、シーツなどの寝具類、介護用品
病院内、老人施設、養護施設、保育所、幼稚園などの院内感染を防げる。
本発明の病原因子産生抑制繊維の再生方法によれば、洗濯後の病原因子産生抑制繊維の病原因子産生抑制機能を回復(向上)させることができ、病原因子産生抑制繊維を用いた製品、特に、医療用白衣、看護師の制服類、シーツなどの寝具類、介護用品において、洗濯した後でも、病原因子産生抑制機能を洗濯前のレベルまで回復することができ、繰り返し使用できる。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<リン酸エステルの導入>
苛性シルケット上がりの綿繊維100%の薄地生地(目付け140g/m2)を5質量%のリン酸(ナカライテスク社製)と、15質量%の尿素(ナカライテスク社製)を含む水溶液に浸漬し、絞り率約70質量%になるまでマングルで絞り、ピンテンターにて150℃で90秒間乾燥した。乾燥した生地をピンテンターにて165℃で105秒間キュアリングした。キュアリングした生地を十分に湯洗、水洗後、マングルで絞り、ピンテンターにて150℃で90秒間乾燥した。加工前後の生地の質量差及びリン酸の分子量から算出した繊維質量当りのリン酸基導入量は、0.15mmol/gであった。
<中和処理>
次にリン酸エステルを導入した生地を1質量%の水酸化ナトリウム(ナカライテスク社製)水溶液に浸漬し、絞り率約70質量%になるまでマングルで絞った。余剰の水酸化ナトリウムを除去するため、湯洗、水洗後、マングルで絞り、ピンテンターにて150℃で90秒間乾燥した。得られた生地を、試料1とした。
<洗濯>
上記で得られた試料1の洗濯を行った。具体的には、JIS L 0217 103法にて、洗剤をJAFET(Japanese Association for the Functional Evaluation of Textiles)洗剤に変えて、10回実施した。洗濯後、吊り干しにて風乾した。得られた生地を、試料1Wとした。
<酸処理>
上記で得られた試料1Wを、0.1質量%の酢酸(ナカライテスク社製)水溶液に浸漬し、絞り率70質量%になるまでマングルで絞った。余剰の酢酸を除去するため、湯洗、水洗後、マングルで絞り、ピンテンターにて150℃で90秒間乾燥した。得られた生地を、試料1WAとした。
(実施例2)
0.1質量%の酢酸に替えて1質量%の酢酸水溶液を用いて酸処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた生地を、試料1WBとした。
(実施例3)
0.1質量%の酢酸に替えて0.1質量%の乳酸(ナカライテスク社製)水溶液を用いて酸処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた生地を、試料1WCとした。
(実施例4)
0.1質量%の酢酸に替えて1質量%の乳酸水溶液を用いて酸処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた生地を、試料1WDとした。
(実施例5)
0.1質量%の酢酸に替えて0.1質量%のクエン酸(ナカライテスク社製)水溶液を用いて酸処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた生地を、試料1WEとした。
(実施例6)
0.1質量%の酢酸に替えて1質量%のクエン酸水溶液を用いて酸処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた生地を、試料1WFとした。
実施例で得られた各試料の病原因子産生抑制機能を下記の評価方法で調べた。また、各試料におけるカルシウムの含有量(Ca含有量)を、下記のように蛍光X線分析で確認した。結果を表1に示した。なお、試料1、試料1Wを、それぞれ、参考例1、参考例2とし、表1には、参考例1及び参考例2の結果も併せて示した。
<病原因子産生抑制機能の評価方法>
各生地の試験片0.4gをオートクレーブした後、Luria−Bertani培地(LB培地)で菌の濃度を2.7×103個/mLに調製した緑膿菌(PAO1株)の菌液を各試験片に1mLずつ接種した。その後、37℃で48時間静置培養した後、遠心分離(7,840rpm、5分間)によって各試験片に吸収されていた培養液を回収した。さらに、この培養液を遠心分離(14,000rpm、2分間)し、得られた上清0.4mLをピオシアニン産生量の測定に用いた。遠心分離によって沈殿した菌体画分は生理食塩水で20mLに定容し、その一部を吸光度(波長570nm)の測定に用い、細菌数を算出した。ピオシアニンは、クロロホルムで抽出後、0.2M HCl中に溶出させた際の吸光度(波長490nm)を測定して定量した。測定はn=3とし、その平均値を算出した。未処理の苛性シルケット上がりの綿繊維100%の薄地生地(目付け140g/m2)を対照試料とし、対照試料に対する菌数当たりのピオシアニン産生量の相対値(%)を下記表1に示した。
<蛍光X線分析>
分析装置:リガク製 波長分散型蛍光X線分析装置「ZSX100e」
分析条件:
EZスキャン法
測定範囲:B〜U、測定時間:LONG、雰囲気:真空、測定径:25mmφ(1枚)、
試料モデル:バルク
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表1から分かるように、培養後の菌数については、いずれの試料も対照試料(未処理品)と差が見られなかったが、菌数当たりのピオシアニン産生量の相対値については、いずれの試料も対照試料より低く、病原因子産生抑制機能を有することが確認できた。さらに、菌数当たりのピオシアニン産生量の相対値は、参考例2では参考例1より高く、洗濯により病原因子産生抑制機能が低下することが確認されたが、洗濯後の生地を酸処理した実施例1〜6の生地の菌数当たりのピオシアニン産生量の相対値は、いずれも、参考例1とほぼ同等の数値となっており、病原因子産生抑制機能の回復が認められた。なお、試料におけるカルシウム含有量は、洗濯後に増加するものの、酸処理することにより、低下している。洗濯後の試料においては洗濯時の水に含まれるカルシウムイオンによるイオン交換によってリン酸基及び/又はカルボキシル基が封鎖されるが、洗濯後の試料を酸処理することによってカルシウム含有量が低下し、カルシウムイオンにより封鎖されていたリン酸基及び/又はカルボキシル基が解放され、病原因子産生抑制機能が回復されたと推測される。
本発明の病原因子産生抑制繊維の再生方法によれば、洗濯後の病原因子産生抑制繊維の病原因子産生抑制機能を回復(向上)させることができ、病原因子産生抑制繊維を用いた製品、特に、医療用白衣、看護師の制服類、シーツなどの寝具類、介護用品において、洗濯した後でも、病原因子産生抑制機能を洗濯前のレベルまで回復することができ、繰り返し使用できる。

Claims (7)

  1. 病原因子産生抑制繊維の再生方法であって、
    前記病原因子産生抑制繊維は、繊維にリン酸基を含む化合物及びカルボン酸基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を化学結合により固定した繊維で構成され、
    洗濯後の前記病原因子産生抑制繊維を酸処理することを特徴とする病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  2. 前記酸処理は、カルボン酸で行う請求項1に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  3. 前記カルボン酸は、飽和脂肪酸及びヒドロキシ酸からなる群から選ばれる一種以上である請求項2に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  4. 前記カルボン酸は、酢酸、乳酸及びクエン酸からなる群から選ばれる一種以上である請求項2又は3に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  5. 前記リン酸基を含む化合物が、リン酸エステル及びリン酸エステル塩からなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  6. 前記カルボン酸基を含む化合物が、アクリル酸塩及びイミノ二酢酸塩からなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
  7. 前記繊維が、セルロース繊維を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の病原因子産生抑制繊維の再生方法。
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