JP2014134186A - 風力発電ユニット及び風力発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】建設時の作業性及びコスト性に優れ、しかも、大発電量を安定的に得ることができ、さらに、落雷を防止することができる風力発電ユニット1及び風力発電システムを提供する。
【解決手段】風力発電システムはユニット連結体100と気球110と気体補充装置120を備える。ユニット連結体100は複数の風力発電ユニット1を連結して形成した。各風力発電ユニット1はジャイロミル型の風力発電装置である。気球110がユニット固定部材130を浮かせ、ユニット固定部材130が最上位の風力発電ユニット1−1の第2のハウジング4を固定し、アンカー131が最下位の風力発電ユニット1−zの第1のハウジング3を固定する。気体補充装置120はヘリウムガスを気球110に補充する。風力発電ユニット1からの出力線は枝管141と配管140とを通じて変電所200に引き込まれる。
【選択図】図1

Description

この発明は、自然界の風力を利用して風車を回転させ、風車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する風力発電ユニット及び風力発電システムに関するものである。
近年、有害排気ガス削減による自然環境保護や自然エネルギー活用のの観点から、風力発電の技術開発が進められている。
このような風力発電の一例として、プロペラ風車による発電装置がある。このプロペラ風車による発電装置は、発電機の回転軸を地上に対して水平に配し、回転軸の先端にプロペラを取り付けた、所謂水平軸型の風力発電装置である(例えば、特許文献1参照)。この風力発電装置は、風力を電気エネルギーに変換する効率が高く、大型化も比較的容易である。
しかし、このプロペラ風車による発電装置は、大型で大重量の発電機を装置の上部に取り付けなければならず、建設時やメンテナンス時の作業性が悪い。また、水平軸型であるため、プロペラを常に風の方向に向けておかなければ成らず、その制御操作性が悪い。
これに対して、ダリウス風車やジャイロミル風車等、発電機の回転軸を地上に対して垂直に配し、回転軸の側部に羽根を取り付けた、所謂垂直型の風力発電装置がある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
これらの風力発電装置は、大型で大重量の発電機を地上に設置することができるので、建設時やメンテナンス時の作業性が良い。また、垂直型であるため、どの方向からの風も利用することができ、季節や時間帯で風向きが変化する、日本独特の風況に適している風力発電装置であるといえる。
特開2012−229692号公報 特開2003−222071号公報 特開2012−137070号公報
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
ダリウス風車やジャイロミル風車による発電装置も、プロペラ風車による発電装置と同様に、相当の発電量を得るためには、大型且つ大重量の発電機を用いて、装置全体を大きく且つ高くする必要がある。このため、建設時の機器運搬に手間を要したり工期が長くなり、コスト面で問題があった。
しかも、風力発電装置を高くすると、落雷に遭うおそれがあり、落雷事故によって、発電が停止するおそれもある。
また、風力発電装置を高くするにしても限界があり、地上近くの風を受けることが主となる。風は、地上近くでは吹かないときが多々あり、安定した発電が難しい。
さらに、1つの発電機で発電するため、大型の発電機を使用しても、発電量には限界がある。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、建設時の作業性及びコスト性に優れ、しかも、大発電量を安定的に得ることができ、さらに、落雷を防止することができる風力発電ユニット及び風力発電システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る風力発電ユニットは、1本の回転軸及びこの回転軸の周りに等間隔で取り付けられた複数の羽根とを有する風車と、風車の回転軸の後端部側の部位を、第1の軸受によって軸支した状態で収納した第1のハウジングと、風車の回転軸の先端部側の部位を、第2の軸受によって軸支した状態で収納した第2のハウジングと、第1のハウジング内に固定された状態で、風車の回転軸の後端部側の部位に組み付けられ、当該回転軸の回転によって発電する第1の発電機と、第1のハウジングの後端部又は第2のハウジングの先端部のいずれか一方に設けられた雌部,及び第1のハウジングの後端部側又は第2のハウジングの先端部側のいずれか他方に設けられ雌部に機械的に連結可能な雄部を有した連結器とを備える構成とした。
