JP2014141759A - 気化熱冷却シート - Google Patents

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遼 福田
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Abstract

【課題】水の吸い上げ性能および拡散性能が高く、空気との接触面積も大きく、優れた冷却機能を発揮する気化熱冷却シートを提供すること。
【解決手段】表裏2層のメッシュ編地を連結糸により連結した立体編物であって、該表裏2層のメッシュ編地において、少なくとも片側のメッシュ編地の地組織全面積中に占める繊維の面積比率が20〜70%であることを特徴とする気化熱冷却式シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、エアコン室外機及び、軒先テント、日除けスクリーン、太陽電池パネルなどに好適に用いられる気化熱冷却シートに関し、本発明の気化熱冷却シートは立体編物から構成され、水分吸上げ性及び蒸散性が高く、低通気抵抗である。
近年地球温暖化やエネルギー不足などの問題により、エコや省エネといった技術開発が進んでいる。エアコンに関してもインバータ技術によるエネルギーの効率化が進んではいるが、この技術は圧縮機や送風ファンの回転数を必要最低量に調節する技術であり、外気温が高い場合(真夏の昼間)には高出力で運転しなければならないため効率化の効果は期待できない。外気温が高い場合の省エネとしては、エアコン室外機の放熱フィンに冷却された空気を接触させ、熱交換効率を上げることが有効な手段である。そこで、水分を含ませたシートを放熱フィンの吸気口側に設置することで、水の蒸発潜熱を利用して空気を冷却する気化熱冷却シートが開発されている。又、このような冷却用シートを室外機の排出口に設置することで、排出される空気を冷却することができるため、近年都市部で問題になっているヒートアイランド現象の緩和としても冷却用シートが用いられている。
下記特許文献1には、吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品からなる冷却シートであって、冷却水を毛細管現象によって吸水することを特徴とし、冷却シート上端には、吸水性と拡散性の良い密織または不織布の繊維製品を使用し、下端には吸水を横方向で均一にするために所定の間隔で∧型の切り口を設けた冷却シートが開示されている。しかしながら、特許文献1の冷却シートは空気との接触面積や通気抵抗に関して何ら工夫がなされていないため、水分を自然に吸上げて広い面積で直ちに蒸散する性能が低く、気化熱を利用した気化熱冷却シートとしては劣るものであった。
下記特許文献2でも、室外機の吸気口に網状のネットを設置し、上から水を垂らすことで水を気化させ冷却するシートが使用されているが、こちらも空気との接触面積や通気抵抗に関して何ら工夫がなされていないため、水分を自然に吸上げて広い面積で直ちに蒸散する性能が低く、気化熱を利用した気化熱冷却シートとしては劣るものであった。
下記特許文献3では、不織布を含む冷却用蒸散シートを排気口側に設置することで、排気させる温風を冷却する技術を用いており、比表面積を大きくするような工夫がなされているが、通気抵抗に関しては工夫がされておらず、気化熱冷却シートとして劣るものであった。
特開2010−216709号公報 特開2011−252693号公報 特開2009−68795号公報
上述したように、従来の冷却シートでは水の吸い上げ性能、拡散性能、蒸散性能及び通気抵抗に関して総合的に有効な工夫がされておらず、気化熱を利用した気化熱冷却シートとして、性能を最大限に発揮できていない。そこで本発明では、水の吸い上げ性能、拡散性能、蒸散性能及び通気抵抗の相互関係を最適化することで、気化熱冷却シートとしての性能を最大限に発揮させることを課題とした。
上記課題を解決するために、立体編物の表裏2層の地組織の構造に着目し、地組織全面積中に占める繊維の面積比率を特定範囲とすること、又、地組織に特殊な繊維束を形成すること、さらには繊維形態、繊維充填密度等を最適化することにより、優れた冷却効果を持つ気化熱冷却シートを見出すことに成功した。
