JP2014130117A - 拡散物質の拡散状況予測装置、方法およびプログラム - Google Patents

拡散物質の拡散状況予測装置、方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】気象データの予測期間を超えた期間でも既存の空間解像度で、拡散源からの拡散物質の拡散状況をより高い精度で予測することができる拡散物質の拡散状況予測装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の拡散物質の拡散状況予測装置は、放射性物質を大気中に放出する拡散源から放射性物質が放出された対象日時と、対象日時の放射性物質の放出量とに基づいて放射性物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であり、拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の対象日時における気象データdt1を、気象機関の気象データベース18から取得し、解析条件を設定する解析条件設定部21と、対象日時と同一または類似の気象データdt2を、過去の気象データベース19から抽出する同一・類似データ抽出部22と、同一または類似の気象データdt2を用いて評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算部23とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、大気中に拡散する拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置、方法およびプログラムに関する。
原子力発電所や化学工場などでの事故等により放射性物質などの有害物質が放出された場合には、有害物質の拡散範囲や拡散濃度を予測し、有害物質による影響を受ける地域を予測する拡散状況予測システムがある(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の拡散状況予測システムは、例えば気象GPV(Grid Point Value)データやアメダス(AMeDAS;Automated Meteorological Data Acquisition System)等の気象データから初期条件および境界条件を取り込んで、有害物質の発生源を含む予め設定した計算領域を設定する。そして、特許文献1に記載の拡散状況予測システムは、前記計算領域の各格子点ごとに大気現象を解析する偏微分方程式の計算モデルを用いて演算する。これにより、特許文献1に記載の拡散状況予測システムは、事故発生(例えば、放射性物質の放出)時点から所定時間先の時点までの演算期間(予測期間)に渡り、一定時間間隔で多数の評価地点(対象地点)の気体状況(風向、風速等)を求め、気象データ(気流場データ)を求める。そして、拡散状況予測システムは、得られた気象データを用いて拡散計算を行うことにより、拡散物質の濃度(拡散場データ)を求める。これにより、拡散状況予測システムは、拡散物質の発生源から放出された有害物質の拡散状況を予測している。
また、有害物質の拡散範囲や拡散濃度を予測する方法として、他に気象データから初期条件および境界条件を取り込まず、全球モデルにより気流場データを演算する方法がある。
特開2002−202383号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような拡散状況予測システムは、気流場データを演算する際、気象GPVデータなどの気象データから初期条件および境界条件として取り込むため、予測期間は気象データに依存する。そのため、気象データの予測期間での気象解析と同じ空間解像度で、気象データの予測期間を超えた期間で拡散物質の拡散状況の予測を行うことは困難である。
また、境界条件を必要としない全球モデルにより気流場データを演算する方法は、気象データの予測期間を超えた期間を予測することはできるが、領域気象モデルと同じ空間解像度で計算すると、計算負荷が大きいため、実用的でない。
そのため、気象データの予測期間を超えた期間でも既存の空間解像度で、原子力発電所等の拡散源からの放射性物質のような拡散物質の拡散状況をより高い精度で予測することができる拡散物質の拡散状況予測装置が求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、気象データの予測期間を超えた期間でも既存の空間解像度で、拡散源からの拡散物質の拡散状況をより高い精度で予測することができる拡散物質の拡散状況予測装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出部と、前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記気流場データ演算部で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第3の発明は、第2の発明において、前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第4の発明は、第1ないし第3の何れか1つの発明において、前記第2気象データベースから抽出する気象データを、前記対象日時と同じ日の所定期間内に絞るデータ絞込み部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第5の発明は、第1ないし第4の何れか1つの発明において、前記気流場データ演算部は、前記第1気象データベースに保存されている前記対象日時の最終予測時刻経過前までは、前記第1気象データベースに保存されている気象データを用いて気流場データを算出し、前記対象日時の最終予測時刻経過後は、前記第2気象データベースから前記気象データに保存されている最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを抽出して気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第6の発明は、第1ないし第5の何れか1つの発明において、前記同一・類似データ抽出部は、前記第2気象データベースから前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを複数抽出し、前記気流場データ演算部は、抽出した複数の同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域において所定期間までにおける所定時間毎での気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第7の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第8の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する第2沈着量計算部と、前記選定された第2風向頻度分布の所定時間毎の前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第2沈着量重み付け部と、前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第9の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月毎の風向頻度分布および平均地上風速を蓄積する変換データベースから、前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第10の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月毎の風向頻度分布および平均地上風速を蓄積する変換データベースから、前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第11の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出工程と、前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算工程と、を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第12の発明は、第11の発明において、前記気流場データ演算工程で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第13の発明は、第12の発明において、前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第14の発明は、第11ないし第13の何れか1つの発明において、前記同一・類似データ抽出工程において前記同一または類似の気象データを抽出する前に、前記第2気象データベースから抽出する気象データを、前記対象日時と同じ日の所定期間内に絞るデータ絞込み工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第15の発明は、第11ないし第14の何れか1つの発明において、前記気流場データ演算工程は、前記第1気象データベースに保存されている前記対象日時の最終予測時刻経過前までは、前記第1気象データベースに保存されている気象データを用いて気流場データを算出し、前記対象日時の最終予測時刻経過後は、前記第2気象データベースから前記気象データに保存されている最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを抽出して気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第16の発明は、第11ないし第15の何れか1つの発明において、前記同一・類似データ抽出工程は、前記第2気象データベースから前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを複数抽出し、前記気流場データ演算工程は、抽出した複数の同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域において所定期間までにおける所定時間毎での気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第17の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第18の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第19の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第20の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第21の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出工程と、前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算工程と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第22の発明は、第21の発明において、前記気流場データ演算部で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第23の発明は、第22の発明において、前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第24の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第25の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第26の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第27の発明は、拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
本発明によれば、気象データの予測期間を超えた期間でも既存の空間解像度で、拡散源からの拡散物質の拡散状況をより高い精度で予測することができる。
