JP2014132069A - 水性木工用ムース塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】熟練した塗装技術を要せず木材に滑らかに且つ均一に塗装することが可能な水性木工用ムース塗料を提供する。
【解決手段】水、合成樹脂及び/又は天然油脂、チクソ剤及び/又は滑剤を含有する塗料組成物で構成され、該塗料組成物をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとなる水性木工用ムース塗料である。合成樹脂及び天然油脂はディスパーション又はエマルションとし塗料組成物中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。天然油脂は合成樹脂の固形分100重量%に対して固形分で10〜80重量%含有するのが好ましい。チクソ剤は塗料組成物中に0.1〜3重量%含有するのが好ましく、滑剤は塗料組成物中に3〜10重量%含有するのが好ましい。塗料組成物全量に対して20重量%以下の着色剤が含有され、着色塗料とすることができる。また塗料組成物全量に対して10〜70重量%で体質顔料が含有されてもよい。
【選択図】なし
【解決手段】水、合成樹脂及び/又は天然油脂、チクソ剤及び/又は滑剤を含有する塗料組成物で構成され、該塗料組成物をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとなる水性木工用ムース塗料である。合成樹脂及び天然油脂はディスパーション又はエマルションとし塗料組成物中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。天然油脂は合成樹脂の固形分100重量%に対して固形分で10〜80重量%含有するのが好ましい。チクソ剤は塗料組成物中に0.1〜3重量%含有するのが好ましく、滑剤は塗料組成物中に3〜10重量%含有するのが好ましい。塗料組成物全量に対して20重量%以下の着色剤が含有され、着色塗料とすることができる。また塗料組成物全量に対して10〜70重量%で体質顔料が含有されてもよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、木製品の塗装時に専用の器具を必要とせず且つ特別な技術を必要とせず良い仕上りが得られるようにした水性木工用ムース塗料に関する。
最近の傾向として、専門家ではなく一般人が日曜大工やリフォームなどにおいて水性木工用塗料を用いて木製品に塗装することがよく行われている。このような水性木工用塗料の塗装方法として、刷毛、ローラーの他に、スプレーによる方法がある。しかし、木製品の塗装は、一般に良い仕上りを得るには専門的な技術や器具を必要する。そのため、誰でも手軽に良い仕上りが得られる水性木工用塗料の提供が強く要望されている。
ところで、水性木工用塗料は、木材に塗装すると塗装作業が終るまでに塗料組成物中の水が先に木材に吸い込まれ、木材表面の塗料組成が変化し塗装ムラを生じさせ、そのため、塗装ムラの無い均一な仕上りとするのが難しかった。
また、木材表面に水性木工用塗料を塗り延びさせることが困難であった。これは、塗料を塗布した段階で塗料組成物中の水が木材に浸透し木材が膨潤して木材表面が凸凹となり、いわゆる毛羽立ちを生じさせる。そのため、刷毛やローラー等で塗料を滑らかに塗り延びさせることを阻害する。これも塗装ムラの原因になり、更には塗装の作業性の低下を招いていた。それゆえ、塗装ムラの無い均一な仕上りとするには熟練した塗装技術を要した。
また、従来の塗装形態では、立て面や天井面等を塗装する際には、液垂れに対して下回りの養生が必要となり、手間がかかる作業となっていた。さらに、スプレー塗装では、塗料が霧状に拡散されるため塗料を大量に消費してしまい、しかもムラ無く塗装するには熟練した技術が必要であった。
本発明者らは、以上の問題を解決するために、塗料の形態をムース化することを検討した。これまで、水性木工用塗料、特に木目を鮮明に表現する塗料ではムース化の検討がなされなかった主たる理由として、木材は水性木工用塗料を吸い込み易く、均一な塗装仕上がりの実現が難しいとされていたためと思われる。つまり、ムース化した水性木工用塗料は、塗布量が少なく、木材にすぐに吸い込まれて木材表面の塗料組成が変化する。その結果、公知の塗装形態(刷毛、ローラー、スプレー)で塗装した仕上りよりも劣り(塗装ムラ、白化など)、しかも塗装の作業性が低下する。そこで、本発明者らは、塗料をムース化するに際して、さらにチクソ剤及び/又は滑剤を含有させることで、熟練した塗装技術を要せず木材に滑らかに且つ均一に塗装することが可能な水性木工用ムース塗料を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る水性木工用ムース塗料は、水と、合成樹脂及び天然油脂のいずれか一方を含有し、チクソ剤及び滑剤のいずれか一方又は両方を含有する塗料組成物で構成され、該塗料組成物をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとなるものである。
前記合成樹脂及び前記天然油脂は、ディスパーション又はエマルションとし、塗料組成物中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。また、前記天然油脂は、前記合成樹脂の固形分100重量%に対して固形分で10〜80重量%含有するのが好ましい。前記チクソ剤は、塗料組成物中に0.1〜3重量%含有するのが好ましく、前記滑剤は、塗料組成物中に3〜10重量%含有するのが好ましい。さらに、前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して20重量%以下の着色剤が含有され、着色塗料とすることができる。