即ち本発明は、以下のとおりのものである。
(1)表裏2層のメッシュ編地を連結糸により連結した立体編物であって、該表裏2層のメッシュ編地において、少なくとも片側のメッシュ編地の地組織全面積中に占める繊維の面積比率が20〜70%であることを特徴とする気化熱冷却シート。
(2)表裏2層のメッシュ編地の少なくとも一部が幅0.7〜3.5mmおよび長さ2.0〜15.0mmの導水性繊維束からなり、該導水性繊維束の見掛け密度が0.2〜0.7g/cm3であることを特徴とする上記(1)に記載の気化熱冷却シート。
(3)導水性繊維束が250〜2100本のフィラメントで形成されていることを特徴とする上記(2)に記載の気化熱冷却シート。
(4)導水性繊維束を構成するフィラメントの50%以上が仮撚加工糸であることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の気化熱冷却シート。
(5)直角方向から1m/secの風速の空気を流した時の圧力損失が20Pa以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の気化熱冷却シート。
(6)エアコン室外機の冷却に使用することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の気化熱冷却シート。
本発明の気化熱冷却シートは表裏2層メッシュ編地が地組織全面積中に占める繊維の面積比率が低く、通常の不織布や密織と比較して空隙率が非常に高い。このことから低圧力損失で水分を気化することができ、送風ファンにかかる付加が軽減され、省エネ効果が期待できる。更に、立体編物における空隙率が高いことで空気との接触面積が非常に大きく蒸散性能も高いため、優れた冷却機能を発揮する。
また、地組織を特殊な繊維束とすることにより、水の吸い上げ性能および拡散性能が非常に高く、更に繊維束は適度に開繊しているため、空気との接触面積も大きい。これによって吸い上げた水が素早く隅々に行き届き効率的に蒸散するため、優れた冷却機能を発揮する。
さらに、エアコン室外機から排出される温風を本気化熱冷却シートに接触させることで、その優れた冷却機能により排気される温風が冷却され、人口密度の高い都市部のヒートアイランド現象の緩和にも効果が期待できる。
そして、本気化熱冷却シートは表裏2層のメッシュ編地で太陽光を遮ることができるため通気抵抗が低いにもかかわらず、高い遮光性を有する。これにより、太陽光による室外機等の温度上昇を抑制することができる。更に通気抵抗が低いことにより風速の遅い場合でもシート間を風が通り貫けることができ、野外に置いた場合でも、そよ風程度の接触でも蒸散性を十分に発揮することができる。このことから本気化熱冷却シートは、冷却機能を付与した遮光シートとして効果が期待できる。
又、本気化熱冷却シートは、連結糸にモノフィラメントを用いることにより、形態安定性および剛性を格段に高めることができ、不織布や密織と比較して耐久性が非常に高い。
導水性繊維束の幅および長さの測定方法を説明する図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の気化熱冷却シートを構成する立体編物は、表裏2層の地組織とこれら2層の地組織を連結する連結糸によって形成される。
表裏2層の地組織は、地組織が吸収した水分の蒸散性を高めるために、空気が地組織を通過しやすいことが必要である。そのため、表裏の地組織はメッシュ編地で形成される。
表裏のメッシュ編地において、地組織が十分な水分量を保持すると共に、気体が地組織を通過しやすく、高い水分蒸散性を得るためには、地組織全面積中に占める繊維の面積割合が重要であり、表裏2層の内少なくとも片側の層において、繊維の面積比率が20〜70%であることが必要である。繊維の面積比率が70%を超えると、地組織が保持する水分量は増加するものの、地組織内を空気が通過し難くなるため、水分の蒸散効率が低下し冷却機能が低下する。逆に繊維の面積比率が20%未満の場合、地組織内を空気が通過し易くなり、水分の蒸散効率は高まるが、地組織全体で保持する水分量が少ないため蒸散量が低下し冷却機能が低下する。繊維の面積比率のより好ましい範囲は20〜60%であり、さらに好ましくは25〜55%である。表裏2層とも繊維の面積比率が上記範囲にあることが好ましい。
