JP2014139407A - 過給機の余剰エネルギ利用装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 使用する発電機の入手が容易で、かつ極めて安価であり、しかも過給機の広い作動範囲で安定的に発電を行なうことができるようにする。
【解決手段】 内燃機関(1)と、内燃機関へ加圧された給気を供給する過給機(5)と、電力母線(45)に繋がれると共に過給機に連結されて過給機の回転駆動力により回転されて発電を行ない電力母線へ電力を供給する発電機(30)とを備えた過給機の余剰エネルギ利用装置において、過給機の出力軸(8)と発電機の回転軸(31)との間に遊星歯車減速機構(10)を介装し、発電機を同期発電機とし、同期発電機の作動を制御する発電機制御手段(40,41,42)を配設する。
【選択図】 図1
【解決手段】 内燃機関(1)と、内燃機関へ加圧された給気を供給する過給機(5)と、電力母線(45)に繋がれると共に過給機に連結されて過給機の回転駆動力により回転されて発電を行ない電力母線へ電力を供給する発電機(30)とを備えた過給機の余剰エネルギ利用装置において、過給機の出力軸(8)と発電機の回転軸(31)との間に遊星歯車減速機構(10)を介装し、発電機を同期発電機とし、同期発電機の作動を制御する発電機制御手段(40,41,42)を配設する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の過給機によって回転駆動される発電機を利用した、過給機の余剰エネルギ利用装置に関する。
従来の、例えば、ガスエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関に装備される過給機は、内燃機関の排気ガスが有する排気エネルギにより回転駆動されて給気を加圧し、高密度の空気を供給することにより出力増加を図るものである。しかしながら、過給機を取り付けて排気エネルギを利用したとしても、通常は内燃機関の排気エネルギに充分な余剰があり、この余剰の排気エネルギは、利用されずにそのまま外気へ排出される。したがって、余剰エネルギをさらに有効利用することが、燃費向上のみならず、環境保護の面からも強く要請される。
一方、昨今の電力事情に鑑み、これらの内燃機関の中でもガス燃料のエネルギを高効率で電力エネルギに変換する、例えばリーンバーンガスエンジンが有効な機器となっている。しかし、このガスエンジンは、ガス燃料と空気との混合気の可燃範囲が狭いため、シリンダ内で燃焼するガス量に見合った空気量を適正に制御する必要がある。
また、高効率高出力のガスエンジンには、燃焼用の空気量をより多く導入するために、上述のように過給機が使用されているが、空気密度の影響を受けて給気量が季節によって変動し、夏場は少なく冬場は多くなる傾向がある。このため、過給機の仕様を夏場の空気量確保に合わせた設定とする一方、冬場は余剰の空気をバイパス弁等を介して外気へ逃がしている。このため、冬場はエネルギの有効利用が十分になされていない。
そこで、内燃機関の余剰排気エネルギを有効利用するものとして、過給機又は排気タービンを備えたガスエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関において、過給機の回転軸に発電機を直結し、余剰の排気エネルギにより発電を行なうようにした過給機の余剰エネルギ利用装置がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上述した従来の、過給機の回転軸に発電機を直結し、余剰の排気エネルギにより発電を行なうようにした過給機の余剰エネルギ利用装置においては、高速回転する過給機に対応するため、発電機として高速発電機を使用しなければならない。
しかしながら、この高速発電機は、一般的に入手が困難であり、著しく高価であるという問題がある。このため、過給機の回転軸に発電機を直結し、余剰の排気エネルギにより発電を行なうようにした従来の過給機の余剰エネルギ利用装置は、ほとんど普及していないのが実情である。
