JP2014141495A - 抗原結合性タンパク質 - Google Patents

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Abstract

【課題】β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害、特に加齢性黄斑変性症及び緑内障型疾患、β-アミロイド依存性白内障形成の治療方法の提供。
【解決手段】ストレプトアビジンチップに捕捉されたペプチドを使用する表面プラズモン共鳴アッセイにおいて、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12と結合するが、β-アミロイドペプチド2-13とは結合しない抗原結合性タンパク質、あるいは該抗原結合性タンパク質と、補体経路インヒビター又は補体経路活性化因子のインヒビターとを含む医薬組成物、及び該表面プラズモン共鳴アッセイを用いて治療有効量の該抗原結合性タンパク質を投与する治療方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、β-アミロイドペプチド、特にヒトβ-アミロイドペプチドに結合する抗原結合性タンパク質を用いた、β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害、特に加齢性黄斑変性症や緑内障型疾患、及びβ-アミロイド依存性白内障形成を治療する方法に関する。本発明の他の態様は、以下の記述から明らかになる。
中枢神経系(CNS)とCSF(脳脊髄液)間、CSFと血液間、及びCNSと血液間でのAβの効率よい輸送と共に、中枢神経系(CNS)と血漿の間のβ-アミロイド(Aβ)の輸送が、脳β-アミロイドレベルの調節において重要な役割を果たしていることが、徐々に明らかになりつつある(Shibata (2000); Zlokovic (2004); Deane 及びZlokovic (2007))。従って、積極的なAβペプチドのワクチン接種、又は消極的な特異的Aβ抗体の投与は、迅速に、末梢のAβにより変化する血漿、CSF、及び最終的にCNS間の動的平衡につながる。この原理は、血液網膜関門などの関門が、潜在的に、Aβの自由交換又は抗体自体の取込みを妨げ、かつ網膜色素上皮(RPE)細胞層の基底膜及びブルッフ膜内層の下方に形成されたプラーク様沈着、すなわちドルーゼンへのアクセスを妨げる他の領域にも当てはまりうる(Luiblら,(2006))。血中末梢でのβ-アミロイドの結合を通じて、いわゆる「シンク」は、関門を越えて物理的勾配を付与することによって確立され、それによりその区画及びその環境内でのβ-アミロイドレベルが低下し、次いでAβ関連病理が減少すると推定されてきた(DeMattosら,(2002))。これにより、例えば、ある種の形のβ-アミロイドの細胞毒性作用を防止することによって、細胞生存の点で利益が得られるであろう。他方で、抗体は、血液脳関門を超えて浸透することが示され、従ってβ-アミロイド関連毒性に影響を受けた細胞環境への直接侵入による作用を解明し、そしてβ-アミロイドの除去若しくは中和、沈着防止、又はアミロイド前駆体プロセシングを変化させることによって働きうる(Deaneら,(2005);Bardら,(2000);Rakoverら,(2006))。
加齢性黄斑変性症(AMD)は、先進国世界では失明の主要原因である。AMDの主要な臨床症状は二つある。萎縮型(乾燥)AMDは、網膜色素上皮(RPE)及び神経網膜の変性を特徴とする。萎縮型AMDの初期は、RPE細胞層下でのドルーゼンの形成に関連する。初期萎縮型AMDは、RPEが完全に変性し、網膜黄斑部領域中にRPE萎縮の境界が明確に画定された領域「地図状萎縮」が形成される末期疾患に進行する虞がある。この形態の疾患では、RPEの変性によって、黄斑部の桿体及び錐体の二次的な死がおこり、これらの例では、これが重篤な年齢関連失明につながる。AMD患者の一部は、異なる形態、又は疾患のさらなる合併症とみなされるものを発症する。AMD患者の約10〜20%が、脈絡膜新生血管形成(CNV)を発症する。これが生じた場合、その疾患形態は「滲出型AMD」として知られ、これは最も重篤な失明の数種と関連付けることができる。滲出型AMDでは、脈絡膜の新たな血管はブルッフ膜の裂け目を通じて成長し、RPE及び神経網膜の中及びその下へ増殖する。典型的な事例では、萎縮型AMDは、滲出型が発生する前に眼に発生するが、まれな事例では、新生血管形態は、萎縮型の前発生がなくても生じることがある。両疾患型では、失明は、感光体細胞の死により生じるが、滲出型AMDでは、CNV中に形成された漏出性血管からの内出血によって失明が起こる。AMDの治療に関しては、滲出型AMDのいくつかの側面に対処する新たな治療の開発において、特にVEGF(血管内皮増殖因子)又はVEGF受容体シグナル伝達経路を阻害する様々な分子による、CNVからの漏出性血管出血の減少において、いくらかの進歩が見られた。しかし、今ところ、AMDの極めて一般的な萎縮形態を治療し、又は初期非滲出型AMDが、地図状萎縮又は滲出型AMDへ進行するのを防止する最終的手段はない(Petrukhin K (2007))。
AMDでのドルーゼン形成と、アルツハイマー病(AD)でのプラーク形成との間にはかなりの類似性がある。病理組織学的研究及びプロテオミクス研究から、ドルーゼンが、ADプラークと類似するタイプのタンパク質成分を含むことが分かっている。萎縮型AMD中のドルーゼン成分としてのアポリポタンパク質E及びβ-アミロイド(Aβ)タンパク質の存在から、ADのプラーク経路とAMDのドルーゼン形成との間に幾分の共通性が示唆される。ドルーゼン中に見られるAβは、局所的にRPE細胞に由来すると考えられる。加齢プロセス、さらに二次的炎症による抑止の関与も、AMDとADの両方に関連していると思われる。AMDに関連する炎症プロセスでは、C-反応性タンパク質(CRP)及びAβタンパク質などの急性タンパク質の発現で関連する上昇が見られる。これらのタンパク質のどちらも、ペントラキシンタンパク質クラスの一部であり、それらは、補体活性化及び炎症誘導性サイトカインの活性化を誘導しうる。活性化された補体成分は、ドルーゼンにも見られ、そして第二補体経路に関与する遺伝子のいくつかの多型は、AMDの発症に関連することが示されている。特に主要制御因子である補体因子H(CFH)には多くの多型が記載されているが、因子B、C2及びC3についても記載されている。そのような多型の関与は、機能障害により活性化された又は調節された第二補体経路がAMDと関連するということである。活性化補体成分は、細胞を溶解し、VEGFなどのサイトカインの放出をもたらすことができる最後の膜侵襲複合体の形成につながる。ADなどの疾患では、Aβタンパク質を含むプラーク沈着及び神経原線維変化が補体経路を活性化し、その結果ドルーゼン中のAβタンパク質の存在が、AMDで同様の作用を有することが可能になることが知られている(Rodrigues E (2007);Johnson LV (2001);Hageman GSら,(2001))。近年の研究で、米国でのAD患者中のAMD有病率が調査され、AD患者中、後期及び初期AMDの症例数は予想された数のおよそ2倍であったことが判明した(Baumritterら,(2007))。これに反して、予想された人口に基づく初期の研究では、進行したAMDを有する個人でADを発症する危険性が高いことが確認されていた(Klaver CCら,(1999))。
ドルーゼン中に存在するβ-アミロイドを特徴づける当初の研究では、ADプラーク中に存在するβ-アミロイドとの違いをいくつか強調するものであった。あるドルーゼンは、コンゴレッドで弱く染色されることが分かったが、ドルーゼンのβ-アミロイドは、コンゴレッドで染色され、ADのプラークのβ-アミロイドでは偏光下で観察される、β-アミロイドの緑色複屈折を示さないように見えた。しかし、ドルーゼン中に存在するβ-アミロイドの確認は、クリスタルバイオレット染色及びチオフラビンT染色によって行うことができた。この初期の研究の結論は、ドルーゼンは、β-アミロイドの特性のいくつかを示し、数種のβ-アミロイド関連タンパク質を含むが、それらは、真のβ-アミロイドに特徴的な原線維を含まないことがデータから強く示唆されるというものであった。しかし、この研究は、ADの大脳β-アミロイドの主成分であるAβペプチドを検出できなかったばかりか、ドルーゼンでアミロイド前駆体タンパク質(APP)も検出できなかった(Mullins RFら,(2000))。これは、ドルーゼンと、Aβペプチドに対するモノクローナル抗体との反応を報告した初期研究とは対照的であった(Loeffler Kら,(1995))。
さらに、ドルーゼン中に存在するβ-アミロイド、及び加齢とAMDの関連性の極めて詳細な特徴づけが実施されている(Johnson LVら,(2002)、Anderson DHら,(2004))。β-アミロイドは、ドルーゼンの下位構造小胞成分と関連していることが分かっており、このβ-アミロイドは、活性化された補体成分(補体C3)と共に、いわゆる「アミロイド小胞」中に共存し、このアミロイド小胞は、β-アミロイド沈着が補体カスケードの局所的活性化を引き起こすであろう補体活性化の主要部位でもありうる。従って、β-アミロイドは、RPEの萎縮、ドルーゼンの生合成、及びAMDの病因につながる、局所炎症事象の重要な成分でありうる。β-アミロイド含有ドルーゼンの超構造的組織化及び組織化学的染色特性を152例のドナーヒト眼球で調査した。β-アミロイドは、同心性環状構造として組織化された球形成分に見られたが、これらはドルーゼンの共通する下位構造成分である。その下位構造は、中心コアと一若しくは複数の同心性内環から構成され、Aβに対する免疫活性の大部分は、断続した領域iC3bを同定することもできる、高密度に充填された球形下位単位の外側層と関連する。球形構造は、硬性ドルーゼンに見られ、直径2〜10μmの範囲であり、臨床的AMDが有るものも、無いものもあるドナー眼の黄斑部及び末梢部ドルーゼン中に見ることができる。その82例にAMDの臨床的証拠がある152例のドナー試料のドルーゼンで形態分析を実施した。この研究では、ドルーゼン量(load)は年齢によって様々であった。ドルーゼンをほとんど又はまったく有しないドナーの割合は年齢と共に劇的に減少し、年齢と共に、特に70歳を越えるようなドナーでは、中程度から大量のドルーゼン量を有するドナーの割合が上昇した。少量のドルーゼン量を有するドナーに関しては、Aβアセンブリの証拠を有するドナーの割合はほぼ50%であったが、それに対して中程度から大量のドルーゼン量を有するドナーに関しては、Aβアセンブリを有する割合は100%に達した。臨床的AMDを有しないドナーの約半分が、Aβアセンブリの証拠を示すドルーゼンを有していたが、臨床的に診断されたAMDを有するドナーに関しては、約100%がAβアセンブリを有するいくつかのドルーゼンを保持していた。あるドルーゼンは、「アミロイド小胞」が高密度に充填されているであろうが、これはその総量のかなりの比率を占めうる。別の小さいドルーゼンは、1個の大きい小胞のみを含むことがあり、これもまたドルーゼン質量の大きな割合を占めうる。小胞は、ときには、発芽又は融合のプロセスで見られることもあった。Aβ免疫活性は、RPE細胞の細胞質にも見られた(Anderson DHら,(2004))。ドルーゼンに置き換えられ又はドルーゼンに隣接するいくつかのRPE細胞は、ドルーゼン中のβ-アミロイド小胞に見かけが類似する構造を含んでいた。RPE由来のAβの染色パターンは、成熟ドルーゼンの形成へ移行していた変性RPE細胞のものであると思われた。AD患者の脳中の凝集β-アミロイド原線維に特徴的である長手方向に配向された原線維の配列は、ドルーゼンでは確認することができなかった。ドルーゼンで見られた構造は、新型の高分子Aβアセンブリ及び活性化補体成分であるように見えた。ドルーゼン中でAβの存在が確認され、Aβが由来するアミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現は、RPE細胞において、いくつかの抗体試薬を使用し、記載されているADプラーク中での結合活性により強調された。
(i)アミノ酸1-16中のエピトープを有するマウス抗Aβモノクローナル抗体6E10(Chemicon)
(ii)アミノ酸17-24中のエピトープを有するマウス抗Aβモノクローナル抗体4G8(Signet Laboratories、米国マサチューセッツ州Dedham)
(iii)β-アミロイドペプチドの外側ではあるが、ヒトAPPのN末端のアミノ酸66-81内にあるエピトープを有するマウス抗APPモノクローナル抗体22C11(Chemicon)
(iv)ヒトAPPのアミノ酸44-63のペプチドに対して生起されたヤギ抗APPポリクローナル抗体(Chemicon)。
モノクローナル抗体6E10及び4G8の両方は、ドルーゼン中のアミロイド小胞を標識することができた。APP特異的モノクローナル抗体(22C11)は、RPE細胞質のいくつかの粒子染色のみを示しただけで、アミロイド小胞の標識を示さなかった。
6E10陽性小胞のいくつかは、APPポリクローナル抗体によってもわずかに染色されたが、APPではなくAβペプチドがこれらの粒子の実際の構成物である可能性が高い(Johnson LVら,(2002))。ドルーゼン関連アミロイド小胞に類似するサイズ及び形態の構造は、ヒトAPPタンパク質を発現するトランスジェニックマウスの脳で、6E10抗体に反応性であると記載されている(Terai Kら,(2001))。
正常な網膜中のドルーゼンと比較して、AMD患者のドルーゼン中のAβの存在に目を向けた研究では、AMDを有する眼の4/9及び正常な眼の0/9で、Aβ免疫活性が見られた(Dentchev Tら,(2003))。9例のAMD網膜は、初期AMD患者3例、地図状萎縮の3例、及び新生血管性AMDの3例からなり、陽性試料は、初期AMD患者のうち2例と地図状萎縮のうち2例であり、最大Aβ量は地図状萎縮を有する眼の萎縮端に見られた。Aβ含有小胞が、隣接するRPE細胞死の一因であること、又はそれらが、進行中の感光体若しくはRPEの機能異常若しくは死から生じること、しかしAβがAMDの初期及び後期で役割を担っている可能性があることが示唆された。
いくつかの実験では、Aβの主たる細胞傷害性作用の原因は、非原繊維Aβ中間体であり不溶性原線維ではないことが示唆されている(Anderson DHら,(2004)に概説)。補体活性化を誘発すること、並びにRPE及び/又は網膜神経節細胞の直接死をもたらす虞がある、細胞傷害性Aβペプチド形態を含む高分子凝集体を組み立てることによって、ドルーゼン中のAβは、AMDに関与する局所炎症プロセスの一因になりうる可能性がある(Anderson DHら,(2004))。さらなる研究では、ドルーゼン中にオリゴマーAβが検出されたが、これは、ドルーゼン中の上記Aβ含有小胞と共存するようには見えなかった(Luiblら,(2006))。この研究では、オリゴマーAβの反応性は、全てのドルーゼンで見られたが、ドルーゼンのない眼では見られなかった。
Aβがドルーゼンの生物学に関与するように思われ、その潜在的役割がAMDの病因に関与するように思われる前記方法に加えて、AβはVEGFと直接相互作用することも報告されており、これは、AD及びAMDの両方の病因においても役割を担っている可能性がある。VEGFは、AD患者脳のプラーク中でAβと共存していることが示されている。VEGFは、Aβと非常に強く結合ことが示されているが、少なくともインビトロでは、その結合はVEGF細胞結合又はVEGF分裂促進活性を損なうようには見えない。ADでのそのようなVEGF結合の役割は不明である(Yang SPら,(2004))。しかし、VEGFはAMDの病因で明白な役割を果たし、局所性の高レベルのAβ関連VEGFの潜在的局在化は、CNVの発生に関与している可能性がある。第二補体経路の活性化及び活性化補体成分は、VEGFの発現を誘発すると思われるが、Aβも、インビトロでヒトRPE細胞においてVEGFの発現を誘発できるという証拠も公開されている(Yoshida Tら,(2005))。加えて、Aβを分解するペプチダーゼをコードするネフリリシン(nephrilysin)遺伝子を破壊したマウスでは、RPE下でAβの沈着が増加し、RPE細胞の変性の増加も示されている(Yoshida Tら,(2005))。
AMD病理の全てを発生させる明確な動物モデルはないが、ヒト疾患でいくつかの興味深い知見及び類似点(parallels)が、アポリポタンパク質E(ApoE)遺伝子が改変されたトランスジェニックマウスの眼表現型で見られた。近年、脂質担持ApoEタンパク質とApoE受容体2との関連性が、神経芽細胞腫細胞でAPPのエンドサイトーシスを誘発し、Aβの生成をもたらすことが示された(He Xら,(2007))。マウスApoE遺伝子が不活化されているが、代わりにヒトApoE変異体:Apo E3 Leiden(Kliffen Mら,(2000))、特にApoE4を発現するトランスジェニックマウスは、高脂食を与えたとき、RPE下の基底層沈着からドルーゼン沈着及びCNVにわたる範囲の眼表現型を示す(Malek Gら,(2005))。ヒトApoE4を発現する老齢標的化置換マウスapoEマウスの眼は、高脂食下に置いたとき、ヒトAMD病理を模倣する変化、すなわち拡散したRPE下沈着、ドルーゼン、ブルッフ膜の肥厚、RPEの萎縮、色素脱失及び色素沈着過剰を発症した。ある場合には、マウスは顕著なCNVを発症し、網膜電図(ERG)による測定では視力消失があった。このモデルでは、CNVとドルーゼン様沈着に関連するマウスAβの存在、及び高レベルのマウスVEGFの存在も示される。そのモデルは、ADモデル脳内のAβ含有プラークを減少させるのと同様に、ドルーゼン量を減少させるために、β-アミロイドに対するモノクローナル抗体の静脈内注射を使用することができるという仮説を試験するために使用されているが、事前証拠は、抗Aβモノクローナル抗体を静脈内投与すると、これらのマウスでドルーゼン量が減少したことを示唆するものである(Bowes Rickman C (2007)及びDing, JD ら,(2008))。
要約すると、これにより、AMDの病理及び疾患で、β-アミロイドが重要な要因でありうる証拠が提供される。RPE中でAβの生成を生じる正確な機序、及びそれによってAβがAMDに作用するために働く正確な(単数又は複数の)機序は、完全には判明してはいないが、Aβに結合し、潜在的に中和し、又は単に除去する薬剤によるAβの排除が、AMDのドルーゼンを排除し、AMDの補体活性化を低減し、RPEの萎縮を低減し、RPE中でのVEGF発現の誘発と、ドルーゼン周囲の高レベルのその局在化とを潜在的に低減するのに可能な経路を提供しうることが証拠から暗示される。従って、そのような治療によって、AMDによる失明、並びに地図状萎縮及び/又は浸出性AMDへのその進行を予防し、遅延し、減弱し、又は逆転させる手段を提供できるであろう。これにより、結果的に、Aβ含有ドルーゼンレベル及び/又はRPE周囲環境の局所的なAβレベルを減少させ、それによってAMDの初期及び後期を妨害し、失明を引き起こす根底にある細胞の減退(decline)を治療できる可能性がある。
「緑内障型疾患」は、眼の視神経に損傷を与え、その結果失明をもたらす虞がある疾患群に使用される非特定的な用語である。それは、世界で、最終的に眼内圧(IOP)の上昇及び視力低下によって生じる失明の主原因である。IOPと、これが網膜神経節細胞(RGC)のアポトーシスにつながる仕組みとの関係はあまり分かっていない。高IOPは、単独でもアポトーシスを誘発しうるが(Cordeiroら,(2004);Quigleyら,(1995))、それ自体が唯一の視覚ニューロン(optic neuron)の細胞死の原因ではない。加えて、眼圧(eye pressure)を下げる薬剤による治療に続く、IOPの正常化後でさえも、視覚が引き続き悪化する可能性があることが観察されている(Oliverら,(2002))。
近年、β-アミロイドの潜在的細胞傷害性作用と、緑内障のRGCのアポトーシスとの関連性が報告されている(McKinnonら,(2002))。緑内障動物モデルでは、カスパーゼ-3プロテアーゼがRGCで活性化され、それが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の異常な処理につながることが実証されているが、その異常な処理は、カスパーゼ-3が、β-アミロイドを含むAPPの潜在的に傷害性のフラグメントを生成することによる(McKinnonら,(2002);Cheungら,(2004))。他の細胞中、RGCは、APPを発現することが分かっており、従ってこれが、β-アミロイドの可能な供給源と思われる。高レベルのAPP及び高レベルのβ-アミロイドは、カスパーゼ-3の活性化と関係付けられてきたが、これは主としてインビトロ系で観察されている。緑内障でもRGC中のAPPレベルが上昇し、それが、ポジティブフィードバック機序で、さらにいっそうβ-アミロイドの生成に貢献するかどうかは不明である。より最近では、緑内障ラットモデルで、β-アミロイドとRGCのアポトーシスの関連性が示唆されている(Guoら,(2007))。β-アミロイド、又はβ-アミロイドの生成を標的とする数種の薬剤を試験し、インビボで網膜神経節細胞死の減少が見られたが、全3種の治療を併用したとき、可能な穏やかな増強効果が伴った。抗β-アミロイド抗体を使用することによって、全3種の薬剤の併用で見られた効果にほぼ匹敵する最大効果が得られた。