表裏のメッシュ編地のメッシュ形状は、略六角形、略四角形、略円形等任意の形状とすることが出来るが、気化熱冷却式シートの形態安定性を良好にし、揉み洗い等の洗浄時の型崩れを防止する上で略六角形が好ましい。
本発明においては、水に立体編物を略垂直に浸した際に、表裏の地組織によって水を吸上げる性能及び、吸い上げた水の拡散性を高めるために、立体編物の表裏のメッシュ編地の少なくとも一部が、一定の幅、長さおよび見掛け密度を有する導水性繊維束からなることが好ましい。本発明において、導水性繊維束とはメッシュを構成する繊維が複数本の繊維から構成されている部分である。この導水性繊維束が多量の水分を吸上げ、地組織全体及び連結糸部分に水分供給する役割を果たす。そのためには、幅が0.7〜3.5mm、長さが2.0〜15.0mmの導水性繊維束を形成していることが好ましい。
導水性繊維束が少なくとも地組織のメッシュ編地の一部分を形成する場合、メッシュ編地の40%以上を形成することが好ましく、より好ましくはメッシュ編地の50%以上、さらに好ましくは100%を形成することである。
導水性繊維束において、地組織によって水分を吸上げる際の水分量を多く保つと同時に、地組織に空気を通過させる際の圧力損失を抑え、さらには地組織を通過する空気が導水性繊維束に含まれる水分をより効率的に蒸散させる上で、導水性繊維束の幅は0.7〜3.5mmが好ましく、長さは2.0〜15.0mmが好ましい。導水性繊維束の幅が0.7mm未満の場合、水を吸上げる水分量が不足し蒸散性が低下し冷却機能が劣るものとなる。逆に、幅が3.5mmを越えると、地組織に空気を通過させる際の圧力損失が大きくなると共に、導水性繊維束の内部の水分の蒸散効率が低下し冷却機能が劣るものとなる。好ましくは1.0〜3.0mmである。
導水性繊維束の長さは2.0〜15.0mmが好ましく、長さが2.0mm未満の場合、水を吸上げる性能が劣ると同時にメッシュ編地に開口を形成することが困難となり、空気の通過時の圧力損失の高いものとなる。長さが15.0mmを越える場合は、メッシュの形状が大きくなり、形態安定性に劣るものとなる。好ましくは4.0〜10.0mmである。
地組織における導水性繊維束において、多くの水分を吸い上げると同時に、メッシュの開口部を空気が通過する際に多くの水分を蒸散させるために、導水性繊維束の見掛け密度が重要であり、該見掛け密度は0.2〜0.7g/cm3であることが好ましい。導水性繊維束において、各フィラメント間に生じる毛細管の形成のためだけでなく、多量の水分を保持できる適度な空間を形成するため、導水性繊維束の見掛け密度を上記範囲とすることが好ましい。見掛け密度が0.2g/cm3未満の場合、毛細管現象によって水分を吸い上げる性能が不十分となり、見掛け密度が0.7g/cm3を越えると、毛細管現象により吸上げる高さは増すものの、導水性繊維束の中心部の水分が蒸散しにくくなり、蒸散性能が低下し冷却機能が劣るものとなる。見掛け密度の好ましい範囲は0.25〜0.65g/cm3、より好ましい範囲は0.3〜0.6g/cm3である。
導水性繊維束を前記の見掛け密度で形成するためには、導水性繊維束を構成する各フィラメントの間に適度な空隙を作る必要があり、このため導水性繊維束を形成する各フィラメントは未加工糸よりも仮撚加工糸であることが好ましく、導水性繊維束を構成するフィラメントの50%以上が仮撚加工糸であることが、水の吸上げ性能及び蒸散性能高める上で好ましい。より好ましくはフィラメントの70%以上が仮撚加工糸であることである。
又、導水性繊維束を構成するフィラメントの間に適度な空隙を作る上で、フィラメントの断面は丸断面より異型断面であることが好ましい。異型断面の形状は、W型、L型、扁平型、三角型等の任意の断面形状を用いる事ができる。