図1は、本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を簡略に示す図である。 図2は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。 図3は、評価領域に対象地点が設定されている状態の一例を示す図である。 図4は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図5は、本発明による第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。 図6は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図7は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図9は、本発明による第5の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。 図10は、放射性物質のプルーム式による地表沈着量を風向頻度分布で重み付けした一例を示す図である。 図11は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、本発明による第6の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。 図13は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図14は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の他の一例を示す図である。 図15は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図16は、本発明による第7の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。 図17は、発災場所に最寄りの格子点での風向頻度分布の一例を示す図である。 図18は、本発明による第7の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
<拡散物質の拡散状況予測装置>
本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、拡散物質が放射性物質(粒子)である場合について説明する。図1は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を簡略に示す図である。図1に示すように、拡散物質の拡散状況予測装置10は、制御部11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置(入力受付部)14、出力装置15、および通信部16を備えている。
制御部11は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、RAM(Random Access Memory)などを備えている。
主記憶装置12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Flash Solid State Drive)などを備えている。主記憶装置12は、本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測方法を実行するための拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されている。本実施形態では、拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されている領域を、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aという。主記憶装置12は、予め拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されているが、これに限定されるものではなく、拡散物質の拡散状況予測プログラムは、拡散物質の拡散状況予測プログラムを外部から通信回線によって受信し、拡散物質の拡散状況予測プログラムを記録するようにしてもよい。拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aの構成については、後述する。
補助記憶装置13は、可搬の記録媒体などを備えている。可搬の記録媒体とは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Read Only Memory)、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。
入力装置14は、放射性物質を大気中に放出する拡散源(例えば、原子力発電所)から放射性物質が放出された対象日時(発災日)、対象日時の放射性物質の放出量などを入力するためのものである。入力装置14としては、例えば、キーボードやマウスなどである。
なお、本実施形態において、対象日時とは、拡散源(発生源)から放射性物質などの拡散物質が大気に放出された日時をいう。
本実施形態では、入力装置14は、対象日時、対象日時の放射性物質の放出量などが作業員などにより入力されるが、これに限定されるものではなく、外部から送信され、通信部16で受信された信号に基づいて対象日時、対象日時の放射性物質の放出量などが入力されるようにしてもよい。これにより、拡散物質の拡散状況予測装置10は、通信により外部から対象日時、対象日時の放射性物質の放出量などを手動または自動で入力できるため、装置の利便性を更に高めることができる。
出力装置15は、制御部11が拡散物質の拡散状況予測プログラムに基づいて演算した結果などを出力するためのものである。出力装置15としては、例えば、ディスプレイ、プリンタなどが用いられる。
通信部16は、外部のネットワーク上に設置されている気象機関の気象データベース(第1気象データベース)18、過去の気象データベース(第2気象データベース)19などと通信を行ない、送受信する。気象機関の気象データベース18は、拡散源が存在する対象地点を含む予め設定した広さの地理的領域に対応する計算領域における過去(例えば、数十時間分、数百時間分)の気象データまたは将来の予測気象データが蓄積されている。気象機関とは、例えば、気象庁などである。また、拡散源が存在する対象地点を含む予め設定した広さの地理的領域とは、具体的には、拡散源周辺を中心とした領域である。また、過去の気象データベース19は、拡散源が存在する対象地点を含む予め設定した広さの地理的領域に対応する計算領域における現在から過去数十年分(例えば、過去50年〜100年分)の1時間毎の気象データを蓄積している。過去の気象データベース19のデータとして、具体的には、NCEP(米国環境予測センター)が中心となって提供している再解析データや、ECMWF(ヨーロッパ中期気象予報センター)が提供している再解析データであるERA−40や、GPVデータなどがある。
次に、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aについて説明する。図2は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aの構成を示す図である。図2に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aは、解析条件設定部21、同一・類似データ抽出部22、気流場データ演算部23、拡散場データ演算部24および被ばく解析部25を有する。
[解析条件設定部21]
解析条件設定部21は、拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している気象機関の気象データベース18から取得し、解析条件を設定する。解析条件設定部21に入力された対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。
解析条件設定部21は、拡散源が存在する対象地点(評価地点)を含む予め設定した広さの地理的領域に対応する計算領域を評価領域として設定する。評価領域は、拡散源を含み、例えば一辺の長さが5km四方の領域に対応しており、格子状に分割されている。なお、この計算領域および格子幅は、使用者の要求、拡散源を含む計算領域の地理的状況などに応じて、広域、狭域は適宜任意に設定される。
評価領域には、例えば、気流場を評価するための対象地点が設定されている。評価領域に対象地点が設定されている状態の一例を図3に示す。図3に示すように、例えば、評価領域には、東西方向及び南北方向に所定の距離間隔(例えば、4km、500kmなど)で、格子状に対象地点(図3中、丸印及び四角印)が設定されている。この評価領域における気流場を予測する場合には、評価領域に設定された各対象地点の気流場を気象データに基づいて、以下の処理手順により演算する。まず、初期条件として、気象データを空間内挿補間したデータを用いる。次に、境界条件として、気象データを空間・時間内挿補間したデータを用いる。そして、これら初期条件、境界条件を用いて、気象に関する偏微分方程式を解くことにより、評価領域の各対象地点の気流場データを演算する。
気象データは、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する地点(親格子点位置)における規定時間間隔毎の気象データである。気象データは、大気現象を解析する方程式を演算する計算モデルにより求められる。気象データには、例えば、風向、風速、気圧、気温などが蓄積されている。気象データとしては、例えば、GPVデータ、AMEDAS等が挙げられる。
対象日時の気象データdt1は、気象機関の気象データベース18から送信される。気象機関の気象データベース18には、過去の気象データ及び将来の予測気象データ(GPVデータの場合には、最大192時間である。)が蓄積されている。
本実施形態では、外部の気象機関の気象データベース18から気象データをダウンロードするように構成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、拡散物質の拡散状況予測装置10は、入力装置14により手動で対象日時の気象データdt1を直接入力設定できる構成としてもよい。また、拡散物質の拡散状況予測装置10は、気象機関の気象データベース18から気象データをダウンロードする他に、入力装置14により手動で対象日時の気象データdt1を直接入力するようにしてもよい。これにより、入力された対象日時が異なった場合などに容易に調整することができる。
[同一・類似データ抽出部22]
同一・類似データ抽出部22は、対象日時と同一または類似の気象データを、同一・類似気象データdt2として、過去の気象データベース19から抽出する。過去の気象データベース19から抽出される対象日時と同一の気象データは、同一気象データとする。過去の気象データベース19から抽出される対象日時と類似の気象データは、類似気象データとする。
同一・類似気象データdt2を抽出する方法として、例えば、計算領域の複数地点における種々の気象要素(例えば、風向、風速、気圧、気温)に対して、対象日時の気流場と、過去の気象データベース19に蓄積されている複数時刻の気象データとの誤差を計算し、誤差がない時刻、または誤差が最小となる時刻の気象データを抽出する方法がある。また、同一・類似気象データdt2を抽出する方法として、上記種々の気象要素の2次元分布を表示し、例えばパターンマッチング法などにより、画像が同一または類似したデータを抽出する方法などがある。
同一・類似気象データdt2は、上記種々の気象要素のうち、例えば、風向、風速、気圧、気温のいずれか1つ以上の気象要素を固定して残りの気象要素で同一または類似する気象データを抽出するようにしてもよい。気象要素のうちのいずれか1つ以上を固定して残りの気象要素を用いて同一・類似気象データdt2を抽出することにより、処理を簡便化することができるため、処理負担を軽減させることができる。
