JP2014129637A - トウ多軸不織布の製造手段 - Google Patents

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Abstract

【課題】 トウを用いた多軸不織布の製造手段に関し、特に、薄いトウ不織布を品質良く、かつ、省スペースで生産性も良く製造できるトウ多軸不織布の製造方法および製造装置に関する。
【解決手段】 トウ束を少なくとも斜交材として用いたトウ多軸積層不織布製造手段において、トウ束がこの多軸不織布製造工程内で、より大きな未分割トウ束より複数本の分割されたトウにされた後、斜交装置(斜交工程)に入ることを特徴とする、トウ多軸不織布の製造装置及び製造方法に関する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、トウを用いた多軸不織布の製造手段に関し、特に、薄いトウ不織布を品質良く、かつ、簡便な手段で生産性も良く製造できる、トウを用いた多軸不織布の製造方法および製造装置に関する。
トウは、紡績糸等の短繊維を製造する原料として量産されている極めてコストの安い繊維である。そして、そのトウを切断して短繊維の形態で、乾式不織布や湿式不織布の原料としても大量に使用されている。しかし、短繊維としてしまうと、不織布の強度は短繊維間の絡合強度に依存し、本来の繊維がもっている強度、伸度を失ってしまう。そこで、トウの状態のまま不織布として用いる試みがなされている。その一つとして、トウを拡幅して直交不織布とする方式である(特開昭48−50080号等)。しかし、この方式では、拡幅されたトウをヨコウェブとして使用するので、ラインの流れ方向と直角方向に、ヨコウェブのラップ部またはギャップが生じるという問題点があった。
また、トウから製造される不織布として、トウを斜交材として使用する、トウ多軸不織布がある(特開2001−271259号)。トウ多軸不織布は、トウ束群が布の縦方向に対して斜め方向に走行し、その斜め方向に走行しているトウ束群が互いに交差していることを特徴とする。この方式では、トウ束が大きいため、薄い(坪量の小さい)不織布の製造が困難であった。また、トウの細い繊維束を別工程で製造して使用することも原理的には可能であるが、トウの量産体制下で製造されるトウは数百万dtexで、細いトウ束(数千dtexから数万dtex)は装置的に対応できておらず、生産性が悪いため、工業的に供給されていない問題がある。また、そのようなトウ束が供給されたとしても、細いトウ束を巻き取ったり、繰り出したりする過程でトウを構成するフィラメントが絡んで、生産性や製品の品質を悪くする問題点もある。さらに、多数の細いトウ束を繰り出して使用することは、トウ多軸不織布製造工程で、広い場所が必要となり、多数本のトウを扱うので、作業性が悪く生産性がよくない。
特開昭48−50080号(第1頁、第1、2図)。 特開2001−271259号(第1頁、第1図)。
本発明は、上記背景技術の問題点を克服するためになされたものであって、その目的とすることは、坪量の小さいトウ多軸不織布の製造を可能にすることにある。また、他の目的は、かかる坪量の小さいトウ多軸不織布において、乱れが少なく製品姿が良く、したがって製品物性の品質が安定する製造手段を提供することにある。さらに他の目的は、低坪量のトウ不織布を省スペースで作業性良く、簡便な手段で生産性よく製造できる手段を提供することにある。
本発明は背景技術で述べた従来技術の問題点を克服するために行われたもので、本発明の製造装置としての特徴を下記に示す。本発明は、a.拡幅トウより複数本の分割されたトウ束に分割されるトウ分割装置と、b.この分割されたトウ束が下記のb−1、b−2装置による斜交ウェブを形成させる装置を含み、b−1.進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベアを有し、このコンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドと、b−2.この分割されたトウ束群が、給糸ガイドにより左右の糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることにより分割されたトウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させる装置と、c.多軸不織布の経となるタテウェブを供給するタテウェブ供給装置と、d.このタテウェブと、この斜交ウェブとが積層接合される積層装置と、が一体化されて構成されているトウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割手段が、拡幅トウが糸掛ピンに供給される前の段階で複数の分割トウに分割された後に、コンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドに備えられている複数本の給糸細管へ複数本に分割されたトウ束群を導く装置を有し、この給糸細管からの分割されたトウ束群が、左右の糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることによりトウ束群がジグザク斜行して交差して交差ウェブを形成する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割手段が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウを、熱的作用により一定幅に切断する切断具を有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割装置が、未分割トウ束を通過させて並列引き揃える多段ローラ群と、この引き揃えられたトウを分割するコームと、を有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割手段が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウをトラバースしている給糸ガイドにより、コンベア面に平行で、かつ、コンベアの進行方向に傾斜して並べられた多数の糸掛ピンに差し込まれ、それぞれの糸掛ピンのピン間隔単位に分割される前