また、前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して10〜70重量%で体質顔料が含有されることにより、例えば、漆喰調の塗装仕上がりとすることができる。
前記合成樹脂及び前記天然油脂は、ディスパーション又はエマルションとし、塗料組成物中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。また、前記天然油脂は、前記合成樹脂の固形分100重量%に対して固形分で10〜80重量%含有するのが好ましい。前記チクソ剤は、塗料組成物中に0.1〜3重量%含有するのが好ましく、前記滑剤は、塗料組成物中に3〜10重量%含有するのが好ましい。さらに、前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して20重量%以下の着色剤が含有され、着色塗料とすることができる。
また、前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して10〜70重量%で体質顔料が含有されることにより、例えば、漆喰調の塗装仕上がりとすることができる。
本発明によれば、塗料の形態をムース化し、塗料組成物にはチクソ剤及び滑剤のいずれか一方又は両方を含有させることで、熟練した塗装技術を要せず木材に滑らかに且つ均一に塗装することが可能な水性木工用塗料を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
実施形態の水性木工用ムース塗料(以下、適宜「ムース塗料」と称す。)は、塗料組成物(X)をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとするものである。ムース容器は、液状物をムース状に噴射する容器のことである。塗料組成物(X)は、水(A)と、合成樹脂(B)と、天然油脂(B1)とを含有し、チクソ剤(C)及び滑剤(D)のいずれか一方又は両方を含有する。
実施形態の水性木工用ムース塗料(以下、適宜「ムース塗料」と称す。)は、塗料組成物(X)をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとするものである。ムース容器は、液状物をムース状に噴射する容器のことである。塗料組成物(X)は、水(A)と、合成樹脂(B)と、天然油脂(B1)とを含有し、チクソ剤(C)及び滑剤(D)のいずれか一方又は両方を含有する。
このムース塗料によれば、塗料組成物(X)をムース化することにより、液垂れが防止されるので、立て面や天井面等でも簡易に塗装することができ、しかもスプレーのように必要外の部分に塗料が撒き散らされることがないから塗料を無駄に消費することが防止される。また、ムース化により布やスポンジ等の簡易物によって木材表面に必要量の塗料を滑らかに塗り延びさせ易く、塗装ムラを抑えて均一に塗装することができる。
水(A)は、ムース塗料の溶媒であり、例えば、蒸留水、イオン交換水が使用される。水(A)の量は、ムース塗料のムースの起泡を阻害しない範囲で任意の適切な量とし、例えば、塗料組成物(X)中に20〜80重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲で含有するように調製することができる。なお、この水(A)の配合量は、合成樹脂(B)や天然油脂(B1)等のエマルション又はディスパーションに使用される水の量も含んだ全量である。
合成樹脂(B)は、塗膜形成成分であり、水性ディスパーション又は水性エマルションとして使用される。この合成樹脂(B)は、例えば、アルキド、アクリル、シリコン、ポリエステル、エポキシ、ウレタン、PVA、塩素化ポリプロピレン等を骨格とした合成樹脂系が使用されるが、これらに限らず、塗膜形成成分となり且つムースの起泡を阻害しない合成樹脂系は全て使用することができる。そして、これら合成樹脂系は、単独又は複数組み合わせて使用することができる。合成樹脂(B)の水性ディスパーション又は水性エマルションの平均粒子径は、0.03〜3.0μmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が3.0μmを上回ると、水(A)と合成樹脂(B)とが分離し易くなるため容器から噴射したムースが安定し難くなり、一方、平均粒子径が0.03μmを下回ると、塗料組成物(X)からなる液の粘度が高くなるため塗料組成物(X)が噴射ノズルから吐出し難くなる。
ムース化した塗料組成物(X)の塗布量は、液状塗料を刷毛塗り、ローラー塗り等した場合や霧状にスプレー塗装した場合などと比べて約1/2程度で済み、大幅に塗布量が低減される。そのため、ムース塗料の場合、塗膜形成成分である合成樹脂(B)の配合量を従来の設計どおりとすれば塗料組成物(X)が木材内部に浸透することで木材表面に形成される塗膜が非常に薄くなり、白っぽい塗装仕上りとなる(白化)。
そこで、合成樹脂(B)のディスパーション又はエマルションの配合量を塗料組成物(X)中に樹脂固形分で19重量%以上含有させ、従来よりも多く配合することで木材表面の塗膜の厚みが確保され、白化が防止されるので、所望の良好な塗装仕上りが得られる。ただし、この合成樹脂(B)の樹脂固形分の配合量が多くなり過ぎると塗料組成物(X)の粘度が過大になって、ムース化適性に欠け、塗料の拭き取りムラが生じるおそれがあるため、塗料組成物(X)中に60重量%以下で含有するのが好ましい。