本実施形態では、外部の過去の気象データベース19から気象データをダウンロードするように構成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、拡散物質の拡散状況予測装置10は、入力装置14により手動で同一・類似気象データdt2などを直接入力設定できる構成としてもよい。また、拡散物質の拡散状況予測装置10は、過去の気象データベース19から気象データをダウンロードする他に、入力装置14により手動で同一・類似気象データdt2などを直接入力するようにしてもよい。これにより、入力された同一・類似気象データdt2が異なっていた場合などに容易に調整することができる。
[気流場データ演算部23]
気流場データ演算部23は、同一・類似データ抽出部22で抽出した類似気象データを用いて、評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出する。気流場データ演算部23は、同一・類似気象データdt2に基づいて、評価領域の各格子点ごとの気象データを大気現象を解析する気流場計算モデル、または大気現象を解析する偏微分方程式を差分解析演算することにより気象データを求める偏微分方程式の計算モデルなどを用いて演算を行う。これにより、気流場データ演算部23は、評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとの各対象地点の気象データからなる気流場データを演算して求める。
なお、本実施形態において、所定期間とは、対象日時から測定終了時までの評価期間をいい、例えば、数日間、数週間、数ヶ月間、数年間のいずれの期間である。また、所定時間とは、例えば、数十分、数時間、数週間、数ヶ月間、数年間のいずれの時間である。
気流場計算モデルとしては、例えば、従来より公知のものが用いられるが、例えば、数値シミュレーションモデルにより数値流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)を用いる方法などが挙げられる。
数値シミュレーションモデルによりCFDを用いる場合には、入力装置14に入力された対象日時の気象データdt1をCFDを用いて演算し、気流場データを演算する。
なお、CFDとは、実際の地理的領域(地球表面上の領域)に対応した計算領域を計算機に設定し、この計算領域を格子状に分割して、各格子点の変数(風速、温度等)について、変数の微分方程式を時間積分することにより気流場データあるいは拡散場データを解析する演算手法である。
偏微分方程式の計算モデルとしては、例えば、RAMS(Regional Atmospheric Modeling System)やWRF(Weather Research & Forecasting Model System)を用いる方法などが挙げられる。
気流場データの算出は、上記種々の気象要素のうち、例えば、風向、風速、気圧、気温のいずれか1つ以上の気象要素を固定して残りの気象要素を用いて気流場データを算出するようにしてもよい。気象要素のうちのいずれか1つ以上を固定して残りの気象要素を用いて気流場データを算出することにより、処理を簡便化することができるため、処理負担を軽減させることができる。
[拡散場データ演算部24]
拡散場データ演算部24は、気流場データ演算部23で演算された対象日時における気流場データを用いて、放射性物質の拡散状態を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより放射性物質の拡散場データを算出する。拡散場データは、放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を示すものであり、この拡散場データから評価領域において拡散源から放射性物質が放出された放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を解析することができる。
なお、拡散計算モデルとしては、従来より公知のものが用いられるが、例えば、コロラド州立大学と米国ATMET社で開発されたHYPACT(Hybrid Particle Concentration Transport Model)コード、下記式(1)の正規拡散式(解析解)を用いる方法、数値シミュレーションモデルによりCFDを用いる方法などが挙げられる。
拡散計算モデルとして、下記式(1)の正規拡散式(解析解)を用いる場合には、この式を用いて、上記所定期間の定常計算を実施し、その計算結果から拡散場データを作成してもよい。
Figure 2014130117
ここで、式(1)中、x、y、zは座標であり、Cは濃度であり、Uは風速であり、Qは放出量であり、Heは放出源高さであり、σyは水平方向拡散幅(気象状態によって決まる量)であり、σzは鉛直方向拡散幅(気象状態によって決まる量)である。
数値シミュレーションモデルによりCFDを用いる場合には、気流場データ演算部23で求められた気流場データをCFDを用いて演算し、拡散場データを演算する。
また、対象日時において放射性物質が放出されたとした時の放射性物質の年平均濃度をCとし、対象日時jにおいて放射性物質が放出されたとした時の時刻iでの所定時間分の濃度をCj iとすると、放射性物質の年平均濃度Cは、下記式(2)のように表すことができる。
Figure 2014130117
(式中、i、jは1以上の整数である。)
よって、拡散場データ演算部24は、所定の対象日時において所定期間の間にその対象日時から所定時間ごとに計算して得られた全ての拡散場データを合わせることで、所定の発災時刻(例えば、対象日時j)において放射性物質が放出された際の放射性物質の影響範囲を抽出することができる。これにより、所定の対象日時において放出された放射性物質の影響範囲を示す拡散場データをハザードマップとして作成することができる。
[被ばく解析部25]
被ばく解析部25は、拡散場データ演算部24において得られた拡散場データから拡散源を含む評価領域における放射性物質の拡散状況から被ばく量を計算する。
拡散物質の拡散状況予測装置10は、気流場データ演算部23で演算された対象日時における気流場データ、拡散場データ演算部24で算出された放射性物質の拡散場データ、および被ばく解析部25で計算された評価領域における被ばく量などを出力装置15で表示させる。これにより、気象データがない将来の長期間(例えば、数ヶ月、数年)に渡る気流場、拡散源から放射された放射性物質の拡散状況、または被ばく量などの大まかな予測結果を暫定的に作業員に提示することができる。これにより、オペレータは、速やかに対応することが可能となる。
<拡散物質の拡散状況予測方法>
次に、拡散物質の拡散状況予測装置10により行われる拡散物質の拡散状況予測方法について説明する。図4は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、拡散物質の拡散状況予測方法は、制御部11内のCPUが主記憶装置12の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Aに記憶されている拡散物質の拡散状況予測プログラムを制御部11内のRAMなどに読み出し、実行することにより、実現される。
図4に示すように、ステップS11で、ある地点で、例えば、テロ、火災、事故などが発生して拡散物質として放射性物質が拡散源から放出された場合、作業員により入力装置14が操作されることにより、放射性物質が放出された対象日時(発災日)、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量が入力される。拡散源の位置は、例えば、緯度及び経度で特定される。入力装置14に入力された情報は、入力装置14から制御部11に送られる。制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、対象日時、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量の情報を受け取ると、拡散源が存在する対象地点を含む予め設定した広さの地理的領域に対応する計算領域(例えば、拡散源を含む5km四方の領域)を評価領域として設定する。評価領域は、拡散源を含む範囲であり、例えば、数km〜数百km四方に設定される領域である。制御部11は、評価領域を設定した後、処理をステップS12に移行させる。
ステップS12で、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、通信部16を介して気象機関の気象データベース18にアクセスし、気象機関の気象データベース18から評価領域で拡散物質が放出した時間に該当する気象データをダウンロードして取得する。解析条件設定部21に入力された対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。制御部11は、拡対象日時の解析条件を決定した後、処理をステップS13に移行する。
ステップS13で、制御部11は、同一・類似データ抽出部22に基づいて、過去の気象データベース19から、対象日時の気流場と同一の気象データまたは類似の気象データを、同一・類似気象データdt2として抽出する。制御部11は、通信部16を介して外部に設置されている過去の気象データベース19にアクセスし、過去の気象データベース19から該当する気象データをダウンロードして取得する。過去の気象データベース19からダウンロードされる気象データは、拡散源を含む評価領域の対象日時と同一の気象データが存在する場合には、制御部11はその気象データを同一気象データとしてダウンロードする。制御部11は、拡散源を含む評価領域の気象データと同一の気象データが存在しない場合には、評価領域に最も近い気象データを類似気象データとしてダウンロードする。制御部11は、同一・類似気象データdt2を抽出した後、処理をステップS14に移行させる。
ステップS14で、制御部11は、同一・類似データ抽出部22で抽出した同一・類似気象データdt2を受け付けると、気流場データ演算部23に基づいて、この気象データを用いて、評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出する。制御部11は、その後、処理をステップS15に移行させる。
ステップS15で、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて、気流場データ演算部23で解析された気流場を用いて拡散計算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出する。これにより、拡散源から放射された放射性物質の拡散状況が求められる。制御部11は、放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)の解析を行った後、処理をステップS16に移行する。
ステップS16で、制御部11は、被ばく解析部25に基づいて、拡散源を含む評価領域における放射性物質の拡散状況から被ばく量を計算する。
制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散場データおよび被ばく量を出力装置15に表示させる。制御部11は、出力装置15の表示画面に評価領域の地図データを表示し、その地図データ上に算出した拡散状況を拡散結果として表示すると共に被ばく量を表示することが好ましい。これにより、作業員に対して放射性物質の拡散結果および被ばく量を把握しやすいように提示することが可能となる。また、制御部11は、拡散結果および被ばく量に代わって気流場データを表示するようにしてもよいし、拡散結果および被ばく量を気流場データと共に表示するようにしてもよい。
拡散物質の拡散状況予測装置10は、過去の気象データベース19に蓄積されている気象データの中から同一・類似気象データdt2を用いているため、実際の大気状態とは異なる。しかし、長期(例えば、数ヶ月〜1年間)の放射性物質の拡散結果および被ばく量の評価は、対象日時からの時間の積算量である。そのため、拡散物質の拡散状況予測装置10は、対象日時からの気象データを用いて長期の放射性物質の拡散結果および被ばく量を評価した場合と大きな誤差を与えることなく、長期の放射性物質の拡散結果および被ばく量の評価を行うことができる。