かかる構成により、風車が風力によって回転すると、第1の発電機が風力に対応した電力量の発電を行う。また、1つの風力発電ユニットの連結器の雄部を他の風力発電ユニットの連結器の雌部に連結することで、多数の風力発電ユニットを、風車の回転軸方向に簡単に連結することができる。この結果、発電量を限りなく増加させていくことができるので、今までにない大電力の発電量を得ることが可能となる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の風力発電ユニットにおいて、第2のハウジング内に固定された状態で、風車の回転軸の先端部側の部位に組み付けられ、当該回転軸の回転によって発電する第2の発電機を備える構成とした。
かかる構成により、第1の発電機による発電だけでなく、第2の発電機による発電が可能となる。この結果、更なる発電量の増量が可能となる。
請求項3の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の風力発電ユニットにおいて、風車と第1のハウジングと第2のハウジングとを、炭素繊維強化プラスチックで形成した構成とする。
かかる構成により、風力発電ユニットの軽量化を図ることができると共に、炭素繊維強化プラスチックが有する絶縁性によって、落雷の防止も可能となる。
請求項4の発明に係る風力発電システムは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の風力発電ユニットを、連結器を用いて複数連結することにより、上方から下方に至る線状のユニット連結体を形成し、最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを回転不能に固定した状態で、ユニット連結体を上空に吊すと共に、最下位の風力発電ユニットの第1のハウジングを回転不能に固定した構成とする。
かかる構成により、複数の風力発電ユニットが、連結器を用いて連結されているので、全風力発電ユニットの総和の発電量を得ることができ、今までにない大電力の発電が可能となる。しかも、複数の風力発電ユニットを連結器を通じて連結するだけで、風力発電システムを簡単に構築することができるので、建設工期を短縮化することができ、この結果、建設コストの低減化を図ることができる。
さらに、複数の風力発電ユニットを上空に吊り下げた構成になっているので、上空の強風によって、大電力を永続的な発電し続けることができる。また、各風力発電ユニットがそれぞれ独立して発電する構成になっているので、高さによって風向きが異なっていても、確実に発電することができる。
特に、請求項3に記載の風力発電ユニットを用いることで、風力発電システムの軽量化と強度化とを図ることができると共に、炭素繊維強化プラスチックが有する絶縁性によって、落雷の防止も可能となる。
請求項5の発明は、請求項4に記載の風力発電システムにおいて、ユニット連結体を、上空の気球に吊した構成とする。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の風力発電システムにおいて、各ユニット連結体における最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを上空の水平な長尺状部材に回転不能に固定した状態で、複数のユニット連結体をこの長尺状部材に一定間隔で吊り下げる共に、各ユニット連結体における最下位の風力発電ユニットの第1のハウジングを回転不能に固定することにより、複数のユニット連結体を面状に配設した構成とする。
かかる構成により、風を広い面領域で確実に捕らえて、電力に変換することができ、発電量の更なる増量が可能となる。
請求項7の発明は、請求項6に記載の風力発電システムにおいて、各ユニット連結体における最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを、気球によって上空に浮かされた水平な長尺状部材に回転不能に固定した構成とする。
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載の風力発電システムにおいて、複数の面状のユニット連結体を、面と垂直な方向に一定間隔で並べることにより、複数のユニット連結体を立体状に配設した構成とする。
