JP2014139126A - 一酸化窒素発生装置及びこれを適用したオゾン除去装置 - Google Patents

一酸化窒素発生装置及びこれを適用したオゾン除去装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一酸化窒素を効率よく安定して発生させる一酸化窒素発生装置を提供する。
【解決手段】一酸化窒素発生装置は、不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する電源と、を備える。そして、放電電極間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持され、当該放電により流れる電流が、連続的に前記放電電極間に流れるように維持される。このような放電形態を採用するため、一酸化窒素を効率よく安定して発生させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、放電により一酸化窒素を発生させる一酸化窒素発生装置及びこれを適用したオゾン除去装置に関する。
一酸化窒素には様々な用途がある。例えば、一酸化窒素は、人体に対して筋弛緩作用や血管拡張作用がある。これを利用して、一酸化窒素は医療の現場で用いられている。このような一酸化窒素を効率良く得るための既往の方法として、放電を用いるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1に記載の一酸化窒素発生方法によれば、空気の存在下において、アーク放電を行うことにより、際限なく一酸化窒素を発生させることができるものとされている。
一方、特許文献2に記載の一酸化窒素発生装置によれば、窒素と酸素の存在雰囲気下でコロナ放電を行う。これにより、アーク放電を用いる場合と比して電磁ノイズを低減させて安定的に一酸化窒素を得ることができるものとされている。具体的には、当該文献では、電極間に高電圧パルスを印加し、コロナ放電を行うことにより、一酸化窒素を安定して発生させることができる旨、記載されている。
特開2004−167284号公報 特開2006−273677号公報
ところで、特許文献1に記載のアーク放電による方法では、電極と並列にコンデンサーが付設されている。そのため、実質的には、コンデンサーに電荷を貯めながら、電圧が十分高まると放電が起こり、当該放電の際に貯まった電荷を一気に放出するというサイクルを繰り返す間欠的なアーク放電と評価できる。すなわち、電流が経時的に大きく変化するため、電磁ノイズが大きくなり、安定性の観点で問題がある。
また、特許文献2に記載の装置では、コロナ放電を用いているため、その放電特性上、放電開始から電流を増加させていくと、ある電圧に達した時点で突然間欠的な火花放電に転じる。このようになると、瞬間的に数十Aの電流が流れた後に放電が停止し、これを繰り返すことになる。そのため、コロナ放電を安定に保つためには、放電電流を小さく抑え、火花放電に至らないようにする必要がある。一酸化窒素発生量は電流値に依存するもの
と考えられるので、コロナ放電では、電流値の制限から、時間当たりの一酸化窒素発生量が少ないという問題がある。さらに、コロナ放電ではオゾンも発生するため、一酸化窒素が発生してもこのオゾンと反応してしまう。コロナ放電におけるオゾンの発生量は決して無視できる値ではないため、一酸化窒素の発生効率の点で問題がある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、一酸化窒素を効率よく安定して生成することにある。さらに、このように生成された一酸化窒素を、人体に有害なオゾンの除去や医療用等、様々な用途に適用することにある。
本発明の第1の態様に係る一酸化窒素発生装置は、不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する電源と、を備える。そして、放電電極間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持され、放電により流れる電流が、連続的に前記放電電極間に流れるように維持されることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る一酸化窒素発生装置は、放電電極と電源との間に設けられた高抵抗素子をさらに備える。そして、上記高抵抗素子により、放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持されることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る一酸化窒素発生装置は、電源が高周波発振方式の電源であり、当該電源により、放電状態が負性抵抗特性を示す領域で維持されることを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る一酸化窒素発生装置は、不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する高周波発振方式の電源と、を備える。そして、放電電極間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持される。さらに、上記電源により、上記放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持されることを特徴とする。
本発明の第5の態様に係る一酸化窒素発生装置は、放電がグロー状の発光を伴い、かつ、電流波形が直流成分及びパルス成分を含むことを特徴とする。
本発明の第6の態様に係る一酸化窒素発生装置は、一対の放電電極の少なくとも一方が、Cu、Cu化合物、Fe、Fe化合物、貴金属の何れかの材料からなることを特徴とする。
本発明の第7の態様に係るオゾン除去装置は、本発明の一酸化窒素発生装置により発生する一酸化窒素により、オゾンを除去することを特徴とする。