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記糸掛ピンが、コの字型のピン固定具のコの字の平行する一辺に多数本並べられたピン(棒状体)により形成されており、コの字の他の平行する一辺が前記コンベアに固定されている前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記糸掛ピンが、コンベアの進行方向に直線的に30度以上傾斜して並べられている複数のピンからなる前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記糸掛ピンが、コンベアの進行方向に湾曲して傾斜して並べられている複数のピンからなり、ピン又はピンとピン固定具の形状が分割されたトウを保持する湾曲部を有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記給糸ガイドが、一対のトウガイドバーと一対のニップロールからなり、トウガイドバーで拡幅トウを案内しつつニップロールによって押し込まれる際の拡幅トウの横ずれを防止し、給糸ガイドがコンベア上をトラバースすることより、この給糸ガイドが拡幅トウを糸掛ピンに押し込むように構成されている前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割装置が、トウ拡幅装置を有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割装置が、トウの幅方向に設けられた一対のバー上をこのトウがZ状に走行しており、かつ、この一対のバーが周期的にほぼ半回転運動を繰り返すことにより、走行するトウに対して周期的にテンションが加えられるZバーを有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。また本発明は、前記トウ分割装置が、Zバーと組み合わせて使用される一対のウインスロールを有する前記トウ多軸不織布の製造装置に関する。さらに本発明は、前記タテウェブ供給装置において、走行している捲縮を有するトウに対して、このトウの幅方向に設けられた一対のバー上を該トウがZ状に走行しており、かつ、この一対のバーが周期的にほぼ半回転運動を繰り返すことにより、走行するトウに対して周期的にテンションが加えられるZバーを有することによりトウを拡幅する拡幅装置を有する前記トウ多軸不織布製造装置に関する。
また本発明の製造方法としての特徴を下記に示す。本発明は、トウ束を斜交材として用いたトウ多軸不織布の製造方法において、未分割トウ束を拡幅されたトウにする拡幅工程と、拡幅されたトウを複数本の分割されたトウ束に分割するトウ分割工程と、進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベアを有し、このコンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドにより分割されたトウ束群が左右の糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることにより、トウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させる工程と、多軸不織布の経となるタテウェブを供給するタテウェブ供給工程と、このタテウェブと、斜交ウェブとが積層接合される積層工程と、を含むトウ多軸不織布の製造方法に関する。また本発明は、前記トウ分割手段が、拡幅トウが糸掛ピンに供給される前の段階で複数の分割トウに分割された後に、コンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドに備えられている複数本の給糸細管へ複数本に分割されたトウ束群を導く工程を有し、給糸細管からの分割されたトウ束群が、左右の糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることによりトウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させる前記トウ多軸不織布製造方法に関する。また本発明は、前記トウ分割工程が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウをトラバースしている給糸ガイドにより、コンベア面に平行で、かつ、コンベアの進行方向に傾斜して並べられた多数の前記糸掛ピンに差し込まれることにより、それぞれの糸掛ピンのピン間隔単位に分割させられる前記トウ多軸不織布製造方法に関する。また本発明は、前記未分割トウ束は、前記分割の工程に設けられたコームに入る前工程に、多段のローラ群を通過させ、この未分割トウ束を並列引き揃える工程を有する前記トウ多軸不織布の製造方法に関する。また本発明は、前記未分割トウが、スタフィングボックス法によるクリンパーで捲縮を付与されたものであり、このクリンパーにフィラメントが導入される際、前記分割トウ束の単位のフィラメント束を集めてクリンパーに導入される前記トウ多軸不織布の製造方法に関する。さらに本発明は、トウ多軸不織布製造工程のタテ材が、トウ束を拡幅した後に斜交材との積層工程に入る前記トウ多軸不織布の製造方法に関する。
本発明は、トウの多軸不織布の製造手段に関する。本発明では、多軸不織布における少なくとも斜交材にトウが使用される。トウ(tow)とは、JISの繊維用語「紡績原料の1種で、きわめて多数のフィラメントをそろえた束」と定義されており、本発明におくるトウも、このような「きわめて多数のフィラメントの束」の意味で使用する。なお、本発明におけるフィラメントとは、本質的に連続した細い繊維で、繊維長が約50ミリメータ以下である短繊維とは区別される。
トウは、通常の紡績用原料として使用する場合は、トウタルのdtexが数百万dtexのものが主として使用されている。しかし、本発明の斜交材として使用される未分割トウとしては、数千dtexから数万dtexであり、5,000dtexから50,000dtexが特に望ましい。あまりにも大きなトウタルdtexは、斜交材としては取り扱いが困難であり、千dtex以下では、工業用の糸が汎用されているので、わざわざトウを使用する利点が少なく、トウタルdtexの小さいトウは、製造において、かえってコストが高くなる。なお、本発明のタテ材としてトウを使用する場合は、トウタルdtexが、数百万dtexの大きなトウも拡幅して使用できる。
