JP2014130093A - 放射性セシウム回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高効率且つ容易に放射性セシウムの回収を行うことができる放射性セシウム回収方法を提供すること。
【解決手段】 放射性セシウムが結合した担体をアルカリ溶液によって処理し、上記放射性セシウムを上記担体から上記アルカリ溶液とともに溶出させて、上記放射性セシウムを回収するようにして、上記放射性セシウムの回収を高効率且つ容易に行うことができるようにしたものであり、さらに、放射性セシウムが溶出した上記アルカリ溶液中に、クロロ金属酸とヨウ素又は臭素を添加するとともに酸性とすることにより、上記溶出している放射性セシウムを結晶化させるようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、土壌から放射性セシウムを回収する放射性セシウム回収方法に係り、特に、担体に結合した放射性セシウムをアルカリ溶液によって溶出させ、その後、放射性セシウムが溶出された溶液を酸性とし、クロロ金属酸又はクロロ金属酸による金属ナノ粒子をヨウ素又は臭素とともに添加することにより放射性セシウムを含む結晶を形成させて、この結晶を静置沈殿又は遠心分離又は濾過などにより捕捉することにより、高効率且つ容易に放射性セシウムの回収を行うことができるように工夫したものに関する。
チェルノブイリや福島の原子力発電所の事故等によって、大量の放射性ヨウ素、放射性セシウムなどの放射性同位元素が空気中に放出された。これらの放射性元素が土壌、黄砂、花粉、落葉などに結合して、人の吸入、吸飲によって体内に取り込まれ内部被爆してしまうことになる。そのような内部被爆によりガンの発生率が異常に高まっている地区もある。さらに事故周辺部の高度汚染地域では、外部被爆による障害も報告されている。
また、放出された放射性同位元素は、気流、水などによって遠くまで運ばれてしまう。チェルノブイリ原発の事故で放出された放射性同位元素が、短期間のうちにほぼ地球の裏側にある日本にまで運ばれ、雨滴、食品などからこれらの放射性同位元素が検出されて問題になったことは記憶に新しい。
福島原発の事故でも放射性同位元素はすでに広範な地域に飛散し、ヒトの健康を脅かす程の放射能が生態系の中でまた食品中で検出されるに至っている。事故現場からかなり離れた領域でも高度汚染領域が存在し、住民が今なお避難生活を続けなければならない地域もある。
代表的な放射性同位元素としては、既に説明したように、ヨウ素(I131)やセシウム(Cs137)等が知られている。ヨウ素(I131)は半減期が約8日と短いが、セシウム(Cs137)は半減期が約30年と長いものであり、長期にわたって被害を及ぼし続けることで知られている。また、これら放射性同位元素は、煮ても、焼いてもそれらの放射能はなくならない。従って原発の事故による放射性同位元素の集積被害は、これからも続くことになる。その上、放射性同位元素の多くは無味、無臭、無色であるため、特殊な放射能(単位:ベクレル)測定機器なくしては検出できない厄介な汚染である。
しかも、各放射性同位元素の特定や詳細な定量的解析には、放射線取扱い責任者の認定を受けたものの管理下で、専用の隔離施設をもった政府機関や大学などの研究機関でしか行えない。一般のヒトが特定の放射性同位元素の集積の危険性を知ることは大変難しい。
以上のような理由から、これら放射性同位元素は、国を挙げて回収を行い、高度に濃縮した上で、飛散しないように溶解したガラスに綴じ込めるなどして地下深くに埋めて保管するなどの必要がある。
従来、環境中に放出された放射性セシウムの回収は、例えば、次のように行われていた。
まず、プルシアンブル(KFe(Fe(CN)))等の不溶性の担体を環境中に広範囲に撒く。これにより、環境中の放射性セシウムは上記担体によって吸着される。
次に、上記放射性セシウムを吸着した上記担体を回収して処理する。
特開2011−200856号公報 特開2011−219421号公報 特許第4810973号公報
しかし、従来の構成では、次のような問題があった。
まず、前述したように、放射性セシウムはプルシアンブル等の担体に吸着させて回収することはできるが、その回収した担体から放射性セシウムを分離させることは非常に困難である。そのため、上記回収した担体は、例えば、焼却処理された上で、又は、そのまま、保管・廃棄されていた。
しかしながら、回収された担体の量は拡大の一途をたどり、保管・廃棄する場所の確保が難しくなってしまうという問題があった。
本発明は、このような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、担体に結合した放射性セシウムを、高効率且つ容易に担体から分離させて回収することを可能にする放射性セシウム回収方法を提供することにある。
上記課題を解決するべく請求項1に記載された放射性セシウム回収方法は、
放射性セシウムが結合した担体をアルカリ溶液によって処理することで上記結合した放射性セシウムを溶出させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1記載の放射性セシウム回収方法において、放射性セシウムが溶出した上記アルカリ溶液中にクロロ金属酸とヨウ素又は臭素を添加するとともに酸性とすることにより上記溶出している放射性セシウムを結晶化させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸を予め調製して金属ナノ粒子としておくことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項2又は請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、上記結晶化した放射性セシウムを静置沈殿又は遠心分離又は濾過によって回収するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液は水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム又はアルカリ土類金属の水酸化物であることを特徴とするものである。