また、過給機の余剰排気エネルギを利用した発電は、過給機の広い作動範囲で安定的に行なうことができることが望まれる。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、従来の高速発電機に比べて、使用する発電機の入手が容易で、かつ極めて安価であり、しかも過給機の広い作動範囲で安定的に発電を行なうことができる、過給機の余剰エネルギ利用装置を提供することを課題とする。
上述の課題を解決するために、本発明の過給機の余剰エネルギ利用装置は、内燃機関と、内燃機関へ加圧された給気を供給する過給機と、電力母線に繋がれると共に過給機に連結されて過給機の回転駆動力により回転されて発電を行ない電力母線へ電力を供給する発電機とを備えた過給機の余剰エネルギ利用装置において、過給機の出力軸と発電機の回転軸との間に遊星歯車減速機構を介装し、発電機を同期発電機とし、この同期発電機の作動を制御する発電機制御手段を配設したことにある。
本発明の過給機の余剰エネルギ利用装置においては、過給機の出力軸と発電機の回転軸との間に遊星歯車減速機構を介装し、発電機は様々な回転数で発電を行うことができる同期発電機を用いる。この同期発電機は、比較的低速の回転域で、例えば180〜1800rpmで発電を行なうもので、一般に広く普及しており、従来の高速発電機と比べて入手が容易で、かつ極めて安価である。また、遊星歯車減速機も入手が容易で、かつ極めて安価である。
また、発電機制御手段による制御により同期発電機は広い回転範囲で安定的に発電を行うことができるから、一定の回転数で発電する誘導発電機等と比べて、発電できる過給機の作動範囲も大幅に広くなる。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、遊星歯車減速機構は、減速比が一定の減速比固定型遊星歯車を備え、発電機制御手段は、同期発電機と電力母線との間に介装されて電気周波数の変換を行なうインバータコンバータと、このインバータコンバータを介して同期発電機の作動を制御するコントローラを備えることが望ましい。
このように、遊星歯車減速機構を、減速比が一定の減速比固定型遊星歯車によって構成することにより、過給機の回転数を同期発電機の作動回転数にまで円滑に減速させることができる。減速比固定型遊星歯車は、入手が容易で、かつ極めて安価である。また、回転数制御手段として、インバータコンバータを介して同期発電機の作動を制御するコントローラを備えることにより、過給機の回転数の変動にも拘わらず、同期発電機による発電を安定的に行なうことができる。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、回転数制御手段は、コントローラに接続されて内燃機関の実給気圧力を検出する給気圧力センサとを備え、コントローラは、給気圧力センサが検出した実給気圧力に基づいてインバータコンバータを介して同期発電機の作動状態を変化させることが望ましい。
このようにすることにより、同期発電機の作動は、常に過給機の給気圧力が内燃機関にとって適正な燃焼給気圧力であるように制御されるため、内燃機関は適正な運転を維持することが可能となる。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、コントローラは、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧を演算し、この差圧の絶対値が所定値を超える場合にインバータコンバータを介して同期発電機の作動状態を変化させることが望ましい。
このように、コントローラが、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧の絶対値が所定値を超える場合、つまり所定設定給気圧力と実給気圧力とが一定以上乖離している場合には、インバータコンバータを介して同期発電機の作動状態を変化させる。したがって、内燃機関は給気圧力が一定の範囲内において適正な燃焼給気圧力であるように制御され、内燃機関は常に適正な運転が維持される。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、コントローラは、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧を演算し、この差圧が零以下の場合にはインバータコンバータを介して同期発電機の発電量を増加させることが望ましい。