一方、木材は、その種類によって密度が異なり、また繊維構造も異なる。そのため、上記のように合成樹脂(B)の配合量を多くしても、木材の種類によっては依然として木材内部への浸透により塗装仕上りが白っぽくなる場合があり得る。
そこで、木材の種類の変化に対しても良好な塗装仕上りを確保するため、塗料組成物(X)には、天然油脂(B1)を含有させるのが好ましい。天然油脂(B1)は、塗膜形成成分となり、水性のエマルション又はディスパーションとして使用される。天然油脂(B1)は、各種の植物油や動物油が使用され、その形態はグリセライド又は脂肪酸のいずれでもよい。天然油脂(B1)として、例えば、アマニ油、エノ油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油等の植物油や、乳脂、魚油、鯨油等の動物油が使用される。なお、天然油脂(B1)は、融点が常温より低いものが好ましく使用される。すなわち、天然油脂(B1)は、融点が常温よりも高いと常温下で固形乃至クリーム状の性状となって分散性に劣るからである。
この天然油脂(B1)は、塗膜形成成分となり、木材内に浸透し難く木材表面に残留して合成樹脂(B)が必要以上に木材内に浸透することを抑制する。この浸透抑制性能を発揮させるためには、天然油脂(B1)は、固形成分が、合成樹脂(B)の固形分100重量%に対して10〜80重量%で含有するのが好ましい。また、天然油脂(B1)のエマルション又はディスパーションの平均粒子径は、3.0μm以下であることが好ましい。平均粒子径が3.0μmを上回ると、エマルション又はディスパーションとしての安定性が低下し油分が分離し易くなり、使用の際に均一に木材表面に塗り広げ難くなるおそれがある。
なお、合成樹脂(B)と天然油脂(B1)の合計配合量は、好適なムース塗料を設計するために、塗料組成物(X)中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。
なお、合成樹脂(B)と天然油脂(B1)の合計配合量は、好適なムース塗料を設計するために、塗料組成物(X)中に固形分で20〜70重量%含有するのが好ましい。
チクソ剤(C)は、ムース塗料にチクソトロピック性を付与するものであり、塗料組成物(X)の木材への吸い込みを抑制させるものである。
ところで、水性の木工用塗料は、木材に塗装すると塗料組成物中の水が先に木材に吸い込まれ粘度の高い合成樹脂などの成分が表面に残留する。そのため、木材表面に塗装された塗料組成物の組成が変化して塗装ムラを生じさせる。ムース塗料の場合は、特に塗布量が少なく塗膜が薄いため、木材表面の塗料組成の変化が著しい。
ところで、水性の木工用塗料は、木材に塗装すると塗料組成物中の水が先に木材に吸い込まれ粘度の高い合成樹脂などの成分が表面に残留する。そのため、木材表面に塗装された塗料組成物の組成が変化して塗装ムラを生じさせる。ムース塗料の場合は、特に塗布量が少なく塗膜が薄いため、木材表面の塗料組成の変化が著しい。
そこで、塗料組成物(X)中にチクソ剤(C)を含有させると、チクソ剤(C)により、ムース塗料は、流動等のせん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状化し、静止すると粘度が次第に上昇し固状化する。従って、チクソ剤(C)により、ムース塗料は、木材表面で静止した塗料組成物(X)の粘度が次第に高くなって固状化していくから、水を含めた塗料組成物(X)を一定時間木材表面に留めておくことが可能となる。よって、塗装した段階で塗料組成物(X)中の水が先に木材へ吸い込まれて塗料組成を変化させて塗装ムラを生じさせることが防止される。しかも、塗装中に水の吸い込みによって木材が膨潤して表面に凸凹が形成されることも抑制されるから、ムース塗料を滑らかに塗り延びさせ易く、塗装ムラを抑えて均一に塗装することができる。
このチクソ剤(C)として、例えば、シリカ微粒子(アモルファスシリカ)、ベントナイト(有機ベントナイト又は精製ベントナイト)、高分子カルボン酸系増粘剤、アマイド系増粘剤、尿素系増粘剤、微粒子粉砕セルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。チクソ剤(C)の配合量は、上述の性能を発揮するために塗料組成物(X)中に0.1〜3重量%含有するのが好ましく、1〜3重量%含有するのがより好ましい。また、チクソ剤(C)によるムース塗料の性状のパラメータとしてTI値(チクソインデックス)によれば、塗装時2.5〜3.5が最も良く、TI値が2.5よりも低ければ、木材への吸い込みによるムース塗料の塗り延び性に劣り、拭き取り不良が発生するおそれがあり、TI値が3.5よりも高ければ、塗りムラによる色ムラが発生するおそれがある。
滑剤(D)は、ムース塗料に濡れ性を付与するものであり、木材が塗料組成物(X)中の水を吸い込むことで引き起こされる木材表面の凸凹に対してもムース塗料が滑らかに塗り広がるようにするものである。
本来、水性木工用塗料は、木材表面で塗り延びさせ難いものである。すなわち、塗料を塗布した段階で塗料組成物中の水が木材に浸透し木材が膨潤して木材表面が凸凹となり、いわゆる毛羽立ちを生じさせる。そのため、刷毛やローラー等で塗料を滑らかに塗り延びさせることを阻害する。それゆえ、塗装ムラの原因になり、更には塗装の作業性の低下を招いていた。従って、塗装ムラの無い均一な仕上りとするには熟練した塗装技術を要した。特別な塗装器具を用いることなく、また熟練した塗装技術によらない場合は、塗装ムラ等の仕上り不良を生じさせる。これを改善するため、水性木工用塗料をムース化するが、これだけでは未だ十分な性能が得られない。