地組織の導水性繊維束の幅を0.7〜3.5mm、長さを2.0〜15.0mm、見掛け密度を0.2〜0.7g/cm3とする際、導水性繊維束を形成するフィラメントの本数は、導水性繊維束の少なくとも一部の断面において250〜2100本であることが好ましい。フィラメントの本数を250〜2100本とすることで、水分を良好に吸上げ、蒸散するため優れた冷却機能を有するものとなる。フィラメントの本数が250本未満の場合、毛細管の形成が不十分で水の吸上げ性能が劣ると共に、水を吸い上げる水分量も減少し、冷却機能も低いものとなる。フィラメントの本数が2100本を越えると吸上げる水分量は増えるものの、水分が効率的に蒸散されなくなり、冷却機能が低下する。フィラメントの本数はより好ましくは300〜2000本、さらに好ましくは350〜1700本である。尚、導水性繊維束を構成する繊維はマルチフィラメントのみで構成されていても良く、マルチフィラメントとモノフィラメントの混合であっても良い。
導水性繊維束は地組織のニットループの集合によって形成されるが、幅方向に1〜4ウエール、長さ方向に2〜25コースで形成されていることが好ましい。より好ましくは、幅方向に2ウエール、長さ方向に3〜8コースで形成される。又、導水性繊維束は地組織の長さ方向に対して任意の角度で形成されていても良いが、長さ方向に並行に形成されることが水分の吸い上げ性能を上げる上でより好ましい。
又、立体編物全体において、単位体積に占める繊維の体積比率を適正にすることが、低圧力損失と水分蒸散性を両立する上で重要であり、好ましい繊維の体積占有率は3〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。ここで、繊維の体積占有率は立体編物の所定の体積における重量を測定し繊維の比重から体積に換算する方法で算出する。
本発明の気化熱冷却シートは、立体編物に積極的に水を供給することなく、下に貯めた水を自然に吸い上げて、立体編物の開口部に空気を通過させることにより冷却する冷却シート等に用いる場合、良好な冷却機能を得るために、立体編物の長さ方向の1分後の吸水高さが5.0cm以上であることが好ましい。ここでいう吸水高さとは、略垂直状に保持した短冊状の立体編物の下端を水に浸け、1分後の水の吸上げ高さを測定するものであり、短時間にどれだけ高く水を吸上げるかを測定するものである。吸水高さはより好ましくは5.5cm以上、さらに好ましくは6.0cm以上である。
本発明の気化熱冷却シートは、直角方向から1m/secの風速の空気を流した時の圧力損失が25Pa以下であることが好ましい。なお、圧力損失の測定方法については後述する。この圧力損失が25Pa以下であれば、効率的に空気が気化熱冷却シートを通過し、空気と水の接触が増えることにより蒸散量が増加し冷却効果が向上すると共に、ファンモーター等への負担が軽減され省エネ効果につながるため好ましい。さらに好ましくは15Pa以下である。また、一定蒸散量を確保するために必要な水分を繊維が保持するためには一定以上の繊維量と圧損が必要であるため、1.5Pa以下にすることは困難である。
本発明の気化熱冷却シートに用いる表裏のメッシュ編地及び連結糸に用いる繊維素材は、任意の素材を用いることができるが、水分の蒸散性能を高めるためには、ポリエステル繊維やナイロン繊維等の公定水分率が5%以下の合成繊維を用いることが好ましく、より好ましくはポリエステル繊維である。使用する繊維の繊度は、表裏のメッシュ編地に使用する繊維の場合、150〜600デシテックス、フィラメント数は30〜200本が好ましい。連結糸に使用する繊維の場合、100〜400デシテックス、フィラメント数は1〜200本が好ましい。又、連結糸については、立体編物の形態安定性を向上させる上で、モノフィラメントを一部に用い、マルチフィラメントを併用することで吸水量を向上させることが好ましい。連結糸に用いるマルチフィラメントは、表裏の地組織の導水性繊維束から、表裏の中間の連結糸部分に水を供給するため繊維度は50〜300デシテックス、フィラメント数は30〜200本であることが好ましく、より毛細管現象の働く未加工糸を用いることが好ましい。