本発明に使用される未分割トウを構成する個々のフィラメントの繊度は、10dtex以下であることが望ましく、0.1dtex以上であり3dtex以下がさらに望ましい。10dtexを越える単糸texでは、ニードルパンチ等の接着剤を使用しない接合方法では、ウェブが十分に絡合せず、十分な接合強度を持たすことができないことが実験結果明らかになった。本発明の未分割トウのフィラメントは、捲縮されたものであることが望ましく、捲縮は、クリンパーボックスによる捲縮やコンジュゲート法による捲縮が望ましいが、他の機械的手段等による捲縮であってもよい。
本発明に使用されるトウは、いわゆる短繊維製造を目的としたトウ製造法に限定されるものではなく、不織布製造のスパンボンドダイス、メルトブローダイス、フラッシュ紡糸ダイスからのフィラメントも使用することができる。要は「きわめて多数のフィラメントをそろえた束」であればよい。
本発明における未分割トウが、融点を異にするポリマーからなるコンジュゲートフィラメントまたは混合フィラメントも使用することができる。コンジュゲートフィラメントは、カサ高性や風合いを出すことに有効であり、また低融点成分が接着成分として働き、熱エンボスや熱圧着により、フィラメント間や層間の接合に利用することができる。また、融点や収縮率を異にするフィラメントを混合した混合フィラメントトウも、カサ高性や風合いを出すこと等に有効であり、また低融点成分フィラメントが接着成分として働き、熱エンボスや熱圧着によりフィラメント間や層間の接合に利用することができる。コンジュゲートフィラメントがサイドバイサイド型であることより、潜在捲縮、顕在捲縮をもたらし、本発明の捲縮フィラメントとして使用することができる。これらのフィラメントの別のタイプとして、異径断面フィラメントや分割型フィラメントも使用できる。
本発明において、本発明を構成するフィラメントまたは繊維のすべてがトウである必要はなく、斜交材以外は、トウ以外の他の繊維素材を使用することもできる。例えば、タテ材をヤーンや他の不織布を使用することもできる。
本発明に使用されるトウ等の繊維材は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリルニトリル、ポリビニルアルコール等の有機合成繊維からなるトウが使用される。または超高強度ポリエチレン、アラミド、ポリアリレート等の高性能、高機能繊維のトウも使用できる。本発明における原料トウが、廃プラスチックを主原料樹脂として紡糸されたものも利用できる点に特徴がある。ジオテキスタイル、ウエス等の用途では、構成するフィラメントの太さムラや染色性等は問題にならず、フィラメント径もファインであることが要求されず、また、風合い等が要求されないため、紡糸過程の糸切れの少ない条件で、種々雑多の原料が含まれる廃プラスチックを原料にすることができる。また、廃プラスチックであるのでコストも安く、コストが重要な要因となるジオテキスタイル等に最適であり、廃プラスチックの有効利用としての効能も有する。
本発明は、多軸不織布即ち3軸、4軸等の斜交積層不織布の製造技術で製造される。これらの不織布は、織物や直交不織布と異なり、斜交する素材が含まれることを特徴とする。3軸不織布、または3軸積層不織布とは、構成するタテ(経)材に対し互いに逆方向に交差する2方向の斜交材が積層・接合された不織布をいう。また、ヨコ(緯)材に対し互いに逆方向に交差する2方向の斜交材が積層・接合された不織布であってもよい。
4軸不織布、または4軸積層不織布とは、構成するタテ(経)材とヨコ(緯)材に対し、互いに逆方向に交差する2方向の斜交材が積層・接合された不織布をいう。これらの多軸不織布では、タテ材は1軸と数えられているが、表裏にタテ材を配することもできる。多軸積層不織布は、本出願人の先発明である特公昭62−54904号、特公平1−24903号、特公平3−80911号、特開平8−209518号等が使用されるが、これらに限定するものではなく、タテ材、斜交材が積層・接合された不織布であればよい。
この多軸不織布の製造方式は、進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドから導かれるトウを、左右の糸掛ピンに左右交互に引掛けることによって製造され、本出願人によって種々の方式が提案されている(例えば、特公昭62−54904号、特公平3−80911号、特開平8−209518号など)。
本発明における斜交不織布形成手段においても、進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベアが使用される。多数の糸掛ピンは、少なくとも数十本以上であり、通常数百本以上で構成されている。ピンは、直径が約1mmから10mm、好ましく2mmから5mmであり、5mmから30mmの長さを有する棒状体である。そしてその先端は、扁平ではなく、丸か鋭角に加工されていることが望ましい。本発明におけるコンベアとは、多数本のピンを移動させる手段であり、ベルトにピンを植えたベルト方式や、チェーンにピンを取り付けたチェーン方式によるものもあり、また、円筒の両端にピンを植えたものなども使用される。これらのコンベアは、エンドレスに循環するものであることが望ましい。
本発明のコンベアは、円筒を形成している場合(ドラム方式)も使用できる。円筒を形成しているコンベアは、通常円筒シリンダの両端にピンを立てたものであり、リジットな固体にピンが植えられているので、ピンの精度が狂うことが少ない。また、ピンが円筒状に循環するので、省スペースであることも特徴である。このドラム方式に給糸細管方式を用いる場合は、複数の給糸細管の先端が形成する形状は、この円筒のなす円弧に沿った形状であることが好ましい。そうすることにより、より精度よく糸掛ピンに引っ掛けることができ、スピードも上がり、出来た斜交不織布の精度もよい。
本発明の多軸不織布製造では、多軸不織布の斜交材が、より大きな未分割トウ束より複数本に分割された後、斜交工程に入ることを特徴とする。未分割トウ束は、通常、数万dtexから数十万dtexからなるものが用いられ、本発明では、それらの未分割トウから分割されて、数千dtexから数万dtexの数本から数10本のトウ束とされる。