かかる構成により、風を大きい立体領域で確実に捕らえて、電力に変換することができ、発電量の更なる増量が可能となる。
請求項9の発明は、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の風力発電システムにおいて、気球内の気体は、ヘリウムガスである構成とした。
かかる構成により、ヘリウムガスが充填された気球によって、連結された多数の風力発電ユニットを上空に確実に吊り下げることができる。
請求項10の発明は、請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の風力発電システムにおいて、気球と気体補充装置の気体出力口とをチューブで連結し、気体をこのチューブを通じて気球内に補充する構成とした。
かかる構成により、気体をチューブを通じて気球内に補充し続けることで、気球を永続的に浮揚させ続けることができる。
以上詳しく説明したように、請求項1〜請求項3の発明によれば、多数の風力発電ユニットを、風車の回転軸方向に簡単に連結することができ、この結果、発電量を限りなく増加させていくことができるので、今までにない大電力の発電量を得ることが可能となる。
また、請求項4〜請求項10の発明によれば、上空の広い面領域及び立体領域において、強風を確実に捕まえて、今までにない大電力の発電を可能することができるという優れた効果がある。また、風力発電システムの建設時の作業性及びコスト性を高めるという効果もある。さらに、上空の高さによって風向きが異なっていても、確実に発電することができるという効果がある。
そして、請求項3に記載の風力発電ユニットを用いることで、風力発電システムの軽量化と強度化と落雷の防止を図ることができるという効果がある。
特に、請求項10の発明によれば、気球を永続的に浮揚させ続けることができるという効果がある。
この発明の第1実施例に係る風力発電システムを示す概略視図である。 風力発電ユニットの斜視図である。 風力発電ユニットの断面図である。 スライド接触構造を示すための大径部の概略平面図である。 連結部の雄部の機能を説明するための部分拡大断面図である。 1対の風力発電ユニットが連結する前の状態を示す断面図である。 1対の風力発電ユニットが連結した状態を示す断面図である。 枝管と風力発電ユニットとの連結状態を示す断面図である。 風力発電システムの作用及び効果を説明するための概略図である。 この発明の第2実施例に係る風力発電システムを示す概略図である。 この発明の第3実施例に係る風力発電システムを示す概略図である。 この発明の第4実施例に係る風力発電システムに適用される風力発電ユニットを示す斜視図である。 風力発電ユニットの断面図である。 風力発電ユニットの連結器の一変形例を示す斜視図である。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、この発明の第1実施例に係る風力発電システムを示す概略視図である。
図1に示すように、この実施例の風力発電システムは、ユニット連結体100と気球110と気体補充装置120とを備えている。
ユニット連結体100は、複数の風力発電ユニット1(1−1〜1−z)を上下方向に線状に連結して形成したのものであり、各風力発電ユニット1は、自己発電可能なジャイロミル型の風力発電装置である。
図2は、風力発電ユニット1の斜視図であり、図3は、風力発電ユニット1の断面図である。
図2に示すように、各風力発電ユニット1は、風車2と第1のハウジング3と第2のハウジング4と第1の発電機5と第2の発電機6と連結器7とで構成されている。
風車2は、垂直軸型のジャイロミル風車であり、複数の羽根20が、アーム21によって、1本の回転軸22の周りに等間隔で取り付けられている。
図3に示すように、回転軸22は、中央の大径部22aと後端部側の部位22bと先端部側の部位22cとでなり、大径部22aは、第1及び第2のハウジング3,4の外形にほぼ等しく設定されている。
第1のハウジング3は、風車2の回転軸22の後端部側の部位22bを収納した筒状体であり、第1の軸受30を内部に有している。具体的には、第1の軸受30の外輪31が、第1のハウジング3の内壁に固定され、内輪32が回転軸22の後端部側の部位22bに連結されている。これにより、回転軸22の後端部側の部位22bが、第1の軸受30によって軸支され、第1のハウジング3を回転させることなく、回転軸22のみの回転を可能にしている。