このように、拡散物質の拡散状況予測装置10は、拡散源から放射性物質が放出された場合には、過去の気象データベース19から拡散源を含む評価領域の対象日時と同一または最も類似の気象データを抽出している。そして、拡散物質の拡散状況予測装置10は、この抽出した気象データを用いて放射性物質の拡散状況および被ばく量を評価している。気流場の予測には、領域気象モデルが用いられるが、この気象モデルは気象庁などから配信される気象データを初期条件、境界条件として取り込んでいる。そのため、放射性物質の拡散や被ばく量などを予測できる期間は、気象データの予測期間に依存する。気象データは気象庁などの気象機関から配信されるが、例えば、気象庁などから配信される気象データは、GPVデータの場合、192時間である。そのため、気象データの予測期間を超える期間については、放射性物質の拡散状況や被ばく量などを予測することはできない。これに対し、拡散物質の拡散状況予測装置10は、拡散源を含む評価領域の対象日時と同一または最も近い気象データを用いて放射性物質の拡散状況および被ばく量を評価しているため、気象データがない将来の長期間(例えば、数ヶ月、数年)に渡る放射性物質の拡散や被ばく量の予測を行うことができる。
また、気象データの予測期間を超える長期間での放射性物質の拡散状況や被ばく量を評価する方法の一つとして、例えば、境界条件を必要としない全球モデルにより解析する方法がある。全球モデルにより解析する方法は、領域気象モデルを用いて解析する方法と同等の計算精度(空間解像度)で計算した場合、計算負荷が大きく、放射性物質の拡散や被ばく量などを予測するための処理時間が長くなる。これに対し、拡散物質の拡散状況予測装置10は、拡散源を含む評価領域を必要最低限の範囲に設定して、気流場データの演算、拡散場データ、放射性物質の拡散および被ばく量の算出を行っているため、処理負担の軽減を図ることができる。この結果、拡散物質の拡散状況予測装置10は、放射性物質の拡散および被ばく量の評価をするための処理時間を大幅に短縮することができる。
したがって、拡散物質の拡散状況予測装置10は、既存の空間解像度を維持した状態で、気象データの予測期間を超える長期間での放射性物質の拡散結果および被ばく量の結果を、より高い精度で予測することができる。このため、拡散物質の拡散状況予測装置10は、気象データがない将来の長期での放射性物質による影響を評価することができる。
また、拡散物質の拡散状況予測装置10は、処理負担が大幅に軽減されるため、例えば、拡散物質の拡散状況予測プログラムをポータブルコンピュータなどにインストールしておけば、警察、自衛隊員や関係機関担当者が現場に向かう車両などの中でも予測を行うことが可能となるので、事故発生現場での対応の機動力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、拡散物質の拡散状況予測プログラムが主記憶装置12に格納されているが、これに限定されるものではなく、可搬の記録媒体などに記憶するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、拡散物質の拡散状況予測装置10は、拡散場データ演算部24および被ばく解析部25を備えているが、これに限定されるものではなく、拡散場データ演算部24と被ばく解析部25とのいずれか一方のみを備えてもよいし、両方を備えていなくてもよい。
[第2の実施形態]
本発明による第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置のうち、図1、2に示す本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通する構成については、説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。図5に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Bは、データ絞込み部31を有する。
データ絞込み部31は、解析条件設定部21で解析条件を設定した後、同一・類似データ抽出部22において類似気象データを抽出する前に、過去の気象データベース19から抽出する気象データを、対象日時と同じ日の所定期間内に絞っている。
本実施形態において、所定期間とは、対象日時と同じ日の前後数ヶ月間の期間内であり、好ましくは対象日時と同じ日の前後2ヶ月以内であり、更に好ましくは対象日時と同じ日の前後1ヶ月以内である。また、所定期間とは、対象日時と同じ日の前後数ヶ月間の期間内に限定されるものではなく、時刻も考慮して、対象日時と同じ日時(日付と時刻)の前後数ヶ月間の期間内に限定してもよい。
図6は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すステップS21およびステップS22で、図4に示すステップS11およびステップS12と同様、拡散源から放射性物質が放出された場合、作業員により入力装置14に放射性物質が放出された対象日時、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量が入力される。そして、入力装置14に入力された情報は、入力装置14から制御部11に送られる。そして、制御部11は、拡散源を含む計算領域を評価領域として設定する。そして、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、気象機関の気象データベース18から放射性物質が放出した時間に該当する気象データをダウンロードして取得し、解析条件設定部21に入力された対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。制御部11は、対象日時の解析条件を決定した後、処理をステップS23に移行させる。
ステップS23で、制御部11は、データ絞込み部31に基づいて、過去の気象データベース19から抽出する気象データを、対象日時と同じ日の所定期間内に絞る。その後、制御部11は、処理をステップS24に移行させる。
制御部11は、ステップS24からステップS27で、図4に示すステップS13からステップS16と同様の処理を実行させる。ステップS24で、制御部11は、同一・類似データ抽出部22に基づいて、過去の気象データベース19から同一・類似気象データdt2を抽出する。そして、ステップS25で、制御部11は、気流場データ演算部23に基づいて、同一・類似データ抽出部22で抽出した同一・類似気象データdt2を用いて、評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出する。そして、ステップS26で、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて、気流場データ演算部23で解析された気流場データを用いて拡散計算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出する。これにより、拡散源から放射された放射性物質の拡散状況を求める。そして、ステップS27で、制御部11は、被ばく解析部25に基づいて、対象地点を含む所定領域での被ばく量を解析する。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Bのデータ絞込み部31で制御部11が対象日時と同じ日の所定期間内に過去の気象データベース19から抽出する過去の気象データを予め絞っている。これにより、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、同一・類似データ抽出部22において過去の気象データベース19に蓄積されている気象データのうち、対象日時に近い季節の気象データから同一・類似気象データdt2を抽出する。このため、対象日時とは異なる季節の気象データが抽出されるのを抑制することができる。この結果、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、実際の条件に極力近い条件で放射性物質が放出された際の実際の放射性物質の拡散状況に近い拡散状況および被ばく量を得ることができる。したがって、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、気象データの予測期間を超える長期間での拡散物質の拡散結果および被ばく量の結果をより安定して高い精度で予測することができる。よって、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置を用いれば、原子力発電所で事故が発生して放射性物質が放出されて拡散した際には、評価領域において住民の避難などをより的確に行うことができる。
また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、データ絞込み部31で制御部11が過去の気象データベース19から抽出する過去の気象データを予め絞っている。そのため、制御部11が、同一・類似データ抽出部22において過去の気象データベース19から過去の気象データを抽出する処理負担を軽減することができる。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、過去の気象データベース19から過去の気象データを抽出するために要する処理時間を大幅に短縮することができる。
[第3の実施形態]
本発明による第3の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成は、本発明による第1、第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通するため、構成についての説明を省略する。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置では、制御部11は、気流場データ演算部23で、気象機関の気象データベース18に保存されている対象日時の最終予測時刻経過前までは、気象機関の気象データベース18に保存されている気象データを用いて最終予測時刻が経過する前までの気流場データを算出する。そして、制御部11は、気流場データ演算部23で、対象日時の最終予測時刻経過後は、気象機関の気象データベース18に保存されている対象日時の最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを、過去の気象データベース19から、同一・類似気象データdt2として抽出して最終予測時刻が経過した後の気流場データを算出する。
なお、最終予測時刻経過は、気象機関の気象データベース18に保存されている対象日時から保存している予測時刻の最終時刻である。例えば、気象データがGPVデータの場合、最終予測時刻は、対象日時から192時間後の時間である。
図7は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。図7に示すステップS31およびステップS32で、図4に示すステップS11およびステップS12と同様、拡散源から放射性物質が放出された場合、作業員により入力装置14に放射性物質が放出した対象日時、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量が入力される。そして、入力装置14に入力された情報は、入力装置14から制御部11に送られる。そして、制御部11は、拡散源を含む計算領域を評価領域として設定する。そして、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、気象機関の気象データベース18から放射性物質が放出した時間に該当する気象データをダウンロードして取得し、この対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。制御部11は、対象日時の解析条件を決定した後、処理をステップS33に移行させる。
ステップS33で、制御部11は、予測時刻が最終予測時刻経過前か否か判定する。制御部11は、予測時刻が最終予測時刻経過前と判断した場合(ステップS33:Yes)には、ステップS34に移行させる。