このように、コントローラが、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧が零以下、つまり実給気圧力が内燃機関にとって適正な燃焼給気圧力よりも高い場合には、インバータコンバータを介して同期発電機の発電量を増加させる。これにより、内燃機関の給気圧力をより適正にし、燃費の向上を図ると共に、余剰排気エネルギによって多量の電力を発生させることができる。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、コントローラは、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧を演算し、この差圧が零を超える(正値)場合であって、かつ同期発電機が発電中の場合にはインバータコンバータを介して同期発電機の発電量を減少させることが望ましい。
このように、コントローラが、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧が零を超える場合、つまり実給気圧力が内燃機関にとって適正な燃焼給気圧力よりも低い場合であって、かつ発電機が発電中の場合には、インバータコンバータを介して同期発電機の発電量を減少させることにより、給気圧力が内燃機関にとってより適正な燃焼給気圧力であるように、過給機の給気量が増加制御される。これにより、常に適正な運転が維持される。
上記過給機の余剰エネルギ利用装置において、コントローラは、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧を演算し、この差圧が零を超える場合であって、かつ同期発電機が発電を行っていない場合にはインバータコンバータを介して同期発電機をモータとして作動させて遊星歯車減速機構を介して過給機の回転数を増加させることが望ましい。
このように、コントローラが、所定設定給気圧力から給気圧力センサが検出した実給気圧力を差し引いた差圧が零を超える場合、つまり実給気圧力が内燃機関にとって適正な燃焼給気圧力よりも低い場合であって、かつ発電機が発電を行っていない場合には、電力母線から電力の供給を受けた同期発電機をモータとして作動させて、遊星歯車減速機構を介して過給機の回転数を増加させることにより、特に負荷急増時などに給気圧力が内燃機関にとってより適正な燃焼給気圧力であるように過給機が加勢され、その給気量が増加制御される。これにより、内燃機関は常に適正な運転が維持される。
以上詳細に説明したように、本発明の過給機の余剰エネルギ利用装置は、内燃機関と、内燃機関へ加圧された給気を供給する過給機と、電力母線に繋がれると共に過給機に連結されて過給機の回転駆動力により回転されて発電を行ない電力母線へ電力を供給する発電機とを備えた過給機の余剰エネルギ利用装置において、過給機の出力軸と発電機の回転軸との間に遊星歯車減速機構を介装し、発電機を同期発電機とし、同期発電機の作動を制御する発電機制御手段を配設する。
したがって、従来の高速発電機に比べて、使用する発電機の入手が容易で、かつ極めて安価であり、しかも過給機の広い作動範囲で安定的に発電を行なうことができる、という優れた効果を奏する。
本発明に係る過給機の余剰エネルギ利用装置の発明を実施するための形態を、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、符号1は内燃機関の一例としてのガスエンジンであり、このガスエンジン1の排気ガスは、ガスエンジン1の排気管から過給機5のタービン6に導かれ、通常運転時に、例えば3000〜30000rpmという範囲の高速で過給機5を回転駆動する。過給機5のタービン6を駆動した排気ガスは、大気中へ排気される。
過給機5のコンプレッサ7は、タービン6により駆動されて給気を圧縮し、この圧縮された給気を図示しないインタクーラ、サージタンク等を介してエンジン1のシリンダ内へ供給する。このように、過給機5はガスエンジン1へ加圧された給気を供給する。
過給機5のコンプレッサ7側の出力軸8に、連結軸9を介して遊星歯車減速機構10を構成する2段の、それぞれ減速比が一定の減速比固定型遊星歯車11,21が直列に連結され、2段目の減速比固定型遊星歯車21の内歯歯車27の内歯歯車軸(出力軸)28に、同期発電機30の回転軸31が連結される。すなわち、過給機5の出力軸8と同期発電機30の回転軸31との間に、遊星歯車減速機構10を構成する2段の減速比固定型遊星歯車11,21が介装され、同期発電機30は過給機5の回転駆動力により回転して発電を行なう。