本来、水性木工用塗料は、木材表面で塗り延びさせ難いものである。すなわち、塗料を塗布した段階で塗料組成物中の水が木材に浸透し木材が膨潤して木材表面が凸凹となり、いわゆる毛羽立ちを生じさせる。そのため、刷毛やローラー等で塗料を滑らかに塗り延びさせることを阻害する。それゆえ、塗装ムラの原因になり、更には塗装の作業性の低下を招いていた。従って、塗装ムラの無い均一な仕上りとするには熟練した塗装技術を要した。特別な塗装器具を用いることなく、また熟練した塗装技術によらない場合は、塗装ムラ等の仕上り不良を生じさせる。これを改善するため、水性木工用塗料をムース化するが、これだけでは未だ十分な性能が得られない。
そこで、ムース塗料に滑剤(D)を含有させることで、前述した水により引き起こされる塗料の塗り延びへの阻害を抑制させる。すなわち、木材が水の吸い込みによって木材表面に凸凹が形成されていても、ムース塗料に滑剤(D)を添加することで、特別な器具や熟練した技術を要せずに、ムース塗料を滑らかに塗り延びさせることができ、塗装ムラの無い均一な塗装仕上りを実現することができる。しかも、滑剤(D)は、その粒子が塗料組成物(X)の外周側に並ぶことにより、塗装中に塗料組成物(X)中の水が先に木材へ吸い込まれて塗料組成を変化させて塗装ムラを生じさせることの防止にも寄与する。
この滑剤(D)は、例えば、ポリエチレン系の球形微粒子、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、ポリプロピレンパウダー、マイクロクリスタリンワックスなどの有機高分子、カルナバ、蜜蝋などの植物系ワックス、石油由来のワックス、マイカなどの燐片状無機物、また、無機物の上に前記有機系ワックス(天然、合成を問わず)をコーティング処理したものなどが使用される。滑剤(D)の配合量は、上述の性能を発揮するために塗料組成物(X)中に3〜10重量%含有するのが好ましい。
また、ムース塗料を着色塗料として設計する場合は、塗料組成物(X)に所望の色の着色剤を含有させればよいが、木材内部への浸透に伴って色ムラを起こさないために、従来の液状又は霧状の形態の場合よりも着色剤の配合量を多くする。具体的には、色種に応じて塗料組成物(X)中に5〜20重量%含有するのが好ましい。着色剤は、例えば、無機系又は有機系の各種の顔料トナーを使用することができる。
上述のとおり、ムース塗料において、塗料組成物(X)中には、チクソ剤(C)及び滑剤(D)のいずれか一方又は両方を必須成分として含有し、ムース化した場合、チクソ剤(C)の含有により木材への塗料組成物(X)の吸い込みが抑制され、滑剤(D)の含有により塗装面での塗り延び性が良好となる。従って、塗料組成物(X)には、塗膜形成成分として合成樹脂(B)と天然油脂(B1)のいずれか一方を含有することでもよい。
ただし、合成樹脂(B)を単独で使用する場合は、塗料組成物(X)中に固形分で10〜40重量%の配合割合で含有させるのが好ましい。すなわち、合成樹脂(B)の配合量が10重量%未満となれば着色顔料などの顔料を固着させる力が不足し、物理的な色ずれ、塗装感の低下(白化)がおこるおそれがあり、これはチクソ剤(C)の増量によっては補えない。また、40重量%を超えると、粘度が過多になり、塗り延び性が著しく低下し色むらになりやすく、これはチクソ剤(C)の減量によっても改善できない。
また、天然油脂(B1)を単独で使用する場合、塗料組成物(X)中に固形分で15〜50重量%の割合で含有させるのが好ましい。すなわち、天然油脂(B1)の配合量が15重量%未満となれば、木材中への吸い込みにより木材表面に残留する天然油脂(B1)の量が不足し、着色顔料などの顔料を固着する力が不足し、物理的な色ずれ、塗装感の低下(白化)が低下するおそれがある。これはチクソ剤(C)の増量によっては補えない。また、50重量%を超えると、硬化乾燥が著しく遅くなり実用の範囲を超えるおそれがある。
ただし、合成樹脂(B)を単独で使用する場合は、塗料組成物(X)中に固形分で10〜40重量%の配合割合で含有させるのが好ましい。すなわち、合成樹脂(B)の配合量が10重量%未満となれば着色顔料などの顔料を固着させる力が不足し、物理的な色ずれ、塗装感の低下(白化)がおこるおそれがあり、これはチクソ剤(C)の増量によっては補えない。また、40重量%を超えると、粘度が過多になり、塗り延び性が著しく低下し色むらになりやすく、これはチクソ剤(C)の減量によっても改善できない。
また、天然油脂(B1)を単独で使用する場合、塗料組成物(X)中に固形分で15〜50重量%の割合で含有させるのが好ましい。すなわち、天然油脂(B1)の配合量が15重量%未満となれば、木材中への吸い込みにより木材表面に残留する天然油脂(B1)の量が不足し、着色顔料などの顔料を固着する力が不足し、物理的な色ずれ、塗装感の低下(白化)が低下するおそれがある。これはチクソ剤(C)の増量によっては補えない。また、50重量%を超えると、硬化乾燥が著しく遅くなり実用の範囲を超えるおそれがある。