本発明の第8の態様に係る電気集塵装置は、本発明の一酸化窒素発生装置と、集塵を行うとともにオゾンを発生する集塵手段と、を備える。そして、一酸化窒素により、オゾンを除去することを特徴とする。
本発明の第9の態様に係る電気集塵装置は、前記集塵手段は、オゾンを発生させるとともに気中の塵等を荷電する粒子荷電部を含み、前記一酸化窒素発生装置における放電電極の一端を前記粒子荷電部に接続し、前記一酸化窒素発生装置の電源を前記粒子荷電部の電源と共用としたことを特徴とする。
本発明の態様に係る一酸化窒素発生装置は、発生原理となる放電の形態が、間欠的なものではなく、連続的なものとなっている。そのため、効率よく安定して一酸化窒素を発生させることができる。
本発明の態様に係るオゾン除去装置は、上記態様の一酸化窒素発生装置を備えており、上記のように発生した一酸化窒素を、人体に有害なオゾンとの反応に供する構成を有している。そのため、一酸化窒素が安定にかつ効率良く発生する。その結果、安定して効率よくオゾンを除去することができるオゾン除去装置とすることができる。
本発明の態様に係る電気集塵装置は、上記態様のオゾン除去装置を備えているため、集塵を行う際、放電により発生するオゾンに対して、上記のように発生した一酸化窒素を反応させ、効率よく安定してオゾンを除去することができる。その結果、人体に有害なオゾンの発生を抑制しつつ、集塵効果を発揮する電気集塵装置とすることができる。
(a)は、本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置の回路図である。(b)は、上記(a)とは異なる態様の回路図である。(c)は、上記(a)、(b)とは異なる態様の回路図である。 本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置が有する放電電極において、(a)針対針電極、(b)針対平板電極、(c)球面対球面の場合を示す概略図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るオゾン除去装置の構成例を示す概略図である。(b)は、オゾン発生部がオゾン除去放電の下流に位置する例を示す概略図である。(c)は、オゾン発生部を通した空気とオゾン除去放電を通した空気を合流させる形態を採用した例を示す概略図である。(d)は、オゾン発生部とオゾン除去放電が同一の閉じた系に存在する場合を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置において、放電電極の損耗を実験する条件を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の構成例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の他の構成例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置が有する、放電電極及び電源を含む回路図において、放電電流及び電圧を計測するための測定系を示す概略図である。 図6の測定系により測定された放電電流値と放電電圧との関係を示すグラフである。 (a)は、針対針電極及び直流を流す高周波発振電源を用いた場合を示す回路図である。(b)は、上記(a)において、放電電極を針対平板電極とした場合を示す回路図である。(c)は、上記(a)において、電源を交流電源とした場合を示す回路図である。 下段は、図9(a)の回路を使用し、本発明の一実施形態に係る一酸化窒素を発生するための放電を行った場合の放電写真、オートモードでとった電圧波形及び電流波形を示すものである。上段は、比較のためにパルス放電の場合の結果を示したものである。 下段は、図9(b)の回路を使用し、本発明の一実施形態に係る一酸化窒素を発生するための放電を行った場合の放電写真、オートモードでとった電圧波形及び電流波形を示すものである。上段は、比較のためにパルス放電の場合の結果を示したものである。 下段は、図9(c)の回路を使用し、本発明の一実施形態に係る一酸化窒素を発生するための放電を行った場合の放電写真、オートモードでとった電圧波形及び電流波形を示すものである。上段は、比較のためにパルス放電の場合の結果を示したものである。 本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置において、得られる一酸化窒素の発生量と放電電流値との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る一酸化窒素を発生するための放電において、オゾンと、一酸化窒素と、オゾンと一酸化窒素から生ずる二酸化窒素と、のそれぞれの存在量を測定するための実験系を示す概略図である。 図13に示した実験系により得られたオゾン、一酸化窒素及び二酸化窒素の測定値とこれらの理論値とを経時的に示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る一酸化窒素発生装置並びにこれを適用したオゾン除去装置、電気集塵装置、イオン風発生装置、浄化装置、不活化装置及び医療用一酸化窒素吸入装置について、図面に基づき詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
[一酸化窒素発生装置]