過給機5の出力軸8は、連結軸9を介して1段目の減速比固定型遊星歯車11の太陽歯車12の太陽歯車軸13に連結される。太陽歯車12の外周部には複数の遊星歯車14が配設され、太陽歯車12とそれぞれ噛合している。
各遊星歯車14は、遊星キャリア15を介して遊星キャリア固定板16に回転可能に、かつ周方向に等間隔に固定されて、各遊星歯車14は太陽歯車12の外周部でそれぞれ自転する。ただし、遊星キャリア固定板16が固定されているため、太陽歯車12の外周部を公転することはできない。
各遊星歯車14の外周部には内歯歯車17が配設され、内歯歯車軸18を中心にして各遊星歯車14の回りを自由に回転することができる。1段目の減速比固定型遊星歯車11の内歯歯車軸18に、2段目の減速比固定型遊星歯車21の太陽歯車22の太陽歯車軸23に連結される。2段目の減速比固定型遊星歯車21の構成は、1段目の減速比固定型遊星歯車11の構成と同様であるから、説明は省略する。
これら2段の減速比固定型遊星歯車11,21により、過給機5の高速の回転駆動力が同期発電機30に必要な所定の回転数にまで減速される。つまり、過給機5の回転数と同期発電機30に必要な所定の回転数との関係によって、減速比固定型遊星歯車の段数やそれらを構成する各歯車の歯数が決定される。すなわち、減速比固定型遊星歯車は1段だけでもよいし、3段以上でもよい。
同期発電機30は、界磁の作る磁界が電機子巻線を横切る回転速度に同期した電力を発電する。したがって、比較的低速で、例えば180〜1800rpmで回転して、回転数に応じた所定の周波数の電力を発生させる。この同期発電機30は電力母線45に接続されて電力を供給する一方、後述のようにモータとして作動する場合には、電力母線45から電力の供給を受ける。
本過給機の余剰エネルギ利用装置の場合、過給機5は通常運転時に、例えば3000〜30000rpmという高速で回転駆動されるから、2段の減速比固定型遊星歯車11,21により、過給機5の回転駆動力は約6%の回転数にまで減速された後に同期発電機30に入力され、同期発電機30を回転駆動する。
同期発電機30の作動は、コントローラ(発電機制御手段)40と、コントローラ40と同期発電機30との間に介装されたインバータコンバータ(発電機制御手段)41とにより制御される。また、インバータコンバータ41は、同期発電機30と電力母線45との間に介装されて、直流を交流に変換するインバータ機能と交流を直流に変換するコンバータ機能とを有し、これにより電気周波数の変換が可能であり、同期発電機30が発電した電力は、このインバータコンバータ41により所定の電気周波数に変換された後に、電力母線45へ送られる。
上述のコントローラ40は、エンジン1の燃料制御等を行なうエンジンコントローラでもある。また、エンジン1の実給気圧力Psmを検出する給気圧力センサ(発電機制御手段)42が配設され、この給気圧力センサ42はコントローラ40に電気的に接続される。
次に、本過給機の余剰エネルギ利用装置の作動について、図3を参照して説明する。コントローラ40は、給気圧力センサ42が検出したエンジン1の実給気圧力Psmを検出する(ステップS2)。次に、エンジン負荷と所定設定給気圧力との対応テーブルから、そのときのエンジン負荷に応じた所定設定給気圧力Pssを読み取り、この所定設定給気圧力Pssから給気圧力センサ42が検出した実給気圧力Psmを差し引いてなる差圧ΔPを演算する(ステップS4)。
そして、この差圧ΔPの絶対値が所定設定値P0 以下か否かを判定する(ステップS6)。この所定設定値P0 は、例えば所定設定給気圧力Pssの2%の圧力値などに設定される。ステップS6の判定結果が肯定(Yes)の場合、つまり過給機5の給気圧力が所定設定給気圧力Pssに対して一定範囲内にある場合には、過給機5による給気圧力の調整は必要がないから、インバータコンバータ41に対して同期発電機30の作動状態の変更は指示しない。