また、請求項6に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸はヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物、テトラクロロ金(III)酸n水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物であることを特徴とするものである。
また、請求項7に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、上記金属ナノ粒子は白金ナノ粒子又は金ナノ粒子又はイリジウムナノ粒子であることを特徴とするものである。
また、請求項8に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項2〜請求項7の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液を酸性とする際に、酢酸又は乳酸又は塩酸又は硫酸又は酪酸又は臭化水素又はホウ酸又はリン酸を添加することを特徴とするものである。
以上述べたように、請求項1記載の放射性セシウム回収方法によると、放射性セシウムが結合した担体をアルカリ溶液によって処理することで上記結合した放射性セシウムを溶出させるようにしたため、プルシアンブルやゼオライト等の担体の他、土壌などの自然担体からも直接放射性セシウムを溶出させて容易に回収することができる。
また、請求項2記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項1記載の放射性セシウム回収方法において、放射性セシウムが溶出した上記アルカリ溶液中にクロロ金属酸とヨウ素又は臭素を添加するとともに酸性とすることにより上記溶出している放射性セシウムを結晶化させるようにしたため、上記担体から溶出させた放射性セシウムを容易に結晶として高効率で回収することができる。また、上記結晶化した放射性セシウムは容易に固体状態にて濃縮することが可能であり、回収された放射性セシウムの体積を小さくすることができ、保管に必要なスペースを小さくすることができる。
また、請求項3記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸を予め調製して金属ナノ粒子としておくため、反応し易くなり、例えば、水に溶けにくいクロロ金属酸であっても用いることができ、高効率で放射性セシウムを結晶化させて回収することができる。
また、請求項4記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項2又は請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、上記結晶化した放射性セシウムを静置沈殿又は遠心分離又は濾過によって回収するようにしたため、上記結晶化した放射性セシウムを簡易な方法によって回収することができる。
また、請求項5記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項1〜請求項4の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液は水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム又はアルカリ土類金属の水酸化物であり入手し易く一般的なアルカリ溶液であるため、上記放射性セシウム回収方法を容易に実施することができる。
また、請求項6記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸はヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物、テトラクロロ金(III)酸n水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物であり入手し易く一般的なものであるため、放射性セシウムを容易に結晶化させて回収することができる。
また、請求項7記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、上記金属ナノ粒子は白金ナノ粒子又は金ナノ粒子又はイリジウムナノ粒子であり入手し易く一般的なものであるため、放射性セシウムを容易に結晶化させて回収することができる。
また、請求項8記載の放射性セシウム回収方法によると、請求項2〜請求項7の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液を酸性とする際に、酢酸又は乳酸又は塩酸又は硫酸又は酪酸又は臭化水素又はホウ酸又はリン酸など入手し易く一般的な物質を添加するようにしているので、上記放射性セシウム回収方法をより容易に実施することができる。
本発明の一実施の形態を示す図で、本実施の形態において用いられるフィルタ装置と、担体から可溶化された放射性セシウムが含まれる溶液を示す正面図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、可溶化された放射性セシウムを結晶化させた状態を示す正面図である。 本発明の一実施の形態の第1の実施例を示す図で、放射性セシウムが吸着されたゼオライトを水酸化カリウム溶液中に浸漬させて処理した後の上澄み液10μlの放射能を示す表である。 本発明の一実施の形態の第2の実施例を示す図で、図4(a)はゼオライトに吸着されたセシウムを水酸化カリウム溶液によって溶出させた溶液を示す写真、図4(b)は図4(a)に示す溶液に白金ナノ粒子液とヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加した状態を示す写真、図4(c)は図4(b)の溶液に乳酸を添加し溶液中のセシウムが結晶化された状態を示す写真である。 本発明の一実施の形態の第2の実施例を示す図で、図4(c)の結晶化されたセシウムが含まれる溶液にエタノールを加えた後、走査電子顕微鏡で観察して得られた写真である。 