本発明で使用される未分割トウは、スタフィングボックス法によるクリンパーで捲縮を付与されたものであることが好ましく、さらに、このクリンパーにフィラメントが導入される際に分割トウ束の単位のフィラメント束を集めてクリンパーに導入されたものであることが好ましい。このようにクリンパーに入る際に分割してあると、本発明の分割手段で分割トウの乱れが少なく、品質的にも生産性の面からも好ましいからである。
本発明の拡幅や分割手段には、Zバーが設けられていることが望ましい。Zバーとは、未分割トウの幅方向に設けられた一対のバー上をこのトウがZ状に走行し、かつ、この一対のバーが周期的にほぼ半回転運動を繰り返すことにより、走行するトウに対して周期的にテンションが加えられる機構を有する。拡幅や分割手段にZバーを有することにより、トウが拡幅されて分割が容易になり、かつ嵩高になり風合いの良いトウ多軸不織布となる。このZバーと一対のウインスロールを組み合わせて使用されることにより前記Zバーが有する効果を一層高めることができる。
本発明は未分割トウを拡幅後に複数の分割されたトウ束とし、その分割されたトウ束から斜交ウェブを形成させることを特徴とする。かかる分割手段として、本発明では大別して二つの手段を提示する。分割手段1として、コンベアの糸掛ピンに到る前で、拡幅トウから種々の手段で複数の一定の太さの分割トウ束に分割した後、そのそれぞれのトウ束を給糸ガイドに設けられた給糸細管に分配する方式である。分割手段2として、拡幅トウをコンベア上の糸掛ピンに強制的に押し込むことで、糸掛ピンのピン間隔単位に分割する方式である。分割方式1及び2において、これらの分割手段がトウ斜交ウェブの形成装置と一体化して使用されることに特徴がある。一体化されることで、従来のように未分割トウを工程外で分割や拡幅を別工程で行うと、巻取りや繰り出し工程でトウが乱れ、工程の安定性を悪くし、できた多軸不織布の品質も悪くなる。しかも、その製造において、省スペースで実現できる点にも特徴がある。
分割手段1では、コンベアの糸掛ピンに到る前で、拡幅トウから種々の手段で複数の一定の太さの分割トウ束に分割されるが、その分割は、拡幅トウにコームやバーを案内にして分割することができる。この方式では、未分割トウの製造時に、延伸されたフィラメント群がクリンパーに入る時点で一定のトウ束に分割した後、それを合わせてクリンパーにかけられたトウが特に適合する。
分割手段1の他の分割手段として、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウを、熱的作用により一定幅に切断する切断具により切断されて、分割されたトウ束とすることができる。切断の方向は、トウ中のフィラメントの配列方向である。熱的作用を有する切断具としては、熱刃スリッター、超音波スリッター(超音波カッター)、高周波スリッター、レーザースリッター等の熱的作用を有するものが使用される。熱的作用によるスリットを行うと、切断時にフィラメントの毛羽が発生せず、毛羽が刃やローラに巻きつくといったトラブルが少ない。レーザースリッターは、熱溶融部が非常に狭い幅で切断でき、また、非接触で切断できるので毛羽の巻き付き等のトラブルも少ない。
分割手段1における斜交ウェブ形成手段においては、給糸ガイドに備えられている個々の給糸細管から導かれるトウを、給糸ガイドを左右にトラバースすることにより、左右のコンベア上の糸掛ピンに左右交互に引っ掛けることにより、トウの斜交ウェブが形成される。給糸ガイドは、多数の給糸細管群を左右にトラバースさせるために、複数本の給糸細管を保持する手段である。給糸細管は、斜交させる個々の糸を位置の精度よく個々のピンの位置に運んでいくための糸の位置決めガイドであり、必ずしも管である必要はなく、スネイルワイヤやコーム等でもよく、それらも本発明に含有されるが、正確に位置が決まるので、管状であることが望ましい。但し、フラットの板に設けられた孔だけでもよく、位置決め範囲(管の場合は、管の内径)は、ピンのピッチより小さいことが望ましいので、位置決め範囲は通常小さく、給糸細管と呼ばれる。
分割手段2では、拡幅されたトウをコンベア上の糸掛ピンに強制的に押し込むことで、糸掛ピンのピン間隔単位に分割する。この方式では、糸掛ピンの形状に特徴がある。トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウをトラバースしている給糸ガイドにより、コンベア面に平行で、かつ、コンベアの進行方向に傾斜して並べられた多数の糸掛ピンに強制的に差し込まれ、それぞれの糸掛ピンのピン間隔単位に分割される。この糸掛ピンの並べられている方向がコンベア面に平行とあるのは、必ずしも厳密の平行でなくともよく、平面とのなす角度が少なくとも20度以下が好ましく、10度以下がさらに好ましい。また、この糸掛ピンが進行方向に傾斜していることにより、拡幅トウが糸掛ピンにスムースに差し込まれ、かつ、その傾斜角の部分に分割されたトウ束が保持され、ピンからの脱落を防ぐことができる。
この分割方式2における糸掛ピンが、直線状の棒状の形状であって、コンベアの進行方向に傾斜している場合は、糸掛ピンのピンが30度以上傾斜して並べられており、40度以上傾いていることがさらに望ましい。コンベアの進行方向に対して、給糸ガイドがコンベアとは直角方向に移動するので、拡幅トウがスムースにピンに差し込まれるために、このような角度が好ましく、かつ、差し込まれた分割されたトウが、ピンから脱落しにくいことが実験結果判明した。
また、この分割方式2における糸掛ピンは、コンベアの進行方向に湾曲して傾斜しており、ピン又はピンとピン固定具の形状が湾曲部を有するようにもすることができる。このような湾曲部を有することにより、差し込まれた分割されたトウ束がこの湾曲部で保持されてピンからの脱落をより完全に防止できる。
分割方式2における糸掛ピンは、コンベアに直接並べることもできる。他の例としては、分割された多数のコの字型のピン固定具にピンを並べる方式をとることができる。このコの字の平行する一辺にピンは形成されており、他の平行する一辺はコンベアに固定されるようにすることができる。このようにピン固定具がコの字型で複数のブロックに分かれてコンベアに固定されていることは、ピンの高さやコンベアヨコ方向の位置を微調整することに適し、さらに、ピンのブロックごとの補修や交換が簡便に行うことができる。