第2のハウジング4は、風車2の回転軸22の先端部側の部位22cを収納した筒状体であり、第2の軸受40を内部に有している。具体的には、第2の軸受40の外輪41が、第2のハウジング4の内壁に固定され、内輪42が回転軸22の先端部側の部位22cに連結されている。これにより、回転軸22の先端部側の部位22cが、第2の軸受40によって軸支され、第2のハウジング4を回転させることなく、回転軸22のみの回転を可能にしている。
上記した風車2と第1のハウジング3と第2のハウジング4とは、炭素繊維強化プラスチックで形成され、風力発電ユニット1全体の軽量化と強度化と絶縁性とが図られている。
第1の発電機5は、周知の交流発電機であり、フランジ51,52によって第1のハウジング3の内壁に固定されている。第1の発電機5は、風車2の回転軸22の後端部側の部位22bに組み付けられ、回転軸22の回転によって発電するようになっている。
この第1の発電機5の出力端53,54は、配線55,56を通じて第1のハウジング3の外部端子57,58にそれぞれ接続されている。
第2の発電機6も第1の発電機5と同一の交流発電機であり、フランジ61,62によって第2のハウジング4の内壁に固定されている。第2の発電機6は、風車2の回転軸22の先端部側の部位22cに組み付けられ、この第2の発電機6も第1の発電機5と同様に、回転軸22の回転によって発電するようになっている。
第2の発電機6の出力端63,64は、配線65,66を通じて第1のハウジング3の外部端子58,57にそれぞれ接続されている。
ここで、第2の発電機6の出力端63,64から第1のハウジング3の外部端子58,57に至る電気経路について詳しく説明する。
図4は、スライド接触構造を示すための大径部22aの概略平面図である。
図3に示すように、配線65は、第2の発電機6の出力端63から引き出された配線65aと、回転軸22の大径部22a内部を通る配線65bと、外部端子58に接続された配線65cとで形成されている。
具体的には、図4に示すように、配線65a(65c)の一方端に取り付けられた固定端子10(11)が、回転軸22の大径部22aの表面に形成された内輪電極12(13)に接触している。そして、図3に示すように、配線65bの両端部が内輪電極12,13に接続されている。
一方、配線66は、第2の発電機6の出力端64から引き出された配線66aと、回転軸22の大径部22a内部を通る配線66bと、外部端子57に接続された配線66cとで形成されている。
具体的には、図4に示すように、配線66a(66c)の一方端に取り付けられた固定端子14(15)が、回転軸22の大径部22aの表面に形成された外輪電極16(17)に接触している。そして、図3に示すように、配線66bの両端部が外輪電極16,17に接続されている。
かかる構成により、風車2の回転軸22が回転すると、第1の発電機5と第2の発電機6とがそれぞれ発電する。すると、第1の発電機5の出力端53と第2の発電機6の出力端64とから同方向同位相の電流が出力されて、外部端子57に至り、第1の発電機5の出力端54と第2の発電機6の出力端63とから同方向同位相の電流が出力されて、外部端子58に至る。これら外部端子57,58から電流を取り出すことで、風力に対応した電力を得ることができる。
ところで、このような風力発電ユニット1は、図2に示したように、連結器7を有している。
この連結器7は、図3に示すように、第2のハウジング4の先端部側(図3の上端部側)に設けられた雄部70と、第1のハウジング3の後端部側(図3の下端部側)に設けられ雌部71とで構成されている。
図5は、連結器7の雄部70の機能を説明するための部分拡大断面図である。
図3に示すように、雄部70は、第2のハウジング4の先端部に複数設けられており、図5に示すように、各雄部70が、第2のハウジング4の先端部に凹設されたスプリング収納室72と、スプリング収納室72に収納されたスプリング73と、フック74とを有している。フック74は、図の上下に突出したストッパ74aを有しており、このストッパ74aが、スプリング収納室72の上下壁の孔72aに挿通されている。
これにより、外力がフック74に加わっていない場合には、図5の(a)に示すように、フック74が、スプリング73に付勢されて、スプリング収納室72から外部に突出した状態になる。そして、図5の(b)に示すように、スプリング収納室72方向への外力が、フック74に加わった場合には、フック74が、スプリング73の付勢力に抗してスプリング収納室72内に移動し、スプリング収納室72内に完全に隠れた状態になる。