要約すると、β-アミロイドは、緑内障型疾患の病理学で重要な要因である可能性があるという証拠をこれは提供するものである。RGCでβ-アミロイドの生成を引き起こす正確な機序、及びIOPとの関係は完全には理解されていないが、β-アミロイドに結合し、潜在的に中和し、又は単に除去する薬剤によってβ-アミロイドを排除することが、緑内障でRGCアポトーシスを予防するための可能な経路を提供し、従って緑内障で失明を遅延し、減弱し、又は逆転させる手段を提供しうることが、その証拠から暗示される。これにより、結果的に、RGC及び周囲環境でβ-アミロイドレベルが減少し、それによって失明を引き起こす、根底にある細胞減退に対処することができる。
β-アミロイドは、他の眼疾患で役割を担い、上掲の核白内障、特にAD患者で見られる核白内障の形成と関連付けられており、Aβの生成及びプロセシング経路の成分はレンズ内に存在する(Goldstein LEら,(2003);Li Gら,(2003))。従って、AMD及び緑内障型疾患への介入について記載された治療的手法は、Aβ依存性白内障形成の予防に適用可能であろう。
本発明の一実施形態において、β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害に罹患したヒト患者の治療方法であって、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12(配列番号15)と結合するが、β-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)とは結合しない(ここで両測定はストレプトアビジンチップ上に捕捉されたペプチドを利用する表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)抗原結合性タンパク質の治療有効量を該患者に投与するステップを含む方法を提供する。
本発明の別の実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12(配列番号15)と結合し、かつβ-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)との結合における平衡定数KDがペプチド1-12(配列番号15)との結合における平衡定数KDより1000倍よりも大きい(ここで両測定はストレプトアビジンチップ上に捕捉されたペプチドを利用する表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)。
本発明の別の実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12(配列番号15)と結合し、かつβ-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)との結合における平衡定数KDがペプチド1-12(配列番号15)との結合における平衡定数KDより10,000倍よりも大きい(ここで両測定はストレプトアビジンチップ上に捕捉されたペプチドを利用する表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)。
一態様において、ストレプトアビジンチップ上に捕捉されたペプチドを利用する表面プラズモン共鳴アッセイは、以下の実施例中に記載される表面プラズモン共鳴アッセイである。別の態様において、ストレプトアビジンチップ上に捕捉されたペプチドを利用する表面プラズモン共鳴アッセイは、以下にSPR BiacoreTM Analysisとして記載される方法A(i)である。
本発明の代替的な実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、平衡定数KDが10nM未満でβ-アミロイドペプチド1-40と結合するが、β-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)とは結合しない(ここで測定は以下の実施例の方法Bに記載される表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)。
本発明の別の代替的な実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、平衡定数KDが10nM未満でβ-アミロイドペプチド1-40と結合し、かつβ-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)との結合における平衡定数KDがペプチド1-12(配列番号15)との結合における平衡定数KDより1000倍よりも大きい(ここで両測定は以下の実施例の方法Bに記載される表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)。
本発明の別の代替的な実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、平衡定数KDが10nM未満でβ-アミロイドペプチド1-40と結合し、かつβ-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)との結合における平衡定数KDがペプチド1-12(配列番号15)との結合における平衡定数KDより10,000倍よりも大きい(ここで両測定は以下の実施例における方法Bに記載される表面プラズモン共鳴アッセイにおいてなされる)。
本発明の実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、β-アミロイドペプチドと結合し、かつ以下のCDRを含む、治療用の抗体若しくは抗原結合性フラグメント及び/又はそれらの誘導体である:
VH3遺伝子ファミリーを起源とするヒト重鎖可変領域内の
CDRH1: DNGMA(配列番号1)
CDRH2: FISNLAYSIDYADTVTG(配列番号2)
CDRH3: GTWFAY(配列番号3)
及び
GenPept登録番号CAA51135に開示されるアミノ酸配列(配列番号24)を起源とするヒト軽鎖可変領域内の
CDRL1: RVSQSLLHSNGYTYLH(配列番号4)
CDRL2: KVSNRFS(配列番号5)
CDRL3: SQTRHVPYT(配列番号6)。
本明細書中において、「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」なる用語は、Kabatら;Sequences of proteins of Immunological Interest NIH, 1987に示されるKabat番号付け系に従う。従って、以下に本発明のCDRを規定する:
CDR: 残基
CDRH1: 31-35B
CDRH2: 50-65
CDRH3: 95-102
CDRL1: 24-34
CDRL2: 50-56
CDRL3: 89-97
VH3遺伝子ファミリー及び関連する免疫グロブリン遺伝子の命名法はMatsudaら(Journal of Experimental Medicine, 188:2151-2162, 1998)及びLefranc & Lefranc(The Immunoglobulin Factsbook. 2001. Academic Press: London)に記載されている。
特定の実施形態において、ヒト重鎖可変領域は以下のものを起源とする:
・以下のVH3ファミリーメンバーのサブセットから選択されるV遺伝子:VH3-48、VH3-21、VH3-11、VH3-7、VH3-13、VH3-74、VH3-64、VH3-23、VH3-38、VH3-53、VH3-66、VH3-20、VH3-9及びVH3-43
・以下のVH3ファミリーメンバーのサブセットから選択されるV遺伝子:VH3-48、VH3-21及びVH3-11
・VH3-48遺伝子
又はそれらの対立遺伝子。
Genbank登録番号M99675の配列はVH3-48遺伝子の対立遺伝子である。M99675は、ヒト重鎖遺伝子VH3-48(配列番号22)を構成し、かつ配列番号21で表される可変領域アミノ酸配列をコードする2つのエクソンを含んでなる一片のゲノムDNAのGenbankヌクレオチド配列である。特定の態様において、ヒトアクセプター重鎖フレームワークはM99675に由来する。
完全なV領域を構築するために、フレームワーク4は生殖細胞系にコードされたV遺伝子M99675に付加されなければならない。好適なフレームワーク4配列は、ヒトJH4ミニ遺伝子(Kabat):
YFDYWGQGTLVTVSS (配列番号23)
[最初の4残基は、ドナー抗体より受け入れたCDRによって置換されているCDR3領域内に含まれる]
によってコードされるものを含む。
当業者は、生殖細胞系V遺伝子及びJ遺伝子が重鎖CDR3全体のコード配列を含まないことを理解する。しかし、本発明の抗体において、CDR3配列はドナー免疫グロブリンによって提供される。したがって、VH3-48などのVH遺伝子、JH4などのJHミニ遺伝子並びに配列番号1、配列番号2及び配列番号3などの重鎖CDRのセットの組み合わせ(成熟した、完全に再構成された重鎖可変領域を模倣するように構築される)は、配列番号26、28、30で表されるような本発明の重鎖可変領域を規定するのに十分である。
Genpept ID CAA51134によってコードされる可変領域は、配列番号24で表されるアミノ酸配列を有する。
GenPept ID CAA51134で知られる軽鎖可変領域フレームワーク配列は完全に再構成された軽鎖可変領域の推定アミノ酸配列であり、当該データベース内の同じフレームワークを有する別のアミノ酸配列(Genpeptアクセッション番号S40356)と同一であり、またKlein, R.ら、Eur. J. Immunol. 23(12), 3248-3262(1993)に記載されている。CAA51134のDNAコード配列(Genbankアクセッション番号X72467として利用可能である)は、配列番号25で表される。
本発明の特定の実施形態において、ヒトアクセプター重鎖フレームワークはM99675に由来し、JH4ミニ遺伝子及びヒトアクセプター軽鎖フレームワークはCAA51135に由来し、必要に応じて、配列番号17の配列を有するドナーVHドメイン及び配列番号19の配列を有するVLドメイン中に見出される対応する残基に基づいて1又は複数(例えば1〜4、より好ましくは1〜3)のアミノ酸残基の置換を含有し、これらはβ-アミロイドペプチドに対するドナー抗体の結合アフィニティを完全に又は実質的に完全に維持している。
「結合アフィニティを実質的に完全に」とは、治療用抗体の結合アフィニティがドナー抗体と比べて最大でも10倍低下していることを意味する。
さらに特定の実施形態において、M99675及びJH4に由来するヒトアクセプター重鎖フレームワークは、24位、48位、93位及び/又は94位(Kabat番号付け)から選択される1〜4個のアミノ酸残基の置換を有する。
さらに本発明の特定の実施形態において、M99675及びJH4に由来するヒトアクセプター重鎖フレームワークは以下の残基(又はその保存的置換)を含む:
(i)
位置 残基
93 V
94 S
又は
(ii)
位置 残基
24 V
93 V
94 S
又は
(iii)
位置 残基
48 I
93 V
94 S。
本発明の一実施形態において、治療用抗体は、配列番号26、28又は30に表される配列を有するVH鎖及び配列番号32に表される配列を有するVLドメインを含む。
本発明の別の実施形態において、治療用抗体は、配列番号34、36又は38に表される配列を有する重鎖及び配列番号40に表される配列を有する軽鎖を含む。
本発明の別の実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、配列番号34、36又は38に表される配列を有する重鎖及び配列番号40に表される配列を有する軽鎖を含む抗体と、ELISAアッセイにおいてβ-アミロイドとの結合について競合する。
当業者であれば、抗原結合性タンパク質(抗原結合性タンパク質A)が、特定の結合部位(β-アミロイド)について、配列番号34、36又は38に表される配列を有する重鎖及び配列番号40に表される配列を有する軽鎖を含む抗体(抗体B)と競合するために、抗原結合性タンパク質Aが上記アッセイにおいて効果を有するために十分な量で存在しなければならないことを理解している。特定の実施形態において、抗原結合性タンパク質A及び抗体Bは、等モル量で存在する。別の実施形態において、抗原結合性タンパク質Aの存在によって、ELISAアッセイにおける抗体Bとβ-アミロイドとの結合が、5%より多く、10%より多く、20%より多く、30%より多く、40%より多く又は50%より多く低減する。別の実施形態において、β-アミロイドは、ELISAアッセイにおいてイムノアッセイプレートに結合されている。別の実施形態において、抗原結合性タンパク質Aによって、抗体Bと、プレートに結合したβ-アミロイドとの結合が低減するが、非β-アミロイド特異的コントロールではそうではない。
本発明のさらなる実施形態において、抗原結合性タンパク質は、それぞれ配列番号34、36又は38、及び配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するポリペプチドを含む重鎖及び軽鎖を含み、β-アミロイドと結合する治療用抗体である。
本発明の別の実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、補体経路(特に第二補体経路)のインヒビター、例えば、他の抗補体手法を除外するものではないが、補体因子H(CFH)又はその断片、可溶性補体受容体1(sCR1)又はその断片、可溶性膜補助因子タンパク質(MCP)及びその断片、可溶性崩壊促進因子(DAF)及びその断片と組み合わせて投与される。これに関して、補体経路インヒビターは、補体経路、特に第二補体経路の活性を負に調節する分子である。
本発明のさらなる実施形態において、治療用の抗原結合性タンパク質は、補体経路活性化因子のインヒビター、特に第二補体経路活性化因子のインヒビター、例えば他の阻害手法又は他の補体経路標的を除外するものではないが、補体因子D又は補体因子B活性を中和するための抗体又は抗体フラグメント、例えばドメイン抗体と組み合わせて投与される。補体成分C3の13残基ペプチドインヒビターであるコンプスタチン、及び抗C5a補体成分抗体であるパキセリズマブもまた、本発明の範囲内で、補体経路活性化因子のインヒビターであるとみなされる。一般に、補体経路活性化因子のインヒビターは、所定の補体活性化因子の生物学的活性を、ある程度まで阻害又は遮断して、その作用が補体経路(特に第二補体経路)の活性を負に調節するような物質である。
補体標的化治療法についての最近の概説があり(Ricklin, D. & Lambris, J., (2007))、これに記載されている抗補体経路手法は、組み合わせ手法におけるこれらの実施形態に包含されるとみなされる。
補体経路インヒビター、又は補体経路活性化因子のインヒビターは、本発明の治療用の抗原結合性タンパク質と同時に、又は順次に、別個に若しくは交互に投与することができる。
本明細書に記載する治療用の抗原結合性タンパク質、及び補体経路インヒビター又は補体経路活性化因子のインヒビターを含む医薬組成物も提供する。
β-アミロイドに対する第1特異性と、補体経路の活性化因子に対する第2特異性とを有する二重特異性抗体又はその二重特異性フラグメントもまた提供する。
また、β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害の治療に使用するための、本明細書に記載する治療用の抗原結合性タンパク質を提供する。
また、β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の治療用の抗原結合性タンパク質の使用を提供する。
治療用の抗原結合性タンパク質の製造方法であって、該抗体をコードするポリヌクレオチドを宿主細胞において発現させることを含む方法も提供する。
本発明の一実施形態において、配列番号26、28又は30に表される配列を有するVH鎖を含む治療用抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施形態において、配列番号32に表される配列を有するVLドメインを含む治療用抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施形態において、配列番号34、36又は38に表される配列を有する治療用抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施形態において、配列番号40に表される配列を有する治療用抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施形態において、配列番号35、37、39又は42に表される配列を含む、治療用抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施形態において、配列番号41又は43に表される配列を含む、治療用抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
特定の実施形態において、治療用抗体は、(a)古典的経路による補体の活性化;及び(b)抗体依存性細胞傷害活性の媒介の機能を実質的に欠いている。
1. 抗原結合性タンパク質
1.1 インタクトな抗体
本発明の抗原結合性タンパク質は、「インタクトな抗体」でありうる。本発明の抗原結合性タンパク質としては、抗体若しくは抗原結合性フラグメント及び/又はその誘導体である、治療用抗体が含まれる。インタクトな抗体は通常、少なくとも2つの重鎖と2つの軽鎖を含む、ヘテロ多量体糖タンパク質である。IgMの他に、インタクトな抗体はおよそ150Kdaからなるヘテロ4量体糖タンパク質であり、これは2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる。典型的に、各軽鎖は1つのジスルフィド共有結合によって重鎖に結合しているが、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖間のジスルフィド結合の数は様々である。重鎖及び軽鎖のそれぞれはまた、鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に1つの可変ドメイン(VH)、続いて複数の定常領域を有する。各軽鎖は1つの可変ドメイン(VL)及びその別の端に1つの定常領域を有する。軽鎖の定常領域を重鎖の第1の定常領域と並列させ、軽鎖可変ドメインを重鎖の可変ドメインと並列させる。多くの脊椎動物種に由来する抗体の軽鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいてκ及びλと称される2つのタイプのいずれかに割り当てることができる。その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基いて、ヒト抗体を5つの異なるクラス(IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM)に割り当てることができる。IgG及びIgAはさらに、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;並びにIgA1及びIgA2に細分することができる。種による変種が存在し、マウス及びラットは少なくともIgG2a及びIgG2bを有する。抗体の可変ドメインによって、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる特定の可変性を示す領域により、抗体に結合特異性を付与する。可変領域のより保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。インタクトな重鎖及び軽鎖それぞれの可変ドメインは3つのCDRで結合された4つのFRを含む。各鎖のCDRはFR領域によって接近して結合され、他の鎖に由来するCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常領域は抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性(ADCC)、Fcγ受容体への結合を介した食作用、新生児Fc受容体(FcRn)を介した半減期/クリアランス速度及び補体カスケードのC1q成分を介した補体依存性細胞傷害活性への関与が示される。ヒトIgG2定常領域は、古典経路により補体を活性化する能力又は抗体依存性細胞傷害活性を仲介する能力を欠いている。IgG4定常領域は古典経路により補体を活性化する能力を欠き、抗体依存性細胞傷害活性をわずかに仲介するのみである。上記のエフェクター機能を実質的に欠いている抗体を、「非溶解性」抗体と称し得る。