分割方式2における給糸ガイドは、一対のトウガイドバーと一対のニップロールを有することが望ましい。このトウガイドバーで拡幅トウを案内しつつニップロールによって押し込まれる際のこの拡幅トウの横ずれを防止し、給糸ガイドのコンベアのトラバースにより給糸ガイドが拡幅トウを糸掛ピンに押し込むように構成されている。
本発明のトウ多軸不織布製造工程において、トウ束を拡幅した後、それをタテ材又は斜交材として用いることができる。この拡幅手段として、走行している捲縮を有するトウに対して、周期的にテンションを加え、トウの有する捲縮を伸長させ、テンションが除かれる際に捲縮を戻す作用を有するバーを数段設けて拡幅する手段が有効である。テンションバーの一つの形態としてZバーが使用できる。Zバーは、簡便な装置であるにもかかわらず、走行するトウに対して緊張と弛緩のテンション差を大きくとることができ、トウの拡幅手段として有効である。またZバーは、他のトウ拡幅手段と組み合わせて使用することによって大きな効果をもたらす。その他の拡幅手段の一つとして、ウインスロールを使用することも有効である。
本発明における多軸トウの積層手段及び各層間の積層手段については、図において具体的に説明する。
本発明のフィラメント間や層間の接合手段として、最も適するのはニードルパンチである。ニードルパンチは、本発明のような圧倒的多数のフィラメントからなるウェブの場合であっても、効率よく接合できる。また、接着剤法に比較して、コストも安く、柔らかい製品となる長所を有する。本発明の接合手段としては、ニードルパンチ以外にステッチボンド、超音波接合、ウォータジェット、スルーエア等を使用することができる。また、融点の異なるポリマーからなるコンジュゲートや混合フィラメントからなるトウを使用する場合は、エンボスや熱プレス、スルーエア等の接合手段で接合することもできる。また、他の接着性のウェブを積層して使用することで、上記エンボス等の手段を使用することもできる。
これらの接合手段は、トウの積層工程の後に、積層ウェブの両耳端がピンに保持されている状態で行うことが望ましい。このピンに保持されている状態で接合されることにより、多軸の配列が乱れることなく接合され、目的とする強度バランスを乱すことなく接合できるからである。また、製品幅が一定し、坪量の乱れも少なく、そのため、強度の弱い部分もなくなる。また、この多軸積層工程、接合工程の後に、多軸積層の互いに斜交する斜め材の両耳端がピンに把持されている状態で熱処理されることが望ましい。ニードルパンチ等によって生じた歪(ヒズミ)を、熱処理でとり除くことにより、製品の安定性に寄与することができる。歪のあるまま製品化すると、製品が反ったり、曲がったりする場合がある。斜交する素材がピンにかけられた状態で熱処理することにより、定幅性、平面性、寸法安定性等が増したトウ多軸不織布となる。
本発明のトウ多軸不織布製造手段においては、簡便な手段であるにもかかわらず、非常に生産性良く、かつ、薄い(坪量の小さい)不織布を製造できることに特徴がある。従来のように未分割トウを工程外で分割や拡幅を別工程で行うと、巻取りや繰り出し工程でトウが乱れ、工程の安定性を悪くし、できた多軸不織布の品質も悪くなる。しかも、その製造において、省スペースで実現できる点にも特徴がある。
本発明は、従来のトウ多軸不織布製造手段では実現困難であった、坪量の少ないトウ多軸不織布が実現できることに特徴がある。従来のトウ多軸不織布製造手段では、1kg/平方メータから数kg/平方メータであるのに対して、本発明の製造手段では、50gから300g/平方メータといった薄い(坪量の少ない)不織布が実現できる。
本発明のトウ多軸不織布は、従来のトウ多軸不織布が有する特徴をそのまま有する。即ち、長繊維不織布なので、短繊維からなる不織布に比べて強度があり、しかも、あらゆる方向に強度がある。また、強度があるにもかかわらず、伸度の大きな不織布とすることができる。伸度は数十%から100%前後の伸度のものまで製造できる。その伸度の程度は、トウが有している捲縮度やニードルパンチ等の接合手段でコントロールすることができる。したがって、強度×伸度で表現される破断エネルギーが大きい。
本発明のトウ3軸積層不織布のモデル図。 本発明のトウ4軸積層不織布のモデル図。 本発明の未分割トウの分割装置の例を示す平面図(A)と側面図(B)。 本発明に使用されるZバーを示す側面図。 本発明に使用されるウインスロールで、側面図(A)と平面図(B)。 本発明の未分割トウの分割装置の他の例の斜視図。 本発明のトウ多軸積層不織布製造装置の例を示す平面図。 本発明のトウ多軸積層不織布製造装置の例を示す側面図。 本発明のトウ3軸積層不織布製造装置の他の例を示す側面図。 本発明の糸掛ピンにおいて拡幅トウを分割する例を示す装置の側面図。 本発明の拡幅トウが糸掛ピンに差し込まれている状態を示す斜視図。 本発明の糸掛ピンの形態の例を示す模式図。 本発明の糸掛ピンの形態の他の例を示す模式図。 本発明の糸掛ピンにおいて拡幅トウを分割する際に使用する給糸ガイド例を示す装置の正面図と側面図。
本発明の実施の形態について図面により説明する。図1、図2本発明のトウの多軸積層不織布の積層形態の例をモデル化して示す。図1は3軸積層の例である。点線で示すタテ方向の多数本のトウ1aは、本発明の多軸不織布の1例である3軸不織布の裏面に位置するタテ配置トウである。1点破線で示すタテ方向の多数本のトウ1bは、不織布の表面に位置するタテ配置トウである。1a、1bは、個別の多数のトウ束である必要はなく、拡幅されたトウウェブであってもよく、その場合は、片側の1aだけでもよい。2aは、互いに斜交する一群の斜め材である1方のトウ群で、2bは、その2a群と斜交するもう1群の斜交材のトウ群である。本発明においては、2a、2bは分割されたトウである。図では、わかりやすくするために、ある1本のトウの流れを線で示すが、トウは糸ではなく幅を有する。したがって、図では線が交差した網状物に描かれているが、トウ積層不織布は、一面にフィラメントで充填された不織布とすることができる。
図2は4軸積層の例である。図2(A)は、4軸に積層された形態を示す。図2(B)は、その1群3aのトウの走行パターンを示したものである。この図2Bで、1本の線を太く示して、走行パターンをわかりやすくした。4軸積層体は、この3aと斜交して対称的に走行するトウ群3bと図1に示したタテ配置のトウ1a、1bからなる。