制御部11は、ステップS34からステップS36で、図4に示すステップS14からステップS16と同様の処理を実行させる。ステップS34で、制御部11は、気流場データ演算部23に基づいて、対象日時から最終予測時刻経過前の気象データを用いて、評価領域において最終予測時刻までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出する。そして、ステップS35で、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて、気流場データ演算部23で解析された気流場を用いて拡散計算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出する。そして、ステップS36で、制御部11は、被ばく解析部25に基づいて、対象地点を含む所定領域での被ばく量を解析する。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散場データおよび被ばく量を出力装置15に表示させる。
また、ステップS33で、制御部11は、予測時刻が最終予測時刻経過後と判断した場合(ステップS33:No)には、ステップS37に移行させる。
ステップS37で、制御部11は、図4に示すステップS13と同様、同一・類似データ抽出部22に基づいて、過去の気象データベース19から同一・類似気象データdt2を抽出する。そして、制御部11は、同一・類似データ抽出部22で同一・類似気象データdt2を抽出した後、ステップS34に移行する。制御部11は、ステップS34からステップS36をステップS34からステップS36の順に上記と同様の処理を実行させる。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、制御部11が気流場データ演算部23に基づいて、対象日時から最終予測時刻経過前までは、気象機関の気象データベース18に保存されている気象データを用いて気流場データを算出している。そして、制御部11は、気象機関の気象データベース18に保存されている対象日時の予測時刻の最終予測時刻経過後は、過去の気象データベース19から同一・類似気象データdt2を抽出して最終予測時刻が経過した後の気流場データを算出している。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、現在の気象データ及び気象解析結果を考慮しつつ実際の条件にできる限り忠実に拡散物質の拡散状況および被ばく量を評価することができるため、将来の長期の拡散物質の拡散や被ばく量の予測の信頼性を高めることができる。
なお、本実施形態では、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、放射性物質が放出した対象日時の気象データdt1を決定した後、ステップS33に移行しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。本実施形態は、上記第2の実施形態の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Bのように、データ絞込み部31を備えてもよい。このとき、制御部11は、対象日時の気象データdt1を決定した後、データ絞込み部31に基づいて、対象日時と同じ日の所定期間内の気象データを過去の気象データベース19から抽出する。
[第4の実施形態]
本発明による第4の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成は、本発明による第1乃至第3の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通するため、構成についての説明を省略する。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置では、制御部11は、同一・類似データ抽出部22で、過去の気象データベース19から、気象機関の気象データベース18に保存されている対象日時と同一または類似の気象データを複数抽出する。そして、制御部11は、気流場データ演算部23で、抽出した複数の同一・類似気象データdt2を用いて、評価領域において所定期間までにおける所定時間毎での気流場データを算出する。
抽出する気象データの数は、2つ以上であればよく、特に限定されるものではない。
制御部11は、気流場データ演算部23で、抽出した複数の同一・類似気象データdt2の気流場データを算出する際、算出する順番は限定されるものではない。抽出した複数の同一・類似気象データdt2を、それぞれ、順次、計算して気流場データを算出してもよいし、抽出した複数の同一・類似気象データdt2を同時に計算して気流場データをそれぞれ算出してもよい。
図8は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。図8に示すステップS41およびステップS42で、図4に示すステップS11およびステップS12と同様、拡散源から放射性物質が放出された場合、作業員により入力装置14に放射性物質が放出された対象日時、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量が入力される。そして、入力装置14に入力された情報は、入力装置14から制御部11に送られる。そして、制御部11は、拡散源を含む計算領域を評価領域として設定する。そして、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、気象機関の気象データベース18から放射性物質が放出した時間に該当する気象データをダウンロードして取得し、解析条件設定部21に入力された対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。制御部11は、対象日時の解析条件を決定した後、処理をステップS43に移行させる。
ステップS43で、制御部11は、同一・類似データ抽出部22に基づいて、過去の気象データベース19から同一・類似気象データdt2を複数抽出する。そして、ステップS43で、制御部11は、同一・類似気象データdt2を複数抽出した後、ステップS44に移行する。
制御部11は、ステップS44からステップS46で、図4に示すステップS14からステップS16と同様の処理を実行させる。ステップS44で、制御部11は、気流場データ演算部23に基づいて、同一・類似データ抽出部22で抽出した複数の同一・類似気象データdt2を用いて、抽出された複数の同一・類似気象データdt2の評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出する。そして、ステップS45で、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて、気流場データ演算部23で解析されたそれぞれの気流場データを用いて拡散計算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出する。これにより、拡散源から放射された放射性物質の拡散状況をそれぞれ求める。そして、ステップS46で、制御部11は、被ばく解析部25に基づいて、対象地点を含む所定領域での被ばく量をそれぞれ解析する。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された拡散物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15にそれぞれ表示させる。
このように、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、同一・類似データ抽出部22に基づいて、過去の気象データベース19に保存されている対象日時と同一または類似の気象データを過去の気象データベース19から複数抽出している。そして、制御部11は、気流場データ演算部23に基づいて、抽出した複数の同一・類似気象データdt2の評価領域において所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出している。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、複数ケースの放射性物質の拡散状況および被ばく量を得ることで、放射性物質による影響の評価に幅を持たせることができる。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、対象日時の時の年または月の気候などが例えば異常であるなど特異な年であった場合でも、放射性物質の拡散状況および被ばく量を複数のケースで評価しておくことで、気象データがない将来の長期の拡散物質の拡散や被ばく量の予測の信頼性を高め、放射性物質による影響の評価の信頼性を高めることができる。
なお、本実施形態では、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、放射性物質が放出した対象日時の気象データdt1を決定した後、ステップS43に移行しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。本実施形態は、上記第2の実施形態の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Bのように、データ絞込み部31を備えてもよい。このとき、制御部11は、対象日時の気象データdt1を決定した後、データ絞込み部31に基づいて、対象日時と同じ日の所定期間内の気象データを気象機関の気象データベース18から抽出する。
また、本実施形態では、制御部11は、対象日時と同一の同一気象データまたは類似する類似気象データを抽出した後、ステップS43に移行しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。本実施形態は、上記第3の実施形態の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Bのように、制御部11は、気流場データ演算部23に基づいて、予測時刻が対象日時から最終予測時刻経過前までは、気象機関の気象データベース18に保存されている気象データを用いて気象解析を行ない、予測時刻が前記最終予測時刻経過後は、過去の気象データベース19から最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを抽出して、評価領域において前記最終予測時刻以後であって所定期間までにおける所定時間ごとでの気流場データを算出するようにしてもよい。
[第5の実施形態]
本発明による第5の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置のうち、図1、2に示す本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通する構成については、説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。図9に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Cは、解析条件設定部21、第1風向頻度分布作成部41、第2風向頻度分布作成部42、風向頻度分布選定部43、月平均風速算出部44、第1沈着量計算部45A、第1沈着量重み付け部46Aおよび被ばく解析部47を有する。
第1風向頻度分布作成部41は、過去の気象データベース19から対象日時を含む過去1ヶ月の気象データを用いて、評価領域における16方位の向頻度分布(統計気象データまたは風向頻度分布データともいう)を第1風向頻度分布として作成する。
第1風向頻度分布の作成方法の一例を以下に説明する。なお、本実施形態では、過去の気象データベース19に蓄積されている過去1ヶ月分の同一・類似気象データdt2を用いるとする。第1風向頻度分布作成部41は、過去の気象データベース19から発災日を含む過去1ヶ月の同一・類似気象データdt2を用いて、発災地点または最寄の格子点における風向頻度分布を作成する。例えば、発災日が2012年11月28日の場合、2012年10月29日から2012年11月28日の気象データ(例えば、GPVデータ)を使用して、第1風向頻度分布を作成する。また、本実施形態では、calm(静穏)は対象外とする。なお、静穏(calm)とは、風速が0.2m/s以下の場合をいう。