一方、雌部71は、図2及び図3に示すよう、第1のハウジング3の後端部に設けた長孔で成る。この雌部71の長さ及び幅は、上記フック74の長さ及び幅とほぼ等しく設定され、雄部70のフック74を、この雌部71内に嵌合させることができるようになっている。
図1に示したユニット連結体100は、このような連結器7を用いて、複数の風力発電ユニット1(1−1〜1−z)を機械的に連結して構成したものである。
図6は、1対の風力発電ユニット1が連結する前の状態を示す断面図であり、図7は、1対の風力発電ユニット1が連結した状態を示す断面図である。
具体的には、図6に示すように、下側の風力発電ユニット1−nの先端部を上側の風力発電ユニット1−mの後端部に挿入していくと、風力発電ユニット1−nの連結器7のフック74が、上側の風力発電ユニット1−mの第1のハウジング3の内壁によって押圧され、スプリング収納室72内に押し込められていく。そして、下側の風力発電ユニット1−nの先端部を上側の風力発電ユニット1−mの後端部に完全に挿入すると、図7に示すように、風力発電ユニット1−nのフック74がスプリング73の付勢力によって上側の風力発電ユニット1−mの雌部71の孔内に入り込んで、風力発電ユニット1−mにおける第1のハウジング3の後端部外部に突出し、フック74が、長孔71に係合する。この結果、上側の風力発電ユニット1−mと下側の風力発電ユニット1−nとが連結した状態になる。
以後、同様にして、z個の風力発電ユニット1を連結器7によって連結することで、上方から下方に至る線状の風力発電ユニット1を構成した。
図1に示す気球110は、上記のようなユニット連結体100を上空から地上に対して垂直に吊り下げるための浮揚体である。
具体的には、気球110が、ユニット固定部材130を吊し、ユニット固定部材130が、ユニット連結体100のうち、最上位に位置する風力発電ユニット1−1の第2のハウジング4を回転不能に固定している。そして、地上のアンカー131が、最下位の風力発電ユニット1−zの第1のハウジング3を回転不能に固定している。
気球110内の気体は、ヘリウムガスであり、ヘリウムガスは、地上の気体補充装置120から常時補充される。
具体的には、ベクトラン等のファイバー繊維で形成した軽量且つ強靱な配管140を垂直に配して、その上端部と下端部とを、ユニット固定部材130とアンカー131とにそれぞれ固着させた。そして、チューブ121をこの配管140内に挿通させることで、気球110内と気体補充装置120の気体出力口(図示省略)とをチューブ121に介して連通させた。
気体補充装置120は、液化ヘリウムを気化させて、ヘリウムガスを生成し、このヘリウムガスをチューブ121を通じて気球110内に補充することができる。
上記のようにチューブ121が挿通された配管140は、風力発電ユニット1と同数の枝管141を有しており、各枝管141が対応する風力発電ユニット1に連結されている。
図8は、枝管141と風力発電ユニット1との連結状態を示す断面図である。
図8に示すように、枝管141は、風力発電ユニット1の外部端子57,58から引き出された出力線57a,58aを配管140内に導くための管体であり、配管140の途中から風力発電ユニット1に向かって延出している。そして、枝管141の先端部141aが、風力発電ユニット1の外部端子57,58周りに設けられた取付部142に連結し、外部端子57,58から引き出された出力線57a,58aが、この枝管141内を通って配管140内に入り込んでいる。
配管140内に入り込んだ出力線57a,58aは、配管140の下開口から引き出され、変電所200(図1参照)に引き込まれている。
次に、この実施例の風力発電システムの作用及び効果について説明する。
図9は、風力発電システムの作用及び効果を説明するための概略図である。
図9に示すように、上空において、風W1,W2が発生すると、各風力発電ユニット1の風車2が風力によって回転し、図3に示した風車2の回転軸22に組み付けられた第1の発電機5及び第2の発電機6が発電し、出力電流が外部端子57,58から図8に示す出力線57a,58aに出力される。この結果、出力電流は、枝管141及び配管140内を通る出力線57a,58aを通じて、図9に示す変電所200に送電される。
かかる送電は、ユニット連結体100を構成する複数の風力発電ユニット1−1〜1−zによって行われるので、全風力発電ユニット1−1〜1−zで生成された総電力が変電所200に送電されることとなる。したがって、この実施例の風力発電システムを用いることで、今までにない大電力の発電を得ることができる。