図3は、コンベアの糸掛ピンに到る前の段階で、未分割トウを分割する分割装置の例を、平面図(A)と側面図(B)で示す。ケンス11からの未分割トウ12は、ガイドロール13a、13b、13cを経て、Zバー14を経て、コーム15a、15b、15c、・・・、ターンロール16、コーム17a、17b、17c、・・・、及びターンロール18によって複数本の分割トウ19a、19b、19c、・・・に分割される。分割トウ19はさらにコーム20a、20b、20c、・・・及びターンロール21で整列されつつ、Zバー22及び23を通過して、分割トウ19に幅と嵩高性を持たせる。Zバー22とZバー23の中間には固定バー24で、Zバー22とZバー23間のテンションを遮断させる。Zバー23を出た分割トウ19は、一対のウインスロール25a、25bでさらにトウ幅を拡幅して嵩高性を増して、ニップロール26a、26bで引き取られて、多軸積層ラインの斜交ウェブ供給ラインへと導かれる。
図4は、本発明のトウの拡幅や分割装置に設けられるZバーの作用機構を示す側面図である。(A)図は未分割トウ12のテンションが緩い場合で、(B)図は、未分割トウ12にテンションが加えられた場合である。未分割トウ12は幅方向に渡って設けられた一対のバー31a、31b上を走行している。この一対のバー31a、31bは、(A)図の位置から(B)図の位置へ軸32を中心に周期的にほぼ半回転することにより、走行するトウ1に対して周期的にテンションが加えられる。バー31a、31bは、固定のバーであっても、回転するローラであってもよい。図(B)にみられるように、未分割トウ12がバー31a、31b上をZ状に走行することから、この往復運動するバーはZバーと呼ばれる。本発明の多軸不織布の経材としてトウ拡幅ウェブを使用する際にも、このZバーは拡幅装置として非常に有効であり、他のトウ拡幅手段と組み合わせて使用することもできる。
図5は、本発明のトウ分割装置において使用される一対のウインスロール33、34を示す。ウインスロールは、布の染色装置等で使用される布送り用回転型枠であるが、本発明では、それを1対で使用し、回転する1対のウインスロール33、34の間にトウを走行させることで拡幅させる。ウインスロール33は、型枠35a、35b間に多数のバー(又はロール)36a、36b(図示されていない)、36c、・・・が挿し渡されている。本発明で使用されるこの1対のウインスロール33、34は、拡幅効果もあるが、拡幅されたトウウェブの均質化(均一に拡幅されている状態にすること)及び嵩高にすることにも非常に有効である。
図6は、コンベアの糸掛ピンに到る前の段階で、未分割トウを分割する分割装置の他の例で、超音波スリッターを使用する例を斜視図で示す。超音波ホーン41a、41b、41c、・・・が受けロール42上を走行している拡幅されたトウ43上に載せられている。超音波ホーン41には電源コード44a、44b、44c、・・・で電源につながっている。超音波ホーン41と受けロール42間の振動による熱作用で、拡幅されたトウ43は分割されたトウ45a、45b、45c、・・・となり、コーム46a、46b、46c、・・・によって分割されて、多軸不織布ラインの斜交ウェブ供給ラインの給糸細管へと導かれる。
図7、図8は、本発明の分割方式1におけるトウを積層する装置の例で、図7は平面図、図8は側面図である。図7及び図8において、進行方向の左右端部に、一定のピッチでトウを掛けるピンの配列51a、51bを有するコンベア52が循環している。当該コンベア52の上方に、コンベアを直角に横切る平行に配置された一組の円筒カム53a、53bを設け、カムの回転にしたがって、両カムをつなぐ軌条54に軸受(図では省略)により連結された給糸ガイド55が、コンベア52上のピンの列51aと51bを横切る方向に往復する。この軌条(ガイドレール)54とコンベア上の異なる高さでタテ方向と一定の角度で、別の軌条56が軸受(図では省略)により給糸ガイド55に把持されている。この軌条56の角度により、製品におけるトウの斜交する角度を変更することができ、コンベア52のタテ方向に対して63.5度の場合は、図2の4軸積層が実現できる。この角度が90度の場合、即ち円筒カム53a、53bと平行な場合は、図1の3軸積層が実現できる。図2の4軸積層の場合は、もう一組の同様な給糸ガイド61が必要で、この場合、軌道62は軌道56に対し対象角である−63.5度で設置される。この給糸ガイド55、61には一定ピッチに設けられた多数の給糸細管57、63を有している。モータ60により駆動されるコンベア52と連結して、円筒カム53、64およびニップロール65の回転が制御される。
図8において、図3又は図6に例示した手段により分割された多数本のトウが繰り出され、張力調整されて多軸積層装置に分割トウ66、67として供給される。分割トウ66、67はそれぞれ給糸細管57、63に分配される。コンベア上を横切って往復する給糸ガイド55、61の給糸細管57、63により供給されるそれぞれの分割トウ66、67は、コンベアの左右のピンの列51a、51bに保持されて、分割トウ66、67がコンベア上で斜交積層される。ケンス68、69から多数のトウ70、71が経材として供給され、一方のトウ群70はコンベア上に並べられ、別のトウ群71は斜交積層されたトウ群の上に供給され、ニップロール65により、トウ群70、71で上下から斜交トウ群を挟んで積層する。積層されたトウ群は、斜交トウ群がピン列51a、51bで保持された状態で、ニードルパンチ装置72でニードリングされ、熱風熱処理装置73で熱処理されて、トウ多軸積層不織布74とされる。
図9は、本発明の分割方式1におけるトウを積層する装置の他の例として、糸掛ピンを運搬するコンベアとして円筒を使用した例で、要部のみ側面図で示す。円筒81の両サイド(図では手前に見える片側のみを示す)に糸掛ピン82が等分割に一定ピッチで植えられている。その円筒81の曲面上を、給糸ガイド83がトラバースしており、その給糸ガイド83に設けられた給糸細管84a、84b、84c・・・には、分割トウ85が供給されている。分割トウ85は、給糸ガイド83のトラバースによって、糸掛ピン82に引っ掛けられて3軸不織布の斜交材となる。