1.1.1 ヒト抗体
本発明の抗原結合性タンパク質はヒト抗体でありうる。ヒト抗体は当業者に公知の複数の方法によって作製できる。ヒト抗体はヒトミエローマ又はマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞系を使用したハイブリドーマ法を使用して作製できる(Kozbor J.Immunol 133, 3001,(1984)及びBrodeur, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp51-63(Marcel Dekker Inc, 1987参照)。代替的な方法では、ヒトV領域レパートリーを利用するファージライブラリー又はトランスジェニックマウスを使用することを含む(Winter G,(1994), Annu.Rev.Immunol 12,433-455, Green LL(1999), J.Immunol.methods 231, 11-23参照)。
いくつかのトランスジェニックマウス系統が現在利用可能であり、それらのマウス免疫グロブリン遺伝子座はヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントと置換されている(Tomizuka K,(2000)PNAS 97,722-727; Fishwild D.M (1996)Nature Biotechnol. 14,845-851, Mendez MJ, 1997, Nature Genetics, 15,146-156、参照)。抗原チャレンジ時に、上記マウスはヒト抗体のレパートリーを作製することができ、これより目的の抗体を選択することができる。
特に注目すべきなのは、TrimeraTMシステム[(Eren Rら、(1998)Immunology 93:154-161)参照、ヒトリンパ球を放射線照射マウスに移植する]、Selected Lymphocyte Antibody System[(SLAM, Babcookら、PNAS(1996)93:7843-7848参照)、ヒト(又は他の種)のリンパ球を大量プールのin vitro抗体産生法、その後デコンブレート(deconvulated)、限界希釈及び選択手順に付す]並びにXenomouse IITM(Abgenix Inc)である。代替的手法としては、MorphodomaTM技術を使用するMorphotek Inc製のものを利用することが可能である。
ファージディスプレイ技術をヒト抗体(及びそのフラグメント)を作製するために用いることができる(McCafferty; Nature, 348, 552-553(1990)及びGriffiths ADら、(1994)EMBO 13:3245-3260参照)。当該技術において、抗体Vドメイン遺伝子を線維状バクテリオファージのメジャー又はマイナーコートのタンパク質遺伝子(例えば、M13又はfd)のいずれかにインフレームでクローニングし、(通常ヘルパーファージを用いて)ファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとしてディスプレイする。抗体の機能的特性に基づく選択により、当該特性を示す抗体をコードする遺伝子を選択する。ファージディスプレイ法を用いて、上記疾患又は障害に罹患している個体より得たヒトB細胞又は非免疫化ヒトドナーより得たヒトB細胞より作製したライブラリーより抗原特異的抗体を選択することができる(Marks; J.Mol.Bio. 222,581-597, 1991参照)。インタクトなヒト抗体がFcドメインを含むことが望まれる場合、ファージディスプレイに由来するフラグメントを所望の定常領域を含みかつ安定して発現する細胞系統を確立する哺乳動物発現ベクターに再クローニングすることを必要とする。
アフィニティ成熟法(Marks; Bio/technol 10,779-783(1992))を用いて結合アフィニティを改良することができる。当該方法において、ヒト一次抗体のアフィニティは、H鎖及びL鎖のV領域を天然の変異体と逐次的に置換し、改良された結合アフィニティに基いて選択することによって改良される。「エピトープインプリンティング」などの当該法の改良法も現在利用可能である(WO 93/06213号参照)。さらに、Waterhouse; Nucl.Acids Res 21, 2265-2266(1993)参照。
1.1.2 キメラ抗体及びヒト化抗体
本発明の抗原結合性タンパク質は、「キメラ」又は「ヒト化」抗体であってもよい。ヒト疾患又は障害の治療におけるインタクトな非ヒト抗体の使用は、潜在的な免疫原性に関する、現在十分に確立された問題を伴う(特に、当該抗体の繰り返し投与時)。すなわち、患者の免疫系は非自己としてインタクトな非ヒト抗体を認識し、中和反応を開始し得る。完全なヒト抗体の開発に加えて(上記、参照)様々な手法が何年にもわたって開発されており、上記問題を克服し、通常インタクトな治療用抗体中の非ヒトアミノ酸配列からなる組成を減少させる一方で、免疫化動物(例えば、マウス、ラット又はウサギ)より非ヒト抗体を比較的容易に得ることは維持されている。概して、2つの手法を使用して、上記を達成することができる。第1はキメラ抗体であり、これは通常ヒト定常領域に融合されている非ヒト(例えば、マウスなどのげっ歯類)可変ドメインを含む。抗体の抗原結合部位は可変領域内に位置するために、キメラ抗体は抗原に対するその結合アフィニティは保持しているが、ヒト定常領域のエフェクター機能を獲得しており、上記のようなエフェクター機能を果たすことができる。キメラ抗体は通常、組換えDNA法を使用して作製する。抗体をコードするDNA(例えば、cDNA)を従来法を使用して単離し、配列決定する(例えば、本発明において有用な治療用抗体のH鎖及びL鎖の可変領域をコードする遺伝子(例えば、配列番号18及び20のDNA)に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用する)。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの典型的な供給源としての機能を果たす。単離した後、当該DNAを発現ベクターに組み入れ、そしてこのベクターを大腸菌、COS細胞、CHO細胞、PerC6細胞又はミエローマ細胞など(これらは本来、抗体合成のために免疫グロブリンタンパク質を産生しない)の宿主細胞にトランスフェクトする。当該DNAをヒトL鎖及びH鎖のコード配列を対応する非ヒト(例えば、マウス)H及びL定常領域に置換することによって改変することができる(例えば、Morrison; PNAS 81, 6851 (1984)参照)。したがって、本発明の別の実施形態において、治療用抗体は、ヒト定常領域に融合されている配列番号17の配列を有するVHドメインと配列番号19の配列を有するVLドメインとを含むキメラ抗体(IgGイソタイプ、例えば、IgG1であり得る)である。
第2の手法は、ヒト化抗体の作製を含む。当該方法において抗体の非ヒト含有量は可変領域をヒト化することによって減少させる。ヒト化のための2つの方法が注目されている。第1の方法はCDR移植によるヒト化である。CDRは抗体のN末端付近にループを構築する。ここにCDRはフレームワーク領域によってもたらされた骨格にマウントされた表面を形成する。抗体の抗原結合特異性は主に、トポグラフィーによって及びそのCDR表面の化学的特性によって規定される。これらの特徴は次に、個々のCDRの構造、CDRの相対的配置、CDRを含む残基の側鎖の性質及び配置によって決定される。免疫原性の大きな減少は、非ヒト(例えば、マウス)抗体(「ドナー」抗体)のCDRのみを好適なヒトフレームワーク(「アクセプターフレームワーク」)及び定常領域に移植することによって得ることができる(Jonesら、(1986)Nature 321,522-525及びVerhoeyen Mら、(1988)Science 239, 1534-1536参照)。しかし、CDR移植自体は抗原結合特性を完全に保持できず、有効な抗原結合アフィニティを回復する場合、ドナー抗体のいくつかのフレームワーク残基は、ヒト化分子中に保存する必要がある(しばしば“復帰突然変異”と称される)(Queen Cら、(1989)PNAS 86, 10,029-10,033, Co, Mら、(1991)Nature 351, 501-502参照)。この場合、非ヒトドナー抗体に対して最高の配列相同性(通常、60%又はそれ以上)を示すヒトV領域をデータベースより選択し、ヒトフレームワーク(FR)を提供し得る。ヒトFRの選択は、ヒトコンセンサス又は個々のヒト抗体のいずれかより行ない得る。必要に応じて、ドナー抗体由来の主要な残基をヒトアクセプターフレームワークに置換しCDR構造を保存してもよい。抗体のコンピュータモデリングを使用し、構造的に重要な残基などを同定するのに役立ててもよい(WO99/48523号参照)。
あるいは、ヒト化は「ベニアリング(vennering)」法によって行い得る。ヒト及びマウスの固有免疫グロブリン重鎖及び軽鎖可変領域の統計分析によって、露出した残基の正確なパターンがヒト及びマウスの抗体で異なること、並びに個々の表面位置の大部分が少数の異なる残基に対して優先性が高いことが示された(Padlan E.A.ら;(1991)Mol.Immunol.28, 489-498及びPedersen J.T.ら、(1994)J.Mol.Biol. 235; 959-973参照)。したがって、非ヒトFvの免疫原性をヒト抗体中に通常見出されるものとは異なるそのフレームワーク領域中の露出した残基を置換することによって減少させることができる。タンパク質の免疫原性が表面への接近可能性と相関し得るために、表面残基の置換はマウス可変領域をヒト免疫系より「隠す」のに十分であり得る(Mark G.E.ら(1994) Handbook of Experimental Pharmacology vol.113: The pharmacology of monoclonal Antibodies, Springer-Verlag, pp105-134参照)。このヒト化の方法は、抗体の表面のみを改変し、支持残基は影響を受けないために「ベニアリング」と称される。さらなる代替的手法としては、WO04/006955号に記載されるもの、及びHumaneeringTM法(Kalobios)(当該方法は細菌発現系を使用し、配列中のヒト生殖細胞系列に近接する抗体を産生する)(Alfenito-M Advancing Protein Therapeutics January 2007, San Diego,California)。
当業者には明らかであるように、「由来する」との用語は材料の物理的起源という意味の供給源のみでなく、該材料と構造的に同一であるが、関連する供給源を起源としない材料を規定することを意図する。したがって、「ドナー抗体に見出される残基」とは必ずしも、ドナー抗体より精製されていることを必要としない。
当該分野において、特定のアミノ酸置換が「保存的」なものであるとみなされるということは十分に理解されている。アミノ酸は一般的な側鎖の特性に基いてグループ分けされ、本発明において有用な治療用抗体の結合アフィニティを完全に又は実質的に完全に保持しているグループ内の置換は保存的置換とみなされる。以下の表1を参照のこと。
Figure 2014141495
1.1.3 多重及び二重特異性抗体
本発明の抗原結合性タンパク質は、多重特異的であってもよい。すなわち、それは1を超える抗原に結合するものであってもよい。特定の実施形態において、抗原結合性タンパク質は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体誘導体であり、また本発明において有用である。このような抗体の製造法は当該分野において公知である。従来的に、二重特異性抗体の組換え製造は2つの免疫グロブリン H鎖-L鎖対の共発現に基いており、ここで2つのH鎖は異なる結合特異性を有する(Millsteinら、Nature 305 537-539(1983)、WO93/08829号及びTrauneckerら、EMBO, 10, 1991, 3655-3659参照)。H鎖及びL鎖の任意の組み合わせにより、10種の異なる抗体構造からなる潜在的な混合物が作製され、この中の1つだけが所望の結合特異性を有する。代替手法は、所望される結合特異性を有する可変ドメインをヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくとも一部を含む重鎖定常領域に融合することを含む。少なくとも1つの融合体に存在する軽鎖結合に必要な部位を含有するCH1領域を有することが好ましい。これらの融合体をコードするDNA及び必要な場合にはL鎖を別々の発現ベクターに挿入し、その後好適な宿主生物に同時トランスフェクションする。2又は3つ全ての鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することも可能である。1つの好ましい手法において、二重特異性抗体は1のアームに第1の結合特異性を有するH鎖と別のアームに第2の結合特異性を付与するH-L鎖対とからなる(WO94/04690号参照)。さらに、Sureshら、Methods in Enzymology 121, 210, 1986参照。
脳への治療用タンパク質の送達は、血液脳関門(BBB)によって妨げられており、また眼と血流の間には同様の血液網膜関門がある。本発明の方法により治療用抗体をBBBなどの生体関門を越えて送達することが望まれる場合、様々なストラテジーがこのような送達を必要な場合に増強するために提案されており、また同様のストラテジーを血液網膜関門の横断のために適用可能である。
血液から、必要とされる栄養素及び因子を得るために、BBBはいくつかの特定の受容体を保有し、これにより循環血液より脳へ化合物を輸送する。研究によるといくつかの化合物、例えば、インスリン(Duffy KRら、(1989)Brain Res. 420:32-38参照)、トランスフェリン(Fishman JBら、(1987)J.Neurosci 18:299-304参照)並びにインスリン様増殖因子1及び2(Pardridge WM(1986)Endocrine Rev.7:314-330及びDuffy KRら、(1986)Metabolism 37:136-140参照)は、受容体仲介トランスサイトーシスを介してBBBを越える。したがって、これらの分子の受容体は、本発明において有用な治療用抗体がいわゆる「誘導(vectored)」抗体を使用して脳に入るための潜在的な手段を提供する(Pardridge WM(1999)Advanced Drug Delivery Review 36:299-321参照)。例えば、トランスフェリン受容体に対する抗体は、脳実質に動的に輸送されることが示されている(Friden PMら、(1991)PNAS 88:4771-4775及びFriden PMら、(1993)Science 259:373-377参照)。したがって、1つの潜在的な手法は、前述のような二重特異性抗体又は二重特異性フラグメントを作製することであり、ここで第1の特異性はβ-アミロイドに対するものであり、第2の特異性は、BBBに位置する輸送受容体に対するものである(例えば、第2の特異性はトランスフェリン輸送受容体に対する)。
本発明において想定される他の二重特異性抗体としては、β-アミロイドに対する第1特異性と、補体経路の活性化因子に対する第2特異性とを有する二重特異性抗体又はその二重特異性フラグメントが含まれ、その目的は、その活性、例えば他を排除するものではないが、補体因子(補体因子Dなど)を阻害するためのものである。
本発明の多重特異性抗原結合性タンパク質としては、β-アミロイドに対する第1特異性と、BBBに局在する輸送受容体に対する第2特異性と、補体経路の活性化因子に対する第3特異性とを有するタンパク質が含まれる。
1.2 抗体フラグメント
本発明の特定の実施形態において、治療用抗体は抗原結合性フラグメントである。このようなフラグメントは、インタクトな抗体及び/又はヒト化抗体及び/又はキメラの抗体の機能的抗原結合性フラグメントであり得る(例えば、前述の抗体のFab、Fd、Fab'、F(ab')2、Fv、ScFvフラグメント、及び免疫グロブリン単一可変ドメイン)。定常領域を欠いているフラグメントは、古典経路により補体を活性化する能力又は抗体依存性細胞傷害活性を仲介する能力を欠失している。従来的に、このようなフラグメントはインタクトな抗体のタンパク質消化、例えば、パパイン消化により作製されるが(例えば、WO 94/29348号参照)、組換え技術により形質転換した宿主細胞より直接産生することもできる。ScFvの作製については、Birdら、(1988)Science, 242, 423-426参照。さらに、抗体フラグメントは下記の様々なエンジニアリング技術を使用して作製することができる。
Fvフラグメントは、Fabフラグメントよりもその2つの鎖の相互作用エネルギーが低いと考えられる。VHドメイン及びVLドメインの結合を安定化するために、これらをペプチド(Birdら、(1988)Science 242, 423-426, Hustonら、PNAS, 85, 5879-5883)、ジスルフィド架橋(Glockshuberら、(1990)Biochemistry, 29, 1362-1367)及び「ノブインホール(knob in hole)」変異(Zhuら、(1997), Protein Sci., 6, 781-788)により結合する。ScFvフラグメントは当業者に周知の方法で作製することができる(Whitlowら、(1991)Methods companion Methods Enzymol, 2, 97-105及びHustonら、(1993)Int.Rev.Immunol 10, 195-217参照)。ScFvは細菌細胞(例えば大腸菌など)にて産生し得るが、より一般的には、真核細胞にて産生される。ScFvは、その産物が一原子価である点(これにより多価結合による増強された親和性が排除される)及びその半減期が短い点において不都合である。これらの問題点を克服するための試みとしては、化学的結合によりさらなるC末端システインを含有するScFVより作製される二価(ScFv')2(Adamsら、(1993)Can.Res 53, 4026-4034及びMcCartneyら、(1995)Protein Eng. 8, 301-314)又は不対C末端システイン残基を含有するScFvの自発的な部位特異的二量体化によって作製される二価(ScFv')2(Kipriyanovら、(1995)Cell. Biophys 26, 187-204参照)が挙げられる。あるいは、ScFvはペプチドリンカーを3〜12残基に短くして、「ジアボディ(diabody)」を形成することによって多量体を形成せざるを得ない(Holligerら、PNAS(1993), 90, 6444-6448)。リンカーをさらに減らすことによって、ScFV三量体(「トリアボディ」、Korttら、(1997)Protein Eng, 10, 423-433参照)及び四量体(「テトラボディ」、Le Gallら、(1999)FEBS Lett, 453, 164-168参照)を生じ得る。二価ScFV分子の構築はまた、タンパク質二量体化モチーフを用いて遺伝子融合し、「ミニ抗体」(Packら、(1992)Biochemistry 31, 1579-1584参照)及び「ミニボディー」(Huら、(1996), Cancer Res. 56, 3055-3061参照)を形成することによって行うことができる。ScFv-Sc-Fvタンデム((ScFV)2)はまた、2つのScFvユニットを第3のペプチドリンカーによって連結することによって作製することができる(Kuruczら、(1995)J.Immol.154, 4576-4582)。二重特異性抗体は、短いリンカーによって別の抗体のVLドメインに結合された1抗体由来のVHドメインからなる一本鎖融合産物を2つ、非共有会合させることにより作製できる(Kipriyanovら、(1998), Int.J.Can 77,763-772参照)。このような二重特異性抗体の安定性は、前述のジスルフィド架橋又は「ノブインホール」変異を導入することによって、あるいは一本鎖ジアボディ(ScDb)を形成することによって増強することができる。この場合2つのハイブリッドScFvフラグメントは、ペプチドリンカーにより結合されている(Kontermannら、(1999)J.Immunol.Methods 226 179-188参照)。四価の二重特異性分子を、例えば、ScFvフラグメントをIgG分子のCH3ドメインに又はFabフラグメントにヒンジ領域により融合することによって得ることができる(Colomaら、(1997)Nature Biotechnol. 15, 159-163参照)。あるいは、四価の二重特異性分子が二重特異性一本鎖ジアボディを融合することによって作製されている(Altら(1999)FEBS Lett 454, 90-94参照)。小さな四価の二重特異性分子がまた、ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフを含有するリンカーによりScFv-ScFvタンデムを二量体化するか(DiBiミニ抗体, Mullerら、(1998)FEBS Lett 432, 45-49参照)、又は4つの抗体可変ドメイン(VH及びVL)を分子内の対合を回避する配向で含む一本鎖分子を二量体化する(タンデムジアボディ、Kipriyanovら、(1999)J.Mol.Biol. 293, 41-56参照)ことによって形成できる。二重特異性F(ab')2フラグメントは、Fab'フラグメントの化学的結合又はロイシンジッパーによるヘテロ二量体化によって作製できる(Shalabyら、(1992)J.Exp.Med. 175, 217-225及びKostelnyら、(1992), J.Immunol. 148, 1547-1553参照)。さらに、単離されたVH及びVLドメインも利用可能である(米国特許第6,248,516号、同第6,291,158号、同第6, 172,197号参照)。