本実施形態に係る一酸化窒素発生装置は、不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、当該放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する電源と、を備えるものである。本形態の一酸化窒素発生装置10A,10B,10C(以下、総称する場合は一酸化窒素発生装置10と記す)は、上記放電電極として針対針電極3aを採用する場合、図1(a)〜(c)に示すような回路とすることができる。これらの回路を採用する場合、後に詳述する負性抵抗特性を示す領域での放電ないし連続的な放電を維持する上で好ましいが、これらに限定されるものではない。図1(a)に示す一酸化窒素発生装置10Aは、針対針電極3aを直流電源1に直列に接続し、電源電極間には抵抗素子2が設けられている。直流電源1は、一般的に長寿命であるとともに、操作性及び絶縁特性に優れる。また、図1(b)に示す一酸化窒素発生装置10Bは、針対針電極3aに交流電源4を直列接続し、電源電極間に抵抗素子2が設けられている。交流電源4を用いる場合、トランスにより容易に昇圧でき、簡単な構造とすることができる。一方、図1(c)に示す一酸化窒素発生装置10Cは、針対針電極3aに高周波発振電源5を接続する態様であり、内部に高インピーダンス回路を含むため、独立した抵抗素子2が設けられていない。ここでいう高周波発振電源5については後述するが、電源として高周波発振電源5を採用する場合は、上記のように抵抗素子2を省略することもできる点で好ましい。なお、ここでいう電源の高電圧とは1kV〜10kV程度の値が好ましく、通常は5kV程度が扱いやすい。
不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極の具体的な形状としては、図2(a)〜(c)に示す態様を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。以下、放電電極を総称する場合は放電電極3と記す。図2(a)に示す針対針電極3aは、針形状の電極同士が対向するものである。このような形状を選択する場合は、針先端を細く形成したものほど電界の不平等性が増し、放電電圧を低くできるため好ましい。さらに、風を流す際にさえぎるものが少なく、流体抵抗ないし圧力損失を低減できるため好ましい。図2(b)に示す針対平板電極3bは、針形状の電極と平板状の電極が相対向するものである。このような形状を選択する場合は、対になる平面側に針形状にするのが困難な材料を適用できる点で好ましい。なお、水面も対になる平面側として適用することができる。さらに、平板状の電極は、放電により電極が摩耗することを考慮すると、針電極等に比べて電極の寿命を長くすることができるという観点から好ましい。図2(c)に示す球面対球面電極3cは、端部が球面状の電極同士が対向するものである。このような形状を選択する場合は、放電により電極が摩耗することを考慮すると、針電極等に比べて電極の寿命を長くすることができるという観点から好ましい。
本形態の一酸化窒素発生装置10は、放電電極3間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持されるものである。一般に、電流を大きくすると、電圧は高くなっていくものである。これに対し、上記負性抵抗特性とは、後述の図7にも示すように、放電電流が増加するにしたがって放電電圧が低下するという特性をいうものである。このような領域で放電を維持することにより、本形態の一酸化窒素発生装置10は、例えばコロナ放電のような放電形態のものよりも高い放電電流密度を与えることができ、一酸化窒素を効率よく安定に生成することができる。
さらに、本形態の一酸化窒素発生装置10は、放電により流れる電流が、連続的に放電電極3間に流れるように維持されるものである。なお、ここでいう連続的とは、次のような意味である。すなわち、直流電源1を用いる一酸化窒素発生装置10Aの場合は、電流値が0となる点が存在せず、放電操作中は常に電流が流れている状態をさす。また、交流電源4を用いる一酸化窒素発生装置10Bの場合は、電流の正負が反転する際を除き、各半周期において電流値が0とならず、常に電流が流れている状態をさす。なお、高周波発振電源5を用いる一酸化窒素発生装置10Cの場合は、発振周波数に由来するリップルを含むものの、間欠パルス放電のように電流が完全に止まってしまうことがない態様の放電状態をさす。このように放電を維持することにより、本形態の一酸化窒素発生装置10は、連続的に放電電流が流れるため、間欠的な放電形態のものよりも無駄がなく、一酸化窒素を効率よく安定に生成することができる。
以上のような構成から、本形態の一酸化窒素発生装置10は、効率よく安定して一酸化窒素を発生させることができる。その発生原理について以下に説明する。まず、空気中に放電が生じると、電離によって生じた電子は空気分子と衝突を繰り返しながら電界により加速される。このようにして、電子が十分に高いエネルギーを得た時点で、酸素、窒素との衝突により、次に示す反応式(1),(2)のように解離反応が進行する。
なお、空気中の酸素の解離エネルギーは5.1eVであり、窒素の解離エネルギーは9.8eVである。
次いで、反応式(1)、(2)のように原子状窒素と原子状酸素が生成されると、以下の反応式(3)〜(8)に示す各反応が進行することにより、一酸化窒素と二酸化窒素が生成される。なお、初期の生成量は一酸化窒素の方が多い。
(式中、Mは第三体を示す。第三体は、大気中では一般的にN2やO2である。)
(式中、Mは第三体を示す。)
これに加え、放電によって発生するプラズマが高温になると、以下の反応式(9)に示す反応の進行に必要となる活性化エネルギーをも超えるようになり、二酸化窒素からも一酸化窒素が生成される。二酸化窒素は反応式(6)〜(8)により生じるため、主に一酸化窒素が生成されることになる。
本形態の放電では、前述のとおり一酸化窒素が主に発生する。一方、比較のために通常のコロナ放電の場合を例に挙げると、コロナ放電では一酸化窒素の発生量が少なく、オゾンが主に発生する。すなわち、コロナ放電で生ずる電子の衝突エネルギーは、酸素の解離エネルギー以上で窒素の解離エネルギー未満程度と考えられる。これに対して、本形態の放電で得られる電子の衝突エネルギーは、窒素の解離エネルギーを十分に超える値であるものと考えられる。したがって、高い効率で一酸化窒素を生成することができる。
なお、電流値を大きくするほど一酸化窒素の生成量を増やすことができる。不平等電界を形成して安定した放電を行う観点からは、0.1mA以上とすることが好ましい。なお、上記の放電の形態から空気より生ずるガスとして、一酸化窒素のみならず、二酸化窒素、亜硝酸及び硝酸も生成される場合がある。その構成比としては、放電電流値に影響されるものの、大半が一酸化窒素である。