本発明の気化熱冷却シートの厚みは3〜20mmであることが好ましい。厚みが3mm未満では連結部分に保持できる水分量が低下し、20mmを超えると一定体積あたりに保持できる水分量の低下により、蒸散性が低下し冷却機能が劣るものとなる。
本発明の気化熱冷却シートに用いる立体編物は、生機が精練、吸水加工、ヒートセット等の工程を経て仕上げられるが、水を吸上げる性能を高めるためには、通常、繊維加工に用いられる吸水加工を行なうことが好ましい。又、仕上げセット時には本発明の目的を損なわなければ、通常、繊維加工に用いられる抗菌加工および防カビ加工を施すことが好ましい。
又、本発明の気化熱冷却シートの導水性繊維束の構造を適正に形成させるためには立体編物のヒートセット工程が極めて重要であり、特に導水性繊維束の見掛け密度を本発明の特殊範囲にするためには、オーバーフィード率をヒートセット時の通常一般のオーバーフィード率より高めてヒートセット加工を行うことで、単繊維間に適度な空隙を形成することが好ましい。
本発明の気化熱冷却シートへの吸水方法はスプレーによって噴射て吹き付ける方法、水滴を落下させ染み込ませる方法、下部に水を貯めそれを冷却シートで吸い上げる方法、上部に水を貯めその水を冷却シートで吸って拡散させる方法など環境に応じて任意の方法を用いてよい。
本発明の気化熱冷却シートを屋外で用いる場合は、耐光性を付与するために紫外線吸収剤を付与することが望ましい。又、光触媒加工を行うことで、耐光性に加え抗菌や防汚効果を持たせることも有効な手段である。
本発明の気化熱冷却シートの表裏の地組織を構成する繊維を、表裏で異繊度の繊維を用いることで、蒸散量をある程度維持した状態で、圧力損失を低下することが可能である。又、地組織を構成する繊維束を表裏で編方向に対してヨコ方向に2分の1ピッチずらすことで、空気を効率よく繊維表面全体に当てることが可能となるため圧力損失は少々増加するが、蒸散量を増加させることができる。
本発明の気化熱冷却シートは、エアコン室外機及び太陽電池パネルなどの冷却用に好適に用いられる。また、軒先テントおよび日除けスクリーン等として日光の遮断および気温低下のために好適に用いられる。例えば、エアコン室外機の冷却のためには、エアコン室外機の四周の少なくとも一面、好ましくは全面に本発明の気化熱冷却シートを設け、上部または下部より給水してやればよい。また、軒先テントの場合、テント自体を本発明の気化熱冷却シートで作製し、上部に給水機構をもうければよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、実施例中の各特性の評価および測定は下記の方法で行った。
(1)地組織全面積中に占める繊維の面積比率
立体編物の地組織を、地組織面に対して直角方向からマイクロスコープにより写真撮影し、地組織全面積に対して繊維が占める面積比率(%)を計算する。測定は3回行い平均値を求める。
(2)導水性繊維束の幅および長さ
立体編物の地組織を、地組織面に対して直角方向から導水性繊維束全体が見られる程度の拡大写真をマイクロスコープにより撮影し、その画像を用いて導水性繊維束の幅(mm)および長さ(mm)を拡大写真の倍率から比率計算によって算出する。測定は3回行い平均値を求める。
図1は、地組織が略六角形のメッシュ編地の導水性繊維束を撮影した写真の一例である。本例の場合、メッシュを構成する繊維は全て複数本から構成されている。従って、図中、1及び1´は複数の繊維から構成された導水性繊維束である。導水性繊維束の長さはメッシュを構成する略多角形の内辺の一辺の長さであり、又、導水性繊維束の幅とは略多角形の一辺の幅である。すなわち、図1においてはaが導水性繊維束1の長さであり、bが導水性繊維束1の幅である。また、a´が導水性繊維束1´の長さであり、b´が導水性繊維束1´の幅である。
(3)導水性繊維束の見掛け密度