第2風向頻度分布作成部42は、過去の気象データベース19から対象日時を含む過去十年の気象データを用いて、過去十年の対象日時と同じ月の評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する。
次に、第2風向頻度分布の作成方法の一例を以下に説明する。なお、本実施形態では、過去の気象データベース19に蓄積されている過去10年分の同一・類似気象データdt2を用いるとする。第1風向頻度分布作成部41は、過去の気象データベース19から、発災月と同じ月に対して、風向頻度分布を作成する。例えば、発災日が2012年11月28日の場合、2002年11月、2003年11月、・・・2011年11月の同一・類似気象データdt2を使って、10個(10年分)の月毎の風向頻度分布(第2風向頻度分布)を作成する。
風向頻度分布選定部43は、第2風向頻度分布作成部42で作成された複数の第2風向頻度分布から、第1風向頻度分布作成部41で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月(予測開始月という。)とする。例えば、上記のように、2002年11月から各年の11月の第2風向頻度分布のうち、2009年11月が選定されたとする。なお、同一または類似した風向頻度分布を選定するには、例えば、平均2乗誤差を利用する。平均2乗誤差とは、測定値と真値との差の相加平均の正の平方根をとることにより求められる値である。
月平均風速算出部44は、予測開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値(例えば、5m/sなど)を算出する。
第1沈着量計算部45Aは、評価領域の各評価地点(i、j)に対して、簡易計算モデル(プルーム式)により、月平均風速算出部44で算出された月平均風速値を用いて、評価領域における16方位の放射性物質の沈着量を計算する。
沈着量Cdi,j(Bq/m2)は、下記式(3)により算出される。なお、2592000(sec)は、1ヶ月間の時間である。
沈着量Cdi,j(Bq/m2)=地上空間濃度Ci,j(Bq/m3)×沈着速度(m/s)×2592000(sec)・・・(3)
なお、放出率Q(Bq/mon.)は入力とする(当該月の間、連続して放出されることを想定して入力する)。また、大気安定度は、中立と仮定する。また、大気安定度は、安定または不安定時を考慮してもよい。
第1沈着量重み付け部46Aは、選定された第2風向頻度分布を用いて、評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重み付けして、放射性物質の沈着量を計算する。本実施形態では、長期の予測開始月の風向頻度分布を用いて、下記式(4)により、風向頻度で重み付けした放射性物質の(乾性)沈着量を算出する。このようにして、放射性物質のプルーム式による地表沈着量を風向頻度分布で重み付けして重ね合わせると、例えば、図10に示すような図が得られる。なお、図10中、図中心が発災地点と仮定する。
Figure 2014130117
被ばく解析部47は、放射性物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて評価領域での被ばく量を求める。被ばく解析部47は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。被ばく解析部47は、線量換算係数を用いて地表からの線量率を算出する。被ばく解析部47は、例えば、下記式(5)を用いて、地表からの線量率を算出する。なお、沈着後の経過時間は、月単位で考慮する。
Figure 2014130117
但し、式(5)中、Dは、地表沈着からの外部被ばく線量(Sv)を表し、Kは、線量率換算係数((Sv/s)/(Bq/m2))(MACCS2コードの核種毎のデータを使用)を表し、Cは、地表沈着濃度(Bq/m2)を表し、λは、崩壊定数(1/s)を表し、tは、沈着後の経過時間(s)を表す。
図11は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、簡易的な予測のため、平地と仮定する。図11に示すステップS51およびステップS52で、図4に示すステップS11およびステップS12と同様、拡散源から放射性物質が放出された場合、作業員により入力装置14に放射性物質が放出された対象日時、拡散源の位置および対象日時での放射性物質の放出量が入力される。そして、入力装置14に入力された情報は、入力装置14から制御部11に送られる。そして、制御部11は、拡散源を含む計算領域を評価領域として設定する。そして、制御部11は、解析条件設定部21に基づいて、気象機関の気象データベース18から放射性物質が放出した時間に該当する気象データをダウンロードして取得し、解析条件設定部21に入力された対象日時の気象データdt1を、対象日時の解析条件とする。その後、制御部11は、処理をステップS53に移行させる。
ステップS53で、制御部11は、第1風向頻度分布作成部41に基づいて、過去の気象データベース19から対象日時を含む過去1ヶ月の気象データを用いて、上述のように、評価領域における16方位の風向頻度分布(統計気象データまたは風向頻度分布データともいう)を第1風向頻度分布として作成する。その後、制御部11は、処理をステップS54に移行させる。
ステップS54で、制御部11は、第2風向頻度分布作成部42に基づいて、過去の気象データベース19から対象日時を含む過去10年分の気象データを用いて、過去10年の対象日時と同じ月の評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する。その後、制御部11は、処理をステップS55に移行させる。
ステップS55で、制御部11は、風向頻度分布選定部43に基づいて、上述のように、第2風向頻度分布作成部42で作成された複数の第2風向頻度分布から、上述のように、第1風向頻度分布作成部41で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定する。選定された第2風向頻度分布の年月を、予測開始月とする。その後、制御部11は、処理をステップS56に移行させる。
ステップS56で、制御部11は、月平均風速算出部44に基づいて、予測開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する。その後、制御部11は、処理をステップS57に移行させる。
ステップS57で、制御部11は、第1沈着量計算部45Aに基づいて、評価領域において、各評価地点(i、j)に対して、簡易計算モデル(プルーム式)により、上記ステップS56で算出した月平均風速値を用いて、評価領域における16方位の放射性物質の沈着量を上述のように計算する。その後、制御部11は、処理をステップS58に移行させる。
ステップS58で、制御部11は、第1沈着量重み付け部46Aに基づいて、選定された第2風向頻度分布を用いて、評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重み付けして、放射性物質の沈着量を計算する。本実施形態では、長期の予測開始月の風向頻度分布を用いて、上記式(4)により、風向頻度で重み付けした放射性物質の(乾性)沈着量を算出する。放射性物質のプルーム式による地表沈着量を風向頻度分布で重み付けして重ね合わせると、例えば、図10に示すような図が得られる。なお、図10中、図中心が発災地点と仮定する。その後、制御部11は、処理をステップS59に移行させる。
ステップS59で、制御部11は、被ばく解析部47に基づいて、放射性物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて評価領域での被ばく量を求める。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。制御部11は、上述のように、例えば、上記式(5)などのような線量換算係数を用いて地表からの線量率を算出する。制御部11は、地表からの線量率を算出する。
また、長期予測が、例えば、2ヶ月以上の場合は、制御部11は、長期予測の開始月以降の月に対して上記ステップS56〜ステップS59を繰り返す。但し、沈着量Cdi,j(Bq/m2)は、線量に換算する前に、過去の月のデータを積算しておく必要がある。即ち、制御部11は、下記式(6)により、長期の沈着量を求める。
Figure 2014130117
また、制御部11は、上記ステップS57〜ステップS59を核種毎に繰り繰り返し行う。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Cのデータ絞込み部31で制御部11が対象日時と同じ日の所定期間内に過去の気象データベース19から抽出する過去の気象データを予め絞っている。そして、絞り込んだ気象データを用いて、第1風向頻度分布作成部41で評価領域における16方位の風向頻度分布データを作成している。そして、制御部11は、月平均風速算出部44で長期予測の開始月での発災地点における月平均風速値を算出している。そして、制御部11は、第1沈着量計算部45Aで評価領域における16方位の濃度を計算している。そして、制御部11は、第1沈着量重み付け部46Aで評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重ね合せるようにしている。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、上記第1〜第4の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置のように、気象場データ及び拡散場データを算出し、被ばく量を計算することがないため、放射性物資の解析に時間がかかるのを軽減することができる。また、風向頻度分布とプルーム式を用いて、16風向の濃度分布の重ね合わせ、線量計算を線量換算係数を使用することで、簡易的に評価することができる。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、放射性物質が放出された際の実際の放射性物質の沈着量を、簡易に長期的な影響を予測することができる。よって、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置を用いれば、原子力発電所で事故が発生して放射性物質が放出されて拡散した際には、評価領域において住民の避難などをより迅速かつ的確に行うことができる。
なお、本実施形態では、方位を16方位としているが、これに限定されるものではなく、16方位以外の複数の方位であってもよい。
[第6の実施形態]
本発明による第6の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成は、本発明による第1乃至第5の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通するため、構成についての説明を省略する。
図12は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。図12に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dは、解析条件設定部21、第1風向頻度分布作成部41、第2風向頻度分布作成部42、風向頻度分布選定部43、月平均風速算出部44、第2沈着量計算部45B、第2沈着量重み付け部46Bおよび被ばく解析部47を有する。
第2沈着量計算部45Bは、評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に16方位の放射性物質の沈着量を計算する。なお、本実施形態において、所定時間とは、特に限定されるものではないが、10分、30分、1時間、3時間または5時間毎などである。
第2沈着量重み付け部46Bは、選定された第2風向頻度分布の所定時間毎の16方位の放射性物質の沈着量を重み付けして、16方位の放射性物質の沈着量を計算する。
図13は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。図13に示すステップS61〜ステップS66は、図11に示すステップS51〜ステップS56と同様であるため、説明は省略する。ステップS67で、制御部11は、第2沈着量計算部45Bに基づいて、評価領域において、各評価地点(i、j)に対して、簡易計算モデル(プルーム式)により、所定時間毎に16方位の放射性物質の沈着量を計算する。その後、制御部11は、処理をステップS68に移行させる。