「免疫グロブリン単一可変ドメイン」という表現は、異なるV領域またはドメインとは独立して抗原またはエピトープと特異的に結合する抗体可変ドメイン(VH、VHH、VL)を意味する。免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインが抗原結合のために他の異なる可変領域または可変ドメインが必要とされない(すなわち免疫グロブリン単一可変ドメインが別の可変ドメインとは独立して抗原と結合する)場合、他の異なる可変領域または可変ドメインとの形態(例えばホモまたはヘテロ多量体)で存在することができる。「ドメイン抗体」または「dAb」は、抗原と結合可能な「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(この用語は本明細書で使用される)と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒト抗体可変ドメインであってもよいが、他の種、例えばげっ歯類などに由来する単一抗体可変ドメイン(例えばWO 00/29004号に開示、テンジクザメおよびラクダ科(Camelid)VHH dAbなど)を含んでもよい。ラクダ科VHHは、天然に軽鎖を欠損する重鎖抗体を産生するラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダおよびグアナコなどの種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。このようなVHHドメインは、当技術分野で利用可能な標準技術によりヒト化することができ、このようなドメインもまた本発明において「ドメイン抗体」とみなされる。本明細書において使用される「VH」にはラクダ科VHHドメインが含まれる。
1.3 ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体は、本発明においても有用な誘導体である。ヘテロコンジュゲート抗体は任意の簡便な架橋法を使用して形成される2つの共有結合で結合した抗体からなる。米国特許第4,676,980号参照。
1.4 その他の改変
抗体のFc領域と様々なFc受容体(FcγR)との間の相互作用は、抗体のエフェクター機能(抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)、補体の固定、食作用及び抗体の半減期/クリアランス)を仲介すると考えられる。治療用抗体のFc領域に対する様々な改変を、所望のエフェクター特性に応じて行うことができる。特に、a)古典経路による補体の活性化;及びb)抗体依存性細胞傷害活性の仲介といった機能を実質的に欠いているヒト定常領域は、特定の変異、例えば、234位、235位、236位、237位、297位、318位、320位及び/又は322位における変異を含有するIgG4定常領域、IgG2定常領域及びIgG1定常領域を含む(EP0307434(WO8807089号)、EP 0629 240(WO9317105号)及びWO 2004/014953号に開示される)。重鎖定常領域のCH2ドメイン内の残基235又は237(Kabat番号付け; EU Index system)における変異は別々に記載されており、FcγRI、FcγRII及びFcγRIII結合に対する結合を減少し、したがって、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を減少させる(Duncanら、Nature 1988, 332; 563-564; Lundら、J. Immunol. 1991, 147; 2657-2662; Chappelら、PNAS 1991, 88; 9036-9040; Burton and Woof, Adv. Immunol. 1992, 51;1-84; Morganら、Immunology 1995, 86; 319-324; Hezarehら、J. Virol. 2001, 75(24); 12161-12168)。さらに、いくつかの報告によると、これら残基のいくつかが補体依存性細胞傷害活性(CDC)のリクルート又は仲介に関与していることが記されている(Morganら、1995; Xuら、Cell. Immunol. 2000; 200:16-26; Hezarehら、J. Virol. 2001, 75(24); 12161-12168)。したがって、残基235及び237は共に、アラニン残基に変異する(Brettら、Immunology 1997, 91; 346-353; Bartholomewら、Immunology 1995, 85; 41-48;及びWO9958679号)ことで補体仲介による効果及びFcγR仲介による効果を共に減少させる。これらの定常領域を含む抗体を「非溶解性」抗体と称し得る。
サルベージ受容体結合エピトープを抗体に組み入れ、血清半減期を増大させることができる(米国特許第5,739,277号参照)。
現在、5つのヒトFcγ受容体が分かっている: FcγR(I)、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及び新生児FcRn。Shieldsら、(2001)J.Biol.Chem 276, 6591-6604において、IgG1残基の共通セットがFcγRの全てを結合するのに関与しているが、FcγRII及びFcγRIIIは当該共通セットの外側にある別個の部位を用いることが示された。IgG1残基の1グループは、アラニンに変えた場合(Pro-238、Asp-265、Asp-270、Asn-297及びPro-239)、全てのFcγRに対する結合が減少した。全てIgG CH2ドメイン内にあり、ヒンジ結合CH1及びCH2付近にクラスター化している。FcγRIは結合のためにIgG1残基の共通セットのみを利用するが、FcγRII及びFcγRIIIは当該共通セットの他に別個の残基と相互作用する。いくつかの残基の改変により、FcγRII(例えば、Arg-292)又はFcγRIII(例えば、Glu-293)に対する結合のみが減少した。いくつかの変異体はFcγRII又はFcγRIIIに対する結合の改善を示したが、他の受容体に対する結合は影響を受けなかった(例えば、Ser-267AlaはFcγRIIに対する結合は改善されたが、FcγRIIIに対する結合は影響を受けなかった)。他の変異体はFcγRII又はFcγRIIIに対する結合の改善を示すと同時に、他の受容体に対する結合は減少した(例えば、Ser-298AlaはFcγRIIIに対する結合は改善されたが、FcγRIIに対する結合は減少した)。FcγRIIIaについて、最良の結合IgG1変異体はSer-298、Glu-333及びLys-334にアラニン置換の組み合わせを有していた。新生児FcRn受容体は、IgG分子を分解から保護し、それにより血清半減期及び組織を越えるトランスサイトーシスを増強すると考えられる(Junghans R.P(1997)Immunol.Res 16. 29-57及びGhetieら、(2000)Annu.Rev.Immunol. 18, 739-766参照)。ヒトFcRnと直接相互作用させるヒトIgG1残基は、Ile253、Ser254、Lys288、Thr307、Gln311、Asn434及びHis435を含む。
本発明において有用な治療用抗体は、上記定常領域のいずれかの改変を組込むことができる。
特定の実施形態において、本発明において有用な治療用抗体は、a)古典経路による補体の活性化、及びb)抗体依存性細胞傷害活性の仲介といった機能を実質的に欠いている。さらに特定の実施形態において、本発明において有用な治療用抗体は、半減期/クリアランス及び/又はエフェクター機能(例えば、ADCC及び/又は補体依存性細胞傷害活性及び/又は補体溶解)を改良するために上に詳述される残基変化を1つ(又は複数)有する。
本発明のさらなる実施形態において、治療用抗体は235位(例えば、L235A)及び237位(例えば、G237A)(Kabatに述べられているEUスキームによる番号付け)にアラニン(又は別の破壊)置換を有するイソタイプヒトIgG1の定常領域を有する。
本発明の他の実施形態では、治療用抗体のグリコシル化変異体を利用する。それらの定常領域の保存された位置における抗体のグリコシル化は、抗体機能(特に、上記されるようなエフェクター機能)に大きく影響を与えることが知られている(例えば、Boydら、(1996), Mol.Immunol. 32, 1311-1318参照)。治療用抗体のグリコシル化変異体としては、1又は複数の糖鎖が付加、置換、欠失又は改変されているものが企図される。アスパラギン-X-セリン又はアスパラギン-X-スレオニンモチーフを導入することによって、糖鎖を酵素により付着させることが可能な部位を作製し、その結果、抗体のグリコシル化を操作するために用いることができる。Rajuら、(2001)Biochemistry 40, 8868-8876において、TNFR-IgGイムノアドヘシンの末端シアル化(sialyation)が、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ及び/又はα,2,3 シアリルトランスフェラーゼを使用した、再ガラクトシル化及び/又は再シアリル化の方法により増大した。末端シアリル化の増大により、免疫グロブリンの半減期が増大すると考えられる。多くの糖タンパク質と同じように抗体は通常、グライコフォームの混合物として本来作製される。この混合物は、抗体が真核細胞、特に哺乳動物細胞において産生される場合に、特に明らかである。様々な方法が規定されるグライコフォームを製造するために開発されている(Zhangら、Science(2004), 303, 371, Searsら、Science,(2001)291, 2344, Wackerら、(2002)Science, 298 1790, Davisら、(2002)Chem.Rev. 102, 579, Hangら、(2001)Acc.Chem.Res 34, 727参照)。このように本発明は、本明細書中に記載されるような複数の治療用抗体(IgGイソタイプ、例えば、IgG1であり得る)を利用し、当該抗体は当該抗体の規定された数(例えば、7以下、例えば、5以下、例えば、2又は1)のグライコフォームを含む。
本発明において有用な誘導体はまた、非タンパク質性(non-proteinaeous)ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール又はポリオキシアルキレン)に結合している治療用抗体を含む。PEGへのタンパク質のコンジュゲートはタンパク質の半減期を増大させるため、並びにタンパク質の抗原性及び免疫原性を減少させるための確立された技法である。異なる分子量及び形状(線状又は分枝状)のPEG化の使用が、インタクトな抗体及びFab'フラグメントを用いて調べられている(Koumenis I.L.ら、(2000)Int.J.Pharmaceut. 198:83-95参照)。特定の実施形態においては、a)古典経路による補体の活性化及びb)抗体依存性細胞傷害活性の仲介といったエフェクター機能を保持していない、PEGに結合されている治療用抗体の抗原結合性フラグメント(例えば、Fabフラグメント又はscFv)を含む。
2. 製造方法
本発明において有用な抗原結合性タンパク質、特に抗体は、ヤギ(Pollockら、(1999), J.Immunol.Methods 231:147-157参照)、ニワトリ(Morrow KJJ(2000)Genet.Eng.News 20:1-55参照)、マウス(Pollockら、ibid)又は植物(Doran PM,(2000)Curr.Opinion Biotechnol. 11, 199-204, Ma JK-C(1998), Nat.Med. 4; 601-606, Baez Jら、BioPharm(2000)13: 50-54, Stoger Eら;(2000)Plant Mol.Biol. 42:583-590参照)などのトランスジェニック生物において製造し得る。抗原結合性タンパク質、例えば抗体はまた、化学合成によっても製造し得る。しかし、本発明において有用な抗体は通常、当業者にとって周知である組換え細胞培養技術を使用して製造する。抗体をコードするポリヌクレオチドを単離し、宿主細胞におけるさらなる増殖又は発現のための複製可能なベクター(例えば、プラスミド)に挿入する。有用な発現系の1つはグルタミン酸シンテターゼ系(例えば、Lonza Biologicsより販売)である(特に宿主細胞がCHO又はNS0である場合(下記))。抗体をコードするポリヌクレオチドは、従来法(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)を使用して容易に単離及び配列決定できる。使用し得るベクターとしては、プラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、ミニ染色体が挙げられ、これらのプラスミドは典型的な実施形態である。通常、このようなベクターはさらに、軽鎖及び/又は重鎖ポリヌクレオチドに機能的に連結されているシグナル配列、複製起点、1又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター及び転写終結配列を含み、それによって発現を促進する。軽鎖及び重鎖をコードするポリヌクレオチドは別々のベクターに挿入して、同一の宿主細胞に同時に又は逐次的に導入(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション又は形質導入による)してもよいし、必要な場合には重鎖及び軽鎖の両方を同一のベクターに挿入し、その後上記のように導入してもよい。
遺伝子コードの縮重性により、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドの代替的なポリヌクレオチドが、本発明において有用なポリペプチドをコードするために利用可能であることは、当業者にはすぐに明らかであろう。
2.1 シグナル配列
本発明において有用な抗原結合性タンパク質、例えば抗体は、成熟タンパク質のN末端に特定の切断部位を有する異種シグナル配列との融合タンパク質として産生され得る。シグナル配列は宿主細胞によって認識され、プロセシングされるだろう。原核生物の宿主細胞について、シグナル配列はアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、又は熱安定性エンテロトキシン IIリーダーであり得る。酵母の分泌のための、シグナル配列は酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー又は酸性ホスファターゼリーダーであり得る(例えば、WO90/13646号参照)。哺乳動物細胞系において、ウイルス分泌リーダー(単純ヘルペスgDシグナル)及び天然の免疫グロブリンシグナル配列(例えば、ヒトIg重鎖)が利用可能である。通常、シグナル配列を、本発明において有用な治療用抗原結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドの読み枠内にライゲートする。
2.2 複製起点
複製起点は多くのグラム陰性菌に好適なpBR322、多くの酵母用の2μプラスミド及び多くの哺乳動物細胞用の様々なウイルス系(例えば、SV40,ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)と共に、当該分野において周知である。通常、SV40複製起点要素は、組み込み型の哺乳動物発現ベクターには必要ではない。しかし、SV40 oriは、初期プロモーターを含むために含まれることもある。
2.3 選択マーカー
典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質又は他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート又はテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、(b)補体栄養要求性欠損を補足するか、又は複合培地で得ることができない栄養素を供給するか、あるいは(c)これらの組合わせであるタンパク質をコードする。選択スキームは、ベクターを含むか又は含まない宿主細胞の増殖を停止させることを含み得る。本発明において有用な治療用抗体をコードする遺伝子を用いて良好に形質転換した細胞は、例えば、同時送達された選択マーカーによって付与された薬剤耐性のために生き残る。一例はDHFR選択系であり、当該系において形質転換体はDHFR陰性宿主系で作製される(例えば、Page and Sydenham 1991 Biotechnology 9: 64-68)。当該系において、DHFR遺伝子を抗体のポリヌクレオチド配列と同時送達し、その後DHFR陽性細胞を、ヌクレオシドを取り除くことによって選択した。必要な場合には、DHFRインヒビターメトトレキサートを用いて、DHFR遺伝子増幅を伴う形質転換体を選択する。DHFR遺伝子を、治療用抗体の抗体コード配列又はその機能的誘導体に機能的に連結することによって、DHFR遺伝子増幅により、所望の目的の抗体配列の同時増幅を生じる。CHO細胞は当該DHFR/メトトレキサート選択に特に有用な細胞系であり、DHFR系を使用した宿主細胞の増殖及び選択法は当該分野において十分に確立されている(Kaufman R.J.ら、J.Mol.Biol.(1982)159, 601-621、概説についてはWerner RG, Noe W, Kopp K,Schluter M,” Appropriate mammalian expression systems for biopharmaceuticals”, Arzneimittel-Forschung. 48(8):870-80, 1998 Aug参照)。別の例はグルタミン酸シンテターゼ発現系である(Bebbingtonら、Biotechnology 1992 Vol 10 p169)。酵母において使用するための好適な選択遺伝子は、trp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature 282, 38, 1979参照)。
2.4 プロモーター