本発明の一実施の形態の第2の実施例を示す図で、図4(c)における結晶化されたセシウムによるX線回折の結果を示す表である。 本発明の一実施の形態の第3の実施例を示す図で、白金ナノ粒子、塩化セシウム、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させて濃紫色の沈殿物が生じた様子と、その溶液に1Nの水酸化カリウムを加えることにより、濃紫色の沈殿物が可溶化した様子を示す写真である。 本発明の一実施の形態の第3の実施例を示す図で、白金ナノ粒子、塩化セシウム、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させて生じた濃紫色の沈殿物が水酸化カリウムを加えることにより可溶化し、そこにさらに乳酸を徐々に加えることにより濃紫色の沈殿物が再度生じた様子を示す写真である。 本発明の一実施の形態の第4の実施例を示す図で、白金ナノ粒子、塩化セシウム、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させて沈殿物が生じた様子と、その溶液に水酸化カリウムを加えることにより上記沈殿物が可溶化した様子を示す写真である。 本発明の一実施の形態の第4の実施例を示す図で、白金ナノ粒子、塩化セシウム、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させて生じた沈殿物に水酸化カリウムを加えることにより可溶化し、そこにさらに乳酸を徐々に加えることにより濃紫色の沈殿物が再度生じた様子を示す写真である。 本発明の一実施の形態の第5の実施例を示す図で、図11(a)はテトラクロロ金(III)酸4水和物を溶かした溶液に塩化セシウムを添加した状態を示す写真、図11(b)は図11(a)の溶液にヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加し黒色の沈殿が生じた状態を示す写真、図11(c)は図11(b)の溶液に水酸化カリウムを加え沈殿が可溶化された状態を示す写真、図11(d)は図11(c)の溶液に乳酸を加えることにより再度黒色の沈殿が生じた様子を示す写真である。
以下、図1乃至図11を参照しながら、本発明の一実施の形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照しながら、本実施の形態における放射性セシウム回収方法の概要を説明する。
まず、放射性セシウムを吸着した担体を環境中から回収する。上記放射性セシウムを吸着した担体は、放射性セシウムによって汚染された環境中の土壌等の自然担体でもよいし、人為的に散布したゼオライト(例えば、Na12((AlO12(SiO12)・27HO)やプルシアンブル等の人工的な担体でもよい。
次に、上記放射性セシウムを吸着した担体から、放射性セシウムを溶出させる。図1に示すフィルタ装置1は、上記放射性セシウムを吸着した担体から放射性セシウムを溶出させる処理を実験室において行う際に使用するものである。
ここで、上記フィルタ装置1の構成について説明する。
上記フィルタ装置1は、フィルタユニット3と、このフィルタユニット3の下側に接続された三角フラスコ5とから構成される。
上記フィルタユニット3は、上部筒体7とフィルタ収納部9とから構成される。上記上部筒体7は略円筒形状を成しており、その下側にはフランジ部11が形成されている。上記フィルタ収納部9には貫通孔13が形成されており、この貫通孔13の上端部(図1中上側)は径が大きくなっていて、上記上部筒体7のフランジ部11が係合される接続用凹部15が形成されている。また、上記接続用凹部15の下側にはフィルタ収納用凹部17が形成されており、このフィルタ収納用凹部17にはフィルタ19が収納されている。そのため、このフィルタ19の上側(図1中上側)の上記上部筒体7内部には担体21を保持することができる。
また、上記フィルタユニット3と上記三角フラスコ5とは、ゴム栓23を介して接続されている。上記三角フラスコ5の上側(図1中上側)には、吸出し管25が形成されており、この吸出し管25に接続された図示しない真空ポンプによって、上記三角フラスコ5内の気圧を下げ、上記上部筒体7側から液体を上記三角フラスコ5内に引き込むことができる。
以上が、上記フィルタ装置1の構成の説明である。
上記フィルタ装置1による上記放射性セシウムを吸着した担体21から放射性セシウムを溶出させる処理は次に示す手順で行われる。
まず、図1に示すように、上記フィルタ装置1の上部筒体7内に上記放射性セシウムを吸着させた担体21を設置する。
次に、上記フィルタ装置1の上方から、上記上部筒体7内へと、アルカリ溶液を注ぎ込むとともに、三角フラスコ5の吸出し管25に接続された図示しない真空ポンプを動作させる。すると、上記アルカリ溶液によって上記担体21から放射性セシウムが溶出され、溶出された放射性セシウムを含むアルカリ溶液は重力と上記図示しない真空ポンプの作用により、フィルタ19を通過して、上記三角フラスコ5内に移動される。このようにして、上記担体21から溶出された放射性セシウムを含むアルカリ溶液27が回収される。
なお、上記アルカリ溶液としては、例えば、水酸化カリウム(KOH)溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、又は、アルカリ土類金属の水酸化物の水溶液が用いられる。
また、上記フィルタ19が設置されているため、上記担体21の上記三角フラスコ5内への混入が防止されている。
次に、上記担体21から溶出された放射性セシウムが含まれるアルカリ溶液27から、放射性セシウムを含む結晶を析出させる処理を行う。この処理は、次に示す手順で行われる。
まず、図2に示すように、三角フラスコ5からフィルタユニット3、ゴム栓23、及び、図示しない真空ポンプを取り外す。
次に、回収された放射性セシウムを含むアルカリ溶液27に、クロロ金属酸又はこのクロロ金属酸を調製して金属ナノ粒子としたもの、及び、ヨウ素(I)・ヨウ化カリウム(KI)溶液を添加するとともに、pH調整剤を添加して酸性溶液29とする。この処理により、図2に示すように、上記三角フラスコ5内に放射性セシウムを含む結晶31が析出される。これが放射性セシウムの結晶化である。