また、電源1,4,5が1つで放電点を増やす場合は、複数の放電電極3を直列に接続すればよい。その際、同じ放電電流であっても、一酸化窒素の発生量を格段に増やすことができる。例えば、3つの放電電極3を直列にして放電した場合、全体の放電電圧はさほど上がらず、放電電極3を1つのみとした場合に比べて一酸化窒素発生量を2.5倍程度増やすことができる。
本形態の一酸化窒素発生装置10において、上述の抵抗素子2として放電電極3と電源1,4,5との間に直列に設けられた高抵抗素子を設けることが好ましい。当該高抵抗素子により、放電状態を負性抵抗特性を示す領域でありながらも安定して維持することができる。なお、高抵抗素子については、いわば限流抵抗と称することもでき、これによって電流が制限される。すなわち、放電電極3間に火花放電に至るほどの大電流が流れることがなく、安定した放電とすることができるため好ましい。なお、この限流抵抗については、その抵抗値が低すぎると不安定となり、高すぎると電源電圧が高くなり損失も増えるため、放電特性に応じ適宜選定することが望ましい。
また、本形態の一酸化窒素発生装置10において、さらに、電源が高周波発振電源5であり、高周波発振電源5により、放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持する態様とすることが好ましい。一般に、平滑用のコンデンサーは、出力に付設されてリップルを除去する。しかし、商用周波数程度の周波数では、このコンデンサーに蓄積された十分な電荷が原因となり、微弱な放電から火花放電に発展するおそれがある。このような観点からも、放電系におけるコンデンサー成分は極力少なくすることが好ましい。また、放電電極3の電極間に、例えば後述するような電気集塵装置20の粒子荷電部21のようなインピーダンスを持つものを挿入してもよい。これにより、高抵抗素子を無くす、又は、高抵抗素子の抵抗値を低くすることができる。
そこで、上記高周波発振電源5は、少なくとも次の基準を満たすものを採用することが好ましい。すなわち、発振周波数が15kHz以上、出力インピーダンスが大きく、さらに出力静電容量が小さいものを採用できる。なお、発振周波数は、好ましくは20kHz以上とする。出力静電容量は周波数にほぼ反比例し、出力静電容量を小さくするには周波数を高くする。周波数が上記のような値である場合、平滑用のコンデンサーの容量を少なくでき、火花放電に至らないように制御することが容易となる。なお、電源電圧が高周波になるに伴って、出力インピーダンスも大きくなる。大きい出力インピーダンスは、トランスの巻き線抵抗のみならず、磁束の結合度合い等にも関係するが、これが上記の限流抵抗と同等の役割を果たし、上述の連続的な放電を安定して維持することができる。また、高周波発振電源5を用いることで、直流電源1や交流電源4を用いた場合と比較して限流抵抗としての抵抗素子2の抵抗値を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
なお、高周波発振電源5を採用する前提に立つと、本発明に係る一酸化窒素発生装置10Cは、放電により流れる電流が連続的に放電電極3間に流れるように維持されるものに限定されない。すなわち、本発明の他の実施形態に係る一酸化窒素発生装置10Cとしては、不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極3と、放電電極3間に直流又は交流の高電圧を印加する高周波発振電源5と、を備えるものとすることができる。さらに、放電電極3間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持され、上記高周波発振電源5により、放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持するものとすることができる。放電空間中に生成した電子やイオンは、電気移動度で決まる速度又は密度勾配を駆動力とした拡散速度から想定される距離の範囲内で動くものである。すなわち、これらの電子やイオンは放電の停止に伴って瞬時に消滅するわけではなく、極短い時間であるものの同じ空間に留まる。その間に次の放電が始まると、十分な電離度を保ったまま、プラズマを維持できるようになる。これは放電電極3間の距離にも関係し、電源周波数が十分高いとき、交流もしくは脈流であっても連続的につながった状態になる。このような態様であれば、一時的に電流値が0となる放電状態を形成するものであってもよい。また、上記高周波発振電源5により、例えば、上記のような限流抵抗を設けることを必要とせず、放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持することができる。すなわち、回路上で直列に限流抵抗を入れず、高周波発振電源5から直接放電電極3に電圧を印加することもできる。
本形態の一酸化窒素発生装置10において、放電がグロー状の発光を伴い、かつ、若干の脈流成分を含むものの、十分な直流成分を含んだ電流波形となることが好ましい。このような態様となるように制御することで、安定した放電状態を維持することができる。
上記したような種々の条件下において放電を行うことにより、本形態の一酸化窒素発生装置10においては、火花放電を起こさないように放電電流を小さい値にする必要がなく、コンデンサー成分を極力少なく抑えると共に、連続的に電流を流すことができる。また、電源の選択次第では、コンデンサー成分を抑えなくとも負性抵抗性を示す領域で放電を維持することができる。したがって、安定して効率よく一酸化窒素を発生させることができるものといえる。また、オゾンの発生が少なく、一酸化窒素の発生量が多い領域での放電であるため、一酸化窒素を選択的に効率よく生成させることができる。
上述した一酸化窒素発生装置10において、一対の放電電極3の少なくとも一方が、Cu、Cu化合物、Fe、Fe化合物、貴金属の何れかの材料からなることが望ましい。これにより、放電電極3の寿命を長くすることができる。