抗体を発現するための好適なプロモーターを、抗原結合性タンパク質、例えば抗体をコードするDNA/ポリヌクレオチドに機能的に連結する。原核細胞の宿主に対するプロモーターとしては、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン及びハイブリッドプロモーター(例えば、Tac)が挙げられる。酵母細胞での発現に好適なプロモーターとしては、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の糖分解酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド3ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース6ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ及びグルコキナーゼが挙げられる。誘導可能な酵母プロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、メタロチオネイン及び窒素代謝又はマルトース/ガラクトース利用に関与する酵素が挙げられる。
哺乳動物細胞系における発現のためのプロモーターとしては、ウイルスプロモーターを含むRNA ポリメラーゼIIプロモーター(例えば、ポリオーマ、鶏痘ウイルス及びアデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(特に、前初期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター)及び初期又は後期シミアンウイルス40)並びに非ウイルスプロモーター、例えば、EF-1α(Mizushima and Nagata Nucleic Acids Res 1990 18(17):5322)が挙げられる。プロモーターの選択は、発現に用いられる宿主細胞との好適な適合性に基づき得る。
2.5 エンハンサーエレメント
必要に応じて、例えば、高等な真核生物における発現のために、さらなるエンハンサーエレメントを上記プロモーターにあることが見出されているエンハンサーエレメントに代えて、又はそれらと共に含めても良い。好適な哺乳動物エンハンサー配列としては、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテイン、メタロチオニン及びインスリンに由来するエンハンサーエレメントが挙げられる。あるいは、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーエレメント、例えばSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、バキュロウイルスエンハンサー又はマウスIgG2a遺伝子座(WO04/009823号参照)を使用し得る。このようなエンハンサーは通常、ベクターにおいてプロモーターの上流部位に配置されるが、他の部位、例えば、非翻訳領域内又はポリアデニル化シグナルの下流にも配置することができる。エンハンサーの選択及び配置は、発現に用いられる宿主細胞との好適な適合性に基づき得る。
2.6 ポリアデニル化/停止
真核生物の系において、ポリアデニル化シグナルは抗体をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている。このようなシグナルは通常、オープンリーディングフレームの3’に配置される。哺乳動物の系において、シグナルの非限定的な例としては、成長ホルモン、伸長因子-1α及びウイルス(例えば、SV40)遺伝子又はレトロウイルスロングターミナルリピートに由来するものが挙げられる。酵母の系において、ポリアデニル化/停止シグナルの非限定的な例としては、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)及びアルコールデヒドロゲナーゼ 1(ADH)遺伝子に由来するものが挙げられる。原核生物の系において、ポリアデニル化シグナルは通常必要ではなく、その代わりに通常、短くまたより規定されたターミネーター配列を用いる。ポリアデニル化/停止配列の選択は、発現に用いられる宿主細胞との好適な適合性に基づき得る。
2.7 産生量を増大させるための他の方法/エレメント
上記の他に、産生量を増大させるために用いられ得る他の特性としては、クロマチンリモデリングエレメント、イントロン及び宿主細胞特異的コドン改変が挙げられる。抗体のコドン使用頻度を改変し、宿主細胞のコドン偏位と適合させて転写及び/又は産生量が増大するようにし得る(例えば、Hoekema Aら、Mol Cell Biol 1987 7(8):2914-24)。コドンの選択は、発現に用いられる宿主細胞との好適な適合性に基づき得る。
2.8 宿主細胞
抗体をコードするクローニングベクター又は発現ベクターに好適な宿主細胞は、原核細胞、酵母又は高等な真核細胞である。好適な原核細胞としては、真正細菌、例えば、腸内細菌科、エッシェリヒア(Escherichia)属、例えば大腸菌(例えば、ATCC 31,446; 31,537; 27,325)、エンテロバクター(Enterobacter)属、アーウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、プロテウス(Proteus)属、サルモネラ(Salmonella)属、例えばネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia)属、例えばセラチア菌(Serratia marcescans)及びシゲラ(Shigella)属、並びにバシラス(Bacilli)属、例えば枯草菌(B. subtilis)及びB.リケニホルミス(B. licheniformis)(DD 266 710参照)、シュードモナス(Pseudomonas)属、例えば緑膿菌(P. aeruginosa)、並びにストレプトミセス(Streptomyces)属が挙げられる。酵母宿主細胞のなかでも、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)(例えば、ATCC 16,045; 12,424; 24178; 56,500)、ヤロウィア(yarrowia)(EP402,226)、ピヒア・パストリス(Pichia Pastoris)(EP183,070、Pengら、J.Biotechnol. 108(2004)185-192参照)、カンジダ(Candida)、トリコデルマ・リーシア(Trichoderma reesia)(EP244,234)、ペニシリン(Penicillin)、トリポクラジウム(Tolypocladium)及びアスペルギルス(Aspergillus)宿主、例えば、A.ニデュランス(A. nidulans)及びコウジカビ(A. niger)が企図される。
原核細胞及び酵母宿主細胞が特に企図されるが、通常、宿主細胞は脊椎動物細胞である。好適な脊椎動物宿主細胞としては、哺乳動物細胞、例えばCOS-1(ATCC No.CRL 1650)、COS-7(ATCC CRL 1651)、ヒト胎児腎臓細胞系統293、PerC6(Crucell)、ベビーハムスター細胞(BHK)(ATCC CRL.1632)、BHK570(ATCC NO: CRL 10314)、293(ATCC NO.CRL 1573)、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(例えば、CHO-K1、ATCC NO: CCL 61、DHFRマイナスCHO細胞系、例えばDG44(Urlaubら、Somat Cell Mol Genet(1986)Vol 12 pp555-566)、特に、懸濁培養に適合されているCHO細胞系統、マウスセルトリ細胞、サル腎臓細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(ATCC CRL-1587)、HELA細胞、イヌ腎臓細胞(ATCC CCL 34)、ヒト肺細胞(ATCC CCL 75)、Hep G2及びミエローマ細胞又はリンパ腫細胞、例えば、NS0(米国特許第5,807,715号参照)、Sp2/0、Y0が挙げられる。
安定して形質転換した宿主細胞は、本明細書中に記載されるように治療用抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードするベクターを含む。通常、このような宿主細胞は、軽鎖をコードする第1のベクター及び重鎖をコードする第2のベクターを含む。
このような宿主細胞はまたさらに、抗原結合性タンパク質、例えば抗体の質、機能及び/又は産生量を改変するために操作又は適合させることができる。非限定的な例としては特定の修飾(例えば、グリコシル化)酵素及びタンパク質折りたたみシャペロンの発現が挙げられる。
2.9 細胞培養法
治療用抗原結合性タンパク質、例えば抗体をコードするベクターを用いて形質転換した宿主細胞を当業者に公知の任意の方法で培養し得る。宿主細胞はスピナーフラスコ、振盪フラスコ、ローラーボトル、ウェーブリアクター(例えば、wavebiotech.com製のシステム 1000)又は中空糸システム中にて培養し得るが、大規模生産が好ましく、攪拌型タンクリアクター又はバッグリアクター(例えば、Wave Biotech, Somerset, New Jersey USA)を懸濁培養に特に用いる。通常、撹拌型タンカーは、例えば、スパージャー、バッフル又は低せん断インペラを使用して、吸気に適合されている。気泡塔及びエアリフトリアクターには、空気又は酸素のバブルを用いて直接吸気し得る。宿主細胞を無血清培地中で培養する場合、細胞保護剤(例えば、プルロニックF-68)を添加して吸気法による細胞の損傷を防ぐことができる。宿主細胞の特性に応じて、マイクロキャリアを足場依存性細胞株の増殖基質として用いてもよいし、細胞を一般的な懸濁培養に適合させてもよい。宿主細胞、特に脊椎動物宿主細胞の培養には、様々な方式(例えば、バッチ式、フェドバッチ式、反復バッチ式(Drapeauら、(1994)cytotechnology 15: 103-109)、長時間バッチ式、又はかん流培養を用いることができる。組換え技術により形質転換した哺乳動物の宿主細胞は血清含有培地(例えば、ウシ胎仔血清(FCS)含有培地)中で培養できるが、このような宿主細胞は必要に応じてエネルギー源(例えば、グルコース)及び合成増殖因子(例えば、組換えインスリン)を添加した、Keenら、(1995)cytotechnology17:153-163に開示されているように無血清培地中で、又は市販の培地(例えば、ProCHO-CDM若しくはUltraCHOTM(Cambrex NJ, USA))中で培養するのが好ましい。宿主細胞の無血清培養においては、これらの細胞が無血清条件での増殖に適合されていることを必要とし得る。適合法の一つは、血清含有培地中にて宿主細胞を培養し、その後80%の培地を無血清培地に繰り返し交換し、そうして宿主細胞は無血清条件に適合するようになる(例えば、Scharfenberg Kら、(1995) Animal Cell Technology: Developments towards the 21st century(Beuvery E.C.ら編), pp619-623, Kluwer Academic publishers参照)。
培地中に分泌された抗原結合性タンパク質、例えば抗体は、企図される用途に適した精製度をもたらす種々の方法を用いて、培地より回収及び精製することができる。例えば、本発明のヒト患者の治療方法は、通常、還元SDS-PAGEにより測定した場合に、治療用抗体を含む培地に使用する場合と比べて、少なくとも95%の純度、より一般的には、98%又は99%の純度を必要とする。第1の例において、培地の細胞残屑は通常、遠心分離し、その後、例えば、精密ろ過、限外ろ過及び/又は深層ろ過によって上清を清澄化することによって除去する。あるいは、抗体を事前に遠心分離を行うことなく精密ろ過、限外ろ過又は深層ろ過を行うことによって回収し得る。種々の他の方法(例えば、透析及びゲル電気泳動)並びにクロマトグラフ法(例えば、ヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティクロマトグラフィー(必要に応じて、ポリヒスチジンなどのアフィニティタグシステムを含む)及び/又は疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC, 米国特許第5,429,746号参照))を利用し得る。一実施形態において、本発明において有用な抗体は種々の清澄化工程の後に、プロテインA又はプロテインGアフィニティクロマトグラフィー、その後さらに、さらなるクロマトグラフィ工程(例えば、イオン交換及び/又はHAクロマトグラフィ、アニオン若しくはカチオン交換、サイズ排除クロマトグラフィ及び硫安分画)を使用して得ることができる。通常、様々なウイルス除去工程も用いる(例えば、DV-20フィルターなどを使用するナノろ過)。このような様々な工程を経た後、少なくとも10mg/ml以上、例えば、100mg/ml以上の抗体を含む精製(通常、モノクローナル)製剤が提供され、これは、本発明において有用である。100mg/ml以上の濃度は超遠心分離によって生じ得る。好ましくは、このような製剤は、凝集した形状の抗体を実質的に含まない。
細菌系は抗体フラグメントの発現に特に好適である。このようなフラグメントは細胞内に又はペリプラズマ内に限局する。当業者に公知の方法により、不溶性ペリプラズマタンパク質を抽出し、リホールディングさせ活性タンパク質を形成することができる(Sanchezら、(1999)J.Biotechnol. 72, 13-20及びCupit PMら、(1999)Lett Appl Microbiol, 29, 273-277参照)。
3. 医薬組成物
本発明において有用な抗原結合性タンパク質、例えば抗体の精製製剤(特に、モノクローナル製剤)は、上記のようなヒト疾患及び障害の治療に使用するための医薬組成物に含めることができる。通常、このような組成物はさらに、許容されている医薬実務に知られており、また求められるような薬学的に許容される(すなわち、不活性な)担体を含む(例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences, 16th ed,(1980), Mack Publishing Co参照)。このような担体の例としては、滅菌した担体、例えば、食塩水、リンゲル溶液又はデキストロース溶液が挙げられ、これは好適な緩衝剤(例えば、酢酸ナトリウム三水和物)で緩衝して薬学的に許容されるpH(例えば、5〜8の範囲内のpH)にする。注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内門脈内による、あるいは眼への局所若しくは眼周囲適用又は眼への硝子体内注射による眼への局所送達)用又は持続注入用の医薬組成物は、目に見える粒状物質を含まないことが好ましく、1mg〜10gの治療用抗体、通常、5mg〜1g、より好ましくは5mg〜25mg又は50mgの抗体を含み得る。このような医薬組成物の調製法は当業者に周知である。一実施形態において、医薬組成物は1mg〜10gの本発明において有用な治療用抗体を単位用量剤形で、必要に応じて使用説明書と共に含んでなる。本発明において有用な医薬組成物は凍結乾燥又はフリーズドライし、当業者に周知の方法又は明らかな方法により、投与の前に再構成し得る。本発明の実施形態は、IgG1イソタイプである抗体、銅を含む金属イオンのキレート剤(クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)若しくはEDTA)又はヒスチジンを含み、医薬組成物に添加して当該イソタイプの抗体の金属を介した分解の程度を低下し得る(EP0612251参照)。医薬組成物はまた、可溶化剤(例えば、アルギニン塩基)、界面活性剤/抗凝集剤(例えば、ポリソルベート80)及びバイアル上部の酸素を置換するための不活性ガス(例えば窒素)を含む。
本発明の方法において、抗体の投与に関する効果的な用量及び治療レジメンは通常、実験に基づいて決定され、患者の年齢、体重及び健康状態並びに治療対象の疾患又は障害などの要因によって決定される。このような要因は主治医によって判断される。適切な用量を選択するためのガイダンスは、例えば、Smithら、(1977)Antibodies in human diagnosis and therapy, Raven Press, New York にみいだすことができるが、通常、1mg〜10gである。一実施形態において、ヒト患者を治療するための投与レジメンは、1mg〜1gの本発明の治療用抗体を1週間に又は2週間に1度、皮下に投与するか、静脈内注入を1又は2ヶ月毎に投与する。このような用量は、0.014〜140mg/kg、例えば、0.014〜14mg/kgに相当する。本発明において有用な組成物はまた、予防的に用いることができる。
組成物は、局所塗布、硝子体内注射若しくは眼周囲投与、すなわち球後、球周囲、テノン嚢下若しくは結膜下注射による強膜下投与により、さらに局所的に眼に送達することも可能である。治療用抗体の受動投与、例えば静脈内投与による全身投与も、ドルーゼンの低減を行うために十分である。局所投与の他の経路により、治療用抗体を低用量にてより簡便に後眼部に到達させることができる。局所塗布により、ウサギモデルにおいて後眼への抗体フラグメントの浸透が可能であったことが記載されている(Williams KA et al., (2005))。抗体フラグメント又は完全なモノクローナル抗体の硝子体内注射が記載されており、ラニビズマブ及びベバシズマブ製品についてAMP患者で十分に許容されている。治療用抗体はまた、硝子体内埋込物により投与することも可能である。球後及び球周囲注射は、特殊な23〜26ゲージ針を用いて行うことができ、硝子体内注射よりも侵襲性ではない。テノン嚢下注射は、組成物を強膜と長期間にわたって接触させるものであり、これは後眼への浸透を補助しうる。ウサギモデルにおける結膜の直下へのタンパク質の注射が記載されており、これにより分子は強膜を横切ってより直接的に拡散し、後眼部に達することができる。持続放出薬物送達系を使用して、長期間にわたって眼へ又は眼周囲へ物質を放出することが可能であり、それにより投与の頻度が少なくなるだろう。そのような系には、治療用組成物を充填又はコーティングすることができるミセル、ゲル、ヒドロゲル、ナノ粒子、マイクロカプセル又は埋込物が挙げられる。これらは、注射により、又は以前に記載されたより侵襲性の少ない他の任意の経路により、すなわち眼周囲又は強膜下経路によって、眼の硝子体へと送達することができる。そのような持続放出系及び局所送達経路の例としては、後網膜及びRPE層を標的とするナノ粒子ベース製剤の強膜下投与又は硝子体内投与のための感熱性遅延放出ヒドロゲル(Janoira KG, et al., (2007); Birch DG (2007))が挙げられる。送達系及び局所投与経路の他の多くの組み合わせが可能であり、治療用抗体の双性物について考慮することができる。
4. 臨床用途
β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害としては、加齢性黄斑変性症及び緑内障型疾患及びβ-アミロイド依存性白内障形成が挙げられると理解されるだろう。
本発明はヒト疾患又は障害の治療に関して主に記載されるが、本発明はまた非ヒト哺乳動物における同様の疾患又は障害を治療するのにも用い得る。
Figure 2014141495
Figure 2014141495
マウスモノクローナル抗体2E7の作製
マウスモノクローナル抗体2E7を、マウスを従来の方法で免疫化して作製した。マウスを、フロイントアジュバント中に調製した可溶性又は凝集のβ-アミロイド1-40及び1-42を用いて免疫した。アジュバントを用いることなく最後の追加免疫を行った後、脾細胞をミエローマ細胞と融合した。融合細胞を96ウェルプレートにて増殖し、これよりハイブリドーマ上清を潜在的なリードについてスクリーニングした。可溶性β-アミロイド1-40を用いた免疫により得られた選択した抗体2E7は、マウスIgG2aイソタイプであり、以下に記載するI125 β-アミロイドin vivo結合アッセイにおいてβ-アミロイド結合活性を有し、Biacore TM の方法A(i)によって測定した場合に、β-アミロイド1-40 に対して36.1 pMのアフィニティを有していた(表10A)。
2E7のエピトープマッピング
β-アミロイドペプチドに対する抗体2E7の結合を精細にマッピングするために、ペプチドセット(A)を用いた。ペプチドセット(A)は、β-アミロイド1-42ペプチドの完全配列をカバーする12-merの重複ペプチド31本からなるセットから構成されていた。連続的なペプチドのそれぞれは、β-アミロイドペプチド内の連続的なアミノ酸から開始するため、カバーされる配列は連続的なペプチド間でアミノ酸が1個ずつシフトしていた。セット(A)の全てのペプチドは、3つのアミノ酸のC-末端リンカー(グリシン-セリン-グリシン)及び末端ビオチン化リシン残基を含んでいた。さらに、全てのペプチド(ただし、ペプチドAβ1 DAEFRHDSGYEVGSGK-ビオチン(配列番号15)は除く)はN-末端がアセチル化されていた。ペプチドの第2セット(セット(B))は、β-アミロイド配列のアミノ酸1〜10を含むペプチドより、C-末端のアミノ酸が1つずつ順次欠失したペプチドから構成されていた。セット(B)の全てのペプチドは、3つのアミノ酸のC-末端リンカー(グリシン-セリン-グリシン)及び末端ビオチン化リシン残基を含んでいたが、欠失したβ-アミロイドのアミノ酸の代わりにさらなるグリシン及びセリン残基を含んでいた(表2)。したがって、セット(B)のペプチドは全て同じ長さである。