図10は、分割手段2において、拡幅トウをコンベア上の糸掛ピンに強制的に押し込むことで、糸掛ピンのピン間隔単位に分割する方式の例を示す装置の側面図である。給糸ガイド101は、走行しているコンベア102上をコンベアの幅方向にトラバースしている
(トラバースの方式は図7、8と基本的には同じである)。この給糸ガイド101は、一対のトウガイドバー103a、103bと一対のニップロール104a、104bを有する。給糸ガイド101がコンベア102の進行方向に対して横方向に移動することにより、給糸ガイド101が拡幅トウ105を糸掛ピン106に押し込まれる。トウガイドバー103a、103bで拡幅トウ105を案内しつつニップロール104a、104bによって糸掛ピン106に押し込まれる際の拡幅トウ105の横ずれを防止する。糸掛ピン106は、一定間隔で並べられた多数のピン(棒状体)から構成されており、コの字型のピン固定具107の平行な一辺を構成している。コの字型のピン固定具107の他の平行な一辺は、コンベア102に固定されている。糸掛ピン106のピンの方向は、コンベア102の平面にほぼ平行で、かつ、コンベア102の進行方向に傾斜して並べられている。給糸ガイド101により拡幅トウ105を糸掛ピン106に押し込まれることで、拡幅トウ105は、糸掛ピン106のピンの間隔単位に分割される。
図11は、図10の方式で拡幅トウ105が糸掛ピン106の個々のピン106a、106b、106c、・・・に差し込まれている状態を示す斜視図である。矢印はコンベアの進行方向を示す。糸掛ピン106は、ピン固定具107a、107b、107cごとに複数のピンを有している。ピン固定具107は、図10に示したように断面がコの字型であるが、コの字の各角度はU字型のように必ずしも直角である必要はないが、上辺のピン部のピンの方向がコンベア平面にほぼ平行であり、底面がコンベアに固定されるようになっていることが好ましい。このようにピン固定具107がコの字型で複数のブロックに分かれてコンベアに固定されていることは、ピンの高さやコンベアヨコ方向の位置を微調整することができ、また、ブロックごとのピンの補修や交換にも適する。pは個々のブロックの幅を示し、hはブロックの高さを示す。
図12は、分割方式2における糸掛ピンがコンベア進行方向へ直線的に伸びている場合の傾斜角度の例を示すもので、A図は45度、B図は30度の場合を示す。矢印はコンベアの進行方向を示す。図13は、この分割方式2における糸掛ピンがコンベアの進行方向に湾曲して傾斜している場合の例を示す。A図はピン又はピンとピン固定具の形状が湾曲部を有する例で、図Bは、ピンの頂点部分を鋭角にし、拡幅トウの差し込みを容易にしたものである。
図14は、本発明の分割方式2における給糸ガイド例を示す装置の正面図(A)と側面図(B)である。給糸ガイド101は、一対のトウガイドバー103a、103bと一対のニップロール104a、104bからなる。ニップロール104a、104bは、ベアリングボックス111、カム軸112により駆動されており、拡幅されたトウを把持して案内する。
本発明によって得られる軽量のトウ多軸不織布は、強度と伸度のある不織布として、布的用途、包装材、産業用資材などとして使用される。
1a、1b:トウ、 2a、2b、3a、3b:斜交するトウ。
11:ケンス、 12:未分割トウ、 13a、13b、13c:ガイドロール、
14:Zバー、 15a、15b、15c、・・・:コーム、
16:ターンロール、 17a、17b、17c、・・・:コーム、
18:ターンロール、 19a、19b、19c、・・・:分割トウ、
20a、20b、20c、・・・:コーム、 21:ターンロール、
22、23:Zバー、 24:固定バー、 25a、25b:ウインスロール、
26a、26b:ニップロール。
31a,31b:バー、 32:軸、 33、34:ウインスロール、
35a、35b:型枠、 36a、35c、・・・:バー。
41a,41b、41c、・・・:超音波ホーンバー、 42:受けロール、
43:拡幅されたトウ、 44a、44b、44c、・・・:電源コード、
45a、45b、45c、・・・:分割されたトウ、
46a、46b、46c、・・・:コーム。
51a,51b:ピンの配列、 52:コンベア、
53a、53b:円筒カム、 54:軌道、 55:給糸ガイド、
56:軌道、 57:給糸細管。
60:モータ、 61:給糸ガイド、 62:軌道、 63:給糸細管、
64a、64b:円筒カム、 65:ニップロール、 66、67:分割トウ、
68、69:ケンス、 70,71:トウ、 72:ニードルパンチ装置、
73:熱風熱処理装置、 74:トウ多軸不織布。
81:円筒、 82:糸掛ピン、83:給糸ガイド、
84a、84b、84c、・・・:給糸細管、
85a、85b、85c、・・・:分割されたトウ。
101:給糸ガイド、 102:コンベア、
103a、103b:トウガイドバー、 104a、104b:ニップロール、
105:拡幅トウ、 106:糸掛ピン、 107:ピン固定具。
111:ベアリングボックス、 112:カム軸。

Claims (19)

  1. a.拡幅トウより複数本の分割されたトウ束に分割されるトウ分割装置と、
    b.該分割されたトウ束が下記のb−1、b−2装置による斜交ウェブを形成させる装置を含み、
    b−1.進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベアを有し、該コンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドと、
    b−2.該分割されたトウ束群が、給糸ガイドにより左右の該糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることにより分割されたトウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させる装置と、
    c.多軸不織布の経となるタテウェブを供給するタテウェブ供給装置と、
    d.該タテウェブと、該斜交ウェブとが積層接合される積層装置と、
    が一体化されて構成されているトウ多軸不織布製造装置。
  2. 前記トウ分割手段が、拡幅トウが糸掛ピンに供給される前の段階で複数の分割トウに分割された後に、前記コンベア上を左右にトラバースしている前記給糸ガイドに備えられている複数本の給糸細管へ該複数本に分割されたトウ束群を導く装置を有し、