一方、ステップS6の判定結果が否定(No)の場合には、排気ガスエネルギの過不足により過給機5の回転数が適正ではなく、過給機5による給気圧力の調整が必要な状態であるから、次に、上述のエンジン負荷に対応した所定設定給気圧力Pssから給気圧力センサ42が検出した実給気圧力Psmを差し引いた差圧ΔPが、零を超える(正値)か否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8の判定結果が否定の場合、つまり過給機5による給気圧力がそのときの運転状態に対して過大となっている場合には、同期発電機30の回転数を増加させて発電量を増大させるように、インバータコンバータ41に対して指示する(ステップS10)。これにより、過給機5の余剰エネルギがさらに発電のために利用される。
ステップS8の判定結果が肯定の場合、つまり過給機5による給気圧力がそのときの運転状態に対して不足している場合には、次に、同期発電機30が発電中か否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定結果が肯定、つまり同期発電機30が発電中の場合には、同期発電機30の回転数を下げて発電量を減少させるように、インバータコンバータ41に対して指示する(ステップS14)。これにより、過給機5の回転数は遊星歯車減速機構10を介して増加し、そのときの運転状態に必要な給気圧力を適正に確保する。
ステップS12の判定結果が否定、つまり同期発電機30が発電していない場合には、電力母線45から電力の供給を受けて同期発電機30をモータとして作動させるように、インバータコンバータ41に対して指示する(ステップS16)。過給機5の回転数は遊星歯車減速機構10を介して増加し、そのときの運転状態に必要な給気圧力を適正に確保する。上述のステップS6,10、S14又はS16が最終ステップとなる場合には、再びステップS2以下を繰り返す。
なお、同期発電機30の回転方向を逆にする場合には、例えば2段目の減速比固定型遊星歯車について、図2に示すように、減速比固定型遊星歯車33の遊星キャリア36を回転可能にすると共に、内歯歯車38を固定し、遊星キャリア36の遊星キャリア軸37を出力軸とすればよい。このとき、各遊星歯車35は太陽歯車34の外周部で自転すると共に、太陽歯車34の外周部を公転する。これにより、同期発電機30の回転方向は、図1に示した遊星歯車減速機構10とは逆になる。
以上のように、本過給機の余剰エネルギ利用装置においては、過給機5の出力軸8と発電機の回転軸31との間に遊星歯車減速機構10を介装することにより、発電機として比較的低速回転で発電する同期発電機30を用いることができる。この同期発電機30は、一般に広く普及しており、従来の高速発電機と比べて入手が容易で、かつ極めて安価である。
また、コントローラ40及びインバータコンバータ41による制御により、同期発電機30は広い回転範囲で、例えば180〜1800rpmの回転範囲で安定的に発電を行うことができる。したがって、例えば一定の回転数で発電する誘導発電機が過給機の25000〜32000rpmで発電可能なのに比べて、発電できる過給機の作動範囲は大幅に広くなり、例えば3000〜30000rpmで可能である。
さらに、過給機5の出力軸8を1段目の変速比固定型遊星歯車11の太陽歯車軸13に接続し、同期発電機30の回転軸31を2段目の変速比固定型遊星歯車21の内歯歯車軸28又は遊星キャリア軸37に接続することにより、過給機5の回転数を同期発電機30の回転駆動に必要な回転数にまで円滑に減速させることができる。
そして、変速比固定型遊星歯車11,21を例えば2段以上直列に配設することにより、過給機5の回転数を同期発電機30の作動回転数にまで円滑に減速させることができる。この変速比固定型遊星歯車11,21は入手も容易で、かつ極めて安価である。
また、コントローラ40が、給気圧力センサ42が検出した実給気圧力Psmに基づいてインバータコンバータ41を介して同期発電機30の作動状態を制御することにより、過給機5の回転数の変動にも拘わらず、常に安定的に発電が行われると共に、過給機5によって発生する給気圧力が内燃機関にとって適正な燃焼給気圧力であるように制御され、ガスエンジン1は適正な運転を維持することが可能となる。