下記の表1に、放電によって放電電極3を損耗させた実験結果を示す。この実験結果は、放電電極3の材料と、一酸化窒素発生装置10によって放電を30分間実施した後の電極間距離Lと、電極間距離Lが広がった距離とを示す。
この実験は、図4に示すような条件下で行った。放電電極3は、直径が0.3mmの針対針電極3aを用いた。放電開始時の電極間距離Lは0.5mmとした。放電電極3に印加した電圧値は500V、放電電流値は4mAとした。負極から正極に向けた風の風速は2m/sとした。この風は放電電極3における放電安定性を向上させるためである。
表1によれば、放電電極3の材料としてAgを用いた場合、放電終了後の電極間距離Lは1.1mmとなり、放電開始前から広がった距離は0.6mmとなった。また、放電電極3の材料としてアルミニウムを用いた場合、放電終了後の電極間距離Lは0.8mmとなり、放電開始前から広がった距離は0.3mmとなった。
一方、放電電極3の材料としてリン青銅、SUS316、Feを用いた場合、放電終了後の電極間距離Lは0.7mmとなり、放電開始前から広がった距離は0.2mmとなった。放電電極3の材料としてPtを用いた場合、放電終了後の電極間距離Lは0.6mmとなり、放電開始前から広がった距離は0.1mmとなった。放電電極3の材料としてCu、真鍮を用いた場合、放電終了後の電極間距離Lは0.5mmとなり、放電開始前から広がった距離は0.0mmとなった。
以上のように、一対の放電電極3の少なくとも一方が、Cu、Cu化合物、Fe、Fe化合物、貴金属の何れかを含有する材料からなるものすることにより、放電電極3の寿命を長くすることができる。
[オゾン除去装置]
本実施形態に係るオゾン除去装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10により発生する一酸化窒素により、オゾンを除去するものである。なお、ここでいう「オゾンを除去」とは、オゾンが完全に除去されていることのみならず、わずかながらオゾンが残留することも許容する意味で用いるものとする。この際、一酸化窒素とオゾンは次に示す反応式(10)のように反応する。
(kは反応速度定数を示し、常温下ではk=1.8×10−14 [cm3/molecule/s]程度である。)
さらに、オゾン濃度をX、一酸化窒素濃度をYとすると、それぞれの濃度の時間(t)変化は、次の式(1)、(2)で表される。
以上より、t=0におけるオゾンの初期濃度をx0、一酸化窒素の初期濃度をy0とすると、時間tにおけるオゾン濃度Xは、下記の式(3)で表される。
上記の式(3)において、オゾンと一酸化窒素の初期濃度を用い、時間tにおけるオゾン濃度を予測できることがわかる。また、オゾン濃度よりも一酸化窒素濃度が高い場合にオゾンが完全に除去され、一酸化窒素濃度がオゾン濃度に比べて高いほどオゾンが速やかに除去されることがわかる。
なお、オゾンを除去するのに必要となる一酸化窒素の量と同じ量の二酸化窒素が生成されることになるが、次の表2に示すように、TLV、臭いの閾値共に二酸化窒素のほうが高く、オゾンよりも二酸化窒素の方が安全で臭いにくいという特徴がある。
特に限定されるものではないが、本形態のオゾン除去装置は、例えば、図3(a)〜(d)に示す態様とすることができる。図3(a)に示すオゾン除去装置は、オゾン発生部11が、オゾン除去装置10’の上流側に位置する例を示す。この場合は、オゾンが発生した直後に、一酸化窒素と作用させることができるため、オゾン除去にかかる時間を最短にすることができる。図3(b)に示すオゾン除去装置は、オゾン発生部11がオゾン除去装置10’の下流側に位置する例を示す。この場合は、オゾンで浄化等の作用を及ぼした後に、余剰オゾンを除去できる。図3(c)に示すオゾン除去装置は、オゾン発生部11を通した空気と、オゾン除去装置10’を通した空気を合流させる例を示す。この場合は、オゾン発生部11を通る気流の流量とオゾン除去装置10’としての一酸化窒素発生装置10を通る気流の流量を変えて、オゾン除去量を制御する場合に好ましい。図3(d)に示すオゾン除去装置は、オゾン発生部11とオゾン除去装置10’が同一の閉じた系に存在する例を示す。この場合は、特にファンやエアーポンプ等を用いることなくガスの拡散によってオゾンを除去することができる。
このように、本形態のオゾン除去装置は、本発明の一酸化窒素発生装置10を備えており、上記のように発生した一酸化窒素を、人体に有害なオゾンとの反応に供する構成を有している。上記態様の一酸化窒素発生装置10が奏する効果の趣旨は、オゾン除去についても妥当する。したがって、効率よく安定にオゾンを除去することができるオゾン除去装置とすることができる。
[電気集塵装置]
本実施形態に係る電気集塵装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10と、集塵を行うとともにオゾンを発生する集塵手段と、を備えるものである。ここでいう集塵手段は、放電によりオゾンを発生させる原理を採用する構成である限り特に限定されず、適宜公知のものを適用することができる。そして、上記のようにして発生した一酸化窒素が、集塵手段から発生するオゾンに作用し、上記反応式(10)に示す反応が進行することでオゾンが除去される。
本実施形態に係る電気集塵装置の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば図5に示すような態様とすることができる。同図中の矢印は気流の向きを示している。すなわち、電気集塵装置20は、気流の上流側に一酸化窒素発生装置10Dの放電電極3を配置させ、次いで中流側に粒子荷電部(アイオナイザー)21、下流側に粒子捕集部(コレクタ)22を配置させるものとすることができる。なお、粒子荷電部21と粒子捕集部22は集塵手段23を構成する。
まず、上記のような一酸化窒素発生装置10Dにより一酸化窒素が生成され、この一酸化窒素は気流に乗って粒子荷電部21へ向かう。粒子荷電部21ではオゾンを発生させるとともに気中の塵等を荷電する。次いで、発生したオゾンとここに供給される一酸化窒素とが上記反応式(10)に示す反応を起こすことで、オゾンが除去される。そして、荷電された塵等は、そのまま粒子捕集部22で捕集される。