また、塗料組成物(X)に体質顔料を含有させることにより、ムース塗料によって漆喰調の塗装仕上がりとすることができる。例えば、壁紙や布製クロス等で化粧されている木質の壁に漆喰調の質感を出すための補修塗装用として好ましく適用することができる。体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、カオリン等が挙げられる。このうち、炭酸カルシウムと酸化ケイ素が好ましく使用される。体質顔料の配合量は、塗料組成物(X)中に10〜70重量%、好ましくは、35〜62重量%含有させる。すなわち、体質顔料の配合量が10重量%未満では、塗膜の肉持ち(肉厚)が得られ難くなり漆喰調の質感に劣ることとなり、70重量%を超えると、体質顔料を固定保持するに必要量の合成樹脂(B)や天然油脂(B1)を配合することができず紛化し、例えば手で擦ると体質顔料が付着するような不具合が発生する。
また、体質顔料として、例えば炭酸カルシウムと酸化ケイ素とを使用する場合、炭酸カルシウムに対して酸化ケイ素を1/30〜1/6の割合で混合するのが好ましく、この場合、漆喰調の質感を良好に発揮することができる。
また、体質顔料の分散時の粒度は10μm以下とするのが好ましい。粒度が10μmを超えると塗装表面の平滑性が損なわれ、質感、隠蔽性が損なわれ、これらの結果、漆喰調の質感を低下させる。体質顔料の分散時の粒度が10μm以下であれば、塗装表面の平滑性、質感、隠蔽性などに優れる仕上がり効果を奏し、この粒度の下限は任意であるが、微細化の加工にかかるエネルギー、費用などを考慮して設定することができる。なお、粒度は粒ゲージ(JIS K−5600−2−5)を使用し測定したものである。
また、体質顔料として、例えば炭酸カルシウムと酸化ケイ素とを使用する場合、炭酸カルシウムに対して酸化ケイ素を1/30〜1/6の割合で混合するのが好ましく、この場合、漆喰調の質感を良好に発揮することができる。
また、体質顔料の分散時の粒度は10μm以下とするのが好ましい。粒度が10μmを超えると塗装表面の平滑性が損なわれ、質感、隠蔽性が損なわれ、これらの結果、漆喰調の質感を低下させる。体質顔料の分散時の粒度が10μm以下であれば、塗装表面の平滑性、質感、隠蔽性などに優れる仕上がり効果を奏し、この粒度の下限は任意であるが、微細化の加工にかかるエネルギー、費用などを考慮して設定することができる。なお、粒度は粒ゲージ(JIS K−5600−2−5)を使用し測定したものである。
また、漆喰調の塗装仕上がりとする場合、塗膜の隠蔽性を発揮し且つ漆喰特有の色合いを出すために、塗料組成物(X)中に無機顔料を含有するのが好ましく、この無機顔料として、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。このうち、白系の漆喰仕上げとするには、白色顔料の酸化チタンが好ましく使用され、また、アイボリー系の漆喰仕上げとするには、白色顔料の酸化チタンとともに赤色顔料の酸化鉄が好ましく使用される。この無機顔料の配合量は、塗料組成物(X)中に2〜10重量%の割合で含有することにより、塗膜の隠蔽性を発揮し且つ漆喰特有の色合いを表出することができる。
そして、以上の漆喰調の仕上がりとする場合、ムース塗料の塗料組成物(X)には、塗膜形成成分となる合成樹脂(B)及び天然油脂(B1)は、いずれか一方又は両方を含有させることができる。ただし、天然油脂(B1)は、その黄色味が漆喰調の仕上がり色調において変色したかのような印象を与え得るため、塗料組成物(X)には天然油脂(B1)を含有させず合成樹脂(B)だけを使用するのが好ましい。この場合、合成樹脂(B)の中でも、黄色味の無いアクリル樹脂を使用するのが好ましい。
さらに、上述した塗料組成物(X)には、アルコール、表面調整剤、乾燥促進剤、UVカット剤、防腐剤、防かび剤、防虫剤などを必要に応じて添加することができる。
そして、塗料組成物(X)は、以上の必要な各成分をディスパーで均一に混合攪拌した後、サンドミルで組成物粒子を分散させて調製する。この分散においては組成物粒子の平均粒子径が20μm以下、より好ましくは10μm以下になるまで分散させる。これにより、ムース化された塗料を塗り広げた時、乳化された粒子同士が溶結し易くなる。
次いで、得られた塗料組成物(X)は、ガス噴射剤とともにムース容器に充填圧0.3〜0.4MPaで充填させる。ガス噴射剤は、例えば、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素、LPG、LNGなどを用いることができる。ムース容器は、スチール缶、アルミ缶などの金属缶や耐圧性のプラスチック容器などを用いることができる。ムース容器は、噴射ノズルと、噴射ノズルに接続されムース容器内に配設されたパイプと、噴射ノズルの押下げ操作により開弁する弁とを有する。パイプは、ムース容器の底まで延長され、パイプ下端から内容物の塗料組成物を吸い上げる。また、パイプには、内容物に浸からない上部にガス取込孔が形成され、このガス取込孔からガス噴射剤をパイプ内に導入して、吸い上げた塗料組成物に混入して細かい泡を立て噴射ノズルに導く。従って、ムース容器に充填した塗料組成物は、ムース容器の噴射ノズルを押下げ操作すると、噴射ノズルから塗料組成物がムースとなって噴射される。なお、ムース容器を振ると塗料組成物(X)が良く攪拌されるようにムース容器内にパチンコ玉程度の撹拌ボールを配設してもよい。
次に、実施例により本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1):チクソ剤を用いた例
下記配合に従って、ディスパーにて流動がなくなり全体が均一な流動性のある液状になるまで混合攪拌し、次いでサンドミルにて組成物の平均粒子径を10ミクロン以下にまで分散させ、塗料組成物を得た。
なお、下記の蒸留水の配合量は、蒸留水以外の他の成分の調合後に追加した量である。
(成分) (重量%)