また、この風力発電システムは、複数の風力発電ユニット1−1〜1−zを連結器7を通じて連結するだけで構築することができるので、建設工期を短縮化することができ、この結果、建設コストの低減化を図ることができる。
ところで、図9に示すように、上空の風W1の向きと下側の風W2の向きが異なる場合には、上側の風力発電ユニット1−1〜1−4の風車2の回転が下側の風力発電ユニット1−zの風車2の回転と異なるため、出力電流の干渉が生じるおそれがある。
しかし、この実施例の風力発電システムは、各風力発電ユニット1がそれぞれ独立して発電し、出力電流を独立に変電所200に送電するので、出力電流が干渉することはない。すなわち、この風力発電システムを用いることで、高さによって風向きが異なっていても、所望の発電量を得ることができる。
また、ユニット連結体100を、気球110によって高所から吊り下げると、雷が、ユニット連結体100に落ちるおそれがある。
しかし、この実施例の風力発電システムでは、各風力発電ユニット1の風車2と第1のハウジング3と第2のハウジング4とを絶縁性が高い炭素繊維強化プラスチックで形成したので、雷が風力発電ユニット1に落ちるおそれは少ない。また、炭素繊維強化プラスチックを素材とすることで、風力発電システム全体の軽量化と強度化とが図られている。
さらに、ヘリウムガスは、気球110を通過して少しずつ減っていくので、長期間使用すると、気球110の浮力が減少して、気球110が落下し、ユニット連結体100や配管140が倒れて、発電不能となるおそれがある。
しかし、この実施例では、ヘリウムガスを気体補充装置120からチューブ121を通じて気球110に補充し続けることができるので、常時、ヘリウムガスを気球110内に充満させておくことができる。この結果、気球110を永続的に浮揚させ続けることができ、半永久的な発電が可能となる。
(実施例2)
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図10は、この発明の第2実施例に係る風力発電システムを示す概略図である。
図10に示すように、この侍史例の風力発電システムは、複数のユニット連結体100(100−1〜100−x)を面状に配設した構成をとる点が、上記第1実施例の風力発電システムと異なる。
すなわち、水平な長尺状部材としてのユニット固定部材130を、複数の気球110によって上空に浮かせ、ユニット連結体100(100−1〜100−x)における最上位の風力発電ユニット1−1の第2のハウジング4を、このユニット固定部材130に回転不能に固定することで、複数のユニット連結体100−1〜100−xをユニット固定部材130に等間隔で吊した。
そして、複数の管状のユニット固定部材132を、複数のアンカー131に架け、各ユニット連結体100(100−1〜100−x)における最下位の風力発電ユニット1−zの第1のハウジング3を、このユニット固定部材132に回転不能に固定することにより、複数のユニット連結体100−1〜100−xを面状に配設した。
また、各気球110に連結されたチューブ121は、配管140内とユニット固定部材132内とを通って、ユニット固定部材132の右端開口から引き出され、気体補充装置120の気体出力口に連結されている。
一方、各ユニット連結体100(100−1〜100−x)を構成する複数の風力発電ユニット1−1〜1−zからそれぞれ引き出された複数の出力線57a,58aは、枝管141と配管140を通って、配管140の下端部に連結されたユニット固定部材132内に引き込まれている。そして、これらの出力線57a,58aは、ユニット固定部材132の左端開口から引き出されて、変電所200(図1参照)に引き込まれている。
この実施例の風力発電システムが、上記のように、面状の構成をとることにより、風を広い面領域で捕らえることができ、その分、発電量を大幅に増加させることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
(実施例3)
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図11は、この発明の第3実施例に係る風力発電システムを示す概略図である。
図11に示すように、この実施例の風力発電システムは、複数のユニット連結体100を立体状に配設した構成をとる点が、上記第1及び第2実施例の風力発電システムと異なる。