この結晶31を構成する物質の分子式は、例えば、上記クロロ金属酸や金属ナノ粒子として白金によるものを用いた場合は、後述するように、CsPtIと表わされる。
なお、上記クロロ金属酸としては、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(H(PtCl)・6HO)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物(H(IrCl)・nHO)、テトラクロロ金(III)酸n水和物(HAuCl・nHO)等が用いられる。
また、上記金属ナノ粒子としては、例えば、白金(Pt)ナノ粒子又は金(Au)ナノ粒子又はイリジウム(Ir)ナノ粒子等が用いられる。上記金属ナノ粒子は、例えば、上記クロロ金属酸にクエン酸ナトリウム(Na(C)・2HO)やアスコルビン酸(C)を所定の濃度となるように混合することで調製される。
また、上記pH調整剤としては、例えば、酢酸(CHCOOH)又は乳酸(CHCH(OH)COOH)又は塩酸(HCl)又は硫酸(HSO)又は酪酸(CH(CHCOOH)又は臭化水素(HBr)又はホウ酸(HBO)又はリン酸(HPO)等といった酸性のものが用いられる。
また、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、臭素(Br)液を用いることもできる。
そして、最後に、上記結晶31を回収する処理を行う。
この処理は、例えば、上記酸性溶液29を静置沈殿又は遠心分離を行って上記結晶31を収集し、濾過によって、上記酸性溶液29と上記結晶31とを分離することによって行われる。
このようにして、放射性セシウムは上記結晶31として、濃縮された状態で回収される。
以上が、本実施の形態における放射性セシウム回収方法の概要の説明である。
次に、本実施の形態による放射性セシウム回収方法の効果について説明する。
まず、担体21に吸着された放射性セシウムをアルカリ溶液によって可溶化させて回収するため、上記放射性セシウムを容易に回収することができる。また、上記アルカリ溶液として、例えば、水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液を用いるため、入手しやすい一般的なアルカリ溶液によって容易に上記放射性セシウムの回収を行うことができる。
また、上記放射性セシウムは、上記放射性セシウムが可溶化されたアルカリ溶液27に、クロロ金属酸又はこのクロロ金属酸を調製し金属ナノ粒子としたもの、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液、及び、pH調整剤を添加し、酸性溶液29にすることによって結晶31となるため、入手し易い一般的な薬剤などによって上記放射性セシウムを容易に濃縮した状態で高効率に回収することができる。また、このように結晶化されて回収された上記放射性セシウムは体積が小さく、保管に必要なスペースを最小限にすることができる。
また、水に溶けにくいクロロ金属酸であっても、上記金属ナノ粒子として調製することで、反応し易くなり、効率よく上記放射性セシウムやヨウ素・ヨウ化カリウム溶液と反応させて、上記放射性セシウムを結晶化させることができる。
また、上記放射性セシウムは、例えば、上記結晶31が含まれる酸性溶液29を静置沈殿させる、又は、遠心分離を行うことによって上記結晶31を収集し、濾過によって、上記酸性溶液29と上記結晶31とを分離させるという簡易な方法によって回収することができる。
また、上記クロロ金属酸として、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物、テトラクロロ金(III)酸n水和物等を用いるか、または、上記クロロ金属酸を金属ナノ粒子として、例えば、白金ナノ粒子又は金ナノ粒子又はイリジウムナノ粒子として用いるため、これらは入手し易く一般的なものであり、容易且つ高効率で放射性セシウムを結晶化させて回収することができる。
また、上記pH調整剤として、例えば、酢酸又は乳酸又は塩酸又は硫酸又は酪酸又は臭化水素又はホウ酸又はリン酸等といった酸性のものを用いるため、入手しやすい一般的な酸によって容易に上記放射性セシウムの回収を行うことができる。
以上が、本実施の形態による効果についての説明である。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態の第1の実施例について説明する。
本実施例は、担体としてゼオライト又は土壌を用い、上記担体に吸着された放射性セシウムがアルカリ溶液によって溶出されることを確認するものである。
まず、土壌及びゼオライトに放射性セシウムを吸着させる。
この処理は、土壌0.1g又はゼオライト0.2gに放射性セシウムを加えることで行われる。
そして、上記土壌及びゼオライトから、次のような処理によって放射性セシウムを溶出させた。
まず、上記放射性セシウムを吸着させた土壌又はゼオライトをアルカリ溶液に浸漬させて、例えば、ボルテックスミキサーにより撹拌する。本実施例では、上記アルカリ溶液として、0.5Nの水酸化カリウム溶液を0.5ml用いている。
そして、例えば、静置沈殿や濾紙による濾過や遠心分離により放射性セシウムが溶出した溶液と上記土壌とを分離し、上記放射性セシウムが溶出した溶液のみを回収する。
上記放射性セシウムが溶出した溶液の放射能を測定すると、図3の表に示すような結果が得られた。ゼオライトから放射性セシウムを溶出させた溶液10μlの放射能は274.3Bqであり、土壌から放射性セシウムを溶出させた溶液10μlの放射能は274.3Bqである。
ちなみに、上記アルカリ溶液による放射性セシウムの溶出処理では、土壌を直接処理すれば、効率よく放射性セシウムを回収することができるといえる。
以上より、本実施例により、水酸化カリウム溶液を用いて、上記放射性セシウムを吸着させた土壌又はゼオライトから放射性セシウムを溶出させることができることを確認できる。
次に、図4〜図6を参照しながら、本実施の形態の第2の実施例について説明する。