以上のように、本形態の電気集塵装置20においては、集塵手段の機能を高めるために放電電力を高めたとしても、それに伴って高濃度で発生する人体に有害なオゾンを速やかに除去することができる。したがって、オゾン濃度が低減された状態の、浄化気流を供給する電気集塵装置20とすることができる。上記の例では、気流があることを前提としたが、本形態の電気集塵装置20は、気流発生手段を備えるものとすることもできるし、このような手段を備えることなく一酸化窒素を自然拡散させる態様とすることもできる。
上述した電気集塵装置20は、図6に示すように構成してもよい。図5に示した電気集塵装置20は、一酸化窒素発生装置10Dの直流電源1とは別に、粒子荷電部21の電源を備えている。これに対し、図6に示した電気集塵装置20は、一酸化窒素発生装置10Dと粒子荷電部21とで直流電源1を共有する。
このため、電気集塵装置20は、一酸化窒素発生装置10Dにおける放電電極3の負極と粒子荷電部21の高電圧部21a(正極)とを直列接続している。これにより、粒子荷電部21は、直流電源1の電力を消費して動作する。このように、電気集塵装置20によれば、一酸化窒素発生装置10Dと粒子荷電部21とで電源を共用できるので、電気集塵装置20のコストダウンを実現できる。さらに、この電気集塵装置20によれば、粒子荷電部21で発生するオゾンを、別電源を用いることなく一酸化窒素発生装置10Dで発生する一酸化窒素で除去できる。
また、電気集塵装置20によれば、粒子荷電部21のインピーダンスが抵抗素子2(高抵抗素子)と同じ働きをする。このため、抵抗素子2(高抵抗素子)の抵抗値を低くすることができる。また、粒子荷電部21のインピーダンスが高い場合には抵抗素子2(高抵抗素子)を無くすことができる。このため、この電気集塵装置20によれば、一酸化窒素発生装置10Dと粒子荷電部21とで消費する電力を抑制することができる。
[イオン風発生装置]
本実施形態に係るイオン風発生装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10と、気中放電による空気イオン発生手段と、を備えるものである。空気イオン発生手段としては、例えば、電界形成ないし電離のためのコロナ放電電極、対向電極及び高圧電源を備えるものとすることができる。コロナ放電を行うことで、空気より電離して生じた空気イオンを対向電極に向かって高速に飛ばすことができる。
通常、空気イオンは周囲の空気分子も引き連れて種々の方向へ移動するため、イオン風とも称される微弱な気流が発生する。イオン移動速度は50m/s程に達するため、対向電極を目的の風下側に設置する場合、空気分子は目的の方向へ加速され、イオン風の風速は数m/s程にもなる。イオン風の風速は、コロナ放電電極と対向電極との間の距離に応じて変化する。この距離がいわば助走区間となって、イオン風が加速される。単に放電電流を増加させる場合であっても、放電電流の平方根に比例してイオン風速が増加することが知られているが、ファン等と比べると十分な静圧を確保し難い。そのため、租塵フィルタ程度の小さい空気抵抗にも大きく影響を受け、実用に耐えないほどの風量低下をもたらす。さらに放電電流を増大させて静圧の問題を改善したとしても、それに伴ってオゾンが多量に発生するため、人のいる場所での使用には適さない。また、多量に発生したオゾンを除去するためにマンガン触媒などを設置するとしても、これが空気抵抗となるため、風量低下が著しく満足を得られない。
そこで、圧力損失がほとんどなく、空気抵抗の小さい上記形態の一酸化窒素発生装置10を用いることで、余分なオゾンを除去できるだけでなく、十分に大きい風量を供給できるイオン風発生装置とすることができる。イオンを発生させる目的は、従来公知の種々の目的から適宜選択でき、発生させるイオン種も目的に併せて適宜選択する。すなわち、イオン発生手段としては特に限定されるものではない。空気イオン発生手段に含まれる電極系としても、特に限定されるものではなく、線式、針式、エッジ等を問わず適用することができる。なお、対向電極としては、前述した形態のオゾン除去装置の場合と異なり、イオン風の流体抵抗とならないような形状、配置とすることが好ましい。このように、本形態のイオン風発生装置においては、イオン発生手段の機能を高めるために放電電力を高めたとしても、それに伴って高濃度で発生する人体に有害なオゾンを速やかに除去することができる。したがって、オゾンが除去され、又はオゾン濃度が低減された状態の、イオン風を供給するイオン風発生装置とすることができる。
[浄化装置]
本実施形態に係る浄化装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10と、捕捉手段と、分解手段と、を備える。上記補足手段は、臭気成分又はVOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)を補足するものである。また、上記分解手段は、捕捉された臭気成分又はVOCを放電により分解するとともにオゾンを発生するものである。捕捉手段及び分解手段については、特に限定されず、従来公知のものを適宜適用することができる。装置構成についても、上記のように発生した一酸化窒素により、オゾンを除去すると共に浄化が行われる態様である限り、特に限定されない。このように、本形態の浄化装置においては、分解手段の機能を高めるために放電電力を高めたとしても、それに伴って高濃度で発生する人体に有害なオゾンを速やかに除去することができる。したがって、臭気成分やVOCを分解するのみならずオゾンの発生が抑制された浄化装置とすることができる。
[不活化装置]
本実施形態に係る不活化装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10と、微生物に作用して不活化するオゾンを発生させるオゾン発生手段と、を備えるものである。なお、不活化とは、主に、微生物を制菌、殺菌、分解又は除去等することを意味する。不活化処理の対象となる微生物としては、真菌類、細菌類、ウィルス等が挙げられる。また、オゾン発生手段については、特に限定されず、従来公知のものを適宜適用することができる。