上記(2)で幅および長さを測定した導水性繊維束を立体編物から切り出し、導水性繊維束から連結糸を根元部分でカットして取り除く。切り出した導水性繊維束の厚み(mm)をマイクロスコープにより写真撮影し、寸法を測定する。又、導水性繊維束の重量(g)を測定し、下記式により見掛け密度を計算する。測定は任意に3ヶ所の同一形状の導水性繊維束で行い平均値を求める。
見掛け密度(g/cm3
=重量(g)÷幅(mm)÷長さ(mm)÷厚み(mm)×1000
(4)1分後の吸水高さ
立体編物から長さ20cm×幅2.5cmの短冊を切り出し、立体編物を長さ方向の一端で把持して垂直に垂らし、下端の2cmを水に浸し、1分後に吸い上げる水の高さを測定する。測定は3回行い平均値を求める。
(5)吸水量
上記(4)の測定において1分後の吸水高さを測定した直後に、水面位置から水面上5cmの高さまでの立体編物(5cm×2.5cm)を切り出し、含水した立体編物の重量(g)を測定する。該立体編物を温度60℃の乾燥機にて絶乾状態として重量(g)を測定し、含水時の重量から絶乾時の重量を差し引いて、吸水量(g)を求める。
(6)蒸散量
パナソニック製加湿機(FE−KLE03)の円筒フィルターを取り外し、送風路の中間部に送付路をタテ9cm×ヨコ16.2cmの立体編物(1枚)で覆い、立体編物の下端がトレーの水に1cm浸かる状態となる様に、立体編物を取り付ける。該加湿機を天秤上に置き、温度20℃、湿度30%RHの人口気候室の中で加湿機を1時間運転し、加湿機の重量減少(タンク内の水の減少量)を測定し、蒸散量(g)とする。測定は3回行い平均値を求める。
(7)圧力損失(Pa)
外径160mm、内径 mm、長さ600mmの2本の円筒管の間に、直径160mmの円の外周部分を樹脂で密閉した立体編物を把持し、円筒管の片側から吸引ダクトにより風速1m/秒の風速で吸引する際の、立体編物前後の円筒管の差圧(Pa)を測定する。測定は3回行い平均値を求める。
[実施例1、実施例2、実施例5]
6枚筬を装備し、釜間12mmの18ゲージのダブルラッセル編機を用い、地組織を形成する筬(L1、L2、L5、L6)にポリエステル仮撚加工糸334dtex/96fを供給し、連結糸を形成する筬(L3、L4)のL3にポリエステルモノフィラメント200dtex/1fを供給し、L4にポリエステル原糸84dtex/36fを供給して略六角形のメッシュ編地を形成し、略六角形の向かい合う長さ方向の2辺(長さは4コース分)を2ウエールで形成し、導水性繊維束とし、その他の辺を1ウエールで形成し、生機を得た。該生機を精練および吸水加工後、幅出し率を1.35倍とし、オーバーフィード率を10%、6%および3%と変更してヒートセットし、厚み10mmの立体編物を得た。得られた立体編物の特性を表1に示す。実施例1、2は吸水量、蒸散量の高いものであった。又、実施例5においては吸水量、蒸散量がやや劣る結果となった。
[実施例3]
地組織を形成する筬(L1、L2、L5、L6)に供給する繊維として、ポリエステル仮撚加工糸167dtex/48fを使用した以外は実施例1と同様にして、略六角形のメッシュ編地の生機を得た。該生機を精練および吸水加工後、幅出し率を1.35倍とし、オーバーフィード率を10%としてヒートセットし、厚み10mmの立体編物を得た。得られた立体編物の特性を表1に示す。これらの立体編物は地組織の導水性繊維束が細いため吸水量、蒸散量がやや劣るものであったが、低圧力損失のものであった。
[実施例4]
地組織を形成する筬(L1、L2、L5、L6)に供給する繊維として、ポリエステル原糸334dtex/96fを使用した以外は実施例1と同様にして、略六角形のメッシュ編地の生機を得た。該生機を精練および吸水加工後、幅出し率を1.35倍とし、オーバーフィード率を10%としてヒートセットし、厚み10mmの立体編物を得た。得られた立体編物の特性を表1に示す。これらの立体編物は地組織を構成する糸が原糸であり、導水性繊維束を構成する各フィラメントの間の空隙が小さい結果、地組織が占める面積比率、導水繊維束の幅が低下し、蒸散量がやや劣る結果となった。
[比較例1]