ステップS68で、制御部11は、第2沈着量重み付け部46Bに基づいて、選定された第2風向頻度分布の所定時間毎の16方位の放射性物質の沈着量を重み付けして、16方位の放射性物質の沈着量を計算する。その後、制御部11は、処理をステップS69に移行させる。
ステップS69で、制御部11は、図11に示すステップS59と同様、被ばく解析部47に基づいて、放射性物質の沈着量を重ね合せた結果に基づいて評価領域での被ばく量を求める。制御部11は、図11に示すステップS59と同様、線量換算係数を用いて地表からの線量率を算出する。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dのデータ絞込み部31で制御部11が対象日時と同じ日の所定期間内に過去の気象データベース19から抽出する過去の気象データを予め絞っている。そして、絞り込んだ気象データを用いて、同一または類似の気象データの所定時間毎の放射性物質の沈着量をプルーム式により計算し、それらの結果を足し合わせて平均をとって対象期間中の放射性物質の平均濃度分布を求めている。本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、風向頻度分布を使用して長期予測の開始月を選定しているため、所定時間毎の風向、風速などが放射性物質の沈着量計算に反映されるため、より気象変化の影響を反映することができる。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、放射性物質が放出された際の実際の放射性物質の沈着量を、より高い精度で計算することができる。よって、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置を用いれば、原子力発電所で事故が発生して放射性物質が放出されて拡散した際には、評価領域において住民の避難などを更に迅速かつ的確に行うことができる。
なお、本実施形態では、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dは、第2沈着量重み付け部46Bを備え、評価領域における所定時間毎の放射性物質の沈着量を重ね合せるようにしているが、これに限定されるものではなく、図14に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dは、第2沈着量重み付け部46Bに代えて、第1沈着量重み付け部46Aを備え、評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重ね合わせるようにしてもよい。
拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dが、第2沈着量重み付け部46Bに代えて第1沈着量重み付け部46Aを備えたときの拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートを図15に示す。図15に示すステップS71〜ステップS77、ステップS79は、図13に示すステップS61〜ステップS67、ステップS69と同様であるため、説明は省略する。ステップS78で、制御部11は、第1沈着量重み付け部46Aに基づいて、評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重み付けする同一または類似の気象データを用いて、評価領域における16方位の放射性物質の沈着量を計算する。その後、制御部11は、処理をステップS79に移行させる。
よって、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Dが、第2沈着量重み付け部46Bに代えて第1沈着量重み付け部46Aを備えた場合でも、制御部11は、絞り込んだ気象データを用いて、同一または類似の気象データの所定時間毎の放射性物質の沈着量をプルーム式により計算し、第1沈着量重み付け部46Aで評価領域における16方位の風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重ね合わせて、放射性物質の沈着量を算出することができる。
[第7の実施形態]
本発明による第7の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成は、本発明による第1乃至第6の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通するため、構成についての説明を省略する。
図16は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部の構成を示す図である。図16に示すように、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Eは、解析条件設定部21、変換データベース51、第1風向頻度分布作成部41、第2風向頻度分布作成部42、風向頻度分布選定部43、月平均風速算出部44、第1沈着量計算部45A、第1沈着量重み付け部46Aおよび被ばく解析部47を有する。
制御部11は、過去の気象データベース19から変換データベース51を作成する。変換データベース51は、複数(例えば、151点×121点など)の格子点毎に、過去の気象データベース19から抽出した過去数年分(例えば、1年間)の気象データを用いて作成された月毎の風向頻度分布および平均地上風速を作成し、蓄積している。発災場所に最寄りの格子点での風向頻度分布の一例を図17に示す。図17に示すように、例えば、発災場所の1月〜12月における平均風速に対する風向頻度分布を作成する。
第1風向頻度分布作成部41Bは、変換データベース51から対象日時を含む過去1ヶ月の気象データを用いて、評価領域における16方位の向頻度分布を第1風向頻度分布として作成する。
第2風向頻度分布作成部42Bは、変換データベース51から対象日時を含む過去十年の気象データを用いて、過去十年の対象日時と同じ月の評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する。
図18は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。図18に示すステップS81およびステップS82で、図11に示すステップS51およびステップS52と同様であるため、説明は省略する。その後、制御部11は、処理をステップS83に移行させる。
ステップS83で、制御部11は、第1風向頻度分布作成部41Bに基づいて、変換データベース51から対象日時を含む過去1ヶ月の気象データを用いて、評価領域における16方位の向頻度分布を第1風向頻度分布として作成する。その後、制御部11は、処理をステップS84に移行させる。
ステップS84で、制御部11は、第2風向頻度分布作成部42Bに基づいて、変換データベース51から対象日時を含む過去十年の気象データを用いて、過去十年の対象日時と同じ月の評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する。その後、制御部11は、処理をステップS85に移行させる。
ステップS85で、制御部11は、図11に示すステップS55と同様、風向頻度分布選定部43に基づいて、第2風向頻度分布作成部42で作成された複数の第2風向頻度分布から、第1風向頻度分布作成部41で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定する。選定された第2風向頻度分布の年月を、予測開始月とする。その後、制御部11は、処理をステップS86に移行させる。
ステップS86で、制御部11は、図11に示すステップS56と同様、月平均風速算出部44に基づいて、予測開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する。その後、制御部11は、処理をステップS87に移行させる。
ステップS87で、制御部11は、図11に示すステップS57と同様、第1沈着量計算部45Aに基づいて、評価領域において、各評価地点(i、j)に対して、簡易計算モデル(プルーム式)により、上記ステップS56で算出した月平均風速値を用いて、評価領域における16方位の放射性物質の沈着量を上述のように計算する。その後、制御部11は、処理をステップS88に移行させる。
ステップS88で、制御部11は、図11に示すステップS58と同様、第1沈着量重み付け部46Aに基づいて、選定された第2風向頻度分布を用いて、評価領域における風向頻度に応じて放射性物質の沈着量を重み付けして、放射性物質の沈着量を計算する。本実施形態では、長期の予測開始月の風向頻度分布を用いて、上記式(4)により、風向頻度で重み付けした放射性物質の(乾性)沈着量を算出する。その後、制御部11は、処理をステップS89に移行させる。
ステップS89で、制御部11は、図11に示すステップS59と同様、被ばく解析部47に基づいて、放射性物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて評価領域での被ばく量を求める。そして、制御部11は、拡散場データ演算部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況および被ばく量を出力装置15に表示させる。制御部11は、上述のように、例えば、上記式(5)などのような線量換算係数を用いて地表からの線量率を算出する。制御部11は、地表からの線量率を算出する。
また、長期予測が、例えば、2ヶ月以上の場合は、制御部11は、長期予測の開始月以降の月に対して上記ステップS56〜ステップS59を繰り返す。但し、沈着量Cdi,j(Bq/m2)は、線量に換算する前に、過去の月のデータを積算しておく必要がある。即ち、制御部11は、上記式(6)により、長期の沈着量を求める。
また、制御部11は、ステップS87〜ステップS89を、核種毎に処理を繰り返し行う。また、制御部11は、ステップS89において、例えば、2年目以降については、1年目と同じ風向頻度および平均風速データを使用してもよい。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部17Eの変換データベース51に過去の気象データベース19から過去数年分(例えば、1年間)の気象データを用いて、予め例えば月毎の風向頻度分布および平均地上風速を作成し、記録している。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、拡散物質の拡散状況予測装置10の主記憶装置12または補助記憶装置13などの容量の節約につながるため、負担を軽減することができる。このため、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、放射性物質が放出された際の実際の放射性物質の沈着量を、大容量の記録容量を必要とすることなく、高い精度で計算することができる。
また、本実施形態では、第1風向頻度分布作成部41は、過去数年分(例えば、1年間)の気象データを用いて、データベースAを作成しているが、これに限定されるものではなく、第5、第6実施形態と同様数十年分(例えば、10年分)の気象データを用いてもよい。
なお、上記各実施形態は、拡散物質が原子力発電所から放出される放射性物質である場合について説明したが、上記各実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、化学工場などから放出される有害物質、工場の煙突から大気中に排出されるガス体(煙)などでもよい。
10 拡散物質の拡散状況予測装置
11 制御部
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入力装置(入力受付部)
15 出力装置
16 通信部
17A〜17E 拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部
18 気象機関の気象データベース
19 過去の気象データベース
21 解析条件設定部
22 同一・類似データ抽出部