本実施例では、図4に示すように、前述した放射性セシウム回収方法を実験的に試験管内で行って確認しようとするものとする。
また、本実施例においては、担体としてゼオライトを用いる。
また、本実施例では、放射性セシウムの代りに放射能を持たないセシウムを用いる。
また、本実施例では、金属ナノ粒子として白金ナノ粒子を使用している。
次に、本実施例による放射性セシウム回収方法について、具体的に順を追って説明する。
まず、ゼオライトに予めセシウムを吸着させたものを用意しておく。すなわち、図1に示すフィルタ装置1を用いて、上記ゼオライトにセシウムを吸着させる。例えば、2gの粒状ゼオライトをフィルタユニット3の上部筒体7内に担体21として入れ、この担体21に2mlの30%塩化セシウム(CsCl)溶液を通過させる。その後、200mlの蒸留水で洗浄する。それによって、上記セシウムが上記ゼオライトに吸着される。
なお、上記担体21を洗浄した後の上記蒸留水には、上記セシウムは溶出されていない。
次に、上記放射性セシウムを吸着させたゼオライトからセシウムを溶出させる。
すなわち、図1に示すフィルタ装置1の上部筒体7より1Nの水酸化カリウム溶液を20ml注ぎ、三角フラスコ5内に得られるアルカリ溶液27を回収する操作を6回行い、その各回の溶出画分から1mlずつのアルカリ溶液27を採取した。図4(a)の写真に示される6つの試験管33a、33b、33c、33d、33e、33f内の溶液は、このようにして採取されたものである。
次に、上記回収された溶液に白金ナノ粒子液とヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加する。図4(b)は、図4(a)の溶液に白金ナノ粒子液とヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加した状態を示す写真である。このときはまだ沈殿物は生じていない。
本実施例で用いる白金ナノ粒子は次のようにして調製される
まず、市販のヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物に蒸留水を加える。その後、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸を混合し、上記クエン酸ナトリウムの濃度が250μM、上記アスコルビン酸の濃度が2.5mMになるように調製する。そして、よく撹拌した後に一週間静置して、白金ナノ粒子液を得る。この白金ナノ粒子液は、常温でも保存できるが、冷蔵庫で保存するのが望ましい。
上記ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物を白金ナノ粒子として調製して使用する理由は、上記ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物は蒸留水を加えたのみでは溶けないため、上記のように白金ナノ粒子液として調製することでセシウムやヨウ素と反応しやすいようにする必要があるからである。
また、本実施例で用いるヨウ素・ヨウ化カリウム溶液は、1%ヨウ化カリウム水溶液に0.5%となるようにヨウ素を溶かして調製される。この調製操作は、フード内で行った。
なお、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、そのまま臭素液を用いることもできる。
次に、上記溶出されたセシウムを結晶化させる。
すなわち、図4(b)に示す試験管のそれぞれにpH調整剤として1mlの10M乳酸をゆっくり撹拌しながら添加する。すると、図4(c)に示すように、上記試験管内の溶液に暗紫色の沈殿物35が生ずる。
上記沈殿物35は、上記セシウムが含まれる結晶である。
上記結晶を遠心分離によって分離し、エタノール(COH)を加えて、走査型電子顕微鏡によって観察した写真を図5に示す。この図5の写真には、樹木状の結晶37が示されている。
また、図6に示す表は、上記結晶37にX線回折を行った結果を示すものである。この図6の表によれば、上記結晶を構成する物質の分子式はCsPtIとなる。
このように、第2の実施例によれば、担体に吸着されたセシウムが水酸化カリウム溶液によって溶出され、溶出されたセシウムが含まれた溶液に白金ナノ粒子液とヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加すると共に乳酸を加えて酸性とすることで、セシウムが結晶化されることを確認できる。
次に、図7及び図8を参照しながら、本実施の形態の第3の実施例について説明する。
本実施例は、前述した放射性セシウム回収方法における、放射性セシウムの可溶化と結晶化を確認する実験である。
また、本実施例では、放射性セシウムの代りに放射能を持たないセシウムを用いる。
また、本実施例でも、金属ナノ粒子として白金ナノ粒子を使用している。
まず、250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を、それぞれ3mlずつ混合させ、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶を得る。図7の写真の左側に示すチューブ39には、上記結晶が含まれる溶液が入っており、上記結晶による暗紫色の沈殿41を生じた状態となっている。
上記白金ナノ粒子液は、前述した第2の実施例で用いたものと同様である。すなわち、上記白金ナノ粒子液は、市販のヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H(PtCl)・(HO))に蒸留水を加え、その後、クエン酸ナトリウム(Na(C)・2HO)、アスコルビン酸(C)を混合し、上記クエン酸ナトリウムの濃度が250μM、上記アスコルビン酸の濃度が2.5mMになるように調整した溶液である。そのため、予めアルカリ溶液によるセシウムの可溶化を行っていない本実施例においては、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させた溶液はすでに酸性の状態となっている。よって、上記pH調整剤を加えなくても、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液のみで、分子式CsPtIで表されるセシウムを含む結晶が生ずる状態となっている。