本形態の不活化装置によれば、微生物の不活化に用いられなかった余剰オゾンを対象として、上記のように発生した一酸化窒素を作用させて、上記反応式(10)に示す反応により除去する。なお、本形態の不活化装置の構成については、オゾンの一部を除去すると共に微生物の不活化が行われる態様である限り、特に限定されない。
このように、本形態の浄化装置においては、不活化効率を上げるべく、放電電力を高めてオゾン発生手段の機能を高めたとしても、それに伴って高濃度で発生する人体に有害なオゾンを速やかに除去することができる。したがって、臭気成分やVOCを分解するのみならずオゾンの発生が抑制された浄化装置とすることができる。
[医療用一酸化窒素吸入装置]
本実施形態に係る医療用一酸化窒素吸入装置は、上記実施形態の一酸化窒素発生装置10を備えるものである。一酸化窒素は、上述したようなオゾンの除去作用のみならず、医療上有用な物質である。すなわち、血管弛緩効果や気管弛緩効果等、種々の目的でこれを適用できる。また、本形態の医療用一酸化窒素吸入装置は、上記のように発生した一酸化窒素が患者に吸入される構成である限り特に限定されない。なお、他の物質によるコンタミネーションが起きないような態様で、発生後直ちに患者に供給されることが好ましい。このように、本形態の医療用一酸化窒素吸入装置によれば、効率よく安定して一酸化窒素を生成し、これを医療用に供給することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)負性抵抗特性を示す放電
図9に示す回路を用いて放電を行い、放電電流値と放電電圧を測定した。すなわち、針対針電極31を使用し、直流電源又は交流電源30を用いることとした。さらに、針対針電極31を抵抗成分R、電流計Aを介して電源に接続する構成とした。また、電圧計V1,V2を図のように配置して、負性抵抗特性を示す領域での放電を観測するべく検証を行った。
直流電源、交流電源を用いたいずれの例も、線の太さ0.3mmの針対針電極31を使用し、電極間距離を6mmとして放電を行った。その結果を図8に示す。図8から、本発明の放電形態とすることで、直流電源及び50Hzの交流電源のいずれにおいても放電電流が増加するにしたがって放電電圧が低下するという負性抵抗特性の傾向が認められた。
(2)連続的な放電の観測
図9(a)〜(c)に示す回路を用いて放電を行い、それぞれの例について放電写真、電圧波形及び電流波形を観測することとした。すなわち、連続的な放電を行って、観測される写真をパルス放電の場合と比較した。
図9(a)に示すように、針対針電極41を使用し、電源として直流の高周波発振電源40を用いて放電を行った。針対針電極41は太さ0.3mmのものを用い、極間距離は6mmとした。さらに、針対針電極41を抵抗成分R、電流計Aを介して高周波発振電源40に接続する構成とした。また、電圧計V1,V2を図のように配置して測定を行った。このような条件で、連続的な放電を行った。
その結果を図10下段に示す。これに対する比較例として、パルス放電を行った結果を図10上段に示す。図10の放電写真を上下段で比較すると、上段がパルス放電であり、下段がグロー放電であることは明らかである。なお、パルス放電の放電路は一定ではなく毎回変化するものであるため、放電写真には複数本の発光が重なって写っている。グロー状の放電は安定した発光パターンを示す。同図に示す電圧波形については、上段が間欠放電の度に急峻な電圧低下をきたし、同時に鋭い立ち上がりのパルス電流が流れ、不連続と評価できる。これに対して、下段の放電では連続的で平坦な電圧波形と、リップルを含むものの直流成分の多い連続的波形が観測された。
図9(b)に示すように、針対平板電極42を使用し、電源として直流の高周波発振電源40を用いて放電を行った。針対平板電極42における針電極は太さ0.3mmのものを用い、極間距離は3mmとした。このような条件で、連続的な放電を行った。その他の構成は、図7(a)と同様とした。
その結果を図11下段に示す。これに対する比較例として、パルス放電を行った結果を図11上段に示す。図11の放電写真を上下段で比較すると、上段がパルス放電であり、下段がグロー放電であることは明らかである。同図に示す電圧波形については、上段が不連続であるのに対して、下段の放電では連続的な電圧波形が観測された。また、同図に示す電流波形については、上段が休止期間のある櫛状の波形を呈するのに対して、下段はリップルを含むものの直流成分の多い連続的な電流波形が観測された。
図9(c)に示す回路においては、図9(a)の例と同様の太さ及び極間距離を有する針対針電極41を使用した。電源としては、50Hzの交流電源43を用いた。その他の構成は、図9(a)と同様とした。このような条件で、連続的な放電を行った。
その結果を図12下段に示す。パルス放電を行った結果を図12上段に示す。放電開始電圧を超えると上段はパルス状、下段はグロー状の放電が起き、その後は前述と同様になり、これを繰り返すが、交流であるため高周波発振方式の電源を使用したとき特有のリップルは現れていない。図12の放電写真を上下段で比較すると、上段がパルス放電であり、下段がグロー放電であることは明らかである。同図に示す電圧波形及び電流波形については、いずれも、上段が各半周期において櫛状で不連続な波形が観測されたのに対して、下段の放電では各半周期で連続的な電圧波形が観測された。
このように、本実施形態の構成を満足する装置を用いれば、連続的な放電とすることができることが確認された。
(3)放電により発生する一酸化窒素と分解するオゾン量の測定
前述の(1)において説明した図7に示す回路を用いて放電を行い、放電電流値と一酸化窒素発生量を測定した。その結果を図13に示す。同図からわかるように、放電電流値を大きくするほど、一酸化窒素の発生量が増加した。このような相関関係は、不平等電界を形成する電流範囲において成立するものと考えられる。