Figure 2014141495
光学的バイオセンサーを使用するβ-アミロイド由来のペプチドに対する2E7の結合のモニタリング
96ウェルSRU BindTM ストレプトアビジンコートプレート(SRU Biosystems)を1%DMSOを含有するPBSで洗浄して、グリセロール及び保存剤を除去した。1ウェルにつき50μl量を室温まで平衡化して、一定のベースラインを得た。ビオチン化ペプチドを1%DMSO含有PBS中におよそ0.3μg/mlに希釈し、そしてそれぞれ50μlをウェルに加え、およそ1時間インキュベートした。プレートの異なる領域を使用して再現用のウェルを設け、少なくとも1つペプチドを含まないコントロールウェルを各領域に用いて、参照のためにデータを差し引いた。ペプチド捕捉の後、プレートを1%DMSO含有PBSで洗浄し、1ウェルにつき50μlの新たな緩衝液を加え、リーダーにあらたなベースラインを得た。表面よりペプチドの崩壊は見られなかった。次に、緩衝液を、試験抗体を20〜64nMで含有する緩衝液(40μl/ウェル)と2時間置き換えた。抗体2E7のみが、ペプチドセット(A)におけるβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜12を含むペプチドに結合することを見出した(ペプチドAβ1、配列番号15)。この結果は、残基1のアスパラギン酸が当該ペプチドに結合するのに重要であることを示唆している。
抗体2E7の結合部位をさらに特性決定するために、ペプチドセット(B)を用いた。SRU BINDTMバイオセンサー法を使用して、抗体2E7がβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜3を含むペプチド及びβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜4を含むペプチド(配列番号14及び13)にわずかに結合することが示された。β-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜7を含むペプチド(配列番号10)に対する結合は、β-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜12を含むペプチド(ペプチドセット(A)由来)に匹敵した。β-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜5を含むペプチド又はβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜6を含むペプチド(配列番号12又は11)に対する結合が観察されたが、β-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜7を含むペプチド(配列番号10)に対する結合よりも弱かった(さらなる洗浄工程の後に、安定性によって測定した場合)。
したがって、本方法によって測定した場合、β-アミロイドペプチドの残基1〜7のみが完全な結合に必要であることが示された。
表面プラズモン共鳴アッセイ
上記実験の他に、BiacoreTM 3000光学的バイオセンサーを用いて、選択したβ-アミロイド配列由来のペプチドに対する2E7抗体の結合をモニタした。結合は試験抗体を64nMまでにて5分間、別々のストレプトアビジンチップ表面上に捕捉されたペプチドに注入することによって測定した(130〜230 RU(共鳴単位))。25℃にて0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA及び0.005%Surfactant P20TMを含有するランニング緩衝液(HBS-EP)を流速20μl/分で用いた。全ての実験は、ストレプトアビジン表面なし及び注入なしに対して二重参照した。BiacoreTM分析ソフトウェアBIAevaluationTM version 4.1を用いて分析した。セット(A)の選択したペプチドの結果よりさらに、2E7がβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1〜12を含むペプチド(配列番号15)のみにおよそ50pMの見かけの平衡定数KDで結合することを示すSRU BINDTMから得たデータを確認した。同じ条件下で、2E7は、β-アミロイドペプチドのアミノ酸2〜13を含むペプチドに結合しなかった。
ペプチドAβ2-13 AEFRHDSGYEVHGSGK-ビオチン(配列番号44)
用いた実験方法及び条件により、高アフィニティ分子の検出だけでなく、比較的低アフィニティ分子の検出も可能とした。同じ実験設定において、2E7と対照的に、β-アミロイドペプチドのN-末端エピトープを認識する別の抗体は、見かけのKDが7nMで、2-13ペプチド(配列番号44)に結合することが示された。2E7はβ-アミロイドペプチドの中間領域に由来するセット(A)中のペプチドに結合しなかった。別の実験において、β-アミロイド1-40ペプチドは、ビオチン化されているN-末端アスパラギン酸残基を介して捕捉された。このペプチドは、前記BiacoreTM ストレプトアビジンコートチップ上に捕捉した。66nMで1分間注入した抗体2E7はこのペプチドと結合できなかった。したがって、結論として、これまでに記載したN-末端結合部位は、リンカー及び捕捉法によりマスクされるため、コア結合部位を含むような極端なN末端を確認した。
細胞が発現するアミロイド前駆タンパク質(APP)への結合
β-アミロイドは、アミロイド前駆タンパク質(APP)と命名されるI型膜貫通前駆タンパク質のタンパク質分解による切断によって形成されるペプチドからなる。APPは細胞外ドメインが大きいために、当該タンパク質への結合は抗体依存性細胞傷害反応(ADCC)を潜在的に生じ得る。
細胞表面の完全長APPへの抗体の結合を特性決定するために、FMATTM ABI8200に基づく分析を用いた。
野生型APP DNAを用いたHEK293T細胞のトランスフェクション
HEK293T細胞を、10 %(v/v)FCS及び1x Glutamaxを含有するDMEM F12培地中に維持する。細胞を75cm2組織培養フラスコに播種し、60〜80 %コンフルエントなるまで(18〜24時間)増殖させ、その後トランスフェクションを行う。トランスフェクションについては、9μgのDNA(野生型APP DNA(PCDNA3.1ベクター(Invitrogen)中)又はベクターのみ(コントロール)のいずれか)を0.3 mlのOpti-MEMTM培地と混合する。30μlのLipofectamineTMトランスフェクション試薬を0.3mlのOpti-MEMTM培地と混合し、そして2つの混合液をプールする。プールした混合液を室温で30分間インキュベートし、その後さらに4.8 mlのOpti-MEMTM培地を加える。この最終混合液を細胞(Opti-MEMTM培地を用いて洗浄したもの)に5時間加え、その後DMEM中10%(v/v)新生児ウシ血清6 mlを加える。トランスフェクションから48時間後、上清を除去し、単層をヴェルセン中で洗浄し、その後3mlのVerseneTMキレート剤を各フラスコに加え、37℃にて5分間インキュベートし、そして遊離した細胞を200gにて5分間、ペレット化した。得られた細胞ペレットを1mlのアッセイ用緩衝液 (2%加熱処理血清、0.5%BSA、PBS pH7.4中0.1%NaN3、0.2μmフィルターによりろ過したもの)に穏やかに再懸濁し、単細胞懸濁液を作製する。
FMAT TM ABI8200に基づくアッセイ
試験抗体(2E7(APPの細胞外ドメインに対するLN27(Zymed)マウスIgG:ポジティブコントロール)及び抗体G210(β-アミロイドペプチドのx-40形態を認識する:ネガティブコントロール)をポリプロピレンプレート中ろ過滅菌したアッセイ用緩衝液(2%加熱処理血清、0.5%BSA、PBS pH7.2中0.1%NaN3)中に10μg/mlに希釈し、その後さらに6回の連続1:1希釈を当該プレートで行った。アッセイ用緩衝液だけをブランクとして用いた。野生型APP DNAを用いてトランスフェクトしたHEK293T細胞の懸濁液50μl(実験1: 10,000細胞; 実験2: 20,000細胞)を96ウェルプレートの各ウェルに加え、これに5μlの各抗体溶液を二揃いのウェルに加えた。50μl/ウェルのF-MATTMブルー抗マウスIgGストック溶液(抗体はF-MATTMブルー単官能基反応色素キット(ABI製、4328408)を使用して標識されている)をアッセイ用緩衝液中に1:500(実験1)及び1:1000(実験2)希釈して、各ウェルに加え、そしてプレートを軽く振とうした後、1時間静置した。次にプレートをABI 8200 蛍光マクロ共焦点細胞検出システム(Applied Biosystems)を使用して読み取った。
得られた計数データを次に、ExcelTM 表計算ソフトウェアを用いて読み取った。簡単に説明すると、モックトランスフェクトしたものの計数値を完全長APPをトランスフェクトした細胞の計数値より差し引き、各抗体に特異的なシグナルを得た。曲線の線形部分にある2つの抗体濃度を選択し(1.25及び0.63μg/ml)、そしてこれらの濃度における、バックグラウンドを補正した得られた計数データを、LN27抗体結合%として表し、2つの抗体濃度を平均化した。得られたデータを表3に記載する(LN27結合%±SE)。
このように、本アッセイ系において、細胞表面APPに対する2E7の結合は、細胞表面APPに対するネガティブコントロール抗体G210の結合とは区別することが可能である。
Figure 2014141495
アミロイド前駆タンパク質に由来するペプチドへの結合
上記エピトープマッピング研究より、抗体2E7がβ-アミロイドペプチドのN末端へ結合するためには、1位のアスパラギン酸残基が重要であることが示された。これは、この抗体がβ-セクレターゼ部位におけるAPPの切断により形成された「新たな」エピトープを認識することを示唆している。この観察は、抗体2E7が隣接APPペプチド配列を認識しないことを示唆している。この仮説を調べるために、APPペプチド(ペプチドAPP1,配列番号16)を合成し、これはβ-アミロイドペプチドの残基1〜7及び5つの隣接APP由来のアミノ酸を含んでいた。したがって、ペプチドAPP1は、BACE-1切断部位よりN-末端5位〜BACE-1切断部位よりC-末端7位の連続アミノ酸を含み、かつN-末端がアセチル化されていた。APP由来ペプチドAPP1及びβ-アミロイド1-12ペプチド(ペプチドAβ1)に対する抗体2E7の結合能をBiacoreTM法(エピトープマッピングについて上記される)を用いて比較した。抗体2E7はβ-アミロイドペプチドAβ-1(基本エピトープ1-7を含む)に対して高いアフィニティ結合を示した。しかし、APP1ペプチド(基本β-アミロイド由来配列1-7を含む)に対する結合は観察されなかった。
ペプチドAβ1 DAEFRHDSGYEVGSGK-ビオチン 配列番号15
APP1 AcNH-SEVKMDAEFRHDGSGK-ビオチン 配列番号16
FMATTMに基づく細胞結合及びBiacoreTMに基づくペプチドマッピングの組み合わせを用いて、これらのフォーマットにおいて、2E7が完全長APPタンパク質に対して結合アフィニティを有さないことを示した。β-アミロイドペプチドの1位におけるアスパラギン酸残基が結合に必要である場合、2E7のみはβ-アミロイドの「新しい」N末端を認識するために、細胞表面に発現されたAPPに結合しないと結論付けられる。
I 125 β-アミロイドを用いるin vivo結合活性
公開された多くの研究により、β-アミロイド抗体が血流においてβ-アミロイドペプチドと複合体を形成し得ることが示されている。末梢β-アミロイドを隔離することによって、血流中のCNS由来アミロイドのレベルが上昇することが論じられている(DeMattos RB, PNAS(2001), 98(15); 8850-8855)。従って、急性in vivoモデルを開発し、血流における合成β-アミロイドペプチドとの複合体形成能について抗体をスクリーニングした。
麻酔(4%イソフルレン)をオスC57/BL6Jマウスに促し、100%酸素中に維持した(1.5%イソフルレン)。次に動物を定位固定フレームに置いた。矢状縫合に沿って正中切開した後、頭蓋骨を貫通して穴を開け、ガイドカニューレを側脳室に挿入した(前後(AP)-0.5mm、横(L)+0.7mm、腹側(V)-2.5mmを調整する)。さらに2つの穴を頭蓋骨を貫通して開け、そこに皮質スクリューを配置した。カニューレをシアノアクリレートゲルによって固定し、切開部をシアノアクリレートゲルヘッドキャップの周辺に縫合する。手術後、マウスに0.3mlの食塩水を皮下投与し、暖かい環境に置き、麻酔より回復させた。正向反射が回復したら、マウスを個々に収容し、一般的な術後のケアを5日間施した。さらに5日間又は手術前の体重が回復するまで、いかなる処置も認められなかった。回復した後、カニューレの配置をアンジオテンシンII吸飲反応によって確認した。各マウスには、100ngアンジオテンシンII(AII)(0.9%食塩水中に作製)を脳室内(ICV)投与(5μl)した。AIIの投与後、水分摂取を15分間観察した。AIIに対して口渇の陽性反応(持続した水分摂取)を有するマウスを本試験に含めた。当該試験はAIIの注射後5日してすぐに開始した。
試験日に、マウスを5〜10分間、暖かい環境に置いて血管拡張を誘導した。これは尾静脈への注射を容易にするために必要とされる。試験抗体(600μg)又はPBSビヒクル(投与量は体重1kgあたり10mlを超えないものとする)を尾静脈より注射し、注射後、マウスを個々のケージに戻した。尾静脈注射のちょうど1時間後、マウスに2ng(1μCi)のI125β-アミロイド1-40(Amersham Biosciences, UK)を5μlの投与量で、ゆっくりと(1分間に2μl)ICV注射した。ICV投与からちょうど4時間後に、50μlの体幹血液を採取し、放射能レベルをシンチレーションカウンターで測定した。
尾静脈に2E7を注射したマウス(1処置群につきn=6)は、50μlの体幹血液における放射能シグナル(1分間あたりのカウント - CPM)が、ビヒクルを注射したマウスにおいて検出されたCPMシグナルと比べて、統計的に有意に増大していることが示された。(CPM -ビヒクル: 1339.7 ± 496.2 vs. 2E7 4387.9 ± 980.3; ANOVA:F(2,13)= 4.97, p<0.05. 事後LSD: p=0.01 2E7 vs.ビヒクル [事後Duncans: p=0.02 2E7 vs,ビヒクル])。
同一のプロトコルにより実施された2E7を用いた2つのさらなる研究において、ビヒクルを注射したコントロールと比べて、同様に血中の放射性カウントの上昇が検出された(CPM 血液:ビヒクル 352 +/- 113 vs. 2E7 2397 +/- 353及びビヒクル 1281 +/- 312 vs. 2E7 5291 +/- 885; 事後LSD検定を用いたANOVA p<0.001 vs.ビヒクル)。
ハイブリドーマ可変領域のクローニング
可変領域の配列
全RNAを2E7ハイブリドーマ細胞より抽出し、次に重鎖及び軽鎖可変ドメインcDNA配列を、逆転写及びポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって作製した。RT-PCR用の順向プライマーは、マウス免疫グロブリン遺伝子リーダー配列に特異的な縮重プライマーの混合物であり、逆向プライマーは抗体の定常領域に特異的であった(この場合、重鎖についてはマウスイソタイプIgG2a及び軽鎖についてはマウスκ)。プライマーはJones及びBendig(Bio/Technology 9:88, 1991)に記載されているストラテジーに従って設計した。RT-PCRは両V領域配列について二揃いで実施し、その後の正確なV領域配列の検証を可能とした。RT-PCRにより生成したV領域産物をクローニングし(Invitrogen TA クローニングキット)、そして配列データを得た。
2E7 VH アミノ酸配列 (配列番号17)
EVKLVESGGGLVQPGGSLKLSCAVSGFTFSDNGMAWVRQAPRKGPEWIAFISNLAYSIDYADTVTGRFTISRDNAKNTLYLEMSSLRSEDTAMYYCVSGTWFAYWGQGTLVTVSA
2E7 VH DNA配列 (配列番号18)
GAGGTGAAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGCAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGTCTCTGGATTCACTTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTTCGACAGGCTCCAAGGAAGGGGCCTGAGTGGATAGCGTTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCTAGAGATAATGCCAAGAATACCCTGTACCTGGAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCATGTACTATTGTGTAAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
2E7 VL アミノ酸配列 (配列番号19)
DVVLTQTPLSLPVSLGDQASISCRVSQSLLHSNGYTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQTRHVPYTFGGGTKLEIK
2E7 VL DNA配列 (配列番号20)
GATGTTGTGCTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGAGTTAGTCAGAGCCTTTTACACAGTAATGGATACACCTATTTACATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTTCTGCTCTCAAACTAGACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
上記アミノ酸配列中、相補性決定領域(CDR)を下線で示す。
2E7キメラのクローニング及び発現
親マウスV領域を重鎖のヒトIgG1(Fc突然変異型(L235A、G237A))又は軽鎖のヒトCκ領域にグラフトしてなるキメラ2E7抗体(2E7c)を、組換え抗体材料を発現させるために作製した。当該組換え抗体材料は機能的マウスV領域の正確なクローニングを確認するために用いることができる。2E7マウス重鎖及び軽鎖V領域並びに内因性マウスシグナル配列をコードするDNAを、哺乳動物発現ベクターRLD-bshe(重鎖用)及びRLN-bshe(軽鎖用)(これらは予めヒト定常領域(それぞれ、IgG1 Fc突然変異型(L235A、G237A))又はヒトCκ)を含んでいる)にインフレームでクローニングした。
Figure 2014141495
正確にクローニングされたVH配列及びVL配列を有するクローンを同定し、プラスミドを懸濁培養におけるCHO細胞にて発現させるために作製した。発現された2E7c抗体を、細胞培養上清よりFPLC系にてプロテインA クロマトグラフィにより精製し、ELISA及びBiacoreTM 技術を用いたSPRによって、Aβに対する結合について試験した。これらの結果より、正確な2E7マウスV領域がクローニング及び発現され、その結果、親マウス抗体2E7と同様の特性を有する機能的抗体が生じたことが示された。
軽鎖ヒト化
ヒトアクセプター配列(Genpept ID CAA51135(配列番号24)及びGenbankアクセッション番号 X72467)はアミノ酸レベル(CDRを含む)で77%の同一性を有し、アクセプターフレームワークとして選択した。構築物L1は2E7 VLドメイン由来のマウスCDRをこのアクセプターフレームワークへグラフトしたものである。
重鎖ヒト化