また、本実施例で用いるヨウ素・ヨウ化カリウム溶液は、1%ヨウ化カリウム水溶液に0.5%となるようにヨウ素を溶かして調製される。
なお、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、そのまま臭素液を用いることもできる。
次に、上記結晶にアルカリ溶液を添加し、セシウムを可溶化する。本実施例では、上記アルカリ溶液として1Nの水酸化カリウム溶液を用いている。上記結晶が含まれる溶液に1Nの水酸化カリウム溶液を添加すると、上記セシウムは可溶化されて沈殿は消失し、黄色がかった透明の液体となる。図7の写真の右側及び図8の写真の左側に示すチューブ43には可溶化されたセシウムが含まれた溶液が入っており、その内部には沈殿が見られない。
次に、上記可溶化されたセシウムが含まれた溶液にpH調整剤として酸性溶液を添加し上記可溶化されたセシウム上記可溶化されたセシウムを再び結晶化させる。本実施例では、上記pH調整剤としての酸性溶液は10Mの乳酸である。
図7の写真の右側及び図8の写真の左側に示すチューブ43内の溶液に10Mの乳酸溶液を添加すると、図8の写真の右側に示すチューブ47のように、再び、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶による暗紫色の沈殿49が生ずる。
以上のように、本実施例から、酸やアルカリを加えてpHを変化させることで、上記セシウムの可溶化や結晶化が可能であるといえる。
次に、図9及び図10を参照しながら、本実施の形態の第4の実施例について説明する。
本実施例も、第3の実施例と同様に、前述した放射性セシウム回収方法における、放射性セシウムの可溶化と結晶化を確認する実験である。
また、本実施例でも、第3の実施例と同様に、放射性セシウムの代りに放射能を持たないセシウムを用いる。
また、本実施例でも、金属ナノ粒子として白金ナノ粒子を使用している。
次に、本実施例について、具体的に順を追って説明する。
まず、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶を得る。すなわち、250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を、それぞれ3mlずつ混合させ、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶を得る。図7の写真の左側に示すチューブ39には、上記結晶が含まれる溶液が入っており、上記結晶による暗紫色の沈殿41を生じた状態となっている。図9の写真の左側に示すチューブ51には、上記結晶が含まれる溶液が入っており、上記結晶による暗紫色の沈殿53を生じた状態となっている。
上記白金ナノ粒子液は、前述した第2の実施例で用いたものと同様である。すなわち、上記白金ナノ粒子液は、市販のヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H(PtCl)・(HO))に蒸留水を加え、その後、クエン酸ナトリウム(Na(C)・2HO)、アスコルビン酸(C)を混合し、上記クエン酸ナトリウムの濃度が250μM、上記アスコルビン酸の濃度が2.5mMになるように調整した溶液である。そのため、予めアルカリ溶液によるセシウムの可溶化を行っていない本実施例においては、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させた溶液はすでに酸性の状態となっている。よって、pH調整剤を加えなくても、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液のみで、分子式CsPtIで表されるセシウムを含む結晶が生ずる状態となっている。
また、本実施例で用いるヨウ素・ヨウ化カリウム溶液は、1%ヨウ化カリウム水溶液に0.5%となるようにヨウ素を溶かして調製される。
なお、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、そのまま臭素液を用いることもできる。
次に、上記結晶にアルカリ溶液を添加し、セシウムを可溶化する。本実施例では、上記アルカリ溶液として4Nの水酸化カリウム溶液を用いている。上記結晶が含まれる溶液に1Nの水酸化カリウム溶液を添加すると、上記セシウムは可溶化され、沈殿は消失する。図9の写真の右側及び図10の写真の左側に示すチューブ55には可溶化されたセシウムが含まれた溶液が入っており、その内部には沈殿が見られない。
次に、上記可溶化されたセシウムが含まれた溶液にpH調整剤として酸性溶液を添加し、上記可溶化されたセシウムを再び結晶化させる。本実施例では、上記pH調整剤としての酸性溶液は10Mの乳酸である。
図9の写真の右側及び図10の写真の左側に示すチューブ55内の溶液に10Mの乳酸溶液を添加すると、図10の写真の右側に示すチューブ57のように、再び、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶による暗紫色の沈殿59が生ずる。
以上のように、本実施例からも、酸やアルカリを加えてpHを変化させることで、上記セシウムの可溶化や結晶化が可能であるといえる。
次に、図11を参照しながら、本実施の形態の第5の実施例について説明する。
本実施例は、図11に示すように、放射性セシウムの結晶化と可溶化を確認するものである。また、本実施例においても、放射性セシウムの代りに放射能を持たないセシウムを用いている。また、本実施例においては、クロロ金属酸としてテトラクロロ金(III)酸を使用している。
まず、本実施例においては、テトラクロロ金(III)酸の溶液を用意する。 上記テトラクロロ金(III)酸の溶液は、市販のテトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl・4HO)に蒸留水を加えて溶解させたものである。上記テトラクロロ金(III)酸は、蒸留水に溶けるため、前述した第2〜第4の実施の形態のように、金属ナノ粒子として調製する作業を行わなくてもよい。