すなわち、上記第2実施例で示した面状の風力発電システムを、図11に示すように、その面と垂直な方向に等間隔で複数並べ、各ユニット固定部材130の両端を、固定部材133,134で固定し、各ユニット固定部材132の両端を、固定部材135,136で固定することにより、複数のユニット連結体100を立体状に配設した。
この実施例の風力発電システムが、上記のように、立体状の構成をとることにより、風を大きな立体領域で捕らえることができ、発電量のさらなる大幅増加を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1及び第2実施例の風力発電システムと同様であるので、それらの記載は省略する。
(実施例4)
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図12は、この発明の第4実施例に係る風力発電システムに適用される風力発電ユニットを示す斜視図であり、図13は、風力発電ユニットの断面図である。
上記実施例の風力発電システムでは、双発の風力発電ユニット1を適用したが、この実施例の風力発電システムでは、図12及び図13に示すように、単発の風力発電ユニット1’を適用した。
すなわち、風力発電ユニット1’では、第1の発電機5を第1のハウジング3に収納し、第2のハウジング4内に収納される第2の発電機6を省略した。そして、この第2の発電機6を除いた分だけ、第2のハウジング4の長さを短くした。
このように、単発の風力発電ユニット1’を適用することにより、ユニット連結体の軽量化、ひいては、風力発電システム全体の軽量化を図っている。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例〜第3実施例に適用された風力発電ユニット1と同様であるので、それらの記載は省略する。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施例では、図3等に示したように、連結器7の雄部70を、第2のハウジング4のスプリング収納室72とスプリング73とフック74とで形成し、雌部71を、第1のハウジング3の長孔で形成したが、連結器は、これに限るものではなく、雄部と雌部とを機械的に連結可能な構造であれば、そのすべてを発明の範囲に含む。したがって、図14に示すように、第2のハウジング4の先端部に設けた雄ねじ部70’を雄部とし、第1のハウジング3の後端部に設けた雄ねじ72’に螺合し且つ上記雄ねじ部70’と螺合可能な雌ねじ部71’を雌部とする連結器も、この発明の範囲に含まれる。
また、上記実施例では、風力発電ユニットの風車として、垂直軸型のジャイロミル風車を適用したが、ダリウス型の風車を風力発電ユニットの風車として適用することができることは勿論である。
また、上記実施例では、気球内の気体として、ヘリウムガスを適用したが、水素を気球内の気体として適用することができることは勿論である。
また、上記実施例では、風車と第1のハウジングと第2のハウジングとを、炭素繊維強化プラスチックで形成した例について説明したが、炭素繊維強化プラスチック以外の素材で形成された風車と第1のハウジングと第2のハウジングとを有する風力発電ユニットを、この発明の範囲から除外する意ではない。
さらに、上記実施例では、単数又は複数のユニット連結体100を上空の気球110に吊した構成の風力発電システムについて例示したが、単数又は複数のユニット連結体100を、気球110ではなく、高い塔等に吊して、上空の強風を捕らえる構成としてもよい。
1,1−1〜1−z,1’…風力発電ユニット、 2…風車、 3…第1のハウジング、 4…第2のハウジング、 5…第1の発電機、 6…第2の発電機、 7…連結器、 10,11,14,15…固定端子、 12,13…内輪電極、 16,17…外輪電極、 20…羽根、 21…アーム、 22…回転軸、 22a…大径部、 22b…後端部側の部位、 22c…先端部側の部位、 30,40…軸受、 31,41…外輪、 32,42…内輪、 51,52,61,62…フランジ、 53,54,63,64…出力端、 55,56,65,66,65a〜65c,66a〜66c…配線、 57,58…外部端子、 57a,58a…出力線、 70…雄部、 70’…雄ねじ部、 71…雌部、 71’…雌ねじ部、 72…スプリング収納室、 72’…雄ねじ、 72a…孔、 73…スプリング、 74…フック、 74a…ストッパ、 100,100−1〜100−x…ユニット連結体、 110…気球、 120…気体補充装置、 121…チューブ、 130,132…ユニット固定部材、 131…アンカー、 133,134,135,136…固定部材、 140…配管、 141…枝管、 141a…先端部、 142…取付部、 200…変電所、 W1,W2…風。