蒸留水 24.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
微粒子シリカ(チクソ剤) 1.0
表面調整剤 1.0
(実施例1):チクソ剤を用いた例
下記配合に従って、ディスパーにて流動がなくなり全体が均一な流動性のある液状になるまで混合攪拌し、次いでサンドミルにて組成物の平均粒子径を10ミクロン以下にまで分散させ、塗料組成物を得た。
なお、下記の蒸留水の配合量は、蒸留水以外の他の成分の調合後に追加した量である。
(成分) (重量%)
蒸留水 24.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
微粒子シリカ(チクソ剤) 1.0
表面調整剤 1.0
(実施例2):チクソ剤を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 24.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 24.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
表面調整剤 1.0
(実施例3):滑剤を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 5.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 5.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
(実施例4):滑剤を用いた例
組成物の平均粒子径を20ミクロン以下にまで分散させた以外は、下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
(成分) (重量%)
蒸留水 20.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
マイカ微粒子(滑剤) 5.0
表面調整剤 1.0
組成物の平均粒子径を20ミクロン以下にまで分散させた以外は、下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
(成分) (重量%)
蒸留水 20.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
マイカ微粒子(滑剤) 5.0
表面調整剤 1.0
(実施例5):チクソ剤と滑剤の両方を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 4.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 4.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 25.0(固形分17.5)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 32.0(固形分22.4)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
(実施例6):合成樹脂が多い場合で、チクソ剤を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 7.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 10.0(固形分7.0)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 70.0(固形分56.0)
顔料トナー(着色剤) 6.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 7.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 10.0(固形分7.0)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 70.0(固形分56.0)
顔料トナー(着色剤) 6.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
表面調整剤 1.0
(実施例7):合成樹脂が少ない場合で、滑剤を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 17.7
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 13.3(固形分9.3)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 25.0(固形分19.8)
顔料トナー(着色剤) 18.0
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 17.7
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 13.3(固形分9.3)
アルキド樹脂(合成樹脂)のディスパーション 25.0(固形分19.8)
顔料トナー(着色剤) 18.0
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
(実施例8):体質顔料を含有した場合で、白系の漆喰調仕上がりの例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 16.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 30.0