また、上記テトラクロロ金(III)酸の溶液は酸性の溶液である。そして、上記テトラクロロ金(III)酸の溶液を図11に示すチューブ61に入れる。
次に、上記テトラクロロ金(III)酸の溶液にセシウムとして塩化セシウムを添加する。すると、図11(a)の写真に示すように黄色の沈殿63を生ずる。
次に、図11(a)の写真に示すチューブ61内にヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を添加する。すると、図11(b)の写真に示すように、黒色の沈殿65が生ずる。この黒色の沈殿65は、上記テトラクロロ金(III)酸及びヨウ素によってセシウムを含む結晶が生成されることによるものである。
なお、本実施例においても、前述した第3の実施例の場合と同様、予めアルカリ溶液でセシウムを可溶化させる処理を行っておらず、pH調整剤を添加せずとも、上記テトラクロロ金(III)酸の溶液とヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合した溶液は既に酸性となっており、セシウムが上記テトラクロロ金(III)酸及びヨウ素によって結晶化される状態となっている。
本実施例で用いるヨウ素・ヨウ化カリウム溶液は、1%ヨウ化カリウム水溶液に0.5%となるようにヨウ素を溶かして調製される。この調製操作は、フード内で行った。
なお、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、そのまま臭素液を用いることもできる。
次に、図11(b)の写真に示すチューブ61内に10Mの水酸化カリウム溶液を添加する。すると、図11(c)の写真に示すように、上記セシウムは可溶化され、黒色の沈殿は消失する。
次に、図11(c)の写真に示すチューブ61内にpH調整剤として10Mの乳酸溶液を添加する。すると、図11(d)の写真に示すように、上記セシウムは再び結晶化され、黒色の沈殿67が生ずる。
以上のように、クロロ金属酸(テトラクロロ金(III)酸)を用いても、セシウムの結晶化が可能である。
また、本実施例からも、酸やアルカリを加えてpHを変化させることで、上記セシウムの可溶化や結晶化が可能であるといえる。
本発明は、前述の一実施の形態に限定されない。
例えば、用いられる金属ナノ粒子液、pH調整剤やアルカリ溶液の成分には様々な場合が考えられる。
また、金属ナノ粒子、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液、pH調整剤やアルカリ溶液の濃度についても様々な場合が考えられる。
本発明は、例えば、土壌、瓦礫等から放射性セシウムを回収する方法に係り、特に、担体に結合した放射性セシウムを、高効率且つ容易にできるように工夫したものに関し、例えば、原子力事故後の除染作業に好適である。
21 担体
31 放射性セシウムが含まれる結晶

しかも、各放射性同位元素の特定や詳細な定量的解析は、放射線取扱い責任者の認定を受けたものの管理下で、専用の隔離施設をもった政府機関や大学などの研究機関でしか行えない。一般のヒトが特定の放射性同位元素の集積の危険性を知ることは大変難しい。
以上のような理由から、これら放射性同位元素は、国を挙げて回収を行い、高度に濃縮した上で、飛散しないように溶解したガラスにじ込めるなどして地下深くに埋めて保管するなどの必要がある。
上記放射性セシウムが溶出した溶液の放射能を測定すると、図3の表に示すような結果が得られた。ゼオライトから放射性セシウムを溶出させた溶液10μlの放射能は274.3Bqであり、土壌から放射性セシウムを溶出させた溶液10μlの放射能は391.1Bqである。
ちなみに、上記アルカリ溶液による放射性セシウムの溶出処理では、土壌を直接処理すれば、効率よく放射性セシウムを回収することができるといえる。
上記白金ナノ粒子液は、前述した第2の実施例で用いたものと同様である。すなわち、上記白金ナノ粒子液は、市販のヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(HPtCl・(HO))に蒸留水を加え、その後、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸(C)を混合し、上記クエン酸ナトリウムの濃度が250μM、上記アスコルビン酸の濃度が2.5mMになるように調整した溶液である。そのため、予めアルカリ溶液によるセシウムの可溶化を行っていない本実施例においては、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させた溶液はすでに酸性の状態となっている。よって、上記pH調整剤を加えなくても、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液のみで、分子式CsPtIで表されるセシウムを含む結晶が生ずる状態となっている。
また、本実施例で用いるヨウ素・ヨウ化カリウム溶液は、1%ヨウ化カリウム水溶液に0.5%となるようにヨウ素を溶かして調製される。
なお、上記ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液の代りに、そのまま臭素液を用いることもできる。
次に、上記可溶化されたセシウムが含まれた溶液にpH調整剤として酸性溶液を添加し上記可溶化されたセシウムを再び結晶化させる。本実施例では、上記pH調整剤としての酸性溶液は10Mの乳酸である。
図7の写真の右側及び図8の写真の左側に示すチューブ43内の溶液に10Mの乳酸溶液を添加すると、図8の写真の右側に示すチューブ47のように、再び、分子式CsPtIで表されるセシウムが含まれる結晶による暗紫色の沈殿49が生ずる。