Claims (10)

  1. 1本の回転軸及びこの回転軸の周りに等間隔で取り付けられた複数の羽根とを有する風車と、
    上記風車の回転軸の後端部側の部位を、第1の軸受によって軸支した状態で収納した第1のハウジングと、
    上記風車の回転軸の先端部側の部位を、第2の軸受によって軸支した状態で収納した第2のハウジングと、
    上記第1のハウジング内に固定された状態で、上記風車の回転軸の後端部側の部位に組み付けられ、当該回転軸の回転によって発電する第1の発電機と、
    上記第1のハウジングの後端部又は第2のハウジングの先端部のいずれか一方に設けられた雌部,及び第1のハウジングの後端部側又は第2のハウジングの先端部側のいずれか他方に設けられ上記雌部に機械的に連結可能な雄部を有した連結器と
    を備えることを特徴とする風力発電ユニット。
  2. 請求項1に記載の風力発電ユニットにおいて、
    上記第2のハウジング内に固定された状態で、上記風車の回転軸の先端部側の部位に組み付けられ、当該回転軸の回転によって発電する第2の発電機を備える、
    ことを特徴とする風力発電ユニット。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の風力発電ユニットにおいて、
    上記風車と第1のハウジングと第2のハウジングとを、炭素繊維強化プラスチックで形成した、
    ことを特徴とする風力発電ユニット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の風力発電ユニットを、上記連結器を用いて複数連結することにより、上方から下方に至る線状のユニット連結体を形成し、
    最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを回転不能に固定した状態で、上記ユニット連結体を上空に吊すと共に、最下位の風力発電ユニットの第1のハウジングを回転不能に固定した、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  5. 請求項4に記載の風力発電システムにおいて、
    上記ユニット連結体を、上空の気球に吊した、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の風力発電システムにおいて、
    各上記ユニット連結体における最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを上空の水平な長尺状部材に回転不能に固定した状態で、複数の上記ユニット連結体をこの長尺状部材に一定間隔で吊り下げる共に、各ユニット連結体における最下位の風力発電ユニットの第1のハウジングを回転不能に固定することにより、複数のユニット連結体を面状に配設した、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  7. 請求項6に記載の風力発電システムにおいて、
    各上記ユニット連結体における最上位の風力発電ユニットの第2のハウジングを、気球によって上空に浮かされた水平な上記長尺状部材に回転不能に固定した、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の風力発電システムにおいて、
    複数の上記面状のユニット連結体を、面と垂直な方向に一定間隔で並べることにより、複数のユニット連結体を立体状に配設した、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  9. 請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の風力発電システムにおいて、
    上記気球内の気体は、ヘリウムガスである、
    ことを特徴とする風力発電システム。
  10. 請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の風力発電システムにおいて、
    上記気球と気体補充装置の気体出力口とをチューブで連結し、気体をこのチューブを通じて気球内に補充する、
    ことを特徴とする風力発電システム。
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