23 気流場データ演算部
24 拡散場データ演算部
25、47 被ばく解析部
41 第1風向頻度分布作成部
42 第2風向頻度分布作成部
43 風向頻度分布選定部
44 月平均風速算出部
45A 第1沈着量計算部
45B 第2沈着量計算部
46A 第1沈着量重み付け部
46B 第2沈着量重み付け部
51 変換データベース
dt1 対象日時の気象データ
dt2 同一・類似気象データ

Claims (27)

  1. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出部と、
    前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  2. 請求項1において、
    前記気流場データ演算部で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  3. 請求項2において、
    前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つにおいて、
    前記第2気象データベースから抽出する気象データを、前記対象日時と同じ日の所定期間内に絞るデータ絞込み部を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか1つにおいて、
    前記気流場データ演算部は、前記第1気象データベースに保存されている前記対象日時の最終予測時刻経過前までは、前記第1気象データベースに保存されている気象データを用いて気流場データを算出し、前記対象日時の最終予測時刻経過後は、前記第2気象データベースから前記気象データに保存されている最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを抽出して気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか1つにおいて、
    前記同一・類似データ抽出部は、前記第2気象データベースから前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを複数抽出し、
    前記気流場データ演算部は、抽出した複数の同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域において所定期間までにおける所定時間毎での気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  7. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  8. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する第2沈着量計算部と、
    前記選定された第2風向頻度分布の所定時間毎の前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第2沈着量重み付け部と、
    前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  9. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月毎の風向頻度分布および平均地上風速を蓄積する変換データベースから、前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  10. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月毎の風向頻度分布および平均地上風速を蓄積する変換データベースから、前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  11. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出工程と、
    前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算工程と、
    を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  12. 請求項11において、
    前記気流場データ演算工程で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  13. 請求項12において、
    前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  14. 請求項11ないし13の何れか1つにおいて、
    前記同一・類似データ抽出工程において前記同一または類似の気象データを抽出する前に、前記第2気象データベースから抽出する気象データを、前記対象日時と同じ日の所定期間内に絞るデータ絞込み工程を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  15. 請求項11ないし14の何れか1つにおいて、
    前記気流場データ演算工程は、前記第1気象データベースに保存されている前記対象日時の最終予測時刻経過前までは、前記第1気象データベースに保存されている気象データを用いて気流場データを算出し、前記対象日時の最終予測時刻経過後は、前記第2気象データベースから前記気象データに保存されている最終予測時刻における気象データと同一または類似する気象データを抽出して気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  16. 請求項11ないし15の何れか1つにおいて、
    前記同一・類似データ抽出工程は、前記第2気象データベースから前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを複数抽出し、
    前記気流場データ演算工程は、抽出した複数の同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域において所定期間までにおける所定時間毎での気流場データを算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  17. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  18. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、
    前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  19. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  20. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  21. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    前記対象日時と前記対象日時の最終予測時刻とのいずれか一方または両方と同一または類似の気象データを、過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出する同一・類似データ抽出工程と、
    前記同一または類似の気象データを用いて、前記評価領域における気流場データを算出する気流場データ演算工程と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  22. 請求項21において、
    前記気流場データ演算部で算出されたそれぞれの前記気流場データを用いて、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散計算モデルにより演算を行うことにより前記拡散物質の拡散場データを求める拡散場データ演算工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  23. 請求項22において、
    前記拡散物質が放射性物質とした場合に、前記拡散場データの結果に基づいて得られた前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  24. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定部と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成部と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成部と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定部と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算部と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け部と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析部と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  25. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数ヶ月の気象データを用いて、前記評価領域における複数方位の第1風向頻度分布を作成する第1風向頻度分布作成工程と、
    前記第2気象データベースから前記対象日時を含む過去数十年の気象データを用いて、過去数十年の前記対象日時と同じ月の前記評価領域における風向頻度分布を第2風向頻度分布として複数作成する第2風向頻度分布作成工程と、
    前記第2風向頻度分布作成部で作成された複数の第2風向頻度分布から、前記第1風向頻度分布作成部で作成された第1風向頻度分布と同一又は最も類似する風向頻度分布を選定し、前記選定された第2風向頻度分布の年月を、予測の開始月とする風向頻度分布選定工程と、
    前記予測の開始月での発災地点または最寄の格子点の評価地点における月平均風速値を算出する月平均風速算出部と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  26. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、前記月平均風速値を用いて、複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記選定された第2風向頻度分布を用いて、前記評価領域における風向頻度に応じて前記拡散物質の沈着量を重み付けして、前記拡散物質の沈着量を計算する第1沈着量重み付け工程と、
    前記拡散物質の沈着量を重み付けした結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  27. 拡散物質を大気中に放出する拡散源から前記拡散物質が放出された対象日時と、前記対象日時の前記拡散物質の放出量とに基づいて拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時における気象データを、対象日時を含む気象データを蓄積している第1気象データベースから取得し、解析条件を設定する解析条件設定工程と、
    過去の気象データが蓄積されている第2気象データベースから抽出した過去数年分の気象データを用いて作成された月ごとの風向頻度分布および平均地上風速の変換データベースから、前記拡散源が存在する対象地点を含む評価領域の前記対象日時と同じ月の気象データを抽出する気象データ抽出工程と、
    前記評価領域に対して、簡易計算モデルにより、所定時間毎に複数方位の前記拡散物質の沈着量を計算する沈着量計算工程と、
    前記拡散物質の沈着量の計算結果に基づいて前記評価領域での被ばく量を求める被ばく解析工程と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
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