さらに、コントローラ40は、所定設定給気圧力Pssから給気圧力センサ42が検出した実給気圧力Psmを差し引いた差圧ΔPを演算し、この差圧ΔPの絶対値が所定値P0 を超える場合にインバータコンバータ41を介して、同期発電機30の作動状態を変化させる。したがって、ガスエンジン1は給気圧力が一定の範囲内において適正な燃焼給気圧力であるように制御され、ガスエンジン1は常に適正な運転が維持される。
また、コントローラ40が、上記差圧ΔPが零以下、つまり実給気圧力Psmがガンエンジン1にとって適正な燃焼給気圧力よりも高い場合には、インバータコンバータ41を介して同期発電機30の発電量を増加させることにより、ガスエンジン1の給気圧力をより適正にし、燃費の向上を図ると共に、余剰排気エネルギによってさらに多くの電力を発生させる。
さらに、コントローラ40が、上記差圧ΔPが零を超える場合であって、かつ同期発電機30が発電中の場合には、インバータコンバータ41を介して同期発電機30の発電量を減少させることにより、給気圧力がガスエンジン1にとってより適正な燃焼給気圧力であるように、給気量が増加制御される。これにより、ガスエンジン1が常に適正な運転が維持される。
これと共に、コントローラ40が、上記差圧ΔPが零を超える場合であって、かつ同期発電機30が発電を行っていない場合には、インバータコンバータ41を介して同期発電機30へ電力母線45から電力を供給し、これにより同期発電機30をモータとして作動させて、遊星歯車減速機構10を介して過給機5の回転数を増加させる。
これにより、特に負荷急増時などに給気圧力がガスエンジン1にとってより適正な燃焼給気圧力であるように過給機5が加勢され、給気量が増加制御される。したがって、ガスエンジン1が常に適正な運転が維持される。
ガスエンジン1は、ガス燃料の空気混合気の可燃範囲が狭いことで、負荷急増時には過給機5の回転数の上昇が追いつかずに充分なガス燃料が燃焼できないことにより、負荷上昇率が抑えられてしまうことがある。この一方、近年の再生可能エネルギの利用の中には、特に風力発電のように発電量が急変する機器も多い。
これらをバックアップし電量供給の平準化を行なおうとする機器としてガスエンジン1を適用しようとすると、高い負荷応答性が求められる。そこで、この負荷増加時などに同期発電機30をモータと使用することで、過給機5の回転数の上昇させ、急激な負荷応答に耐え得るガスエンジン1とすることができる。
なお、本過給機の余剰エネルギ利用装置は、上述の発明を実施するための形態に制約されるものではなく、様々な形態のものが実施可能である。
本発明の過給機の余剰エネルギ利用装置は、内燃機関の過給機に限定して利用されるものではなく、高速回転する機器を動力源として発電機を回転駆動して発電を行なう発電設備一般に広く利用可能である。
1 ガスエンジン(内燃機関)
5 過給機
6 タービン
7 コンプレッサ
8 出力軸
9 連結軸
10 遊星歯車減速機構
11 減速比固定型遊星歯車
12 太陽歯車
13 太陽歯車軸
14 遊星歯車
15 遊星キャリア
16 遊星キャリア固定板
17 内歯歯車
18 内歯歯車軸
21 減速比固定型遊星歯車
22 太陽歯車
23 太陽歯車軸
27 内歯歯車
28 内歯歯車軸
30 同期発電機
31 回転軸
33 減速比固定型遊星歯車
34 太陽歯車
35 遊星歯車
36 遊星キャリア
37 遊星キャリア軸
38 内歯歯車
40 コントローラ(発電機制御手段)
41 インバータコンバータ(発電機制御手段)
42 給気圧力センサ(発電機制御手段)
45 電力母線
P0 所定設定値
Psm 実給気圧力
Pss 所定設定給気圧力
ΔP 差圧
5 過給機
6 タービン
7 コンプレッサ
8 出力軸
9 連結軸
10 遊星歯車減速機構
11 減速比固定型遊星歯車
12 太陽歯車
13 太陽歯車軸
14 遊星歯車
15 遊星キャリア
16 遊星キャリア固定板
17 内歯歯車
18 内歯歯車軸
21 減速比固定型遊星歯車
22 太陽歯車
23 太陽歯車軸
27 内歯歯車
28 内歯歯車軸
30 同期発電機
31 回転軸
33 減速比固定型遊星歯車
34 太陽歯車
35 遊星歯車
36 遊星キャリア
37 遊星キャリア軸
38 内歯歯車
40 コントローラ(発電機制御手段)
41 インバータコンバータ(発電機制御手段)
42 給気圧力センサ(発電機制御手段)
45 電力母線
P0 所定設定値