次いで、発生する一酸化窒素の濃度と分解するオゾンの濃度と生成する二酸化窒素の濃度とを経時的に測定するべく、図14に示すような測定系を準備した。同図中、矢印は風向きを示し、この気流を発生させるべく、風下にファン53が配置されている。また、風上から、オゾン発生装置51、本実施形態に係る一酸化窒素発生装置50、サンプリングポート52の順に配置されている。
オゾン発生装置51としては、負のコロナ放電を行うものとし、オゾンが2ppm発生するように放電電流を調整することとした。また、一酸化窒素発生装置50としては太さ0.3mm針対針電極を極間距離6mmとして使用し、400Hzの交流電源を用いた。
なお、放電電流は4mAに設定した。
同図の測定系においては、気流によりオゾン発生装置51から発生したオゾンが一酸化窒素発生装置50から発生する一酸化窒素と混合され、この時点の時間を0秒とした。測定系の風量を87L/minとしたとき、3つのサンプリングポートまでの到達時間がそれぞれ、0.5秒、1.7秒、2.9秒となるような位置にサンプリングポートを配した。そして、ポートに接続するテフロンチューブ(内径4mm)の長さを780mmと3000mmの2種類用意し、目的の経過時間に応じて適宜使い分けた。チューブの他端をオゾン濃度、一酸化窒素濃度、二酸化窒素濃度をそれぞれ測定する濃度計に接続した。濃度計の吸引流量は0.65L/minであり、それぞれのチューブを通過する際にかかる時間は0.9秒、3.5秒となった。なお、濃度計内部の滞留時間は3秒程度であった。サンプリングポートの位置とチューブの組み合わせにより、オゾンと一酸化窒素が混合されてから4.4秒、5.6秒、6.8秒、7秒、8.2秒、9.4秒の時点の値を測定することとした。
上記測定の結果を図15に示す。なお、各プロットは実際の測定値を示し、各線は各物質の初期濃度を用いて前述の反応式及び式(3)から導出した理論値を示すものである。同図から、オゾンは時間の経過と共に速やかに大きく減少していくことがわかる。また、オゾン濃度の減少に伴って二酸化窒素の濃度は増加することがわかる。さらに、各物質の測定値は、それぞれに対応する理論値によく合致するものであった。つまり、本測定系においては、やはり一酸化窒素とオゾンが反応して二酸化窒素が生成するという上述のとおりの反応が進行していることが示唆される。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 直流電源
2 抵抗素子
3 放電電極
3a、31、41 針対針電極
3b、42 針対平板電極
4、43 交流電源
5、40 高周波発振電源
10、10A、10B、10C、10D、50 一酸化窒素発生装置
10’ オゾン除去装置
11 オゾン発生部
20 電気集塵装置
21 粒子荷電部
22 粒子捕集部
23 集塵手段
30 直流電源又は交流電源
51 オゾン発生装置
52 サンプリングポート
53 ファン

Claims (9)

  1. 不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、
    前記放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する電源と、
    を備え、
    前記放電電極間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持され、
    前記放電により流れる電流が、連続的に前記放電電極間に流れるように維持されることを特徴とする一酸化窒素発生装置。
  2. 前記放電電極と前記電源との間に設けられた高抵抗素子をさらに備え、前記高抵抗素子により、前記放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持することを特徴とする請求項1に記載の一酸化窒素発生装置。
  3. 前記電源が高周波発振方式の電源であり、当該電源により、前記放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の一酸化窒素発生装置。
  4. 不平等電界を形成するための形状を有する一対の放電電極と、
    前記放電電極間に直流又は交流の高電圧を印加する高周波発振方式の電源と、
    を備え、
    前記放電電極間における放電状態が、負性抵抗特性を示す領域で維持され、
    前記電源により、前記放電状態を負性抵抗特性を示す領域で維持することを特徴とする一酸化窒素発生装置。
  5. 前記放電がグロー状の発光を伴い、かつ、電流波形が直流成分及びパルス成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の一酸化窒素発生装置。
  6. 前記一対の放電電極の少なくとも一方が、Cu、Cu化合物、Fe、Fe化合物、貴金属の何れかの材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の一酸化窒素発生装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の一酸化窒素発生装置により発生する一酸化窒素により、オゾンを除去することを特徴とするオゾン除去装置。
  8. 一酸化窒素を発生する請求項1〜6のいずれか一項に記載の一酸化窒素発生装置と、
    集塵を行うとともにオゾンを発生する集塵手段と、
    を備え、
    前記一酸化窒素により、前記オゾンを除去することを特徴とする電気集塵装置。
  9. 前記集塵手段は、オゾンを発生させるとともに気中の塵等を荷電する粒子荷電部を含み、
    前記一酸化窒素発生装置における放電電極の一方を前記粒子荷電部に接続し、前記一酸化窒素発生装置の電源を前記粒子荷電部の電源と共用としたことを特徴とする請求項8に記載の電気集塵装置。
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