酸化ケイ素(体質顔料) 5.0
酸化チタン(無機顔料) 8.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 10.0(固形分4.0)
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 16.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 30.0
酸化ケイ素(体質顔料) 5.0
酸化チタン(無機顔料) 8.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 10.0(固形分4.0)
(実施例9):体質顔料を含有した場合で、アイボリー系の漆喰調仕上がりの例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 11.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 40.0
酸化ケイ素(体質顔料) 3.0
酸化チタン(無機顔料) 4.0
酸化鉄(無機顔料) 1.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 10.0(固形分4.0)
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 11.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 40.0
酸化ケイ素(体質顔料) 3.0
酸化チタン(無機顔料) 4.0
酸化鉄(無機顔料) 1.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 10.0(固形分4.0)
(実施例10):体質顔料を含有した場合で、隠ぺい力が強力な漆喰調仕上がりの例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 3.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 60.0
酸化ケイ素(体質顔料) 2.0
酸化チタン(無機顔料) 2.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 3.0(固形分0.3)
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。
(成分) (重量%)
蒸留水 3.0
アクリルエマルション(合成樹脂) 30.0(固形分10.5)
炭酸カルシウム(体質顔料) 60.0
酸化ケイ素(体質顔料) 2.0
酸化チタン(無機顔料) 2.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 3.0(固形分0.3)
(実施例11):天然油脂のみを用い、チクソ剤と滑剤の両方を用いた例
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 4.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 57.0(固形分39.9)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
下記配合に従って、実施例1と同じく調整して塗料組成物を得た。
なお、下記の有機ベントナイトプリゲルは、蒸留水:有機ベントナイト=9:1の混合物である。下記の微粒子ポリエチレン水分散品は、蒸留水:微粒子ポリエチレン=6:4の水分散品である。
(成分) (重量%)
蒸留水 4.0
高級アルコール 5.0
アマニ油(天然油脂)のエマルション 57.0(固形分39.9)
顔料トナー(着色剤) 12.0
有機ベントナイトプリゲル(チクソ剤) 1.0(固形分0.1)
微粒子ポリエチレン水分散品(滑剤) 20.0(固形分8.0)
表面調整剤 1.0
そして、各実施例1〜11において、得られた塗料組成物180mlの液状物をムース状に噴射するムース容器(220ml)にガス噴射剤のLPGガスとともに充填圧0.38MPa(25℃)で充填した。充填後、ムース容器を5回震とうし、平板の木材(杉材)に向けて噴射ノズルから塗料組成物をムース状に噴射させて木材表面にムースを形成した。次いで、木材表面のムースをスポンジで塗り延ばした。
実施例1〜11について、ムース容器より噴出したムースは、いずれもきめ細かく起泡し保形性のよいものであった。ムース状であるから、液垂れは全く無く、またスプレー塗装のように必要外に撒き散らされることも全く無い。
木材表面のムースの塗り延ばしは、いずれの実施例も、従来のように塗料を浸み込ませた刷毛塗り、ローラー塗りと比べ、木材表面にムースが滑らかにムラ無く塗り広げられた。
そして、乾燥後の塗装状態は、いずれの実施例も、木材内への塗料組成物の吸い込みによる白化や塗装ムラが見られず、良好な塗装仕上がりであった。
木材表面のムースの塗り延ばしは、いずれの実施例も、従来のように塗料を浸み込ませた刷毛塗り、ローラー塗りと比べ、木材表面にムースが滑らかにムラ無く塗り広げられた。
そして、乾燥後の塗装状態は、いずれの実施例も、木材内への塗料組成物の吸い込みによる白化や塗装ムラが見られず、良好な塗装仕上がりであった。