Psm 実給気圧力
Pss 所定設定給気圧力
ΔP 差圧
Claims (7)
- 内燃機関(1)と、前記内燃機関へ加圧された給気を供給する過給機(5)と、電力母線(45)に繋がれると共に前記過給機に連結されて前記過給機の回転駆動力により回転されて発電を行ない前記電力母線へ電力を供給する発電機(30)とを備えた過給機の余剰エネルギ利用装置において、前記過給機の出力軸(8)と前記発電機の回転軸(31)との間に遊星歯車減速機構(10)を介装し、前記発電機を同期発電機とし、前記同期発電機の作動を制御する発電機制御手段(40,41,42)を配設したことを特徴とする過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記遊星歯車減速機構(10)は、減速比が一定の減速比固定型遊星歯車(11,21)を備え、前記発電機制御手段は、前記同期発電機(30)と前記電力母線(45)との間に介装されて電気周波数の変換を行なうインバータコンバータ(41)と、前記インバータコンバータを介して前記同期発電機の作動を制御するコントローラ(40)を備えることを特徴とする請求項1に記載の過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記回転数制御手段は、前記コントローラ(40)に接続されて前記内燃機関の実給気圧力(Psm)を検出する給気圧力センサ(42)とを備え、前記コントローラは、前記給気圧力センサが検出した前記実給気圧力に基づいて前記インバータコンバータを介して前記同期発電機(30)の作動状態を変化させることを特徴とする請求項2に記載の過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記コントローラ(40)は、所定設定給気圧力(Pss)から前記給気圧力センサ(42)が検出した前記実給気圧力(Psm)を差し引いた差圧(ΔP)を演算し、前記差圧の絶対値が所定値(P0 )を超える場合に前記インバータコンバータ(41)を介して前記同期発電機(30)の作動状態を変化させることを特徴とする請求項3に記載の過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記コントローラ(40)は、所定設定給気圧力(Pss)から前記給気圧力センサ(42)が検出した前記実給気圧力(Psm)を差し引いた差圧(ΔP)を演算し、前記差圧(ΔP)が零以下の場合には前記インバータコンバータ(41)を介して前記同期発電機(30)の発電量を増加させることを特徴とする請求項3又は4に記載の過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記コントローラ(40)は、所定設定給気圧力(Pss)から前記給気圧力センサ(42)が検出した前記実給気圧力(Psm)を差し引いた差圧(ΔP)を演算し、前記差圧(ΔP)が零を超える場合であって、かつ前記同期発電機(30)が発電中の場合には前記インバータコンバータ(41)を介して前記同期発電機の発電量を減少させることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに過給機の余剰エネルギ利用装置。
- 前記コントローラ(40)は、所定設定給気圧力(Pss)から前記給気圧力センサ(42)が検出した前記実給気圧力(Psm)を差し引いた差圧(ΔP)を演算し、前記差圧(ΔP)が零を超える場合であって、かつ前記同期発電機(30)が発電を行っていない場合には前記インバータコンバータ(41)によって前記同期発電機をモータとして作動させて前記遊星歯車減速機構(10)を介して前記過給機(5)の回転数を増加させることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに過給機の余剰エネルギ利用装置。
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JP2013007952A JP2014139407A (ja) | 2013-01-19 | 2013-01-19 | 過給機の余剰エネルギ利用装置 |
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