上記白金ナノ粒子液は、前述した第2の実施例で用いたものと同様である。すなわち、上記白金ナノ粒子液は、市販のヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(HPtCl・(HO))に蒸留水を加え、その後、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸(C)を混合し、上記クエン酸ナトリウムの濃度が250μM、上記アスコルビン酸の濃度が2.5mMになるように調整した溶液である。そのため、予めアルカリ溶液によるセシウムの可溶化を行っていない本実施例においては、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を混合させた溶液はすでに酸性の状態となっている。よって、pH調整剤を加えなくても、上記250μM白金ナノ粒子液、20%塩化セシウム溶液、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液のみで、分子式CsPtIで表されるセシウムを含む結晶が生ずる状態となっている。
上記課題を解決するべく請求項1に記載された放射性セシウム回収方法は、放射性セシウムが結合した担体をアルカリ溶液によって処理することで上記結合した放射性セシウムを溶出させるようにし、放射性セシウムが溶出した上記アルカリ溶液中に、クロロ金属酸とヨウ素又は臭素を添加するとともに酸性とすることにより、上記溶出している放射性セシウムを結晶化させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸を予め調製して金属ナノ粒子としておくことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1又は請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記結晶化した放射性セシウムを静置沈殿又は遠心分離又は濾過によって回収するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液は水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム又はアルカリ土類金属の水酸化物であることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1記載の放射性セシウム回収方法において、上記クロロ金属酸はヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物、テトラクロロ金(III)酸n水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物であることを特徴とするものである。
また、請求項6に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、上記金属ナノ粒子は白金ナノ粒子又は金ナノ粒子又はイリジウムナノ粒子であることを特徴とするものである。
また、請求項7に記載された放射性セシウム回収方法は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、上記アルカリ溶液を酸性とする際に、酢酸又は乳酸又は塩酸又は硫酸又は酪酸又は臭化水素又はホウ酸又はリン酸を添加することを特徴とするものである。

Claims (8)

  1. 放射性セシウムが結合した担体をアルカリ溶液によって処理することで上記結合した放射性セシウムを溶出させるようにしたことを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  2. 請求項1記載の放射性セシウム回収方法において、
    放射性セシウムが溶出した上記アルカリ溶液中に、クロロ金属酸とヨウ素又は臭素を添加するとともに酸性とすることにより、上記溶出している放射性セシウムを結晶化させるようにしたことを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  3. 請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記クロロ金属酸を予め調製して金属ナノ粒子としておくことを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  4. 請求項2又は請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記結晶化した放射性セシウムを静置沈殿又は遠心分離又は濾過によって回収するようにしたことを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記アルカリ溶液は水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム又はアルカリ土類金属の水酸化物であることを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  6. 請求項2記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記クロロ金属酸はヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物、テトラクロロ金(III)酸n水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸n水和物であることを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  7. 請求項3記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記金属ナノ粒子は白金ナノ粒子又は金ナノ粒子又はイリジウムナノ粒子であることを特徴とする放射性セシウム回収方法。
  8. 請求項2〜請求項7の何れかに記載の放射性セシウム回収方法において、
    上記アルカリ溶液を酸性とする際に、酢酸又は乳酸又は塩酸又は硫酸又は酪酸又は臭化水素又はホウ酸又はリン酸を添加することを特徴とする放射性セシウム回収方法。
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