チクソ剤含有の実施例1と実施例2とを対比すると、チクソ剤に有機ベントナイトを用いた実施例2は、チクソ剤に微粒子シリカを用いた実施例1に比べ、塗り延びが良かった。これは、チクソトロピック性において、有機ベントナイト(実施例2)の方が微粒子シリカ(実施例1)よりも剪断力を受ける塗装時の粘度が高くないためであると考えられる。
滑剤含有の実施例3,4は、実施例1,2(チクソ剤含有)と比べて、滑らかに塗り延ばせた。これは、滑剤による塗料組成物の濡れ性が高いからである。また、実施例3と実施例4とは、塗装性能は同等と言えるが、塗料貯蔵安定性という点では実施例3の方が優れている。つまり、滑剤として配合した微粒子ポリエチレン水分散品が網目構造を形成し、その構造の中に、顔料等の沈殿し易い組成物を懸架する(捕集)ことにより、沈殿を防ぐ為である。ここで、貯蔵安定性が悪いとは、エアゾールにした状態で保管(在庫・展示)している間に(数ヶ月〜1年)、着色剤等、比重の高いものが沈殿し再分散し難い状態を指す。
チクソ剤と滑剤の両方を含有する実施例5は、塗り延び性は実施例3,4とほぼ同じく良好であったが、塗料組成物の粘度がやや高くなる為、実施例3,4と比較して塗りムラが生じ易い傾向が現われるようであった。
実施例6は、合成樹脂(アルキド樹脂)の固形分が56重量%で、他の実施例よりも多い実施例である。この実施例6では、塗装時にムース塗料の木材への吸い込み軽減効果が非常に効果的であり、着色剤の顔料トナーの配合量が6重量%であり、実施例1〜5(12重量%添加)の半分の量でも良好な着色状態が得られた。ただし、合成樹脂の増量に伴って塗料組成物全体の粘度が高くなるため、実施例3,4と比較して塗りムラが生じ易い傾向が現われるようであった。
一方、実施例7は、合成樹脂(アルキド樹脂)の固形分が19.8重量%で、他の実施例よりも少ない実施例である。この実施例7では、ムース化性能、塗装作業性、拭き取りムラなど、他の実施例と同等の結果が得られた。ただし、仕上り感において、他の実施例よりも着色剤の顔料トナー量を増量(18重量%)したが、合成樹脂量が少ないため、他の実施例と比較して白化の傾向が少し現われるようであった。
一方、実施例7は、合成樹脂(アルキド樹脂)の固形分が19.8重量%で、他の実施例よりも少ない実施例である。この実施例7では、ムース化性能、塗装作業性、拭き取りムラなど、他の実施例と同等の結果が得られた。ただし、仕上り感において、他の実施例よりも着色剤の顔料トナー量を増量(18重量%)したが、合成樹脂量が少ないため、他の実施例と比較して白化の傾向が少し現われるようであった。
実施例8〜10は、木質と、布又は紙が被塗材になる場合で漆喰調仕上げとする実施例である。壁が木質で部分的に壁紙あるいは布製クロスで化粧されている場合の補修塗装用として設計したものである。これら実施例8〜10では、木質と紙又は布の塗料組成物の吸い込み度合いが異なるため、2回塗りすることで均一な塗装面の漆喰調の仕上がりが得られた。
また、実施例8〜10においては、合成樹脂エマルション(アクリルエマルション)のみを塗膜形成成分とした。これは隠蔽性が必要で且つ漆喰調の仕上げの場合、天然油脂の黄色味が、仕上がり色調に対し変色したかのような印象を与えることを防止するためである。これらの実施例8〜10の場合、黄色味のないアクリルエマルション(合成樹脂エマルション)を使用することで、実施例8、実施例10の場合は、純白の漆喰調、実施例9の場合は、アイボリー系の漆喰調の仕上がりを得た。
実施例11では、塗膜形成成分として天然油脂(アマニ油エマルション)のみを用いた。実施例5では、チクソ剤と滑剤の両方を含有することで塗り伸び性は良好であるが、粘度が高くなり、塗りムラが生じやすい傾向が現れた。これに対し、実施例11では、チクソ剤と滑剤の両方を含有させる上で合成樹脂を使用せず天然油脂のみを使用することで粘度上昇が軽減され、その結果、塗り伸び性及び塗りムラの両方について良好な結果を得た。
Claims (7)
- 水と、合成樹脂及び天然油脂のいずれか一方又は両方を含有し、チクソ剤及び滑剤のいずれか一方又は両方を含有する塗料組成物で構成され、
該塗料組成物をムース容器に充填して噴射ノズルからの噴射時に起泡してムースとなる水性木工用ムース塗料。 - 前記合成樹脂及び前記天然油脂は、ディスパーション又はエマルションとし、塗料組成物中に固形分で20〜70重量%含有する請求項1に記載の水性木工用ムース塗料。
- 前記天然油脂は、前記合成樹脂の固形分100重量%に対して固形分で10〜80重量%含有する請求項1又は2に記載の水性木工用ムース塗料。
- 前記チクソ剤は、塗料組成物中に0.1〜3重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性木工用ムース塗料。
- 前記滑剤は、塗料組成物中に3〜10重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性木工用ムース塗料。
- 前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して20重量%以下の着色剤が含有されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性木工用ムース塗料。
- 前記塗料組成物には、該塗料組成物全量に対して10〜70重量%で体質顔料が含有されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性木工用ムース塗料。
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