地組織を形成する筬(L1、L2、L5、L6)に供給する繊維として、ポリエステル仮撚加工糸167tex/48fを使用した以外は実施例3と同様にして、略六角形のメッシュ編地の生機を得た。該生機を精練および吸水加工後、幅出し率を1.35倍とし、オーバーフィード率を3%としてヒートセットし、厚み10mmの立体編物を得た。得られた立体編物の特性を表1に示す。本立体編物は、地組織が占める面積比率が小さ過ぎるため、吸水量、蒸散量が劣るものであった。
[比較例2]
実施例1と同様の繊維を用い、略六角形の向かい合う長さ方向の2辺(長さは4コース分)を6ウエールで形成し、導水性繊維束とした生機を得た。なお、メッシュ形状は略六角形とはいえ、長さ方向の2辺を6ウエールとしたため、かなり円形に近いものであった。該生機を精練および吸水加工後、幅出し率を1.2倍とし、オーバーフィード率を6%としてヒートセットし、立体編物を得た。得られた立体編物の特性を表1に示す。本立体編物は、地組織が占める面積比率が大き過ぎるため、吸水量は高いものの蒸散量が悪く、蒸散量の劣るものであった。又、圧力損失は極めて高いものであった。
Figure 2014141759
上記の実施例1〜5及び比較例1、2の立体編物を所定の長さに切り分け、樹脂で作製された室外機全体を覆うような枠にはめ、室外機に被せ、上部に水を供給する貯水部を設け、真夏の炎天下で室外機の温度が低下するかを測定した。その結果、実施例1〜3では室外機の温度が約10℃低下した。実施例4、5においては室外機の温度が8℃ほど低下するものであった。又、比較例1、2においては室外機の温度低下がほとんど見られなかった。
又、上記の実施例1〜5及び比較例1、2の立体編物を所定の長さに切り分け、軒下テントとして真夏の炎天下で評価試験を行った。その結果、室外機のカバーと同様に実施例1〜3では軒下テント直下5cmの気温が約5℃低下した。実施例4、5においては、約3℃の冷却機能であった。又、比較例1、2においては約1℃の冷却効果であった。
本発明の気化熱冷却シートは、立体編物である事を特徴とし貯まった水分を立体編物の表裏2層の地組織で吸引する性能が高いことに加え、立体的に繊維が配置されているため、空気との接触面積が大きいにもかかわらず、圧力損失は低く、高い蒸散性と低圧力損失で水分を気化することができ、優れた気化熱冷却シートとして好適に用いられる。
1 導水性繊維束
1´ 導水性繊維束
a 導水性繊維束の長さ
a´ 導水性繊維束の長さ
b 導水性繊維束の幅
b´ 導水性繊維束の幅

Claims (6)

  1. 表裏2層のメッシュ編地を連結糸により連結した立体編物であって、該表裏2層のメッシュ編地において、少なくとも片側のメッシュ編地の地組織全面積中に占める繊維の面積比率が20〜70%であることを特徴とする気化熱冷却シート。
  2. 表裏2層のメッシュ編地の少なくとも一部が幅0.7〜3.5mmおよび長さ2.0〜15.0mmの導水性繊維束からなり、該導水性繊維束の見掛け密度が0.2〜0.7g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の気化熱冷却シート。
  3. 導水性繊維束が250〜2100本のフィラメントで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の気化熱冷却シート。
  4. 導水性繊維束を構成するフィラメントの50%以上が仮撚加工糸であることを特徴とする請求項2または3に記載の気化熱冷却シート。
  5. 直角方向から1m/secの風速の空気を流した時の圧力損失が20Pa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の気化熱冷却シート。
  6. エアコン室外機の冷却に使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の気化熱冷却シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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