    該給糸細管からの該分割されたトウ束群が、左右の該糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることによりトウ束群がジグザク斜行して交差して交差ウェブを形成することを特徴とする、請求項1記載のトウ多軸不織布製造装置。
  3. 前記トウ分割手段が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウを、熱的作用により一定幅に切断する切断具を有することを特徴とする、請求項2記載のトウ多軸不織布製造装置。
  4. 前記トウ分割装置が、
    未分割トウ束を通過させて並列引き揃える多段ローラ群と、
    該引き揃えられたトウを分割するコームと、
    を有することを特徴とする、請求項2記載のトウ多軸不織布製造装置。
  5. 前記トウ分割手段が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウをトラバースしている前記給糸ガイドにより、前記コンベア面に平行で、かつ、該コンベアの進行方向に傾斜して並べられた多数の前記糸掛ピンに差し込まれ、それぞれの糸掛ピンのピン間隔単位に分割されることを特徴とする、請求項1記載のトウ多軸不織布製造装置。
  6. 前記糸掛ピンが、コの字型のピン固定具のコの字の平行する一辺に多数本並べられたピン(棒状体)により形成されており、コの字の他の平行する一辺が前記コンベアに固定されていることを特徴とする、請求項5載のトウ多軸不織布製造装置。
  7. 前記糸掛ピンの個々のピンが直線的な棒状体からなり、前記コンベアの進行方向に直線的に30度以上傾斜して前記ピン固定具上に並べられていることを特徴とする、請求項5載のトウ多軸不織布製造装置。
  8. 前記糸掛ピンが、前記コンベアの進行方向に湾曲して傾斜して並べられている複数のピンからなり、該ピン又は該ピンと前記ピン固定具の形状が前記分割されたトウを保持する湾曲部を有することを特徴とする、請求項5載のトウ多軸不織布製造装置。
  9. 前記給糸ガイドが、一対のトウガイドバーと一対のニップロールからなり、トウガイドバーで前記拡幅トウを案内しつつニップロールによって押し込まれる際の該拡幅トウの横ずれを防止し、該給糸ガイドが該コンベア上をトラバースすることより、該給糸ガイドが該拡幅トウを前記糸掛ピンに押し込むように構成されていることを特徴とする、請求項5記載のトウ多軸不織布製造装置。
  10. 前記トウ分割装置が、トウ拡幅装置を有することを特徴とする、請求項1記載のトウ多軸不織布製造装置。
  11. 前記トウ分割装置が、前記トウの幅方向に設けられた一対のバー上を該トウがZ状に走行しており、かつ、この一対のバーが周期的にほぼ半回転運動を繰り返すことにより、走行するトウに対して周期的にテンションが加えられるZバーを有することを特徴とする、請求項10記載のトウ多軸不織布製造装置。
  12. 前記トウ分割装置が、前記Zバーと組み合わせて使用される一対のウインスロールを有することを特徴とする、請求項10記載のトウ多軸不織布の製造装置。
  13. 前記タテウェブ供給装置において、走行している捲縮を有するトウに対して、該トウの幅方向に設けられた一対のバー上を該トウがZ状に走行しており、かつ、この一対のバーが周期的にほぼ半回転運動を繰り返すことにより、走行するトウに対して周期的にテンションが加えられるZバーを有することにより該トウを拡幅する拡幅装置を有することを特徴とする、請求項1記載のトウ多軸不織布製造装置。
  14. トウ束を斜交材として用いたトウ多軸不織布の製造方法において、
    未分割トウ束を拡幅されたトウにする拡幅工程と、
    拡幅されたトウを複数本の分割されたトウ束に分割するトウ分割工程と、
    進行方向に所定のピッチで多数の糸掛ピンを左右に備えたコンベアを有し、該コンベア上を左右にトラバースしている給糸ガイドにより該分割されたトウ束群が左右の該糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることにより、トウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させる工程と、
    多軸不織布の経となるタテウェブを供給するタテウェブ供給工程と、
    該タテウェブと、該斜交ウェブとが積層接合される積層工程と、
    を含む、トウ多軸不織布の製造方法。
  15. 前記トウ分割手段が、拡幅トウが糸掛ピンに供給される前の段階で複数の分割トウに分割された後に、前記コンベア上を左右にトラバースしている前記給糸ガイドに備えられている複数本の給糸細管へ該複数本に分割されたトウ束群を導く工程を有し、
    該給糸細管からの該分割されたトウ束群が、左右の該糸掛ピンに左右交互に引っ掛けられることによりトウ束群がジグザク斜行して交差することにより斜交ウェブを形成させることを特徴とする、請求項14記載のトウ多軸不織布製造方法。
  16. 前記トウ分割工程が、トウ拡幅手段により拡幅された拡幅トウをトラバースしている前記給糸ガイドにより、前記コンベア面に平行で、かつ、該コンベアの進行方向に傾斜して並べられた多数の前記糸掛ピンに差し込まれることにより、それぞれの糸掛ピンのピン間隔単位に分割させられることを特徴とする、請求項14記載のトウ多軸不織布製造方法。
  17. 前記未分割トウ束は、前記分割の工程に設けられたコームに入る前工程に、多段のローラ群を通過させ、該未分割トウ束を並列引き揃える工程を有することを特徴とする、請求項14記載のトウ多軸不織布の製造方法。
  18. 前記未分割トウが、スタフィングボックス法によるクリンパーで捲縮を付与されたものであり、該クリンパーにフィラメントが導入される際、前記分割トウ束の単位のフィラメント束を集めて該クリンパーに導入されることを特徴とする、請求項14記載のトウ多軸不織布の製造方法。
  19. トウ多軸不織布製造工程のタテ材が、トウ束を拡幅した後に斜交材との積層工程に入ることを特徴とする、請求項14記載のトウ多軸不織布の製造方法。
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