ヒト配列Genbankアクセッション番号 M99675(配列番号21)は、2E7マウス可変重鎖領域とアミノ酸レベル(CDR1及び2を含む)で74%の同一性を有するVH3-48遺伝子の対立遺伝子であり、これをヒトJH4ミニ遺伝子とともにヒト重鎖アクセプターフレームワークとして選択した。3つのヒト化可変重鎖変異体をM99675配列及びJH4を基に設計した。H1はKabatの定義を使用して、93位及び94位に2つのさらなるフレームワーク復帰突然変異を有する、マウスCDRを移植したものである。H2及びH3は共にH1に由来するが、1つのさらなるフレームワーク突然変異を組み込んでおり、この突然変異は各構築物で異なっていた(それぞれ、24位及び48位;表4参照)。
Figure 2014141495
ヒト化重鎖及び軽鎖DNAの構築
ヒト化V領域を重複オリゴの構築及びPCR増幅によってde novo合成した。哺乳動物発現ベクターRLD-bshe及びRLN-bsheにクローニングするための制限酵素部位、並びに選択したヒトアクセプターフレームワークに由来するヒト免疫グロブリンシグナル配列を含めた。次に、シグナル配列及び制限酵素部位と共にヒト化V領域(H1(配列番号27)、H2(配列番号29)、H3(配列番号31)、L1(配列番号33))をコードするDNAを哺乳動物発現ベクターにインフレームでクローニングした。H1、H2及びH3をRLD-bsheにクローニングして、3つの完全長ヒトIgG1 Fc突然変異重鎖をコードするDNAを作製する(それぞれ突然変異L235A及びG237Aを含む)(完全長H1(配列番号35)、完全長H2(配列番号37)及び完全長H3(配列番号39))。L1をヒトκ定常領域をコードするDNAを含むRLN-bsheにインフレームでクローニングし、完全長ヒトκ軽鎖(配列番号41)をコードするDNAを得た。
ヒト化重鎖及び軽鎖抗体の組み合わせの発現の代表例
6ウェルプレートにて小規模に、CHOK1細胞をヒト化軽鎖及び重鎖DNA構築物の全組み合わせ: L1+H1、L1+H2、L1+H3(配列番号35 + 41、37 + 41、39 + 41)を用いて、一過的に形質転換した。5%超低IgG胎児ウシ血清及び2mM グルタミンを含有するDMEM F12中に継代したCHOK1細胞を6ウェルプレート中コンフルエントになるまで増殖させた。コンフルエント細胞を7.5μg DNA: Optimem Glutamax培地(Invitrogen)中30μg Transfast lipid(Promega)を用いて形質転換した。形質転換細胞を37℃にて5%CO2にてインキュベートした。72時間後、上清を回収し、抗体濃度についてアッセイし、そしてELISAによってヒトAβに対する結合について試験した。3つのヒト化重鎖と組み合わせたヒト化L1は全て、ヒトAβに結合する完全抗体を発現した。
また、DNAのリポソーム送達(例えば、TransFast(Promega))を使用して大規模に一過的なCHOK1細胞トランスフェクションを行い、その後培養ボトルにて発現させることによって、ヒト化抗体を発現させた。一過的なトランスフェクションにおける発現レベルを最適化するために、重鎖発現ベクターDNA:軽鎖発現ベクターDNAの比率を1:6とした。一過的なトランスフェクションに由来する材料は、ProSepAカラム又はProSepA HiTrapカラムを用いたFPLCによって精製した。
2E7ヒト化変異体H1L1、H2L1及びH3 L1のβ-アミロイド結合ELISAにおける評価
2E7 H1L1、H2L1及びH3L1ヒト化変異体を、C末端におけるヒトAβペプチド(1-40)ビオチン化に対する結合について調べた。キメラ2E7を参照として用いた。表5〜7は、大規模な一過的なトランスフェクションに由来する精製材料の様々なバッチを用いた結果を示す。
Figure 2014141495
Figure 2014141495
Figure 2014141495
これらの結果は2E7由来ヒト化変異体それぞれについての、非常に類似のAβ結合プロファイルを示していた。Aβ結合活性のわずかな損失を示す2E7cに対するEC50値の比較は、ヒト化法により行った。
β-アミロイド結合ELISAにおける、2E7ヒト化変異体H2L1 Fabフラグメントの評価
H2L1のFabフラグメントは、H2重鎖の末端切断型形態をL1軽鎖と一緒にCHOK1細胞において発現させることにより作製した。H2重鎖の末端切断型形態は以下のとおりであった:(a)ヒンジ領域の残基224において切断された形態、(b)残基226でのヒンジ領域における第2のシステインにおいて切断された形態、及びc)224位でのヒスチジンを含むC末端6xヒスチジンタグを有する224位で切断された形態。全長H2L1 lgGの発現されたH2L1 Fabフラグメントを含む培養上清を用いてELISAを上述のように実施した。表7Aにおける2つのELISA実験からの結果は、全てのFabフラグメントが非常に近似したEC50値でAβペプチド(1-40)に結合したことを示す。
Figure 2014141495
競合ELISAによる2E7ヒト化変異体の比較
2E7cキメラ並びにヒト化抗体H1L1、H2L1及びH3L1を、ヒトAβペプチドと親マウス2E7 Mabとの結合を阻害する能力について、競合ELISAによって評価した。
2つのタイプの競合ELISAを確立し、3つのヒト化変異体のAβ結合活性を2E7キメラ抗体と比較した。
1)固定化β-アミロイド;ビオチン化ヒトAβペプチド(1-40)を、ELISAプレート上にストレプトアビジンにより固定した。マウス2E7抗体を定濃度で2E7由来のヒト化変異体抗体の希釈系列と共に加えた。次に結合したマウス2E7 Mabを抗マウスIgG コンジュゲートを用いて検出した。表8は2つのアッセイの結果を示す。
Figure 2014141495
2)溶液中のβ-アミロイド; 定濃度のβ-アミロイドをヒト化2E7抗体変異体の希釈系列と共に予めインキュベートした。複合体化したアミロイド及び遊離アミロイドを含む混合物を、固定化マウス2E7 Mabを含有するウェルに短時間のうちに加えた。固定化親2E7 Mabとの結合のために依然として利用可能な遊離β-アミロイドの量を次に検出した。表9は2つのアッセイの結果を示す。
Figure 2014141495
全てのヒト化抗体変異体は、マウス2E7 Mabのβ-アミロイドに対する結合を非常に近似したプロファイルで阻害した。H2L1及びH3L1変異体について生じたIC50値は、2E7cキメラ(用いる場合)(両アッセイにおいて最高の阻害活性を有していた)のIC50値と常に近似していた。しかし、変異体H1L1は両アッセイにおいていくらか低減した阻害活性を示した。これはβ-アミロイドに対するアフィニティがわずかに低減する可能性を示している。
2E7、2E7c、H1L1、H2L1、H3L1のSPR Biacore TM 分析
ヒトβ-アミロイドペプチド(1-40)及び(1-42)に対する、組換えマウス2E7 MAb、キメラ2E7c並びにヒト化変異体H1L1、H2L1及びH3L1の結合の動力学パラメーターを、BiacoreTM 3000にてBiacoreTM分析により調べた。2つの異なるアッセイフォーマットを用いた。
方法A
(i)簡単に説明すると、β-アミロイド1-40ペプチド(C末端にてビオチン化)の20共鳴単位未満を、ストレプトアビジンバイオセンサーチップ上で捕捉した(表10Aに用いられるように)。抗体をHBS-EP緩衝液中で希釈し、0.001nM〜8nMの濃度範囲でストレプトアビジン/β-アミロイド表面を通過させた(表10A)。2つを別々に実験した。各実験は新たなストレプトアビジン/β-アミロイド表面上で実施した。実験1及び2は実質的に同一であるが、用いたパラメーターにいくらか違いが存在した。実験1をチップ表面を使用して実施し、この表面上にてβ-アミロイドの16 RUを捕捉し、抗体濃度は0.001nM〜8nMを使用し、4分間の結合時間及び20分間の解離時間を50μl/分の流速で用いた。実験2については、10 RU未満のβ-アミロイドを捕捉し、0.003125nM〜8nMの抗体濃度を用いた。流速及び結合時間は実験1と同一であったが、解離時間を15分間に減らした。
(ii)βアミロイド(1-40)及び(1-42)は、CM5バイオセンサーチップの異なる表面上にて、20共鳴単位未満のレベルにアミン結合した(表10Bに用いられるように)。抗体をHBS-EP緩衝液中に希釈し、バイオセンサー/β-アミロイド表面を1nM〜64nMの濃度にて通過させた(表10Bに用いられるように)。
方法B
第2の例において、アッセイを反対にし、抗体をまず、CM5バイオセンサーチップの抗マウスIgG ポリクローナル抗体表面(組換えマウス2E7 Mabについて)又はプロテインA表面(ヒト化H2L1について)にて1000〜2500共鳴単位のレベルに捕捉した。新たに調製したβ-アミロイド(1-40)又は(1-42)をHBS-EP緩衝液中に希釈し、4〜500nMの濃度にて捕捉抗体表面を通過させた(表10C及び10D)。
両方法において、再生は100mM H3PO4のパルス、表10Aデータについては、その後50mM NaOHのパルスによるものであった。表面は再生に対して、安定でありかつ影響を受けないことが示された。全ての実験は、緩衝液ブランク注入に対して二重参照した。BiacoreTM分析ソフトウェア BIAevaluation version 4.1.を使用して分析した。
結果
方法A(i)を用いて、β-アミロイド結合動的データにより抗体を順序付けた。得られたデータを表10Aに示す。これは親 2E7 Mabが、ストレプトアビジンで捕捉したβ-アミロイドに対して36.1 pMのKDを有することを示す。キメラマウス-ヒト抗体は45.8 pMとわずかに減少したKDを示し、ヒト化構築物は54(H2L1)〜93.6 pM(H1L1)の範囲であった。結論として、これはヒト化法が非常に良好であり、非常にわずかなアフィニティを喪失したことを示す。H2及びH3に導入したさらなる復帰突然変異はわずかであるが有効な効果を有する。しかし、H2及びH3構築物間の違いは3つの実験についての標準偏差内である。
Figure 2014141495
方法A(ii)を用いて、β-アミロイド(1-40)と比較してβ-アミロイド(1-42)のC末端におけるさらなる2つのアミノ酸残基が2E7及びH2L1の結合特性を優位に変化させないことを確認した。得られたデータを表10Bに示し、このことを確認した。
Figure 2014141495
方法Bを用いて、第1アッセイフォーマットにて見られた親和性効果を否定した。親和性効果(バイオセンサー表面上(又はβ-アミロイドの多量体形態中)の2つの隣接するβ-アミロイド分子に同時に結合する単一抗体分子の両Fabドメインによって生じる)は結合の見かけのアフィニティを増大する。方法Bを使用して得られたアフィニティ測定値を表10Cに示す。
Figure 2014141495
パパイン消化により得られたH2L1のFabフラグメントが、ストレプトアビジン捕捉β-アミロイド(1-40)に方法A(i)と同様の方法により2.4nMの推定KDで結合する場合、本アッセイが真の1:1 結合アフィニティをもたらしたという証拠を得た。
また、方法Bを用いて、β-アミロイド(1-40)と比較してβ-アミロイド(1-42)のC末端上のさらなる2つのアミノ酸残基は、同一の配列クローンのマウス2E7 Mab、すなわち2F11に対する結合特性を有意に変化させなかったことを確認した。得られたデータを表10Dに示す。
Figure 2014141495
上記表面プラズモン共鳴アッセイを使用する 2E7のエピトープマッピング研究に類似する研究において、H2L1はβ-アミロイドペプチドのアミノ酸1-12(Aβ1、配列番号15)を含むペプチドに対する結合において2E7と同様の挙動を示したが、β-アミロイドペプチドのアミノ酸2-13を含むペプチド(Aβ2-13、配列番号44)に対してはそうではなかった。
I 125 β-アミロイドin vivo結合アッセイにおけるH2L1の活性
ヒト化H2L1と親マウスモノクローナル2E7とを機能的に比較するために、上記I125β-アミロイドin vivo結合アッセイにおいて同日に両方を試験した。
H2L1及び2E7の両者はビヒクルコントロールと比較して、血液中1分間あたりのカウント(CPM)が有意に増大した。血液中の放射能のCPMは以下のとおりであった(ビヒクル: 1940 ± 166; 2E7: 10065 ± 1386; H2L1: 10913 ± 1535)。用いた統計値は事後LSD検定を伴うANOVAであった。n=7ビヒクル、n=6 2E7、n=6 H2L1,(各試験化合物vsビヒクルについてp<0.001)。
このデータは、ヒト化H2L1抗体がマウス2E7分子を用いて示される機能的特性を保持していることのさらなる証拠を提供する。
H2L1及び2E7の薬物動態の調査
マウスにおける試験抗体の最終的な半減期を調べた。試験抗体を1時間、静脈点滴により4匹のマウスに投与し、マウス1匹あたり400μg投薬した。連続的な血液サンプルを、投薬後5日間、各マウスより採取した(2E7群に由来するマウス1匹は研究を完遂せず、またH2L1群に由来する1匹は、投薬量がi.v.投与されていないことが明らかとなったので、その後の分析から取り除いた)。抗体レベルをβ-アミロイド捕捉ELISAによって測定した。
データの分析より、ヒト化抗体H2L1は、マウスにおいておよそ82時間の最終的な半減期を有し(表11)、これは親マウスモノクローナル抗体2E7(およそ 75 時間)に匹敵することが示される。
Figure 2014141495
製造方法
H2L1をコードし、かつ増幅可能な選択マーカー(例えば、DHFR又はグルタミンシンテターゼ)に機能的に連結されている発現ベクターを用いて、親CHO細胞株(例えば、CHODG44又はCHOK 1)をトランスフェクト又は形質導入して、大規模にモノクローナル抗体を産生するのに好適な遺伝子組換え細胞株を作製できる(概説については、Bebbington and Hentschel DNA Clonong Volume III; A practical approach(Glover Dm編)(Oxford IRL press, 1987)参照)。発現レベルを増大させるために、コード配列をシス作用配列モチーフ及び極端なGC含有量(多い又は少ない)を回避するためにコドン最適化し得る。配列番号42及び43はH2重鎖及びL1軽鎖のコード配列を例示する。大規模生産は撹拌型タンクバイオリアクター中にて動物由来成分を含まない培地を使用して、その後精製して行い得る。本方法は、得られたものの清澄化、プロテインAアフィニティクロマトグラフィー、さらにイオン(例えば、カチオン)交換及び混合型(例えば、セラミックヒドロキシアパタイト)クロマトグラフィユニットの操作を用いた精製を含み得る。ウイルス除去を行うナノろ過の後、意図する投与経路に好適に製剤化することが可能な最終的な限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程を含む。
製剤処方の例
含有物 量(1mLあたり)
H2L1 50mg
酢酸ナトリウム三水和物 6.81mg
ポリソルベート 80 0.20mg
アルギニン塩基 10.00mg
塩化ナトリウム 3.00mg
エデト酸2ナトリウム二水和物 0.0186mg
塩酸 pH 5.5にするのに十分量
注射用の水 1.0mLにするために
窒素 ヘッドスペースを満たす
免疫組織化学によるドルーゼンにおけるAβに対する治療用抗体の結合の実証
治療用抗体が、AMDであると臨床的に診断されたヒト患者のドルーゼンに存在するAβと結合し、潜在的にクリアランスする又は破壊することを実証するために、患者サンプルをアイバンクから得ることができ、ドルーゼンに存在するAβとの結合を、標準的な免疫組織化学法により確認することができた。眼の組織標本を採取し、死後できる限り迅速に固定を行う。組織は、「正常な」眼、並びに初期AMD、地図状萎縮(geographic atrophy)及び滲出性AMDと臨床的に診断されたドナーから得た。切片を切断し、ドルーゼンの存在、アミロイド組織化学、及びAβ存在について標準的手順により分析した。例えば、Aβは、チオフラビンT(Sigma)の使用により確認することができた。ドルーゼンにおけるAβへの治療用抗体の結合は、標準的な顕微鏡又はレーザー走査共焦点顕微鏡によりモニターすることができた。治療用抗体は、標準的手順を用いて標識し、一次抗体として使用して、固定包埋眼組織の切片を検出することができ、あるいは非標識の治療用抗体を一次抗体として使用して、標識した二次抗ヒトIgG抗体を用いて検出することもできる。陰性対照は、非特異的標識について確認するものであり、例えば一次抗体の省略、非関連一次抗体又は非免疫血清の類似濃度との置き換え、並びに不適当な二次抗体との置き換えがある。さらに、可能な場合には、RPE組織又はブルッフ膜に由来するリポフスチンの自己蛍光を可視化して、眼におけるドルーゼン構造の位置づけを補助することができる(Anderson DH et al., (2004) Exp Eye Res 78: 243-256)。
ELISAによるドルーゼンにおけるAβに対する治療用抗体の結合の実証
ドルーゼンにおけるAβに対する治療用抗体の結合を判定するためにELISAを実施した。眼組織ホモジネートを、上述のようにAMDを患うドルーゼンを含むドナー源から処理した。処理した眼組織をホモジネートし、上清を回収し、サンプルを標準96ウエルELISAプレートのウエルのコーティングに用いた。標準的なELISAを、治療用抗体を一次抗体(標識又は非標識のいずれか)として用いて実施した。次に、一次に対する酵素タグ付加二次抗体又はその標識に対する結合試薬を使用して、標準的なELISA比色読み取りを媒介する。タンパク質サンプル量の増大は、Aβ陽性シグナルの増大を生じるだろう。そのような実験では、同じヒト化IgG1サブクラスの同じ濃度における関連しない一次抗体を陰性として用いうる(Luibl et al (2006))。
アクセプターフレームワーク及びヒト化変異体のV領域のアミノ酸配列

M99675 重鎖アクセプターフレームワーク V領域, アミノ酸配列 (配列番号21)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR
M99675 重鎖アクセプターフレームワーク V領域 DNA (配列番号22)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAGCTATAGCATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATACATTAGTAGTAGTAGTAGTACCATATACTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGA
CAA51135 軽鎖アクセプターフレームワーク V領域 アミノ酸配列 (配列番号24)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPWTFGQGTKVEIK
CAA51135 軽鎖アクセプターフレームワーク V領域 DNA (配列番号25)
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCACTCTCCCTGCCCGTCACCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTCAGAGCCTCCTGCATAGTAATGGATACAACTATTTGGATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGGCAGTCTCCACAGCTCCTGATCTATTTGGGTTCTAATCGGGCCTCCGGGGTCCCTGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTTACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTTGGGGTTTATTACTGCATGCAAGCTCTACAAACTCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA
ヒト化重鎖V領域 変異体H1 , アミノ酸配列 (配列番号26)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDNGMAWVRQAPGKGLEWVSFISNLAYSIDYADTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCVSGTWFAYWGQGTLVTVSS
ヒト化重鎖V領域 変異体H1 DNAコード配列 (配列番号27)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGCACACTAGTCACAGTCTCCTCA
ヒト化重鎖V領域 変異体H2 , アミノ酸配列 (配列番号28)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFSDNGMAWVRQAPGKGLEWVSFISNLAYSIDYADTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCVSGTWFAYWGQGTLVTVSS
ヒト化重鎖V領域 変異体H2 DNA (配列番号29)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGTCTCTGGATTCACCTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGCACACTAGTCACAGTCTCCTCA
ヒト化重鎖V領域 変異体H3 , アミノ酸配列 (配列番号30)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDNGMAWVRQAPGKGLEWISFISNLAYSIDYADTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCVSGTWFAYWGQGTLVTVSS
ヒト化重鎖V領域 変異体H3 DNA (配列番号31)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCTCATTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGCACACTAGTCACAGTCTCCTCA
ヒト化軽鎖V領域 変異体L1 アミノ酸配列 (配列番号32)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRVSQSLLHSNGYTYLHWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQTRHVPYTFGGGTKVEIK
ヒト化軽鎖V領域 変異体L1 DNA (配列番号33)
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCACTCTCCCTGCCCGTCACCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAGAGTTAGTCAGAGCCTTTTACACAGTAATGGATACACCTATTTACATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGGCAGTCTCCACAGCTCCTGATCTATAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCTGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTTACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTTGGGGTTTATTACTGCTCTCAAACTAGACATGTTCCGTACACGTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA
成熟 H1 重鎖アミノ酸配列 (Fc変異型二重変異 太字) (配列番号34)
Figure 2014141495
H1 全長DNA (配列番号35)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGG
GGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACAACGGAATGG
CGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCA
GACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGC
CGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGCACACTAGTCACAGTCTCCT
CAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGC
TGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTT
CCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGA
CCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACT
CACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCGCGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACAC
CCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACT
GGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTC
AGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGC
CCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATG
AGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGC
AATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCT
CACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACA
CGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
成熟 H2 重鎖アミノ酸配列, (Fc変異型二重変異 太字) (配列番号36)
Figure 2014141495
H2 全長DNA (配列番号37)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGTCTCTGGATT
CACCTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATTCATTAGTAATT
TGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTAT
CTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCA
GGGCACACTAGTCACAGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCT
CTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCC
CTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCC
CTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTG
AGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCGCGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTC
TTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGA
AGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGT
ACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAG
GTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTA
CACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCG
ACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGC
TCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCA
TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
成熟 H3 重鎖アミノ酸配列 (Fc変異型二重変異 太字) (配列番号38)
Figure 2014141495
H3 全長DNA (配列番号39)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACAACGGAATGGCGTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATCTCATTCATTAGTAATTTGGCATATAGTATCGACTACGCAGACACTGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGTCAGCGGGACCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGCACACTAGTCACAGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCGCGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
成熟 軽鎖アミノ酸配列 (配列番号40)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRVSQSLLHSNGYTYLHWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQTRHVPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
L1 全長DNA (配列番号41)
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCACTCTCCCTGCCCGTCACCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAGAGTTAGTCAGAGCCTTTTACACAGTAATGGATACACCTATTTACATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGGCAGTCTCCACAGCTCCTGATCTATAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCTGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTTACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTTGGGGTTTATTACTGCTCTCAAACTAGACATGTTCCGTACACGTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
最適化H2 重鎖DNA (配列番号42)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGCAGCCTGAGACTGAGCTGTGCCGTGTCCGGCTTCACCTTCAGCGACAACGGCATGGCCTGGGTGAGGCAGGCCCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGGTGTCCTTCATCAGCAACCTGGCCTACAGCATCGACTACGCCGACACCGTGACCGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGTGAGCGGCACCTGGTTCGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGTCCAGCGCCAGCACCAAGGGCCCCAGCGTGTTCCCCCTGGCCCCCAGCAGCAAGAGCACCAGCGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACCGTGTCCTGGAACAGCGGAGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCCGTGCTGCAGAGCAGCGGCCTGTACAGCCTGAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCAGCAGCAGCCTGGGCACCCAGACCTACATCTGTAACGTGAACCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTGGAGCCCAAGAGCTGTGACAAGACCCACACCTGCCCCCCCTGCCCTGCCCCCGAGCTGGCCGGAGCCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCAGCAGAACCCCCGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGATGTGAGCCACGAGGACCCTGAGGTGAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTACAACAGCACCTACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGTAAGGTGTCCAACAAGGCCCTGCCTGCCCCTATCGAGAAAACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGAGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCTAGCAGAGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAAGCTGACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGCAGGGCAACGTGTTCAGCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAATCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGTCCCCTGGCAAG
最適化L1 軽鎖DNA (配列番号43)
GACATCGTGATGACCCAGAGCCCCCTGAGCCTGCCCGTGACCCCTGGCGAGCCCGCCAGCATCAGCTGTAGAGTGAGCCAGAGCCTGCTGCACAGCAACGGCTACACCTACCTGCACTGGTATCTGCAGAAGCCTGGCCAGAGCCCTCAGCTGCTGATCTACAAGGTGTCCAACCGGTTCAGCGGCGTGCCTGATAGATTCAGCGGCAGCGGCTCCGGCACCGACTTCACCCTGAAGATCAGCAGAGTGGAGGCCGAGGATGTGGGCGTGTACTACTGCTCCCAGACCAGACACGTGCCTTACACCTTTGGCGGCGGAACAAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCCCCCAGCGTGTTCATCTTCCCCCCCAGCGATGAGCAGCTGAAGAGCGGCACCGCCAGCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCCCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAATGCCCTGCAGAGCGGCAACAGCCAGGAGAGCGTGACCGAGCAGGACAGCAAGGACTCCACCTACAGCCTGAGCAGCACCCTGACCCTGAGCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCCGTGACCAAGAGCTTCAACCGGGGCGAGTGC
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Claims (12)

  1. β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害を患うヒト患者を治療する方法であって、前記患者に、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12(配列番号15)と結合するが、β-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)とは結合しない抗原結合性タンパク質の治療有効量を投与するステップを含み、両方の測定がストレプトアビジンチップに捕捉されたペプチドを使用する表面プラズモン共鳴アッセイで行われる、上記方法。
  2. β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害を患うヒト患者を治療する方法であって、前記患者に、平衡定数KDが100pM未満でβ-アミロイドペプチド1-12(配列番号15)と結合し、かつβ-アミロイドペプチド2-13(配列番号44)との結合における平衡定数KDがペプチド1-12(配列番号15)との結合における平衡定数KDより1000倍大きい抗原結合性タンパク質の治療有効量を投与するステップを含み、両方の測定がストレプトアビジンチップに捕捉されたペプチドを使用する表面プラズモン共鳴アッセイで行われる、上記方法。
  3. 前記抗原結合性タンパク質が、β-アミロイドペプチドに結合し、かつ以下のCDR:
    VH3遺伝子ファミリーを起源とするヒト重鎖可変領域内の
    CDRH1: DNGMA(配列番号1)
    CDRH2: FISNLAYSIDYADTVTG(配列番号2)
    CDRH3: GTWFAY(配列番号3)
    及び
    GenPept登録番号CAA51135に開示されるアミノ酸配列(配列番号24)を起源とするヒト軽鎖可変領域内の
    CDRL1: RVSQSLLHSNGYTYLH(配列番号4)
    CDRL2: KVSNRFS(配列番号5)
    CDRL3: SQTRHVPYT(配列番号6)
    を含む、抗体若しくは抗原結合性フラグメント及び/又はその誘導体である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号34、36又は38に表される配列を有する重鎖及び配列番号40に表される配列を有する軽鎖を含む抗体と、ELISAアッセイにおいてβ-アミロイドとの結合について競合する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記疾患が、加齢性黄斑変性症(AMD)、緑内障、又はβ-アミロイド依存性白内障形成である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記抗原結合性タンパク質が、補体経路インヒビター又は補体経路活性化因子のインヒビターと組み合せて投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に定義される抗原結合性タンパク質と、補体経路インヒビター又は補体経路活性化因子のインヒビターとを含む医薬組成物。
  8. 前記補体経路インヒビターが補体因子H(CFH)である、請求項6に記載の方法又は請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記補体経路インヒビターが可溶性補体受容体1(sCR1)である、請求項6に記載の方法又は請求項7に記載の医薬組成物。
  10. 前記補体経路活性化因子のインヒビターが補体因子Dインヒビターである、請求項6に記載の方法又は請求項7に記載の医薬組成物。
  11. β-アミロイドに対する第1の特異性と、補体経路の活性化因子に対する第2の特異性とを有する二重特異性抗体又はその二重特異性フラグメント。
  12. β-アミロイドレベル又はβ-アミロイド沈着の増大を特徴とする眼又は視神経を侵す疾患又は障害の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか一項に定義される抗原結合性タンパク質、又は請求項11に記載の二重特異性抗体若しくはその二重特異性フラグメント。
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